JP4852846B2 - プレスロール装置およびプレス方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解液二次電池用電極の製造過程で用いられるプレスロール装置およびプレス方法に関する。
近年、パソコンや携帯電話の電池として、非水電解液二次電池であるリチウムイオン二次電池が用いられている。リチウムイオン二次電池は、従来の充電可能な二次電池に比べて、高容量で、かつ、充電を頻繁に行っても容量低下を生じないという利点がある。
リチウムイオン二次電池内に収容される正極と負極になる電極には、金属箔からなる集電体上に、リチウムを挿入脱離可能な活物質と結着剤、必要に応じて導電助剤や増粘剤等を添加して水や有機溶剤を加えてスラリ化したものを塗布乾燥したものが用いられる。
正極には、主にリチウム含有遷移金属酸化物(コバルト酸リチウムやマンガン酸リチウムなど)を活物質として用いる。この活物質に導電助剤としてアセチレンブラックなどのカーボンブラックやグラファイトなどを添加し、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を用いて必要に応じてN−メチル−2−ピロリドンを添加し、混合することでスラリを調整する。このスラリをコーティング工程においてダイコートまたはコンマコートでアルミニウム箔などのウェブ上に塗布して乾燥させる。そして、電池の高容量化のために、プレス工程において前記活物質を塗布乾燥したウェブをプレスすることで高密度化させる。その後、スリット工程において、前記ウェブから複数のテープ状電極材を形成するように長さ方向に沿って裁断する。そして最後に、前記テープ状電極材を所定の長さに裁断することにより正極電極が得られる。
一方、負極には、主にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なグラファイトなどを活物質として用いる。この活物質に、カルボキシメチルセルロースやスチレンブタジエンゴムなどのゴム系バインダを混合し、必要に応じて水を添加して分散することで、スラリを調整する。このスラリをコーティング工程においてダイコートまたはコンマコートで銅箔などのウェブ上に塗布して乾燥させる。そして、電池の高容量化のために、プレス工程において前記活物質を塗布乾燥したウェブをプレスすることで高密度化させる。その後、スリット工程において、前記ウェブから複数のテープ状電極材を形成するように長さ方向に沿って裁断する。そして最後に、前記テープ状電極材を所定の長さに裁断することにより負極電極が得られる。
上記のようにして得られた正極電極と負極電極とを例えばポリエチレンからなるセパレータを挟んだ状態で巻回し、所定の缶に収納してから電解液を注入して封鎖することにより、リチウムイオン二次電池が得られる。
上述した負極製造過程のプレス工程において、電極を高密度化させるためにプレスを行うが、プレスしすぎるとプレスロールに活物質等からなる塗膜が取られてしまうことがある(以下、この現象を「取られ」と言う)。塗膜が剥がれた状態になると、充放電時にその剥がれた箇所で金属リチウムの析出を起こす可能性が高まり、最悪の場合には電池内でショートを引き起こすおそれがある。そのため、プレス工程においては、プレスロールへの取られが発生しないプレス圧力範囲内でプレスする必要がある。実際には、線圧0.01〜0.3ton/cm程度の圧力でプレスを行う。
しかしながら、圧力が弱いために、実際にプレスが進行していくとプレスロールの微妙な変化があり、それが電極材ウェブへのプレス圧力に影響を及ぼし、結果として、電極材ウェブの密度や塗膜の膜厚に変化が生じてくる。具体的には、プレスが進行するにつれてプレスロールが熱膨張変形してくることでプレスロール間ギャップが狭まるとともにプレス圧が上昇し、プレススタート時からプレスエンド時にかけてプレスされたウェブの厚みが徐々に薄くなる傾向が現れ、所定の厚みから大きく外れることとなる。
このように電極材ウェブの流れ方向で厚みが不均一になると、裁断する位置によって異なる厚みの負極電極が得られることになるために、電池の内部の設計に支障をきたすおそれがある。
特開平8−24972号公報
そこで、本発明は、非水電解液二次電池用電極の製造過程で金属箔ウェブ上に活物質を塗布して乾燥させたものを互いに平行配置された2つのプレスロール間を連続的に通過させてプレスする際に、ウェブ流れ方向の厚みの漸減を是正できるプレスロール装置およびプレス方法を提供することを課題とするものである。
前記課題を解決するために、本発明のプレスロール装置は、非水電解液二次電池用電極の製造過程で金属製ウェブ上に活物質を塗布して乾燥させたものを互いに平行配置された2つのプレスロール間を連続的に通過させてプレスするプレスロール装置において、
前記プレス工程の進行中に、前記プレスロール間を通過した前記金属製ウェブの厚みが目標値より所定量減少する毎に、前記プレスロールのベンド圧力を所定量ずつ増加させるベンド圧力調節手段と、前記プレスロール全体を均熱化する均熱化手段とを備え、
前記均熱化手段は、前記プレスロールの上流側において前記金属製ウェブを加熱し、加熱された金属製ウェブを介して前記プレスロールに熱を間接的に伝達して前記金属製ウェブと前記プレスロール表面との温度差を小さくすることを特徴とするものである。
ここで、ベンド圧力とは、プレス圧と同様に、プレスロール両端に設置されたシリンダによってかけられる圧力であり、プレス加工時に、プレス圧によって湾曲したプレスロールを、プレス圧力とは逆の方向に力をかけることにより、プレスロールの湾曲を抑制する機能であるが、このベンド圧力を調節することによって2つのプレスロール間ギャップも僅かながらに変化させることができると考えられる。
本発明のプレスロール装置において、前記プレスロール間を通過した前記ウェブの厚みは、非接触型膜厚計で連続的に測定されてもよい。
本発明のプレス方法は、非水電解液二次電池用電極の製造過程で金属製ウェブ上に活物質を塗布して乾燥させたものを互いに平行配置された2つのプレスロール間を連続的に通過させてプレスするプレス方法において、
前記プレス工程の進行中に、前記プレスロール間を通過した前記金属製ウェブの厚みが目標値より所定量減少する毎に、前記プレスロールのベンド圧力を所定量ずつ増加させ、前記プレスロールの上流側において、前記プレスロール全体を均熱化する均熱化手段により前記金属製ウェブを加熱し、加熱された金属製ウェブを介して前記プレスロールに熱を間接的に伝達して前記金属製ウェブと前記プレスロール表面との温度差を小さくすることを特徴とするものである。
本発明のプレス方法において、前記プレスロール間を通過した前記ウェブの厚みは、非接触型膜厚計で連続的に測定されてもよい。
本発明のプレスロール装置およびプレス方法によれば、プレス工程の進行中に、前記プレス工程の進行中に、前記プレスロール間を通過した前記金属製ウェブの厚みが目標値より所定量減少する毎に、前記プレスロールのベンド圧力を所定量ずつ増加させ、前記プレスロールの上流側において、前記プレスロール全体を均熱化する均熱化手段により前記金属製ウェブを加熱し、加熱された金属製ウェブを介して前記プレスロールに熱を間接的に伝達して前記金属製ウェブと前記プレスロール表面との温度差を小さくすることで、局所的熱膨張変形が補正されてプレスロール全体について熱膨張変形が均一なものになる。これにより、2つのプレスロール間のギャップおよびプレス圧を金属製ウェブ幅方向に関してほぼ均一にすることができ、その結果、プレスロール間を通過した金属製ウェブの幅方向の厚みばらつきをなくすことができる。また、金属製ウェブの厚みが目標値より所定量減少する毎にベンド圧力を所定量ずつ増加させるようにすれば、プレスロールの熱膨張変形の影響にかかわらず、プレススタート時からプレスエンド時にかけてプレスロール間のギャップとプレス圧をほぼ均一に保つことができ、その結果、プレスされたウェブの流れ方向及び幅方向での厚み変化を防止することができる。
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1,2は本発明の一実施形態であるプレスロール装置10の概略構成を示す正面図および側面図である。
図1に示すように、プレスロール装置10は、互いに平行に配置された上下2本のプレスロール12,14を備えている。上下プレスロール12,14は、例えば、有効幅650mm、ロール径500mmをそれぞれ有している。上プレスロール12の中心部を貫通して固定された回転軸16は、ベアリングを含む軸受け部18,20によって回転可能にそれぞれ支持されている。また、軸受け部18,20の上部には、スクリュー22,24が設けられている。これらのスクリュー22,24を回転操作することにより、上プレスロール12が上下に移動することで、下プレスロール14との間のギャップを調節できるようになっている。
下プレスロール14の中心部を貫通して固定された回転軸26は、ベアリングを含む軸受け部28,30によって回転可能にそれぞれ支持されている。軸受け部28,30の下部には、プレスシリンダ32,34がそれぞれ設けられている。これらのプレスシリンダ32,34を作動させることによって、下プレスロール14に対して例えば0〜17.7MPaのプレス圧力を付与できるようになっている。
上プレスロール12の回転軸16には、各軸受け部18,20の外側に押圧ブロック36,38がそれぞれ固定されている。また、下プレスロール14の回転軸26には、各軸受け部28,30の外側に押圧ブロック40,42がそれぞれ固定されている。そして、それぞれ対向する押圧ブロック36,40間、および、押圧ブロック38,42間には、ベンドシリンダ44,46がそれぞれ配設されている。これらのベンドシリンダ44,46を作動させることによって、例えば0〜17.7MPaのベンド圧力を回転軸16,26を介して上下プレスロール12,14にかけられるようになっている。
ここで、ベンド圧力とは、プレス圧力と同様に、プレスロール12,14の両端に設置されたベンドシリンダ44,46によってかけられる圧力であり、プレス加工時に、プレス圧力によって湾曲した上下プレスロール12,14を、プレス圧力とは逆の方向に力をかけることにより、上下プレスロール12,14の湾曲を抑制する機能であるが、このベンド圧力を調節することによって上下プレスロール12,14間のギャップも僅かながらに変化させることができるものと考えられる。
図2に示すように、負極活物質が間欠塗工されて乾燥された銅箔ウェブWは、上下プレスロール12,14の間を矢印で示す進行方向に連続的に通過するようになっている。ウェブWの進行方向に関して上下プレスロール12,14の上流側には、それぞれ内部にヒータを内蔵した2つの予熱ロール(均熱化手段)50,52が配設されている。ウェブWは、これら2つの予熱ロール50,52の各外周部に接触してガイドされた後、上下プレスロール12,14間に導入されるようになっている。予熱ロール50,52は、それぞれ内蔵されたヒータによって例えば室温〜150℃まで加温可能であり、これに接触しつつ搬送されるウェブWを所定温度に加温することができる。
なお、本実施形態では、予熱ロール50,52を複数設けたが、ウェブWを十分に加温可能であれば予熱ロールは1つであってもよい。
ウェブWの進行方向に関して上下プレスロール12,14の下流側には、4本のガイドロール54,56,58,60が互い違いの高さに配設されている。上下プレスロール12,14を通過したウェブWは、前記4本のガイドロール54,56,58,60の外周部でガイドされながら略W字状をなすように搬送されるようになっている。
前記4本のガイドロール54,56,58,60のうち、ガイドロール58に対向するように、インライン膜厚計(例えば明産株式会社製TM−102)62が配設されている。このインライン膜厚計62によって、上下プレスロール12,14間を通過したウェブWの厚みを連続的に測定できるようになっている。
前記インライン膜厚計62では、光学センサと磁気センサとが一体化されており、磁気センサでガイドロール58までの距離を測定する一方で、光学センサでウェブWまでの距離を測定し、その差からウェブWの厚さを測定できる非接触型のものである。前記各センサを、ウェブWの幅方向にスキャンさせることで、ウェブの流れ方向および幅方向の厚さをインラインで正確に検出できるようになっている。
続いて、前記構成からなるプレスロール装置10の動作について説明する。
予熱ロール50,52を所定温度(例えば35℃)に加温した状態で、負極活物質が塗布乾燥されたウェブWを上下プレスロール12,14間を連続的に通過させてプレスを行う。プレス進行中は、インライン膜厚計62でウェブWの厚さを連続的に測定して随時監視する。
プレスが進行するにつれて、プレス圧力がかかった状態で回転軸16,26を支持する軸受け部18,20,28,30において熱が発生し、その熱が回転軸16,26を介して上下プレスロール12,14の各両端部領域に伝わる。しかしながら、上下プレスロール12,14間を通過するウェブWが予熱ロール50,52で所定温度に加温されているために、上下プレスロール12,14の中央領域にはウェブWから伝熱されることになるから、各プレスロール12、14は、全体において均熱化され、従来のように上下プレスロール12,14の両端部領域だけが局所的に熱膨張変形するということが補正される。これにより、上下プレスロール12,14間のギャップおよびプレス圧をウェブWの幅方向に関してほぼ均一に保つことができ、その結果、上下プレスロール12,14間を通過したウェブWの幅方向の厚みばらつきをなくすことができる。
プレスがさらに進行していくと、上下プレスロール12,14が全体的にそれぞれ熱膨張変形することで、上下プレスロール12,14間のギャップが徐々に狭まってくために、これを放置するとプレスされたウェブの厚さが次第に薄くなってくる。
そこで、本実施形態のプレスロール装置10では、インライン膜厚計62で監視されているウェブWの厚さが所定量(例えば0〜3μm)減少したことを確認する毎に、ベンドシリンダ44,46を駆動してベンド圧力を所定量(例えば0〜0.3MPa)ずつ増加させる。このようにベンド圧力を上げることで、プレス圧力によって湾曲した上下プレスロール12,14を、プレス圧力とは逆の方向に力をかけることにより、上下プレスロール12,14の湾曲が抑制されるので、上述したような「上下プレスロール12,14間のギャップおよびプレス圧をウェブWの幅方向に関してほぼ均一に保つことができ、その結果、上下プレスロール12,14間を通過したウェブWの幅方向の厚みばらつきをなくすことができる。」という効果をさらに有効なものにできるとともに、ベンド圧力を増加させることによって上下プレスロール12,14間のギャップも僅かながらに広がるので、プレススタート時からプレスエンド時にかけて上下プレスロール12,14間のギャップとプレス圧をほぼ均一に保つことができ、その結果、プレスされたウェブWの流れ方向での厚み変化を防止することができる。
次に、前記プレスロール装置10を用いて行ったプレス実験について説明する。
<負極塗工用スラリの調整>
負極活物質とカルボキシメチルセルロースとスチレンブタジエンゴムとを塗膜成分比率100wt%:1wt%:1wt%にて配合し、プラネタリーミキサで混練・分散して、負極塗工用スラリを調整した。
<負極スラリの塗工>
厚み10μmで幅600mmの電解銅箔ウェブの両面にダイコータを用いて片面当たり100g/mの塗工量になるように負極スラリを間欠塗工した。
<ウェブ厚み測定方法>
測定には、接触式膜厚計(名称「ミクロファインS−2」)を使用した。プレス加工のスタート時とエンド時のそれぞれについて、ウェブ幅方向の5カ所について流れ方向に20点測定し、その平均値を算出した。前記平均値が目標厚み±2.6μm以内であるかを確認した。
<実施例1>
上記の方法で負極スラリを塗工して乾燥させたウェブを前記プレスロール装置10によりプレスした。目標膜密度1.5g/cc(目標ウェブ厚み141μm)を得るために、プレス圧力17.7MPa、ベンド圧力2.9MPaに設定した。プレス速度は30m/minとし、プレス進行中はインライン膜厚計62にてウェブ厚みを監視した。プレス進行中にインライン膜厚計62により測定されるウェブ厚みが目標厚みより0.5μm減少した場合にのみベンド圧力を0.05MPaずつ増加させた。
なお、上下プレスロール12,14の温度の安定化を図るために、予熱ロール50,52を35℃に加温した。上下プレスロール12,14自体の加温は行わなかった。
プレススタート時は、前記測定方法にてプレス後ウェブ厚みが141.0±2.6μm以内であることを確認後にプレス加工をスタートし、プレス進行中もインライン膜厚計62により測定される平均厚みが141.0±2.6μm以内で、かつ、ウェブ幅方向の厚み変化が2.6μm以内であることを満たしている条件でのみプレス加工を進行した。それ以外の厚みが検出された場合は、プレス加工を中止した。以下、このような条件をプレス進行条件と言う。
<実施例2>
前記実施例1と同じスラリ、同じ塗工方法、同じ塗工量にて塗工したウェブをプレスロール装置10でプレスした。予熱ロール50,52の加温を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の条件でプレスを行った。
<比較例1>
前記実施例1と同じスラリ、同じ塗工方法、同じ塗工量にて塗工したウェブをプレスロール装置10でプレスした。予熱ロール50,52の加温およびプレス進行中のベンド圧力調節を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の条件でプレスを行った。
<比較例2>
前記実施例1と同じスラリ、同じ塗工方法、同じ塗工量にて塗工したウェブをプレスロール装置10でプレスした。予熱ロール50,52の加温温度を90℃に設定したこと以外は、実施例1と同様の条件でプレスを行った。
<実験結果>
図3に、流れ方向でのプレス後ウェブ厚みの挙動を示す。比較例1では、前記プレス進行条件で420mしか加工できなかったが、進行中にベンド圧力調節を行った実施例2では1200mの加工が可能になった。さらに、ベンド圧力調節と予熱ロール50,52の加温を行った実施例1では、前記プレス進行条件で3000m以上の加工が可能であることが明らかになった。また、3000m以上の加工終了時の測定でも、目標ウェブ厚みを十分に満足できることが確認できた。
これらの実験から、ベンド圧力は、上下プレスロール12,14を湾曲変形させてウェブWの幅方向の厚みバランスをとる機能だけでなく、微小な圧力調節によるロールギャップの増加に寄与しているものと考えられる。スクリュー22,24でのギャップ増加よりも、ベンド圧力調節によるギャップ増加の方がはるかに安定な動作を得ることができる。したがって、流れ方向のウェブ厚み減少の抑制にベンド圧力調節は非常に有効である。
しかしながら、ウェブ厚み変化の根本原因は、機械(上下プレスロール12,14、軸受け部18,20,28,30、圧下スクリュー22,24など)の温度上昇であるため、機械設定での微調整に加えて温度の安定化が必要になってくる。進行数量が増えてくると、ウェブ幅方向の厚みばらつきが大きくなる(幅方向両端部の厚みが薄くなる)という問題には、プレスロール表面温度とウェブ温度との差が大きく影響している。
図4には、実施例1,2と同一条件でそれぞれ加工を行った8ロットについてのプレススタート時およびプレスエンド時の幅方向平均ウェブ厚みを示す。実施例2では、プレスエンド時に中央部と端部との厚み差が2.3μm以上増加しているのに対し、実施例1ではその差が1.0μm以内に抑制できている。この結果を踏まえると、予熱ロール50,52でウェブWをプレスロール温度まで加温し、ウェブWとロール表面との温度差を小さくすることで、ウェブ幅方向の厚み変化を抑制できることが実証された。
また、予熱ロール50,52の温度を90℃に設定した比較例2では、塗膜のひび割れおよび剥離などの外観異常が発生して進行不能になったのに対し、実施例1ではそのような外観異常もなく、良好な結果が得られているという点でもより効果的な方法であることが証明された。
<歩留まり比較>
歩留まりの定義として、50ロットをプレス加工した場合のプレス加工投入量に対する出来高数量の割合とした。下記の表1に示すように、ベンド圧力調節と予熱ロール50,52での加温を行うことにより、実施例1では比較例1よりも歩留まりが10.7%も向上した。この結果からも、製造ロスを大幅に低減できる有用な方法であることが明らかになった。
Figure 0004852846
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、前記プレスロール装置10では、上下プレスロール12,14全体を均熱化して局部的熱膨張変形を補正する手段を予熱ロール50,52としたが、上下プレスロール12,14にヒータをそれぞれ内蔵し、このヒータでロール全体を均熱化するように加温することで局部的熱膨張変形を補正するようにしてもよい。
また、本発明は、リチウムイオン二次電池以外の非水電解液二次電池用電極の製造過程におけるプレス工程にも勿論適用可能である。
プレスロール装置の正面図。 プレスロール装置の側面図。 実施例1、実施例2および比較例1における、加工数量と流れ方向のウェブ厚み挙動との関係を示すグラフ。 実施例1および実施例2における、プレススタート時とプレスエンド時の幅方向のウェブ平均厚みを示すグラフ。
符号の説明
10…プレスロール装置
12…上プレスロール
14…下プレスロール
16,26…回転軸
18,20,28,30…軸受け部
22,24…スクリュー
32,34…プレスシリンダ
36,38,40,42…押圧ブロック
44,46…ベンドシリンダ
50,52…予熱ロール(補正手段)
54,56,58,60…ガイドロール
62…インライン膜厚計
W…ウェブ

Claims (4)

  1. 非水電解液二次電池用電極の製造過程で金属製ウェブ上に活物質を塗布して乾燥させたものを互いに平行配置された2つのプレスロール間を連続的に通過させてプレスするプレスロール装置において、
    前記プレス工程の進行中に、前記プレスロール間を通過した前記金属製ウェブの厚みが目標値より所定量減少する毎に、前記プレスロールのベンド圧力を所定量ずつ増加させるベンド圧力調節手段と、前記プレスロール全体を均熱化する均熱化手段とを備え、
    前記均熱化手段は、前記プレスロールの上流側において前記金属製ウェブを加熱し、加熱された金属製ウェブを介して前記プレスロールに熱を間接的に伝達して前記金属製ウェブと前記プレスロール表面との温度差を小さくすることを特徴とするプレスロール装置。
  2. 前記プレスロール間を通過した前記金属製ウェブの厚みは、非接触型膜厚計で連続的に測定されることを特徴とする請求項1に記載のプレスロール装置。
  3. 非水電解液二次電池用電極の製造過程で金属製ウェブ上に活物質を塗布して乾燥させたものを互いに平行配置された2つのプレスロール間を連続的に通過させてプレスするプレス方法において、
    前記プレス工程の進行中に、前記プレスロール間を通過した前記金属製ウェブの厚みが目標値より所定量減少する毎に、前記プレスロールのベンド圧力を所定量ずつ増加させ、前記プレスロールの上流側において、前記プレスロール全体を均熱化する均熱化手段により前記金属製ウェブを加熱し、加熱された金属製ウェブを介して前記プレスロールに熱を間接的に伝達して前記金属製ウェブと前記プレスロール表面との温度差を小さくすることを特徴とするプレスロール方法。
  4. 前記プレスロール間を通過した前記金属製ウェブの厚みは、非接触型膜厚計で連続的に測定されることを特徴とする請求項3に記載のプレス方法。
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