JP7304032B2 - 正極材および蓄電デバイス - Google Patents
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Description
酸化によりジスルフィド結合を形成することによって環を形成し、還元により前記ジスルフィド結合がチオールに変換される硫黄含有有機化合物、またはニトロキシルラジカル部位を有するラジカル化合物と、
担体と、
を含み、
硫黄含有有機化合物またはラジカル化合物が担体に結合している。
酸化によりジスルフィド結合を形成することによって環を形成し、還元により前記ジスルフィド結合がチオールに変換される硫黄含有有機化合物、またはニトロキシルラジカル部位を有するラジカル化合物と、
を含み、
硫黄含有有機化合物またはラジカル化合物が、酸化物または硫化物に結合している。
実施の形態に係る正極材は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、フッ素、亜鉛、スズおよび鉛からなる群より選択される少なくとも一つの元素と結合可能である、固体の酸化物または硫化物と、酸化によりジスルフィド結合を形成することによって環を形成し、還元により前記ジスルフィド結合がチオールに変換される硫黄含有有機化合物、またはニトロキシルラジカル部位を有するラジカル化合物と、を含み、硫黄含有有機化合物またはラジカル化合物が、酸化物または硫化物に結合している。別の実施の形態に係る正極材は、酸化物または硫化物、および硫黄含有有機化合物またはラジカル化合物に加えて、担体をさらに含む。ここで、担体は、酸化物または硫化物を担持する機能を有する。硫黄含有有機化合物またはラジカル化合物は、液体電解質に溶解しないように酸化物または硫化物、あるいは担体に結合している。このような硫黄含有有機化合物またはラジカル化合物の、酸化物または硫化物、あるいは担体への結合によって、正極材は蓄電デバイスの正極として機能することができ、さらに蓄電デバイスの急速充放電を可能とする。
図1は、実施の形態に係る蓄電デバイスを示す模式図である。蓄電デバイス10は、上述の正極材を含む正極12と、負極14と、正極12と負極14との間に配置された電解質16とを含む。後述するように、蓄電デバイス10は、上述の正極材が正極12に用いられていることから、急速充放電が可能である。なお、図1は模式図であって、電解質16は正極12もしくは負極14と混合状態であってもよく、正極、電解質、負極が必ずしも層状に積層されている必要はない。
50mLスクリュー瓶にトルエン10mLと4-ヒドロキシ-TEMPO(TEMPOL)(Sigma Adrich,97%)1.0g(5.80mmol)を入れ、室温、800rpmで5分間撹拌した。得られた混合物に、3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート(IPTES)(Sigma Aldrich,95%)1.4g(5.66mmol)と、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBDU)(東京化成工業,>95.0%)0.1g(0.16mmol)を添加し、室温、800rpmで3時間撹拌することによって、ウレタン化反応を行った。その後、減圧下で1日間、溶媒を除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。カラムクロマトグラフィーで使用した移動相は、ジエチルエーテル(超脱水,富士フィルム和光純薬,99.0%):ヘキサン(超脱水,富士フィルム和光純薬,96.0%)=65:35vol%であり、固定相は、ワコーゲル(登録商標)50NH2(富士フィルム和光純薬)である。得られたTESPCPの収量は1.5g、収率は60%であり、濃赤色かつ高粘性の液体であった。
カーボンペーパー(CP)上へヒドロキシ基やカルボキシ基を導入するべく、下記の通りpiranha溶液(H2SO4:H2O2=80:20vol%)を用いて酸処理を行った。4×2.5cmのカーボンペーパー(CP)(180μmt,TGP-H60,TORAY)を予めアセトンにて10分間超音波洗浄した後に加熱乾燥させた。50mLビーカーに硫酸(95wt%)40mLと、過酸化水素水(30~35wt%)10mLとを入れて混合し、得られたpiranha溶液に、上記の前処理したCPを80℃で24時間加熱しながら浸漬した。次いで、純水を添加し、室温で30分間、純水置換を行った。その後、CPを純水で洗浄して、酸化CP(OCP)を得た。
実施例1において、酸処理する前のCPを比較例1の電極として用いた。
(試薬)
・LiTFSI:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(99.9%,キシダ化学)(購入後真空乾燥,110℃,1日)
・TEGDME:テトラエチレングリコールジメチルエーテル(≧99%,Sigma-Aldrich)(購入後脱水,4Å Molecular sievs,1週間以上)
・Celgard 2500,25μmt,15mmΦ
・Glass fiber separator,300μmt,15または17mmΦ,Whatman
・電解液 1M LiTFSI/TEGDME,<30ppm(H2O)
90μL(O2雰囲気)
(試験条件)
・セル:Flat cell or Air-tight bottle cell
・試験方法:定電流充放電試験(CC)
・電流密度:0.01mA cm-2
・カットオフ電圧:放電2.0V,充電4.2V
・カットオフ容量:0.05mAh cm-2
・充放電装置:HJ1001SD8(北斗電工)
実施例2の電極の製造に使用した試薬を以下に列挙する。
・リチウム金属(本荘ケミカル)
・硫黄(Aldrich)
・ケッチェンブラック(KB-EC600JD)(ライオン)
・ポリフッ化ビニリデン(PVdF)(Aldrich)
・N-メチル-2-ピロリドン(NMP)(関東化学)
・リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)(キシダ化学)
・1,3-ジオキソラン(DOL)(和光純薬)
・エチレングリコールジメチルエーテル(DME)(和光純薬)
・トリエチレングリコールジメチルエーテル(G3)(和光純薬)
・1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル(HFE)(東京化成工業)
・1,4-ジチオトレイトール(DTT)(Aldrich)
・1-ブタンチオール(東京化成工業)
・硝酸(関東化学)
・テトラヒドロフラン(THF)(和光純薬)
・特級エタノール(純正化学)
・5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)(Aldrich)
・N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(東京化成工業)
ねじ口瓶にケッチェンブラック(KB)500mg、硝酸40mLを入れ、100℃、400rpmで24時間撹拌した。その後、H2Oを用いて3回遠心分離を行った後、エタノールを用いて2回遠心分離を行った。生成物を70℃で12時間真空乾燥し、酸化KB(oKB)を得た。
酸化KB0.0750g、DTT0.150g、DCC0.225g、THF30mLをサンプル瓶に入れ、アルゴン下で12時間撹拌した。その後、THFを用いて2回遠心分離を行った。得られた生成物を12時間真空乾燥し、DTT固定化KB(oKB-DTT)を得た。
乳鉢にて硫黄(硫黄粉末)500mg、oKB-DTT500mgを混合した。得られた混合物をサンプル瓶に移し、窒素下、155℃で12時間加熱して、S/oKB-DTT複合体を得た。
乳鉢にてS/oKB-DTT複合体90wt%、PVdF10wt%を混合した。得られた混合物にNMPを添加し、スラリー化した。スラリーをアルミニウム箔上に塗布し(ドクターブレードPI-1210自動塗工装置,130μm,テスター産業)、乾燥した。
乳鉢にて硫黄(硫黄粉末)500mg、KB500mgを混合した。得られた混合物をサンプル瓶に移し、窒素下、155℃で12時間加熱して、硫黄KB(S/KB)複合体を得た。その後、S/oKB-DTT複合体の代わりにS/KB複合体を用いたこと以外は実施例2の「S/oKB-DTT複合体正極の作製」に記載の方法と同様にして、S/KB電極を作製した。
硫黄を加えなかったこと以外は実施例2と同様にしてDTT固定化KB(oKB-DTT)電極を製造した。
・作用電極(W.E.):比較例3(S/KB複合体)正極,
実施例2(S/oKB-DTT複合体)正極(S:oKB-DTT=50:50,33:67,17:83wt.%),
比較例4(DTT固定化KB)正極
・対極(C.E.):リチウム金属
・セパレータ:Celgard(Celgard社製)
・電解液:Li(G3)TFSI:HFE=20:80vol.%(Li(G3)TFSIはLiTFSIとG3を等モル混合したもの)
・電圧範囲:1.5-3.0V
・電流密度:1C=1675mA g-1(sulfur)(硫黄の重量1g当たり1675mAh)
・充放電電流値
(1)レート特性評価
0.05,0.1,0.2,0.5,1.0,0.05C(各10サイクル)
(2)サイクル特性評価
0.05C
12 正極
14 負極
16 電解質
Claims (27)
- リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、フッ素、亜鉛、スズおよび鉛からなる群より選択される少なくとも一つの元素と結合可能である、固体の酸化物または硫化物と、
酸化によりジスルフィド結合を形成することによって環を形成し、還元により前記ジスルフィド結合がチオールに変換される硫黄含有有機化合物と、
担体と、
を含み、
前記硫黄含有有機化合物が前記担体に結合していることを特徴とする正極材。 - 前記硫黄含有有機化合物が前記担体に共有結合していることを特徴とする請求項1に記載の正極材。
- 前記硫黄含有有機化合物の標準電極電位が、前記酸化物または前記硫化物の標準電極電位より大きく、かつ前記硫黄含有有機化合物の電流、および前記酸化物または前記硫化物の電流を、電池の使用電位範囲内の同じ電位下で測定した際に、前記硫黄含有有機化合物の電流値が前記酸化物または前記硫化物の電流値より大きくなる電位範囲が、前記使用電位範囲において存在することを特徴とする請求項1または2に記載の正極材。
- 前記硫黄含有有機化合物と、前記酸化物または前記硫化物との標準電極電位差が0.01~1.0Vであることを特徴とする請求項3に記載の正極材。
- 前記硫黄含有有機化合物の標準電極電位が、前記酸化物または前記硫化物の標準電極電位より小さく、かつ前記硫黄含有有機化合物の電流、および前記酸化物または前記硫化物の電流を、電池の使用電位範囲内の同じ電位下で測定した際に、前記硫黄含有有機化合物の電流値が前記酸化物または前記硫化物の電流値より大きくなる電位範囲が、前記使用電位範囲において存在することを特徴とする請求項1または2に記載の正極材。
- 前記硫黄含有有機化合物と、前記酸化物または前記硫化物との標準電極電位差が0.01~1.0Vであることを特徴とする請求項5に記載の正極材。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の正極材を含む正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された電解質と、を含むことを特徴とする蓄電デバイス。
- 1.0Cレート以上において、前記硫黄含有有機化合物の充電電位が、前記酸化物または前記硫化物の充電電位よりも低いことを特徴とする請求項7に記載の蓄電デバイス。
- 1.0Cレート以上において、前記硫黄含有有機化合物の放電電位が、前記酸化物または前記硫化物の放電電位よりも高いことを特徴とする請求項7に記載の蓄電デバイス。
- リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、フッ素、亜鉛、スズおよび鉛からなる群より選択される少なくとも一つの元素と結合可能である、固体の酸化物または硫化物と、
酸化によりジスルフィド結合を形成することによって環を形成し、還元により前記ジスルフィド結合がチオールに変換される硫黄含有有機化合物またはニトロキシルラジカル部位を有するラジカル化合物と、
を含み、
前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物が、前記酸化物または前記硫化物に結合していることを特徴とする正極材。 - 前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物が、前記酸化物または前記硫化物に共有結合していることを特徴とする請求項10に記載の正極材。
- 前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物の標準電極電位が、前記酸化物または前記硫化物の標準電極電位より大きく、かつ前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物の電流、および前記酸化物または前記硫化物の電流を、電池の使用電位範囲内の同じ電位下で測定した際に、前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物の電流値が前記酸化物または前記硫化物の電流値より大きくなる電位範囲が、前記使用電位範囲において存在することを特徴とする請求項10または11に記載の正極材。
- 前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物と、前記酸化物または前記硫化物との標準電極電位差が0.01~1.0Vであることを特徴とする請求項12に記載の正極材。
- 前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物の標準電極電位が、前記酸化物または前記硫化物の標準電極電位より小さく、かつ前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物の電流、および前記酸化物または前記硫化物の電流を、電池の使用電位範囲内の同じ電位下で測定した際に、前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物の電流値が前記酸化物または前記硫化物の電流値より大きくなる電位範囲が、前記使用電位範囲において存在することを特徴とする請求項10または11に記載の正極材。
- 前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物と、前記酸化物または前記硫化物との標準電極電位差が0.01~1.0Vであることを特徴とする請求項14に記載の正極材。
- 請求項10乃至15のいずれか1項に記載の正極材を含む正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された電解質と、を含むことを特徴とする蓄電デバイス。
- 1.0Cレート以上において、前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物の充電電位が、前記酸化物または前記硫化物の充電電位よりも低いことを特徴とする請求項16に記載の蓄電デバイス。
- 1.0Cレート以上において、前記硫黄含有有機化合物または前記ラジカル化合物の放電電位が、前記酸化物または前記硫化物の放電電位よりも高いことを特徴とする請求項16に記載の蓄電デバイス。
- リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、フッ素、亜鉛、スズおよび鉛からなる群より選択される少なくとも一つの元素と結合可能である、固体の酸化物または硫化物と、
ニトロキシルラジカル部位を有するラジカル化合物と、
担体と、
を含み、
前記ラジカル化合物が前記担体に結合し、
前記ラジカル化合物の標準電極電位が、前記酸化物または前記硫化物の標準電極電位より大きく、かつ前記ラジカル化合物の電流、および前記酸化物または前記硫化物の電流を、電池の使用電位範囲内の同じ電位下で測定した際に、前記ラジカル化合物の電流値が前記酸化物または前記硫化物の電流値より大きくなる電位範囲が、前記使用電位範囲において存在することを特徴とする正極材。 - 前記ラジカル化合物が前記担体に共有結合していることを特徴とする請求項19に記載の正極材。
- リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、フッ素、亜鉛、スズおよび鉛からなる群より選択される少なくとも一つの元素と結合可能である、固体の酸化物または硫化物と、
ニトロキシルラジカル部位を有するラジカル化合物と、
担体と、
を含み、
前記ラジカル化合物が前記担体に結合し、
前記ラジカル化合物の標準電極電位が、前記酸化物または前記硫化物の標準電極電位より小さく、かつ前記ラジカル化合物の電流、および前記酸化物または前記硫化物の電流を、電池の使用電位範囲内の同じ電位下で測定した際に、前記ラジカル化合物の電流値が前記酸化物または前記硫化物の電流値より大きくなる電位範囲が、前記使用電位範囲において存在することを特徴とする正極材。 - 前記ラジカル化合物が前記担体に共有結合していることを特徴とする請求項21に記載の正極材。
- 前記ラジカル化合物と、前記酸化物または前記硫化物との標準電極電位差が0.01~1.0Vであることを特徴とする請求項19または20に記載の正極材。
- 前記ラジカル化合物と、前記酸化物または前記硫化物との標準電極電位差が0.01~1.0Vであることを特徴とする請求項21または22に記載の正極材。
- 請求項19乃至24のいずれか1項に記載の正極材を含む正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された電解質と、を含むことを特徴とする蓄電デバイス。
- 1.0Cレート以上において、前記ラジカル化合物の充電電位が、前記酸化物または前記硫化物の充電電位よりも低いことを特徴とする請求項25に記載の蓄電デバイス。
- 1.0Cレート以上において、前記ラジカル化合物の放電電位が、前記酸化物または前記硫化物の放電電位よりも高いことを特徴とする請求項25に記載の蓄電デバイス。
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