JP6662245B2 - 電極の製造装置 - Google Patents

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Description

この発明は、二次電池に用いられる電極を製造するための電極の製造装置に関するものである。
近年、環境保護、省エネルギーの観点から、エンジンとモータを動力源として併用したハイブリッド自動車やモータを動力源とした電気自動車が開発、製品化されている。このハイブリッド自動車や電気自動車のエネルギー源として、電気を繰り返し充電放電可能な二次電池は必須の技術である。
一般的にこの二次電池としては、リチウム二次電池、ニッケル二次電池などの二次電池が用いられるが、なかでも、リチウム二次電池は、その動作電圧が高く、高い出力を得やすいので有力な電池であり、ハイブリッド自動車や電気自動車の電源としてますます重要性が増してきている電池である。
ところで、特許文献1には、この二次電池に用いられる電極の製造装置として成形転写装置が開示されている。すなわち、この特許文献1に開示された成形転写装置は、第1ロールRaと第2ロールRbと第3ロールRcとを備え、湿潤造粒粒子21を第1ロールRaと第2ロールRbとの間に供給すると、第1ロールRaと第2ロールRbとによって圧縮されて成形体23が形成される。成形体23は、第2ロールRb上を搬送されて第2ロールRbと第3ロールRcとの間まで移動し、その後、第2ロールRbと第3ロールRcとの間で負極集電体11の一方の表面に圧着される。これにより、負極合剤層が負極集電体11の一方の表面に形成される。
特開2016−103433号公報
しかし、この特許文献1に記載されている成形転写装置を用いて負極集電体11を製造すると、負極合剤層の厚みが不均一となった。この原因として考えられるのが、第1ロールRaと第2ロールRbとには機械的な振れが存在し、また第1ロールRaおよび第2ロールRbの真円度がずれることによって第1ロールRaおよび第2ロールRb間のギャップがロールの回転に伴ってばらつき、それに伴って、成形体23の厚みが不均一となり、最終的には、この負極集電体を用いた最終製品、例えば、二次電池の性能が安定しない恐れがあった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、常に性能が安定した、二次電池に用いられる電極を製造し得る電極の製造装置を提供することを目的とする。
上記の問題点を解決するために、本発明の電極の製造装置は、次の構成を有している。
(1)互いに間隔をおいて配置された第1ロールと第2ロールとの間に、少なくとも活物質と結着剤と溶媒とを含む湿潤造粒体を供給することにより前記第2ロール上に合材シートを形成し、その後に前記合材シートを前記第2ロールと第3ロールとの間に搬送される集電箔上に転写して二次電池に用いられる電極を製造する電極の製造装置であって、前記電極の製造装置は、前記第1ロールおよび前記第2ロールの各回転角度における軸芯とロール表面との距離の変位量と、前記第1ロールおよび前記第2ロールの各回転角度における機械的ブレ量と、を記憶する記憶手段を備え、前記記憶手段に記憶された各回転角度における前記距離の変位量と、前記機械的ブレ量と、を用いて前記第1ロールおよび前記第2ロール間の各回転角度におけるクリアランスの変化を算出し、前記クリアランスの変化に応じて前記第2ロールと前記第3ロールとの回転速度比を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
上記構成を有する本発明の電極の製造方法の作用・効果について説明する。
(1)互いに間隔をおいて配置された第1ロールと第2ロールとの間に、少なくとも活物質と結着剤と溶媒とを含む湿潤造粒体を供給することにより第2ロール上に合材シートを形成し、その後に前記合材シートを前記第2ロールと第3ロールとの間に搬送される集電箔上に転写して二次電池に用いられる電極を製造する電極の製造装置であって、前記合材シートの厚みの変化に応じて前記第2ロールと前記第3ロールとの速度比を制御する制御手段を備えるため、常に性能が安定した、二次電池に用いられる電極を製造し得るなど優れた作用効果を奏する。
本発明の電極の製造装置を概略的に示す図である。 本発明の電極の製造装置の制御装置を示すブロック図である。 第1ロールおよび第2ロールの回転位置と、各ロール間に形成されるギャップを含む直線上のある基点からギャップ上の各ロールの表面までの距離との関係を示す図である。 (a)は、本発明の電極の製造装置を簡略的に示す図である。(b)は、第2ロール上に形成される合材シートの厚み、第2ロールと第3ロールとの回転速度が異なる場合における活物質層の厚みをそれぞれ時間との関係で示す図である。
(実施形態1)
以下、本発明に係る電極の製造装置について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において図は、適宜簡略化或いは変形誇張されて描画されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも実施例と同一ではない。
図1は、本発明の電極の製造装置を概略的に示す図である。
すなわち、本実施形態における長尺シート状のシート電極5を製造するための電極の製造装置10は、駆動手段としての第1モータ12によって、図1において時計方向に回転駆動される第1ロール11を備える。また、前記第1ロール11の回転軸には、前記第1ロール11の回転角度および回転速度を検出するための第1エンコーダ13が設けられている。
前記第1ロール11とわずかな間隔をおいて第2ロール14が回転可能に配置されており、前記第2ロール14は、駆動手段としての第2モータ15によって、図1において反時計方向に回転駆動される。また、前記第2ロール14の回転軸には、前記第2ロール14の回転角度および回転速度を検出するための第2エンコーダ16が設けられている。
前記第2ロール14とわずかな間隔をおいて第3ロール17が回転可能に配置されており、前記第3ロール17は、駆動手段としての第3モータ18によって、図1において時計方向に回転駆動される。また、前記第3ロール17の回転軸には、前記第3ロール17の回転角度および回転速度を検出するための第3エンコーダ19が設けられている。
前記第1ロール11と前記第2ロール14と前記第3ロール17とは、互いの回転軸線が平行となるように設置されている。
前記シート電極5は、金属箔集電体6(本発明の集電箔に相当する)の表面に活物質等から成る合材シート7が層状に転写されることにより成膜された活物質層8を有する。
正極用のシート電極5としては、アルミニウム箔やステンレス箔などの金属箔集電体6の表面に、活物質層8としてリチウムコバルト複合酸化物やリチウムマンガン複合酸化物などを含む活物質と結着剤と溶媒とを少なくとも含む湿潤造粒体9が層状に成膜されたものである。また、負極用のシート電極としては、銅箔やステンレス箔などの金属箔集電体6の表面に、活物質層8として黒鉛やコークスなどを含む活物質と結着剤と溶媒とを少なくとも含む湿潤造粒体9が層状に成膜されたものである。
また、前記活物質層8は、金属箔集電体6の、長手方向と直交する幅方向の片側縁部分を除いて形成されている。
前記電極の製造装置10において、前記金属箔集電体6は、前記第3ロール17の回転に伴って、前記第2ロール14と前記第3ロール17との間を通って前記第3ロール17表面上に密着捲回されながら搬送され、その状態では、前記金属箔集電体6の表面と前記第2ロール14の表面との間には、わずかな隙間が存在する。
図2は、本発明の電極の製造装置の制御装置を示すブロック図である。
すなわち、本実施形態の制御装置20は、周知のCPUやROMやRAMなどによって構成されており、本発明の制御手段に相当する。
前記制御装置20は、第1演算部21と第2演算部22とを備えるとともに、前記第1ロール11および第2ロール14の各回転角度における軸芯とロール表面との距離の変位量(偏芯量)や各回転角度における前記第1ロール11および第2ロール14の機械的ブレ量を予め記憶する記憶手段(図示せず)を備える。
前記第1演算部21は、前記第1エンコーダ13および前記第2エンコーダ16からの検出信号と前記記憶手段に記憶された各回転角度における変位量に基づいて前記第1ロール11および前記第2ロール14の回転に伴うそれら両ロール11、14間のクリアランスの変化を求め、その求められたクリアランスの変化に基づいて前記第2ロール14と前記第3ロール17との速度比を順次出力する。また、前記第2演算部22は、前記第3エンコーダ19からの検出信号に基づいて算出された前記第3ロール17の回転速度と前記第1演算部21から順次出力される速度比に基づいて前記第2モータ15の回転速度を算出して回転速度指令として前記第2モータ15へ出力する。
また、この時、前記第2演算部22は、前記第1ロール11および第2ロール14の機械的ブレ量も考慮して前記回転速度指令を前記第2モータ15へ出力する。
以上のように構成された電極の製造装置10おいて、第1ロール11は、第1モータ12によって、図1において時計方向に回転駆動され、また、第2ロール14は、第2モータ15によって、図1において反時計方向に、第1ロール11の回転速度よりも速く回転駆動され、さらに、第3ロール17は、第3モータ18によって、図1において時計方向に回転駆動される。また、第3ロール17の回転に伴って、金属箔集電体6が第2ロール14との間を通って搬送される。
この状態において、第1ロール11と第2ロール14との間に予め混練された湿潤造粒体9が供給されると、供給された湿潤造粒体9は、第1ロール11と第2ロール14との間で圧縮されて合材シート7として成形される。ここで、第2ロール14は、第1ロール11の回転速度よりも速く回転しているので、成形された合材シート7は、第2ロール14の表面上に担持されて第3ロール17に向かって搬送される。そして、第2ロール14と第3ロール17との間に搬送された合材シート7は、金属箔集電体6表面に転写されて活物質層8として金属箔集電体6とともに次の乾燥工程に搬送される。
図3は、第1ロールおよび第2ロールの回転位置と、各ロール間に形成されるギャップを含む直線上のある基点からギャップ上の各ロールの表面までの距離との関係を示す図である。
すなわち、本実施形態の電極の製造装置10では、第1ロール11および第2ロール14の断面形状は真円ではなく多少歪んでいたり、また、第1ロール11および第2ロール14の回転軸が中心より偏軸していたり、或いは第1ロール11および第2ロール14に機械的ブレ量が存在するので、図3に示すように、第1ロール11と第2ロール14との間のギャップ量は、第1ロール11および第2ロール14の回転に伴って逐次変動する。ギャップ量が変動すると、合材シート7の厚みが変化して不均一となり、最終的には、この負極集電体を用いた最終製品、例えば、二次電池の性能が安定しない恐れがある。
図4(a)は、本発明の電極の製造装置を簡略的に示す図である。図4(b)は、第2ロール上に形成される合材シートの厚み、第2ロールと第3ロールとの回転速度が異なる場合における活物質層の厚みをそれぞれ時間との関係で示す図である。
すなわち、図4(b)に示すように、第2ロール14と第3ロール17とを同じ速度で回転させると、合材シート7の厚みがそのままの状態で金属箔集電体6に転写されるので、活物質層8の厚みは、合材シート7の厚みと等しくなる。
それに対して、例えば、第2ロール14を第3ロール17の回転速度よりも遅く回転させると、合材シート7が薄く伸ばされて金属箔集電体6に転写されるので、活物質層8の厚みは、合材シート7の厚みより薄くなる。
したがって、制御装置20の第1演算部21は、第1エンコーダ13および第2エンコーダ16からの検出信号と記憶手段に記憶された変位量に基づいて第1ロール11と前記第2ロール14との間のクリアランスの変化(ばらつき)、つまり合材シート7の厚みの変化を第1ロール11および第2ロール14の回転角との関係で求め、その求められたクリアランスに基づいて前記第2ロール14と前記第3ロール17との速度比を逐次出力する。また、第2演算部22は、第3エンコーダ19からの検出信号に基づいて算出された第3ロール17の回転速度と第1演算部21から出力される速度比に基づいて第2モータ15の回転速度を算出して回転速度指令として第2モータ15へ逐次出力する。
つまり、制御装置20は、合材シート7の厚みが厚い部分が第2ロールと第3ロールとの間に差し掛かる場合には、第2ロール14の回転速度を第3ロール17の回転速度よりも遅くして合材シート7の厚みより活物質層8の厚みが薄く転写されるように、また、合材シート7の厚みが薄い部分が第2ロールと第3ロールとの間に差し掛かる場合には、第2ロール14の回転速度を第3ロール17の回転速度と等しくして合材シート7がそのままの厚みで転写されるように、第2モータ15の回転速度を制御する。すなわち、合材シート7の厚みのばらつきに応じて第2モータ15の回転速度を制御、つまり第2ロール14と第3ロール17との速度比を制御することによって、合材シート7の厚みがばらついたとしても活物質層8の厚みを均一にすることができ、最終的には、この負極集電体を用いた最終製品、例えば、二次電池の性能を向上させることができる。
また、電極の製造装置10の機械的精度も必要以上に求められることがなく、製造装置も安価に製作できる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。例えば、上述した実施形態では、第2ロール14と第3ロール17との間のギャップ量の変化は考慮されていないが、制御装置20は、第2ロール14と第3ロール17との間のギャップ量の変化も考慮して第2ロール14の回転速度を制御するようにしても差し支えないことは言うまでもない。また、合材シート7の厚みが厚い部分が第2ロールと第3ロールとの間に差し掛かる場合には、第2ロール14の回転速度を第3ロール17の回転速度と等しくして合材シート7がそのままの厚みで転写され、また、合材シート7の厚みが薄い部分が第2ロールと第3ロールとの間に差し掛かる場合には、第2ロール14の回転速度を第3ロール17の回転速度よりも速くして合材シート7の厚みより活物質層8の厚みが厚く転写されるように制御しても差し支えないことは言うまでもない。
5・・・シート電極
6・・・金属箔集電体
7・・・合材シート
8・・・活物質層
9・・・湿潤造粒体
10・・・電極の製造装置
11・・・第1ロール
14・・・第2ロール
17・・・第3ロール
20・・・制御装置

Claims (1)

  1. 互いに間隔をおいて配置された第1ロールと第2ロールとの間に、少なくとも活物質と結着剤と溶媒とを含む湿潤造粒体を供給することにより前記第2ロール上に合材シートを形成し、その後に前記合材シートを前記第2ロールと第3ロールとの間に搬送される集電箔上に転写して二次電池に用いられる電極を製造する電極の製造装置であって、
    前記電極の製造装置は、
    前記第1ロールおよび前記第2ロールの各回転角度における軸芯とロール表面との距離の変位量と、
    前記第1ロールおよび前記第2ロールの各回転角度における機械的ブレ量と、
    を記憶する記憶手段を備え、
    前記記憶手段に記憶された各回転角度における前記距離の変位量と、前記機械的ブレ量と、を用いて前記第1ロールおよび前記第2ロール間の各回転角度におけるクリアランスの変化を算出し、前記クリアランスの変化に応じて前記第2ロールと前記第3ロールとの回転速度比を制御する制御手段を備えることを特徴とする電極の製造装置。
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