JP7304356B2 - 亀裂現象に対する改善された耐性を有する熱可塑性ポリエステル - Google Patents

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Description

本発明は、ポリマーの分野に関し、特に、亀裂現象に対する改善された耐性を有する熱可塑性ポリエステル、その製造方法、及びさらにはプラスチック製品を製造するためのその使用に関する。
時が経つにつれて、プラスチックは重要になってきており、多数の人々の日常生活の一部となっている。プラスチックは、一般に、半完成又は完成製品を得るために、多くの場合高温及び加圧下で、成形、造形が可能なポリマーの混合物である。それらの性質のため、プラスチックは、あらゆる種類の物体に高い比率で変換することができ、したがって種々の多様な分野における用途を見出すことができる。
ある種のポリマー、特に芳香族ポリエステルは、それらを材料の製造に直接使用できるような熱的性質を有する。これは例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでいる。しかし、ある用途の場合、又は特定の使用条件下では、PETの性質、特に耐衝撃性又は耐熱性を改善する必要がある。その結果として、グリコール変性PET(PETg)が開発された。これらは、一般に、エチレングリコール及びテレフタル酸単位に加えて、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)単位を含むポリエステルである。このジオールのPET中への導入によって、その性質を意図する用途に適合させることが可能となり、例えばその衝撃強度又はその光学的性質を改善することが可能となる。
ポリエステル中に1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位、特にイソソルビドを導入することによる別の変性PET(PEIT)も開発されている。これらの変性ポリエステルは、未変性のPET又はシクロヘキサンジメタノール単位を含むPETgよりも高いガラス転移温度を有する。さらに、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールは、デンプンなどの再生可能資源から得ることができるという利点を有する。
前述のように、特定の方法、及びそれらが使用される用途によって課せられる制約に適合するようにポリエステルの性質を適応させることが必要となる場合がある。
例えば、水酸化ナトリウム若しくはテルペンによって生じるような化学的ストレスの作用、又は機械的応力などの物理的ストレスの作用などの環境的制約下で、亀裂現象とも呼ばれる剪断帯、分裂、又は亀裂によって変形が現れることがある。この現象によって、構造不規則性が増加し、損傷が加速し、ポリエステルの脆性破壊又は塑性不安定性が生じる。したがって、この亀裂現象に対するポリエステルの耐性を増加させることに、特に関心が持たれている。
この点においてSanchesらの刊行物の”Environmental stress cracking behavior of bottle and fiber
grade poly(ethylene terephthalate)”,Polymer Engineering and Science(2008),48(10),1953--1952には、例えば、ボトルの亀裂現象に対する耐性は、特にポリエチレンテレフタレートのモル質量及び結晶化度を増加させることによって改善できると記載されている。
文献の国際公開第2014/183812号パンフレットには、環境応力下で亀裂現象に対する改善された耐性を有するPETボトルの製造方法が記載されている。特に、PE
Tボトルの非晶質部分、又は低い結晶化度を有する部分が、有機溶媒又は有機溶媒の水溶液を使用することによって処理する方法が記載されている。有機溶媒は、アセトン、酢酸エチル、ペンタン-2-オン、トルエン、2-プロパノール、ペンタン、メタノール又はそれらの混合物から選択される。
しかしこの方法は、有機溶媒の使用と、上記溶媒を上記ボトルに使用することによるボトルの製造方法における追加のステップの実施とを必要とする点において、コスト及び時間に関して二重の欠点を有する。このように、ボトルは、亀裂現象に対する耐性を本来は有さない。
Demirelらによる刊行物の“Experimental study of preform reheat temperature in two-stage injection stretch blow molding”,Polymer Engineering and Science(2013),53(4),868--873には、結合再加熱温度(coupled reheating temperature)を低下させ、プリフォームの温度プロファイルを維持することによって、2段階インジェクションブロー成形によって得られるボトル中の亀裂現象に対する高い耐性が保証されると記載されている。亀裂現象の制限を可能にするPETボトルの製造方法中の具体的な実施条件は、Zagarolaらによる刊行物の“Blow and injection molding process set-ups play a key role in stress crack resistance for PET bottles for carbonated beverages”などの他の刊行物においても研究されている。
しかし、解決策は存在するが、特に、現在まで解決策が開発されていない1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位を含む熱可塑性ポリエステルにおける亀裂現象の制限を可能にする代案の開発が依然として必要とされている。
したがって、亀裂現象に対する改善された耐性を有する新規な熱可塑性ポリエステルを開発可能であったことが、本出願人の功績である。この熱可塑性ポリエステルは、既に知られている熱可塑性ポリエステルよりも短い重合時間及びエステル化時間を有するという点でも特に有利である。
本発明の第1の主題は:
少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)、
1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)以外の少なくとも1つのジオール単位(B)、
少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸単位(C)、
を含む熱可塑性ポリエステルであって、
分岐剤を含むことと、撹拌しながら135℃においてポリマーを溶解させた後にフェノール及びオルト-ジクロロベンゼンの等質量混合物中25℃においてUbbelohde毛管粘度計を用いて測定して、少なくとも0.75dl/g及び最大1.5dl/gの還元粘度を溶液中で有し、導入される熱可塑性ポリエステルの濃度が5g/lであることとを特徴とする、熱可塑性ポリエステルに関する。
この熱可塑性ポリエステルは、特に亀裂現象に対して耐性であるという利点を有し、改善されたエステル化時間及び重縮合時間をも有する。実際に、本発明による熱可塑性ポリ
エステルは、分岐剤を含まない1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールをベースとする同等の熱可塑性ポリエステルよりも短い重縮合時間を有する。
本発明の第2の主題は、前述の熱可塑性ポリエステルの製造方法であって:
少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール(A)と、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール(A)以外の少なくとも1つのジオール(B)と、少なくとも1つのテレフタル酸(C)とを含むモノマーを反応器中に導入するステップであって、((A)+(B))/(C)のモル比が1.05~1.5の範囲であるステップ;
分岐剤を上記反応器中に導入するステップ;
触媒系を上記反応器中に導入するステップ;
熱可塑性ポリエステルが形成されるように、上記分岐剤の存在下で上記モノマーを重合させるステップであって、上記ステップが:
反応媒体が、不活性雰囲気下、230~280℃の範囲、有利には250~260℃の範囲の温度、例えば255℃において撹拌される、オリゴマー化の第1の段階;
熱可塑性ポリエステルが形成されるように、形成されたオリゴマーが、減圧下、240~300℃の範囲の温度、有利には260~270℃の範囲、例えば265℃において撹拌される、オリゴマーの縮合の第2の段階、
からなるステップ;
亀裂現象に対する改善された耐性を有する熱可塑性ポリエステルを回収するステップ;
任意選択により、回収された熱可塑性ポリエステルの固相後縮合のステップ、
を含む、方法に関する。
最後に、本発明の別の主題は、半完成又は完成プラスチック製品の製造のための、前述の規定の熱可塑性ポリエステルの使用に関する。本発明による熱可塑性ポリエステルの改善された性質のため、得られるプラスチック製品は亀裂現象に対するより良好な耐性を有するので、この使用が特に有利となる。
本発明の第1の主題は:
少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)、
1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)以外の少なくとも1つのジオール単位(B)、
少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸単位(C)、
を含む熱可塑性ポリエステルであって、
分岐剤を含むことと、撹拌しながら135℃においてポリマーを溶解させた後にフェノール及びオルト-ジクロロベンゼンの等質量混合物中25℃においてUbbelohde毛管粘度計を用いて測定して、少なくとも0.75dl/g及び最大1.5dl/gの還元粘度を溶液中で有し、導入される熱可塑性ポリエステルの濃度が5g/lであることとを特徴とする、熱可塑性ポリエステルに関する。
驚くべきことに、本出願人は、分岐剤が存在することによって、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位を含む熱可塑性ポリエステルにおける亀裂現象を防止できる、又は少なくとも制限できることを見出した。したがって本発明による熱可塑性ポリエステルは、亀裂現象に対する高い耐性を有するという独自性を有する。なんらかの理論によって束縛しようと望むものではないが、熱可塑性ポリエステル中でのこのような分岐剤の使用によって、種々の単位間に分岐を形成することが可能となり、熱可塑性ポリエステル上に生じうる応力の緩和を促進することが可能になると思われる。この緩和は、亀裂現象の軽減又はさらには防止の結果として見ることができる。
また驚くべきことに、本出願人は、分岐剤が存在することによって、熱可塑性ポリエス
テルのエステル化時間及び重縮合時間を短縮できることを見出しており、このことは製造方法に関する利点となる。本出願人の知る限りでは、これは、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位を含む同一の熱可塑性ポリエステル中で改善された亀裂抵抗と、より速いエステル化時間及び重縮合時間との組み合わせが得られ示された初めてのことである。同様に、PET系ポリエステルと比較すると、本発明による熱可塑性ポリエステルは改善された耐熱性を示す。
したがって、本発明による熱可塑性ポリエステルは分岐剤を含む。分岐剤は、リンゴ酸、ソルビトール(D-グルシトール)、グリセロール、ペンタエリスリトール、無水ピロメリット酸(1H,3H-フロ[3,4-f][2]ベンゾフラン-1,3,5,7-テトロン)、ピロメリット酸(1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸)、無水トリメリット酸、トリメシン酸(1,3,5-ベンゼントリカルボン酸)、クエン酸、トリメチロールプロパン(2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール)、及びそれらの混合物を含む群から選択することができる。好ましくは、分岐剤はペンタエリスリトールである。
本発明による熱可塑性ポリエステル中の分岐剤の重量は、熱可塑性ポリエステルの全重量を基準として0.001~1%である。好ましくは、分岐剤の量は、熱可塑性ポリエステルの全重量を基準として0.005~0.5%、より好ましくは0.01~0.05%、例えば約0.03%などである。
本発明による熱可塑性ポリエステルの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)は、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド、又はそれらの混合物であってよい。好ましくは、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)はイソソルビドである。イソソルビド、イソマンニド、及びイソイジドは、それぞれソルビトール、マンニトール、及びイジトールの脱水によって得ることができる。イソソルビドに関しては、Polysorb(登録商標)Pのブランド名で本出願によって販売されている。
本発明による熱可塑性ポリエステルのジオール単位(B)は、脂環式ジオール単位、非環状脂肪族ジオール単位、又は脂環式ジオール単位と非環状脂肪族ジオール単位との混合物であってよい。
脂肪族環状ジオールとも呼ばれる脂環式ジオール単位の場合、これは1.4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール以外の単位である。したがって、これは1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、又はこれらのジオールの混合物を含む群から選択されるジオールであってよい。好ましくは、脂環式ジオール単位は1,4-シクロヘキサンジメタノールである。脂環式ジオール単位(B)は、シス配置、トランス配置であってよいし、又はシス配置及びトランス配置のジオールの混合物であってよい。
非環状脂肪族ジオール単位の場合、これは線状又は分岐の非環状脂肪族ジオールであってよく、上記非環状脂肪族ジオールはまた場合により飽和又は不飽和である。飽和線状非環状脂肪族ジオールは、例えばエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、及び/又は1,10-デカンジオールである。飽和分岐非環状脂肪族ジオールは、例えば2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、及び/又はネオペンチルグリコールである。不飽和脂肪族ジオール単位は、例えばcis-2-ブテン-1,4-ジオールである。好ましくは、非環状脂肪族ジオール単位はエチレングリコールである。
芳香族ジカルボン酸単位(C)は、当業者に周知の芳香族ジカルボン酸から選択される。芳香族ジカルボン酸は、ナフタレート、テレフタレート、フラノエート、若しくはイソフタレートの誘導体、又はそれらの混合物であってよい。有利には、芳香族ジカルボン酸はテレフタレート誘導体であり、好ましくは、芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸である。
1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)/1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)と1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)以外のジオール単位(B)との合計のモル比、すなわち(A)/[(A)+(B)]は、少なくとも0.01及び最大0.90である。有利には、この比は少なくとも0.05及び最大0.65である。
本発明による熱可塑性ポリエステルは、撹拌しながら135℃においてポリマーを溶解させた後にフェノール及びオルト-ジクロロベンゼンの等質量混合物中25℃においてUbbelohde毛管粘度計を用いて測定すると(導入される熱可塑性ポリエステルの濃度は5g/lである)、少なくとも0.75dl/g及び最大1.5dl/gの還元粘度を溶液中で有する。好ましくは、この溶液中の還元粘度は少なくとも0.90dl/g及び最大1.3dl/gである。
特定の一実施形態によると、本発明による熱可塑性ポリエステル中、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)はイソソルビドであり、ジオール単位(B)はシクロヘキサンジメタノールであり、芳香族ジカルボン酸単位(C)はテレフタル酸である。
別の特定の一実施形態によると、本発明による熱可塑性ポリエステル中、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)はイソソルビドであり、ジオール単位(B)はエチレングリコールであり、芳香族ジカルボン酸単位(C)はテレフタル酸である。
本発明の熱可塑性ポリエステルは、例えば:
1~50%の範囲のモル量の1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)、
5~54%の範囲のモル量の、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)以外のジオール単位(B)、
45~55%の範囲のモル量のテレフタル酸単位(C)、
ポリマーの重量に対して0.001~1%の重量の分岐剤、
を含むことができる。
単位の量は、熱可塑性ポリエステルの全モル量を基準として表され、メタノリシスによって得られる、若しくはポリエステルの完全加水分解によって得られるモノマー混合物のH NMRによって、又はクロマトグラフィー分析によって求めることができる。好ましくは、熱可塑性ポリエステル中の種々の単位の量はH NMRによって求められる。
本発明による熱可塑性ポリエステルは半結晶質又は非晶質であってよい。ポリマーの半結晶質の性質は、ポリマー中のそれぞれの単位の量に主として依存する。例えば、本発明によるポリマーが多量の1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)を含む場合、そのポリマーは一般に非晶質であり、一方、反対の場合には一般に半結晶質である。
特定の一実施形態によると、本発明による熱可塑性ポリエステルは半結晶質であり、例えば:
0.5~10モル%の範囲のモル量、好ましくは1~7モル%のモル量1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A);
25~54.5モル%の範囲のモル量、好ましくは31~54モル%の範囲のモル量の、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)以外のジオール単位(B);
45~55モル%の範囲のモル量のテレフタル酸単位(C)、
ポリマーの重量に対して0.001~1%の重量の分岐剤、
を含むことができる。
好ましくは、本発明による熱可塑性ポリエステルが半結晶質である場合、これは190~270℃、例えば210~260℃の範囲の融点を有する。
好ましくは、本発明による熱可塑性ポリエステルが半結晶質である場合、これは75~120℃、例えば80~100℃の範囲のガラス転移温度を有する。
ガラス転移温度及び融点は、従来方法によって、特に示差走査熱量測定(DSC)を用いて10℃/分の加熱速度で測定される。実験プロトコルは、以下の実施例の項に詳細に記載される。
有利には、本発明による熱可塑性ポリエステルが半結晶質である場合、これは10J/gを超え、好ましくは30J/gを超える融解熱を有し、この融解熱の測定は、この熱可塑性ポリエステルの試料に対して170℃で10時間の熱処理を行い、次にその試料を10℃/分で加熱することによるDSCによって融解熱を評価することにある。
最後に、この実施形態による熱可塑性ポリエステルは、特に40を超える明度Lを有する。有利には、明度Lは55を超え、好ましくは60を超え、最も優先的には65を超え、例えば70を超える。パラメーターLはCIE Labモデルを用いて分光光度計によって求めることができる。
別の一実施形態によると、本発明による熱可塑性ポリエステルは非晶質であり、例えば:
11~54モル%の範囲のモル量、好ましくは11~40モル%の範囲の量の1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A);
1~44モル%の範囲のモル量、好ましくは15~44モル%の範囲のモル量の、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)以外の脂環式のジオール単位(B);
45~55モル%の範囲のモル量のテレフタル酸単位(C)、
ポリマーの重量に対して0.001~1%の重量の分岐剤、
を含むことができる。
好ましくは、本発明による熱可塑性ポリエステルが非晶質である場合、これは100~210℃、例えば110~160℃の範囲のガラス転移温度を有する。
本発明による熱可塑性ポリエステルは、弱い着色を有することができ、特に50を超える明度Lを有することができる。有利には、明度Lは55を超え、好ましくは60を超え、最も優先的には65を超え、例えば70を超える。
本発明により使用される熱可塑性ポリエステルの非晶質特性は、X線回折線がないことによって特徴付けられ、示差走査熱量測定分析における吸熱融解ピークがないことによっても特徴付けられる。
前述のように、熱可塑性ポリエステルは、特に亀裂現象に対して耐性であるという利点を有するが、改善されたエステル化時間及び重縮合時間をも有する。実際、本発明による熱可塑性ポリエステルは、分岐剤を含まない1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール
をベースとする同等の熱可塑性ポリエステルよりも短いエステル化時間及び重縮合時間を有する。
したがって本発明の別の目的は、本発明による熱可塑性ポリエステルの製造方法であって:
少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール(A)と、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール(A)以外の少なくとも1つのジオール(B)と、少なくとも1つのテレフタル酸(C)とを含むモノマーを反応器中に導入するステップであって、((A)+(B))/(C)のモル比が1.05~1.5の範囲であるステップ;
分岐剤を上記反応器中に導入するステップ;
触媒系を上記反応器中に導入するステップ;
熱可塑性ポリエステルが形成されるように、上記分岐剤の存在下で上記モノマーを重合させるステップであって、上記ステップが:
反応媒体が、不活性雰囲気下、230~280℃の範囲、有利には250~260℃の範囲の温度、例えば255℃において撹拌される、オリゴマー化の第1の段階;
熱可塑性ポリエステルが形成されるように、形成されたオリゴマーが、減圧下、240~300℃の範囲の温度、有利には260~270℃の範囲、例えば265℃において撹拌される、オリゴマーの縮合の第2の段階、
からなるステップ;
亀裂現象に対する改善された耐性を有する熱可塑性ポリエステルを回収するステップ;
任意選択により、回収された熱可塑性ポリエステルの固相後縮合のステップ、
を含む、方法に関する。
この方法のオリゴマー化の第1の段階は、不活性雰囲気中、すなわち少なくとも1つの不活性ガスの雰囲気下で行われる。この不活性ガスは、特に二窒素であってよい。この第1の段階は、ガス流下で行うことができ、加圧下、例えば1.05~8barの間の絶対圧力において行うこともできる。
好ましくは、絶対圧力は2~8barの範囲、最も好ましくは2~6barの範囲であり、例えば3barである。これらの好ましい圧力条件下では、この段階中のモノマーの減少が制限されることによって、すべてのモノマーの互いの反応が促進される。
オリゴマー化の第1の段階の前に、モノマーの脱酸素のステップが優先的に行われる。これは例えば、モノマーが反応器中に導入された後、減圧を生じさせ、次に窒素などの不活性ガスをこれに導入することによって行うことができる。この減圧-不活性ガス導入のサイクルは数回、例えば3~5回繰り返すことができる。好ましくは、この減圧-窒素サイクルは、試薬、特にジオールが完全に溶融するように、60~80℃の間の温度で行われる。この脱酸素ステップは、プロセス終了時に得られる熱可塑性ポリエステルの着色特性が改善されるという利点を有する。
オリゴマーの縮合の第2の段階は減圧下で行われる。圧力低下の勾配の使用、段階的、又は勾配及び段階的の圧力低下の組み合わせの使用によって、この第2の段階中に圧力を連続的に低下させることができる。好ましくは、この第2の段階の終了時、圧力は10mbar未満であり、最も優先的には1mbar未満である。前述のように、驚くべきことに、分岐剤の存在によって、この重縮合ステップに関する時間を短縮できることに注目される。
重合ステップの第1の段階は、好ましくは20分~5時間の範囲の時間で続けられる。有利には、第2の段階は30分~6時間の範囲の時間で続けられ、この段階の開始は、反応器が減圧下に置かれる、すなわち1bar未満の圧力となる瞬間にある。
上記方法は、触媒系を反応器中に導入するステップも含む。このステップは、前述の重合ステップの前又は最中に行うことができる。
「触媒系」という用語は、任意選択により不活性担体上に分散又は付着させた触媒又は触媒混合物を意味することが意図される。
触媒は、ポリマー組成物を得るための高粘度ポリマーを得るのに適した量で使用される。
エステル化触媒は、有利にはオリゴマー化段階中に使用される。このエステル化触媒は、スズ誘導体、チタン誘導体、ジルコニウム誘導体、ハフニウム誘導体、亜鉛誘導体、マンガン誘導体、カルシウム誘導体、及びストロンチウム誘導体、パラ-トルエンスルホン酸(PTSA)若しくはメタンスルホン酸(MSA)などの有機触媒、又はこれらの触媒の混合物から選択することができる。このような化合物の例としては、出願の米国特許出願公開第2011282020A1号明細書の段落[0026]~[0029]、及び出願の国際公開第2013/062408 A1号パンフレットの5ページに示されるものを挙げることができる。
好ましくは、亜鉛誘導体、又はマンガン、スズ、又はゲルマニウムの誘導体が、エステル交換の第1の段階中に使用される。
重量を基準とした量の例としては、導入されるモノマーの量を基準として、オリゴマー化段階中の触媒系中に含まれる10~500ppmの金属を使用することができる。
エステル交換の終了後、第1のステップからの触媒は、任意選択により、亜リン酸若しくはリン酸などを加えてブロックすることができ、或いはスズ(IV)の場合のように、亜リン酸トリフェニル若しくは亜リン酸トリス(ノニルフェニル)などのホスフィットを用いて、又は出願の米国特許出願公開第2011282020A1号明細書の段落[0034]に記載のように還元することができる。
オリゴマーの縮合の第2の段階は、任意選択により触媒を加えて行うことができる。この触媒は、有利にはスズ誘導体、優先的にはスズ、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、アンチモン、ビスマス、ハフニウム、マグネシウム、セリウム、亜鉛、コバルト、鉄、マンガン、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、若しくはリチウムの誘導体、又はこれらの触媒の混合物から選択される。このような化合物の例は、例えば特許の欧州特許第1 882 712 B1号明細書の段落[0090]~[0094]に示されるものであってよい。
好ましくは、触媒は、スズ、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、又はアンチモンの誘導体である。
重量を基準とした量の例としては、導入されるモノマーの量を基準として、オリゴマーの縮合の段階中に触媒系中に含まれる10~500ppmの金属を使用することができる。
最も優先的には、重合の第1の段階及び第2の段階中に1つの触媒系が使用される。上記系は、有利には、スズをベースとする触媒、又はスズ、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、及びアルミニウムをベースとする触媒の混合物からなる。
例として、導入されるモノマーの量を基準として、触媒系中に含まれる10~500ppmの金属を使用することができる。
この調製方法によると、モノマーの重合のステップ中に、有利には酸化防止剤が使用される。これらの酸化防止剤によって、得られる熱可塑性ポリエステルの着色を軽減することができる。酸化防止剤は、一次酸化防止剤及び/又は二次酸化防止剤であってよい。一次酸化防止剤は、立体障害のあるフェノール、例えば化合物のHostanox(登録商標)0 3、Hostanox(登録商標)0 10、Hostanox(登録商標)0
16、Hostanox(登録商標)O3、Ultranox(登録商標)210、Ultranox(登録商標)276、Dovernox(登録商標)10、Dovernox(登録商標)76、Dovernox(登録商標)3114、Irganox(登録商標)1010、Irganox(登録商標)1076、Irganox 3790、Irganox 1135、Irganox 1019、Irganox 1098、Ethanox 330、ADK Stab AO-80、又はホスホネート、例えばIrgamod(登録商標)195であってよい。二次酸化防止剤は、三価リン化合物、例えばUltranox(登録商標)626、Doverphos(登録商標)S-9228、Hostanox(登録商標)P-EPQ、ADK Stab PEP-36A、ADK
Stab PEP-8、ADK Stab 3010、Alkanox TNPP、Weston 600、又はIrgafos 168であってよい。
酢酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、又は水酸化テトラエチルアンモニウムなどの望ましくないエーテル化を制限することが可能な少なくとも1つの化合物を反応器中に重合添加剤として導入することも可能である。
同様に、1つ以上の核剤を反応器中に導入することもできる。核剤は有機又は無機であってよく、重合ステップ中と同様に重合ステップ前にも反応器に加えることができる。核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムを挙げることができ、市販製品のLicomont(登録商標)、Bruggolen(登録商標)、及びADK Stab NA-05(登録商標)も挙げることができる。
最後に、上記方法は、重合ステップの終了時に熱可塑性ポリエステルを回収するステップを含む。こうして回収した熱可塑性ポリエステルは、続いて前述のように成形することができる。
特定の一実施形態によると、熱可塑性ポリエステルを回収するステップの後に、モル質量を増加させるステップを行うことができる。
モル質量を増加させるステップは、後重合によって行われ、半結晶質熱可塑性ポリエステルの固相重縮合(SSP)のステップ、又は少なくとも1つの鎖延長剤の存在下での半結晶質熱可塑性ポリエステルの反応押出のステップからなることができる。
例えば、この実施形態の第1の変形形態によると、ポリエステルが半結晶質である場合、後重合ステップはSSPによって行われる。
SSPは、一般にポリマーのガラス転移温度と融点との間の温度で行われる。したがって、SSPを行うためには、ポリマーが半結晶質である必要がある。好ましくは、これは10J/gを超え、好ましくは20J/gを超える融解熱を有し、この融解熱の測定は、より低い還元溶液粘度のこのポリマーの試料に対して170℃で16時間の熱処理を行い、次にその試料を10K/分で加熱することによるDSCによって融解熱を評価することにある。
有利には、SSPステップは190~280℃の範囲、好ましくは200~250℃の範囲の温度で行われ、このステップは、半結晶質熱可塑性ポリエステルの融点よりも低い温度で行うことが絶対必要である。好ましくは、このステップはポリマーの結晶化の後に行われる。SSPステップは、不活性雰囲気中、例えば窒素下若しくはアルゴン下、又は減圧下で行うことができる。
この第1の変形形態によると、驚くべきことに、分岐剤の存在によって、SSPの速度を改善することができ、したがってこのステップの時間を大幅に短縮でき、このことは製造プロセスの実施のコストに関して小さくない利点となることに注目される。同様に、結晶化ステップがSSP中に行われる場合、分岐剤の存在によって、熱可塑性ポリエステルの結晶化時間の短縮も可能になる。
この実施形態の第2の変形形態によると、後重合ステップは、少なくとも1つの鎖延長剤の存在下での半結晶質又は非晶質熱可塑性ポリエステルの反応押出によって行われる。
鎖延長剤は、反応押出中に、半結晶質熱可塑性ポリエステルのアルコール、カルボン酸及び/又はカルボン酸エステルの官能基と反応可能な2つの官能基を含む化合物である。鎖延長剤は、例えば、2つのイソシアネート、イソシアヌレート、ラクタム、ラクトン、カーボネート、エポキシ、オキサゾリン、及びイミドの官能基を含む化合物から選択することができ、上記官能基は同一の場合も異なる場合もありうる。熱可塑性ポリエステルの鎖延長は、溶融材料と反応器の気体ヘッドスペースとの間の良好な界面を保証するのに十分な分散性となる非常に粘稠な媒体の撹拌による混合が可能なすべての反応器中で行うことができる。この処理ステップに特に適した反応器は押出成形のものである。
反応押出は、あらゆる種類の押出機、特に一軸スクリュー押出機、共回転二軸スクリュー押出機、又は二重反転二軸スクリュー押出機の中で行うことができる。しかし、共回転押出機を用いてこの反応押出を行うことが好ましい。
反応押出ステップは:
ポリマーを押出機中に導入して、上記ポリマーを溶融させるステップ;
次に溶融したポリマー中に鎖延長剤を導入するステップ;
次に押出機中で上記ポリマーを上記鎖延長剤と反応させるステップ;
次に押出ステップで得られた半結晶質又は非晶質の熱可塑性ポリエステルを回収するステップ、
によって行うことができる。
押出中、押出機内部の温度は、ポリマーの融点よりも高くなるように調整される。押出機内部の温度は150~320℃の範囲であってよい。
モル質量を増加させるステップの後に得られた熱可塑性ポリエステルは回収され、続いて前述のように成形される。
本発明の別の主題は、半完成又は完成プラスチック製品を製造するための、前述の規定の熱可塑性ポリエステルの使用に関する。
プラスチック製品は、あらゆる種類のものであってよく、従来の変形技術を用いて得ることができる。
本発明による製品は、例えばフィルム又はシートであってよい。これらのフィルム又は
シートは、カレンダー加工、押出フィルムキャスト、押出フィルムブロー成形の技術によって製造することができ、続いて一軸又は多軸延伸又は配向の技術が行われる場合も行われない場合もある。これらのシートは、例えば、機械ののぞき窓又はカバー、種々の電子デバイス(電話、コンピュータ、スクリーン)の本体、又は耐衝撃性の窓などの部品として使用するために、熱成形又は射出成形を行うことができる。
特に有利な方法の1つでは、本発明による熱可塑性ポリエステルから製造されるプラスチック製品は、気体、液体、及び/又は固体を輸送するための容器であってよい。実際、本発明による熱可塑性ポリエステルの性質によって、一般に、それぞれ内容物の圧力又は組成によって物理的ストレス又は化学的ストレスの環境応力にさらされるこれらのプラスチック製品は、亀裂減少に対する耐性が増加している。
このような容器の例は、例えば哺乳瓶、フラスコ、ボトル、例えば発泡水又は非発泡水のボトル、ジュースのボトル、ソーダ水のボトル、カーボイ、アルコール飲料のボトル、小型瓶、例えば小型の薬瓶、化粧品用小型瓶(これらの小型瓶は場合によりエアロゾルである)、皿、例えば調理済み食品用の皿、電子レンジの皿、又は蓋である。これらの容器はあらゆるサイズであってよく、例えば、押出ブロー成形、熱成形、又はさらにはインジェクションブロー成形などの当業者に周知の技術によって製造することができる。
本発明は、以下の実施例によっても説明され、これらは純粋に説明的であることを意図しており、本発明の範囲を限定するものでは決してない。
以下の方法によってポリマーの性質を分析した。
溶液の還元粘度
撹拌しながら135℃においてポリマーを溶解させた後にフェノール及びオルト-ジクロロベンゼンの等質量混合物中25度においてUbbelohde毛管粘度計を用いて評価を行った。これらの測定の場合、導入されるポリマー濃度は5g/lである。
ポリマーの色
Konica Minolta CM-2300d分光光度計によってCIE Labモデルを用いて、熱可塑性ポリエステル顆粒に対して測定した。
亀裂現象
bent strip法による環境応力亀裂の測定に関する規格のISO 22088-3:2006に準拠して測定した。
DSC
最初に試料を窒素雰囲気下、開放されたるつぼ中、10℃から320℃まで加熱し(10℃・min-1)、10℃まで冷却し(10℃・min-1)、次に最初のステップと同じ条件下で再び320℃まで加熱する。2回目の加熱の中間点においてガラス転移温度を求めた。任意の融点は1回目の加熱における吸熱ピーク(ピーク開始)において求められる。
同様に、1回目の加熱において融解エンタルピー(曲線下の面積)が求められる。
以下の試薬を使用した:
モノマー:
Accrosのテレフタル酸(純度99+%)
Roquette Freresのイソソルビド(純度>99.5%)のPolysorb(登録商標)P
Sigma-Aldrichのエチレングリコール(純度>99.8%)
触媒:
Sigma Aldrichの二酸化ゲルマニウム(>99.99%)
重合添加剤:
BASF SEのIrganox 1010:酸化防止剤
ClariantのHostanox PEPQ:酸化防止剤
酢酸ナトリウム三水和物(純度>99.0%):エーテル化反応を制限するための重合添加剤
Sigma Aldrichの水中の40%溶液としての水酸化テトラエチルアンモニウム:エーテル化反応を制限するための重合添加剤
分岐剤:
Sigma Aldrichのペンタエリスリトール(99%)
核剤:
Imerys社のSteamic 00SF(タルク)
Adeka社のNA-05。
実施例1A:本発明による熱可塑性ポリエステルの調製
以下のプロトコルにより熱可塑性ポリエステルP1を調製し、以下のものを100lの反応器に加える:
11.44kgのエチレングリコール、
3.67kgのイソソルビド、
29.00kgのテレフタル酸、
4.33gの水酸化テトラエチルアンモニウム溶液、
17.60gのHostanox PEPQ、
17.60gのIrganox 1010、
11.59gの二酸化ゲルマニウム、
2.65gの酢酸コバルト及び
10.59gのペンタエリスリトール。
イソソルビド結晶から残留酸素を除去するために、60~80℃の間で4回の減圧-窒素サイクルを行う。次に、3barの圧力下で一定の撹拌を行いながら反応混合物を255℃まで加熱する(4℃/分)。エステル化の程度は、収集した蒸留物の量から推定される。
次に圧力を15分間で0.7mbarまで低下させ、温度を265℃にする。これらの減圧及び温度の条件を110分間維持した。
最後に、反応器の底部バルブからポリマーロッドをキャストし、温度調節した水浴中で冷却し、顆粒の形態に切断する。
こうして得られたポリ(エチレン-コ-イソソルビド)テレフタレート樹脂は、還元粘度が0.60dl/gであり、ガラス転移温度(Tg)が90.3℃であり、ジオールに対するイソソルビドのモル含有量が10.3モル%である。
得られたポリマー顆粒は、L=69.0、a=0.1、及びb=-2.3の着色特性を有する。
こうして得られた顆粒に対して、以下のプロトコルによる固相後縮合(SSP)処理を
行う:
上記ポリマーの12.5kgの顆粒を50lのロータリーエバポレーター中に導入する。次に油浴を迅速に120℃にして、次に、5.3時間後に顆粒の最適な結晶が得られるまで徐々に145℃まで加熱する。このステップは7.3l/分の流量の窒素流下で行う。
次に上記の丸底フラスコを11.0l/分の窒素流下で220℃に47時間加熱する。
こうして得られたポリマーは、還元粘度が1.23dl/gであり、Tgが94.0℃であり、ジオールに対するイソソルビドのモル含有量が10.5モル%である。ジオールに対するジエチレングリコール単位の含有量は、この場合は、2.0モル%である。
得られたポリマー顆粒は、L=87.8、a=-0.2、及びb=0.6の着色特性を有する。
実施例1B:分岐剤を含まない比較用熱可塑性ポリエステルの調製
熱可塑性ポリエステルP1との比較として機能させるために、熱可塑性ポリエステルP1’を調製し、種々の化合物の量は以下のように再現される:
11.44kgのエチレングリコール、
3.67kgのイソソルビド、
29.00kgのテレフタル酸、
4.33gの水酸化テトラエチルアンモニウム溶液、
17.60gのHostanox PEPQ、
17.60gのIrganox 1010、
11.59gの二酸化ゲルマニウム、及び
2.65gの酢酸コバルト。
イソソルビド結晶から残留酸素を除去するために、60~80℃の間で4回の減圧-窒素サイクルを行う。次に、3barの圧力下で一定の撹拌を行いながら反応混合物を255℃まで加熱する(4℃/分)。エステル化の程度は、収集した蒸留物の量から推定される。
次に圧力を15分間で0.7mbarまで低下させ温度を265℃にする。これらの減圧及び温度の条件を110分間維持した。
最後に、反応器の底部バルブからポリマーロッドをキャストし、温度調節した水浴中で冷却し、顆粒の形態に切断する。
こうして得られたポリ(エチレン-コ-イソソルビド)テレフタレート樹脂は、還元粘度が0.57dl/gであり、Tgが91.0℃であり、ジオールに対するイソソルビドのモル含有量が10.3モル%である。得られたポリマー顆粒は、L=69.7、a=0.0、及びb=-2.1の着色特性を有する。
こうして得られた顆粒に対して、以下のプロトコルによる固相後縮合処理を行う:
上記ポリマーの12.5kgの顆粒を50lのロータリーエバポレーター中に導入する。次に油浴を迅速に120℃にして、次に、6.5時間後に顆粒の最適な結晶が得られるまで徐々に145℃まで加熱する。このステップは7.3l/分の流量の窒素流下で行う。次に上記の丸底フラスコを11.0l/分の窒素流下で220℃に60時間加熱する。
こうして得られた熱可塑性ポリエステルP1’は、還元粘度が1.18dl/gであり
、Tgが94.0℃であり、ジオールに対するイソソルビドのモル含有量が10.5モル%である。ジオールに対するジエチレングリコール単位の含有量は、この場合は、2.0モル%である。
得られたポリマー顆粒は、L=86.1、a=-0.1、及びb=0.1の着色特性を有する。
実施例2A:本発明による熱可塑性ポリエステルの調製
以下のプロトコルにより熱可塑性ポリエステルP2を調製する。1004gのエチレングリコール、322gのイソソルビド、2656gのテレフタル酸、0.51gの水酸化テトラエチルアンモニウム溶液、1.6gのHostanox PEPQ、1.6gのIrganox 1010、1.07gの二酸化ゲルマニウム、0.74gの酢酸コバルト、0.97gのペンタエリスリトール、及びエチレングリコール中にあらかじめ分散させた16.3gのタルク(Steamic 00SF)を8lの反応器に加える。
イソソルビド結晶から残留酸素を除去するために、60~80℃の間で4回の減圧-窒素サイクルを行う。次に、5.7barの圧力下で一定の撹拌を行いながら反応混合物を255℃まで加熱する(4℃/分)。エステル化の程度は、収集した蒸留物の量から推定される。
次に圧力を90分間で0.7mbarまで低下させ、温度を265℃にする。これらの減圧及び温度の条件を125分間維持した。
最後に、反応器の底部バルブからポリマーロッドをキャストし、温度調節した水浴中で冷却し、顆粒の形態に切断する。
こうして得られたポリ(エチレン-コ-イソソルビド)テレフタレート樹脂は、還元粘度が0.61dl/gであり、Tgが90.6℃であり、ジオールに対するイソソルビドのモル含有量が10.1モル%である。ジオールに対するジエチレングリコール単位の含有量は、この場合は、2.2モル%である。
こうして得られた顆粒に対して、以下のプロトコルによる固相後縮合処理を行う:上記ポリマーの2.7kgの顆粒を50lのロータリーエバポレーター中に導入する。次に油浴を迅速に120℃にして、次に、3時間後に顆粒の最適な結晶が得られるまで徐々に145℃まで加熱する。このステップは3.3l/分の流量の窒素流下で行う。
次に上記の丸底フラスコを3.3l/分の窒素流下で220℃に31時間加熱する。こうして得られたポリマーの還元粘度は0.95dl/gである。
実施例2B:比較用熱可塑性ポリエステルの調製
熱可塑性ポリエステルP2との比較として機能させるために、熱可塑性ポリエステルP2’を調製した。1004gのエチレングリコール、322gのイソソルビド、2656gのテレフタル酸、0.51gの水酸化テトラエチルアンモニウム溶液、1.6gのHostanox PEPQ、1.6gのIrganox 1010、1.07gの二酸化ゲルマニウム、0.74gの酢酸コバルト、及びエチレングリコール中にあらかじめ分散させた16.3gのタルク(Steamic 00SF)を8lの反応器に加える。
イソソルビド結晶から残留酸素を除去するために、60~80℃の間で4回の減圧-窒素サイクルを行う。次に、5.7barの圧力下で一定の撹拌を行いながら反応混合物を255℃まで加熱する(4℃/分)。エステル化の程度は、収集した蒸留物の量から推定
される。
次に圧力を90分間で0.7mbarまで低下させ、温度を265℃にする。これらの減圧及び温度の条件を200分間維持した。
最後に、反応器の底部バルブからポリマーロッドをキャストし、温度調節した水浴中で冷却し、顆粒の形態に切断する。
こうして得られたポリ(エチレン-コ-イソソルビド)テレフタレート樹脂は、還元粘度が0.63dl/gであり、Tgが89.0℃であり、ジオールに対するイソソルビドのモル含有量が9.8モル%である。ジオールに対するジエチレングリコール単位の含有量は、この場合は、2.4モル%である。
こうして得られた顆粒に対して、以下のプロトコルによる固相後縮合処理を行う:上記ポリマーの2.8kgの顆粒を50lのロータリーエバポレーター中に導入する。次に油浴を迅速に120℃にして、次に、4.3時間後に顆粒の最適な結晶が得られるまで徐々に145℃まで加熱する。このステップは3.3l/分の流量の窒素流下で行う。次に上記の丸底フラスコを3.3/分の窒素流下で220℃に40時間加熱する。こうして得られたポリマーの還元粘度は0.93dl/gである。
実施例3A:本発明による熱可塑性ポリエステルの調製
以下のプロトコルにより熱可塑性ポリエステルP3を調製した。977gのエチレングリコール、270gのイソソルビド、2656gのテレフタル酸、1.02gの水酸化テトラエチルアンモニウム溶液、1.6gのHostanox PEPQ、1.6gのIrganox 1010、1.05gの二酸化ゲルマニウム、0.33gの酢酸コバルト、0.96gのペンタエリスリトール、及び9.5gのNA05を8lの反応器に加える。
イソソルビド結晶から残留酸素を除去するために、60~80℃の間で4回の減圧-窒素サイクルを行う。次に、5.7barの圧力下で一定の撹拌を行いながら反応混合物を255℃まで加熱する(4℃/分)。エステル化の程度は、収集した蒸留物の量から推定される。
次に圧力を90分間で0.7mbarまで低下させ、温度を265℃にする。これらの減圧及び温度の条件を190分間維持した。
最後に、反応器の底部バルブからポリマーロッドをキャストし、温度調節した水浴中で冷却し、顆粒の形態に切断する。
こうして得られたポリ(エチレン-コ-イソソルビド)テレフタレート樹脂は、還元粘度が0.63dl/gであり、Tgが89.9℃であり、ジオールに対するイソソルビドのモル含有量が8.7モル%であり、ジオールに対するジエチレングリコール単位の含有量が2.2モル%である。
こうして得られた顆粒に対して、以下のプロトコルによる固相後縮合処理を行う:上記ポリマーの2.7kgの顆粒を50lのロータリーエバポレーター中に導入する。次に油浴を迅速に120℃にして、次に、3.6時間後に顆粒の最適な結晶が得られるまで徐々に145℃まで加熱する。このステップは3.3l/分の流量の窒素流下で行う。次に上記の丸底フラスコを3.3l/分の窒素流下で220℃に42時間加熱する。
こうして得られたポリマーは、還元粘度が1.20dl/gであり、Tgが92.1℃
であり、ジオールに対するイソソルビドのモル含有量が8.8モル%であり、ジオールに対するジエチレングリコール単位の含有量が2.2モル%である。
実施例3B:比較用熱可塑性ポリエステルの調製
熱可塑性ポリエステルP3との比較として機能させるために、熱可塑性ポリエステルP3’を調製した。977gのエチレングリコール、270gのイソソルビド、2656gのテレフタル酸、1.02gの水酸化テトラエチルアンモニウム溶液、1.6gのHostanox PEPQ、1.6gのIrganox 1010、1.05gの二酸化ゲルマニウム、及び0.33gの酢酸コバルトを8lの反応器に加える。
イソソルビド結晶から残留酸素を除去するために、60~80℃の間で4回の減圧-窒素サイクルを行う。次に、5.7barの圧力下で一定の撹拌を行いながら反応混合物を255℃まで加熱する(4℃/分)。エステル化の程度は、収集した蒸留物の量から推定される。
次に圧力を90分間で0.7mbarまで低下させ、温度を265℃にする。これらの減圧及び温度の条件を170分間維持した。
最後に、反応器の底部バルブからポリマーロッドをキャストし、温度調節した水浴中で冷却し、顆粒の形態に切断する。
こうして得られたポリ(エチレン-コ-イソソルビド)テレフタレート樹脂は、還元粘度が0.64dl/gであり、Tgが89.6℃であり、ジオールに対するイソソルビドのモル含有量が8.7モル%であり、ジオールに対するジエチレングリコール単位の含有量が2.2モル%である。
こうして得られた顆粒に対して、以下のプロトコルによる固相後縮合処理を行う:上記ポリマーの2.4kgの顆粒を50lのロータリーエバポレーター中に導入する。次に油浴を迅速に120℃にして、次に、5時間後に顆粒の最適な結晶が得られるまで徐々に145℃まで加熱する。このステップは3.3l/分の流量の窒素流下で行う。次に上記の丸底フラスコを3.3l/分の窒素流下で220℃に40時間加熱する。
こうして得られたポリマーは、還元粘度が1.09dl/gであり、Tgが92.0℃である。イソソルビド及びジエチレングリコールの含有量は変化がないままである。
実施例4:調製した熱可塑性ポリエステルの亀裂抵抗の評価
亀裂現象に対する耐性を比較するために、上記実施例で調製した種々の熱可塑性ポリエステルに対して亀裂試験を行う。
実施される亀裂試験は、規格のISO 22088:Determination of environmental stress cracking, part 3:Bent strip methodに基づいている。
熱可塑性ポリエステルP1、P1’、P2、P2’、P3、及びP3’を減圧下150℃で乾燥させ、次に試験片5Aの形態に射出成形する。次にこれらの試験片を試験支持体上に配置する。
亀裂を誘発させるために、試験片上で2つの媒体の試験を行った:
媒体1:38℃における純シトロネロール、
媒体2:38℃における98/2の比率の水/シトロネロールエマルジョン。
それぞれの熱可塑性ポリエステルに対して、3つの試験片を用いて結果を確認する。試験片に対する媒体の影響を経時で観察し、以下の尺度により1~5のスコアを割り当てる:
1:亀裂なし
2:微小亀裂の外観
3:幾つかの微小亀裂及び亀裂
4:顕著な亀裂現象
5:非常に顕著な亀裂現象。
結果を以下の表1~3に示す。
Figure 0007304356000001
Figure 0007304356000002
媒体2において、本発明による熱可塑性ポリエステルP1は、49日後でさえも亀裂を示さない。逆に、分岐剤を含まない熱可塑性ポリエステルP1’の場合、7日後に微小亀裂が現れ、35日後に亀裂が現れる。
これらの結果は、より攻撃的な媒体1の純シトロネロールを用いて裏付けられ、この場合、熱可塑性ポリエステルP1は26日後でさえも亀裂を示さず、わずか1時間後に微小亀裂が現れ、6日後に亀裂が現れる熱可塑性ポリエステルP1’とは異なる。
Figure 0007304356000003
これらの結果は、本発明による熱可塑性ポリエステルP2が、媒体2において49日後でさえも亀裂現象を示さないことを示している。
逆に、このとき媒体2において、熱可塑性ポリエステルP2’は、24時間後に微小亀裂が現れ、7日後に亀裂が現れ、42日の曝露から顕著な亀裂現象が観察される。
媒体2を用いたこの比較でも、亀裂抵抗に関する本発明による熱可塑性ポリエステルの有効性が示されている。
Figure 0007304356000004
Figure 0007304356000005
媒体2において、本発明による熱可塑性ポリエステルは、5週間の曝露後でさえも亀裂を示さない。逆に、熱可塑性ポリエステルP3’は、4週間後に微小亀裂を示し、5週間の曝露後に亀裂を示している。
これらの結果は、作用する応力に対してより攻撃的な媒体1を用いて裏付けられ、この場合、本発明による熱可塑性ポリエステルP3は5週間の曝露後でさえも亀裂を示さず、一方、比較用熱可塑性ポリエステルP3’では、微小亀裂が2時間後に現れ、亀裂が24時間後に現れ、顕著な亀裂現象がわずか4日後に現れる。
したがって、この実施例で行った亀裂試験によって、本発明による熱可塑性ポリエステルの亀裂現象に対する高い耐性を確認することができる。
実施例5:ポリエステルP2及びP2’の調製の種々のステップの時間の比較
この実施例の目的は、エステル化、重縮合、結晶化、及び固相後縮合の時間に対する本発明による熱可塑性ポリエステル中の分岐剤の影響を示すことである。
熱可塑性ポリエステルP2及びP2’の調製のステップの種々の時間を以下の表4に示す。
Figure 0007304356000006
比較用の表に示されるように、分岐剤が存在することで、比較したすべての時間で改善することができる。固相後縮合時間に関して、速度の改善によって、熱可塑性ポリエステルP1の場合に9時間短いことが観察されるので、このステップを行うために必要な時間が大幅に短縮される。
したがってこの実施例は、特に1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位を含む熱可塑性ポリエステルの製造方法において本発明による分岐剤を使用することで、時間に関して、そして結果として製造コストに関して小さくない利点が得られることを示している。

Claims (9)

  1. 熱可塑性ポリエステルであって:
    1~7モル%の範囲のモル量の少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)、
    31~54モル%の範囲のモル量の、前記1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)以外の少なくとも1つのジオール単位(B)、
    45~55モル%の範囲のモル量の少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸単位(C)、
    前記熱可塑性ポリエステルの重量に対して0.001~1%の重量の分岐剤であるペンタエリスリトール、
    を含み、
    前記1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)/前記1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)と前記1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)以外の前記ジオール単位(B)との合計のモル比、すなわち(A)/[(A)+(B)]は、少なくとも0.05及び最大0.65であり、
    撹拌しながら135℃においてポリマーを溶解させた後にフェノール及びオルト-ジクロロベンゼンの等質量混合物中25℃においてUbbelohde毛管粘度計を用いて測定して、少なくとも0.90dl/g及び最大1.3dl/gの還元粘度を溶液中で有し、導入されるポリエステルの濃度が5g/lであることを特徴とする、熱可塑性ポリエステル。
  2. 前記1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール単位(A)が、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド、又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性ポリエステル。
  3. 前記ジオール単位(B)が、脂環式ジオール単位、非環状脂肪族ジオール単位、又は脂環式のジオール単位と非環状脂肪族ジオール単位との混合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリエステル。
  4. 前記脂環式ジオール単位が、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘ
    キサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、又はこれらのジオールの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の熱可塑性ポリエステル。
  5. 前記非環状脂肪族ジオール単位が、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、cis-2-ブテン-1,4-ジオール、を含む群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の熱可塑性ポリエステル。
  6. 前記芳香族ジカルボン酸単位(C)が、ナフタレート、テレフタレート、フラノエート、及びイソフタレートの誘導体、又はそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリエステル。
  7. 前記芳香族ジカルボン酸単位(C)がテレフタル酸であることを特徴とする、請求項6に記載の熱可塑性ポリエステル。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリエステルの製造方法であって:
    少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール(A)と、前記1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール(A)以外の少なくとも1つのジオール(B)と、少なくとも1つのテレフタル酸(C)とを含むモノマーを反応器中に導入するステップであって、((A)+(B))/(C)のモル比が1.05~1.5の範囲であるステップ;
    分岐剤を前記反応器中に導入するステップ;
    触媒系を前記反応器中に導入するステップ;
    前記熱可塑性ポリエステルが形成されるように、前記分岐剤の存在下で前記モノマーを重合させるステップであって、前記ステップが:
    反応媒体が、不活性雰囲気下、230~280℃の範囲の温度において撹拌される、オリゴマー化の第1の段階;
    前記熱可塑性ポリエステルが形成されるように、形成されたオリゴマーが、減圧下、240~300℃の範囲の温度において撹拌される、前記オリゴマーの縮合の第2の段階、
    からなるステップ;
    亀裂現象に対する改善された耐性を有する熱可塑性ポリエステルを回収するステップ;
    後重合によってモル質量を増加させるステップであって、前記モル質量を増加させるステップが前記熱可塑性ポリエステルの固相重縮合によって行われるステップ;
    を含む、方法。
  9. 半完成又は完成プラスチック製品を製造するための、請求項1~のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリエステル、又は請求項8に記載の方法により得られる熱可塑性ポリエステルの使用。
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