JP7304376B2 - 電極の製造方法 - Google Patents
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Description
以下、ここに開示される製造方法の一実施形態について図1~図5を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る電極の製造方法に用いられる電極製造装置を説明する側面図である。図2は、図1中の第2ロールと膜厚センサとの位置関係を説明する正面図である。図3は、図2に示す膜厚センサの検出結果の一例を示すグラフである。図4は、図3に示す検出結果に基づいて算出された合材塗膜の膜厚の一例を示すグラフである。図5は、図4に示す合材塗膜の膜厚に基づいたフィードバック制御の一例を示すグラフである。
本実施形態に係る電極の製造方法は、帯状の電極集電体D1の表面に電極合材層D2が付与された電極Dを製造する方法である。かかる製造方法は、例えば、図1に示すような電極製造装置100を用いて実施される。この電極製造装置100は、第1ロール10と、第2ロール20と、第3ロール30と、膜厚センサ40と、制御部(図示省略)とを備えている。以下、かかる電極製造装置100の具体的な構成について説明する。
次に、上記構成の電極製造装置100を用いた電極の製造方法について説明する。この製造方法は、(a)圧延工程と、(b)塗膜搬送工程と、(c)集電体搬送工程と、(d)圧着工程とを備えている。
本工程では、回転する第1ロール10と、回転する第2ロール20の間に電極材料Aを供給する。上述の通り、第1ロール10と第2ロール20は逆方向に回転しているため、電極材料Aが第1ロール10と第2ロール20との隙間に運ばれる。そして、第1ロール10と第2ロール20との隙間において電極材料Aが圧延されることによって合材塗膜Bが形成される。なお、第1ロール10と第2ロール20との隙間は、所望の膜厚を有する合材塗膜Bが形成されるように、電極材料Aの成分や形態などを考慮して適宜調節される。かかる電極材料Aは、電極合材層D2の前駆体であり、電極活物質を主成分とした材料である。また、電極材料Aは、電極活物質の他に、バインダ、増粘剤、導電材などの各種添加剤を含んでいてもよい。なお、電極材料Aの成分は、従来公知の二次電池において使用され得るものを二次電池の種類に応じて適宜選択して使用でき、ここに開示される技術を限定するものではないため具体的な説明を省略する。なお、本明細書における「二次電池」とは、電解質を介して一対の電極(正極と負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる蓄電デバイス一般をいう。かかる二次電池は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池の他に、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。
本工程では、合材塗膜Bを第2ロール20に付着させて搬送する。なお、本工程では、第1ロール10と第2ロール20との間で圧延された合材塗膜Bを第2ロール20の外筒部24に付着させる必要がある。このように合材塗膜Bを第2ロール20に選択的に付着させる手段は、特に限定されず、従来公知の手段を特に制限なく採用できる。例えば、第2ロール20の回転速度を、第1ロール10の回転速度よりも速くするという手段が挙げられる。これによって、相対的に回転速度が速い第2ロール20の方に、圧延後の合材塗膜Bを付着させることができる。また、第2ロール20の外筒部24に、合材塗膜Bの付着性が向上するような表面処理を施すという手段も採用できる。そして、第2ロール20の外筒部24に付着した合材塗膜Bは、第2ロール20の回転に伴って、第2ロール20と第3ロール30との隙間に搬送される。
本工程では、回転する第3ロール30で電極集電体Cを搬送する。電極集電体Cは、長尺な帯状の金属箔である。電極集電体Cは、二次電池の種類に応じて適切な金属箔を適宜選択できる。例えば、リチウムイオン二次電池の正極を製造する場合には、電極集電体Cとしてアルミニウム箔を使用することが好ましい。また、負極を製造する場合には、電極集電体Cとして銅箔を使用することが好ましい。また、電極集電体Cの厚みも、目的とする電池の構成に応じて適宜変更できるため、特に限定されない。一例として、電極集電体Cの厚みは、5μm以上35μm以下であり、7μm以上20μm以下である。
本工程では、第2ロール20と第3ロール30との間に合材塗膜Bと電極集電体Cを通過させる。これによって、電極集電体Cと合材塗膜Bとが圧着されるため、電極集電体D1の表面に電極合材層D2が付着した電極Dを製造できる。なお、本工程では、第2ロール20の表面に付着している合材塗膜Bを電極集電体Cに圧着させるための種々の手段が実施されていることが好ましい。例えば、第3ロール30の回転速度を第2ロール20の回転速度よりも大きくすると共に、第2ロール20と第3ロール30との隙間を一定以下に設定する。これによって、第2ロール20から電極集電体Cに合材塗膜Bを転写することができる。
ここで、本実施形態に係る製造方法では、第2ロール20に付着している合材塗膜Bの膜厚を膜厚センサ40で検出する。そして、当該膜厚センサ40の検出結果に基づいて上記S3/S2を調節し、電極合材層D2の膜厚を均一化するフィードバック制御を実施する。かかるフィードバック制御は、(1)塗膜表面検出工程と、(2)ロール表面検出工程と、(3)膜厚検出工程と、(4)速度調節工程とを備えている。以下、各工程について説明する。
本工程では、第2ロール20に付着して搬送される合材塗膜Bの表面位置を第1センサ42で検出する。図2に示すように、本実施形態に係る製造方法では、奥行方向Yにおける両側縁部に一対の膜厚センサ40a、40bが配置されており、各々の膜厚センサ40a、40bが第1センサ42a、42bを備えている。そして、一方の第1センサ42aは、奥行方向Yにおける合材塗膜Bの一方(図2中の左側)の側縁部に向けられており、所定の基準位置Sに対する合材塗膜Bの左側の側縁部の表面位置SB1を検出している(図3参照)。一方、他方の第1センサ42bは、奥行方向Yにおける合材塗膜Bの他方(図2中の右側)の側縁部に向けられており、上記基準位置Sに対する合材塗膜Bの右側の側縁部の表面位置SB2を検出している(図3参照)。なお、本工程における基準位置Sは、任意の位置を特に制限なく設定できる。例えば、図3では、上記(a)圧延工程を開始する前の第2ロール20の外筒部24の表面位置(すなわち、合材塗膜Bが付着していないときの外筒部24の表面位置)を基準位置Sに設定している。
本工程では、第2ロール20の表面位置を第2センサ44で検出する。上記第1センサ42と同様に、第2センサ44も、一対の膜厚センサ40a、40bの各々に配置されている。そして、一方の第2センサ44aは、第2ロール20の外筒部24の左側の側縁部に向けられており、所定の基準位置Sに対する外筒部24の左側の側縁部の表面位置SR1を検出している(図3参照)。一方で、他方の第2センサ44bは、第2ロール20の外筒部24の右側の側縁部に向けられており、上記基準位置Sに対する外筒部24の右側の側縁部の表面位置SB2を検出している(図3参照)。なお、第2センサ44における基準位置Sは、上記第1センサ42の基準位置Sと同じ位置に設定することが好ましい。これによって、後述の(3)膜厚検出工程において、合材塗膜Bの膜厚TB1、TB2(図4参照)を容易に算出できる。
本工程では、第1センサ42a、42bの検出結果と第2センサ44a、44bの検出結果との差分に基づいて合材塗膜Bの膜厚TB1、TB2を検出する。これによって、第2ロール20の変形等に起因する合材塗膜Bの搬送位置のズレが生じた場合であっても、合材塗膜Bの正確な膜厚を検出できる。例えば、図3に示すグラフでは、電極材料Aの圧延を開始して第1センサ42a、42bの各々で合材塗膜Bの表面位置SB1、SB2が検出されたタイミングで、第2センサ44a、44bで検出される第2ロール20の表面位置SR1、SR2が基準位置Sに対してマイナス側に変動している。これは、電極材料Aを圧延する際の応力によって第2ロール20に軸ズレが生じたためと解される。これに対して、本実施形態では、合材塗膜Bの表面位置と第2ロール20の表面位置との差分を求めているため、合材塗膜Bの膜厚を正確に検出できる。具体的には、本実施形態においては、左側の第1センサ42aが検出した合材塗膜Bの表面位置SB1と、左側の第2センサ44aが検出した第2ロール20の表面位置SR1との差分を検出している。これによって、合材塗膜Bの左側の側縁部における膜厚TB1(図2および図4参照)を正確に検出できる。また、本実施形態では、奥行方向Yの左側と同様に、右側においても、第1センサ42bが検出した合材塗膜Bの表面位置SB2と、第2センサ44bが検出した第2ロール20の表面位置SR2との差分を検出している。これによって、合材塗膜Bの右側の側縁部における膜厚TB2を正確に検出できる。さらに、本実施形態では、合材塗膜Bの左側の側縁部における膜厚TB1と右側の側縁部における膜厚TB2との平均値(TB1+TB2/2)を算出し、これを合材塗膜Bの平均膜厚TB(図5参照)とみなしている。これによって、奥行方向Yにおける膜厚のバラつきがフィードバック制御に大きく反映されることを防止できるため、より均一な膜厚の電極合材層D2の形成に貢献できる。
本工程では、(3)膜厚検出工程で検出した合材塗膜Bの膜厚TBに基づいて、第2ロール20の回転速度S2に対する第3ロール30の回転速度S3の比率(S3/S2)を調節する。上述した通り、第2ロール20と第3ロール30との回転速度比S3/S2が大きくなると電極合材層D2の膜厚が薄くなり、小さくなると電極合材層D2の膜厚が厚くなる。このため、本実施形態に係る製造方法では、合材塗膜Bの膜厚TBが増大する傾向を確認した際に、第2ロール20と第3ロール30との回転速度比S3/S2を大きくして合材塗膜Bの膜厚TBの増大を抑制する。一方、合材塗膜Bの膜厚TBが減少する傾向を確認した際に、第2ロール20と第3ロール30との回転速度比S3/S2を小さくして合材塗膜Bの膜厚TBを増大させる。このような合材塗膜Bの膜厚TBに基づいたフィードバック制御を適切に実施することによって、所望の膜厚の電極合材層D2を有した電極Dを安定的に製造できる。
以上、ここに開示される技術の一実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は、ここに開示される技術が適用される一例を示したものであり、ここに開示される技術を限定するものではない。以下、ここに開示される技術の他の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態では、奥行方向Yの両側縁部に一対の膜厚センサ40a、40bを設置している。しかし、ここに開示される製造方法は、第1センサと第2センサとを備えた膜厚センサが用いられていればよく、センサの設置数は特に限定されない。例えば、奥行方向の一方の側縁部のみに、第1センサと第2センサが一つずつ配置されていてもよい。このような構成であっても、第2ロールの変形等による搬送位置ズレを排除した正確な合材塗膜の厚みを検出できる。また、第1センサと第2センサの各々の設置数を同一にする必要もない。例えば、第1センサを3個以上設置し、合材塗膜の様々な部分の表面位置を測定することによって、合材塗膜の表面位置をより正確に検出できる。一方、第2センサは、第2ロール(外筒部)の表面が露出する奥行方向の両側縁部に一つずつ配置すれば充分であるため、設備コスト等を考慮して設置数を2個にすることが好ましい。
上述の通り、第1の実施形態における第2センサ44の検出対象は、第2ロール20の外筒部24である。しかしながら、第2センサの測定対象は、第2ロールであれば特に限定されず、外筒部以外の部分であってもよい。例えば、第2センサは、第2ロールの回転軸の表面位置を測定してもよい。この場合でも、予め設定した基準位置との比較によって、第2ロールの変形や軸ズレを検出できるため、当該第2ロールの変形等による影響が除外された正確な合材塗膜の膜厚を検出できる。但し、さらに正確な合材塗膜の膜厚を検出するという観点からは、第1の実施形態のように、第2センサ44の検出対象を外筒部24に設定することが好ましい。具体的には、第1ロール10と第2ロール20との隙間で電極材料Aを圧延する際には、電極材料A中の固形分(電極活物質等)の摩擦熱によって第1ロール10と第2ロール20が加熱される。そして、第2ロール20の外筒部24は、この圧延時の摩擦熱によって膨張する可能性がある。このため、外筒部24の表面位置を第2センサ44で検出し、上記外筒部24の熱膨張による影響が除外することによって、さらに正確な合材塗膜の膜厚を検出できる。
ここに開示される技術は、少なくとも第1~第3の3つのロールを有する電極製造装置を用いる製造方法であれば特に制限なく適用される。例えば、第1の実施形態では、図1に示すように、第1ロール10と第2ロール20が幅方向Xに沿って配列され、かつ、第2ロール20と第3ロール30とが高さ方向Zに沿って配列された電極製造装置100を使用している。しかし、電極製造装置の構造は、上記図1に示す構造に限定されない。例えば、図6に示すように、第1ロール10と第2ロール20と第3ロール30の3つのロールがすべて幅方向Xに沿って配列された電極製造装置100を使用することもできる。
この図6に示す電極製造装置100においても、合材塗膜Bの表面位置を検出する第1センサ42と、第2ロール20の表面位置を検出する第2センサ44とを設け、これらの検出結果に基づいて第2ロール20と第3ロール30との回転速度比を調節することによって、所望の膜厚の電極合材層D2を有した電極Dを安定的に製造できる。また、電極製造装置は、4個以上のロールを備えていてもよい。
次に、図5に示すように、第1の実施形態では、合材塗膜Bの膜厚TBの変動に追従して、第2ロール20の回転速度S2が連続的に変動するようにフィードバック制御を実施している。しかし、ここに開示される技術は、合材塗膜の膜厚に基づいて、第2ロールと第3ロールとの回転速度比を調節していればよく、図5に示すような制御に限定されない。例えば、第1センサと第2センサによって検出される合材塗膜の膜厚に対して、上限の閾値と下限の閾値を設定し、上限の閾値を超えた場合や下限の閾値を下回った場合に第2ロールの回転速度を段階的に変動させるような制御を行ってもよい。なお、製造後の電極合材層の膜厚をより均一化するという観点からは、第1の実施形態のように、合材塗膜の膜厚に追従して回転速度比を連続的に変動させた方が好ましい。
20 第2ロール
30 第3ロール
40 膜厚センサ
42 第1センサ
44 第2センサ
100 電極製造装置
A 電極材料
B 合材塗膜
C 電極集電体
D 電極
D1 電極集電体
D2 電極合材層
Claims (3)
- 回転する第1ロールと、回転する第2ロールとの間で電極材料を圧延して合材塗膜を形成する工程と、
前記合材塗膜を前記第2のロールに付着させて搬送する工程と、
長尺な帯状の電極集電体を、回転する第3ロールで案内して搬送する工程と、
前記第2ロールと前記第3ロールとの間に前記合材塗膜と前記電極集電体を通過させ、前記電極集電体の表面に前記合材塗膜を圧着させる工程と
を包含する電極の製造方法であって、
前記第2ロールに付着した前記合材塗膜の表面位置を第1センサで検出する工程と、
前記第2ロールの表面位置を第2センサで検出する工程と、
前記第1センサの検出結果と前記第2センサの検出結果との差分に基づいて前記合材塗膜の膜厚を検出する工程と、
前記合材塗膜の膜厚に基づいて、前記第2ロールの回転速度に対する前記第3ロールの回転速度の比率を調節する工程と
をさらに備え、
前記第2ロールの周方向における前記第1センサの検出位置と前記第2センサの検出位置との差が15°以下である、電極の製造方法。 - 前記第2ロールは、回転可能に支持される回転軸と、前記合材塗膜を付着させる外筒部とを備えており、前記第2センサは、前記外筒部の表面位置を検出する、請求項1に記載の電極の製造方法。
- 前記電極材料が湿潤造粒体である、請求項1または2に記載の電極の製造方法。
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