JP6066767B2 - 内燃機関用燃焼圧センサ及びその製造方法。 - Google Patents
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そこで本発明の目的は、上記問題点を解決しようとするものであり、圧電素子に高精度の予荷重を加え、感度のバラツキが小さく、高精度の圧力信号を安定的に得られる内燃機関用燃焼圧センサ及びその製造方法を提供することである。
ハウジングと、前記ハウジングの前方に設けられ、前面が受圧面となる受圧部と、前記ハウジング内に配置され前記受圧部からの圧力を検出する圧電素子と、前記ハウジングの後方に設けられ、前記圧電素子を支持する支持部とを備え、前記受圧部と前記支持部とにより前記圧電素子に対して予荷重を加えた燃焼圧センサの製造方法において、前記受圧面にセッチング処理を行うセッチング処理工程を有することを特徴とする。また、前記支持部は、前記ハウジングに対し燃焼圧の圧力軸方向にスライド可能なスライド可能領域を有し、前記支持部を圧力軸方向にスライドさせることにより前記圧電素子に加える予荷重を調整する予荷重調整工程と、前記予荷重の調整後に前記ハウジングに前記支持部を固定する固定工程と、を有してもよい。また、前記ハウジングは燃焼圧センサの外周面を構成する外筒部、及び内周面を構成する内筒部からなるハウジングユニットであり、前記受圧部は前面が受圧面となる環状の受圧リングブロック部であり、前記支持部は環状の支持リングブロック部であってもよい。
ハウジングと、前記ハウジングの前方に設けられ、前面が受圧面となる受圧部と、前記ハウジング内に配置され前記受圧部からの圧力を検出する圧電素子と、前記ハウジングの後方に設けられ、前記圧電素子を支持する支持部とを備え、前記受圧部と前記支持部とにより前記圧電素子に対して予荷重を加えた燃焼圧センサであって、前記受圧部にセッチング処理が施されることにより前記受圧部の弾性域が拡大していることを特徴とする。また、前記支持部は前記ハウジングに対し燃焼圧の圧力軸方向にスライド可能なスライド可能領域を有し、前記支持部を前記スライド可能領域内にて前記ハウジングに固定し前記圧電素子に対して予荷重を加えてもよい。また、前記ハウジングは燃焼圧センサの外周面を構成する外筒部、及び内周面を構成する内筒部からなるハウジングユニットであり、前記受圧部は前面が受圧面となる環状の受圧リングブロック部であり、前記支持部は環状の支持リングブロック部であってもよい。
また、本発明の構成によれば、燃焼圧センサの圧力検出部に予荷重を調整するためのスライド可能領域を設け、そのスライド可能領域内で溶接固定できる構成にしたことにより、予荷重調整と固定を精度よく行えるようになった。また、スライド領域にセッチングが可能な距離を加えることにより、同じ工程内でセッチング処理と予荷重調整ができる。この結果、感度のバラツキが小さく高精度の圧力信号を安定して得られる内燃機関用燃焼圧センサ及び機能部品ユニットを提供するこができる。
まず、本発明の各実施形態の特徴について説明する。
第1の実施形態の特徴は、本発明の基本的な構成及び製造方法の例であり、インジェクタに装着する筒内型の燃焼圧センサにおいて、圧電素子に対して予荷重を加える予荷重手段と固定手段を有しスライド構造により予荷重を調整及び固定できるようにした構成及びその製造方法の例である。第2の実施形態の特徴は、第1実施形態と同じ構成であって、予荷重調整工程にセッチング処理工程を設けた製造方法の例である。第3の実施形態の特徴は、第1実施形態と同じ構成であって、荷重変化工程と圧電検出工程を設けた製造方法の例である。第4の実施形態の特徴は、本発明による燃焼圧センサを点火プラグに適用した構成及び製造方法の例である。
まず、本発明の第1〜第4の実施形態の燃焼圧センサが組み込まれる内燃機関の概略構成を図1、図2を用いて説明する。図1は内燃機関1の概略構成図であり、図2は図1のS部拡大図である。尚、ここでは、第1の実施形態の燃焼圧センサを組み込む例を説明するが、後述する第2及び第3の実施形態の燃焼圧センサも同様に組み込むことができる。また、第4の実施形態は燃焼圧センサを点火プラグに適用した点火プラグユニットの例であるが、シリンダヘッドに装着して燃焼圧を検出する点では同様である。
[燃焼圧センサ及びインジェクタユニットの構成説明:図3〜図6]
第1の実施形態の圧力検出部10、燃焼圧センサ8A及びインジェクタユニット6Aの構成について図3〜図6を用いて説明する。図3は図2における機能部品の一つであるインジェクタ7Aに燃焼圧センサ8Aを装着する構造を示す斜視図である。図4は燃焼圧センサ8Aの分解斜視図であり、図5は燃焼圧センサ8Aをインジェクタ7Aに装着した状態(インジェクタユニット6A)の断面図であり、図6は図5のT部詳細図、U部詳細図及びV−V断面図である。
まず、図3、図4、図5を用いて燃焼圧センサ8Aと、インジェクタ7Aとを好適に装着するための構成について説明する。
次に、圧力検出部10の構成について図4、図5、図6を用いて説明する。図4において、燃焼圧センサ8Aは、圧力を検出する機能を備えた圧力検出部10と、圧力検出部10で検出した圧力を電気信号として外部に伝送する伝送ユニット50とを備える。圧力検出部10は、全体として円筒形状を呈しており、前端面側から後端面側に貫通し、インジェクタ7Aの先端部を収容する開口部10aが設けられている。伝送ユニット50は、中心線方向に沿って延びるとともに、前端面側の端部が圧力検出部10内に収容され、後端面側は伝送電線51としてインジェクタ7Aに設けられた信号線用の導孔を通りインジェクタ7Aの電気コネクタ部70に接続(図2参照)している。
次に、図4、図5を用いて、圧力検出部10の筐体の構成について詳しく説明する。フロント外側筐体11は、円筒状の形状を有しており、その前端面側の端部内側には、受圧リング14の受圧部14aの外側端部をはめ込むための切り欠きが形成されている。フロント内側筐体12は、同様に円筒状の形状を有しており、その外径は、フロント外側筐体11の内径よりも小さい。また、フロント内側筐体12の前端面側の端部外側には、受圧リング14の受圧部14aの内側端部をはめ込むための切り欠きが形成されている。
次に、図4、図5を用いて受圧リング14について説明する。受圧リング14は、同心状に配設したフロント外側筐体11及びフロント内側筐体12によって前端面側に形成されるリング状の空間を塞ぐように設けられる。この受圧リング14は、燃焼室C側に露出することで燃焼室からの燃焼圧を受ける受圧部14aと、受圧部14aの背面側において受圧部14aが受けた圧力を圧力伝達リング15に伝達する伝達部14bとが一体化して構成されている。
次に、図5、図6を用いて圧力伝達リング15について説明する。圧力伝達リング15は、前述したように環状の形状を有する圧力伝達リング本体15aと、圧力伝達リング本体15aにおいて後端面側となる端面に設けられ、圧電素子群16からの電荷信号を出力するための出力電極として機能する出力電極層15bとを備える。そして、出力電極層15bは、圧力伝達リング本体15aにおける後端面側の端面に、一周にわたって形成されている。
次に、図6を用いて圧電素子群16について説明する。図6(a)は、図5のT部拡大図、(b)は図5のU部拡大図であり、(c)は図5のV−V断面図である。図6において、圧電素子群16は、第1圧電素子16〜第6圧電素子16を備える。ここで、第1圧電素子61〜第6圧電素子16は共通の構成を有しており、それぞれが、直方体状に加工された圧電体16aと、圧電体16aにおける前端面側の端面に形成されたフロント側電極16bと、圧電体16aにおける後端面側の端面に形成されたリア側電極16cとを備えている。
次に、図6を用いて伝送ユニット50の構成について説明する。図6(b)において、伝送ユニット50は、圧力検出部10からインジェクタ7Aに向けて電荷信号を伝送する伝送電線51と、伝送電線51よりも前面側に設けられ、圧力検出部10の圧力伝達リング15に設けられた出力電極層15bと電気的に接続される接続端子52と、伝送電線51よりも前端面側で、且つ接続端子52よりも後端面側に設けられ、伝送電線51及び接続端子52を電気的に接続する接続パイプ53とを備えている。また、伝送ユニット50はOリング57a及びOリング57bによって覆われている。Oリング57aは圧力検出部10側で接続端子52側を封止し、Oリング57bはインジェクタ7A側で接続パイプ53及び伝送電線51を封止する。また、伝送電線51の後端面側は、インジェクタ7Aの電気コネクタ部70に接続される。
次に、図6を用いて接続端子52について説明する。図6(b)において接続端子52は耐熱性及び導電性を有する金属製の棒状体で構成されており、前端面側の端部が圧力伝達リング15に設けられた出力電極層15bに接続する突き当て部52aと、突き当て部52aの後側に位置する柱状部52bと、柱状部52bのさらに後側に位置する接続部52cとからなり一体化している。そして、接続端子52の突き当て部52aの外径は、スペーサ群17の一つであるガイド穴付きのスペーサ17(図6(c)参照)の穴の内径よりも小さく、柱状部52bの外径は、突き当て部52aの外径よりも小さく、接続部52cの外径は、柱状部52bの外径よりも小さい。
次に、図6を用いて接続パイプ53について説明する。図6(b)において、接続パイプ53は耐熱性及び導電性を有する金属製の筒状体で構成されており、接続パイプ53に設けられた貫通孔の内径は、伝送電線51における導体部51aの外径及び接続端子52における接続部52cの外径よりも大きい。接続パイプ53には、信号線の導孔の後端面側から伝送電線51の導体部51aの端部が、また、貫通孔13cの前端面側から接続端子52の接続部52cの後側の端部が、それぞれ挿入されている、そして、この状態で、接続パイプ53を外周面側からかしめることで、接続パイプ53が、導体部51aと接続端子52とを、電気的に接続するとともに固定する。
次に、図6を用いて位置決めチューブ55について説明する。図6(b)において、位置決めチューブ55はアルミナセラミック製の筒状体で構成されており、前端面側に位置するフロント側筒状部55aと、フロント側筒状部55aの後側に位置するリア側筒状部55bとを有している。ここで、位置決めチューブ55におけるフロント側筒状部55aの外径は、リア側筒状部55bの外径よりも大きく、内部空間10bにおける径方向の隙間よりも小さい。また、位置決めチューブ55の内径は、接続端子52の柱状部52bの外径よりも大きい。
次に、図6を用いてコイルスプリング56について説明する。図6(b)において、コイルスプリング56は、接続端子52の突き当て部52aの後側端面と、位置決めチューブ55のフロント側筒状部55aの前側端面との間に配設される。ここで、コイルスプリング56は耐熱性を有する金属で構成されており、前端面側の端部が接続端子52における突き当て部52aの後側端面に突き当たり、後端面側の端部が位置決めチューブ55のフロント側筒状部55aの前側の端面に突き当たる。また、コイルスプリング56の内径は、接続端子52における柱状部52bの外径より少し大きい。
次に、図6を用いて封止部57について説明する。図6(b)において、封止部57はリア筐体13の貫通穴13cの後端面側出口に位置するフロント側Oリング57aと、インジェクタ7A側の導孔入口に位置するリア側Oリング57bとを備える。尚、フロント側Oリング57a及びリア側Oリング57bは、ともにPFA(フッ素系樹脂)で構成されている。また、フロント側Oリング57a及びリア側Oリング57bの外径は、リア筐体13に設けられた貫通孔13c、または、インジェクタに設けられた信号線の導孔の内径よりも大きく設定され、フロント側Oリング57a及びリア側Oリング57bの内径は、接続端子52の柱状部52b、または、伝送電線51の樹脂絶縁層51bの外径より小さく設定されている。
次に、図5を用いて本実施形態におけるインジェクタユニット6Aの構成について説明する。図5において、インジェクタ7Aの先端部外周面に燃焼圧センサ8Aを装着した状態を示している。インジェクタ7Aの先端部には段差が設けられていて、その段差部に対して燃焼圧センサ8Aの内周面が嵌合している。また、燃焼圧センサ8Aの圧力検出部10から信号を伝送する伝送ユニット50が後端面に向けて延出していて、インジェクタ7Aに設けられた信号線の導孔内を通過し、インジェクタ7Aの電気コネクタ部70に接続するようになっている。また、このとき、封止部57a、57bにより信号線と導孔とが封止されている。
次に、インジェクタユニット6Aの電気的な構成及び動作について、図1、図2、図5、図6を用いて説明する。まず、図5、図6において、圧電素子群16を構成する第1圧電素子16〜第6圧電素子16に設けられた各圧電体16aの後端面側の端面は、それぞれに設けられたリア側電極16cを介して、リア筐体13に設けられた接地電極層13bと電気的に接続される。これにより、圧電素子群16のリア側電極16cは、リア筐体13を構成するリア筐体本体13aと電気的に接続され接地される。
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、次に示す効果が得られる。
(効果1)
圧力検出部にスライド調整が可能な予荷重手段を設けたので、適正な予荷重に調整し固定することができ、高精度の圧力信号を得られる。これにより、感度のバラツキが小さく、高精度の圧力信号を得られる内燃機関用燃焼圧センサ及びインジェクタユニットを提供できる。
(効果2)
また、固定手段に溶接を用いることにより、ハウジングユニットの外筒部及び内筒部に対して、リア筐体(支持リングブロック部)の位置調整後、その場で溶接固定することができる。これにより、設定した予荷重が変化することがなく、安定的な圧力信号を得られる内燃機関用燃焼圧センサ及びインジェクタユニットを提供できる。
(効果3)
また、機能部品に装着する筒内型センサの構成により、内燃機関の燃焼室内にて直接圧力を検出できるため検出精度が高い。また、シリンダヘッドに燃焼圧センサのための専用スペースを確保する必要がない。また、機能部品の締め付け荷重や締め付け具合によって設定した予荷重が影響されることがなく安定的な圧力検出が可能である。また、圧電素子が円周方向に複数配置されることで、圧力をバランスよく均一に検出できる。この結果、高性能の内燃機関用燃焼圧センサ及びインジェクタユニットを提供するこができる。
[圧力検出部の製造方法の説明:図7〜図9]
次に、圧力検出部10及び燃焼圧センサ8Aの製造方法について図7〜図9を用いて説明する。図7は第1〜第4の実施形態に係わる圧力検出部10の製造手順を示し、図8は圧力検出部10の製造装置の概要を示す斜視図及び断面図を示す。また、図9は受圧リング14の受圧部14aの荷重・変位特性とそれに対応する予荷重調整手順を示す説明図である。
まず、図7(a)を参照して、圧力検出部10の組立手順を説明する。図7(a)において、筐体ユニット40はフロント外側筐体11とフロント内側筐体12及び受圧リング14から構成される。位置決め治具(図示なし)によって、受圧リング14の受圧部14aの外側端部は、フロント外側筐体11の前端面側の端部内側に設けられた切り欠きに嵌め込まれた状態で、一周にわたってレーザ溶接が施され固定される(溶接1)。また、受圧リング14の受圧部14aの内側端部は、フロント内側筐体12の前面側の端部外側に設けられた切り欠きに嵌め込まれた状態で、一周にわたってレーザ溶接が施され固定される(溶接2)。これにより、フロント外側筐体11、フロント内側筐体12、受圧リング14からなる筐体ユニット40が構成される。尚、レーザ溶接では、一周にわたって連続的に溶接を行うことにより溶接部を封止することができる。
次に、図8、図9を参照して予荷重製造装置及び圧力検出部10の予荷重調整の手順を説明する。図8(a)は圧力検出部10に予荷重を加え調整し固定するための予荷重装置の斜視図を示し、図8(b)は図8(a)のP−P断面図及び付属の検出装置を接続した接続構成及び溶接固定用のレーザ溶接機の一部(レーザ光出射部)を示している。また、図9は圧力検出部10の予荷重調整手順を示し、(a)は受圧リング14の受圧部の荷重・変位特性グラフを、(b)は(a)のグラフ上の各点に対応した受圧リング14の受圧部の変位を工程ごとに部分断面図で示している。
まず、図8(a)を用いて予荷重製造装置400の概要及び圧力検出部10を予荷重製造装置400に組み込む手順を説明する。予荷重製造装置400は基本的に、圧力検出部10の位置決めと荷重を受ける機能を有するベース401と、圧力検出部10に荷重を加えるプランジャー403とから構成される。ベース401には圧力検出部10を位置決めするための円柱状の突起401a、受圧リング14の変位を妨げないためのリング状の溝401b、受圧リング14の変位を検出するための検出ニードル402と検出ニードル402をガイドするためのガイド穴401cが形成されている。尚、実施例では受圧リング14の変位を円周上で均一に検出するために、検出ニードル402及びガイド穴401cは120°間隔で3か所設けている。
次に、図9(a)を用いて荷重・変位グラフについて説明する。図9(a)は受圧リング14の受圧部にかかる荷重とそれにともなう変位の相関を示すグラフである。縦軸は荷重値〔N〕を示し、横軸は変位値〔μm〕を示している。実施例では、荷重が0N〜600N近辺においては、変位は直線的な変化を示し弾性領域であることを示している。また、荷重600Nを越えると変位は直線から曲線に変わり塑性領域になることを示している。つまり、弾性領域内では、受圧部は荷重に比例して変位し、荷重を取り去ればもとの位置に戻る。一方、塑性領域では、塑性変形をおこして、もとの位置にはもどることができない。これらのことを考慮して、圧電素子に加える予荷重は、弾性領域内の所定の荷重値に設定するようになっている。
次に、図9(a)及び(b)を用いて予荷重調整手順について説明する。図9(b)は図9(a)の荷重・変位グラフに示す各点に対応した変位の状態を各工程図として示しており、図8(b)のW部の拡大図である。例えば、図9(a)のグラフ上の点1:A1(P1、a1)においては、点1は符号A1とし、P1は荷重を示し、a1はその時の変位を示している。一方で、図9(b)では、点1に対応した工程1を示し、その時、リア筐体13には荷重P1が加わり、受圧リング14の受圧部の中央部の変位はa1であることを示している。また、点2、点3についても同様である。
(工程1:最小荷重値1:A1(P1、a1)の確認)
まず、図8(b)に示すように予荷重製造装置400に圧力検出部10をセットして荷重装置406により荷重をかけられるようにする。荷重を少しかけて、図9(a)の荷重変位曲線上の最小荷重値1において、A1(P1、a1)であることを確認する。このとき、図9(b)の工程1が対応しており、荷重P1に対して変位a1であることを図示している。この工程は、受圧部の変位の始まる点を確認するために行う。
(工程2:弾性域上限荷重値2:A2(P2、a2)の確認)
次に、荷重を上げて、図9(a)の荷重変位曲線上の弾性域上限荷重値2において、A2(P2、a2)であることを確認する。このとき、図9(b)の工程2が対応しており、荷重P2に対して変位a2であることを図示している。また、リア筐体13が受圧リング14の受圧部をより押し下げていることを示している。この工程は、荷重値2が弾性領域内にあることを確認するために行う。
(工程3:所定の予荷重値3:Ax(Px、ax)の設定及び固定)
次に、荷重を下げて、図9(a)の荷重変位曲線上の弾性域の所定の荷重値3:Pxを所定値として荷重を固定する。このとき、図9(b)の工程3が対応しており、荷重Pxに対して変位axであることを図示している。そして、この位置において図8(b)に示すようにレーザ光出射部405からレーザ光405aを所定の条件で照射し1か所を溶接固定する。同様に圧力検出部10の他の所定部を複数か所照射して仮固定する。次に、圧力検出部10を装置から外して別工程(図示なし)において一周にわたってレーザ溶接を施し(溶接3、溶接4)、固定し封止する。これにより、予荷重を精度よく調整した圧力検出部10Aを得る。
(燃焼圧センサとインジェクタの一体化:図5)
次に、図5を用いて、燃焼圧センサ8Aとインジェクタ7Aとの一体化について説明する。上述の手順で得た圧力検出部10Aに伝送ユニット50を組み付けた燃焼圧センサ8Aをインジェクタ7Aに組み付ける。そして所定部を溶接により固定する(溶接5、溶接6)。これにより、燃焼圧センサ8Aを固定したインジェクタユニット6Aを得る。
以上説明した本発明の第1の実施形態の燃焼圧センサの製造方法によれば、次に示す効果が得られる。
(効果1)
予荷重手段はスライド可能領域を有し、スライドさせることによる予荷重調整工程と、予荷重の調整後にリア筐体(支持リングブロック部)を固定する固定工程とを設けたことにより、圧力検出部を構成する各部品の圧力軸方向の寸法精度に頼らずに予荷重を調整してから固定できる。この結果、感度のバラツキが小さく高精度の圧力信号を安定して得られる内燃機関用燃焼圧センサ及びインジェクタユニットの製造方法を提供するこができる。
次に、第2の実施形態の燃焼圧センサとその製造方法について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態の燃焼圧センサの製造方法において、予荷重の調整範囲の拡大を目的として圧力検出部の予荷重調整工程にセッチング処理工程を設けたものである。従って調整手順のみが異なり燃焼圧センサの構成と製造装置は第1の実施形態と同様であるので、ここでは、構成及び製造装置に関する説明は省略して圧力検出部の製造方法について説明する。
図10を用いて第2の実施形態におけるセッチング処理手順と予荷重調整手順について説明する。図10(a)において、実線で示すグラフは受圧リング14の受圧部の通常の荷重・変位曲線であり、前述した図9(a)に示すグラフと同一である。また、一点鎖線で示すグラフはセッチング処理により特性が変化した荷重・変位曲線を示している。また、図10(b)は図10(a)の荷重・変位グラフに示すセッチング処理工程の各点に対応した各工程図を示している。また、図10(c)は図10(a)の荷重・変位グラフに示すセッチング処理後の予荷重調整において、荷重・変位曲線の各点に対応した各工程図を示している。
まず、図8(b)に示すように予荷重製造装置400に圧力検出部10をセットして荷重装置406により荷重をかけられるようにする。荷重を上げて、図10(a)において実線で示す荷重変位曲線上の最小荷重値4において、A1(P1、a1)であることを確認する。このとき、図10(b)の工程4が対応しており、荷重P1に対して変位a1であることを図示している。この工程は受圧部の変位の始まる点を確認するために行い、前述の手順における工程1と同一である。
(工程5:塑性域荷重値5:A3(P3、a3)の設定(セッチング処理))
次に、荷重を上げて、図10(a)において実線で示す荷重変位曲線上の塑性域荷重値5において、A3(P3、a3)であることを確認する。このとき、図10(b)の工程5が対応しており、荷重P3に対して変位a3であることを図示している。ここで、リア筐体13が受圧リング14の受圧部をより大きく押し下げている。この塑性領域まで荷重をかけることにより受圧リング14の受圧部にセッチング処理が行われる。これにより、図10(a)の実線に示す特性から一点鎖線に示すような特性に変化する。このことは、受圧部において塑性変形が発生し、その塑性変形に相当する変位t分がオフセットされ、同時に弾性域が拡大することを示している。この工程は受圧部にセッチング処理を行うために行う。
(工程6:セッチング処理後の荷重値(ゼロ)6:B0(P0、b0)の確認)
次に、荷重をゼロにして、図10(a)において一点鎖線で示すセッチング処理後の荷重変位曲線上の荷重値(ゼロ)6において、B0(P0、b0)であることを確認する。このとき、図10(b)の工程6が対応しており、P0は荷重値=0Nであることを示し、荷重値=0においても塑性変形t(b0)分がオフセットしていることを図示している。この工程は、オフセット分の確認のために行う。
(工程7:セッチング処理後の最小荷重値7:B1(P1、b1)の確認)
次に、荷重を上げて、図10(a)において一点鎖線で示すセッチング処理後の荷重変位曲線上の最小荷重値7において、B1(P1、b1)であることを確認する。このとき、図10(c)の工程7が対応しており、荷重P1に対して変位b1であることを図示している。この工程はセッチング処理後の受圧部の変位の始まる点を確認するために行う。
(工程8:セッチング処理後の弾性域上限荷重値8:A3(P3、a3)の確認)
次に、荷重を上げて、図10(a)において一点鎖線で示すセッチング処理後の荷重変位曲線上の弾性域上限荷重値8において、A3(P3、a3)であることを確認する。このとき、図10(c)の工程8が対応しており、荷重P3に対して変位a3であることを図示している。ここで、リア筐体13が受圧リング14の受圧部をより押し下げている。この工程は、弾性域上限荷重値8であってもセッチング処理後は弾性領域内に含まれることを確認するために行う。
(工程9:所定の予荷重値9:Bx(Px、bx)の設定及び固定)
次に、荷重を下げて、図10(a)において一点鎖線で示すセッチング処理後の荷重変位曲線上の弾性域上の所定の荷重値9:Bx(Px、bx)において荷重装置を固定する。このとき、図10(c)の工程9が対応しており、荷重Pxに対して変位bxであることを図示している。この位置において図8に示すようにレーザ光出射部405からレーザ光405aを所定の条件で照射し溶接固定する。同様に、圧力検出部10の他の所定部を複数か所照射して固定する。その後、別工程において一周にわたってレーザ溶接を施し(溶接3、溶接4)、固定し封止する。この結果、セッチング処理により弾性域が拡大し、また、予荷重を精度よく調整した圧力検出部10Bを得る。
以上説明した本発明の第2の実施形態の製造方法によれば、次に示す効果が得られる。
(効果1)
予荷重調整工程に受圧リング(受圧リングブロック部)の受圧部に施すセッチング処理工程を設けることにより、受圧リングの受圧部の弾性域を拡大させ、予荷重の調整を容易にして歩留まりを向上させることができる。この結果、感度のバラツキが小さく高精度の圧力信号を安定して得られる内燃機関用燃焼圧センサの製造方法を提供するこができる。
(効果2)
受圧リングの受圧部にセッチング処理を施すことで、受圧部の弾性域を拡大できると同時に残留応力層が形成され、疲れ強度の向上が期待できる。
(効果3)
スライド可能距離に予めセッチングが可能な距離を加えておくことにより、予荷重調整工程内でセッチング処理と予荷重調整ができる。これにより、効率の良い製造方法の提供ができる。また、簡単な構造による感度のバラツキが小さく高精度の圧力信号を安定して得られる内燃機関用燃焼圧センサ及びインジェクタユニットを提供するこができる。
次に、第3の実施形態の燃焼圧センサとその製造方法について説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態の圧力検出部の予荷重調整工程において、荷重変化工程と圧電素子からの出力を利用した圧電検出工程を設けたものである。従って、製造装置と調整手順のみが異なり燃焼圧センサの構成は第1の実施形態と同様であるので、ここでは、構成に関する説明は省略して圧力検出部の製造装置と製造方法について説明する
図11、図12を用いて第3の実施形態における予荷重装置及び予荷重調整手順について説明する。図11は第3の実施形態の予荷重調整を行う為の予荷重装置を示し、図12は第3の実施形態による予荷重調整手順を示す。
まず、図11を用いて予荷重製造装置500の構成について説明する。図11において、予荷重装置500が前述の予荷重装置400と異なるところは、荷重を検出するためのロードセル及び信号処理部を有していない点である。また、変位を検出するための変位センサ及びその信号処理部を有していない点である。さらに、変位検出手段として圧力検出部10の圧電素子群の出力を信号処理して利用する点である。他の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるので同一要素には同一番号を付し重複する説明は一部省略する。
次に、図12を用いて予荷重調整手順について説明する。図12(a)は図11に示す圧電素子群16から出力される電荷信号を信号処理部409にて信号処理を行い、得た出力470を感度とし、受圧部にかかる荷重との関係をグラフにしたものである。図12(b)は図12(a)のグラフにもとづいて、感度から所定の予荷重値を設定した状態の圧力検出部を示している。
以上説明した本発明の第3の実施形態の製造方法によれば、次に示す効果が得られる。
(効果1)
予荷重調整工程において、荷重変化工程と、圧電素子からの出力を利用した圧電検出工程を設けることにより、荷重の変化に伴う圧電素子からの出力電荷を信号処理し、その出力電圧を利用することにより高精度な予荷重を設定することができる。これにより、感度のバラツキが小さい高精度の圧力信号を得られる燃焼圧センサを製造することができる。また、専用の荷重検出部や変位検出部を必要としないので製造方法や製造装置を簡素化できる。尚、実施例では直接、所定の感度値(予荷重値)10に設定したが、最小感度値を確認して、次に弾性域上限感度値を確認し、次に所定の予荷重感度値に設定する工程としてもよい。
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の構成は本発明の各実施形態で得た燃焼圧センサ8Aを別の機能部品である点火プラグに適用したものであり、第4の実施形態が第1の実施形態と異なるところは、燃焼圧センサのサイズと形状を点火プラグに合わせて変更した点である。従って、燃焼圧センサ8Aの基本の構成は同様であり、また、圧力検出部10の製造方法における予荷重調整方法及び手順も同様であるので同一要素には同一番号を付し、重複する説明は一部省略する。
図13を用いて第4の実施形態における燃焼圧センサ8Aを他の機能部品である点火プラグに装着した点火プラグユニットの構成について説明する。図13において、圧力検出部10Dは第1の実施形態の圧力検出部10に対して、そのフロント内側筐体12の開口部の形状が一部異なり、点火プラグ5の先端部外側の形状に合わせた形状になっている。ここで、筐体ユニット、素子ユニット、リア筐体の基本構成は第1の実施形態のものと同様である。また、圧力検出部10Dの製造手順及び点火プラグへの取り付け手順も第1の実施形態のものと同様である。これにより、燃焼圧センサ8A及び点火プラグユニット5Aを得る。
以上説明した本発明の第4の実施形態によれば、次に示す効果が得られる。
(効果1)
第1の実施形態の燃焼圧センサ及びインジェクタユニットで得られた効果を点火プラグに適用することができる。これにより、感度のバラツキが小さく、安定的な圧力信号を得られる内燃機関用燃焼圧センサ及び点火プラグユニットと、その製造方法を提供できる。
2 シリンダブロック
2a シリンダ
3 ピストン
4 シリンダヘッド
4a 連通孔
C 燃焼室
5 点火プラグ(機能部品)
5A 点火プラグユニット(機能部品ユニット)
6A インジェクタユニット(機能部品ユニット)
7A インジェクタ(機能部品)
8A 燃焼圧センサ
10、10A、10B、10C 圧力検出部
10a 開口部
10b 内部空間
11 フロント外側筐体(外筒部)
12 フロント内側筐体(内筒部)
13 リア筐体(支持リングブロック部)
14 受圧リング(受圧リングブロック部)
15 圧力伝達リング
16 圧電素子群
17 スペーサ群
30 素子ユニット
40 筐体ユニット
50 伝送ユニット
51 伝送電線
52 接続端子
53 接続パイプ
55、55a、55b 位置決めチューブ
56 コイルスプリング
57、57a、57b 封止部(Oリング)
70 電気コネクタ部
80 燃料コネクタ部
100 信号処理部
200 制御装置
300 従来例(圧力センサ内蔵スパークプラグ)
400、500 予荷重製造装置
Claims (3)
- 燃焼圧センサの外周面を構成する外筒部、及び内周面を構成する内筒部からなるハウジングユニットと、前記ハウジングユニットの前方に設けられ、前面が受圧面となる受圧リングブロック部と、前記ハウジングユニット内に配置され前記受圧リングブロック部からの圧力を検出する複数の圧電素子と、前記ハウジングユニットの後方に設けられ、前記圧電素子を支持する支持リングブロック部と、前記圧電素子に対して予荷重を加える予荷重手段と、を備えた燃焼圧センサの製造方法において、
前記予荷重手段は前記ハウジングユニットの外筒部及び内筒部に対して、前記支持リングブロック部が燃焼圧の圧力軸方向にスライド可能領域を有し、前記支持リングブロック部を圧力軸方向にスライドさせることにより前記圧電素子に加える予荷重を調整する予荷重調整工程と、前記予荷重の調整後に前記ハウジングユニットに対して前記支持リングブロック部を固定する固定工程と、を有し、
前記予荷重の調整工程は、前記受圧面にセッチング処理を行うセッチング処理工程を有することを特徴とする内燃機関用燃焼圧センサの製造方法。 - 燃焼圧センサの外周面を構成する外筒部、及び内周面を構成する内筒部からなるハウジングユニットと、前記ハウジングユニットの前方に設けられ、前面が受圧面となる受圧リングブロック部と、前記ハウジングユニット内に配置され前記受圧リングブロック部からの圧力を検出する複数の圧電素子と、前記ハウジングユニットの後方に設けられ、前記圧電素子を支持する支持リングブロック部と、前記圧電素子に対して予荷重を加える予荷重手段を備えた燃焼圧センサであって、
前記ハウジングユニットの外筒部及び内筒部に対して、前記支持リングブロック部が燃焼圧の圧力軸方向に対してスライド可能領域を有し、前記ハウジングユニットの外筒部及び内筒部に対して、前記支持リングブロック部が、前記スライド可能領域内にて固定されており、
前記受圧リングブロック部にセッチング処理が施されることにより前記受圧リングブロック部の弾性域が拡大していることを特徴とする内燃機関用燃焼圧センサ。 - 前記ハウジングユニットに対して、前記支持リングブロック部を固定する手段は溶接であることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関用燃焼圧センサ。
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