JP7306584B2 - 溶接用アルミニウム合金展伸材、アルミニウム合金溶接接合体及びその溶接方法 - Google Patents

溶接用アルミニウム合金展伸材、アルミニウム合金溶接接合体及びその溶接方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶接性に優れたアルミニウム合金展伸材、当該アルミニウム合金展伸材を含む溶接接合体、及び当該アルミニウム合金展伸材の溶接方法に関するものである。
アルミニウムは軽量で錆びにくく、適当な元素を添加することで高強度化を図ることができることから、鉄道車両、船舶、橋梁及び各種筐体等の構造物に広く用いられている。ここで、アルミニウムは優れた加工性を有しているものの、構造体化には溶接が必要不可欠である。
しかしながら、アルミニウムは鉄等と比較すると一般的に溶接性が悪く、凝固割れや液化割れによって割れが生じてしまうことが知られている。従来は溶接速度を低下させて溶接を行っていたが、年々生産性の向上が要求されるようになってきており、それに伴いアルミニウムの溶接速度の向上が切望されている。
これに対し、例えば特許文献1(特開2016-121385号公報)においては、レーザ溶接による割れを抑制できるケース用アルミニウム合金板及びそれを用いてなるケースを提供することを目的として、レーザ溶接性に優れたケース用アルミニウム合金板であって、Si:2.0%以上11.0%以下(質量%、以下同じ)、Fe:0%超え2.0%以下を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有し、伸びが8%以上であり、Alマトリクス中にSiまたはFeを含む第二相粒子が存在しており、該第二相粒子の円相当径は17μm以下であることを特徴とするケース用アルミニウム合金板、が開示されている。
上記特許文献1のケース用アルミニウム合金板においては、ケース用アルミニウム合金板は従来の3000系アルミニウム合金等に比べて融点が低いAl-Si系合金より構成されていることから、従来よりも出力の低いレーザを用いて溶接を行うことができ、レーザ照射時のアルミニウム合金部材の溶融量を容易に低減することができる。また、ケース用アルミニウム合金板はAl-Si系合金より構成されているため、3000系アルミニウム合金等に比べて凝固時の収縮率が小さい。これらの結果、ケース用アルミニウム合金は、3000系アルミニウム合金等に比べて割れ感受性が低く、レーザ溶接後の割れを抑制することができる、としている。
特開2016-121385号公報
しかしながら、上記特許文献1のケース用アルミニウム合金板は3000系アルミニウム合金を主体とするものであるところ、3000系アルミニウム合金では強度等が不足する用途も多く存在し、優れた溶接性と高い機械的性質を兼ね備えたアルミニウム合金材の実現が切望されている。より具体的には、6000系アルミニウム合金への優れた溶接性の付与が期待されている。
また、上記特許文献1で示されている溶接速度は2m/minであり、例えば、レーザ溶接ではより速い溶接速度が用いられることも多く、溶接の高速化の観点からも十分とは言い難い。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、レーザ溶接等を用いて高速溶接を施した場合であっても溶接割れが抑制される6000系アルミニウム合金展伸材、当該アルミニウム合金展伸材を含む溶接接合体、及び当該アルミニウム合金展伸材の効率的な溶接方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、アルミニウム合金の組成及び当該組成と溶接割れ等の関係について鋭意研究を重ねた結果、アルミニウム合金に適量の界面活性元素(Sr、Ca、Sb、Li及びBaのうちの少なくともいずれか一種)を含有させ、溶融アルミニウム合金の表面張力を低下させること等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
Siの含有量が0.3質量%以上2.0質量%未満であり、
Mgの含有量が0.3質量%以上2.0質量%未満であり、
溶融アルミニウムの表面張力を低下させる界面活性元素を含有し、
前記界面活性元素がSr、Ca、Sb、Li及びBaのうちの少なくともいずれか一種であり、
前記界面活性元素の含有量が0.04質量%以上0.50質量%以下であること、
を特徴とする溶接用アルミニウム合金展伸材、を提供する。
界面活性元素(Sr、Ca、Sb、Li及びBaのうちの少なくともいずれか一種)を含有させることで、溶融アルミニウムの表面張力を低下させることができ、溶融領域におけるアルミニウムの流動性が向上し、高速接合を行っても溶接割れを抑制することができる。ここで、界面活性元素はSrとすることが好ましい。界面活性元素としてSrを添加することで、その他の元素を添加する場合よりも簡便かつ効率的に溶融アルミニウムの表面張力を低下させることができる。
また、適量の界面活性元素を含まないアルミニウム合金を溶接する場合、ビード部の金属組織が粗大な柱状晶組織となり、そこから溶接割れが生じやすい。これに対し、界面活性元素を0.04質量%以上添加すると、ビード部の柱状組織が微細化され、溶接割れを抑制することができる。当該効果は界面活性元素を0.5質量%以上添加しても向上せず、界面活性元素の添加に起因して原料費が高くなるため、添加量は0.5質量%以下としている。ここで、より好ましい界面活性元素の添加量範囲は0.10質量%以上0.20質量%以下である。
また、本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材においては、Siの含有量が0.3質量%以上2.0質量%未満であり、Mgの含有量が0.3質量%以上2.0質量%未満となっている。0.3質量%以上2.0質量%未満のSiと0.3質量%以上2.0質量%未満のMgを含有することで、MgSi等による微細析出物等によって溶接用アルミニウム合金展伸材の高強度化を図ることができる。
また、本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材においては、前記界面活性元素以外の組成が、JIS規格で規定される6000系アルミニウム合金(Al-Mg-Si系アルミニウム合金)の範囲内であること、が好ましい。本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材の界面活性元素以外の元素は、一般的に6000系アルミニウム合金に添加される元素やその組成範囲であればよく、不純物も6000系アルミニウム合金のJIS規格の範囲内であれば許容される。
また、本発明は、2以上の部材を溶接してなる溶接接合体において、溶接される少なくとも1以上の部材が、本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材であること、を特徴とする溶接接合体、も提供する。溶接接合体の被溶接材の少なくとも一つが本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材となっていることで、当該溶接接合体を高速溶接によって効率的に製造することができる。また、高速溶接によって形成された溶接部では割れ等の欠陥の発生が抑制されており、溶接接合体は高い強度と信頼性を有している。
更に、本発明は、本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材に対して、溶接速度が3mm/min以上の溶接を施すこと、を特徴とするアルミニウム合金材の溶接方法、も提供する。本発明のアルミニウム合金材の溶接方法においては、被溶接材に本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材を使用していることから、溶接速度を3mm/min以上としても、溶接部における割れ等の欠陥形成が抑制される。生産性と溶接部における欠陥形成抑制の観点から、溶接速度は4mm/min以上とすることが好ましく、5mm/min以上とすることがより好ましい。
また、本発明のアルミニウム合金材の溶接方法においては、前記溶接にレーザ溶接を用いること、が好ましい。レーザ溶接を用いることで、溶接速度の増加を容易に達成することができる。また、5mm/min以上の高速溶接を行う場合は、例えば、ハイブリッドレーザ溶接を用いることができる。ハイブリッドレーザ溶接は、先行するレーザにより発生した陰極点にアークを誘導して溶接する接合技術であり、溶接の安定性向上、欠陥形成の抑制、接合速度の増加及び溶け込み深さの増加等を実現することができる。
本発明によれば、レーザ溶接等を用いて高速溶接を施した場合であっても溶接割れが抑制される6000系アルミニウム合金展伸材、当該アルミニウム合金展伸材を含む溶接接合体、及び当該アルミニウム合金展伸材の効率的な溶接方法を提供することができる。
本発明のアルミニウム合金溶接接合体の一態様における溶接部近傍の概略断面図である。 溶接部4の微細組織の模式図である。 バレストレイン試験用治具の外観写真である。 バレストレイン試験の模式図である。 実施例3で得られた溶接部の縦断面における組織写真である。 実施例3で得られた溶接部の横断面のマクロ写真である。 比較例1で得られた溶接部の縦断面における組織写真である。 比較例1で得られた溶接部の横断面のマクロ写真である。 割れ率と母材Sr量の関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材、アルミニウム合金溶接接合体及びその溶接方法についての代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
1.溶接用アルミニウム合金展伸材
本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材は、0.3質量%以上2.0質量%未満のSiと、0.3質量%以上2.0質量%未満のMgと、0.04質量%以上0.50質量%以下の界面活性元素を含有すること、を特徴としている。以下、各成分について詳細に説明する。
(1)必須の添加元素
Si:0.3質量%以上2.0質量%未満
Siは、Mgと共にMg-Si系析出物を形成し、機械的強度及び疲労強度を高める作用を有する。Si含有量が0.3質量%未満の場合は固溶強化や時効硬化能が不足し、アルミニウム合金に要求される機械的強度及び疲労強度を得ることができない。一方で、Si含有量が2.0質量%以上となると耐食性が低下する。また、粗大な晶出物や析出物が形成され、延性及び加工性を低下させる場合がある。
Mg:0.3質量%以上2.0質量%未満
MgはSiと共にMg-Si系析出物を形成し、機械的強度及び疲労強度を高める作用を有する。当該作用は0.3質量%以上で顕著となるが、2.0質量以上のMgを添加しても、高度への寄与はほとんど期待できず、また、破壊の起点となる粗大な金属間化合物を形成し、機械的強度等を低下させる虞がある。
界面活性元素(Sr、Ca、Sb、Li及びBaのうちの少なくともいずれか一種):0.04質量%以上0.50質量%以下
界面活性元素を0.04~0.50質量%含有させることで、溶融アルミニウムの表面張力を低下させることができ、溶融アルミニウムの流動性が向上し、溶接速度が3m/minを超えるような高速溶接を行っても溶接割れを抑制することができる。界面活性元素にはSrを用いることが好ましい。
また、界面活性元素を含まないアルミニウム合金を溶接する場合、ビード部の金属組織が粗大な柱状晶組織となり、そこから溶接割れが生じやすい。これに対し、界面活性元素を0.04質量%以上添加すると、ビード部の柱状組織が微細化され、溶接割れを抑制することができる。当該効果は界面活性元素を0.5質量%以上添加しても向上せず、界面活性元素の添加に起因して原料費が高くなることに加え、多量に添加すると粗大な化合物を形成する可能性がある。また、界面活性元素を多量に添加すると、高速での溶接時に空気を巻き込みやすく、ブローホールが形成しやすくなる。これらの観点から、界面活性元素の添加量は0.5質量%以下としている。ここで、より好ましい界面活性元素の添加量範囲は、0.10質量%以上0.20質量%以下である。
(2)任意の添加元素
アルミニウム合金の機械的性質を向上させるSi及びMgと溶接性を向上させる界面活性元素以外の添加元素は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、JIS規格で規定される6000系アルミニウム合金(Al-Mg-Si系アルミニウム合金)の範囲内とすることができる。即ち、任意の添加元素は、一般的に6000系アルミニウム合金に添加される元素やその組成範囲であればよく、不純物も6000系アルミニウム合金のJIS規格の範囲内であれば許容される。
2.アルミニウム合金溶接接合体
本発明のアルミニウム合金溶接接合体は、2以上の部材を溶接してなる溶接接合体において、溶接される少なくとも1以上の部材が、本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材であることを特徴としている。以下、界面活性元素としてSrを添加した場合について説明する。本発明のアルミニウム合金溶接接合体の一態様における溶接部近傍の概略断面図を図1に示す。
図1は溶接線に対して垂直な横断面を示しており、アルミニウム合金溶接接合体1は、アルミニウム合金材2同士が溶接部4によって接合された構造となっている。ここで、アルミニウム合金材2の少なくともいずれか一方が、本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材となっている。
溶接部4の形状及び大きさは、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、アルミニウム合金材2の形状及び大きさや、所望の接合部特性に応じて適宜調整すればよい。溶接部4は被接合界面の全域に形成されることが好ましいが、継手の機械的性質に対する要求が高くない場合は部分的に形成されていてもよい。
図1における溶接部4の微細組織を模式的に図2に示す。未溶融のアルミニウム合金材2との境界から凝固方向に柱状晶からなる組織が形成され、凝固の進行に伴って等軸状の結晶粒からなる組織が形成される。ここで、Srの添加によって溶接部4の組織は微細化されており、柱状晶と等軸晶共に、Srが添加されていない場合と比較して微細化されている。
3.アルミニウム合金材の溶接方法(アルミニウム合金溶接接合体の製造方法)
本発明のアルミニウム合金材の溶接方法について、アルミニウム合金溶接接合体1を製造する場合を例として説明する。アルミニウム合金溶接接合体1は、少なくとも溶接される1以上の部材(アルミニウム合金材2)を、本発明の溶接用アルミニウム合金展伸材とすることで、3mm/min以上の溶接速度で容易に製造することができる。
ここで、溶接部における割れ等の欠陥形成抑制効果は極めて顕著であり、溶接速度を増加させても十分にその効果を得ることができる。生産性と溶接部における欠陥形成抑制の観点から、溶接速度は4mm/min以上とすることが好ましく、5mm/min以上とすることがより好ましい。
溶接方法は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の溶接方法を用いることができるが、例えば、レーザ溶接を用いることで簡便に高速溶接を施すことができ、ハイブリッドレーザ溶接を用いることでより効率的に高速溶接を施すことができる。
また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて適当な溶加材を用いてもよく、溶接速度以外の溶接条件は、被接合材の板厚や形状等によって適宜調整すればよい。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
≪実施例≫
6000系アルミニウム合金の中でも溶接性が悪いとされるJIS-6063アルミニウム合金にSrを添加して、表1に示す組成(質量%)の溶接用アルミニウム合金展伸材(実施例1~実施例3)を得た。当該溶接用アルミニウム合金展伸材のサイズ及び形状は、長さ200mm×幅190mm×厚さ3mmの板状とした。
Figure 0007306584000001
次に、溶接割れに対する溶接用アルミニウム合金展伸材の特性を評価するために、図3に示す試験治具を用いてバレストレイン試験による溶接を行った。バレストレイン試験の模式図を図4に示すが、被接合材に外部応力を印加した状態で溶接を行うものであり、溶接部に印加される引張応力によって溶接割れが促進されることになる。バレストレイン試験における曲げ半径は300mmとした。
レーザ溶接にはIPG製のマルチモードCWファイバーレーザを用い、レーザ出力:2600W、前進角:10°、狙い角:90°、溶接速度:5m/minとして、ビードオンにてレーザ溶接を施した。なお、各溶接用アルミニウム合金展伸材に対して、3回のバレストレイン試験を行った。
得られた溶接用アルミニウム合金展伸材の代表例として、実施例3として得られた溶接用アルミニウム合金展伸材の溶接部の縦断面における組織写真を図5に示す。縦断面写真の上半分が溶接部(ビード部)であり、柱状晶及び等軸晶共に微細な組織からなる溶接部が形成されていることに加え、柱状晶組織の発達が抑制されていることが分かる。
実施例3として得られた溶接用アルミニウム合金展伸材の溶接部の代表的な横断面のマクロ写真を図6に示すが、溶接割れは全く観察されない。
また、溶体化処理(540℃の電気炉で2時間保持後、水冷)と人工時効(175℃,8時間)を施した実施例3の溶接用アルミニウム合金展伸材について、引張試験を行ったところ、引張強度は222MPa、0.2%耐力は178MPa、伸びは17.5%であった。なお、引張試験片はJIS Z 2241に記載の14号A試験片を用い、引張速度はJIS Z 2241に準拠し、0.2%耐力までを2mm/min、0.2%耐力以降を5mm/minとした。
≪比較例≫
表1の比較例(比較例1及び比較例2)として示す組成(質量%)としたこと以外は実施例と同様にして、バレストレイン試験による溶接を行った。比較例1として得られた溶接部の縦断面における組織写真を図7に示す。縦断面写真の上半分が溶接部(ビード部)であり、柱状晶及び等軸晶共に実施例の場合よりも粗大化している。加えて、柱状晶からなる組織が顕著に成長しており、溶接割れの抑制に対して不利な組織となっていることが分かる。
比較例1として得られた溶接用アルミニウム合金展伸材の溶接部の代表的な横断面のマクロ写真を図8に示す。図8においては、粗大な溶接割れが認められる。
また、実施例と同様にして、溶体化処理(540℃の電気炉で2時間保持後、水冷)と人工時効(175℃,8時間)を施した比較例1の溶接用アルミニウム合金展伸材について、引張試験を行ったところ、引張強度は237MPa、0.2%耐力は189MPa、伸びは18.8%であった。実施例3の溶接用アルミニウム合金展伸材の引張試験と大きな差は認められず、Srの添加は溶接用アルミニウム合金展伸材の機械的性質に悪影響を与えないことが確認された。
実施例及び比較例のバレストレイン試験によって溶接ビードの表面に発生した溶接割れについて、カラーチェックによって当該溶接割れの長さを測定した。測定によって得られた溶接割れの長さを、溶接長さ100mmあたりに対する割れ長さの割合(割れ率)として、表2に示す。また、割れ率と母材Sr量の関係を図9に示す。
Figure 0007306584000002
Srを添加していない比較例1においては割れ率の平均が45.3%と高い値となっている。また、Srの添加量が不十分な比較例2においては、Srの添加によって割れ率が増加する結果となった。これらに対し、適量のSrの添加によって、割れ率が明瞭に低下していることが分かる。特に、0.10質量%以上のSr添加によって、割れ率が顕著に低下しており、0.17%のSrを添加した実施例3では、割れの発生が完全に抑制されている。
1・・・アルミニウム合金溶接接合体、
2・・・アルミニウム合金材、
4・・・溶接部。

Claims (6)

  1. Siの含有量が0.3質量%以上2.0質量%未満であり、
    Mgの含有量が0.3質量%以上2.0質量%未満であり、
    溶融アルミニウムの表面張力を低下させる界面活性元素を含有し、
    前記界面活性元素がSr、Ca、Sb及びBaのうちの少なくともいずれか一種であり、
    前記界面活性元素の含有量が0.04質量%以上0.50質量%以下であり、
    前記界面活性元素以外の組成が、JIS規格で規定される6000系アルミニウム合金(Al-Mg-Si系アルミニウム合金)の範囲内であること、
    を特徴とする溶接用アルミニウム合金展伸材。
  2. 前記界面活性元素がSrであること、
    を特徴とする請求項1に記載の溶接用アルミニウム合金展伸材。
  3. 前記界面活性元素の含有量が0.10質量%以上0.20質量%以下であること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の溶接用アルミニウム合金展伸材。
  4. 2以上の部材を溶接してなる溶接接合体において、
    前記部材が、請求項1~のうちのいずれかに記載の溶接用アルミニウム合金展伸材であること、
    を特徴とするアルミニウム合金溶接接合体。
  5. 請求項1~のうちのいずれかに記載の溶接用アルミニウム合金展伸材に対して、溶接速度が3mm/min以上の溶接を施すこと、
    を特徴とするアルミニウム合金材の溶接方法。
  6. 前記溶接にレーザ溶接を用いること、
    を特徴とする請求項に記載の高速接合用アルミニウム合金材の溶接方法。
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