WO2024024735A1 - シート状電極用成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

電極活物質と電解液とを含み且つ固体成分濃度が20体積%~90体積%である電極材料の複数の塊状物を、支持体上に分散して配置させる工程Aと、支持体上に分散して配置された複数の塊状物を成形部材により合一し、支持体上に電極材料膜を形成する工程Bと、を含む、シート状電極用成形体の製造方法。

Description

シート状電極用成形体の製造方法
 本開示は、シート状電極用成形体の製造方法に関する。
 近年、半固体電池の開発が検討されている。
 半固体電池に適用される電極は、例えば、粉体である電極活物質と電解液とを少なくとも含む電極材料を用いて製造される。
 例えば、特開2014-186969号公報には、電極活物質とバインダと導電材とを含んでなる造粒粒子からなる粉体を、ブラシ状部材にて支持体上に供給する手段を含む、電極製造装置が開示されている。
 特開2021-027043号公報には、連続するシート状の基材の表面に、電極活物質を含む電極組成物からなる電極組成物層が配置された電極組成物層配置部が間欠的に配置されたリチウムイオン電池用電極材の製造方法であって、上記基材上に上記電極組成物を連続的に供給する供給工程と、上記供給工程によって上記基材上に供給された上記電極組成物を加圧して上記電極組成物層を得る加圧工程と、上記供給工程によって上記基材上に供給された上記電極組成物の一部を除去して、上記基材上に電極組成物層配置部を形成する除去工程と、を備えるリチウムイオン電池用電極材の製造方法が開示されている。
 半固体電池に適用される電極の製造には、例えば、粉体である電極活物質(固体成分の一例)と電解液(液体成分の一例)とを少なくとも含む電極材料を用い、支持体上にてシート状(層状、膜状ともいう)に成形する工程が含まれる。この工程には、(1)製造しようとするシート状電極用成形体と同じ厚みで電極材料を支持体上に押し出す方法、又は、(2)製造しようとするシート状電極用成形体よりも厚く電極材料を支持体上に押し出しておき、押し出された電極材料の厚みを支持体上にて調整する方法が採用される。
 ところで、半固体電池の製造に用いられる電極材料は、電解液に比べ粉体である電極活物質を多く含み粘土様の性状を呈する。
 このような電極材料を上記(1)の方法に適用する場合、電極材料を細長い矩形の吐出口から強い圧力(荷重)をかけて押し出す必要がある。そのため、電極材料を吐出させるための装置には、大きな負荷がかかる。
 一方、粘土様の性状を有する電極材料を上記(2)の方法に適用する場合には、上記(1)の方法とは異なり、電極材料を細長い矩形の吐出口から強い圧力をかけて押し出す必要はない。しかしながら、(2)の方法では、押し出された電極材料の厚みを、ブレード等の成形部材で余剰分を削ぎ取る、又は、プレス機にて押圧し、更に余剰分を支持体外に排出することで調整するが、電極材料が粘土様の性状を有することから、成形部材又はプレス機により電極材料を変形等させる際に、大きな荷重が必要となる。
 つまり、上述のように、上記(1)の方法及び(2)の方法では、電極材料に対して、大きな荷重をかける過程が含まれてしまう。電極材料に大きな荷重をかけるためには、電極材料を保持する装置又は部材を大型化かつ堅牢化せざるを得ない。また、大きな荷重がかかることで、電極材料の固体成分と液体成分とが分離してしまい、目的とする厚みの電極材料膜を形成しにくくなることもある。
 そこで、本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものである。
 本開示の一実施形態は、電極材料にかかる荷重を低減し、且つ、目的とする厚みのシート状電極用成形体を製造しうる、シート状電極用成形体の製造方法を提供することを課題とする。
 本開示は、以下の態様を含む。
<1> 電極活物質と電解液とを含み且つ固体成分濃度が20体積%~90体積%である電極材料の複数の塊状物を、支持体上に分散して配置させる工程Aと、
 支持体上に分散して配置された複数の塊状物を成形部材により合一し、支持体上に電極材料膜を形成する工程Bと、
 を含む、シート状電極用成形体の製造方法。
<2> 成形部材を、支持体表面から一定の距離を保ったまま、支持体表面に沿って相対移動させることで、支持体上に分散して配置された複数の塊状物を合一し、支持体上に電極材料膜を形成する、<1>に記載の、シート状電極用成形体の製造方法。
<3> 支持体上に分散して配置された複数の塊状物の平均高さをHとし、成形部材と支持体表面との距離をCとしたとき、距離Cに対する高さHの比(H/C)が、1<H/C≦100を満たす、<2>に記載のシート状電極用成形体の製造方法。
<4> 成形部材から電極材料(塊状物)に印加される圧力が10kPa~500kPaである、<1>~<3>のいずれか1つに記載のシート状電極用成形体の製造方法。
<5> 支持体上に分散して配置された複数の塊状物において、隣接する塊状物の面積重心間距離が0.1mm~50mmである、<1>~<4>のいずれか1つに記載のシート状電極用成形体の製造方法。
<6> 支持体上に分散して配置された複数の塊状物が占める領域が、支持体上における電極材料膜の形成領域に対し、10%~90%である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のシート状電極用成形体の製造方法。
<7> 工程Aを、電極活物質と電解液とを含み且つ固体成分濃度が20体積%~90体積%である電極材料の複数の塊状物を、支持体上に散布供給することで行う、<1>~<6>に記載のシート状電極用成形体の製造方法。
<8> 工程A及び工程Bを連続搬送されている支持体を用いて行い、工程Bにて支持体の搬送方向に沿って連続膜である電極材料膜を形成する、<1>~<7>のいずれか1つに記載のシート状電極用成形体の製造方法。
<9> 成形部材と支持体表面との距離と同じ厚さで且つ隙間のない電極材料膜を形成しうる理論上の電極材料の量をXとし、支持体上への電極材料の塊状物の供給量をYとしたとき、量Xに対する供給量Yの比(Y/X)が体積基準にて1≦Y/X≦5を満たす、<7>又は<8>に記載のシート状電極用成形体の製造方法。
 本開示の一実施形態によれば、電極材料にかかる荷重を低減し、且つ、目的とする厚みのシート状電極用成形体を製造しうる、シート状電極用成形体の製造方法を提供することができる。
図1は、塊状物の形態の一例を示す概略図である。 図2は、支持体上に複数の塊状物が分散して配置された状態を、支持体の厚み方向に沿って切断したときの断面概略図である。 図3は、支持体上に複数の塊状物が分散して配置された状態を上面から視たときの上面概略図である。 図4は、支持体上に分散して配置された複数の塊状物を成形部材により合一する方法を説明するための断面概略図である。 図5は、支持体上に分散して配置された複数の塊状物を成形部材により合一する方法を説明するための上面概略図である。
 以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施形態に何ら制限されず、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。各図面において同一の符号を用いて示す構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。各図面において重複する構成要素、及び符号については、説明を省略することがある。図面における寸法の比率は、必ずしも実際の寸法の比率を表すものではない。
 本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
 本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
 本開示において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれか一方を意味する。
 本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
 本開示において、2以上の好ましい態様又は形態の組み合わせは、より好ましい態様又は形態である。
 本開示において、「固体成分」とは、25℃、1気圧下において固体状である成分を意味し、「液体成分」とは、25℃、1気圧下において液体状である成分を意味する。
 本開示において、支持体上における電極材料膜の形成領域とは、支持体の全表面積のうち、電極材料の塊状物を合一することで電極材料膜を形成する領域を指し、支持体上の電極材料膜で覆われる領域に該当する。なお、支持体が、集電体であるか、又は、集電体と樹脂フィルムとの積層体であれば、集電体の面積が電極材料膜の形成領域となる。
 また、本開示において、支持体における「幅方向」とは、長手方向に直交する方向を指し、長尺の支持体であれば、長尺方向に直交する方向を指す。
 更に、成膜部材(例えば、ブレード)における「幅方向」とは、成膜部材が支持体表面に沿って相対移動する方向(即ち、支持体上における電極材料膜の形成方向)に直交する方向を指す。つまり、ブレードにおける「幅方向」は、電極材料膜の「幅方向」にも該当する。
<シート状電極用成形体の製造方法>
 本開示に係るシート状電極用成形体の製造方法は、電極活物質と電解液とを含み且つ固体成分濃度が20体積%~90体積%である電極材料の複数の塊状物を、支持体上に分散して配置させる工程Aと、支持体上に分散して配置された複数の塊状物を成形部材により合一し、支持体上に電極材料膜を形成する工程Bと、を含む。
 以下、「電極活物質と電解液とを含み且つ固体成分濃度が20体積%~90体積%である電極材料」を、「特定電極材料」ともいい、「シート状電極用成形体」を、単に、「電極用成形体」ともいう。
 電極活物質と電解液とを含み且つ固体成分濃度が20体積%~90体積%である電極材料(すなわち、特定電極材料)は、粘土様の性状を呈する。本発明者らは、このような粘土様の性状を呈する電極材料を用い、電極材料に対し大きな荷重をかけずに、目的とする厚みのシート状電極用成形体を得る方法について検討を行った。
 検討の結果、まず、支持体上に、粘土様の性状を呈する電極材料の複数の塊状物を分散して配置させ、その後、分散して配置された複数の塊状物を成形部材により合一させて電極材料膜を形成する手法を見出した。この手法によれば、成形部材と塊状物との接触面積が小さく、成形部材から電極材料にかかる荷重が小さくて済むものと考えられる。また、複数の塊状物を合一させる際、成形部材の調整により目的とする厚みの電極材料膜を形成することができる。
 これらの結果、本開示に係る電極用成形体の製造方法では、電極材料にかかる荷重を低減しつつも、目的とする厚みのシート状電極用成形体が製造される。
 本開示に係る電極用成形体の製造方法では、目的とする厚みのシート状電極用成形体を、電極材料に大きな荷重をかけずとも形成することができる。その結果、電極材料に対し大きな荷重をかけるために必要な時間を短縮することが可能となる。また、電極材料に大きな荷重をかけるために、電極材料を保持する装置又は部材を大型化かつ堅牢化させる必要もなくなる。
 特開2014-186969号公報において、支持体上に供給される粉体は、電解液が僅かに含まれる構成であって、特定電極材料には該当しない。
 また、特開2021-027043号公報には、支持体上に分散して配置された複数の塊状物を成形部材により合一し、支持体上に電極材料膜を形成することは記載されていない。
〔工程A〕
 工程Aでは、電極活物質と電解液とを含み且つ固体成分濃度が20体積%~90体積%である電極材料(すなわち、特定電極材料)の複数の塊状物を、支持体上に分散して配置させる。
(塊状物)
 本開示において、「電極材料の塊状物」とは、径が0.1mm~20mmである粒状物(ペレットともいう)、又はその二次粒子(すなわち、凝集体)を指す。ここで、径が0.1mm~20mmである粒状物は、少なくとも電極活物質と電解液とを含む混合物からなる粒子である。
 塊状物について、図1を用いて説明する。ここで、図1は、塊状物の形態の一例を示す概略図である。
 図1に示すように、塊状物20は、例えば、粒状物22が3つ凝集してなる凝集体である。塊状物20に含まれる粒状物22の数は、特に限定されない。
 ここで、粒状物の径の測定には、円相当径を求める公知の方法が用いられる。すなわち、粒状物の径は、粒状物の円相当径であることを意味する。
 また、粒状物の形状としては、特に制限されず、球形状、楕円体状、円柱状、平板状、不定形状等であってもよい。
 本工程では、図2及び図3に示すように、支持体10上に複数の塊状物20を分散して配置する。ここで、図2は、支持体上に複数の塊状物が分散して配置された状態を、支持体の厚み方向に沿って切断したときの断面概略図である。また、図3は、支持体上に複数の塊状物が分散して配置された状態を上面から視たときの上面概略図である。
 支持体上に分散して配置された塊状物の径としては、例えば、0.1mm~20mmであることが好ましく、0.5mm~10mmであることがより好ましく、1mm~5mmであることが更に好ましい。
 塊状物の径の測定には、円相当径を求める公知の方法が用いられる。すなわち、塊状物の径は、塊状物の円相当径であることを意味する。
 支持体上に分散して配置された塊状物の平均高さとしては、例えば、0.1mm~10mmであることが好ましく、0.5mm~10mmであることがより好ましく、1mm~5mmであることが更に好ましい。
 塊状物の高さは、図2における「H」に該当する。塊状物の高さは、支持体を基準としたレーザー変位計による測定にて求められる。なお、測定は、支持体上における電極材料膜の形成領域上に存在する全塊状物を100個数%としたとき、そのうち無作為に選択した50個数%(小数点以下切り捨て)に該当する個数の塊状物について行い、得られた測定値の算術平均値を「塊状物の平均高さ」とする。
 支持体上に分散して配置された複数の塊状物において、隣接する塊状物の面積重心間距離は、0.1mm~50mmであることが好ましく、1mm~20mmであることがより好ましく、5mm~10mmであることが更に好ましい。
 隣接する塊状物の面積重心間距離は、図3における「D」に該当する。隣接する塊状物の面積重心間距離は、塊状物が分散している状態の支持体を上面から視たときの画像を得て、この画像において、1つの塊状物(基準塊状物)を特定し、その粒状物に最も近い隣接する塊状物(近接塊状物)を選定し、それら隣接する塊状物の面積重心(図3中の20C)間の距離を測定することで求められる。なお、上記基準塊状物としては、支持体上における電極材料膜の形成領域上に存在する全塊状物を100個数%としたとき、そのうち25個数%(小数点以下切り捨て)に該当する個数の塊状物を選択する。この基準塊状物の選択の際、1度選択された基準塊状物とその近接塊状物は除くものとする。得られた測定値の算術平均値を「隣接する塊状物の面積重心間距離」とする。
 また、連続搬送されている支持体上に、支持体の搬送方向に沿って、連続的に電極材料膜を形成する態様の場合は、支持体を上面から視たときの画像として、支持体の幅方向に沿って設けられたラインセンサカメラにより得られる1ラインの画像をつなぎ合わせて得られる二次元画像を用いればよい。
 支持体上に分散して配置された複数の塊状物が占める領域(以下、塊状物の面積率ともいう)が、支持体上における電極材料膜の形成領域に対し、10%~90%であることが好ましく、10%~40%であることがより好ましく、10%~20%であることが更に好ましい。
 ここで、支持体上における電極材料膜の形成領域とは、支持体の全表面積のうち、電極材料の塊状物を合一することで電極材料膜を形成する領域を指し、支持体上における電極材料膜で覆われる領域に該当する。なお、支持体が、集電体、又は集電体と樹脂フィルムとの積層体であれば、集電体の面積が電極材料膜の形成領域となる。
 塊状物の面積率は、以下のようにして求める。
 即ち、まず、塊状物が分散している状態の支持体を上面から視たときの画像を得て、この画像を二値化処理し、支持体上の塊状物が占める面積を算出する。そして、算出された塊状物が占める面積を、式:塊状物が占める面積/支持体上における電極材料膜の形成領域×100に導入することで求められる。
 また、連続搬送されている支持体上に、支持体の搬送方向に沿って、連続的に電極材料膜を形成する態様の場合は、支持体を上面から視たときの画像として、隣接する塊状物の面積重心間距離を求める際と同様に、ラインセンサカメラを用いて得られる二次元画像を用いればよい。
 工程Aにて、特定電極材料の複数の塊状物を支持体上に分散して配置させる方法としては、特に制限はないが、塊状物の大きさを調整しやすい観点、塊状物の分散具合を調整しやすい観点、供給量の安定化の観点から、以下の方法で行うことが好ましい。
 即ち、工程Aは、特定電極材料の複数の塊状物を、支持体上に散布供給することで行うことが好ましい。つまり、予め作製しておいた特定電極材料の複数の塊状物を、支持体上に散布供給することで、特定電極材料の複数の塊状物を支持体上に分散して配置させることができる。
 上記散布供給に用いられる特定電極材料の複数の塊状物は、特定電極材料を用いて造粒が可能な、公知の造粒手段により製造することができる。
 造粒手段としては、押出造粒法、粉砕造粒法、圧縮造粒法、湿式(凝集)造粒法、ダイサーを用いた造粒法等が挙げられる。
 造粒手段により得られた塊状物は、公知の搬送手段、及び供給手段により、支持体上に散布供給される。
 また、散布供給は、供給手段を支持体表面に沿って相対移動させることで、行うことができる。
(特定電極材料)
 工程Aにて用いる特定電極材料の詳細については、後述する。
〔工程B〕
 工程Bでは、支持体上に分散して配置された複数の塊状物を成形部材により合一し、支持体上に電極材料膜を形成する。
 特に、工程Bでは、成形部材を、支持体表面から一定の距離を保ったまま、支持体表面に沿って相対移動させることで、支持体上に分散して配置された複数の塊状物を合一し、支持体上に電極材料膜を形成することが好ましい。
 工程Bについて、図4及び図5を参照して、説明する。ここで、図4は、支持体上に分散して配置された複数の塊状物を成形部材により合一する方法を説明するための断面概略図である。また、図5は、支持体上に分散して配置された複数の塊状物を成形部材により合一する方法を説明するための上面概略図である。
 図4に示すように、ブレード(成形部材の一例)30は、支持体10表面から一定の距離を保つように設置されている。以下、適宜、ブレード30の先端部(具体的には、ブレード30の支持体10表面に最も近い角部)と支持体10表面との距離を、「距離C」ともいう。言い換えれば、支持体10表面とブレード30の先端部との間には、距離Cを有する空隙が形成されていることとなる。
 図4に示すように、支持体10が矢印X方向に移動すると、支持体10上に分散して配置された塊状物20がブレード30に接触するようになる。ブレード30に接触した複数の塊状物20は、それぞれ、支持体10上にて、支持体10の幅方向(図4の奥行方向に該当)及び矢印X方向とは反対の方向に押し延ばされる。その結果、支持体10上に押し延ばされた複数の塊状物20が互いに合一し、図4及び図5に示すように、電極材料膜24が形成される。このとき、図4に示すように、ブレード30と支持体10表面との距離、すなわち、距離Cが、塊状物20の高さよりも小さいことで、塊状物20が効率的にブレード30に接触し、支持体10上に押し延ばされた塊状物20同士の合一が進む。
 また、距離Cを有する空隙を、支持体10上に分散して配置された塊状物20が通過することで、塊状物20に荷重がかかり厚みが規制され、距離Cと同等の厚みの電極材料膜24が形成される。
 以上のようにして形成された電極材料膜24は、図5に示すように、ブレード30の幅と同等の幅を有する態様に限定されない。支持体10上の塊状物20の配置具合、供給量等を調整することで、電極材料膜24の幅を、ブレード30の幅よりも小さくすることもでき、ブレード30の幅と同等とすることもできる。
 ブレードの設置位置としては、形成する電極材料膜の膜厚に合わせて設定される上記距離Cに基づきに決定されればよい。なお、「支持体表面から一定の距離を保つように」とは、支持体表面に沿ってブレードが相対移動している際に、支持体表面とブレードの幅方向中央部の先端との距離が実質的に一定に保たれるようにされていればよい。「支持体表面から一定の距離を保つように」には、例えば、ブレードが振動することで生じるブレードの振幅は許容される。また、「支持体表面から一定の距離を保つように」には、支持体が搬送される際の支持体表面の位置変動(支持体の浮上、支持体に生じるシワにより生じる位置変化)、支持体表面における表面粗さ等も許容される。これらのことから、「支持体表面から一定の距離を保つように」には、停止した状態での支持体表面とブレードの先端部との距離(即ち、空隙の高さ)に対し、支持体表面に沿ってブレードが相対移動している際の、支持体表面とブレードの先端部との距離の変動値が、3%以内又は20μm以下であれば、これを許容する。
 また、支持体表面とブレードの先端部との距離(即ち、空隙の高さ)は、その幅方向で多少の分布が存在することがあるが、この分布が3%以内又は20μm以内であれば、これを許容する。
 なお、ブレードは、不図示の加圧手段と接続していることが好ましい。そして、この加圧手段により、塊状物と接触している状況、及び、支持体表面に沿ってブレードが相対移動している状況においても、一定の距離Cを保つようにブレードを支持体側に向けて加圧していることが好ましい。また、ブレードは、一定の距離Cを保つように、接触している塊状物からの反発力(即ち、塊状物がブレードを押し退ける力)に対向するように圧力を印加することが好ましい。このような態様とすることで、厚みのバラツキの少ない電極材料膜が形成される。
 また、距離Cを有する空隙を塊状物が通過することで電極材料膜が形成されるが、このとき、ブレードの少なくとも塊状物との接触部が振動していることが好ましい。ブレードの塊状物との接触部が振動していることで、この振動が塊状物に伝搬し、塊状物にせん断力が加わることとなる。せん断力がかかった塊状物は、粘度が低下したり、流動性が向上することから、塊状物同士の合一が促進されるものと推測される。また、この態様では、形成された電極材料膜の面状が整うこととなり、厚みのバラツキの少ない電極材料膜が形成される。
 なお、ブレードを振動させるための加振器としては、ブレードの少なくとも塊状物との接触部を振動させることができれば特に制限はなく、例えば、空気式バイブレーター、モーター型バイブレーター、ピエゾ振動子、超音波振動器等が挙げられる。
 図4及び図5では、固定したブレード30に対し、支持体10が矢印X方向に搬送移動する態様を示しているが、この態様に限定されるものではない。
 本開示に係る電極用成形体の製造方法では、支持体表面とブレードとが相対移動すればよく、上記の態様の他、固定した支持体に対してブレードを一方向に移動させる態様であってもよいし、支持体とブレードとの両方をそれぞれ一方向に移動させる態様であってもよい。
 但し、電極材料膜を連続的に形成するためには、すなわち、連続膜である電極材料膜を形成するためには、長尺の支持体を用い、固定したブレードに対し、長尺の支持体を搬送移動させる態様が好ましい。
 また、図4及び図5では、成形部材としてブレードを用いた態様を示しているが、この態様に限定されるものではない。
 成形部材としては、ブレードの他、ローラが挙げられる。成形部材がローラである場合、ローラは、ブレードと同様に、支持体表面から一定の距離を保つように設置されればよ
い。ローラは、支持体上に分散して配置された複数の塊状物に接触しながら回転し、支持体上に塊状物を延ばすことができる。その結果、支持体上に延ばされた複数の塊状物が互いに合一し、電極材料膜が形成される。
(比(H/C))
 工程Bにおいては、塊状物の合一が容易になる観点から、支持体上に分散して配置された複数の塊状物の平均高さをHとし、成形部材と支持体表面との距離をC(既述の距離Cに該当)としたとき、距離Cに対する高さHの比(H/C)が、1<H/C≦100を満たすことが好ましく、1<H/C≦50を満たすことがより好ましく、1<H/C≦10を満たすことがさらに好ましい。
 ここで、距離Cは、ブレードが支持体に接触した高さを基準としたときのレーザー変位計による測定で求められる。また、距離Cは、メカニカルゲージにより測定してもよい。
(電極材料に印加される圧力)
 工程Bにおいては、塊状物が成形部材に接触する際に、成形部材から塊状物、すなわち、特定電極材料に圧力が印加される。このとき、成形部材に接触している塊状物、すなわち、特定電極材料に印加される圧力は10kPa~500kPaであることが好ましく、10kPa~100kPaであることがより好ましく、10kPa~20kPaであることが更に好ましい。
 ここで、電極材料に印加される圧力は、以下の方法で求められる。
 即ち、成形部材を、アクチュエータ(エアシリンダー、モーター駆動のリニアアクチュエータ、ピエゾなど)を用いて、支持体上に分散して配置された塊状物(すなわち電極材料)に対して一定の力で押し付け、更に、成形部材を支持体表面に沿って相対移動させ、目的とする厚さの電極材料膜を形成するときの、アクチュエータによる力を電極材料の受圧面積で割ることで求められる。
 成形部材に接触している塊状物、すなわち、特定電極材料に印加される圧力を変化させる方法としては、支持体表面と成形部材との距離、成形部材を支持体表面に向かって押し当てる圧力、成形部材の自重等の、1以上を調整する方法が挙げられる。
(好ましい態様)
 本開示に係る電極用成形体の製造方法は、工程A及び工程Bを連続搬送されている支持体を用いて行い、工程Bにて支持体の搬送方向に沿って連続膜である電極材料膜を形成することが好ましい。また、工程Aを、特定電極材料の複数の塊状物を、連続搬送されている支持体上に散布供給することで行うことが好ましい。
 この好ましい態様では、連続搬送されている支持体上に、支持体の搬送方向に沿って、連続的に電極材料膜を形成する態様である。
 この態様を採用することで、電極材料膜が生産性よく形成することができる。
 また、この好ましい態様では、成形部材と支持体表面との距離と同じ厚さで且つ隙間のない電極材料膜を形成しうる理論上の電極材料の量をXとし、支持体上への電極材料の塊状物の供給量をYとしたとき、量Xに対する供給量Yの比(Y/X)が体積基準にて1≦Y/X≦5を満たすことが好ましい。
 なお、支持体の搬送方向に沿って、連続的に電極材料膜を形成する態様においては、比(Y/X)の値を、上記の範囲内において、適宜、調整してもよい。
 ここで、比(Y/X)の値は、供給量Yを変えることで調整することができる。供給量Yは、工程Aが行われている間、同じであってもよいし、異なってもよい。
 ここで、理論上の電極材料の量Xは、形成したい電極材料膜の厚みをT[mm]とし、電極材料膜の幅をW[mm]とし、成膜速度(すなわち、支持体の搬送速度)をV[mm/秒]とした場合、X[mm/秒]=T×W×Vから求められる。
 また、供給量Y[mm/秒]は、電極材料を供給する供給手段(例えば、ポンプ、フィーダー等)の流量から求められる。
〔その他の工程〕
 本開示に係る電極用成形体の製造方法は、その他の工程を含んでいてもよい。
 その他の工程としては、例えば、電極材料膜を加圧する工程、支持体が離型紙である場合、離型紙上に形成された電極材料膜を集電体へと転写する工程等が挙げられる。
(電極材料膜を加圧する工程)
 本開示に係る電極用成形体の製造方法は、工程Bで得られた電極材料膜を加圧する工程を有していてもよい。
 本開示に係る電極用成形体の製造方法が加圧工程を含むことで、電極材料の密度を高め且つ密度、厚みの面内均一化を図ることができる。
 本工程で用いられる加圧手段としては、例えば、加圧ロール対、及びプレス機が挙げられる。
 電極材料膜を加圧する場合、圧力は、0.01MPa~100MPaであることが好ましく、0.1MPa~50MPaであることがより好ましく、0.2MPa~10MPaであることが特に好ましい。
 本工程では、複数の加圧手段(例えば、加圧ロール対)を用いて、電極材料膜を段階的に加圧してもよい。複数の加圧手段を用いて電極材料膜を段階的に加圧することで、電極材料の密度、厚みをより均一にできる。
 例えば、ロール間の隙間を段階的に狭く調整した、複数の加圧ロール対を用いることで、電極材料膜を段階的に加圧できる。
 本工程では、加圧手段と電極材料膜(具体的には、電極材料膜が形成された支持体)とを相対移動させて行うことが好ましい。
 本開示において、「加圧手段と電極材料膜とを相対移動させる」とは、電極材料膜に対して加圧手段を一方向に移動させること、加圧手段に対して電極材料膜を一方向に移動させること、及び加圧手段と電極材料膜とをそれぞれ一方向に移動させることを含むが、加圧手段に対して電極材料膜を一方向に移動させることが好ましい。
 電極材料膜(具体的には、電極材料膜が形成された支持体)を移動させる手段としては、制限されず、公知の搬送手段を利用でき、例えば、ベルトコンベア、リニアモーションガイド、及びクロスローラーテーブルが挙げられる。
 本工程においては、成形性の向上の観点から、例えば、30℃~100℃にて加熱された電極材料膜を加圧してもよい。
 以下、本開示に係る電極用成形体の製造方法で用いる、支持体、成形部材、及び電極材料の詳細について説明する。
[支持体]
 本工程で用いる支持体は、表面に電極材料膜を形成し得る支持体であれば、特に制限はない。特に、連続的に電極材料膜を形成する観点からは、長尺の支持体を用いることが好ましい。長尺の支持体の場合、その幅は、電極材料膜の大きさ、成形部材(例えば、ブレード)の幅方向中央部の幅(長さ)に応じて決定されればよい。
 支持体として具体的には、集電体が好ましいものとして挙げられる。
 支持体の一例である集電体としては、特に制限されず、公知の集電体(正極集電体及び負極集電体)を利用できる。
 正極集電体としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、及びチタンが挙げられる。正極集電体は、アルミニウム、又はアルミニウム合金であることが好ましい。正極集電体は、表面に、カーボン、ニッケル、チタン、銀、金、白金、及び酸化バナジウムの1以上を含む被覆層を有する、アルミニウムであってもよい。
 負極集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、及びチタンが挙げられる。負極集電体は、アルミニウム、銅、銅合金、又はステンレス鋼であることが好ましく、銅、又は銅合金であることがより好ましい。負極集電体は、表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀、及びリチウムの1以上を含む被覆層を有する、銅又はステンレス鋼であってもよい。
 集電体としては、アルミニウム箔(表面に上述の被覆層を有するアルミニウム箔を含む)、銅箔(表面に上述の被覆層を有する銅箔を含む)であることが好ましい。アルミニウム箔は、通常、正極における集電体として利用される。銅箔は、通常、負極における集電体として利用される。
 また、支持体は、上述した正極集電体又は負極集電体として例示された金属層と、樹脂フィルムと、の積層体であってもよい。積層体に用いられる樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、環状オレフィンポリマー(COP、COC)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)ポリイミド(PI)フィルム、ポリアミド(PA)フィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。
 また、支持体の一例としては、離型材が挙げられる。
 支持体の一例である離型材としては、例えば、離型紙(例えば、リンテック株式会社製の剥離紙)、離型層を有するフィルム、及び離型層を有する紙が挙げられ、中でも、離型紙が好ましい。
 なお、支持体として離型材を用いる場合、離型材上に形成された電極材料膜は、離型材が有する離型性を利用して、集電体へと転写させることができる。
 支持体(好ましくは集電体)の平均厚みは、搬送性等の観点から、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。
 平均厚みは、柔軟性、及び軽量性の観点から、100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。
 支持体の平均厚みは、断面観察によって測定される3か所の厚みの算術平均とする。断面観察においては、公知の顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡)を用いることができる。
 支持体の大きさは、制限されず、製造する電極用成形体の大きさ、製造工程に用いる各種部材の大きさ等に応じて決定すればよい。
 また、本工程において、支持体の搬送機構としては、制限されず、公知の搬送手段を利用することができる。
 支持体の搬送機構としては、例えば、ベルトコンベア、リニアモーションガイド、クロスローラーテーブル等を使用することができる。
[成形部材]
 成形部材としては、ブレード、及びローラが挙げられる。中でも、塊状物の合一を効果的に行う観点から、ブレードが好ましい。
(ブレード)
 ブレードは、板状形状を有する部材であるが、塊状物に接触する接触部の形状、大きさ、材質等に関しては、電極材料の種類(電極活物質の種類、固体成分濃度、電解液の組成(粘度、表面張力)等)、形成する電極材料膜の大きさ、厚み等に応じて、適宜、決定されればよい。
 また、ブレードの塊状物との接触部は、電極材料が付着しにくいことが好ましく、例えば、ブレードの少なくとも表面は離型性を示すことが好ましい。
 例えば、ブレードとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の樹脂製であってもよいし、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、超硬合金等の金属製であってもよいし、セラミック製であってもよい。
 また、表面に離型性を付与するため、ブレードは、離型性を示す表面層(例えば、フッ素系樹脂を含む表面層、シリコン系の粒子及び樹脂を含む表面層)を備えていてもよい。
 更に、ブレードは、耐摩耗性を高める観点から、金属製又はセラミック製のブレード本体に、酸化チタン、窒化チタン(TiN)、タングステンカーバイト等の高硬度被膜を有していてもよい。
 本工程において、厚みのバラツキのより少ない電極材料膜を得る観点からは、ブレードの塊状物との接触部と電極材料との摩擦係数μ1が、電極材料と支持体との摩擦係数μ2よりも小さいことが好ましい。
 このように、上記摩擦係数μ1<上記摩擦係数μ2の関係を満たすことで、塊状物、すなわち、電極材料が支持体側に付着しやすくなり、その結果として、厚みのバラツキのより少ない電極材料膜が得られるものと推測される。
 上記摩擦係数μ1及び上記摩擦係数μ2は、電極材料から電極材料層を形成し、電極材料層とブレード又は支持体との摩擦係数を測定することで求められる。
 具体的には、まず、セル(サイズ:直径20mm~30mm、高さ20mm~30mmの円筒)に電極材料を5g~20g充填し、電極材料中の空隙除去(即ち、空気除去)をして、電極材料層を形成する。
 得られた電極材料層を、ブレード又は支持体に載せ、更に、電極材料層上に100g~1000gの重りを載せる。その後、引張試験機により、電極材料層をブレード又は支持体上で横滑りさせる(横滑り速度:5mm/sec)。この横滑りにて得られた、重りによる鉛直方向の荷重と引張試験機により測定される抗力の関係をプロットして得られた関係式から、摩擦係数を求める。
 なお、ブレード又は支持体が上記測定にそのまま適用できない場合、ブレード又は支持体の表面のみを取り出す、又は、ブレード又は支持体の表面と同様の組成及び表面性状を有する測定試料を作製し、これを用いて測定すればよい。
 なお、上記測定は、21℃、0%RH(露点温度-60℃)のドライルームの環境下で行われる。
(ローラ)
 ローラは、外周面が回転可能な部材であるが、大きさ、材質等に関しては、電極材料の種類(電極活物質の種類、固体成分濃度、電解液の組成(粘度、表面張力)等)、形成する電極材料膜の大きさ、厚み等に応じて、適宜、決定されればよい。
 ローラの外周面を構成する材質としては、ブレードと同様であればよく、離型性を示す表面層を有していてもよい。
 ローラの外径としては、特に制限はないが、例えば、20mm~30mmであればよい。
 また、ローラは回転することから、その外周面と塊状物との摩擦係数を0とみなすことができる。但し、その結果として、塊状物(すなわち電極材料)との密着性が高まる場合があることから、塊状物とローラの外周面との間には離型紙を挟むことが好ましい。
[特定電極材料]
 以下、特定電極材料の詳細について、説明する。
 特定電極材料は、電極活物質と電解液とを少なくとも含み、且つ、固体成分濃度が20体積%~90体積%である。特定電極材料の固形分濃度は、30体積%~80体積%が好ましく、40体積%~70体積%がより好ましく、40体積%~60体積%が更に好ましい。
(電極活物質)
 電極活物質は、周期律表における第1族又は第2族に属する金属元素のイオンを挿入、及び放出することが可能な物質である。電極活物質は、固体成分に含まれる。
 電極活物質としては、例えば、正極電極活物質及び負極電極活物質が挙げられる。
-正極電極活物質-
 正極電極活物質としては、制限されず、正極に用いられる公知の電極活物質を利用できる。正極電極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入及び放出できる正極電極活物質であることが好ましい。
 正極電極活物質としては、具体的には、例えば、遷移金属酸化物、及びリチウムと複合化できる元素(例えば、硫黄)が挙げられる。上記の中でも、正極電極活物質は、遷移金属酸化物であることが好ましい。
 遷移金属酸化物は、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、及びV(バナジウム)からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属元素(以下、「元素Ma」という。)を含む遷移金属酸化物であることが好ましい。
 遷移金属酸化物がLi及び元素Maを含む場合、Maに対するLiのモル比(Li/Ma)は、0.3~2.2であることが好ましい。
 また、遷移金属酸化物は、リチウム以外の第1族の元素、第2族の元素、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)、Pb(鉛)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)、Si(ケイ素)、P(リン)、及びB(ホウ素)からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属元素(以下、「元素Mb」という。)を含んでいてもよい。元素Mbの含有量は、元素Maの物質量に対して、0mol%~30mol%であることが好ましい。
 遷移金属酸化物としては、例えば、層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物、リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物、及びリチウム含有遷移金属ケイ酸化合物が挙げられる。
 層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物としては、例えば、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi(ニッケル酸リチウム)、LiNi0.85Co0.10Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、及びLiNi0.5Mn0.5(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
 スピネル型構造を有する遷移金属酸化物としては、例えば、LiCoMnO、LiFeMn、LiCuMn、LiCrMn、及びLiNiMnが挙げられる。
 リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、オリビン型リン酸鉄塩(例えば、LiFePO、及びLiFe(PO)、ピロリン酸鉄塩(例えば、LiFeP)、リン酸コバルト塩(例えば、LiCoPO)、及び単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩(例えば、Li(PO(リン酸バナジウムリチウム))が挙げられる。
 リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、フッ化リン酸鉄塩(例えば、LiFePOF)、フッ化リン酸マンガン塩(例えば、LiMnPOF)、及びフッ化リン酸コバルト塩(例えば、LiCoPOF)が挙げられる。
 リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、LiFeSiO、LiMnSiO、及びLiCoSiOが挙げられる。
 遷移金属酸化物は、層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物であることが好ましく、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi0.85Co0.10Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、及びLiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
 正極電極活物質は、市販品であってもよく、公知の方法(例えば、焼成法)によって製造された合成品であってもよい。例えば、焼成法によって得られた正極電極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、又は有機溶剤を用いて洗浄されていてもよい。
 また、正極電極活物質は、その表面にカーボン被膜を有していてもよい。
 正極電極活物質の形状は、制限されないが、取扱性の観点から、粒子状であることが好ましい。
 正極電極活物質の体積平均粒径は、制限されず、例えば、0.1μm~50μmとすることができる。正極電極活物質の体積平均粒径は、0.3μm~40μmであることが好ましく、0.5μm~30μmであることがより好ましい。
 正極電極活物質の体積平均粒径が0.3μm以上であることで、電極材料の集合体を容易に形成することができ、また、取り扱いの際に電極材料が飛散することを抑制できる。正極電極活物質の体積平均粒径が40μm以下であることで、電極用成形体の厚みを容易に調節することができ、また、成形過程において空隙の発生を抑制することができる。
 正極電極活物質の体積平均粒径は、以下の方法により測定する。
 正極電極活物質と溶媒(例えば、純水、エタノール、ヘプタン、オクタン、トルエン、又はキシレン)とを混合することによって、0.1質量%以下の正極電極活物質を含む分散液を調製する。1kHzの超音波を10分間照射した分散液を測定試料とする。レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、(株)堀場製作所製のLA-960)を用いて、温度25℃の条件下でデータの取り込みを50回行い、体積頻度粒度分布から体積平均粒径を求める。測定用のセルには、石英セルを用いる。上記測定を5つの試料を用いて行い、測定値の平均を正極活物質の体積平均粒径とする。その他の詳細な条件については、必要に応じて、「JIS Z 8828:2013」を参照する。
 正極電極活物質の粒径を調整する方法としては、例えば、粉砕機、解砕機、分級機を用いる方法が挙げられる。また、正極電極活物質の粒径を調整する方法としては、公知のミリング法を適用してもよい。
 製造される電極材料は、1種単独の正極電極活物質を含んでいてもよく、2種以上の正極電極活物質を含んでいてもよい。
 また、製造される電極材料が1種の正極電極活物質を含む場合であっても、粒径の異なる正極電極活物質を組み合わせて使用してもよい。
 製造される電極材料の全体積に対する正極電極活物質の含有率は、30体積%~60体積%であることが好ましく、35体積%~55体積%であることがより好ましく、40体積%~50体積%であることが更に好ましい。
-負極電極活物質-
 負極電極活物質としては、制限されず、負極に用いられる公知の電極活物質を利用できる。負極電極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入及び放出できる負極電極活物質であることが好ましい。
 負極電極活物質としては、例えば、炭素質材料、金属酸化物(例えば、酸化スズ)、酸化ケイ素、金属複合酸化物、リチウム単体、リチウム合金(例えば、リチウムアルミニウム合金)、及びリチウムと合金を形成可能な金属(例えば、Sn、Si、及びIn)が挙げられる。上記の中でも、負極電極活物質は、信頼性の観点から、炭素質材料、又はリチウム複合酸化物であることが好ましい。
 炭素質材料は、実質的に炭素からなる材料である。
 炭素質材料としては、例えば、石油ピッチ、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)、黒鉛(例えば、天然黒鉛、及び人造黒鉛(例えば、気相成長黒鉛))、ハードカーボン、及び合成樹脂(例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、及びフルフリルアルコール樹脂)を焼成してなる炭素質材料が挙げられる。炭素質材料としては、例えば、炭素繊維(例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA(ポリビニルアルコール)系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、及び活性炭素繊維)も挙げられる。黒鉛としては、例えば、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、及び平板状の黒鉛も挙げられる。
 本開示において、「平板状」とは、反対方向を向く2つの主平面を有する形状を意味する。
 金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属複合酸化物であることが好ましい。
 リチウムを吸蔵及び放出可能な金属複合酸化物は、高電流密度充放電特性の観点から、チタン及びリチウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。
 金属酸化物、及び金属複合酸化物は、特に非晶質酸化物であることが好ましい。
 金属酸化物、及び金属複合酸化物は、カルコゲナイドであることも好ましい。カルコゲナイドは、金属元素と周期律表における第16族の元素との反応生成物である。
 非晶質酸化物、及びカルコゲナイドからなる化合物群の中でも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドが好ましく、周期律表における第13族~15族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物、並びにカルコゲナイドがより好ましい。
 負極電極活物質は、チタンを更に含むことも好ましい。リチウムイオンの吸蔵放出時の体積変動が小さいことから急速充放電特性に優れ、そして、電極の劣化が抑制されることでリチウムイオン二次電池の寿命向上が可能となる観点から、チタンを含む負極電極活物質は、LiTi12(チタン酸リチウム[LTO])であることが好ましい。
 負極電極活物質は、市販品であってもよく、公知の方法(例えば、焼成法)によって製造された合成品であってもよい。例えば、焼成法によって得られた負極電極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、又は有機溶剤を用いて洗浄されていてもよい。
 負極電極活物質は、例えば、CGB20(日本黒鉛工業(株))として入手可能である。
 負極電極活物質の組成は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を用いて測定する。
 負極電極活物質の形状は、制限されないが、取り扱い易く、そして、量産の際に均一性を管理しやすいという観点から、粒子状であることが好ましい。
 負極電極活物質の体積平均粒径は、0.1μm~60μmであることが好ましく、0.3μm~50μmであることがより好ましく、0.5μm~40μmであることが特に好ましい。
 負極電極活物質の体積平均粒径は、上記正極電極活物質の体積平均粒径の測定方法に準ずる方法により測定する。
 負極電極活物質の粒径を調整する方法としては、例えば、粉砕機、又は分級機を用いる方法が挙げられる。
 製造される電極材料は、1種単独の負極電極活物質を含んでいてもよく、2種以上の負極電極活物質を含んでいてもよい。
 製造される電極材料の全体積に対する負極電極活物質の含有率は、30体積%~60体積%であることが好ましく、35体積%~57体積%であることがより好ましく、45体積%~55体積%であることが更に好ましい。
 正極電極活物質及び負極電極活物質の表面は、それぞれ、表面被覆剤で被覆されていてもよい。表面被覆剤としては、例えば、Ti、Nb、Ta、W、Zr、Si、又はLiを含む金属酸化物が挙げられる。上記金属酸化物としては、例えば、チタン酸スピネル、タンタル系酸化物、ニオブ系酸化物、及びニオブ酸リチウム系化合物が挙げられる。
(電解液)
 電解液としては、特に制限されず、公知の電解液を利用できる。電解液としては、例えば、電解質と、溶剤と、を含む電解液が挙げられる。具体的な電解液としては、例えば、電解質としてリチウム塩化合物と、溶剤としてカーボネート化合物と、を含む電解液が挙げられる。
 リチウム塩化合物としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウムが挙げられる。電解液は、1種単独のリチウム塩化合物を含んでいてもよく、2種以上のリチウム塩化合物を含んでいてもよい。
 カーボネート化合物としては、例えば、炭酸エチルメチル(EMCともいう)、炭酸ジメチル(DMCともいう)、炭酸ジエチル(DEC)等の鎖状カーボネート化合物、及び、炭酸エチレン(ECともいう)、炭酸プロピレン(PCともいう)等の環状カーボネート化合物が挙げられる。電解液は、1種単独のカーボネート化合物を含んでいてもよく、2種以上のカーボネート化合物を含んでいてもよいし、1種以上の鎖状カーボネート化合物と1種以上の環状カーボネート化合物とを併用してもよい。
 電解液に含まれる電解質としては、例えば、公知の無機固体電解質も使用することができる。
 電解液の成分として、例えば、イオン液体を用いてもよい。イオン液体は、電解質として用いても溶剤として用いてもよい。
 製造される電極材料の全体積に対する電解液の含有率は、80体積%以下であることが好ましく、70体積%以下であることがより好ましく、60体積%以下であることが更に好ましい。電極材料における電解液の含有量が80体積%以下であることで、電極材料を成形した際に電解液が滲み出ることを抑制することができる。
 電極材料における電解液の含有率の下限は、0体積%超であればよく、10体積%以上であることが好ましい。
 製造される電極材料は、液体成分として、電解液の成分として含まれる溶剤以外の溶剤(以下、単に「溶剤」ともいう。)を含んでいてもよい。
 溶剤としては、例えば、アルコール化合物溶剤、エーテル化合物溶剤、アミド化合物溶剤、アミノ化合物溶剤、ケトン化合物溶剤、芳香族化合物溶剤、脂肪族化合物溶剤、及びニトリル化合物溶剤が挙げられる。
 溶剤の沸点は、常圧(即ち1気圧)において、50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。溶剤の沸点の上限は、常圧(即ち1気圧)において、250℃以下であることが好ましく、220℃以下であることがより好ましい。
 製造される電極材料は、1種単独の溶剤を含んでいてもよく、2種以上の溶剤を含んでいてもよい。
 製造される電極材料の全体積に対する液体成分(即ち、電解液及び溶剤)の含有率は、80体積%以下であることが好ましく、70体積%以下であることがより好ましく、60体積%以下であることが更に好ましい。
 電極材料における液体成分の含有量が80体積%以下であることで、電極材料を成形した際に液体成分が滲み出ることを抑制することができる。また、液体成分が溶剤を含む場合には、電池性能の劣化を抑制することができる。
 電極材料における液体成分の含有率の下限は、0体積%超であればよく、10体積%以上であることが好ましい。
 なお、電極材料中の液体成分、即ち、電極材料中の25℃で液体状である成分は、-10℃であっても液体状であることが好ましく、-20℃であっても液体状であることが好ましい。つまり、電極材料中の25℃で液体状である成分は、-10℃で固化しない成分であることが好ましく、-20℃でも固化しない成分であることが好ましい。
(導電助剤)
 製造される電極材料は、電極活物質の電子伝導性の向上という観点から、導電助剤を含むことが好ましい。導電助剤としては、制限されず、公知の導電助剤を利用できる。
 導電助剤は、固体成分に含まれる。
 導電助剤としては、例えば、黒鉛(例えば、天然黒鉛、及び人造黒鉛)、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びファーネスブラック)、無定形炭素(例えば、ニードルコークス)、炭素繊維(例えば、気相成長炭素繊維、及びカーボンナノチューブ)、他の炭素質材料(例えば、グラフェン、及びフラーレン)、金属粉(例えば、銅粉、及びニッケル粉)、金属繊維(例えば、銅繊維、及びニッケル繊維)、及び導電性高分子(例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、及びポリフェニレン誘導体)が挙げられる。
 製造される電極材料は、1種単独の導電助剤を含んでいてもよく、2種以上の導電助剤を含んでいてもよい。
 製造される電極材料が導電助剤を含む場合、導電助剤の含有量は、電極活物質の電子伝導性の向上という観点から、電極材料の全体積に対し、0.05体積%~5体積%であることが好ましく、0.1体積%~4体積%であることがより好ましく、0.5体積%~3体積%であることが更に好ましい。
(その他の成分)
 製造される電極材料は、上述成分の他、バインダ、分散剤、その他の添加剤等を含んでいてもよい。
 バインダとしては、例えば、含フッ素樹脂、炭化水素系熱可塑性樹脂、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。
 また、分散剤としては、分散対象物を分散しうる公知の分散剤であればよい。
 更に、その他の添加剤としては、電極材料に添加される公知の添加剤を利用することができる。
(電極材料の調製方法)
 電極材料は、例えば、電極活物質と、電解液と、必要に応じて用いるその他の成分と、を混合することによって調製できる。
 混合方法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、プラネタリミキサー、ブレードミキサー、ロールミル、ニーダー、又はディスクミルを用いる方法が挙げられる。
<<シート状電極用成形体>>
 本開示に係るシート状電極用成形体の製造方法によって得られるシート電極用成形体は、種々の電極として用いることができる。
 シート状電極用成形体は、半固体二次電池の電極用成形体であることが好ましい。
 シート状電極用成形体の平均厚みは、電池性能(例えば、放電容量、及び出力特性)の向上の観点から、0.01mm~2mmであることが好ましく、0.05mm~1.5mmであることがより好ましく、0.1mm~1mmであることが特に好ましい。
 電極用成形体の平均厚みは、支持体の平均厚みと同様の方法で測定される。
 以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに制限されるものではない。
[正極用電極材料(P1)の調製]
(1)炭酸エチレン(EC)と、炭酸プロピレン(PC)と、炭酸ジエチル(DEC)と、を混合した混合液に、LiPF(電解質)を混合した後に、更に、ビニレンカーボネート(VC)を混合した。得られた混合液のうち、64gを取り出し、これを電解液X1とした。
(2)導電助剤(ケッチェンブラック)2gと、正極電極活物質(リン酸鉄リチウム)174gと、をミキサー(あわとり練太郎ARE-310、(株)シンキー製)にて、1500rpm(revolutions per minute、以下同じ)で30秒撹拌し、混練物Y1(176g)を調製した。
(3)混練物Y1(176g)に電解液X1(64g)を加え、ミキサー(あわとり練太郎ARE-310、(株)シンキー製)にて、1500rpmで120秒撹拌して、正極用電極材料(P1)を得た。
 得られた正極用電極材料(P1)の固体成分と液体成分との体積比率は48:52であった。
 正極用電極材料(P1)を用い、ミンサー(株式会社ボニー社製)を用いた押出成形により、円柱形状(径:3mm~5mm)の粒状物を含む塊状物(P1)を得た。
[支持体の準備]
 支持体(S1):正極集電体(アルミニウム箔)
[成形部材の準備]
 ブレード(B1):ステンレス鋼製のブレード
<実施例1>
 連続搬送されている支持体(S1)上に、予め作製しておいた塊状物(P1)を散布供給し、支持体上に複数の塊状物を分散して配置した(工程A)。
 支持体上に分散して配置された複数の塊状物は、平均高さは3mmであり、径は3mm~5mmであり、隣接する塊状物の面積重心間距離(距離D)が10mmであり、面積率が15%であった。
 図4及び図5に示すように、支持体10表面とブレード30の先端との距離Cを0.3mmとするようにブレード30を配置した。そして、図4及び図5に示すように、支持体10を矢印X方向に搬送移動させ、支持体10上に分散して配置された複数の塊状物20を、ブレード30に接触させて、距離Cを有する空隙を通過させた。これにより、支持体10上には、支持体10の搬送方向(矢印X方向)に沿って、連続膜である電極材料膜24を形成した。得られた電極材料膜24の膜厚は0.3mmであった。
 なお、上記のように、比(H/C)は10であった。また、連続膜である電極材料膜を形成している際、比(Y/X)は体積基準にて1≦Y/X≦5を満たしていた。
 実施例1において、成形部材であるブレードから電極材料(塊状物(P1))に印加される圧力は100kPaであった。
<比較例1>
 特開2021-027043号公報の図2に示すようなホッパーを用意した。このホッパーは、電極材料を吐出するための、開口幅200mm、開口高さ1mmのノズルを有していた。このホッパーに正極用電極材料(P1)を入れ、搬送移動させている支持体上に、ノズルから正極用電極材料(P1)を吐出させた。これにより、支持体上に、膜厚1mmの電極材料膜を形成した。
 比較例1にて、ノズルから吐出させるときに電極材料に印加される圧力は10,000kPaであった。
 以上のように、実施例1において、成形部材から電極材料(塊状物)に印加される圧力は、比較例1にて、電極材料に印加される圧力の100倍以上であることが分かる。
 このことから、本開示に係るシート状電極用成形体の製造方法では、電極材料にかかる荷重を低減しつつも、目的とする厚みのシート状電極用成形体を製造することができることが分かる。
[符号の説明]
 10:支持体
 20:塊状物
 20C:面積重心
 22:粒状物
 24:電極材料膜
 30:ブレード
 C:ブレードと支持体表面との距離
 D:隣接する塊状物の面積重心間距離
 H:塊状物の高さ
 X:支持体の搬送方向
 2022年7月28日に出願された日本国特許出願2022-120971号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

Claims (9)

  1.  電極活物質と電解液とを含み且つ固体成分濃度が20体積%~90体積%である電極材料の複数の塊状物を、支持体上に分散して配置させる工程Aと、
     支持体上に分散して配置された複数の塊状物を成形部材により合一し、支持体上に電極材料膜を形成する工程Bと、
     を含む、シート状電極用成形体の製造方法。
  2.  成形部材を、支持体表面から一定の距離を保ったまま、支持体表面に沿って相対移動させることで、支持体上に分散して配置された複数の塊状物を合一し、支持体上に電極材料膜を形成する、請求項1に記載の、シート状電極用成形体の製造方法。
  3.  支持体上に分散して配置された複数の塊状物の平均高さをHとし、成形部材と支持体表面との距離をCとしたとき、距離Cに対する高さHの比(H/C)が、1<H/C≦100を満たす、請求項2に記載のシート状電極用成形体の製造方法。
  4.  成形部材から電極材料に印加される圧力が10kPa~500kPaである、請求項1又は請求項2に記載のシート状電極用成形体の製造方法。
  5.  支持体上に分散して配置された複数の塊状物において、隣接する塊状物の面積重心間距離が0.1mm~50mmである、請求項1又は請求項2に記載のシート状電極用成形体の製造方法。
  6.  支持体上に分散して配置された複数の塊状物が占める領域が、支持体上における電極材料膜の形成領域に対し、10%~90%である、請求項1又は請求項2に記載のシート状電極用成形体の製造方法。
  7.  工程Aを、電極活物質と電解液とを含み且つ固体成分濃度が20体積%~90体積%である電極材料の複数の塊状物を、支持体上に散布供給することで行う、請求項1又は請求項2に記載のシート状電極用成形体の製造方法。
  8.  工程A及び工程Bを連続搬送されている支持体を用いて行い、工程Bにて支持体の搬送方向に沿って連続膜である電極材料膜を形成する、請求項1又は請求項2に記載のシート状電極用成形体の製造方法。
  9.  成形部材と支持体表面との距離と同じ厚さで且つ隙間のない電極材料膜を形成しうる理論上の電極材料の量をXとし、支持体上への電極材料の塊状物の供給量をYとしたとき、量Xに対する供給量Yの比(Y/X)が体積基準にて1≦Y/X≦5を満たす、請求項7に記載のシート状電極用成形体の製造方法。
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