JP7308062B2 - ヘキサン溶剤の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、上記従来の製造方法で製造されたヘキサン溶剤は、イソヘキサンおよびn-ヘキサンを主成分とするものであり、さらにイソヘキサンとn-ヘキサンに蒸留分離されて製品化される関係上、その乾点はほぼ一定の温度となる。
また、本発明者等が検討したところ、上記フェノール抽出によってn-ヘキサンやイソヘキサンの一部も抽出除去されてしまうことから、ヘキサン溶剤の収率が低下してしまうことが判明した。
上述したように、ヘキサン溶剤は、炭素数6の炭化水素を主成分とする留分から、フェノール抽出によりベンゼン等の重質分を除去して製造しているが、フェノール抽出に代えて蒸留処理を行い2-メチルヘキサン以上の重質な炭化水素成分を所定量含む精密蒸留油を得た後、さらに核水素化処理してヘキサン溶剤を製造すれば、2-メチルヘキサンは乾点が高い成分であることから、ヘキサン溶剤自体の乾点を制御し得ることができ、n-ヘキサンやイソヘキサンのロスも抑制し得ることを着想した。
(1)石油精製プロセスで得られる炭素数5~7の炭化水素を主成分として含む原料油を蒸留処理することによって揮発成分および重質成分を除去し炭素数6の炭化水素を90~100質量%含む留分を得る第1工程と、
前記第1工程で得られた留分をさらに精密蒸留することにより、2-メチルヘキサンの沸点以上の温度を沸点とする炭化水素成分の含有割合を0.20質量%以下に制御した精密蒸留油を得る第2工程と、
前記精密蒸留油を芳香族の核水素化触媒を用いて核水素化する第3工程と、
を有することを特徴とするヘキサン溶剤の製造方法、
(2)前記精密蒸留油中のベンゼンの含有割合が0.4質量%以下である上記(1)に記載のヘキサン溶剤の製造方法、
(3)前記芳香族の核水素化触媒が、VIA族金属およびVIII族金属から選ばれる一種以上の活性金属を含むものである上記(1)または(2)に記載のヘキサン溶剤の製造方法、
(4)前記原料油が、ライトナフサ、ヘビーナフサおよび灯油留分から選ばれる一種以上を水素化脱硫して得られる水素化脱硫油である上記(1)~(3)のいずれかに記載のヘキサン溶剤の製造方法、
を提供するものである。
なお、本出願書類において、原料油中における炭素数5~炭素数7の炭化水素の含有割合とは、石油学会法JPI-5S-33-90(ガスクロマトグラフ法)により算出された値を意味する。
上記石油精製プロセスで得られる炭素数5~炭素数7の炭化水素を主成分として含む原料油を蒸留処理して得られる揮発成分および重質成分を除去した留分において、ベンゼンの含有割合は、6,000質量ppm以下あることが適当であり、5,600質量ppm以下であることがより適当であり、5,300質量ppmであることがさらに適当である。
なお、本出願書類において、イソヘキサンとは、2,2-ジメチルブタン、2,3―ジメチルブタン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタンのことを意味する。
2-メチルヘキサン以上の沸点を持つ炭化水素成分は、ヘキサン溶剤にとって不純物となり得るだけでなく、乾点を上昇させ易い成分であることから、予め精密蒸留油中の含有割合を上記範囲に制御することが好ましい。
このため、従来は、上記炭素数6の炭化水素を高い含有割合で含む留分に対してフェノール抽出処理を施すことによって、同留分中に含まれるベンゼンや炭素数7以上の重質分を除去することが行われていたが、上述したように、上記処理を施して得られるヘキサン溶剤は、乾点を所望範囲に制御し難いものであるばかりか、本発明者等の検討によれば上記フェノール抽出によってn-ヘキサンやイソヘキサンの一部も抽出除去されてしまうことから、ヘキサン溶剤の収率が低下してしまうことが判明した。
これに対して本件発明は、上記フェノール抽出を行うことに代えて精密蒸留を施すことにより、n-ヘキサンやイソヘキサンのロスも抑制することができる。また、上記精密蒸留により、2-メチルヘキサン以上の沸点を持つ炭化水素成分の含有割合が0.20質量%以下に制御された精密蒸留油を得、この精密蒸留油を芳香族の核水素化触媒を用いてさらに後述する核水素化処理を施すことにより、乾点の上昇を招き易い2-メチルヘキサンの沸点以上の温度を沸点とする炭化水素成分の含有割合を制御することができ、このために、得られるヘキサン溶剤の乾点を容易に制御することもできる。
上記活性金属としては、特に、ニッケルおよびパラジウムから選ばれる一種以上が好ましい。
得られた核水素化処理油において、n-ヘキサンとイソヘキサンの含有割合の合計は、80~100質量%であることが好ましく、83~100質量%であることがより好ましく、85~100質量%であることがさらに好ましい。
得られた核水素化処理油において、2-メチルヘキサン以上の沸点を持つ炭化水素成分の含有割合は、0.20質量%以下であることが好ましく、0.16質量%以下であることがより好ましく、0.08質量%以下であることがさらに好ましい。
ライトナフサおよびヘビーナフサを混合した留分を水素化脱硫して得られる炭素数5~7の炭化水素を主成分として含む原料油1を、各々、常圧下、沸点範囲が60~78℃の範囲で蒸留して、炭素数6の炭化水素を90~100質量%含むC6留分1を得た。
上記留分をさらに精密蒸留し、留出した精密蒸留油中の2-メチルヘキサンの沸点以上の温度を沸点とする重質な炭化水素成分の含有割合をガスクロマトグラフィーで測定し、精密蒸留油中の2-メチルヘキサンの沸点以上の温度を沸点とする炭化水素成分の含有割合が0.20質量%以下になるように上記精密蒸留の条件を適宜制御することで、各々表1に示す組成を有する2-メチルヘキサンの沸点以上の温度を沸点とする重質な炭化水素成分を含む精密蒸留油1~精密蒸留油5を得た。
次いで、上記精密蒸留油1~精密蒸留油5を、圧力0.3MPa、反応温度83℃、LHSV3.0hr-1、水素/油比30NL/Lの条件化で、酸化物換算で1.0%のPdが活性金属として担持された核水素化触媒を用いてそれぞれ水素化処理を行い、さらに蒸留することで、目的とするヘキサン溶剤1~ヘキサン溶剤5を得た。性状を表2に示す。
上記実施例で得たC6留分1を精密蒸留し、留出した精密蒸留油中の2-メチルヘキサンの沸点以上の温度を沸点とする重質な炭化水素成分の含有割合をガスクロマトグラフィーで測定し、精密蒸留油中の2-メチルヘキサンの含有割合が0.22質量%になるように上記精密蒸留の条件を適宜制御することで、表1に示す2-メチルヘキサンの沸点以上の温度を沸点とする重質な炭化水素成分を含む精密蒸留油6を得た。
次いで、上記精密蒸留油6を、実施例1~実施例5と同じ条件で水素化処理を行い、さらに蒸留することで、目的とするヘキサン溶剤6を得た。得られたヘキサン溶剤の性状を表2に示す。
実施例とほぼ同程度の炭化水素を含有するが2-メチルヘキサンの沸点以上の温度を沸点とする重質な炭化水素成分の含有割合が0質量%であるヘキサン溶剤を調製した。得られたヘキサン溶剤の性状を表2に示す。
Claims (3)
- 石油精製プロセスで得られる炭素数5~7の炭化水素を主成分として含む原料油を蒸留処理することによって揮発成分および重質成分を除去し炭素数6の炭化水素を90~100質量%含む留分を得る第1工程と、
前記第1工程で得られた留分をさらに精密蒸留することにより、2-メチルヘキサンの沸点以上の温度を沸点とする炭化水素成分の含有割合を0.20質量%以下に制御した精密蒸留油を得る第2工程と、
前記精密蒸留油を芳香族の核水素化触媒として、ニッケル、酸化ニッケル、白金、酸化白金、パラジウム、ニッケル-銅、白金-アルミナおよび白金-ロジウムから選ばれる一種以上を用いて核水素化する第3工程と、
を有することを特徴とするヘキサン溶剤の製造方法。 - 前記精密蒸留油中のベンゼンの含有割合が0.4質量%以下である請求項1に記載のヘキサン溶剤の製造方法。
- 前記原料油が、ライトナフサ、ヘビーナフサおよび灯油留分から選ばれる一種以上を水素化脱硫して得られる水素化脱硫油である請求項1または請求項2に記載のヘキサン溶剤の製造方法。
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