JP7306255B2 - 熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、金属製の伝熱層に樹脂製の被覆層が積層されたラミネート材が外面部に設けられた熱交換器に関する。
ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(EV)等においては、電動機を駆動するための電力を供給するバッテリー装置が搭載されている。このようなバッテリー装置としては、リチウム二次電池等の各種の二次電池からなる複数個の小型単電池が直列または並列に多数接続されて組電池の形態としたものが一般に用いられている。特に近年になって電気自動車の航続距離を延長させるために、複数の組電池が直列または並列に組み合わされて、バッテリー装置のさらなる大容量化が進められている。
一方、バッテリー装置として多く用いられるリチウム二次電池は、使用温度によって性能や寿命が大きく変化するため、長期間にわたって効率良く使用するには適正な温度に管理するのが好ましい。しかしながら、上記のような複数の組電池の形態で使用した場合、複数の組電池が密接して配置されているため、各組電池や各単電池から発生する熱を効果的に放出させることは困難であり、各組電池毎の温度が上昇してしまい、性能や寿命が低下してしまうおそれがある。
そこで下記特許文献1に示すような薄型の熱交換器を用いて、複数の組電池を冷却するようにした技術が開発されている。この熱交換器は、2枚の金属製皿状プレートを対向合致させて熱交換器(扁平チューブ)を形成し、複数の組電池の各間に扁平チューブがそれぞれ配置されることによって、組電池の各単電池から発せられる熱を、扁平チューブ内を流通する冷媒(冷却水)を介して外部に放出させるようにしている。
このような技術背景の下、自動車バッテリー装置としての複数の組電池を冷却するための熱交換器は、他の自動車部品と同様、薄型化、小型軽量化、低コスト化が可及的に求められ、その一環として、柔軟性の高いラミネート材を用いた熱交換器の採用が検討されている。
ラミネート材を用いた熱交換器は、アルミニウム箔ないしアルミニウム薄板製の伝熱層の両面に樹脂製の被覆層が積層されたラミネート材が2枚重ね合わされて袋状に接合された外包袋を備え、熱交換器の外枠を構成する枠部材の内側に熱交換流路を形成するスペーサー部材が配置され、熱交換流路内を冷媒が循環できるように構成されている。そして、複数の組電池の各間に熱交換器が配置されて、組電池の各単電池から発せられる熱を、各熱交換器の内部を流通する冷媒を介して外部に放出させるようにしている。
特開2012-199149号公報
しかしながら、上記のようなラミネート材を用いた熱交換器では、スペーサー部材が熱交換器の枠部材等から片持ち状態に設けられることがあり、組立から接合までの製造工程でスペーサー部材がぶれ易くなってしまい熱交換流路の幅が不安定となる。特に、小型で熱交換効率が高く、細かい熱交換流路を形成する場合に顕著になる。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、熱交換流路の幅が安定した熱交換器を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]内部の中空部を熱交換媒体が流通する熱交換流路として構成された伝熱部を備え、前記伝熱部の外面に配置された熱交換対象部材と前記熱交換媒体との間で熱交換するようにした熱交換器であって、
前記伝熱部の外面部の少なくとも一部が、金属製の伝熱層の少なくとも片面側に樹脂製の被覆層が設けられたラミネート材である被覆シートによって構成され、
前記熱交換器の外枠を構成する枠部材に対し前記熱交換流路と同一高さの接続部で接合されたスペーサー部材を有し、前記スペーサー部材は前記熱交換流路よりも低い流路内接続部で他の部材と接合されていることを特徴とする熱交換器。
[2]前記流路内接続部が、前記スペーサー部材の先端に設けられている前項1に記載の熱交換器。
[3]前記スペーサー部材の幅が5mm以下である前項1または2に記載の熱交換器。
[4]前記熱交換流路における前記流路内接続部と交差する流路部分の断面方向において、前記流路内接続部の断面積が、前記流路部分の流路面積と前記断面積との和の30%以下である前項1~3のいずれか1項に記載の熱交換器。
[5]前記流路内接続部が、前記熱交換器の厚さ方向の中間位置に設けられている前項1~4のいずれか1項に記載の熱交換器。
[6]前記流路内接続部は、前記熱交換媒体が同一方向に流れる前記熱交換流路に複数設けられている前項1~5のいずれか1項に記載の熱交換器。
[7]前記熱交換流路は、前記伝熱部の一端縁部から他端縁部に向けて延び、かつ並列に複数配置され、
前記枠部材を兼ねるヘッダー部材を有し、前記ヘッダー部材は前記熱交換媒体を流出入させるための配管部材を備え、前記ヘッダー部材と前記配管部材とが一体に成形されている前項1~6のいずれか1項に記載の熱交換器。
[1]の発明によれば、熱交換器の外枠を構成する枠部材に対し熱交換流路と同一高さの接続部で接合されたスペーサー部材を有し、スペーサー部材は熱交換流路よりも低い流路内接続部で他の部材と接合されていることで、組立から接合までの製造工程でスペーサー部材がぶれ難くなるため、スペーサー部材の位置が安定し、熱交換流路を所定の幅にすることができる。
[2]の発明によれば、流路内接続部がスペーサー部材の先端に設けられていることで、ぶれ幅が最も大きくなるスペーサー部材の先端付近を枠部材と接合できるため、流路内接続部をスペーサー部材の先端以外の位置に設ける場合と比べて、熱交換器を組立から接合する製造過程において、スペーサー部材がよりぶれ難くなり熱交換流路の幅を最も安定させることができる。
[3]の発明によれば、スペーサー部材の幅が5mm以下であることで、熱交換流路の幅が大きくなり、熱交換器の外面に配置される熱交換対象部材と熱交換媒体との熱交換面積が大きくなるため、熱交換性能を向上させることができる。
[4]の発明によれば、熱交換流路における流路内接続部と交差する流路部分の断面方向において、流路内接続部の断面積が、流路部分の流路面積と前記断面積との和の30%以下であることで、一定の流路面積を確保することができ、熱交換媒体の流動性に与える影響を小さくすることができるため、熱交換器の熱交換性能を維持することができる。
[5]の発明によれば、流路内接続部が熱交換器の厚さ方向の中間位置に設けられることで、上下の熱交換流路の流路面積は等しくなり、熱交換媒体の流れがどちらかの熱交換流路に偏り難くなるため、熱交換器の上下両面に配置された熱交換対象部材を冷却する際に、均等に冷却し易くなり、熱交換効率を向上させることができる。
また、組立から接合までの製造工程でスペーサー部材がぶれ難くなるため、スペーサー部材の位置が安定し、熱交換流路を所定の幅にすることもできる。
[6]の発明によれば、流路内接続部は熱交換媒体が同一方向に流れる熱交換流路に複数設けられることで、スペーサー部材がぶれ難くなるため、熱交換器の上下両面を熱伝導面とする場合に、その両面に配置される熱交換対象部材の全体を均等に熱交換し易くなり、熱交換効率を向上させることができる。
[7]の発明によれば、枠部材を兼ねるヘッダー部材と配管部材とが一体に成形されることで、熱交換器を製造する際に部品点数を少なくすることができるため、製造コストを抑えることができる。
図1は第1実施形態の熱交換器を示す斜視図である。 図2は第1実施形態の熱交換器を示す図であって、図(A)は平面図、図(B)は図(A)のA-A線における断面図である。なお、図(A)では構造を見易くするため被覆シートを取り除いた状態で示す。 図3は図2(B)の流路内接続部付近を拡大して示す断面図である。 図4は流路内接続部の変形例で図3に相当する図であって、図(A)は流路内接続部が熱交換器の厚さ方向の中央に配置される状態を示す断面図、図(B)は流路内接続部が熱交換流路の対角をつなぐように配置される状態を示す断面図、図(C)は流路内接続部が熱交換器の厚さ方向の両端に配置される状態を示す断面図である。 図5は第2実施形態の熱交換器において被覆シートを取り除いた状態で示す平面図である。 図6は図5の断面を拡大して示す図であって、図(A)は図5のB-B線における断面図、図(B)は図5のC-C線における断面図である。 図7は第3実施形態の熱交換器において被覆シートを取り除いた状態で示す平面図である。 図8は第4実施形態の熱交換器を示す断面図である。 図9は第4実施形態の熱交換器において被覆シートを取り除いた状態で示す斜視図である。
<第1実施形態>
以下の説明においては、発明の理解を容易にするため、図2(A)の上下方向および左右方向を、それぞれ本発明の熱交換器における「縦方向」および「横方向」とする。また、図2(A)の紙面に対し直交する方向(図2(B)の上下方向)を熱交換器の高さ(厚さ)方向とする。なお、本発明の熱交換器においては、実使用時の設置状態(向き)は図2(A)の状態に限定されるものではなく、どのような状態(向き)に配置しても良い。
本発明の熱交換器は、電気自動車等の電動機を駆動するための電力供給用の単電池(バッテリーセル)や組電池(電池パック)等の電池を冷却するものである。
図1に示すように、第1実施形態の熱交換器1は、内部の中空部を熱交換媒体が流通する熱交換流路21として構成された伝熱部2を備えている。
本発明の伝熱部は、その外面に配置された熱交換対象部材と熱交換媒体との間での熱交換に寄与するところである。
なお、熱交換対象部材とは、例えば、上述した単電池(バッテリーセル)や組電池(電池パック)等の電池のことである。
図1に示すように、第1実施形態の伝熱部2は、熱交換器1の外枠を構成する枠部材3と、枠部材3内側に設けられるスペーサー部材5と、伝熱部2の外面部に設けられる被覆シート6とを備えている。
図1および図2に示すように、第1実施形態の枠部材3は、長手方向に配置された横枠部材31と、この横枠部材31に直交するように配置された縦枠部材32とにより長方形状に形成されるものであり、横枠部材31と縦枠部材32とは一体に成形されている。
また、第1実施形態の枠部材3は長方形状に形成されているが、正方形状であってもよく、さらに、これらの形状に限らず、熱交換器1内部に熱交換媒体Lが流れる形状であればよい。
なお、熱交換媒体Lとしては冷却水あるいは不凍液等の冷却液を用いることができる。
また、図1および図2(A)に示すように、枠部材3の内側にスペーサー部材5が設けられている。
本発明のスペーサー部材は熱交換器の厚みを保持し、熱交換器内部に配置されることで、その内部に熱交換媒体が流通する複数の熱交換流路を形成するものである。
また、スペーサー部材は熱交換器が複数の組電池等の間に配置されて、これらの電池が膨らまないように加圧する際に熱交換器がつぶれないようにする補強部材としての機能も有しており、圧縮応力などに対して熱交換流路の流路断面を十分に確保でき、内部を流通する熱交換媒体の流動特性の向上に寄与するものでもある。
このような本発明のスペーサー部材は、熱交換器の外枠を構成する枠部材に対し熱交換流路と同一高さの接続部で接合され、熱交換流路よりも低い流路内接続部で他の部材と接合されていることを特徴とする。
第1実施形態のスペーサー部材5は、図1および図2(A)に示すように、長手方向の一端に熱交換流路21と同一高さの接続部51を有し、この接続部51で縦枠部材32と接合されている。
また、図1および図2(B)に示すように、スペーサー部材5は長手方向の先端(他端)に熱交換流路21よりも低い流路内接続部52を有し、この流路内接続部52で縦枠部材32と接合されている。
このように、流路内接続部52がスペーサー部材5の先端に設けられていることで、ぶれ幅が最も大きくなるスペーサー部材5の先端付近を枠部材3(縦枠部材32)と接合できるため、流路内接続部52をスペーサー部材5の先端以外の位置に設ける場合と比べて、熱交換器1を組立から接合する製造過程において、スペーサー部材5がよりぶれ難くなるため、熱交換流路21の幅を最も安定させることができる。
この第1実施形態では、流路内接続部52がスペーサー部材5の先端に設けられているが、これに限らず、先端以外の位置に設けてもよい。例えば、流路内接続部52は、その一端がスペーサー部材5の長手方向の途中に接合され、他端が横枠部材31と接合されるように設けてもよい。さらに、2つの熱交換流路21内に、それぞれ流路内接続部52を1つずつ設けるようにしてもよい。
また、第1実施形態では、図2(A)に示すスペーサー部材5の幅Wが5mm以下に形成されている。中でも、この幅Wは3mm以下に形成されていることが好ましい。
このように、スペーサー部材5の幅Wを5mm以下とすることで、熱交換流路21の幅が大きくなり、熱交換流路21(熱交換器1)の外面に配置される熱交換対象部材と冷却液Lとの熱交換面積が大きくなるため、熱交換性能を向上させることができる。
また、第1実施形態では、熱交換流路21における流路内接続部52と交差する流路部分の断面方向において、流路内接続部52の断面積S1が、流路部分の流路面積S2と断面積S1との和の30%以下となっている。
ここで、図3は図2(B)の流路内接続部52付近を拡大して示す断面図であり、この図3における流路内接続部52の断面積がS1であり、熱交換流路21の断面積が流路面積S2である。つまり、第1実施形態では、S1がS1+S2の30%以下となっている。また、S1はS1+S2の20%以下であることがより好ましい。
このように、S1がS1+S2の30%以下となる構成とすることで、一定の流路面積S2を確保することができ、冷却液Lの流動性に与える影響を小さくすることができるため、熱交換器1の熱交換性能を維持することができる。
また、図3に示すように、第1実施形態の流路内接続部52はスペーサー部材5の下端部に設けられているが、これに限らず、図4(A)~(C)に示すように、流路内接続部52を設けてもよい。
図4(A)に示すように、流路内接続部52は、熱交換器1の厚さT方向の中間位置に設けてもよい。この場合における流路面積S2とは、上側の熱交換流路21の流路面積と下側の熱交換流路21の流路面積との和である。
このような構成とすることで、上下の熱交換流路21の流路面積は等しくなり、冷却液Lの流れがどちらかの熱交換流路21に偏り難くなるため、熱交換器1の上下両面に配置された熱交換対象部材を冷却する際に、均等に冷却し易くなり、熱交換効率を向上させることができる。
また、組立から接合までの製造工程でスペーサー部材5がぶれ難くなるため、スペーサー部材5の位置が安定し、熱交換流路21を所定の幅にすることもできる。
また、図4(B)に示すように、流路内接続部52は、スペーサー部材5の上端部から縦枠部材32の下端部に向かって対角状に設けてもよい。この場合における流路面積S2も、上側の熱交換流路21の流路面積と下側の熱交換流路21の流路面積との和である。なお、図示していないが、流路内接続部52は、スペーサー部材5の下端部から縦枠部材32の上端部に向かって対角状に設けてもよい。
また、図4(C)に示すように、流路内接続部52は、熱交換流路21の上端部および下端部の両端部に設けてもよい。この場合における断面積S1とは、上端部に設けた流路内接続部52の断面積と下端部に設けた流路内接続部52の断面積との和である。
この図4(C)では、2つの流路内接続部52が上端部および下端部の両端部に設けられているが、これに限らず、図4(C)において、3つ以上の流路内接続部52を厚さT方向に適当な間隔で配置するようにしてもよい。なお、この場合においても、断面積S1は設けられた流路内接続部52の断面積の総和として求められる。
このように、流路内接続部52は熱交換流路21を閉塞することがないように設けられており、熱交換器1の厚さT方向に複数の流路内接続部52を適当な間隔で設けることで、熱交換器1の厚さT方向の強度をより向上させることができる。
また、第1実施形態では、スペーサー部材5が、一体に成形された枠部材3の縦枠部材32と接合され、スペーサー部材5および枠部材3が熱交換器1の骨格部材としての役割も担っており、この骨格部材は熱交換流路21の高さを保持する補強部材としても機能している。
なお、スペーサー部材5および枠部材3は、例えば、硬質合成樹脂によって構成されており、スペーサー部材5と縦枠部材32とは熱融着等によって接着固定されている。
このように、第1実施形態では、スペーサー部材5が上述のような構成を有していることで、図1に示すように、熱交換器1内部に2つの熱交換流路21が形成されており、この2つの熱交換流路21を上下両方向から覆うように被覆シート6が設けられている。
本発明の被覆シートは、金属製の伝熱層の少なくとも片面側に樹脂製の被覆層が設けられたラミネート材からなり、伝熱部の外面部の少なくとも一部として構成されるものである。
また、被覆シートに用いられるラミネート材は、伝熱層の少なくとも片面側に樹脂製の被覆層が形成された少なくとも2層以上の構造であればよく、3層構造、4層以上の構造であってもよい。
第1実施形態の被覆シート6は、アルミニウム箔等の金属箔製の伝熱層と、その伝熱層の両面に積層一体化された熱可塑性樹脂製の被覆層とで構成されたラミネート材によって構成されている。
図1に示すように、第1実施形態では、熱交換器1の骨格部材を構成している枠部材3とスペーサー部材5とを2枚の被覆シート6で上下から挟み込むように被覆し、2枚の被覆シート6の外周縁部を枠部材3の外周縁部と重ね合わせ、2枚の被覆シート6と、枠部材3およびスペーサー部材5の上下両面との接触部分を熱融着等によって接着することで、枠部材3およびスペーサー部材5からなる骨格部材の全域が被覆シート6によって被覆されている。
また、図1に示すように、第1実施形態では被覆シート6の一端部に、この被覆シート6を貫通する出入口4が2つ設けられている。
本発明の出入口は、熱交換媒体を熱交換器内部に流出入させるためのものである。
図1および図2に示すように、第1実施形態では、2つの出入口4が上側の被覆シート6の一端部に設けられている。
第1実施形態の熱交換器1では、図2(A)に示すように、下側の出入口4から熱交換流路21内部に冷却液Lが流入し、矢印方向に沿って流れ、上側の出入口4から流出する。このようにして、熱交換流路21内部に冷却液Lを循環させて、その循環する冷却液Lと熱交換器1の外面に配置される熱交換対象部材との間で被覆シート6を介して熱交換させることによって、熱交換対象部材を冷却している。
なお、冷却液Lは上側の出入口4から流入され、下側の出入口4から流出されるようにしてもよい。
以上のように、第1実施形態の熱交換器1は、熱交換器1の外枠を構成する枠部材3に対し熱交換流路21と同一高さの接続部51で接合されたスペーサー部材5を有し、スペーサー部材5は熱交換流路21よりも低い流路内接続部52で他の部材(縦枠部材32)と接合されていることで、組立から接合までの製造工程でスペーサー部材5がぶれ難くなるため、スペーサー部材5の位置が安定し、熱交換流路21を所定の幅にすることができる。
<第2実施形態>
図5は第2実施形態の熱交換器1において被覆シート6を取り除いた状態で示す平面図、図6(A)は図5のB-B線における断面図、図6(B)は図5のC-C線における断面図である。
図5に示すように、第2実施形態では、冷却液Lが左方向から右方向へ流れる下側熱交換流路21内および右方向から左方向へ流れる上側熱交換流路21内に、それぞれ2つの流路内接続部52が設けられており、全ての流路内接続部52は横枠部材31に接合されている。
図5のB-B線の位置における流路内接続部52は、図6(A)に示すように、上側熱交換流路21内の下端部および下側熱交換流路21内の上端部に配置されている。
一方、図5のC-C線の位置における流路内接続部52は、図6(B)に示すように、上側熱交換流路21内の上端部および下側熱交換流路21内の下端部に配置されている。
このように、上側および下側熱交換流路21内のそれぞれにおいて、流路内接続部52は上端部および下端部に交互に配置されているが、必ずしも交互に配置する必要はない。
すなわち、上側熱交換流路21内において2つの流路内接続部52のうち、一方が上端部に、他方が熱交換器1の厚さT方向の中間位置に配置され、下側熱交換流路21内において2つの流路内接続部52のうち、一方が下端部に、他方が熱交換器1の厚さT方向の中間位置に配置されていてもよい。
さらに第2実施形態においても第1実施形態と同様に、流路内接続部52を図4(A)~(C)に示すように設けてもよいが、第2実施形態では、流路内接続部52を上端部と下端部とに交互に設ける、あるいは図4(A)のように熱交換器1の厚さT方向の中間位置に設けることが好ましい。このように設けることで、熱交換器1のバランスを取ることができるためである。
また、第2実施形態では、上側および下側熱交換流路21内における2つの流路内接続部52は、スペーサー部材5の横方向の距離を3等分する位置に設けられているが、必ずしも3等分する位置に設ける必要はない。
例えば、それぞれの熱交換流路21内において、スペーサー部材5の横方向の中間位置とスペーサー部材5の右端部付近に設けるようにしてもよい。
また、図5に示すように、上側および下側熱交換流路21内に設けられる流路内接続部52は縦方向の同じ位置に設けられているが、これに限らず、縦方向の異なる位置に設けてもよい。
また、第2実施形態では、上側および下側熱交換流路21内に流路内接続部52が2つずつ設けられているが、上側および下側熱交換流路21内に設ける流路内接続部52の数は、2つずつに限らず、3つずつ以上であってもよい。
また、上側および下側熱交換流路21内における流路内接続部52は異なる数であってもよく、さらに、上側および下側熱交換流路21のうちのいずれか1つの熱交換流路21内のみに、複数の流路内接続部52を設けるようにしてもよい。
この第2実施形態の熱交換器1における他の構成は、上記第1実施形態の熱交換器1と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
このように、第2実施形態の流路内接続部52は、冷却液Lが同一方向に流れる熱交換流路21に複数設けられていることで、スペーサー部材5がぶれ難くなるため、熱交換器1の上下両面を熱伝導面とする場合に、その両面に配置される熱交換対象部材の全体を均等に熱交換し易くなり、熱交換効率を向上させることができる。
また、スペーサー部材5と枠部材3とが複数の流路内接続部52を介して接合されているため、内圧に対して熱交換流路21の幅方向(図5の縦方向)の強度を向上させることもできる。
また、第2実施形態の熱交換器1においても上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
図7は第3実施形態の熱交換器1において被覆シート6を取り除いた状態で示す平面図である。
図7に示すように、第3実施形態においては、2つの出入口4が熱交換器1の対角上となる左上端部と右下端部とに配置され、4つのスペーサー部材5が横枠部材31に平行となるように設けられることで、5つの熱交換流路21が形成されている。
また、流路内接続部52は隣り合うスペーサー部材5の間に設けられており、流路内接続部52の両端はこれらのスペーサー部材5と接合されている。
そして、第3実施形態の熱交換器1では、左上端部の出入口4から流入した冷却液Lが、熱交換器1の長手方向に複数回流通し、右下端部の出入口4から流出することで、熱交換器1の上下両面あるいは片面に配置された熱交換対象部材と冷却液Lとの間で熱交換を行っている。
なお、冷却液Lは右下端部の出入口4から流入され、左上端部の出入口4から流出されるようにしてもよい。
また、第3実施形態では4つのスペーサー部材5を用いているが、これに限らず、2つまたは3つのスペーサー部材5を用いるようにしてもよく、さらには5つ以上のスペーサー部材5を用いるようにしてもよい。
この第3実施形態の熱交換器1における他の構成は、上記第1実施形態の熱交換器1と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
また、第3実施形態の熱交換器1においても上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第4実施形態>
図8は第4実施形態の熱交換器1を示す断面図、図9は第4実施形態の熱交換器1において被覆シート6を取り除いた状態で示す斜視図である。
図8および図9に示すように、第4実施形態の熱交換器1は伝熱部2と、ヘッダー部材7とを備えている。
このヘッダー部材7は枠部材3を兼ねている。すなわち、図9に示すように、ヘッダー部材7は、縦枠部材32および上下の横枠部材31の一端部として形成されている。また、ヘッダー部材7は縦方向に連続して延びる角管形状で伝熱部2側に向けて開放する開口部73が形成されている。
さらに、ヘッダー部材7は、その長さ方向(縦方向)の中央位置で内部が中央スペーサー部材5によって仕切られており、この中央スペーサー部材5よりも縦方向の一方側半分(図9の上側半分)が上流側ヘッダー部材71として構成されるとともに、他方側半分(図9の下側半分)が下流側ヘッダー部材72として構成されている。
また、上流側および下流側ヘッダー部材71,72の上面側には、出入口4がそれぞれ形成されており、これらの出入口4を介して熱交換器1内部に冷却液Lを流出入させるための配管部材91がそれぞれ備えられている。
また、これらの配管部材91の一端は、上流側および下流側ヘッダー部材71,72に一体に成形されており、図8に示すように、被覆シート6における配管部材91に対応する位置に配管部材挿通孔92が形成され、配管部材91の他端が挿通孔92を介して被覆シート6の外側に引き出され、上流側および下流側ヘッダー部材71,72の上面側に突出している。
第4実施形態ではヘッダー部材7と隣接するように伝熱部2が形成されており、伝熱部2は枠部材3と、枠部材3内側に設けられる3つのスペーサー部材5と、伝熱部2の外面部に設けられる被覆シート6により構成されている。
これらのスペーサー部材5は流路内接続部52で縦枠部材32と接合されており、これらのスペーサー部材5のうち、中央スペーサー部材5は接続部51先端の全面でヘッダー部材7内部と接合され、上側および下側スペーサー部材5は接続部51の上端部および下端部でヘッダー部材7の開口部73と接合されている。この際、上流側および下流側ヘッダー部材71,72の内部は、上側および下側スペーサー部材5により遮られることがないように構成されている。
このように、スペーサー部材5の接続部51は、その先端の全面で枠部材3と接合されているものに限らず、接続部51の上端部および下端部のみで枠部材3と接合されているものであってもよい。
また、第4実施形態では、3つのスペーサー部材5が設けられていることで、4つの熱交換流路21が伝熱部2の一端縁部から他端縁部に向けて延びかつ並列に形成されており、ヘッダー部材7がこれらの熱交換流路21に沿って配置されるものとなっている。
このように、第4実施形態では、ヘッダー部材7、枠部材3およびスペーサー部材5によって熱交換器1の骨格部材が形成されており、この骨格部材の全域は2枚の被覆シート6で上下両側から被覆され、図8に示すように、2枚の被覆シート6の両端縁部が熱融着等によって接着固定されることで、熱交換器1が形成されている。
この第4実施形態の熱交換器1における他の構成は、上記第1実施形態の熱交換器1と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
この第4実施形態の熱交換器1では、伝熱部2の外面部と接触するように熱交換対象部材が配置され、冷却液Lが配管部材91および出入口4を介して上流側ヘッダー部材71内に流入すると、その冷却液Lが上流側ヘッダー部材71内で分流し、図9の2つの上側熱交換流路21を流通する。その後、冷却液Lは図9の2つの下側熱交換流路21を流通し、下流側ヘッダー部材72内で合流した後、出入口4および配管部材91を介して流出する。こうして各熱交換流路21内を冷却液Lが循環する一方、その循環する冷却液Lと伝熱部2の外面部に配置される熱交換対象部材との間で被覆シート6を介して熱交換することによって、熱交換対象部材が冷却される。
以上のように、第4実施形態の熱交換器1は枠部材3を兼ねるヘッダー部材7と配管部材91とが一体に成形されていることで、部品点数を少なくして熱交換器1を製造できるため、製造コストを下げることができる。
また、第4実施形態の熱交換器1は、横方向の一端縁部に上流側および下流側ヘッダー部材71,72を直列に並べた構成であるため、配管部材91を熱交換器1の一端縁部に集約して配置でき、熱交換器1をよりコンパクトに製造することができる。
また、第4実施形態の熱交換器1は、ヘッダー部材7を横方向の一端縁部のみに配置するだけでよく、他端縁部を熱交換流路21として利用できるため、伝熱部2の伝熱面積を拡大することができ、より一層効率良く熱交換することができる。
また、第4実施形態の熱交換器1においても上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
本発明の熱交換器は、例えばハイブリッド自動車、電気自動車等に採用される電動機駆動用バッテリー装置等の発熱体を冷却するための冷却装置として好適に用いることができる。
1:熱交換器
2:伝熱部
3:枠部材
5:スペーサー部材
6:被覆シート
7:ヘッダー部材
21:熱交換流路
51:接続部
52:流路内接続部
71:上流側ヘッダー部材
72:下流側ヘッダー部材
73:開口部
L:熱交換媒体(冷却液)
S1:断面積
S2:流路面積
T:熱交換器の厚さ

Claims (7)

  1. 内部の中空部を熱交換媒体が流通する熱交換流路として構成された伝熱部を備え、前記伝熱部の外面に配置された熱交換対象部材と前記熱交換媒体との間で熱交換するようにした熱交換器であって、
    前記伝熱部の外面部の少なくとも一部が、金属製の伝熱層の少なくとも片面側に樹脂製の被覆層が設けられたラミネート材である被覆シートによって構成され、
    前記熱交換器の外枠を構成する枠部材に対し前記熱交換流路と同一高さの接続部で接合されたスペーサー部材を有し、前記スペーサー部材は前記熱交換流路よりも低い流路内接続部で他の部材と接合されていることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記流路内接続部が、前記スペーサー部材の先端に設けられている請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記スペーサー部材の幅が5mm以下である請求項1または2に記載の熱交換器。
  4. 前記熱交換流路における前記流路内接続部と交差する流路部分の断面方向において、前記流路内接続部の断面積が、前記流路部分の流路面積と前記断面積との和の30%以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の熱交換器。
  5. 前記流路内接続部が、前記熱交換器の厚さ方向の中間位置に設けられている請求項1~4のいずれか1項に記載の熱交換器。
  6. 前記流路内接続部は、前記熱交換媒体が同一方向に流れる前記熱交換流路に複数設けられている請求項1~5のいずれか1項に記載の熱交換器。
  7. 前記熱交換流路は、前記伝熱部の一端縁部から他端縁部に向けて延び、かつ並列に複数配置され、
    前記枠部材を兼ねるヘッダー部材を有し、前記ヘッダー部材は前記熱交換媒体を流出入させるための配管部材を備え、前記ヘッダー部材と前記配管部材とが一体に成形されている請求項1~6のいずれか1項に記載の熱交換器。
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