JP6523681B2 - ケース用アルミニウム合金板及びケース - Google Patents

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Description

本発明は、複数のアルミニウム合金部材をレーザ溶接により接合して作製されるケースに好適なケース用アルミニウム合金板に関する。
例えば二次電池の外装や電子機器の筐体等には、複数のアルミニウム合金部材よりなるケースが用いられている。この種のケースは、内容物を収容した状態で複数のアルミニウム合金部材を溶接して形成する。そのため、アルミニウム合金部材を溶接した際に溶接継手が完全溶込みとなった場合には、溶接時の熱等が内容物に悪影響を及ぼすおそれがある。
かかる問題を回避するため、通常、アルミニウム合金部材の溶接には、部分溶込みの実現が容易なレーザ溶接が多用されている。アルミニウム合金部材の溶接にレーザ溶接を採用することにより、溶接により生じる歪みを抑制できる、レーザ溶接部の位置精度を高くすることができる等のメリットを得ることも可能となる。
従来、アルミニウム合金部材は、3000系アルミニウム合金や5000系アルミニウム合金等の、レーザ溶接が可能であり、かつ、強度の高いアルミニウム合金からなる板材より構成されている(例えば、特許文献1〜2)。アルミニウム合金部材を上記の材質より構成することにより、ケースの耐久性を向上させることができる。
特開2012−82506号公報 特開2012−153982号公報
従来のアルミニウム合金部材は、アルミニウム合金の中で比較的高い融点を有する3000系アルミニウム合金や5000系アルミニウム合金を用いているため、出力の大きいレーザを用いてアルミニウム合金部材の溶接を行う必要がある。しかし、レーザ出力を大きくするとアルミニウム合金部材の溶融量が多くなるため、溶融金属が凝固する際の凝固収縮が大きくなり易い。そのため、3000系アルミニウム合金等からなる従来のケースは、レーザ溶接における割れ感受性が高く、溶接後にルート面上の溶融部と未溶融部との境界に割れが生じ易いという問題がある。
かかる問題を回避するため、従来のケースにおいては、パルスレーザを用いて溶接を行うことにより、レーザ照射時のアルミニウム合金部材の溶融量を低減して割れの抑制を図っている。しかし、従来のケースは、溶接速度が速い場合には依然として割れの発生を抑制することが困難である。また、パルスレーザを用いたレーザ溶接は、レーザを間欠照射するという原理上の問題により、被溶接部の全長に亘って連続したレーザ溶接部を形成することが難しい。それ故、例えば電池ケース等のケースを密封する必要がある用途においては、溶接速度をより遅くして溶接を行わなければならない。
以上のように、従来のケースは、3000系アルミニウム合金や5000系アルミニウム合金の割れ感受性が高いため、溶接速度の高速化には限界がある。溶接速度をより高速化してケースの生産性を向上させるために、レーザ溶接を行う際に従来よりも割れにくいアルミニウム合金板が強く望まれていた。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、レーザ溶接による割れを抑制できるケース用アルミニウム合金板及びそれを用いてなるケースを提供しようとするものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ケースを構成するアルミニウム合金部材を、従来は溶加材やクラッド板の皮材として用いられているAl−Si系合金板から構成することにより、ケースに要求される機械的特性等を確保しつつ、レーザ溶接による割れを抑制できることを見出した。
即ち、本発明の一態様は、レーザ溶接性に優れたケース用アルミニウム合金板であって、
Si:2.0%以上11.0%以下(質量%、以下同じ)、Fe:0%超え2.0%以下、Mg:1.0%以上2.0%以下を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有し、
伸びが8%以上であり、
Alマトリクス中にSiまたはFeを含む第二相粒子が存在しており、
該第二相粒子の円相当径は17μm以下であることを特徴とするケース用アルミニウム合金板。
本発明の他の態様は、少なくとも2つのアルミニウム合金部材と、これらを接合するレーザ溶接部とを有するケースであって、
上記アルミニウム合金部材の少なくとも1つが上記の態様のケース用アルミニウム合金板から構成されていることを特徴とするケースにある。
上記ケース用アルミニウム合金板(以下、適宜「アルミニウム板」という。)は、従来の3000系アルミニウム合金等に比べて融点が低いAl−Si系合金より構成されている。そのため、上記アルミニウム板は、従来より出力の低いレーザを用いて溶接を行うことができ、レーザ照射時のアルミニウム合金部材の溶融量を容易に低減することができる。さらに、上記アルミニウム板は、Al−Si系合金より構成されているため、3000系アルミニウム合金等に比べて凝固時の収縮率が小さい。これらの結果、上記アルミニウム板は、3000系アルミニウム合金等に比べて割れ感受性が低く、レーザ溶接後の割れを抑制することができる。
また、上記アルミニウム板は、上記特定の範囲の円相当径を備えた上記第二相粒子を有している。これにより、溶融金属の突沸等に起因する溶接不良やレーザ溶接時の異常溶込みを抑制し、被溶接部の全長に亘って健全なレーザ溶接部を容易に形成することができる。
また、上記アルミニウム板は、上記特定の化学成分、上記特定の範囲の伸び及び上記特定の範囲の円相当径を備えた上記第二相粒子を有している。上記アルミニウム板は、これらを全て具備することにより、ケースに要求される機械的特性を比較的容易に満足することができる。即ち、上記アルミニウム板は、上記の構成を全て具備することにより、従来のAl−Si系合金のような溶加材やクラッド板の皮材としての使用ではなく、ケースの構造材としての使用が可能となったのである。
以上のように、上記アルミニウム板は、レーザ溶接による割れを抑制できると共に、ケースに要求される機械的特性を比較的容易に満足することができる。それ故、上記アルミニウム板は、ケースを構成するアルミニウム合金部材の材料として好適に用いることができる。
上記ケースは、少なくとも2つのアルミニウム合金部材と、これらを接合するレーザ溶接部とを有しており、上記アルミニウム合金部材の少なくとも1つが上記の態様のケース用アルミニウム合金板から構成されている。それ故、上記ケースは、溶接速度の高速化が容易であり、生産性を容易に向上させることができる。
実施例における、ケースの斜視図。 実施例における、ケースに形成されたレーザ溶接部の一例を示す拡大平面図。 図2のIII−III線一部矢視断面図。 図2のIV−IV線一部矢視断面図。 実験例における、被溶接部に摩擦攪拌処理を施した供試材の平面図。 実験例における、レーザ溶接部のビードの一例を示す拡大平面図。
上記アルミニウム板について、以下に詳説する。
・Si(シリコン):2.0%以上11.0%以下
Siは、上記アルミニウム板の融点を低下させ、溶接に必要なエネルギーを低減する作用を有する。Siの含有量を上記特定の範囲とすることにより、従来よりも出力の低いレーザを用いて溶接を行うことができる。また、上記アルミニウム板にSiが含まれていることにより、レーザ照射により生じた溶融金属の凝固収縮を小さくすることができる。これらの結果、上記アルミニウム板の割れ感受性を低下させ、レーザ溶接後の割れを抑制することができる。
Siの含有量が2.0%未満の場合には、上記の作用が不十分となり、レーザ溶接後に割れが発生しやすくなる。一方、Siの含有量が11.0%を超える場合には、上記アルミニウム板の伸びが低下し、例えばプレス加工による絞り成形等の際に割れが発生しやすくなるおそれがある。レーザ溶接後の割れを抑制すると共にプレス加工における加工性を向上させるため、Siの含有量は2.0%以上11.0%以下とする。同様の観点から、Siの含有量を5.0%以上10.0%以下とすることが好ましい。
Fe(鉄):0%超え2.0%以下
Feは、レーザを照射した際に上記アルミニウム板を溶融させやすくする作用を有する。Feの含有量を上記特定の範囲とすることにより従来よりも出力の低いレーザを用いて溶接を行い、レーザ照射により生じた溶融金属の凝固収縮を小さくすることができる。その結果、レーザ溶接後の割れを抑制することができる。
Feの含有量が2.0%を超える場合には、上記アルミニウム板の伸びが低下し、例えばプレス加工による絞り成形等の際に割れが発生しやすくなるおそれがある。それ故、レーザ溶接後の割れの抑制及び加工性の観点から、Feの含有量は0%超え2.0%以下とする。同様の観点から、Feの含有量を0%超え1.0%以下とすることが好ましい。
・Sr(ストロンチウム):0.005%以上0.1%以下
上記アルミニウム板は、更に、上記特定の範囲のSrを含んでいても良い。Srは、後述する第二相粒子のうち、Siを含む第二相粒子を微細化する作用を有している。それ故、上記特定の範囲のSrを含む上記アルミニウム板は、より優れたレーザ溶接性を有すると共に、より大きな伸びを有する。その結果、上記アルミニウム板はプレス加工における加工性がより向上し、例えば絞り成形等をより容易に行うことができる。
Srの含有量が0.005%未満の場合には、上述の作用が不十分となり、レーザ溶接性及び伸びの向上効果を得ることが難しい。Srの含有量が0.1%を超える場合には、コストアップになる一方で、含有量に見合った効果を得ることが難しい。それ故、Srの含有量は0.005%以上0.1%以下であることが好ましく、0.01%以上0.05%以下であることがより好ましい。
・Mg(マグネシウム):1.0%以上2.0%以下
上記アルミニウム板は、更に、上記特定の範囲のMgを含んでいる。Mgは、上記アルミニウム板の強度を向上させる作用を有する。上記特定の範囲のMgを含有する上記アルミニウム板は、ケースに要求される強度をより容易に確保することができる。
Mgの含有量が2.0%を超える場合には、上記アルミニウム板の成形性が低下するおそれがある。それ故、強度と成形性とを両立させる観点から、Mgの含有量を2.0%以下とすることが好ましい。
・第二相粒子
上記アルミニウム板は、Al(アルミニウム)マトリクス中に、SiまたはFeを含む第二相粒子を有している。Siを含む第二相粒子は、例えば、Si単体や、Al−Mg−Si系化合物及びAl−Fe−Si系化合物等のSiを含む金属間化合物から構成されている。また、Feを含む第二相粒子は、例えば、Al−Fe系化合物及びAl−Fe−Si系化合物等のFeを含む金属間化合物から構成されている。
上記第二相粒子の円相当径は17μm以下である。第二相粒子の円相当径を上記特定の範囲に制御することにより、溶融金属の突沸等に起因する溶接不良やレーザ溶接時の異常溶込みを抑制し、被溶接部の全長に亘って健全なレーザ溶接部を容易に形成することができる。また、第二相粒子の円相当径を上記特定の範囲に制御することにより、上記アルミニウム板の伸びを容易に大きくすることができる。
17μmを超える円相当径を有する第二相粒子は、溶融金属の突沸や異常溶込みの原因となり得るため好ましくない。即ち、かかる第二相粒子にレーザ光が照射されて溶融金属が突沸した場合、溶融金属が飛散するおそれがある。その結果、レーザ溶接部が減肉する、レーザ溶接部に空隙等の欠陥が形成される等の問題が起き、溶接不良となるおそれがある。
また、上記の第二相粒子にレーザ光が照射されて異常溶込みが発生した場合、局所的にレーザ照射時の溶融量が多くなり、レーザ溶接部において局所的にビード幅が広がると共に溶込み深さが深くなる。そのため、場合によってはレーザ溶接部が局所的に完全溶込みとなり、ケースの内容物に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、上記の第二相粒子は、上記アルミニウム板の伸びを低下させる原因となり得る。それ故、かかる第二相粒子を含有するアルミニウム板は、例えばプレス加工による絞り成形等の際に割れが生じ易くなり、加工性が低下するおそれがある。
これらの問題を回避する観点から、第二相粒子の円相当径は17μm以下とし、12μm以下にすることが好ましい。第二相粒子は、通常、鋳造時の晶出物より構成されている。鋳造時に生じた晶出物の円相当径が17μm以下である場合には、晶出物そのものを上記第二相粒子とすることができる。それ故、この場合には、第二相粒子の円相当径を上記特定の範囲内に制御するための処理を別途行う必要はない。一方、17μmを超える円相当径を有する晶出物が鋳造時に生じた場合には、例えば、摩擦攪拌処理等の機械的方法を用いて当該晶出物を破砕することにより、円相当径が上記特定の範囲に制御された上記第二相粒子を得ることができる。
・伸び:8%以上
上記アルミニウム板は、上記特定の範囲の伸びを有している。これにより、例えばプレス加工における加工性を向上させることができ、絞り成形の後等に割れが発生することを抑制できる。それ故、上記アルミニウム板は、ケースを構成するアルミニウム合金部材の材料として好適に使用することができる。アルミニウム板の伸びが8%未満の場合には、プレス加工の際に割れが発生しやすくなる。
上記ケースは、レーザ溶接により互いに接合された少なくとも2つのアルミニウム合金部材を有している。上記ケースは、アルミニウム合金部材のうち少なくとも1つが上記アルミニウム板から構成されていればよく、全てのアルミニウム合金部材が上記アルミニウム板から構成されていてもよい。
上述したように、上記アルミニウム板は、従来は溶加材やクラッド板の皮材として用いられているAl−Si系合金より構成されているため、上記アルミニウム板とは異なる化学成分を有するアルミニウム合金材に対しても優れたレーザ溶接性を有する。それ故、強度の高い3000系アルミニウム合金板や5000系アルミニウム合金板から構成されたアルミニウム合金部材と、上記アルミニウム板からなるアルミニウム合金部材とをレーザ溶接により接合してケースを作製することが可能となる。そして、このように構成された上記ケースは、優れたレーザ溶接性を有する上記アルミニウム板と高い強度を有するアルミニウム合金板とを併用することにより、溶接後の割れを抑制しつつ、強度をより向上させることができる。
上記アルミニウム合金部材のレーザ溶接は、パルスレーザを用いて行っても良く、連続発振レーザを用いて行っても良い。3000系アルミニウム合金板等よりなる従来のケースは、レーザ溶接における割れ感受性が高いため、連続発振レーザを用いて溶接を行った場合に、溶接後の割れを防止することがほとんど不可能であった。
これに対し、上記ケースは、割れ感受性の低い上記アルミニウム板よりなるアルミニウム合金部材を有しているため、連続発振レーザを用いて溶接を行った場合に、溶接後の割れを容易に抑制することができる。そして、連続発振レーザを用いて溶接を行うことにより、被溶接部の全長に亘って連続したレーザ溶接部を容易に形成することができる。それ故、上記ケースは、例えば電池ケース等のケースを密封する必要がある用途に好適に用いることができる。
(実施例)
上記ケース用アルミニウム合金板を用いて作製したケースの例について、図を用いて説明する。図1に示すように、ケース1は本体2と蓋体3とを有しており、両者が接合された状態において略直方体状を呈している。本体2は、JIS A 3003合金板より構成されている。蓋体3は、Si:2.0%以上11.0%以下、Fe:0%超え2.0%以下を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有し、伸びが8%以上であり、Alマトリクス中にSiまたはFeを含む第二相粒子が存在しており、第二相粒子の円相当径が17μm以下であるアルミニウム板より構成されている。本体2と蓋体3とは、レーザ溶接により接合されており、本体2と蓋体3との当接部(被接合部)にレーザ溶接部11が形成されている。以下、ケース1の詳細な構成について、作製手順と共に説明する。
蓋体3を構成するアルミニウム板は、上記特定の化学成分を有する鋳塊を作製した後、常法により鋳塊に均質化処理、熱間圧延及び冷間圧延を行って作製することができる。得られたアルミニウム板にプレス加工を行い、角型カップ状に成形することにより、蓋体3を得ることができる。
本体2は、JIS A 3003合金板にプレス加工を行い、角型カップ状に成形することにより作製できる。本例の本体2及び蓋体3は、両者を組み合わせた際に、互いの開口端面21と開口端面31とが当接するように構成されている(図4参照)。
次に、電池や電子機器等の内容物を本体2に収容した状態で、本体2と蓋体3とを組み合わせ、両者の開口端面21、31同士(図4参照)を突き当てる。この状態で、本体2と蓋体3との当接部に連続発振レーザを照射して本体2と蓋体3とを溶接し、レーザ溶接部11を形成する。以上により、図1に示すケース1を作製することができる。なお、連続発振レーザに替えてパルスレーザを用いて溶接を行うことも可能である。
連続発振レーザを用いて溶接を行った場合のレーザ溶接部11の一例を図2〜図4に示す。本例においては、蓋体3を構成するアルミニウム板の融点が本体2を構成するJIS A 3003合金板の融点よりも低いため、レーザを照射した際に、本体2に比べて蓋体3の方がより溶融しやすい。それ故、図2及び図4に示すように、本体2側に形成されるレーザ溶接部11aは、蓋体3側に形成されるレーザ溶接部11bに比べて幅が狭くなる。
本例のように、蓋体3をレーザ溶接性の高いアルミニウム板から構成することにより、部分溶込みにおける溶込み深さ及びビードの幅が均一なレーザ溶接部11を被接合部、即ち本体2と蓋体3との当接部の全長に亘って形成することができる。
(実験例)
本例は、化学成分等を種々変更したアルミニウム板を用いてレーザ溶接性の評価を行った例である。
<供試材10の準備及び評価>
表1に示す化学成分を有するアルミニウム合金鋳塊を作製した後、常法により鋳塊に均質化処理、熱間圧延及び冷間圧延を行い、厚さ1.0mmの板材(供試材E1〜E13及びC1〜C13)を作製した。供試材E1〜E4、C1及びC7については、冷間圧延の後、図5に示すように、略長方形状を呈する供試材10の長辺101に沿って摩擦攪拌処理を行い、長辺101に沿った被溶接部102の晶出物を破砕した。摩擦攪拌処理は、ツールを750rpmで回転させつつ、800mm/minの速度で移動させることにより行った。なお、その他の供試材については、上記の摩擦攪拌処理を行わなかった。
次に、各供試材10の伸び及び第二相粒子の円相当径の測定を行った。供試材10の伸びは、JIS Z 2241に規定された試験方法に準じて引張試験を行うことにより測定した。各供試材10の伸びを表1に示す。
第二相粒子の円相当径は、以下の方法により測定した。供試材10の表面にペーパー研磨及びバフ研磨を行った後、EPMA(電子プローブマイクロアナライザ)を用いて研磨後の表面を倍率400倍で観察した。表面観察は各供試材10について10箇所ずつ行い、それぞれの観察位置においてAl、Si、Fe及びMgの元素マッピング像を取得した。なお、倍率400倍で観察した際の元素マッピング像の視野サイズは50μm×50μmである。また、供試材E1〜E4、C1及びC7については、摩擦攪拌処理が施された被溶接部102(図5参照)内から観察位置を選択した。
次に、画像解析装置(NIRECO製LuzexIIIU)を用い、SiまたはFeの少なくとも一方を含む第二相粒子を10箇所の元素マッピング像から抽出した。次いで、抽出された全ての第二相粒子を、Siを含む粒子(以下、Si系粒子という。)またはFeを含む粒子(以下、Fe系粒子という。)のいずれかに分類すると共に、個々の粒子の円相当径を算出した。
なお、Al−Fe−Si系化合物等のSi及びFeの両方を含む第二相粒子については、Siの濃度がFeより高い場合にはSi系粒子に分類し、Feの濃度がSiより高い場合にはFe系粒子に分類した。また、個々の粒子の円相当径は、供試材10の表面に露出した粒子の面積と等しい面積を有する円の直径である。
その後、画像解析の結果に基づいて、10箇所の視野に含まれるSi系粒子のうち最大の円相当径を有する粒子を決定した。同様に、10箇所の視野に含まれるFe系粒子のうち最大の円相当径を有する粒子を決定した。以上の解析により得られたSi系粒子の最大円相当径及びFe系粒子の最大円相当径を表1に示す。
<相手材12の準備>
供試材10を溶接する相手材12として、JIS A 3003合金よりなる厚さ1.0mmの板材及びJIS A 5052合金よりなる厚さ1.0mmの板材を準備した。相手材の詳細な化学成分は以下の通りであった。
・JIS A 3003合金板
Si:0.3%、Fe:0.35%、Cu:0.12%、Mn:1.3%、Zn:0.05%、Al:残部
・JIS A 5052合金板
Si:0.13%、Fe:0.2%、Cu:0.05%、Mn:0.05%、Mg:2.5%、Cr:0.25%、Zn:0.05%、Al:残部
なお、供試材10と同様に引張試験を行ったところ、JIS A 3003合金板の伸びは40%であり、JIS A 5052合金板の伸びは30%であった。
<レーザ溶接>
表2に示す組み合わせの通り供試材10及び相手材12を選択し、供試材10における被溶接部102の端面と相手材12の端面とを当接させた。次いで、供試材10及び相手材12の片面側から端面同士の当接部に沿って長さ200mmに亘って連続発振レーザを照射し、突合せ溶接を行った。使用したレーザの出力は1.2kWであり、照射スポットの移動速度は2m/minとした。また、本例においては、照射スポットの直径を50μm、100μm、300μm及び500μmの4段階に変更して溶接を行った。なお、表2における実験27及び28は、Al−Si系合金よりなる供試材E1〜E13、C1〜C13との比較のため、JIS A 3003合金板同士及びJIS A 5052合金板同士のレーザ溶接を行った例である。
<レーザ溶接性の評価>
表2に示す実験1〜28の各々について、目視観察及び断面観察によりレーザ溶接性の評価を行った。
目視観察は、以下の手順により行った。まず、レーザ溶接部11のビード112の幅をレーザ溶接部11の全長に亘って測定し、その平均w1を算出した(図6参照)。次いで、ビード112の幅の平均w1よりも幅の広い幅広部113のそれぞれについて最大幅w2を測定した。そして、最大幅w2が平均w1に対して30%以上太くなっている幅広部113を1箇所以上有する場合に、レーザ溶接部11に異常溶込みが発生していると判定した。
表2に、4段階のスポット直径のそれぞれについて異常溶込みの有無を評価した結果を示す。なお、JIS A 3003合金板同士及びJIS A 5052合金板同士のレーザ溶接を行った実験27及び実験28は、割れの発生により供試材10と相手材12とを接合できなかったため、目視評価を行うことができなかった。
断面観察は以下の手順により行った。まず、溶接終了部から30mm以内の範囲において任意に3箇所の切断位置を選択し、レーザ溶接後の供試材10及び相手材12を、各切断位置で溶接方向と直角な方向に切断した。次いで、露出した断面に鏡面研磨を施した後、倍率200倍の金属顕微鏡を用いて観察した。その結果、1箇所以上の断面において割れが確認された場合に、割れが発生していると判定した。表2にその結果を示す。なお、断面観察には、スポット径が100μmのレーザにより溶接された供試材10及び相手材12を供した。
Figure 0006523681
Figure 0006523681
表1及び表2より知られるように、化学成分及び第二相粒子の円相当径が上記特定の範囲である供試材E1〜E13は、JIS A 3003合金板及びA 5052合金板の両方に対して良好なレーザ溶接性を示し、割れの発生を抑制することができた。また、本例のレーザを用いた場合には、供試材E1〜E13は、少なくとも100μm以上のスポット径において異常溶込みの発生を抑制することができ、供試材の化学成分等によっては50μmのスポット径においても異常溶込みの発生を抑制することができた。これらの結果から、供試材E1〜E13は、レーザ溶接における割れや異常溶込みを抑制でき、レーザ溶接に好適であることが理解できる。また、供試材E1〜E13は、将来、レーザ溶接の精密化が要求され、レーザスポット径がより小さくなった場合に、かかる要求に比較的容易に対応可能であることが理解できる。
1 ケース
11 レーザ溶接部

Claims (3)

  1. レーザ溶接性に優れたケース用アルミニウム合金板であって、
    Si:2.0%以上11.0%以下(質量%、以下同じ)、Fe:0%超え2.0%以下、Mg:1.0%以上2.0%以下を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有し、
    伸びが8%以上であり、
    Alマトリクス中にSiまたはFeを含む第二相粒子が存在しており、
    該第二相粒子の円相当径は17μm以下であることを特徴とするケース用アルミニウム合金板。
  2. 上記ケース用アルミニウム合金板は、更に、Sr:0.005%以上0.1%以下を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のケース用アルミニウム合金板。
  3. 少なくとも2つのアルミニウム合金部材と、これらを接合するレーザ溶接部とを有するケースであって、
    上記アルミニウム合金部材の少なくとも1つが請求項1または2に記載のケース用アルミニウム合金板から構成されていることを特徴とするケース。
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