JP7306921B2 - 圧力検出装置の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、圧電素子を含む圧力検出装置の製造において、圧力の感度バラツキを抑制することを目的とする。
このような圧力検出装置の製造方法において、前記加圧部材は、前記軸方向に沿って貫通孔が設けられることで筒状を呈しており、前記付与工程では、前記圧電素子を、前記加圧部材における前記貫通孔の内部に収容した状態で、当該加圧部材を用いて前記一端側と前記他端側とから挟み込むことを特徴とすることができる。
また、前記付与工程では、前記圧電素子の前記一端側を、前記加圧部材の内周面に突き当てるとともに、当該圧電素子の前記他端側を突当部材に突き当てるようにし、前記付与工程の後に、前記圧電素子に予荷重を付与した状態で前記加圧部材および前記突当部材を固定する固定工程とをさらに含むことを特徴とすることができる。
また、前記セッチング工程では、前記加圧部材とともに、当該加圧部材の前記一端側に配置され、前記圧電素子に伝達する圧力を外部から受ける受圧部材をセッチングすることを特徴とすることができる。
また、前記圧電素子は、無機単結晶からなる圧電体を有することを特徴とすることができる。
また、前記圧電体は、ランガサイト系単結晶であることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧力検出装置の製造方法は、一端側から他端側に向かう軸方向に沿って延びる加圧部材を配置するとともに、当該加圧部材の当該一端側に、外部から圧力を受ける受圧部材を配置する配置工程と、前記加圧部材および前記受圧部材を、前記他端側から前記一端側に向かって押すことで、当該加圧部材および当該受圧部材の両者をセッチングするダブルセッチング工程と、外部から受けた圧力に応じた電気信号を出力する圧電素子を、前記加圧部材を用いて前記一端側と前記他端側とから挟み込むことで、当該圧電素子に予荷重を付与するとともに、前記受圧部材と当該圧電素子とを、直接または他の部材を介して間接的に接触させることで、当該圧電素子を位置決めする位置決め工程とを含んでいる。
このような圧力検出装置の製造方法において、前記ダブルセッチング工程では、先に前記加圧部材をセッチングし、当該加圧部材に続いて前記受圧部材をセッチングすることを特徴とすることができる。
また、前記加圧部材および前記受圧部材が、同じ材料で構成されていることを特徴とすることができる。
[圧力検出システムの構成]
図1は、実施の形態に係る圧力検出システム1の概略構成図である。
この圧力検出システム1は、内燃機関10における燃焼室C内の圧力(燃焼圧)を検出する圧力検出装置20と、圧力検出装置20に対する給電を行うとともに圧力検出装置20が検出した圧力に基づいて内燃機関10の動作を制御する制御装置100と、圧力検出装置20と制御装置100とを電気的に接続する接続ケーブル80とを備えている。
図2は、圧力検出装置20の側面図である。また、図3は、圧力検出装置20の断面図(図2のIII-III断面図)である。さらに、図4は、圧力検出装置20の先端側(図3のIV領域)の拡大断面図である。さらにまた、図5は、圧力検出装置20を構成する第1内部筐体35、第2内部筐体36、加圧部材49、第1絶縁部材51および第2絶縁部材52(それぞれの詳細については後述する)の分解断面図である。
筐体部30は、先端外部筐体31と、先端外部筐体31の先端側に取り付けられたダイアフラムヘッド32と、先端外部筐体31の後端側に取り付けられた中間外部筐体33と、中間外部筐体33の後端側に取り付けられた後端外部筐体34とを備えている。また、筐体部30は、先端外部筐体31の内側であってダイアフラムヘッド32の後端側に取り付けられた第1内部筐体35と、先端外部筐体31の内側であって第1内部筐体35の後端側に取り付けられた第2内部筐体36とをさらに備えている。
先端外部筐体31は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。先端外部筐体31は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。このような金属材料としては、例えば析出硬化系のステンレス鋼として知られるSUS630や、例えばオーステナイト系の耐熱鋼(耐熱合金)として知られるSUH660を例示することができる。ただし、要求される特性を満たすものであれば、これ以外の各種金属または各種合金(各種ステンレス鋼、各種耐熱鋼あるいは各種耐熱合金)等を採用することができる。
受圧部材の一例としてのダイアフラムヘッド32は、全体として円板状を呈する部材である。ダイアフラムヘッド32は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。このような金属材料としては、例えば析出硬化系のステンレス鋼として知られるSUS630や、例えばオーステナイト系の耐熱鋼(耐熱合金)として知られるSUH660を例示することができる。ただし、要求される特性を満たすものであれば、これ以外の各種金属または各種合金(各種ステンレス鋼、各種耐熱鋼あるいは各種耐熱合金等)を採用することができる。なお、この例では、ダイアフラムヘッド32を、先端外部筐体31と同じ材料(例えばSUS630)で構成している。
中間外部筐体33は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。中間外部筐体33は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。このような金属材料としては、例えばフェライト系のステンレス鋼として知られるSUS430LXを例示することができる。ただし、要求される特性を満たすものであれば、これ以外の各種金属または各種合金(各種ステンレス鋼、各種耐熱鋼あるいは各種耐熱合金)等を採用することができる。なお、この例では、中間外部筐体33を、先端外部筐体31とは異なる材料(例えばSUS430LX)で構成している。
後端外部筐体34は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。後端外部筐体34は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。このような金属材料としては、例えばフェライト系のステンレス鋼として知られるSUS430LXを例示することができる。ただし、要求される特性を満たすものであれば、これ以外の各種金属または各種合金(各種ステンレス鋼、各種耐熱鋼あるいは各種耐熱合金等)を採用することができる。なお、この例では、後端外部筐体34を、中間外部筐体33と同じ材料(例えばSUS430LX)で構成している。
第1内部筐体35は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。第1内部筐体35は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。このような金属材料としては、例えば析出硬化系のステンレス鋼として知られるSUS630や、例えばオーステナイト系の耐熱鋼(耐熱合金)として知られるSUH660を例示することができる。ただし、要求される特性を満たすものであれば、これ以外の各種金属または各種合金(各種ステンレス鋼、各種耐熱鋼あるいは各種耐熱合金等)を採用することができる。なお、この例では、第1内部筐体35を、ダイアフラムヘッド32と同じ材料(例えばSUS630)で構成している。また、第1内部筐体35とダイアフラムヘッド32とを、異なる材料により構成してもよい。
第2内部筐体36は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。第2内部筐体36は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。このような金属材料としては、例えば析出硬化系のステンレス鋼として知られるSUS630や、例えばオーステナイト系の耐熱鋼(耐熱合金)として知られるSUH660を例示することができる。ただし、要求される特性を満たすものであれば、これ以外の各種金属または各種合金(各種ステンレス鋼、各種耐熱鋼あるいは各種耐熱合金等)を採用することができる。なお、この例では、第2内部筐体36を、第1内部筐体35と同じ材料(例えばSUS630)で構成している。
検出機構部40は、圧電素子41と、先端電極部材42と、先端絶縁部材43と、後端電極部材44と、後端絶縁部材45とを備えている。また、検出機構部40は、第1コイルバネ46と、伝導部材47と、保持部材48と、加圧部材49と、絶縁チューブ50とを備えている。さらに、検出機構部40は、第1絶縁部材51と、第2絶縁部材52と、支持部材53と、第2コイルバネ54とを備えている。さらにまた、検出機構部40は、第1収容部材55と、第2収容部材56と、回路内蔵部材57と、接続部材58と、閉塞部材59と、第3絶縁部材60とを備えている。
圧電素子41は、全体として円柱状を呈する部材である。圧電素子41は、圧電縦効果の圧電作用を示す圧電体を備えている。圧電素子41は、先端外部筐体31(および第1内部筐体35)の内側に配置されている。
先端電極部材42は、全体として円柱状を呈する部材である。先端電極部材42は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。このような金属材料としては、例えば析出硬化系のステンレス鋼として知られるSUS630や、例えばオーステナイト系の耐熱鋼(耐熱合金)として知られるSUH660を例示することができる。ただし、要求される特性を満たすものであれば、これ以外の各種金属または各種合金(各種ステンレス鋼、各種耐熱鋼あるいは各種耐熱合金等)を採用することができる。なお、この例では、先端電極部材42を、ダイアフラムヘッド32と同じ材料(例えばSUS630)で構成している。先端電極部材42は、先端外部筐体31の内側且つ圧電素子41の先端側に配置されており、先端電極部材42の後端側の面が、圧電素子41の先端側の面と接触するようになっている。この例において、先端電極部材42の先端側の面、後端側の面および外周面には、特に金めっき等は施されておらず、先端電極材料を構成する金属材料の地肌がそのまま露出している。また、先端電極部材42の外径は、圧電素子41の外径よりも大きくなっている。
他の部材の一例としての先端絶縁部材43は、全体として円柱状を呈する部材である。先端絶縁部材43は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。先端絶縁部材43は、先端外部筐体31の内側且つ先端電極部材42の先端側に配置されており、先端絶縁部材43の後端側の面が、先端電極部材42の先端側の面と接触するようになっている。一方、先端絶縁部材43の先端側の面は、ダイアフラムヘッド32に設けられた裏面中央凸部32dの後端側の面と接触するようになっている。また、先端絶縁部材43の外径は、先端電極部材42の外径よりも小さく、且つ、ダイアフラムヘッド32における裏面中央凸部32dの外径よりも大きくなっている。
後端電極部材44は、全体として円柱状を呈する部材である。後端電極部材44は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。このような金属材料としては、例えば析出硬化系のステンレス鋼として知られるSUS630や、例えばオーステナイト系の耐熱鋼(耐熱合金)として知られるSUH660を例示することができる。ただし、要求される特性を満たすものであれば、これ以外の各種金属または各種合金(各種ステンレス鋼、各種耐熱鋼あるいは各種耐熱合金等)を採用することができる。なお、この例では、後端電極部材44を、先端電極部材42と同じ材料(例えばSUS630)で構成している。後端電極部材44は、先端外部筐体31の内側且つ圧電素子41の後端側に配置されており、後端電極部材44の先端側の面が、圧電素子41の後端側の面と接触するようになっている。この例において、後端電極部材44の後端側の面および外周面には、金めっきが施されている。これに対し、後端電極部材44の先端側の面すなわち圧電素子41の後端側と接する面には、特に金めっき等は施されておらず、後端電極部材44を構成する金属材料の地肌がそのまま露出している。また、後端電極部材44の外径は、圧電素子41の外径よりも大きくなっている。
後端絶縁部材45は、中空構造を有し且つ全体として環状(円筒状)を呈する部材である。後端絶縁部材45は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。後端絶縁部材45は、先端外部筐体31の内側且つ後端電極部材44の後端側に配置されており、後端絶縁部材45の先端側の面が、後端電極部材44の後端側の面と接触するようになっている。また、後端絶縁部材45の外径は、圧電素子41の外径よりも大きくなっている。なお、この例では、後端絶縁部材45を、先端絶縁部材43と同じ材料(例えばアルミナセラミックス)で構成している。
第1コイルバネ46は、全体として螺旋状を呈する部材であって、中心線方向に伸縮するようになっている。第1コイルバネ46は、導電性を有するとともに耐熱性が高いリン青銅等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。第1コイルバネ46は、先端外部筐体31の内側に配置されている。より具体的に説明すると、第1コイルバネ46の先端側は、後端絶縁部材45に設けられた貫通孔の内部に配置されており、その先端が、後端電極部材44の後端側の面と接触するようになっている。一方、第1コイルバネ46の後端側は、後端絶縁部材45の後端側に飛び出している。また、第1コイルバネ46の外径は、後端絶縁部材45に設けられた貫通孔の内径よりも小さくなっている。
伝導部材47は、全体として棒状を呈する部材である。伝導部材47は、導電性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。伝導部材47は、最も先端側に位置する先端棒状部471と、先端棒状部471の後端側に位置する中間棒状部472と、中間棒状部472の後端側に位置する後端棒状部473とを有している。また、伝導部材47では、先端棒状部471、中間棒状部472および後端棒状部473の順で、外径が大きくなっている。伝導部材47は、先端外部筐体31の内側に配置されている。より具体的に説明すると、伝導部材47の先端側すなわち先端棒状部471の先端側は、第1コイルバネ46の後端側に挿入されており、後端絶縁部材45の内部に配置されている。ただし、先端棒状部471の先端は、第1コイルバネ46とは異なり、後端電極部材44の後端側の面と接触していない。このとき、第1コイルバネ46の後端は、伝導部材47における先端棒状部471と中間棒状部472との境界部(段差部)に突き当たっている。なお、この例では、第1コイルバネ46と伝導部材47とが、レーザ溶接によって接合され、一体化している。以上の手順により、第1コイルバネ46は、後端電極部材44と伝導部材47とに挟まれることで、中心線方向に圧縮された状態となっている。一方、伝導部材47のうちの中間棒状部472および後端棒状部473は、後端絶縁部材45の後端側に飛び出している。また、先端棒状部471の外径は、第1コイルバネ46の内径よりも小さくなっており、中間棒状部472の外径は、第1コイルバネ46の内径よりも大きくなっている。
保持部材48は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。保持部材48は、絶縁性を有するPPS(Polyphenylenesulfide:ポリフェニレンサルファイド)あるいはPPT(Polypropylene Terephthalate:ポリプロピレンテレフタレート)等の合成樹脂材料によって構成されている。保持部材48は、最も先端側に位置する先端部と、先端部の後端側に位置する中間部と、中間部の後端側に位置する後端部とを有している。保持部材48では、先端部、中間部および後端部の順で、外径が大きくなっている。保持部材48は、先端外部筐体31の内側と中間外部筐体33の内側とに跨がって配置されている。そして、保持部材48の内部には、上記伝導部材47が収容され、保持されている。より具体的に説明すると、保持部材48は、伝導部材47の後端側すなわち後端棒状部473の後端側を内部に収容している。以上の手順により、伝導部材47のうち、先端棒状部471および中間棒状部472と、後端棒状部473の先端側とが、保持部材48の先端側に飛び出している。一方、保持部材48の後端には、後端側から先端側に向かう凹部が形成されている。また、保持部材48に設けられた孔の内径は、伝導部材47における後端棒状部473の外径よりもわずかに大きくなっており、伝導部材47と保持部材48とは、圧入(すきまばめ)により一体化している。
加圧部材49は、中空構造(貫通孔)を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。加圧部材49は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。このような金属材料としては、例えば析出硬化系のステンレス鋼として知られるSUS630や、例えばオーステナイト系の耐熱鋼(耐熱合金)として知られるSUH660を例示することができる。ただし、要求される特性を満たすものであれば、これ以外の各種金属または各種合金(各種ステンレス鋼、各種耐熱鋼あるいは各種耐熱合金等)を採用することができる。なお、この例では、加圧部材49を、ダイアフラムヘッド32と同じ材料(例えばSUS630)で構成している。加圧部材49は、先端外部筐体31の内側であって、第1内部筐体35の内側と第2内部筐体36の内側とに跨がって配置されている。
絶縁チューブ50は、中心線方向に沿って2つの開口部が設けられることによる中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。また、本実施の形態の絶縁チューブ50は、絶縁性を有する材料によって構成されている。そして、本実施の形態の絶縁チューブ50は、先端側から順に、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材44および後端絶縁部材45を、自身の内側に収容し且つ接触しながら固定することで、自身とともにこれらを一体化(モジュール化)する機能を有している。なお、以下の説明においては、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材44および後端絶縁部材45と、絶縁チューブ50とを、まとめて「圧電モジュール400」と称することがある。
第1絶縁部材51は、全体として環状を呈する部材である。第1絶縁部材51は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。第1絶縁部材51は、先端外部筐体31の内側であって、第1内部筐体35の内側且つ加圧部材49の外側に配置されている。そして、第1絶縁部材51における先端側の面が、第1内部筐体35における第1内側段差部354の後端側の面と接触し、第1絶縁部材51における後端側の面が、加圧部材49における第2段差部496の先端側の面と接触するようになっている。第1絶縁部材51の外径は、第1内部筐体35の第1内側段差部354よりも後端側の内径と比べて小さくなっている。また、第1絶縁部材51の内径は、加圧部材49における第2筒状部492の外径よりも大きくなっている。なお、この例では、第1絶縁部材51を、後端絶縁部材45と同じ材料(例えばアルミナセラミックス)で構成している。
第2絶縁部材52は、全体として環状を呈する部材である。第2絶縁部材52は、上記第1絶縁部材51と同様に、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。第2絶縁部材52は、先端外部筐体31の内側であって、第1内部筐体35の内側且つ加圧部材49の外側に配置されている。また、第2絶縁部材52は、第1絶縁部材51の後端側に配置される。そして、第2絶縁部材52における先端側の面が、加圧部材49における第3段差部497の後端側の面と接触し、第2絶縁部材52における後端側の面が、第2内部筐体36における第2先端筒状部361の先端側の面と接触するようになっている。第2絶縁部材52の外径は、第1内部筐体35の第1内側段差部354よりも後端側の内径と比べて小さくなっている。また、第2絶縁部材52の内径は、加圧部材49における第4筒状部494の外径よりも大きくなっている。なお、本実施の形態では、第2絶縁部材52として、上記第1絶縁部材51と同一寸法のものを用いている。また、この例では、第2絶縁部材52を、第1絶縁部材51と同じ材料(例えばアルミナセラミックス)で構成している。
突当部材の一例としての支持部材53は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。支持部材53は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。このような金属材料としては、例えば析出硬化系のステンレス鋼として知られるSUS630や、例えばオーステナイト系の耐熱鋼(耐熱合金)として知られるSUH660を例示することができる。ただし、要求される特性を満たすものであれば、これ以外の各種金属または各種合金(各種ステンレス鋼、各種耐熱鋼あるいは各種耐熱合金等)を採用することができる。なお、この例では、支持部材53を、加圧部材49と同じ材料(例えばSUS630)で構成している。支持部材53は、先端外部筐体31の内側であって、その先端側が加圧部材49の内側に配置されている。ただし、支持部材53の後端側は、加圧部材49の後端から飛び出した状態となっている。そして、支持部材53の先端側の面が、後端絶縁部材45の後端側の面と接触するようになっている。また、支持部材53と加圧部材49との境界部には、外周面の一周にわたってレーザ溶接が施されている(詳細には、後述する第3溶接部W3(図22参照))。このレーザ溶接は、例えば支持部材53と加圧部材49との境界部における外周面の一周にわたって、所定間隔をもった複数個のレーザスポットを形成したスポット溶接により行うことができる。なお、スポット溶接ではなく、外周面の一周にわたるシーム溶接により行ってもよい。支持部材53の内部には、第1コイルバネ46の後端側と、伝導部材47および保持部材48の各先端側とが収容されている。支持部材53の外径は、加圧部材49に設けられた貫通孔の内径よりもわずかに小さい。また、支持部材53に設けられた貫通孔の内径は、保持部材48における先端部の外径よりもわずかに大きい。
第2コイルバネ54は、全体として螺旋状を呈する部材であって、中心線方向に伸縮するようになっている。第2コイルバネ54は、導電性を有するとともに耐熱性が高いリン青銅等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。なお、この例では、第2コイルばね54を、第1コイルばね46と同じ材料(例えばリン青銅)で構成している。第2コイルバネ54は、先端外部筐体31の内側に配置されている。より具体的に説明すると、第2コイルバネ54の先端側は、支持部材53の後端側且つ外周面の外側に配置されており、その先端が、加圧部材49における第4筒状部494の後端側の面と接触するようになっている。第2コイルバネ54の内側には、伝導部材47、保持部材48および支持部材53と、第1収容部材55の先端側とが配置されている。第2コイルバネ54の外径は、先端外部筐体31の内径よりも小さくなっている。また、第2コイルバネ54の内径は、支持部材53の外径よりも大きくなっている。
図6(a)は、圧力検出装置20に設けられた第1収容部材55の斜視図を示している。図6(a)では、図中左下側が先端側であり、図中右上側が後端側である。ここでは、図2乃至図5に加えて図6(a)も参照しながら、第1収容部材55に関する説明を行う。
図6(b)は、圧力検出装置20に設けられた第2収容部材56の斜視図を示している。図6(b)では、図中左下側が先端側であり、図中右上側が後端側である。ここでは、図2乃至図5に加えて図6(b)も参照しながら、第2収容部材56に関する説明を行う。
回路内蔵部材57は、特に図3に示すように、圧電素子41が出力する微弱な電荷による電気信号に、電子回路を用いた各種処理を施す回路基板91と、回路基板91を内部に収容することで回路基板91を封止する封止部92とを備えている。回路内蔵部材57は、中間外部筐体33の内側であって、後端側の一部を除くほぼ全域が、第2収容部材56の内側に配置されている。特に、回路基板91は、その全域が第2収容部材56の内側に配置されている。また、回路内蔵部材57の先端側は、保持部材48の後端側に設けられた凹部にはめ込まれるようになっている。そして、回路内蔵部材57の先端側に設けられた金属板(後述する入力信号板93:図7参照)が、伝導部材47の後端側と接触するようになっている。また、回路内蔵部材57の外周面に設けられた金属板(後述する入力接地板94:図7参照)が、第2収容部材56の内周面と接触するようになっている。なお、回路内蔵部材57の詳細については後述する。
接続部材58は、全体として柱状を呈する部材である。接続部材58は、絶縁性を有するPPSあるいはPPT等の合成樹脂材料によって構成された基材と、導電性を有する銅等の金属材料で構成された配線および端子等を含んでいる。接続部材58は、中間外部筐体33の内側と後端外部筐体34の内側とに跨がって配置されている。なお、接続部材58のうち、中間外部筐体33あるいは後端外部筐体34と対峙する部位(外周面)は、合成樹脂材料で構成されており、この部位に金属材料を露出させないようにしている。接続部材58の先端側には、回路内蔵部材57の後端側が対峙しており、回路内蔵部材57に設けられた金属板(後述する受電板95、出力信号板96および出力接地板97:図7参照)が、接続部材58に設けられた端子にはめ込まれるようになっている。また、接続部材58の後端側には、接続ケーブル80を構成する電源線81、信号線82および接地線83(これらの詳細は後述する)の先端側に露出するそれぞれの導体部が挿入されている。接続部材58の外径は、中間外部筐体33の後端側の内径よりもわずかに大きくなっており、中間外部筐体33と接続部材58とは、圧入(しまりばめ)により一体化している。
閉塞部材59は、全体として柱状を呈する部材である。ただし、閉塞部材59には、中心線方向に沿って3つの貫通孔が形成されている。閉塞部材59は、絶縁性を有するゴム材料で構成されている。閉塞部材59は、その先端側が後端外部筐体34の内側に配置され、その後端側が後端外部筐体34の後端よりも外側に飛び出している。閉塞部材59の先端側は、接続部材58の後端側と対峙している。また、閉塞部材59に設けられた3つの貫通孔には、上述した電源線81、信号線82および接地線83が挿入されている。閉塞部材59の外径は、後端外部筐体34の後端側の内径よりもわずかに大きくなっており、後端外部筐体34と閉塞部材59とは、圧入(しまりばめ)により一体化している。
第3絶縁部材60は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。ただし、第3絶縁部材60は、先端側に設けられた円筒状の部位と、後端側に設けられた円環状部の部位とを一体化した構造を有している。第3絶縁部材60は、絶縁性を有するPPS等の合成樹脂材料によって構成されている。第3絶縁部材60は、先端外部筐体31の内側と中間外部筐体33の内側とに跨がって配置されている。より具体的に説明すると、第3絶縁部材60の先端側は、先端外部筐体31の内側に配置されており、第3絶縁部材60の後端側は、中間外部筐体33の内側に配置されている。そして、第3絶縁部材60における円筒状の部位の外周面は、先端外部筐体31における後端側の内周面と対峙している。また、第3絶縁部材60における円環状の部位の先端側の面は、先端外部筐体31の後端側の面と接触するようになっている。一方、第3絶縁部材60における円筒状部の部位の内周面は、第1収容部材55における第1後端部553の外周面と、第2収容部材56における第2中間部562の外周面とに対峙している。また、第3絶縁部材60における円環状の部位の後端側の面は、第2収容部材56における第2後端段差部565の先端側の面と接触するようになっている。第3絶縁部材60における円筒状の部位の外径は、先端外部筐体31における後端側の内径よりも小さくなっている。また、第3絶縁部材60における円環状の部位の外径は、中間外部筐体33の先端側の内径よりも小さくなっている。一方、第3絶縁部材60における円筒状の部位の内径は、第1収容部材55における第1後端部553の外径および第2収容部材56における第2中間部562の外径よりも大きくなっている。また、第3絶縁部材60における円環状の部位の内径は、第2収容部材56における第2中間部562の外径よりも大きくなっている。
シール部70は、特に図2および図3に示すように、相対的に先端側に位置する第1シール部材71と、相対的に後端側に位置する第2シール部材72とを備えている。
第1シール部材71は、全体として環状を呈する部材であり、この例では、断面が四角形状を呈する角リングで構成されている。第1シール部材71は、耐熱性および耐酸性が高い、表面に錫めっきを施した銅材によって構成されている。そして、第1シール部材71は、筐体部30を構成する先端外部筐体31の外周面に取り付けられている。
第2シール部材72は、全体として環状を呈する部材であり、この例では、断面が円形状を呈するOリングで構成されている。第2シール部材72は、機械的な復元性が高いフッ素ゴム等の合成ゴム材料によって構成されている。そして、第2シール部材72は、筐体部30を構成する後端外部筐体34の外周面に取り付けられている。この第2シール部材72は、内燃機関10の外部から水等が侵入することを防止するシール部材の役割を持つとともに、内燃機関10の動作時や取付環境の振動等に伴って圧力検出装置20が振動し、シリンダヘッド13における連通孔13aの内面に衝突するのを防止する防振部材としての役割も持つ。そのため、第2シール部材72には、機械的な復元性が高い材料の中でも特に、復元性の耐熱特性が高く、振動抑制の機能が長寿命であるフッ素ゴム材料が適している。
接続ケーブル80は、特に図2および図3に示すように、撚り合わせられた電源線81、信号線82および接地線83と、これら電源線81、信号線82および接地線83の外周を覆う被覆部材(図示せず)とを備えている。ここで、電源線81、信号線82および接地線83は、それぞれ、錫メッキ軟銅撚り線で構成された導体部と、電子線等を用いて架橋構造を強化してなるポリエチレン(架橋ポリエチレン)等で構成されるとともに導体部の外周を被覆して絶縁する絶縁部とを有している。また、被覆部材は、絶縁性を有するゴム材料または樹脂材料で構成されている。なお、接続ケーブル80には、必要に応じて、電源線81、信号線82および接地線83を遮へいする遮へい体を設けてもかまわない。
次に、上述した回路内蔵部材57の詳細について説明を行う。
図7は、圧力検出装置20に設けられた回路内蔵部材57の斜視図である。なお、図7では、図中左下側が先端側であり、図中右上側が後端側である。
図8は、回路内蔵部材57に設けられた回路基板91の概略構成図である。ただし、図8は、回路基板91と、入力信号板93、入力接地板94、受電板95、出力信号板96および出力接地板97との接続関係も、併せて示している。以下では、図7および図8を参照しながら、回路基板91の説明を行う。
今度は、図7を参照しつつ、封止部92の説明を行う。
封止部92は、全体として柱状を呈する部材である。封止部92は、絶縁性を有するエポキシ等の合成樹脂材料によって構成されている。封止部92は、最も先端側に位置する小径部921と、小径部921の後端側に位置する中径部922と、中径部922の後端側に位置する大径部923とを備えている。封止部92では、小径部921、中径部922および大径部923の順で、外径が大きくなっている。また、小径部921、中径部922および大径部923は、それぞれ、多角形状(例えば八角形)の断面形状を有している。ここで、本実施の形態では、封止部92における中径部922の内部に、回路基板91が収容されている。
入力信号板93は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。入力信号板93は、導電性および弾性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。入力信号板93は、封止部92における小径部921の先端側の面から、先端側に突出して配置されている。ただし、入力信号板93の後端側は、封止部92の内部に配置され、封止部92を用いて固定されている。そして、入力信号板93の先端側は、図7において上方を向くように折り曲げられている。この入力信号板93は、伝導部材47の後端側と接触するようになっている。
入力接地板94は、全体として板状(F字状)を呈する部材である。入力接地板94も、導電性および弾性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。入力接地板94は、封止部92における中径部922の外周面から外側に突出し、且つ、この外周面に沿って折り曲げられることによって構成されている。ただし、入力接地板94の一端側は、封止部92の内部に配置され、封止部92を用いて固定されている。この入力接地板94は、第2収容部材56の内周面と接触するようになっている。
受電板95は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。受電板95も、導電性および弾性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。受電板95は、封止部92における大径部923の後端側の面から、後端側に突出して配置されている。ただし、受電板95の先端側は、封止部92の内部に配置され、封止部92を用いて固定されている。そして、受電板95の後端側は、図7において上方を向くように折り曲げられている。受電板95は、接続部材58を介して電源線81と接続されるようになっている。
出力信号板96は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。出力信号板96も、導電性および弾性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。出力信号板96は、封止部92における大径部923の後端側の面から、後端側に突出して配置されている。ただし、出力信号板96の先端側は、封止部92の内部に配置され、封止部92を用いて固定されている。また、出力信号板96は、受電板95に隣接して配置されている。そして、出力信号板96の後端側は、図7において下方を向くように折り曲げられている。出力信号板96は、接続部材58を介して信号線82と接続されるようになっている。
出力接地板97は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。出力接地板97も、導電性および弾性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。出力接地板97は、封止部92における大径部923の後端側の面から、後端側に突出して配置されている。ただし、出力接地板97の先端側は、封止部92の内部に配置され、封止部92を用いて固定されている。また、出力接地板97は、出力信号板96に隣接して配置されている。そして、出力接地板97の後端側は、図7において上方を向くように折り曲げられている。出力接地板97は、接続部材58を介して接地線83と接続されるようになっている。
次に、上述した圧電モジュール400の詳細について、説明を行う。
図9(a)は、圧力検出装置20に設けられた圧電モジュール400の上面図を示しており、図9(b)は、図9(a)のIXB-IXB断面図(圧電モジュール400の縦断面図)を示している。ここで、図9(b)では、図中における上下方向が中心線方向となっており、図中上側が先端側となっている。
ここで、圧力検出装置20における電気的な接続構造について説明を行う。
(正の経路)
圧力検出装置20において、圧電素子41の後端側の端面(正極)は、後端電極部材44、第1コイルバネ46および伝導部材47と電気的に接続される。また、伝導部材47は、回路内蔵部材57に設けられた入力信号板93と電気的に接続される。そして、入力信号板93は、同じ回路内蔵部材57に設けられた回路基板91の入力信号端子91aと電気的に接続される。以下では、圧電素子41の後端側の面から、後端電極部材44、第1コイルバネ46、伝導部材47および入力信号板93を介して、回路基板91の入力信号端子91aに至る電気的な経路を、『正の経路』と称する。
一方、圧力検出装置20において、圧電素子41の先端側の端面(負極)は、先端電極部材42、加圧部材49および支持部材53と電気的に接続される。また、加圧部材49は、第2コイルバネ54、第1収容部材55、第2収容部材56および回路内蔵部材57に設けられた入力接地板94と電気的に接続される。そして、入力接地板94は、同じ回路内蔵部材57に設けられた回路基板91の入力接地端子91bと電気的に接続される。以下では、圧電素子41の先端側の面から、先端電極部材42、加圧部材49、支持部材53、第2コイルバネ54、第1収容部材55、第2収容部材56および入力接地板94を介して、回路基板91の入力接地端子91bに至る電気的な経路を、『負の経路』と称する。
他方、圧力検出装置20において、ダイアフラムヘッド32は、先端外部筐体31、中間外部筐体33および後端外部筐体34と電気的に接続される。また、ダイアフラムヘッド32は、第1内部筐体35および第2内部筐体36と電気的に接続される。以下では、第2内部筐体36から、第1内部筐体35、ダイアフラムヘッド32、先端外部筐体31、中間外部筐体33および後端外部筐体34に至る電気的な経路を、『筐体経路』と称する。なお、圧力検出装置20を、図1に示す内燃機関10のシリンダヘッド13に取り付けた場合、例えば先端外部筐体31が、連通孔13aの内周面に接触する。このとき、シリンダヘッド13(およびシリンダブロック11)と筐体経路とは、略同電位となる。
ここで、本実施の形態の圧力検出装置20では、正の経路の外側に負の経路が存在している。換言すれば、負の経路の内部に正の経路が収容されている。そして、正の経路と負の経路とは、後端絶縁部材45、保持部材48、絶縁チューブ50および両経路の間に形成されるエアギャップによって、電気的に絶縁されている。
また、圧力検出装置20では、負の経路の外側に筐体経路が存在している。換言すれば、筐体経路の内部に負の経路が収容されている。そして、負の経路と筐体経路とは、先端絶縁部材43、第1絶縁部材51、第2絶縁部材52、第3絶縁部材60および両経路の間に形成されるエアギャップによって、電気的に絶縁されている。
さらに、圧力検出装置20では、結果として、正の経路の外側に筐体経路が存在している。換言すれば、筐体経路の内部に正の経路が収容されている。そして、上述したように、正の経路と負の経路とが電気的に絶縁され、且つ、負の経路と筐体経路とが電気的に絶縁されることにより、筐体経路と正の経路とが、電気的に絶縁されていることになる。
では、圧力検出装置20による圧力検出動作について説明を行う。
内燃機関10が動作しているとき、ダイアフラムヘッド32の圧力受面32aに、燃焼室C内で発生した圧力(燃焼圧)が付与される。ダイアフラムヘッド32では、圧力受面32aが受けた圧力が裏側の裏面中央凸部32dに伝達され、さらに裏面中央凸部32dから先端絶縁部材43を介して先端電極部材42へと伝達される。そして、先端電極部材42に伝達された圧力は、先端電極部材42と後端電極部材44とに挟まれた圧電素子41に作用し、圧電素子41では、受けた圧力に応じた電荷が生じる。圧電素子41に生じた電荷は、正の経路および負の経路を介して、回路基板91の入力信号端子91aおよび入力接地端子91bに電荷信号として供給される。回路基板91に供給された電荷信号は、回路基板91に実装された処理回路912にて各種処理が施されることで出力信号とされる。そして、回路基板91の出力信号端子91dから出力された出力信号は、接続部材58および接続ケーブル80を介して、制御装置100に送信される。
図10は、本実施の形態の圧力検出装置20(実際には、圧力検出装置20および接続ケーブル80を一体化してなる接続体)の製造手順を説明するための図である。以下では、図10に加え、上述した図2乃至図9も参照しながら、上記接続体の製造手順について説明を行う。
最初に、ダイアフラムヘッド32の裏面すなわち後端側と、第1内部筐体35の先端側とを対峙させる。続いて、ダイアフラムヘッド32における裏面環状凸部32fの後端側の面に、第1内部筐体35における第1外側段差部353の先端側の面を突き当てる。これに伴い、第1内部筐体35の第1先端筒状部351は、ダイアフラムヘッド32の裏面環状凹部32c内に配置される。そして、この状態で、ダイアフラムヘッド32と第1内部筐体35との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行う(第1溶接部W1を形成する)ことで、第1構造体が得られる。
次に、第1構造体の第1内部筐体35に、後端側から、第1絶縁部材51を挿入する。このとき、第1絶縁部材51の先端側の面が、第1内部筐体35における第1内側段差部354の後端側の面に突き当たる。これにより、第1絶縁部材51の外周面は、第1内部筐体35における後端側の内周面と対峙する。
また、上述した第1構造体および第2構造体の組立とは別工程にて、絶縁チューブ50に、後端側から、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材44および後端絶縁部材45をこの順で挿入し、その後絶縁チューブ50を熱収縮させることで、第3構造体(圧電モジュール400)を得る(図9参照)。
次に、上述した第2構造体の加圧部材49に、後端側から、先端絶縁部材43を挿入する。このとき、先端絶縁部材43における先端側の面が、ダイアフラムヘッド32における裏面中央凸部32dの後端側の面に突き当たる。
また、上述した第1構造体乃至第4構造体の組立とは別工程にて、先端外部筐体31に、後端側から、第3絶縁部材60を挿入する。このとき、第3絶縁部材60の後端側に設けられた円環状部の部位の先端側の面が、先端外部筐体31の後端側の面に突き当たる。これにより、第3絶縁部材60の先端側に設けられた円筒状の部位の外周面は、先端外部筐体31の内周面と対峙する。以上の手順により、先端外部筐体31と第3絶縁部材60とを有する第5構造体が得られる。
さらに、上述した第5構造体の組立とは別工程にて、第1先端部551を先端側とする第1収容部材55に、後端側から、第2先端部561を先端側として第2収容部材56を挿入する。このとき、第2収容部材56の先端側に位置する第2先端部561は、第1収容部材55の後端側に設けられた第1後端部553の内部にはまり込む。そして、この状態で、第1収容部材55と第2収容部材56との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行う。
次に、上述した第5構造体の先端外部筐体31に、後端側から、第2コイルバネ54を先端側として第6構造体を挿入(圧入)する。このとき、第2収容部材56における第2後端段差部565の先端側の面が、第3絶縁部材60における円環状の部位の後端側の面に突き当たる。また、このとき、第2収容部材56における第2中間部562の外周面が、第3絶縁部材60における円筒状部の部位の内周面と対峙する。以上の手順により、第5構造体と第6構造体とを有する第7構造体が得られる。
次に、上述した第4構造体に対し、後端側から、先端外部筐体31を先端側として第7構造体を挿入する。このとき、先端外部筐体31における先端側の面が、ダイアフラムヘッド32における裏面環状平坦部32eの後端側の面に突き当たる。また、このとき、第4構造体におけるダイアフラムヘッド32以外の各構成要素は、先端外部筐体31の内部に収容される。また、このとき、第4構造体に設けられた加圧部材49の後端側の面に、第7構造体に設けられた第2コイルバネ54の先端側が突き当たる。これに伴い、第2コイルバネ54は、中心線方向に圧縮される。さらに、このとき、第4構造体における第1内部筐体35および第2内部筐体36の外周面は、エアギャップを介して、先端外部筐体31の内周面と対峙する。さらにまた、このとき、ダイアフラムヘッド32は、圧力受面32aおよび表面中央凹部32bを外側に向けた状態で、先端外部筐体31とともに外部に露出する。そして、この状態で、先端外部筐体31とダイアフラムヘッド32との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、第8構造体が得られる。
また、上述した第1構造体乃至第8構造体の組立とは別工程にて、保持部材48内に、後端側から、先端棒状部471を先端側として伝導部材47を挿入(圧入)する。このとき、伝導部材47における先端棒状部471および中間棒状部472と、後端棒状部473の先端側とが、保持部材48の先端側に飛び出すようにする。これにより、伝導部材47における後端棒状部473の後端側は、保持部材48の内周面と対峙する。
さらに、上述した第9構造体の組立とは別工程にて、回路基板91と、入力信号板93、入力接地板94、受電板95、出力信号板96および出力接地板97(図10には、「各種板93~97」と記載)とを、封止部92を用いて封止(ここではトランスファモールド)することで、第10構造体(回路内蔵部材57)を得る。
次に、上述した第9構造体の保持部材48の後端側に設けられた凹部に対し、後端側から、第10構造体(回路内蔵部材57)をはめ込むことで、第11構造体が得られる。このとき、伝導部材47における後端棒状部473の後端には、回路内蔵部材57の先端側に設けられた入力信号板93が接触し且つ接続される。
次に、上述した第8構造体の支持部材53に対し、後端側から、第1コイルバネ46を先端側として第11構造体を挿入する。このとき、第1コイルバネ46の先端は、後端絶縁部材45に設けられた貫通孔を介して、後端電極部材44における後端側の面に突き当たる。これに伴い、第1コイルバネ46は中心線方向に圧縮される。また、このとき、伝導部材47および保持部材48の先端側は、支持部材53の内部に収容され、これらの後端側は、第1収容部材55および第2収容部材56の内部に収容される。さらに、このとき、第10構造体(回路内蔵部材57)は、第2収容部材56の内部に収容され、第10構造体(回路内蔵部材57)の外周面に設けられた入力接地板94は、第2収容部材56の内周面に対峙し且つ接触する。ここで、本実施の形態では、第8構造体に第11構造体を挿入した状態で、第2収容部材56に設けられた丸穴566に、第10構造体(回路内蔵部材57)に設けられた入力接地板94を対峙させるようにする。換言すれば、外側からみたときに、第2収容部材56に設けられた丸穴566に第10構造体(回路内蔵部材57)に設けられた入力接地板94が見える状態とする。そして、この状態で、丸穴566の形成部位にて、丸穴566を介して、第2収容部材56の第2後端部563(より具体的には、丸穴566の内周面)と、入力接地板94とをはんだ付けすることで、第12構造体が得られる。
次に、第12構造体に、後端側から、接続部材58を挿入する。このとき、接続部材58には、第10構造体(回路内蔵部材57)の後端側に設けられた受電板95、出力信号板96および出力接地板97が接触し且つ接続される。
また、上述した第1構造体乃至第13構造体の組立とは別工程にて、中間外部筐体33に、後端側から、後端外部筐体34を挿入する。このとき、中間外部筐体33の後端側と後端外部筐体34の先端側とが、はめ合うようにする。そして、この状態で、中間外部筐体33と後端外部筐体34との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、第14構造体が得られる。
次に、上述した第13構造体に、後端側から、第14構造体を挿入する。このとき、先端外部筐体31の後端側と中間外部筐体33の先端側とが、はめ合うようにする。また、このとき、第14構造体の内部に、電源線81、信号線82および接地線83を貫通させるようにする。
次に、第15構造体に、先端側から、第2シール部材72を挿入する。このとき、第2シール部材72は、後端外部筐体34の外周面に設けられた段差部に突き当たって位置決めされる。
続いて、第2シール部材72が取り付けられた第15構造体に、先端側から、第1シール部材71を挿入する。このとき、第1シール部材71は、先端外部筐体31の外周面に設けられた段差部に突き当たって位置決めされる。以上の手順により、第15構造体とシール部70(第1シール部材71および第2シール部材72)とを有する第16構造体(圧力検出装置20および接続ケーブル80の接続体)が得られる。
では次に、上述した圧力検出装置20の製造手順のうちの第2構造体の製造手順について、より具体的な説明を行う。
図11は、第2構造体の製造に用いられる、セッチング装置600の概略構成を説明するための図である。なお、本実施の形態では、図11に示すセッチング装置600が、第2構造体を構成するダイアフラムヘッド32および加圧部材49の両者に対するセッチングを行う。そして、第2構造体における第1内部筐体35および第2内部筐体36の溶接は、セッチング装置600とは異なる装置(図示しないレーザ溶接装置)を用いて行われる。
図13は、第2構造体の製造手順を示すフローチャートである。なお、この例では、第1構造体(ダイアフラムヘッド32および第1内部筐体35)、加圧部材49、第1絶縁部材51、第2絶縁部材52および第2内部筐体36を含む第2構造体を製造するに際して、後に第4構造体を構成する先端絶縁部材43を、製造用の部品として利用している。
まず、第2構造体の基本となる第1構造体は、図14に示すように、相対的に先端側(図中では下側)に位置するダイアフラムヘッド32と、相対的に後端側(図中では上側)に位置する第1内部筐体35と、これらダイアフラムヘッド32と第1内部筐体35とを、外周面の一周にわたって溶接(レーザ溶接)してなる第1溶接部W1とを有している。
次に、ステップ10で得られた仮組立体を、セッチング装置600の台座610の上に設置する設置工程を実行する(ステップ20、図16参照)。
続いて、台座610の上に設置された上記仮組立体に対し、ピストン620を挿入する挿入工程を実行する(ステップ30、図17参照)。
次いで、台座610とピストン620とを用いて、上記仮組立体を加圧する加圧工程を実行する(ステップ40、図18参照)。
次に、台座610上に設置された仮組立体(加圧部材49およびダイアフラムヘッド32の両者がセッチングされたもの)から、ピストン620を引き抜く引抜工程を実行する(ステップ50、図19参照)。
続いて、セッチング装置600から集合体を取り外す取外工程を実行する(ステップ60)。
最後に、セッチング装置600から取り外された仮組立体(加圧部材49およびダイアフラムヘッド32の両者がセッチングされたもの)に対し、溶接を行うことで第2構造体を得る溶接工程を実行する(ステップ70、図20参照)。
では、上述した第2構造体(図20参照)と、上述した第3構造体(圧電モジュール400:図9参照)とを含む、第4構造体について説明を行う。
この第4構造体は、第2構造体と、第2構造体の後端側から第2構造体の内部に挿入されてなる先端絶縁部材43と、第2構造体の後端側から第2構造体の内部且つ先端絶縁部材43の後端側に挿入されてなる第3構造体(圧電モジュール400)と、第2構造体の後端側から第2構造体の内部且つ第3構造体の後端側に挿入されてなる支持部材53とを備えている。また、第4構造体は、支持部材53と、第2構造体を構成する加圧部材49とが、外周面の一周にわたってレーザ溶接されることで形成された第3溶接部W3により一体化している。
ここで、加圧部材49およびダイアフラムヘッド32のセッチングについて、具体例を挙げて説明を行っておく。
図22(a)は、本実施の形態で用いた加圧部材49を単体でセッチングしたときの、加圧部材49の変位量とかかる荷重との関係を示すグラフ図である。図22(a)において、横軸は加圧部材49の中心線方向の変位量(μm)であり、縦軸は加圧部材49にかかる荷重(N)である。また、図22(a)には、加圧部材49のセッチング前の特性とセッチング後の特性とを併せて示している。
図22(b)は、本実施の形態で用いたダイアフラムヘッド32を単体でセッチングしたときの、ダイアフラムヘッド32の変位量とかかる荷重との関係を示すグラフ図である。図22(b)において、横軸はダイアフラムヘッド32の中心線方向の変位量(μm)であり、縦軸はダイアフラムヘッド32にかかる荷重(N)である。また、図22(b)には、ダイアフラムヘッド32のセッチング前の特性とセッチング後の特性とを併せて示している。
図23は、加圧部材49およびダイアフラムヘッド32の両者をまとめてセッチングしたときの、ダイアフラムヘッド32の変位量とかかる荷重との関係を示すグラフ図である。したがって、図23は、本実施の形態で採用した手法を用いてセッチングを行った場合に対応している。図23において、横軸はダイアフラムヘッド32の中心線方向の変位量(μm)であり、縦軸はダイアフラムヘッド32にかかる荷重(N)である。
なお、本実施の形態では、セッチング装置600ではダイアフラムヘッド32および加圧部材49の両者のそれぞれに対するセッチングのみを行い、第1内部筐体35および第2内部筐体36の溶接(第2溶接部W2の形成)は別のレーザ溶接装置で行うようにしていたが、これに限られるものではない。例えば、セッチング装置600にレーザ溶接ヘッド(図示せず)を設け、ダイアフラムヘッド32および加圧部材49のセッチングと、第1内部筐体35および第2内部筐体36の溶接とを連続的に行ってもかまわない。
Claims (9)
- 一端側から他端側に向かう軸方向に沿って延びる加圧部材に対し、当該加圧部材を伸長させる力を加えることで、当該加圧部材を塑性変形させるセッチングを行うセッチング工程と、
外部から受けた圧力に応じた電気信号を出力する圧電素子を、前記加圧部材を用いて前記一端側と前記他端側とから挟み込むことで、当該圧電素子に予荷重を付与する付与工程と
を含む圧力検出装置の製造方法。 - 前記加圧部材は、前記軸方向に沿って貫通孔が設けられることで筒状を呈しており、
前記付与工程では、前記圧電素子を、前記加圧部材における前記貫通孔の内部に収容した状態で、当該加圧部材を用いて前記一端側と前記他端側とから挟み込むこと
を特徴とする請求項1記載の圧力検出装置の製造方法。 - 前記付与工程では、前記圧電素子の前記一端側を、前記加圧部材の内周面に突き当てるとともに、当該圧電素子の前記他端側を突当部材に突き当てるようにし、
前記付与工程の後に、前記圧電素子に予荷重を付与した状態で前記加圧部材および前記突当部材を固定する固定工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の圧力検出装置の製造方法。 - 前記セッチング工程では、前記加圧部材とともに、当該加圧部材の前記一端側に配置され、前記圧電素子に伝達する圧力を外部から受ける受圧部材をセッチングすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の圧力検出装置の製造方法。
- 前記圧電素子は、無機単結晶からなる圧電体を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の圧力検出装置の製造方法。
- 前記圧電体は、ランガサイト系単結晶であることを特徴とする請求項5記載の圧力検出装置の製造方法。
- 一端側から他端側に向かう軸方向に沿って延びる加圧部材を配置するとともに、当該加圧部材の当該一端側に、外部から圧力を受ける受圧部材を配置する配置工程と、
前記加圧部材および前記受圧部材を、前記他端側から前記一端側に向かって押すことで、当該加圧部材および当該受圧部材の両者をセッチングするダブルセッチング工程と、
外部から受けた圧力に応じた電気信号を出力する圧電素子を、前記加圧部材を用いて前記一端側と前記他端側とから挟み込むことで、当該圧電素子に予荷重を付与するとともに、前記受圧部材と当該圧電素子とを、直接または他の部材を介して間接的に接触させることで、当該圧電素子を位置決めする位置決め工程と
を含む圧力検出装置の製造方法。 - 前記ダブルセッチング工程では、先に前記加圧部材をセッチングし、当該加圧部材に続いて前記受圧部材をセッチングすることを特徴とする請求項7記載の圧力検出装置の製造方法。
- 前記加圧部材および前記受圧部材が、同じ材料で構成されていることを特徴とする請求項7または8記載の圧力検出装置の製造方法。
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