JP7359732B2 - 湿潤粉体塗工装置、及び塗工膜の製造方法 - Google Patents

湿潤粉体塗工装置、及び塗工膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、湿潤粉体塗工装置、及び塗工膜の製造方法に関し、さらに詳しくは、直径が同一又は異なり、かつ、周速度が異なる複数の非等速ロールを用いて湿潤粉体を基材上に塗工する場合において、目付量のバラツキの少ない塗工膜を得ることが可能な湿潤粉体塗工装置、及びこれを用いた塗工膜の製造方法に関する。
二次電池用電極は、一般に、導電性基材の表面に活物質が塗布された構造を備えている。このような二次電池用電極を製造する方法としては、
(a)活物質を含む電極ペーストを基材表面に塗布し、乾燥させる方法、
(b)活物質を含む造粒粉体(湿潤粉体)を基材表面に塗工する方法
などが知られている。
これらの中でも、湿潤粉体を塗工する方法は、溶媒の乾燥工程を短縮することができる、活物質の塗工量の制御が容易である、などの利点がある。そのため、このような方法に関し、従来から種々の提案がなされている。
例えば、非特許文献1には、湿潤粉体を基材表面に塗工する方法ではないが、直径が同一である2本の等速ロールを用いて造粒粉体を圧縮し、板状又はペレット状に加工する場合において、ロール径やギャップなどの塗工条件と内部摩擦角や壁面摩擦角などの粉体特性から、ロール間に作用する圧縮応力を算出する方法が開示されている。
特許文献1には、
活物質粒子と、バインダと、溶媒とを含む、湿潤状態の造粒体を得る造粒工程と、
前記造粒工程で得られた前記造粒体の集合物を、平面状またはブロック状に成形した成形体を得る成形工程と、
前記成形工程で得られた前記成形体を成膜し、集電体に転写する工程と
を含む電極シートの製造方法が開示されている。
同文献には、
(A)湿潤状態の造粒体を集電箔にそのまま転写すると、造粒体の一部が露出部(合剤層が形成されない集電箔上の領域)にはみ出し、合剤層と露出部との境界が凹凸状になる場合がある点、及び、
(B)ロール間に成形体を供給すると、合剤層と露出部の境界の凹凸が抑制される点、
が記載されている。
特許文献2には、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有する銅箔を準備する工程と、
負極活物質、増粘材、結着材および溶媒を混合し、造粒することにより、造粒体を得る工程と、
前記造粒体を圧縮成形することにより、第1の負極合材層を得る工程と、
前記第1の負極合材層を前記第1の主面上に配置する工程と、
前記第1の負極合材層が前記第1の主面上に配置された状態で、前記銅箔の再結晶温度以上の温度に加熱されたロールと、前記第2の主面とを接触させることにより、前記銅箔を軟化させる工程と
を含む非水電解質二次電池用負極の製造方法が開示されている。
同文献には、
(A)加熱されたロールと銅箔とを接触させることにより、銅の再結晶を促進させ、銅箔を軟化させることができる点、及び
(B)これにより、銅箔が負極活物質の膨張収縮に追随できるようになり、サイクル耐久性が向上する点
が記載されている。
特許文献3には、
活物質とバインダとを含む複合粒子を、シート状の集電体に供給する複合粒子供給工程と、
前記集電体上に供給された複合粒子をロール圧延して活物質層を形成する圧延工程と
を含み、
前記圧延工程は、第1回目のロール圧延を含む第一圧延工程と、前記第一圧延工程の後に行う第二圧延工程とを含む
リチウムイオン二次電池用電極の製造方法が開示されている。
同文献には、
(A)電極活物質層における活物質粒子の密度を高めるために、圧延時の加圧力を上げると活物質粒子に割れが生じる点、及び、
(B)圧延を複数回に渡って行うと、活物質の割れを防ぎながら活物質層の高密度化を図ることができる点
が記載されている。
特許文献2、3に記載されているように、湿潤粉体をロール間で圧縮させる方法を用いると、基材表面に湿潤粉体を転写することができる。しかしながら、湿潤粉体の粉体特性にはバラツキがあるため、通常、ロール間を通過する単位面積当たりの湿潤粉体の量(以下、これを「粉体供給量」ともいう)にバラツキが生ずる。その結果、基材表面に転写される単位面積当たりの湿潤粉体の量(以下、これを「目付量」ともいう)にもバラツキが生じる。
一方、特許文献1に記載されているように、初めに湿潤粉体からなる成形体を作製し、次いで成形体をロール間で圧縮する方法を用いると、合剤層と露出部の境界の凹凸を抑制することができる。しかしながら、特許文献1には、成形体をロール間に供給する場合において、湿潤粉体の粉体特性のバラツキに起因する目付量のバラツキを抑制するための方法については、記載も示唆もない。
特開2015-201318号公報 特開2016-100117号公報 特開2016-062654号公報
J. R. Johanson, J. Appl. Mechanics, 32(4), pp. 842-848
本発明が解決しようとする課題は、同径又は異径ロールを用いて湿潤粉体を基材表面に塗工する場合において、湿潤粉体の粉体物性のバラツキに起因する目付量のバラツキの少ない塗工膜を得ることが可能な湿潤粉体塗工装置を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、このような湿潤粉体塗工装置を用いた塗工膜の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る湿潤粉体塗工装置は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記湿潤粉体塗工装置は、
隣接するロールの間で湿潤粉体からなる1次成形体を圧縮し、圧縮された2次成形体を下流側にあるロールの表面に保持するための第1ロール~第(n-1)ロール(n≧3)と、
前記第(n-1)ロールの表面に付着している前記2次成形体を基材の表面に転写するための第nロールと、
前記第1ロール~前記第nロールを互いに反対方向に回転させると同時に、ロール間のギャップGi(1≦i≦n-1)を調整するための駆動装置と、
前記第1ロールと第2ロールとの間のギャップG1に前記1次成形体を供給するための成形体供給装置と、
前記第nロールに前記基材を供給するための基材供給装置と、
前記湿潤粉体塗工装置の動作を制御する制御装置と
を備えている。
(2)第iロール(1≦i≦n-1)の直径はDiであり、第(i+1)ロールの直径はDi+1(但し、Di+1/Di≧1.00)である。
(3)水平方向と、前記第1ロールの中心と前記第2ロールの中心とを結ぶ方向とのなす角β1は、70°以上110°以下である。
(4)前記成形体供給装置は、前記第1ロールと前記第2ロールの中心を結ぶ線に対して垂直方向と、前記1次成形体の挿入方向とのなす角β2が±20°以下となるように、前記第1ロール-前記第2ロール間に前記1次成形体を挿入可能なものからなる。
(5)前記駆動装置は、前記第iロールのロール速度をVi(1≦i≦n-1)、前記第(i+1)ロールのロール速度をVi+1としたときに、Vi<Vi+1となるように、前記第1~第nロールを非等速で回転させることが可能なものからなる。
(6)前記湿潤粉体塗工装置は、厚さdが後述する式(3)から算出される最大幅dmax以下である前記1次成形体を前記第1ロール-前記第2ロール間で圧縮し、前記基材の表面に転写するために用いられる。
本発明に係る塗工膜の製造方法は、以下の構成を備えている。
(1)湿潤粉体の圧縮係数K、内部摩擦角δ、壁面摩擦角φ、及び、ゆるみ嵩密度ρを測定し、これらに基づいて、前記湿潤粉体のニップアングルαを算出する第1工程。
(2)後述する式(3)に基づいて、dmaxを算出する第2工程。
(3)前記湿潤粉体を成形し、厚さdがdmax以下である1次成形体を得る第3工程。
(4)本発明に係る湿潤粉体塗工装置を用いて、前記1次成形体の圧縮、及び、前記基材表面への転写を行う第4工程。
一対のロール間に湿潤粉体を供給し、ロール間で圧縮する場合、湿潤粉体の粉体特性がバラつくと、それに応じてニップアングルもバラつく。その結果、粉体供給量にバラツキが生じ、これによって目付量もバラつく。
これに対し、湿潤粉体を予め成形して1次成形体とし、1次成形体をロール間で圧縮する場合において、1次成形体の厚さdを式(3)から導かれる最大幅dmax以下にすると、ニップアングルにバラツキが生じた場合であっても、1次成形体の噛み込み位置がほぼ一定となる。その結果、粉体特性のバラツキに起因する目付量のバラツキを抑制することができる。
本発明に係る湿潤粉体塗工装置の模式図である。 β1及びβ2を説明するための模式図である。 直径が異なる一対の非等速ロールの断面模式図である。 図4(A)は、粉体とロール表面の間で滑りが生じる場合の主応力の向きの模式図である。図4(B)は、平均角度で力が加わると仮定した時の主応力の向きの模式図である。
図5(A)は、第1ロール-第2ロール間に湿潤粉体を供給した時の模式図である。図5(B)は、第1ロール-第2ロール間に湿潤粉体からなる1次成形体を供給した時の模式図である。 図6は、比較例1で得られた電極の目付量バラツキである。 図7は、実施例1で得られた電極の目付量バラツキである。 図8は、実施例2で得られた電極の目付量バラツキである。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 湿潤粉体]
[1.1. 組成]
本発明において、「湿潤粉体」とは、
(a)少なくとも粉体と液体(分散媒など)とを含み、
(b)固形分体積分率が50%以上100%未満であり、かつ、
(c)静止状態において流体としての性質を持たない
粉体組成物をいう。
湿潤粉体は、粉体及び液体に加えて、さらに添加剤を含んでいるもの(すなわち、粉体/液体/添加剤混合系)でも良い。「添加剤」とは、増粘剤、結着剤などの粉体粒子以外の固体成分をいう。添加剤は、粉体、又は、粉体を溶媒に分散させた分散液として添加される。添加剤の固体成分は粉体粒子に付着して機能を発現させるため、固体成分は粉体の一部とみなせる。但し、分散液の溶媒成分は、液体とみなす。
湿潤粉体に含まれる粉体の組成は、特に限定されない。粉体としては、例えば、
(a)二次電池の正極活物質(例えば、リチウムイオン二次電池の正極活物質であるLiCoO2、LiMn24、LiNiO2、LiFePO4など)、
(b)二次電池の負極活物質(例えば、リチウムイオン二次電池の負極活物質である黒鉛、Si、Geなど)、
(c)金属粉末、鉱石粉末、高分子ビーズ、デンプン顆粒
などがある。
湿潤粉体は、特に、二次電池用活物質、導電材、バインダー、及び溶媒を含むものが好ましい。このような湿潤粉体に対して本発明を適用すると、導電性基材の表面に所定量の活物質を転写する際に、ロール間に供給される粉体量(又は、基材表面への粉体の目付量)を正確に制御することができる。粉体量の制御方法の詳細については、後述する。
[1.2. 粒径]
粉体の一次粒子径は、目的に応じて最適な値を選択するのが好ましい。一般に、一次粒子径が小さくなりすぎると、造粒体の作製が困難となる。従って、一次粒子径は、1μm以上が好ましい。一次粒子径は、好ましくは、3μm以上、さらに好ましくは、5μm以上である。
一方、一次粒子径が大きくなりすぎると、表面積が減り、粒子同士の吸着が困難となる。また、薄膜の作製も困難となる。従って、一次粒子径は、100μm以下が好ましい。一次粒子径は、好ましくは、50μm以下、さらに好ましくは、30μm以下である。
湿潤粉体の粒径(二次粒子径)は、目的に応じて最適な値を選択するのが好ましい。一般に、二次粒子径が小さくなりすぎると、ロール圧縮による成膜が困難になる。従って、二次粒子径は、50μm以上が好ましい。二次粒子径は、好ましくは、100μm以上、さらに好ましくは、200μm以上である。
一方、二次粒子径が大きくなりすぎると、完成した膜の膜厚や密度がばらつきやすくなる。従って、二次粒子径は、6mm以下が好ましい。二次粒子径は、好ましくは、4mm以下、さらに好ましくは、2mm以下である。
なお、「粒径」とは、レーザー回折・散乱法により測定されたメディアン径(d50)をいう。
[2. 湿潤粉体塗工装置]
図1に、本発明に係る湿潤粉体塗工装置の模式図を示す。図1において、湿潤粉体塗工装置10は、
隣接するロールの間で湿潤粉体からなる1次成形体30を圧縮し、圧縮された2次成形体22を下流側にあるロールの表面に保持するための第1ロール12、第2ロール14、及び第3ロール16と、
第3ロール16の表面に付着している2次成形体22を基材20の表面に転写するための第4ロール18と、
第1ロール12~第4ロール18を互いに反対方向に回転させると同時に、ロール間のギャップGi(i=1~3)を調整するための駆動装置(図示せず)と、
第1ロール12と第2ロール14との間のギャップG1に1次成形体30を供給するための成形体供給装置32と、
第4ロール18に基材20を供給するための基材供給装置(図示せず)と、
湿潤粉体塗工装置10の動作を制御する制御装置(図示せず)と
を備えている。
[2.1. 第1ロール~第4ロール]
[2.1.1. ロールの位置]
第1ロール12は、所定の間隔を隔てて第2ロール14の上方に配置されている。第2ロール14及び第3ロール16は、所定の間隔を隔てて水平方向に配置されている。さらに、第4ロール18は、所定の間隔を隔てて第3ロール16の下方に配置されている。第1ロール12~第4ロール18は、それぞれ、駆動装置(図示せず)に接続されており、互いに反対方向に回転するようになっている。
第1ロール12と第2ロール14の間のギャップG1には、1次成形体30が挿入される。この場合、第1ロール12と第2ロール14を水平方向に並べ、鉛直方向から1次成形体30を挿入することも考えられる。しかしながら、1次成形体30は、通常、強度が低いので、1次成形体30を鉛直方向から挿入しようとすると、1次成形体30が自重で破損するおそれがある。従って、第1ロール12と第2ロール14をほぼ鉛直方向に配置し、1次成形体30を水平方向から挿入するのが好ましい。
ここで、水平方向と、第1ロール12の中心と第2ロール14の中心とを結ぶ方向とのなす角をβ1とする(図2参照)。第1ロール12は、必ずしも第2ロール14の真上に配置(β1=90°)されている必要はない。しかしながら、第1ロール12の位置が第2ロール14の真上から大きくずれると、1次成形体30を水平方向から挿入するのが困難となる。従って、β1は、70°以上110°以下である必要がある。β1は、好ましくは、80°以上100°以下である。
なお、第3ロール16は、その表面に2次成形体22を保持することが可能な位置にあれば良く、必ずしも第2ロール14に対して水平方向に配置されている必要はない。
同様に、第4ロール18は、基材20表面への2次成形体22の転写が可能な位置にあれば良く、必ずしも第3ロール16の下方に配置されている必要はない。
[2.1.2. ロールの直径]
第1ロール12は、湿潤粉体からなる1次成形体30を圧縮するためのものである。第2ロール14及び第3ロール16は、その表面に、圧縮された2次成形体22を保持するためのものである。さらに、第4ロール18は、第3ロール16の表面に付着している2次成形体22を基材20の表面に転写するためのものである。図1に示す例では、これらは、それぞれ直径が異なっている。また、第1ロール12~第4ロール18は、互いに周速度が異なるロール(非等速ロール)である。
なお、第(i+1)ロールの直径Di+1(1≦i≦n-1)は、第iロールの直径Diと同一であっても良く、あるいは、Diより大きくても良い。
一般に、第iロールの直径(Di)に対する第(i+1)ロールの直径(Di+1)の比(=Di+1/Di)が大きくなるほど、第(i+1)ロールに2次成形体22を転写しやすくなる。Di+1/Di比は、好ましくは、1.1以上、さらに好ましくは、1.5以上である。
一方、Di+1/Di比が大きくなりすぎると、転写不良が発生する場合がある。従って、Di+1/Di比は、5.0以下が好ましい。Di+1/Di比は、さらに好ましくは、3.0以下である。
[2.1.3. ロールの個数]
図1では、ロールの数(n)が4であるケースが描かれているが、これは単なる例示であり、ロールの数nは3以上であれば良い。
すなわち、湿潤粉体塗工装置10は、
隣接するロールの間で湿潤粉体からなる1次成形体を圧縮し、圧縮された2次成形体を下流側にあるロールの表面に保持するための第1ロール~第(n-1)ロール(n≧3)と、
前記第(n-1)ロールの表面に付着している前記2次成形体を基材の表面に転写するための第nロール
の合計n個のロールを備えていても良い。
各ロールの位置は、1次成形体30及び2次成形体22の段階的な圧縮と、基材20表面への転写が可能な限りにおいて、特に限定されない。
後述するように、1次成形体30の厚さdは、第1ロールと第2ロールの間のギャップG1に基づいて決定される。一方、第iロールと第(i+1)ロールとの間のギャップGi(2≦i≦n-1)(特に、第(n-1)ロールと第nロールとの間のギャップGn-1)は、主として、目付量が目標値Wcになるように設定される。
そのため、例えば、合計3個のロールを用いて1次成形体30を圧縮する場合において、1次成形体30の厚さdが目標目付量Wcに比べて過度に大きいときには、第iロールと第(i+1)ロールとの間のギャップGiが第(i+1)ロールと第(i+2)ロールの間のギャップGi+1に比べて過度に大きくなる場合がある。Gi/Gi+1比が過度に大きくなると、下流側のロール間で2次成形体22をさらに圧縮するのが困難になる場合がある。
このような場合には、ロールの数nを4個以上とし、2次成形体22の圧縮を合計(n-2)回行って2次成形体22の厚さを段階的に薄くし、その後で基材20への2次成形体22の転写を行うのが好ましい。
[2.2. 駆動装置]
駆動装置(図示せず)は、第1ロール~第nロールを互いに反対方向に回転させると同時に、ロール間のギャップGi(1≦i≦n-1)を調整するためのものである。また、駆動装置は、第iロールの周速度をVi、第(i+1)ロールの周速度をVi+1としたときに、Vi<Vi+1となるように、第1ロール~第nロールを、それぞれ、非等速で回転させることが可能なものからなる。
ここで、「周速度比ri」とは、第iロール(低速ロール)の周速度Viに対する、第(i+1)ロール(高速ロール)の周速度Vi+1の比(=Vi+1/Vi)をいう。
図1に示す例において、駆動装置(図示せず)は、第1ロール12~第4ロール18を互いに反対方向に回転させると同時に、ロール間のギャップG1~G3を調整するためのものである。また、駆動装置は、第1ロール12の周速度をV1、第2ロール14の周速度をV2、第3ロールの周速度をV3、第4ロールの周速度をV4としたときに、V1<V2<V3<V4となるように、第1ロール12~第4ロール18を、それぞれ、非等速で回転させることが可能なものからなる。駆動装置は、各ロールの周速度V1~V4、ギャップG1~G3、及び周速度比r1~r3を制御可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
[2.3. 成形体供給装置]
成形体供給装置32は、第1ロール12と第2ロール14との間のギャップG1に1次成形体30を供給するためのものである。
ここで、第1ロール12と第2ロール16の中心を結ぶ線に対して垂直方向(以下、単に「垂直方向」ともいう)と、1次成形体30の挿入方向(以下、単に「挿入方向」ともいう)とのなす角をβ2とする(図2参照)。また、「垂直方向」に対して反時計回りの方向に「挿入方向」があるときを「プラス」と定義する。
1次成形体30は、必ずしも垂直方向(β2=0°)から供給される必要はない。しかしながら、挿入方向が垂直方向から大きくずれると、1次成形体30がロール間に噛み込まれにくくなる。従って、成形体供給装置30は、β2が±20°以下となるように、第1ロール12-第2ロール14間に1次成形体30を挿入可能なものである必要がある。β2は、好ましくは、±10°以内、さらに好ましくは、±5°以内である。
成形体供給装置32の構造は、β2が所定の範囲となるように、1次成形体30をギャップG1に供給可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
図1に示す例において、成形体供給装置32は、1次成形体30を載置するためのステージ32aと、ステージ32a上に載置された1次成形体30をギャップG1に向かって押し出すための押出棒32bとを備えている。
[2.4. 基材供給装置]
基材供給装置(図示せず)は、第4ロール(第nロール)18に基材20を供給するためのものである。基材供給装置は、第4ロール18に必要量の基材20を供給可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
[2.5. 制御装置]
制御装置(図示せず)は、湿潤粉体塗工装置10の動作を制御するためのものである。制御装置は、湿潤粉体塗工装置10の一般的動作を制御するための各種の機構を備えている。
[2.6. 用途]
湿潤粉体塗工装置10は、厚さdが後述する式(3)から算出される最大幅dmax以下である1次成形体30を第1ロール12-第2ロール14間で圧縮し、基材20の表面に転写するために用いられる。dmaxの算出方法については、後述する。
[3. dmaxの算出方法]
[3.1. 用語の定義]
ロール間に供給された粉体は、まず、ロール表面との摩擦によって、粉体がロール表面でスリップしながら圧縮される。その結果、粉体の密度は、徐々に上がっていく。さらに密度が上がると、やがてロール速度と粉体の移動速度がほぼ等しくなる。その結果、粉体がロール表面でスリップすることなく圧縮される。
「スリップ区間」とは、粉体とロールの間でスリップが発生し、粉体がわずかしか圧縮されない区間をいう。
「ニップ区間」とは、粉体がスリップすることなく圧縮される区間をいう。
「ニップアングル」とは、ニップ区間が開始する地点の第2ロールの回転角度をいう。
「湿潤粉体の供給量」とは、第1ロール/第2ロール間を通過した時点での、単位面積当たりの湿潤粉体の質量をいう。
「湿潤粉体の目付量」とは、第(n-1)ロール/第nロール間を通過した地点での、単位面積当たりの湿潤粉体の質量をいう。
図3に、直径が異なる一対の非等速ロールの断面模式図を示す。図3において、第1ロール及び第2ロールは、直径がそれぞれD1及びD2(>D1)であり、互いに反対方向に回転する非等速ロールである。x軸は、第1ロールと第2ロールの中心間を結ぶ線に対して垂直方向の軸である。σは、第1ロールと第2ロールの間に作用する圧縮応力を表す。σは、xの関数である。
αは、ニップアングルを表す。αは、具体的には、
(a)第1ロールと第2ロールの中心間を結ぶ線と、
(b)第2ロールの中心とニップ区間が始まる第2ロールの表面上の点とを結ぶ線
とのなす角を表す。
1は、第1ロールと第2ロールとの間のギャップを表す。r1は、第1ロール(低速ロール)の周速度V1に対する第2ロール(高速ロール)の周速度V2の比(=V2/V1)を表す。例えば、第2ロールが角度α(又は、角度θ)だけ回転する時、第1ロールは角度D1α/D21(又は、D1θ/D21)だけ回転する。
θ(又は、Vα)は、角度θ(又は、角度α)の位置において、第2ロールが微小長さΔLだけ進んだ時に、角度θ(又は、角度α)の位置を通過する粉体の微小体積を表す。
calcは、ロール間距離が最小となる位置において、第2ロールが微小長さΔLだけ進んだ時に、ロール間距離が最小となる位置(すなわち、ロール間のギャップ)を通過する湿潤粉体の供給量を表す。
[3.2. ニップアングルの算出]
max(及び、非等速ロール間を通過する湿潤粉体の供給量Wcalc)を算出するためには、まず、ニップアングルαを知る必要がある。αは、粉体の性状(K:圧縮係数、δ:内部摩擦角、φ:壁面摩擦角、ρ:ゆるみかさ密度)、第1ロールの直径D1、第2ロールの直径D2、ギャップG1、及び、周速度比r1に依存する。
図4(A)に、粉体とロール表面の間で滑りが生じる場合の主応力の向きの模式図を示す。図4(B)に、平均角度で力が加わると仮定した時の主応力の向きの模式図を示す。
ニップアングルαを算出するためには、左右のロールにより粉体に加えられる主応力を知る必要がある。左右のロール径が同一である場合、左右のロールによる主応力の向きは同一となる。
一方、ロール径が左右で異なる場合、厳密には、左右のロールによる主応力の向きがずれる。具体的には、図4(A)に示すように、第1ロールによる主応力の向きとx軸とのなす角は、sin-1{(D1/D2)sinθ}+νと表される。一方、第2ロールによる主応力の向きとx軸とのなす角は、ν+θと表される。さらに、νは、{π-arcsin(sinφ/sinδ)-φ}/2と表される。
本発明において、ロール径が左右で異なる場合には、この主応力の向きを左右の平均で仮定する。この場合、図4(B)に示すように、第1ロール又は第2ロールによる主応力の向きとx軸とのなす角は、それぞれ、[sin-1{(D1/D2)sinθ}+θ+2ν]/2と表される。
粉体に加わる圧縮応力σは、粉体がスリップ区間にあるか、あるいは、ニップ区間にあるかにより異なる。次の式(1)に、上記のような仮定をした場合において、粉体がスリップ区間にある時のdσ/dxの一般式を示す。次の式(2)に、上記のような仮定をした場合において、粉体がニップ区間にある時のdσ/dxの一般式を表す。
Figure 0007359732000001
但し、
1は、低速ロール(第1ロール)の周速度V1に対する高速ロール(第2ロール)の周速度V2の比、
Gは、非等速ロール間のギャップ(第1ロールと第2ロールとの間のギャップG1)、
σは、非等速ロール間に作用する圧縮応力、
dσ/dxは、非等速ロールの中心間を結ぶ線に対して垂直方向をx軸とした時の前記σの変化率(x軸に対するσの傾き)、
0は、任意の定数。
横軸をθ、縦軸をdσ/dxとして式(1)及び式(2)を描くと、2つの式の交点の座標(θ、dσ/dx)が求められる。この交点におけるθがニップアングルαとなる。
ここで、粉体の圧縮係数Kは、粉体の圧縮試験より求まる、応力と体積の関係より求めることができる。粉体の内部摩擦角δ、及び粉体の壁面摩擦角φは、粉体層せん断試験により求めることができる。さらに、ゆるみかさ密度ρは、周知の方法(例えば、メスシリンダーを用いて測定する方法)により求めることができる。
そのため、粉体性状(K、δ、φ、ρ)、D1、D2、r1、及びGが与えられると、式(1)及び式(2)の交点から、ニップアングルαを求めることができる。
なお、式(1)及び式(2)は、左右のロール径が同一である場合にも成り立つ。式(1)及び式(2)に、D1=D2を代入すれば、左右のロール径が同一である場合の一般式を得ることができる。また、式(1)及び式(2)から求められるαは、湿潤粉体からなる1次成形体を圧縮する場合にも成り立つ。
[3.3. 最大幅dmaxの算出]
図5(A)に、第1ロール12-第2ロール14間に湿潤粉体を供給した時の模式図を示す。第1ロール12-第2ロール14間に湿潤粉体を供給した場合、ニップアングルαで規定される位置より上にある湿潤粉体は、滑りが生じる。一方、ニップアングルαで規定される位置より下にある湿潤粉体は、滑ることなくロール間で圧縮される。従って、ロール間で滑りが生じない領域の水平方向の最大幅(dmax)は、次の式(3)で与えられる。
Figure 0007359732000002
但し、
1及びD2は、それぞれ、第1ロール12及び第2ロール14の直径、
αは、湿潤粉体のニップアングル、
1は、第1ロール12の周速度V1に対する第2ロール14の周速度V2の比(=V2/V1)、
1は、第1ロール12-第2ロール14間のギャップ。
図5(B)に、第1ロール12-第2ロール14間に湿潤粉体からなる1次成形体30を供給した時の模式図を示す。湿潤粉体を成形し、1次成形体30とした場合であっても、湿潤粉体の粉体特性は、そのまま1次成形体30に引き継がれる。そのため、1次成形体30の厚さdが最大幅dmaxを超えると、湿潤粉体の場合と同様に、1次成形体30がロール間で滑り、1次成形体30の噛み込み位置にバラツキが生じる。
これに対し、1次成形体30の厚さdを最大幅dmax以下にすると、1次成形体30がロール間で滑らず、1次成形体30の噛み込み位置がほぼ一定となる。そのため、噛み込み位置のバラツキに起因する目付量バラツキを抑制することができる。
[3.4. 周速度比ri (2≦i≦n-1)及びギャップGiの比rGi (1≦i≦n-2)の算出]
本発明において、目付量のバラツキは、G1により制御される。G1が決まると、第1ロール12-第2ロール14間への湿潤粉体の供給量W(すなわち、1次成形体30の厚さd)が一義的に定まるため、基材表面への目付量は、周速度比ri (2≦i≦n-1)及びギャップGiの比rGi (1≦i≦n-2)で制御するのが好ましい。
基材表面への目付量の目標値をWcとすると、Wcを得るためには、
次の式(5)及び式(6)を満たすように、第iロール(2≦i≦n-1)の周速度Viに対する第(i+1)ロールの周速度Vi+1の比ri(=Vi+1/Vi)を調整し、
次の式(7)を満たすように、第(i+1)ロールと第(i+2)ロールとの間のギャップGi+1に対する、第iロール(1≦i≦n-2)と前記第(i+1)ロールとの間のギャップGiの比rGi(=Gi/Gi+1)を調整する
のが好ましい。
1.1≦ri≦4.0 …(5)
0.95d/Wc≦rn-1!=Vn/V1≦1.05d/Wc …(6)
1.1≦rGi≦4.0 …(7)
但し、Wcは、前記基材表面への前記湿潤粉体の目標目付量。
式(5)において、riが小さくなりすぎると、湿潤粉体(すなわち、2次成形体22)が次のロールに転写されにくくなる。従って、riは、1.1以上が好ましい。
一方、riが大きくなりすぎると、転写不良が発生し、塗工が困難となる場合がある。従って、riは、4.0以下が好ましい。riは、好ましくは、2.0以下である。
式(6)は、目標目付量Wcを得るための条件を表す。第3ロール以降は、電極材料がロールの周速度比に従って延びていく。そのため、Vn/V1比がd/Wcより過度に大きくなると、スケが発生するおそれが大きくなる。一方、Vn/V1がd/Wcより過度に小さくなると、転写不良が発生するおそれがある。従って、式(6)を満たすように、Vn及びV1を設定するのが好ましい。
式(7)において、rGiが小さくなりすぎると、湿潤紛体(すなわち、2次成形体22)が次のロールに転写されにくくなる。従って、rGiは、1.1以上が好ましい。
一方、rGiが大きくなりすぎると、転写不良が発生し、塗工が困難となる場合がある。従って、rGiは、4.0以下が好ましい。rGiは、好ましくは、2.0以下である。
このようにして算出されたri、及びrGiを用いて1次成形体30を塗工すると、目付量がWcであり、目付量のバラツキが少ない塗工膜が得られる。
[4. 塗工膜の製造方法]
本発明に係る塗工膜の製造方法は、以下の工程を備えている。
(1)湿潤粉体の圧縮係数K、内部摩擦角δ、壁面摩擦角φ、及び、ゆるみ嵩密度ρを測定し、これらに基づいて、前記湿潤粉体のニップアングルαを算出する第1工程。
(2)上述した式(3)に基づいて、dmaxを算出する第2工程。
(3)前記湿潤粉体を成形し、厚さdがdmax以下である1次成形体を得る第3工程。
(4)本発明に係る湿潤粉体塗工装置を用いて、前記1次成形体の圧縮、及び、前記基材表面への転写を行う第4工程。
[4.1. 第1工程]
まず、湿潤粉体の圧縮係数K、内部摩擦角δ、壁面摩擦角φ、及び、ゆるみ嵩密度ρを測定し、これらに基づいて、前記湿潤粉体のニップアングルαを算出する(第1工程)。αの算出方法の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[4.2. 第2工程]
次に、上述した式(3)に基づいて、dmaxを算出する(第2工程)。dmaxの算出方法の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[4.3. 第3工程]
次に、前記湿潤粉体を成形し、厚さdがdmax以下である1次成形体30を得る(第3工程)。一次成形体30の成形方法については、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な方法を選択することができる。
[4.4. 第4工程]
次に、本発明に係る湿潤粉体塗工装置10を用いて、1次成形体30の圧縮、及び、基材20表面への転写を行う(第4工程)。湿潤粉体塗工装置10を用いた塗工膜の製造は、具体的には、以下のようにして行う。
[4.4.1. 塗工方法]
まず、第4ロール18に基材20を巻き付ける。次いで、第1ロール12と第2ロール14の間に1次成形体30を挿入する。この状態で第1ロール12~第4ロール18を互いに反対方向に回転させると、1次成形体30が第1ロール12と第2ロール14の間で圧縮され、シート状に成形されて2次成形体22となる。
この時、第2ロール14の周速度V2を第1ロール12の周速度V1より大きくすると、シート状の2次成形体22が第2ロール14の表面に付着したまま、第2ロール14と第3ロール16との間のギャップG2まで搬送される。
ギャップG2に到達した2次成形体22は、第2ロール14と第3ロール16の間でさらに圧縮される。この時、第3ロール16の周速度V3を第2ロール14の周速度V2より大きくすると、2次成形体22が第3ロール16の表面に付着したまま、第3ロール16と第4ロール18との間のギャップG3まで搬送される。
第4ロール18まで搬送された2次成形体22は、第3ロール16と第4ロール18の間で圧縮されながら、基材20の表面に連続的に転写される。
ロールの個数nが3個、又は、5個以上である場合も同様であり、互いに逆方向に回転する第1~第(n-1)ロールで合計(n-2)回の圧縮を行った後、第(n-1)ロール及び第nロールで2次成形体22をさらに圧縮すると、基材20の表面に成形体を転写することができる。
[4.4.2. 塗膜の厚さ]
本発明に係る湿潤粉体塗工装置を用いて湿潤粉体からなる1次成形体30を塗工する場合において、塗膜の厚さは、目的に応じて最適な厚さを選択するのが好ましい。一般に、塗膜が薄くなりすぎると、スケが発生しやすくなる。従って、塗膜の厚さは、5μm以上が好ましい。厚さは、好ましくは、10μm以上、さらに好ましくは、20μm以上である。
一方、塗膜が厚くなりすぎると、ひび割れが発生しやすくなる。従って、塗膜の厚さは、300μm以下が好ましい。厚さは、好ましくは、200μm以下、さらに好ましくは、150μm以下である。
[5. 作用]
一対のロール間に湿潤粉体を供給し、ロール間で圧縮する場合、湿潤粉体の粉体特性がバラつくと、それに応じてニップアングルもバラつく。その結果、粉体供給量にバラツキが生じ、これによって目付量もバラつく。
これに対し、湿潤粉体を予め成形して1次成形体とし、1次成形体をロール間で圧縮する場合において、1次成形体の厚さdを式(3)から導かれる最大幅dmax以下にすると、ニップアングルにバラツキが生じた場合であっても、1次成形体の噛み込み位置がほぼ一定となる。その結果、粉体特性のバラツキに起因する目付量のバラツキを抑制することができる。
(実施例1~2、比較例1)
[1. 試料の作製]
正極活物質を含み、固形分体積分率が75%であり、平均粒径が100μmである湿潤粉体を作製した。この湿潤粉体のニップアングルαは、4.91°であった。
1、D1、D2、及びr1が後述する値である場合において、α=4.91°の湿潤粉体を圧縮する場合、dmaxは0.37mmと見積もられた。そのため、この湿潤粉体を用いて、厚さd=0.3mmの1次成形体30を作製した。
[2. 試験方法]
[2.1. 塗工試験]
[2.1.1. 実施例1~2]
図1に示す湿潤粉体塗工装置10を用いて、1次成形体30の塗工を行った。G1=0.3mm、D1=100mm、D2=150mm、r1=1.71とした。
また、実施例1については、β1=90°、β2=-20°とした。一方、実施例2については、β1=90°、β2=0°とした。
[2.1.2. 比較例1]
3本のロールを供えた湿潤粉体塗工装置(図1に示す湿潤粉体塗工装置10から第1ロール12を取り除いた装置)を用いて、湿潤粉体の塗工を行った。G2=0.09mm、D2=150mm、D3=150mm、r2=4.0とした。また、湿潤粉体は、鉛直上方から第2ロール14と第3ロール16の間に投入した。
[2.2. 目付バラツキの測定]
基材上に湿潤粉体が連続的に塗工されたシートから、5cmの間隔を開けて、φ16mmの試料を30点打ち抜いた。各試料の目付量を測定し、目付量の平均値及び3σを求めた。
[3. 結果]
表1に、各試料の塗工条件及び目付量を示す。図6に、比較例1で得られた電極の目付量バラツキを示す。図7に、実施例1で得られた電極の目付量バラツキを示す。さらに、図8に、実施例2で得られた電極の目付量バラツキを示す。表1及び図6~図8より、以下のことが分かる。
(1)比較例1は、目付量バラツキが大きい。これは、粉体特性にバラツキがあり、これによってニップアングルαがバラつくためと考えられる。
(2)実施例1、2は、比較例1に比べて目付量バラツキが小さい。これは、1次成形体30の厚さdをdmax以下にしているために、1次成形体30の噛み込み位置がほぼ一定となるためと考えられる。
(3)実施例1、2の目付量バラツキは、ほぼ同等であった。これは、1次成形体30の挿入方向(すなわち、β2)が適切な範囲内にあると、目付量バラツキを抑制することができることを示している。
Figure 0007359732000003
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る湿潤粉体塗工装置、及び塗工膜の製造方法は、リチウム二次電池の電極の製造に使用することができる。
10 湿潤粉体塗工装置
12 第1ロール
14 第2ロール
16 第3ロール
18 第4ロール
20 基材
22 2次成形体
30 1次成形体
32 成形体供給装置

Claims (3)

  1. 以下の構成を備えた湿潤粉体塗工装置。
    (1)前記湿潤粉体塗工装置は、
    隣接するロールの間で湿潤粉体からなる1次成形体を圧縮し、圧縮された2次成形体を下流側にあるロールの表面に保持するための第1ロール~第(n-1)ロール(n≧3)と、
    前記第(n-1)ロールの表面に付着している前記2次成形体を基材の表面に転写するための第nロールと、
    前記第1ロール~前記第nロールを互いに反対方向に回転させると同時に、ロール間のギャップGi(1≦i≦n-1)を調整するための駆動装置と、
    前記第1ロールと第2ロールとの間のギャップG1に前記1次成形体を供給するための成形体供給装置と、
    前記第nロールに前記基材を供給するための基材供給装置と、
    前記湿潤粉体塗工装置の動作を制御する制御装置と
    を備えている。
    (2)第iロール(1≦i≦n-1)の直径はDiであり、第(i+1)ロールの直径はDi+1(但し、Di+1/Di≧1.00)である。
    (3)水平方向と、前記第1ロールの中心と前記第2ロールの中心とを結ぶ方向とのなす角β1は、70°以上110°以下である。
    (4)前記成形体供給装置は、前記第1ロールと前記第2ロールの中心を結ぶ線に対して垂直方向と、前記1次成形体の挿入方向とのなす角β2が±20°以下となるように、前記第1ロール-前記第2ロール間に前記1次成形体を挿入可能なものからなる。
    (5)前記駆動装置は、前記第iロールのロール速度をVi(1≦i≦n-1)、前記第(i+1)ロールのロール速度をVi+1としたときに、Vi<Vi+1となるように、前記第1~第nロールを非等速で回転させることが可能なものからなる。
    (6)前記湿潤粉体塗工装置は、厚さdが次の式(3)から算出される最大幅dmax以下である前記1次成形体を前記第1ロール-前記第2ロール間で圧縮し、前記基材の表面に転写するために用いられる。
    Figure 0007359732000004
    但し、
    1及びD2は、それぞれ、前記第1ロール及び前記第2ロールの直径、
    αは、前記湿潤粉体のニップアングル、
    1は、前記第1ロールの周速度V1に対する前記第2ロールの周速度V2の比(=V2/V1)、
    1は、前記第1ロール-前記第2ロール間のギャップ。
  2. 以下の構成を備えた塗工膜の製造方法。
    (1)湿潤粉体の圧縮係数K、内部摩擦角δ、壁面摩擦角φ、及び、ゆるみ嵩密度ρを測定し、これらに基づいて、前記湿潤粉体のニップアングルαを算出する第1工程。
    (2)次の式(3)に基づいて、dmaxを算出する第2工程。
    Figure 0007359732000005
    但し、
    maxは、ロール間で滑りが生じない領域の水平方向の最大幅、
    1及びD2は、それぞれ、前記第1ロール及び前記第2ロールの直径、
    αは、前記湿潤粉体のニップアングル、
    1は、前記第1ロールの周速度V1に対する前記第2ロールの周速度V2の比(=V2/V1)、
    1は、前記第1ロール-前記第2ロール間のギャップ。
    (3)前記湿潤粉体を成形し、厚さdがdmax以下である1次成形体を得る第3工程。
    (4)請求項1に記載の湿潤粉体塗工装置を用いて、前記1次成形体の圧縮、及び、前記基材表面への転写を行う第4工程。
  3. 前記第4工程は、
    次の式(5)及び式(6)を満たすように、第iロール(2≦i≦n-1)の周速度Viに対する第(i+1)ロールの周速度Vi+1の比ri(=Vi+1/Vi)を調整し、
    次の式(7)を満たすように、第(i+1)ロールと第(i+2)ロールとの間のギャップGi+1に対する、第iロール(1≦i≦n-2)と前記第(i+1)ロールとの間のギャップGiの比rGi(=Gi/Gi+1)を調整する工程を含む
    請求項2に記載の塗工膜の製造方法。
    1.1≦ri≦4.0 …(5)
    0.95d/Wc≦rn-1!=Vn/V1≦1.05d/Wc …(6)
    1.1≦rGi≦4.0 …(7)
    但し、Wcは、前記基材表面への前記湿潤粉体の目標目付量。
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