JP7304473B2 - 複合成形体、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂成形体の表面に、厚みの薄い架橋ゴム層が形成された複合成形体とその
製造方法(又は成形方法)に関する。
熱可塑性樹脂組成物の成形体と、ゴム組成物のゴム部材とを直接的に接着・複合化させ
る方法として、両者の相溶性を利用する方法、成形体の反応基とゴム部材の反応基とを反
応させる方法、ゴム組成物の架橋剤としての過酸化物から発生するラジカルを利用する方
法などが知られている。
前記相溶性を利用する方法として、例えば、特開平9-124803号公報(特許文献
1)には、アクリロニトリル含有熱可塑性樹脂と、アクリロニトリル含有ゴムとを加熱密
着させて複合部材を得ることが提案されている。また、オレフィン系樹脂とゴム(EPDM)
とを共押し出し成形し、オレフィン系樹脂部材とゴム部材とを相溶化させて複合化するこ
とも知られている。しかし、これらの方法では、ゴム組成物をシート状に成形することは
可能であっても、厚みの薄いゴム層を形成することが困難である。すなわち、ゴム層の厚
みを小さくするため、押出成形しても、ゴム組成物の流動性が低く脈動するため、厚みが
50μm以下であり、かつ均一なゴム層を形成することは困難である。しかも、熱可塑性
樹脂とゴムとが相溶性を有する成分に限定されるため、汎用性に乏しく、広い範囲で、熱
可塑性樹脂と薄膜ゴム層とを接合させることが困難である。
前記反応基の反応を利用する方法としては、例えば、特開平3-138114号公報(
特許文献2)には、末端アミノ基を有するポリアミド系樹脂と、カルボキシル基又は酸無
水物基含有ゴム組成物(過酸化物と加硫活性化剤とアルコキシシラン化合物とを含む)と
を加硫させて複合体を製造することが記載されている。特開2005-36147号公報
(特許文献3)には、アミノ基を有する樹脂エレメントと、酸変性ゴムを含む加硫ゴム部
材に、アミノ基を有する樹脂組成物を射出成形し、樹脂エレメントと加硫ゴム部材とを直
接接合させることが記載されている。しかし、これらの方法も、前記相溶性を利用する方
法と同様の課題があるだけでなく、さらに、アミノ基とカルボキシル基又は酸無水物基と
の反応を利用するため、樹脂及びゴムの種類が大きく制約される。
前記ラジカルを利用する方法として、特開2002-273826号公報(特許文献4
)には、ラジカル発生剤を含む未加硫ゴム部材と、半経験的分子軌道法により算出される
軌道相互作用エネルギー係数Sが0.006以上の水素原子を所定の濃度で含む熱可塑性
樹脂(末端アミノ基を含む熱可塑性樹脂など)を含む樹脂部材とを接触させ、未加硫ゴム
部材をラジカル発生剤で加硫し、加硫ゴム部材と樹脂部材とが直接接合した複合体が記載
されている。特開2011-110105号公報(特許文献5)には、ポリアミド樹脂シ
ートを介して、スタッドとしての架橋ゴム層と、ソールとしての熱可塑性エラストマー層
とが積層された靴底用複合成形体に関し、金型内に所定のアミノ基濃度及び引張り弾性率
を有するポリアミド樹脂シートを配置し、このシートの一方の面に、未架橋ゴムと過酸化
物と架橋助剤とを含む未架橋ゴム組成物を溶融して接触させ、この未架橋ゴム組成物を加
熱して架橋させて前記複合成形体を形成することが記載されている。しかし、これらの方
法でも、前記と同様に、予めゴム組成物を成形して加硫させるため、薄膜のゴム層を樹脂
部材に形成することができない。
なお、これらの方法において、ゴム組成物のトランスファー成形を利用することも考え
られるものの、ゴムの粘度や成形性、金型の構造などの点から、薄膜のゴム層を形成する
ことは実質的に不可能である。
ゴム層の厚みを薄くできる方法としてカレンダー成形法が知られているものの、このカ
レンダー成形による薄肉成形の限界は50μm程度であり、しかも均一なゴムの薄膜を樹
脂成形体に形成することは困難であり、特に、前記厚みよりも薄いゴム層を樹脂成形体と
複合化することが不可能である。
特開平9-124803号公報(特許請求の範囲) 特開平3-138114号公報(特許請求の範囲) 特開2005-36147号公報(特許請求の範囲) 特開2002-273826号公報(特許請求の範囲) 特開2011-110105号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、樹脂成形体に対して薄膜の架橋ゴム層が直接的に密着して形
成された複合成形体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、架橋ゴム層が薄膜であっても、樹脂成形体に対して、高い密着力
で密着して、耐久性に優れた複合成形体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、樹脂成形体に対して薄膜の架橋ゴム層を形成する方法について検討した
結果、ゴムラテックスに有機過酸化物を添加して、樹脂成形体に塗布すると、未架橋ゴム
層の厚みを大きく低減できること、未架橋ゴム層を架橋させると、有機過酸化物から発生
するラジカルの作用により、樹脂成形体との密着性が大きく向上し、均一で厚みの薄い架
橋ゴム層が樹脂成形体と一体化した複合成形体が得られることを見いだした。さらに、架
橋ゴム層の厚みが小さくなると、剥離力を架橋ゴム層の厚みで吸収できなくなるためか、
樹脂成形体に対する架橋ゴム層の密着力が低下することも見いだした。本発明はこのよう
な知見に基づき、さらに検討を加え、完成したものである。
すなわち、本発明の複合成形体は、樹脂成形体と、この成形体の表面に接合した架橋ゴ
ム層とを含んでおり、前記成形体には薄膜(例えば、厚み1~30μm、好ましくは5~
25μm程度)の架橋ゴム層(又は塗膜状の架橋ゴム層)が接合している。薄膜の架橋ゴ
ム層は、通常、接着剤を用いることなく、前記成形体の表面に直接的に接合している。
前記樹脂成形体は、アミノ基を有する熱可塑性樹脂、例えば、少なくともアミノ基を有
するポリアミド系樹脂を含んでいてもよい。このポリアミド系樹脂は、例えば、脂肪族ポ
リアミド、脂環族ポリアミド、芳香族ポリアミド、及びポリアミドエラストマーから選択
された少なくとも一種であってもよく、アミノ基濃度5~300mmol/kgを有して
いてもよい。例えば、ポリアミド系樹脂は、C8-18アルキレン鎖を含み、アミノ基濃
度は、20~250mmol/kg程度であってもよい。
このような樹脂成形体の形態は特に制限されず、例えば、一次元、二次元又は三次元的
形状の成形体(すなわち、線状、面状又は立体形状の成形体)であってもよい。
前記架橋ゴム層は、スチレン-ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン系ゴ
ム、クロロプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、これらのカルボキシル基
変性ゴム並びに(メタ)アクリル酸エステル変性ゴムから選択された少なくとも一種のゴ
ム成分を含んでいてもよい。また、架橋ゴム層は、少なくとも過酸化物で架橋された過酸
化物架橋ゴム層であってもよく、さらに共架橋剤で架橋されていてもよい。
前記複合成形体は、前記成形体の表面に、少なくともゴム成分と過酸化物とを含む液状
組成物(分散状又は溶液状の形態の塗布組成物)を適用し、前記成形体に形成された未架
橋ゴム層(被覆層)を架橋させることにより製造できる。
液状組成物が、少なくともゴムラテックス及び過酸化物を含んでいてもよい。すなわち
、ゴム成分は、ゴムラテックスのゴム成分であってもよい。ゴム成分100質量部に対す
る過酸化物の割合は0.3~3質量部、好ましくは0.5~3質量部程度であってもよい
。前記液状組成物(又は塗布組成物)は、さらに、共架橋剤、例えば、アルキレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、アル
カンポリオールポリ(メタ)アクリレート、トリアリル(イソ)シアヌレート、アレーン
ビスマレイミド、(メタ)アクリル酸多価金属塩から選択された少なくとも一種を含んで
いてもよい。このような共架橋剤の使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~
3質量部、好ましくは0.2~2.5質量部程度であってもよい。架橋剤と共架橋剤との
質量割合は、前者/後者=0.5/1~5/1程度であってもよい。
本発明では、液状組成物(塗布組成物)を利用して、樹脂成形体の表面に薄膜の未架橋
ゴム層を形成でき、過酸化物からのラジカル反応を利用して架橋ゴム層を樹脂成形体に対
して密着して形成できる。特に、未架橋ゴム層の架橋においてラジカルを作用させるため
、架橋ゴム層の厚みが小さくても、樹脂成形体に対して高い密着性で架橋ゴム層を形成で
きる。
本発明の複合成形体の樹脂成形体は、熱又は光硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物、熱
可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物のいずれで形成してもよく、通常、熱可塑性樹脂組
成物で形成される。
熱可塑性樹脂の種類は特に制限されず、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹
脂、ポリプロピレン系樹脂、変性又は共重合オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂な
ど)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン系樹脂(AS樹脂)
などのスチレン系単量体の単独又は共重合体、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂、アクリロニ
トリル-スチレン-ブタジエン系樹脂(ABS樹脂)などのゴム強化スチレン系樹脂など
)、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂(又はその誘導体、例えば、ポリビニル
アルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂など)、塩化ビニル系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポ
リエチレンナフタレート系樹脂などのポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアリレート
系樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ケトン系樹脂、ポリウレタ
ン系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポ
リフェニレンエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン
系樹脂など)、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン樹
脂、ポリエーテルスルホン系樹脂など)、液晶プラスチック(液晶性芳香族ポリエステル
系樹脂など)、熱可塑性エラストマー(オレフィン系エラストマー、スチレン系エラスト
マー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラス
トマー、フッ素系エラストマーなど)などが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は単独で
又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度は、熱可塑性樹脂の種類に応じて、例えば、-
125℃~350℃(例えば、-50℃~300℃)程度の範囲から選択でき、100~
300℃(例えば、125~280℃)、好ましくは150~275℃(例えば、170
~270℃)、さらに好ましくは180~260℃(例えば、200~250℃)程度で
あってもよい。
熱可塑性樹脂は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基などの官能基(反応性基
)を有していてもよく、例えば、末端にカルボキシル基を有していてもよい芳香族ポリエ
ステル樹脂(ポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアリレート系樹脂など)などを含ん
でいてもよい。好ましい熱可塑性樹脂は、ラジカルに対する活性部位(硫黄原子、アレー
ン環に置換していてもよいメチル基、メチン基、カルボニル基又はアミノ基に隣接する活
性メチレン基、アミノ基など)を有していてもよく、例えば、メチル基を有する樹脂(ポ
リプロピレン系樹脂など)、フェニレン基に隣接して硫黄原子を有する樹脂(ポリフェニ
レンスルホン系樹脂などのポリスルホン系樹脂)、フェニレン基に置換したメチル基を有
する樹脂(ポリフェニレンエーテル系樹脂(ポリ(2,5-ジメチルフェニレン)エーテ
ル)などのポリエーテル系樹脂)、アミノ基及び/又はカルボキシル基を有するポリアミ
ド系樹脂、特に、アミノ基及び/又はアミノ基に隣接するメチレン基を有するポリアミド
系樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂は、アミノ基を有する熱可塑性樹脂、例えば、
少なくともアミノ基を有するポリアミド系樹脂を含んでいるのが好ましい。
ポリアミド系樹脂には、ポリアミド樹脂(ホモ又はコポリアミド樹脂を含む)とポリア
ミドエラストマー(ポリアミドブロック共重合体)とが含まれ、下記(a)~(c)のい
ずれかのアミド形成成分で形成できる。
(a)アルキレンジアミン成分とアルカンジカルボン酸成分とを組み合わせた第1のア
ミド形成成分;
(b)ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分のうち少なくとも一方の成分からなる第
2のアミド形成成分;
(c)第1のアミド形成成分及び第2のアミド形成成分。
すなわち、ポリアミド系樹脂は、前記アミド形成成分(a)~(c)のいずれか(第1
のアミド形成成分;第2のアミド形成成分;第1のアミド形成成分と第2のアミド形成成
分との組み合わせ)で形成でき、ポリアミドエラストマーは上記(a)~(c)のいずれ
かのアミド形成成分で形成されたポリアミドを用いて調製できる。なお、炭素数及び分岐
鎖構造が共通するラクタム成分及びアミノカルボン酸成分は、互いに等価な成分とみなす
ことができる。
ポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂、脂環族ポリアミド、芳香族ポリアミドのい
ずれかであってもよいが、通常、脂肪族ポリアミドである場合が多い。また、コポリアミ
ド樹脂(共重合ポリアミド樹脂)は、例えば、炭素数の異なる第1のアミド形成成分で形
成されたコポリアミド樹脂;炭素数の異なる第2のアミド形成成分で形成されたコポリア
ミド樹脂;第1のアミド形成成分と、第2のアミド形成成分とのコポリアミド樹脂などで
あってもよい。なお、炭素数の異なる第1のアミド形成成分及び/又は第2のアミド形成
成分で形成されたコポリアミド樹脂を第1のコポリアミド樹脂と称し、前記第1及び/又
は第2のアミド形成成分若しくはこれらのアミド形成成分を形成する成分と、共重合成分
(脂環族又は芳香族成分)とのコポリアミド樹脂を第2のコポリアミド樹脂と称する場合
がある。
前記アルキレンジアミン成分としては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカンジ
アミン、ドデカンジアミン、テトラデカンジアミン、オクタデカンジアミンなどのC4-
18アルキレンジアミンなどが例示できる。これらのジアミン成分は単独で又は二種以上
組み合わせて使用できる。好ましいジアミン成分は、少なくともC6-18アルキレンジ
アミン(好ましくはC8-16アルキレンジアミン、特に、ドデカンジアミンなどのC
0-14アルキレンジアミン)を含んでいる。
アルカンジカルボン酸成分としては、例えば、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸
、ドデカン二酸、オクタデカン二酸などのC4-36アルカン-ジカルボン酸(例えば、
8-36アルカン-ジカルボン酸)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は単
独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいジカルボン酸成分は、C8-18
ルカンジカルボン酸(例えば、C10-16アルカンジカルボン酸、好ましくはC12-
14アルカンジカルボン酸など)を含んでいる。
第1のアミド形成成分において、ジアミン成分は、ジカルボン酸成分1モルに対して0
.8~1.2モル、好ましくは0.9~1.1モル程度の範囲で使用できる。
ラクタム成分としては、例えば、ω-オクタンラクタム、ω-ノナンラクタム、ω-デ
カンラクタム、ω-ウンデカンラクタム、ω-ラウロラクタム(又はω-ラウリンラクタ
ム若しくはドデカンラクタム)、ω-トリデカンラクタムなどのC8-20ラクタムなど
が例示できる。アミノカルボン酸成分としては、例えば、ω-アミノデカン酸、ω-アミ
ノウンデカン酸、ω-アミノドデカン酸、ω-アミノトリデカン酸などのC8-20アミ
ノカルボン酸などが例示できる。これらのラクタム成分及びアミノカルボン酸成分も単独
で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましいラクタム成分は、例えば、C8-18ラクタム、好ましくはC10-16ラク
タム(例えば、C10-15ラクタム)、さらに好ましくはC10-14ラクタム(例え
ば、C11-13ラクタム)であり;好ましいアミノカルボン酸成分も上記好ましいラク
タム成分と同様の炭素数を有している。特に、ラクタム成分及び/又はアミノカルボン酸
成分は、少なくともC11-12ラクタム成分及び/又はアミノカルボン酸成分(ウンデ
カンラクタム、ラウロラクタム(又はラウリンラクタム)、アミノウンデカン酸、アミノ
ドデカン酸など)、例えば、炭素数12のラクタム成分及び/又はアミノカルボン酸を含
んでいる場合が多い。
第1のコポリアミド樹脂において、第1のアミド形成成分と、第2のアミド形成成分と
の割合(モル比)は、前者/後者=100/0~0/100の範囲から選択でき、例えば
、90/10~0/100(例えば、80/20~5/95)、好ましくは75/25~
10/90(例えば、70/30~15/85)、さらに好ましくは60/40~20/
80程度であってもよい。
好ましいポリアミド樹脂は、第1及び/又は第2のアミド形成成分として、少なくとも
8-18アルキレン鎖(又は直鎖状アルキレン鎖)、例えば、C8-16アルキレン鎖
(例えば、C9-15アルキレン鎖)、好ましくはC10-14アルキレン鎖(例えば、
11-14アルキレン鎖)、さらに好ましくはC11-13アルキレン鎖(例えば、C
11-12アルキレン鎖)を有する成分を含んでいる。
なお、第1及び/又は第2のアミド形成成分として、前記C8-18アルキレン鎖(又
は直鎖状アルキレン鎖)を有する成分を用いたポリアミド樹脂は、ホモポリアミド樹脂、
又は少なくとも前記C8-18アルキレン鎖を有する成分の共重合体である第1のコポリ
アミド樹脂(例えば、C8-18アルキレン鎖を有し、炭素数の異なる複数の成分の共重
合体;前記C8-18アルキレン鎖を有する成分と、短鎖(前記C4-6アルキレン鎖の
第1及び/又は第2のアミド形成成分との共重合体)であってもよい。
さらに、コポリアミド樹脂は、必要であれば、第1及び/又は第2のアミド形成成分と
共重合可能な共重合成分との共重合体(第2のコポリアミド樹脂)であってもよく、共重
合成分としてのジアミン成分は、脂環族ジアミン成分(ジアミノシクロヘキサンなどのジ
アミノC5-10シクロアルカン;ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4
-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシ
ル)プロパンなどのビス(アミノC5-8シクロアルキル)C1-3アルカンなど;水添
キシリレンジアミンなど)、芳香族ジアミン成分(メタキシリレンジアミンなど)などで
あってもよい。また、共重合成分としてのジカルボン酸成分は、脂環族ジカルボン酸成分
(シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸など
のC5-10シクロアルカン-ジカルボン酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸
、イソフタル酸など)などであってもよい。なお、脂環族ジアミン成分及び/又は脂環族
ジカルボン酸成分を用い、透明ポリアミドなどの脂環族ポリアミド樹脂を形成してもよい
。また、芳香族ジアミン成分(キシリレンジアミンなど)を用い、芳香族ポリアミド樹脂
(例えば、ポリアミドMXD-6)を形成してもよく、芳香族ジカルボン酸成分(テレフ
タル酸など)を用い、芳香族ポリアミド樹脂(テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンを
反応成分とした非結晶性ポリアミドなどのポリアミド樹脂を形成してもよい。
このような成分で形成されたポリアミド樹脂は、ゴム層との密着性に優れており、複合
成形体の表面に均一かつ強靱な架橋ゴム層を形成するのに有用である。
第1及び第2のアミド形成成分の割合は、ポリアミド樹脂の成分全体に対して、70~
100モル%、好ましくは80~100モル%(例えば、85~97モル%)、さらに好
ましくは90~100モル%程度であってもよい。好ましいポリアミド樹脂は、C8-1
アルキレン鎖(好ましくはC8-16アルキレン鎖、さらに好ましくはC10-14
ルキレン鎖、特にC11-13アルキレン鎖)を有する成分の割合が、第1及び第2のア
ミド形成成分の総量に対して、70~100モル%(例えば、75~98モル%)、好ま
しくは80~100モル%(例えば、85~95モル%)、さらに好ましくは90~10
0モル%(例えば、95~100モル%)程度のホモポリアミド樹脂又はコポリアミド樹
脂を含む。特に好ましいポリアミド樹脂は、例えば、C11-13ラクタム及び/又はC
11-13アミノカルボン酸(例えば、ラウロラクタム、アミノウンデカン酸及びアミノ
ドデカン酸)から選択された少なくとも一種をアミド形成成分とするホモ又はコポリアミ
ド樹脂を含む。
なお、ポリアミド樹脂は、少量のポリカルボン酸成分及び/又はポリアミン成分を用い
、分岐鎖構造を導入したポリアミドなどの変性ポリアミドであってもよい。
ポリアミド樹脂は、例えば、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66などであ
ってもよいが、アルキレン鎖の長いポリアミド樹脂であるのが好ましい。このようなポリ
アミド樹脂としては、例えば、ホモポリアミド樹脂(ポリアミド8、ポリアミド9、ポリ
アミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド13、ポリアミド610、ポ
リアミド611、ポリアミド612、ポリアミド911、ポリアミド912、ポリアミド
1010、ポリアミド1012など)、コポリアミド(ポリアミド6/10、ポリアミド
6/11、ポリアミド6/12、ポリアミド10/10、ポリアミド10/12、ポリア
ミド11/12、ポリアミド12/13、ポリアミド12/18、ポリアミド14/18
など)などが例示できる。これらのポリアミド樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使
用できる。なお、ポリアミド樹脂において、スラッシュ「/」で分離された成分は第1又
は第2のアミド形成成分を示している。特に、アルキレン鎖の長いポリアミド樹脂、例え
ば、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6/10、ポリアミド6/11、
ポリアミド6/12、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10、ポリ
アミド11、ポリアミド12などを利用する場合が多い。
ポリアミドエラストマー(ポリアミドブロック共重合体)としては、ハードセグメント
(又はハードブロック)としてのポリアミドセグメント(前記ポリアミド樹脂、例えば、
ポリアミド11,ポリアミド12などに対応するポリアミドセグメント)とソフトセグメ
ント(又はソフトブロック)とで形成されたポリアミドブロック共重合体が挙げられ、ソ
フトセグメントは、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートなどで形成
できる。代表的なポリアミドエラストマーは、ポリアミド-ポリエーテルブロック共重合
体であり、例えば、ポリエーテルアミド[例えば、ジカルボキシル末端のポリアミドブロ
ックとジアミン末端のポリC2-6アルキレングリコールブロック(又はポリオキシアル
キレンブロック)とのブロック共重合体など]などが挙げられる。なお、ポリアミドエラ
ストマーは、エステル結合を有していてもよい。
ソフトセグメントの数平均分子量(ポリスチレン換算)は、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)で測定したとき、例えば、100~10000程度の範囲から
選択でき、500~5000(例えば、500~3000)、好ましくは1000~20
00程度であってもよい。ポリアミドセグメントと、ソフトセグメントとの割合(質量比
)は、例えば、前者/後者=75/25~10/90、好ましくは70/30~15/8
5程度であってもよい。
これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらのポリ
アミド系樹脂のうち、前記ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマーが好ましい。
ポリアミド系樹脂は、ゴム層に対する密着性を高めるため、アミノ基(特に、末端アミ
ノ基)を有しているのが好ましい。ポリアミド系樹脂のアミノ基濃度(単位:mmol/
kg)は、5~300(例えば、20~250)程度の範囲から選択でき、例えば、25
~225(例えば、30~200)、好ましくは40~180(例えば、50~150)
、さらに好ましくは55~150(例えば、60~125)程度であってもよい。ポリア
ミド系樹脂のアミノ基濃度が高いと、樹脂成形体と架橋ゴム層との密着性を大きく向上で
きる。
ポリアミド系樹脂において、カルボキシル基よりもアミノ基の濃度が高いのが好ましい
。ポリアミド系樹脂のカルボキシル基に対するアミノ基の割合(NH2/COOH:モル比)は
、例えば、55/45~100/0(例えば、60/40~95/5)、好ましくは65
/35~100/0(例えば、70/30~90/10)程度であってもよく、60/4
0~85/15程度であってもよい。
なお、アミノ基濃度及びカルボキシル基濃度は、慣用の方法、例えば、滴定法で測定で
きる。例えば、アミノ基濃度は、ポリアミド樹脂(試料)を、フェノールとエタノールと
の体積比で10:1の混合溶媒に溶解して1質量%溶液を調製し、1/100規定HCl
水溶液で中和滴定することにより測定できる。また、カルボキシル基濃度は、ポリアミド
樹脂(試料)をベンジルアルコールに溶解して、1質量%ベンジルアルコール溶液を調製
し、1/100規定KOH水溶液で中和滴定することにより測定できる。
ポリアミド系樹脂は、非晶性であってもよいが、通常、結晶性を有している場合が多い
。ポリアミド系樹脂の結晶化度は、例えば、1~50%(例えば、1~30%)、好まし
くは5~25%、さらに好ましくは10~20%程度であってもよい。なお、結晶化度は
、慣用の方法、例えば、密度や融解熱に基づく測定法、X線回折法、赤外吸収法などによ
り測定できる。
ポリアミド系樹脂の融点は、例えば、150~260℃(例えば、160~250℃)
、好ましくは165~230℃(例えば、170~220℃)程度であってもよく、17
0~235℃(例えば、175~225℃)程度であってもよい。なお、結晶性のポリア
ミド系樹脂の融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定できる。なお、ポリアミド系
樹脂の融点は、DSCで複数のピークが生じる場合、複数のピークのうち高温側のピーク
に対応する温度を意味する。
ポリアミド系樹脂の数平均分子量(単位:×10)は、例えば、0.5~20(例え
ば、0.7~15)程度の範囲から選択でき、0.8~10(例えば、0.9~8)、好
ましくは1~7(例えば、1~5)程度であってもよい。ポリアミド系樹脂の分子量は、
HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィにより、ポリメタクリル酸メチル換算で測定できる。
樹脂組成物は、必要により、種々の添加剤、例えば、安定剤(耐熱安定剤、耐候安定剤
、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、着色剤、充填剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止
剤、シランカップリング剤などを含んでいてもよい。また、樹脂組成物は、補強剤、例え
ば、粉粒状補強剤(炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、シリカ、アルミナ、マ
イカ、クレー、タルク、カーボンブラック、フェライトなど)、繊維状補強剤(レーヨン
、ナイロン、ビニロン、アラミドなどの有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ウ
ィスカーなどの無機繊維など)を含んでいてもよい。好ましい補強剤はガラス繊維などの
繊維状補強剤である。補強剤の含有量は、例えば、樹脂組成物の樹脂100質量部に対し
て、5~50質量部、好ましくは10~40質量部程度であってもよい。添加剤は、単独
で又は2種以上組み合わせて使用できる。
このような樹脂組成物の成形体の形態は特に制限されず、例えば、一次元、二次元又は
三次元的形状の成形体(すなわち、繊維状又は糸状、棒状などの線状体、フィルム、シー
トなどの面状又は板状体、ケーシングなどの立体形状の成形体)であってもよい。また、
線状成形体は、必要であれば、撚り糸などであってもよく、二次元的形状の成形体は、布
帛(織布又は不織布)であってもよい。また、成形体は、種々の成形手段により成形され
た一次成形体(射出成形体、押出成形体、紡糸成形体など)を加工した二次成形体(前記
布帛など)であってもよい。
このような樹脂成形体の表面には、架橋ゴム層が接合している。特に、過酸化物から発
生するラジカルの作用(水素引き抜き反応など)により前記成形体の表面に直接的に又は
共有結合により接合又は接着しているためか、樹脂成形体に対して架橋ゴム層を極めて高
い密着力で接合でき、通常、架橋ゴム層を樹脂成形体から剥離することは困難である。
前記架橋ゴム層のゴム成分の種類は特に制限されず、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、
オレフィン系ゴム、フッ素ゴム、シリコーン系ゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロス
ルホン化ポリエチレン、プロピレンオキシドゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EA
M)、ポリノルボルネンゴム、これらの変性ゴムなどが例示できる。これらのゴム成分は
単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジエン系ゴムには、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、イソブチレ
ン-イソプレンゴム(ブチルゴム)(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエン
ゴム(BR)などのジエン系単量体の重合体;スチレン-ブタジエンゴム(SBR、例え
ば、SBランダム共重合体、SBブロック共重合体など)、スチレン-クロロプレンゴム
(SCR)、スチレン-イソプレンゴム(SIR)などのスチレン-ジエン共重合ゴム;
例えば、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(ニトリルゴム)(NBR)、ニトリル-ク
ロロプレンゴム(NCR)、ニトリル-イソプレンゴム(NIR)などのアクリロニトリ
ル-ジエン共重合ゴムなどが含まれる。ジエン系ゴムには、水添ゴム、例えば、水素添加
ニトリルゴム(HNBR)なども含まれる。
アクリル系ゴムには、アクリル酸アルキルエステルを主成分とするゴム、例えば、アク
リル酸アルキルエステルと塩素含有架橋性単量体との共重合体ACM、アクリル酸アルキ
ルエステルとアクリロニトリルとの共重合体ANM、アクリル酸アルキルエステルとカル
ボキシル基及び/又はエポキシ基含有単量体との共重合体、エチレン-アクリルゴムなど
が例示できる。
オレフィン系ゴムとしては、例えば、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン
-プロピレン-ジエンゴム(EPDMなど)、ポリオクテニレンゴムなどが例示できる。
フッ素ゴムとしては、フッ素含有単量体を用いたゴム、例えば、フッ化ビニリデンとパ
ーフルオロプロペンと必要により四フッ化エチレンとの共重合体FKM、四フッ化エチレ
ンとプロピレンとの共重合体、四フッ化エチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルと
の共重合体FFKMなどが例示できる。
シリコーンゴムとしては、例えば、メチルシリコーンゴム(MQ)、ビニルシリコーン
ゴム(VMQ)、フェニルシリコーンゴム(PMQ)、フェニルビニルシリコーンゴム(
PVMQ)、フッ化シリコーンゴム(FVMQ)などが含まれる。
変性ゴムとしては、カルボキシル基変性ゴム、例えば、カルボキシル化スチレンブタジ
エンゴム(X-SBR)、カルボキシル化ニトリルゴム(X-NBR)、カルボキシル化
エチレンプロピレンゴム(X-EPM)などのカルボキシル基又は酸無水物基を有するゴ
ム;(メタ)アクリル酸エステル変性ゴム、例えば、(メタ)アクリル酸メチル共重合ス
チレンブタジエンゴムなどが含まれる。
ゴム成分は、分散体の形態又は有機溶媒に溶解した溶液の形態で使用してもよい。有機
溶媒としては、ゴム成分の種類に応じて、例えば、炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭
化水素)、エステル系溶媒(酢酸エチルなど)、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトンなど)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフランなど)、スルホキシ
ド系溶媒(ジメチルスルホキシドなど)、アミド系溶媒(ジメチルアセトアミド、N-メ
チルピロリドンなど)などが例示できる。これらの有機溶媒は単独で又は二種以上組み合
わせて使用できる。
好ましいゴム成分は、水性分散体(エマルジョン又はラテックス)の形態、特にゴムラ
テックスのゴム成分である。従来、ゴムラテックスを用いて薄いゴム成形品が作製されて
きたが、過酸化物(有機過酸化物など)を用いてゴムラテックスのゴム成分を架橋させる
ことは知られていない。ましてや、有機過酸化物から発生するラジカルの働きにより、ゴ
ムラテックスを樹脂成形体と複合一体化させた例も知られていない。
ゴムラテックスのゴム成分は、例えば、天然ゴム(NR)又はイソプレンゴム(IR)
、スチレン-ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン系ゴム、クロロプレン系
ゴム、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、これらのカルボキシル基変性ゴム並びに(メ
タ)アクリル酸エステル変性ゴムなどであってもよい。ラテックスは、乳化剤を使用する
ことなく調製されたソープフリーラテックスであってもよい。これらのゴム成分は単独で
又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、SBR(ラテックスのSBRなど)は、結合スチレン含量の低い(例えば、50
質量%未満の)低スチレンラテックス、スチレン含量の高い(50質量%以上の)レジン
ラテックスのいずれであってもよく、レジンラテックスは、スチレン含量が70~80質
量%程度の高スチレンラテックスであってもよく、スチレン含量が50~70質量%程度
の中スチレンラテックスであってもよい。樹脂成形体に架橋ゴム層を形成して摩擦抵抗を
大きくするためには、低スチレンラテックスが有利である。
ゴムラテックスにおいて、ゴム成分粒子の平均粒子径は、例えば、塗膜の均一性を損な
わない限り、1nm~3μm程度の範囲から選択でき、通常、5nm~1μm(例えば、
10~700nm)、好ましくは20~500nm(例えば、50~400nm)程度で
あってもよい。
ゴムラテックスのゴム成分の濃度は、特に制限されず、固形分換算で、例えば、30~
70質量%、好ましくは35~55質量%、さらに好ましくは40~50質量%程度であ
ってもよい。
未架橋ゴム(又は未加硫ゴム)は、少なくとも架橋剤で架橋して架橋ゴム層を形成して
おり、架橋ゴム層は、硫黄加硫により形成してもよいが、通常、過酸化物で架橋して形成
され、過酸化物加硫ゴム層を形成している。
過酸化物(架橋剤)は、ラジカルを発生可能な化合物であればよく、水溶性又は無機過
酸化物、例えば、過酸化水素、過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなど)で
あってもよく、有機過酸化物であってもよい。過酸化物(架橋剤)としては、非水溶性の
過酸化物(有機過酸化物)を用いる場合が多い。
有機過酸化物(又はパーオキサイド)としては、例えば、過酸(過酢酸、過安息香酸、
過クロロ安息香酸など);ハイドロパーオキサイド類(例えば、t-ブチルハイドロパー
オキサイド、t-アミル ハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチ
ル ハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなど);ジアルキルパーオ
キサイド類(例えば、2,2-ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド
、ジt-アミルパーオキサイド、t-ブチル-クミルパーオキサイド、2,5-ジメチル
-2,5-ジ(t-ブチル パーオキシ)ヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキ
シ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブ
チル パーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチル パーオキシ イソプロピル)
ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジベンゾイルパーオキシヘキサンなど);ジアシ
ルパーオキサイド類(例えば、ジt-ブチル パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサ
イド、ジクミル パーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、
ジt-アミル パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-クロロベンゾイ
ル)パーオキサイド、ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイルト
ルイルパーオキサイド、ジトルイルパーオキサイド(ジ(o-メチルベンゾイル)パーオ
キサイド)など);ケトンパーオキサイド類(例えば、メチルエチルケトンパーオキサイ
ドなど);パーオキシカーボネート類(例えば、ジ(2-エチルヘキシル パーオキシ)
ジカーボネート、ジ(イソプロピル パーオキシ)ジカーボネート、t-ブチル パーオキ
シ イソプロピルカーボネート、t-ブチル パーオキシ 2-エチルヘキシルカーボネー
ト、1,6-ビス(t-ブチル パーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、t-アミル パ
ーオキシイソプロピルカーボネート、t-アミル パーオキシ2-エチルヘキシルカーボ
ネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネートなど);パーオキシケター
ル類(例えば、2,2-ビス(t-ブチル パーオキシ)ブタン、2,2-ビス(4,4
-ジt-ブチルパーオキシ シクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオ
キシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)シクロヘキサンなど);ア
ルキルパーエステル類(又はアルキルパーオキシエステル)(例えば、t-ブチル パー
オキシ アセテート、t-ブチル パーオキシイソブチレート、t-ブチル パーオキシ 2
-エチルヘキサノエート、t-ブチル パーオキシ 3,5,5-トリメチルヘキサノエー
ト、t-ブチル パーオキシ ネオヘプタノエート、t-ブチル パーオキシ ネオデカノエ
ート、t-ブチル パーオキシ ピバレート,t-ブチル パーオキシイソナノエート、t-
ブチル パーオキシ ベンゾエート、ジt-ブチル パーオキシ ヘキサハイドロテレフタレ
ート、t-アミル パーオキシアセテート、t-アミル パーオキシ 2-エチルヘキサノ
エート、t-アミル パーオキシ3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-アミル パ
ーオキシビバレート、t-アミル パーオキシネオデカノエート、t-アミル パーオキシ
イソノナノエート、t-アミル パーオキシベンゾエート、クミル パーオキシ ネオデカ
ノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチル パーオキシ 2-エチルヘキサノエート
、1,1,3,3-テトラメチルブチル パーオキシ ネオデカノエート、3-ハイドロキ
シ-1,1-ジメチルブチル パーオキシネオデカノエートなど)などが例示できる。
これらの過酸化物は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。過酸化物としては、ハイ
ドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パー
オキシカーボネート類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類などを用いる場
合が多い。
架橋剤(過酸化物など)の割合は、未架橋ゴム成分が架橋(又は加硫)可能であればよ
く、例えば、ゴム成分(未架橋ゴム成分)100質量部に対して、0.3~3質量部(例
えば、0.5~3質量部)質量部程度の範囲から選択でき、0.6~2.5質量部(例え
ば、0.7~2.2質量部)、好ましくは0.75~2質量部(例えば、0.8~1.7
質量部)程度であってもよく、0.8~3質量部(例えば、1~3質量部、好ましくは1
~2.5質量部)程度であってもよい。架橋剤(過酸化物など)の使用量が少なすぎると
、樹脂成形体に対する密着性が低下しやすく、多すぎると、架橋ゴム層の硬度が高くなり
すぎるためか、樹脂成形体に対する密着性が低下しやすくなる。
架橋ゴム層の厚みが薄くても樹脂成形体に対する密着性を高めるためには、架橋ゴム層
は、さらに共架橋剤で架橋されていてもよい。
共架橋剤(加硫活性剤又は架橋助剤)は、架橋剤の種類などに応じて適宜選択でき、例
えば、多官能性ビニル系又はアリル系単量体(例えば、ジアリルフタレート(DAP)、ト
リアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルトリ
メリテートなど)、多官能性(メタ)アクリル系単量体、多官能性マレイミド系化合物、
(メタ)アクリル酸多価金属塩(亜鉛、マグネシウム塩、カルシウム、バリウム、ストロ
ンチウム、ニッケル、銅、アルミニウム、ネオジウムなどの多価金属と、この多価金属の
価数に対応した複数のメタクリル酸との塩、例えば、ジンクメタクリレート(MAAZn)な
ど)、1,2-ポリブタジエン(1,2-PB)、含硫黄フェノール系化合物(例えば、三新化
学工業(株)製「サンセラーAP」など)などが挙げられる。これらの共架橋剤は単独で
又は二種以上組み合わせて使用できる。
多官能性(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、二官能性(メタ)アクリレート
類[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート(EGDMA)、プロピレングリコールジ(
メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタン
ジオールジ(メタ)アクリレートなどのブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BDDMA
)などのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ
)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGDMA)、ジプロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アク
リレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの
2-4アルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレートなど]、三官能性又は多
官能性(メタ)アクリレート類[グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロール
エタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(
TMPTMA)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテト
ラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのア
ルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート]などが例示できる。
多官能性マレイミド系化合物には、例えば、アレーンビスマレイミド又は芳香族ビスマ
レイミド(N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレン
ジマレイミドなどのフェニレンジマレイミド(PBM)、N,N’-3-メチル-1,4-
フェニレンジマレイミド、ナフタレンジマレイミドなどのアレーンビスマレイミド;4,
4’-ビス(N,N’-マレイミド)ジフェニルメタン、4,4’-ビス(N,N’-マ
レイミド)ジフェニルスルホン、4,4’-ビス(N,N’-マレイミド)ジフェニルエ
ーテルなど)、脂肪族ビスマレイミド(N,N’-1,2-エチレンビスマレイミド、N
,N’-1,3-プロピレンビスマレイミド、N,N’-1,4-テトラメチレンビスマ
レイミドなど)などが例示できる。
好ましい共架橋剤(架橋助剤)は、TAC、TAICなどのトリアリル(イソ)シアヌレート
)、EGDMA、BDDMAなどのC2-10アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(好ま
しくはC2-6アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなど)、PEGDMAなどのポリ
2-4アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(ジ又はトリC2-4アルキレン
グリコールジ(メタ)アクリレートなど)、TMPTMAなどのC3-10アルカンポリオール
ポリ(メタ)アクリレート(例えば、C4-8アルカントリ乃至ヘキサオールポリ(メタ
)アクリレート、好ましくC4-6アルカントリ乃至ヘキサオールトリ又はヘキサ(メタ
)アクリレート)、MAAZnなどの(メタ)アクリル酸多価金属塩)、PBMなどのC6-10
アレーンビスマレイミド(例えば、フェニレンビスマレイミドなど)などが例示できる。
特に、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTMA)、フェニレンビスマ
レイミド(PBM)は、架橋ゴム層の密着性及び耐熱性を高めるのに有用である。
共架橋剤(架橋助剤)の使用量は、架橋剤(過酸化物など)の種類などに応じて選択で
き、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.1~3質量部(例えば、0.2~2.
5質量部)、好ましくは0.25~2.3質量部(例えば、0.25~2.2質量部)程
度であってもよく、0.2~2質量部(例えば、0.25~1.5質量部)、好ましくは
0.3~1.2質量部(例えば、0.35~1質量部)程度であってもよい。共架橋剤を
併用すると、架橋ゴム層が薄くても、樹脂成形体に対する架橋ゴム層の密着性を改善でき
る。
なお、架橋剤と共架橋剤との質量割合は、例えば、前者/後者=0.5/1~5/1(
例えば、0.5/1~4/1)、好ましくは0.7/1~4/1(0.8/1~3.5/
1)、さらに好ましくは0.9/1~3/1程度であってもよく、0.7/1~3.5/
1(例えば、0.75/1~2.5/1)程度であってもよく、0.5/1~2/1(例
えば、0.6/1~1.8/1)程度であってもよい。
未架橋ゴム組成物は、さらに必要に応じて、種々の添加剤、例えば、フィラー[粉粒状
フィラー又は補強剤(マイカ、クレー、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、カーボンブラック、ホワイトカーボン、フェライトなど)、繊維状フィラー又は補
強剤(レーヨン、ナイロン、ビニロン、アラミドなどの有機繊維、炭素繊維、ガラス繊維
などの無機繊維など)など]、軟化剤(リノール酸、オレイン酸、ひまし油、パーム油な
どの植物油;パラフィン、プロセスオイル、エキステンダーなどの鉱物油など)、可塑剤
(フタル酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル、硫黄含有可塑剤、ポリエステル系高
分子可塑剤など)、共架橋剤として機能してもよい金属酸化物(酸化亜鉛、酸化チタンな
どの多価金属酸化物など)、老化防止剤(熱老化防止剤、オゾン劣化防止剤、酸化防止剤
、紫外線吸収剤など)、粘着付与剤、加工助剤、滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属
塩、ワックスなど)、難燃剤、帯電防止剤、着色剤などを含んでいてもよい。これらの添
加剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
架橋ゴム層は薄膜であればよく、架橋ゴム層の厚みは、複合成形体の用途に応じて、1
~50μm(例えば、3~40μm)程度の範囲から選択でき、例えば、1~30μm(
例えば、2~27μm)、好ましくは5~25μm(例えば、7~20μm)、さらに好
ましくは10~15μm程度であってもよく、通常、3~25μm(例えば、4~12μ
m、好ましくは5~10μm)程度であってもよい。
このような架橋ゴム層は、厚みが薄くても、均一に形成されており、高い密着力で樹脂
成形体に接着している。また、架橋ゴム層は、通常、塗膜状の形態(コーティング膜の形
態)を有している。
[複合部材及びその製造方法]
このような複合成形体は、前記樹脂成形体の表面に、少なくともゴム成分と過酸化物と
必要により共架橋剤とを含む液状組成物(溶液状又は分散体の形態の塗布組成物)を塗布
し(又は前記液状組成物で未加硫ゴム層を形成し)、前記成形体に形成された未加硫ゴム
層を架橋又は加熱することにより製造できる。前記液状組成物は、ゴム成分が有機溶媒に
溶解した溶液又は分散体の形態であってもよく、ゴム成分の粒子が分散した分散体の形態
であってもよい。すなわち、液状組成物(又は塗布組成物)は、溶媒の存在下、ゴム成分
と、架橋剤(過酸化物など)と、必要により共架橋剤とを混合することにより調製でき、
溶液状の組成物は、有機溶媒と混合してゴム成分を溶解することにより調製でき、水性分
散体の形態の組成物は、水性ゴムラテックスと上記成分とを混合することにより調製でき
る。好ましい液状組成物は、少なくともゴムラテックス及び過酸化物を含む水性分散体の
形態である。
液状組成物(塗布組成物)は、複合成形体の用途に応じて、樹脂成形体の少なくとも一
部分をコーティングすればよく、樹脂成形体の表面全体をコーティングしてもよく、部分
的にコーティングしてもよい。表面の部分的コーティングにおいては、1又は複数の所定
部位だけをコーティングしてもよく、例えば、平行な線状、交差する線状(格子状など)
の形態、千鳥状に散在した形態などの任意の形態でコーティングしてもよい。
なお、架橋ゴム層の厚みは、液状組成物(塗布組成物)のゴム成分の含有量、粘度、塗
布回数などにより調整できる。また、塗布には、慣用の方法、例えば、デイップコーティ
ング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印
刷などの種々の方式が利用できる。
未架橋ゴム層(又は塗膜)を、乾燥した後、乾燥未架橋ゴム層(又は乾燥塗膜)を加熱
して架橋(又は加硫)させることにより架橋ゴム層(塗膜状の薄膜の架橋ゴム層)を形成
できる。加熱温度は、過酸化物の分解温度に応じて選択でき、例えば、50~200℃、
好ましくは80~180℃、さらに好ましくは100~170℃程度であってもよい。ま
た、加熱時間は、例えば、1~30分、好ましくは2~25分、さらに好ましくは3~2
0分程度であってもよい。
このようにして形成された加硫ゴム層の厚みは、前記の通り薄く、過酸化物から発生す
るラジカルが、樹脂成形体と未加硫ゴム層との界面で作用し、この界面で水素引き抜き反
応、活性化反応などが生じるためか、架橋ゴム層の厚みが薄くても樹脂成形体に対して強
固に密着している。しかも、流動性の低いゴム組成物であっても、液状組成物(塗布組成
物)の形態でコーティングするため、架橋ゴム層は、均一な表面を形成してもよく、表面
も含め均一な厚みに形成できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に
よって限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例では、以下の材料を用いた。
[熱可塑性樹脂]
PA1:ナイロン12エラストマー(ダイセル・エボニック(株)製、アミノ基濃度6
0mmol/kg、カルボキシル基濃度17mmol/kg、融点178℃)
PA2:ナイロン612(ダイセル・エボニック(株)製、アミノ基濃度82mmol
/kg、カルボキシル基濃度23mmol/kg、融点215℃)
PA3:ナイロン612(ダイセル・エボニック(株)製、アミノ基濃度100mmo
l/kg、カルボキシル基濃度22mmol/kg、融点215℃)
PA2GF20:ナイロン612(アミノ基濃度81mmol/kg、カルボキシル基
濃度21mmol/kg、融点215℃)、ガラス繊維20質量%含有)(ダイセル・エ
ボニック(株)製)
なお、アミノ基濃度及びカルボキシル基濃度は、前記中和滴定法により測定した。また
、融点は示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。
[ラテックス]
L1:スチレン-ブタジエン系ラテックス(日本ゼオン(株)製「Nipol C4850A」、平
均粒径;300nm、ガラス転移温度Tg:-47℃、固形分70質量%)
L2:カルボキシ変性スチレン-ブタジエン系ラテックス(日本ゼオン(株)製「Nipo
l LX433C」、平均粒径:100nm、Tg:50℃、固形分50質量%)
L3:アクリロニトリル-ブタジエン系ラテックス(日本ゼオン(株)製「Nipol 1562
」、平均粒径:50nm、Tg:-21℃、固形分41質量%)
L4:カルボキシ変性アクリロニトリル-ブタジエン系ラテックス(日本ゼオン(株)
製「Nipol 1571H」、平均粒径:120nm、Tg:-8℃、固形分40質量%)
L5:アクリル酸エステル系ラテックス(日本ゼオン(株)製「Nipol LX811H」
、Tg:1℃、固形分50質量%)
L6:ソープフリースチレン-ブタジエン系ラテックス(日本ゼオン(株)製「Nipol
SX1503A」、平均粒径:50nm、Tg:-20℃、固形分42質量%)
[架橋剤(有機過酸化物)]
架橋剤A:ジクミルパ-オキサイド(化薬アクゾ(株)製「パーカドックスBC-FF
」過酸化物含有量:100質量%)
架橋剤B:1,1-ビス(t-ブチル パーオキシ)シクロヘキサン(化薬アクゾ(株
)製「トリゴノックス22-40D」過酸化物含有量:40質量%)
架橋剤C:ジ(o-メチルベンゾイル)パーオキサイド(化薬アクゾ(株)製「パーカ
ドックス20-50S」過酸化物含有量:50質量%)
[共架橋剤]
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート(精工化学(株)製「ハイ
クロスM」)
PBM:N,N’-m-フェニレンビスマレイミド(デュポン社製「HVA-2」)
実施例及び比較例
[複合成形体の調製]
表2及び表3に示す割合で各成分を容器内に投入し、60℃で10分間撹拌し、液状組
成物を調製した。なお、表2及び表3において各成分の使用量は質量部である。
得られた液状組成物を、バーコーターを用いて板状樹脂成形体に塗布して乾燥し、16
0℃に加温したオーブン中で10分間保持し、ゴム層(加硫ゴム層)を形成した。なお、
板状樹脂成形体として、厚み3mm、幅70mm、及び長さ100mmの射出成形体を用
いた。
[接着性の評価]
そして、実施例及び比較例で得られた複合成形体を基盤目試験に供し、樹脂成形体に対
するゴム層の接着性又は密着性を調べた。なお、碁盤目試験において、鋭利なカッターで
ゴム層を縦横方向1mm間隔にカットして碁盤目を形成し、粘着テープ(ニチバン(株)
製「セロテープ(登録商標)」)を前記碁盤目に密着させた後、急激に剥離させた。
そして、下記表1に示す分類のように、以下の基準で接着性を評価した。
Figure 0007304473000001
0:カットの縁が完全に滑らかであり、いずれのクロスカット部又は格子の目(格子部
)にも剥がれがない
1:カットの交差点における塗膜の小さな剥がれがあるものの、クロスカット部での影
響(剥がれの面積割合)は明確に5%を上回ることはない
2:塗膜がカットの縁に沿って及び/又は交差点において剥がれがあり、クロスカット
部での影響(剥がれの面積割合)は明確に5%を超えるが15%を上回ることはない
3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的な大きな剥がれ、及び/又はいくつ
か格子部において、部分的又は全面的な剥がれが生じており、クロスカット部での影響(
剥がれの面積割合)は明確に15%を超えるが35%を上回ることはない
4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大きな剥がれ、及び/又は多くの
格子部において、部分的又は全面的な剥がれが生じており、クロスカット部での影響(剥
がれの面積割合)は明確に65%を上回ることはない
5:分類4を超える弱い接着を示し、クロスカット部での影響(剥がれの面積割合)が
明確に65%を超える。
結果を表2及び表3に示す。
Figure 0007304473000002
Figure 0007304473000003
表2及び表3から明らかなように、比較例に比べ、実施例では、架橋ゴム層の厚みが薄
くても、樹脂成形体に対する密着性が高い。また、共架橋剤を併用することにより、架橋
ゴム層の厚みが薄くなっても、樹脂成形体に対する密着性を改善できる。
本発明の複合成形体は、樹脂成形体に薄膜の加硫ゴム層が強固に接合しているため、樹
脂成形体の機械的特性などの物理的特性と共に、加硫ゴム層の摩擦抵抗、ゴム弾性、粘着
性などの特性を利用した種々の用途、例えば、高い剛性及び寸法精度のみならず、高いグ
リップ性(高い摩擦抵抗性)が要求される精密ローラや送り部材(紙送りローラなど)、
スポーツ用品などの把持部材、加硫ゴム層の粘着性を利用して被着体に対して仮止めして
着脱可能な樹脂製粘着フィルム又はシート、静音性が必要なギア、耐熱性及び粘着性など
が必要とされ、回路部品などの精密部品を固定するのに有用な固定用フィルム(例えば、
モバイル型電子機器内の回路部品などを固定する固定用フィルムなど)、埃等の塵芥が屋
内へ侵入するのを防止するための粘着シートや防塵フィルタなどとして利用できる。

Claims (6)

  1. 樹脂成形体と、この樹脂成形体の表面に接合した架橋ゴム層とを含む複合成形体であって、
    前記樹脂成形体が、熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物で形成され、
    前記熱可塑性樹脂が少なくともアミノ基を有するポリアミド系樹脂であり、
    前記樹脂成形体に厚み1~50μmの前記架橋ゴム層が接合しており
    記架橋ゴム層が、ゴムラテックスを含む液状組成物の架橋物であり、かつ
    前記架橋ゴム層が、過酸化物及び共架橋剤で架橋されている複合成形体。
  2. 少なくともアミノ基を有するポリアミド系樹脂が、脂肪族ポリアミド、脂環族ポリアミド、芳香族ポリアミド、及びポリアミドエラストマーから選択された少なくとも一種であって、アミノ基濃度5~300mmol/kgを有する請求項1記載の複合成形体。
  3. 少なくともアミノ基を有するポリアミド系樹脂が、C8-18アルキレン鎖を含み、アミノ基濃度20~250mmol/kgを有する請求項1又は2記載の複合成形体。
  4. 架橋ゴム層が、スチレン-ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン系ゴム、クロロプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、これらのカルボキシル基変性ゴム並びに(メタ)アクリル酸エステル変性ゴムから選択された少なくとも一種のゴム成分を含む請求項1~のいずれかに記載の複合成形体。
  5. 架橋ゴム層が、厚み1~30μmに形成されている請求項1~のいずれかに記載の複合成形体。
  6. 樹脂成形体が、一次元、二次元又は三次元的形状の成形体である請求項1~のいずれかに記載の複合成形体。
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