JP7302503B2 - 吸湿性シリコーン樹脂組成物、有機el素子用透明封止材、有機el素子用透明乾燥材、およびこれらの使用方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、有機金属化合物を捕水成分として添加したシリコーン樹脂組成物を有機ELパネル中に充填する方法が開示されている。この方法では、有機金属化合物の粘度が高いため、取り扱い上、シリコーン樹脂組成物と混合することで粘度を下げる方法が提案されているが、シリコーン樹脂成分の比率が上がるほど透光性が得られないという問題がある。
1. 液状シリコーン樹脂と、表面の少なくとも一部に有機ケイ素化合物および/またはその縮合物が結合してなる被覆部を有する表面処理吸湿性シリカ微粒子とを含む吸湿性シリコーン樹脂組成物であって、
上記有機ケイ素化合物が、下記式(II)で示される3官能性シラン化合物と、下記式(III)で示されるシラザン化合物および/または下記式(IV)で示される1官能性シラン化合物とを含み、
R1Si(OR4)3 (II)
R2 3SiNHSiR2 3 (III)
R2 3SiX (IV)
(式中、R1は、置換または非置換の炭素原子数1~20の1価炭化水素基、R2は、互いに同一または異種の置換もしくは非置換の炭素原子数1~6の1価炭化水素基、R4は、互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基、Xは、OH基または加水分解性基である。)
上記液状シリコーン樹脂の屈折率および上記表面処理吸湿性シリカ微粒子の屈折率が、いずれも1.380~1.383であり、
硬化後の吸湿容量が4.0×10-5g/mm3以上である吸湿性シリコーン樹脂組成物。
2. 液状シリコーン樹脂が、下記(A)~(C)成分を含有する1記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子0.5~2.0モルに相当する量、および
(C)ヒドロシリル化触媒
3. (A)成分が、下記式(1)で表されるオルガノポリシロキサンである2記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
(R6 3SiO1/2)2(R6 2SiO2/2)x (1)
(式中、R6は、互いに同一または異種の置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~12のアリール基、または炭素原子数2~10のアルケニル基であり、xは、5~50,000の整数である。)
4. 式(1)中のR6のうち1個以上が3,3,3-トリフルオロプロピル基である3記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
5. シリカ微粒子がゾルゲルシリカ微粒子である1~4のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
6. 表面処理吸湿性シリカ微粒子の含水率が0.5質量%以下である1~5のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
7. 表面処理吸湿性シリカ微粒子の体積基準粒度分布におけるメジアン径が0.01~0.5μmである1~6のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
8. シリコーン樹脂組成物全体に対する表面処理吸湿性シリカ微粒子の含有量が50~70質量%である1~7のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
9. 1~8のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物を製造する方法であって、下記式(I)
Si(OR3)4 (I)
(式中、R3は互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解・縮合することにより、SiO2単位を含む親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得た後、上記親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、下記式(II)
R1Si(OR4)3 (II)
(式中、R1およびR4は上記と同じである。)
で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加して、上記親水性球状シリカ微粒子の表面を処理することにより、上記親水性球状シリカ微粒子の表面にR1SiO3/2単位(式中、R1は上記と同じである。)を導入した第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を調製し、次いで、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液から上記親水性有機溶媒と水の一部を除去して濃縮することにより、第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得た後、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液に、下記式(III)
R2 3SiNHSiR2 3 (III)
(式中、R2は上記と同じである。)
で示されるシラザン化合物、下記式(IV)
R2 3SiX (IV)
(式中、R2およびXは上記と同じである。)
で示される1官能性シラン化合物、またはこれらの混合物を添加し、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面を処理して上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面にR2 3SiO1/2単位(式中、R2は上記と同じである。)を導入した第二の表面処理シリカ微粒子を調製し、この第二の表面処理シリカ微粒子を熱処理して表面処理吸湿性シリカ微粒子を製造する工程を含む吸湿性シリコーン樹脂組成物の製造方法。
10. 1~8のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物からなる有機EL素子用透明封止材。
11. 1~8のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物の硬化物からなる有機EL素子用透明乾燥材。
12. 10記載の有機EL素子用透明封止材を有機EL素子上に塗布し、硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
13. 10記載の有機EL素子用透明封止材をパネル内に充填した後、このパネル内へ有機EL素子を装入し、上記封止材を硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
14. 10記載の有機EL素子用透明封止材を、有機EL素子を内部に有するパネル内に充填し、硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
15. 11記載の有機EL素子用透明乾燥材を、有機EL素子を内部に有するパネル内に配置する有機EL素子用透明乾燥材の使用方法。
16. 10記載の有機EL素子用透明封止材によって封止された有機ELパネル。
17. 11記載の有機EL素子用透明乾燥材を具備する有機ELパネル。
さらに、本発明の有機EL素子用透明封止材および乾燥材は、有機EL素子上に直接塗布または有機ELパネル内に配置することで、シリコーン樹脂が有する可撓性から、フレキシブル性を有する有機ELパネルを製造することが可能である。
加えて、本発明の有機EL素子用透明封止材および乾燥材は、封止材および乾燥材中の低分子シロキサンが有機ELパネル内に拡散・堆積し、有機EL素子の形成時に存在した微小パーティクル近傍を絶縁し、陰極と陽極とがパーティクルを介して短絡する等が原因とされるショート現象を抑制する効果を得ることができる。
また、本発明の有機EL素子用透明封止材は、吸湿材として混合するシリカ微粒子が分散性に優れるため、吸湿材の凝集に起因するショート現象発現を抑制する効果を得ることもできる。
本発明で用いられる液状シリコーン樹脂は、室温(25℃)で液状のものであれば特に制限されないが、下記(A)~(C)成分を含むことが好ましい。
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有する直鎖状オルガノポリシロキサン
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)ヒドロシリル化触媒
以下、各成分について詳述する。
本発明で用いられる液状シリコーン樹脂における(A)成分は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有する直鎖状オルガノポリシロキサンである。(A)成分は、ケイ素原子結合アルケニル基を1分子中に好ましくは2~8個有する直鎖状オルガノポリシロキサンである。具体的には、下記式(1)
(R6 3SiO1/2)2(R6 2SiO2/2)x (1)
で示されるオルガノポリシロキサンが好ましい。
R6の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル基等のアルキル基や、これらアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の一部または全部が塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換された、例えば、トリフルオロメチル、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のフッ素置換アルキル基、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基などが挙げられる。
これらの中でも、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数6~8のアリール基、炭素原子数2~6のアルケニル基が好ましく、液状シリコーン樹脂の屈折率を1.380~1.383とする観点から、R6のうち1個以上が3,3,3-トリフルオロプロピル基であるこがさらに好ましく、安定性に優れるメチル基と、3,3,3-トリフルオロプロピル基とを組み合わせることが特に好ましい。
(A)成分中のアルケニル基については、分子鎖末端および側鎖のいずれに有していてもよいが、末端にのみアルケニル基を有するものが好ましい。xは5~50,000の整数であり、好ましくは10~20,000の整数である。
なお、本発明における重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
本発明で用いられる液状シリコーン樹脂における(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、上記アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとヒドロシリル化によって架橋構造を形成する架橋剤の役割を果たすものであり、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
本発明で用いられる液状シリコーン樹脂における(C)成分のヒドロシリル化触媒は、(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンと(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとがヒドロシリル化反応によって架橋する際の触媒である。
本発明で用いられる液状シリコーン樹脂には、上記(A)~(C)成分の他に、本発明の作用効果を損なわない範囲において、他の成分を添加してもよい。具体的にはヒドロシリル化反応の反応制御剤、接着性付与材(特には、分子中にアルケニル基、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基等から選ばれる少なくとも1種の官能性基を含有すると共に、分子中にSiH基を含有しないような官能性アルコキシシラン等の有機ケイ素化合物など)、チクソ性付与材などが挙げられる。
本発明で用いられる表面処理吸湿性シリカ微粒子は、表面の少なくとも一部に有機ケイ素化合物および/またはその縮合物が結合してなる被覆部を有する吸湿性のシリカ微粒子である。
上記有機ケイ素化合物は、下記式(II)で示される3官能性シラン化合物と、下記式(III)で示されるシラザン化合物および/または下記式(IV)で示される1官能性シラン化合物とを含む。
R1Si(OR4)3 (II)
R2 3SiNHSiR2 3 (III)
R2 3SiX (IV)
合成シリカ微粒子は、その製法によって、燃焼法シリカ、爆燃法シリカ、湿式シリカ、ゾルゲル法シリカ(所謂Stoeber法)に大別される。これらのうち、ゾルゲル法によるシリカが、内部に存在するシラノール基により水分を効率よく吸着することができるため好ましい。
工程(A1):親水性シリカ微粒子の合成工程、
工程(A2):3官能性シラン化合物による表面処理工程、
工程(A3):濃縮工程、
工程(A4):1官能性シラン化合物による表面処理工程
を含む製造方法によって得ることができる。
工程(A1):下記式(I)
Si(OR3)4 (I)
(式中、R3は互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解・縮合することにより、SiO2単位を含む親水性シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る工程と、
工程(A2):上記親水性シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、下記式(II)
R1Si(OR4)3 (II)
(式中、R1は置換または非置換の炭素原子数1~20の1価炭化水素基、R4は互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加して、上記親水性シリカ微粒子の表面を処理することにより、上記親水性シリカ微粒子の表面にR1SiO3/2単位(R1は上記と同じである。)を導入し、第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る工程と、
工程(A3):上記第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒分散液から上記親水性有機溶媒と水の一部を除去して濃縮することにより第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得る工程と、
工程(A4):上記第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液に、下記式(III)
R2 3SiNHSiR2 3 (III)
(式中、R2は互いに同一または異種の置換または非置換の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
で示されるシラザン化合物、または、下記式(IV)
R2 3SiX (IV)
(式中、R2は上記と同じである。XはOH基または加水分解性基である。)
で示される1官能性シラン化合物、またはこれらの混合物を添加し、上記第一の表面処理シリカ微粒子の表面を更に処理して上記第一の表面処理シリカ微粒子の表面にR2 3SiO1/2単位(式中、R2は上記と同じである。)を導入して第二の表面処理シリカ微粒子を得る工程と
を有する。
以下、工程(A1)~(A5)の各工程を、順を追って説明する。
本工程では、式(I)
Si(OR3)4 (I)
で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解・縮合することによって親水性シリカ微粒子混合溶媒分散液を得る。
R5OH (V)
工程(A1)において得られた親水性シリカ微粒子混合溶媒分散液に、下記式(II)
R1Si(OR4)3 (II)
で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加し、これにより親水性シリカ微粒子表面を処理することにより、上記親水性シリカ微粒子の表面にR1SiO3/2単位(R1は上記と同じである。)を導入し、第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る。
工程(A2)で得られた第一の表面処理シリカ微粒子混合溶媒分散液から親水性有機溶媒と水の一部を除去し、濃縮することにより、所望に濃縮された第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得る。この際、疎水性有機溶媒をあらかじめ、或いは工程中に加えてもよい。疎水性溶媒としては、炭化水素系、ケトン系溶媒が好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、好ましくはメチルイソブチルケトンである。親水性有機溶媒と水の一部を除去する方法としては、例えば留去、減圧留去などが挙げられる。このときの条件は、10~150℃程度で1~20時間程度が好ましい。
工程(A3)で得られた第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液に下記式(III)
R2 3SiNHSiR2 3 (III)
で示されるシラザン化合物、下記式(IV)
R2 3SiX (IV)
で示される1官能性シラン化合物、またはこれらの混合物を添加し、上記第一の表面処理シリカ微粒子表面を更に表面処理することにより、上記第一の表面処理シリカ微粒子の表面にR2 3SiO1/2単位(R2は上記と同じである。)を導入して第二の表面処理シリカ微粒子を得る。この工程では、上記の処理により第一の表面処理シリカ微粒子の表面に残存するシラノール基をトリオルガノシリル化する形でR2 3SiO1/2単位が表面に導入される。
即ち、準備する上記液状シリコーン樹脂および上記表面処理吸湿性シリカ微粒子については、水分量を低減した不活性ガス中で保管することが好ましい。不活性ガスとしては、N2ガスやArガスが好ましく、水分量は1ppm以下が好ましい。
上記不活性ガス中において上記シリコーン樹脂および上記表面処理吸湿性シリカ微粒子を電子天秤等により指定量計量し、混合する。混合後、必要に応じて遠心力を利用した回転装置等を用いて脱泡する。気泡が除去しにくい場合は、真空脱泡等を行うことが好ましい。
本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物は、透明であり、薄膜の硬化物を得ることが容易であるため、有機EL素子用の透明封止材として好適である。具体的には、厚さ25μmの硬化物シートにおいて、JIS K 7361-1:1997に準拠した方法で測定した全光線透過率が90%以上となるものを用いることが好適である。上記硬化物シートの全光線透過率が90%に満たないと、トップエミッション構造を有する有機ELパネルに利用すると不利となる場合がある。
本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物は、有機EL素子上に透明封止材として塗布することができる。塗布方法は、ディスペンス法、インジェクション法、スクリーン印刷法等を用いることができる。本発明の有機EL素子用透明封止材を有機EL素子上にコーティングした際の膜厚は特に限定されないが、フレキシブル構造を有する有機ELパネルに用いる場合は1~300μmの範囲が好ましい。
また、薄型パネルを作製する場合等の状況に応じて、本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物を有機EL素子上に直接塗布してもよく、有機EL素子上のSiO、SiN膜を介して塗布してもよい。
本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物は、有機ELパネル内に封止材として充填するのに有用である。本発明の封止材を適用する有機ELパネルは、その一例として、陽極、有機層、陰極を順次積層した構造の有機EL素子を形成したガラス基板と、これに対向する掘り込み型のガラス基板や、平板上のガラス等、好ましくは掘り込み型のガラス基板とを有機EL素子が掘り込み型ガラス基板内部に収容されるように貼り合わせた中空封止構造を有するものが好適である。ここで、本発明においては、特に掘り込み型のガラス基板を「パネル」といい、この掘り込み型のガラス基板と、有機EL素子を形成したガラス基板とを貼り合わせた中空封止構造体を「有機ELパネル」という。
本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物の硬化物は、有機ELパネル内において有機EL素子に非接触である場合においても、有機ELパネル内に侵入した水蒸気を除湿するための有機EL素子用透明乾燥材として使用することができる。
有機EL素子用透明乾燥材の成形方法としては、目的とする成形品の形状や大きさにあわせて公知の成形方法を適宜選択することができる。例えば、注入成形、圧縮成形、射出成形、カレンダー成形、押出し成形、コーティング、スクリーン印刷などの成形方法が例示される。硬化条件としては、採用する成形方法での公知の条件でよく、一般的には、60~450℃、好ましくは80~400℃、より好ましくは120~200℃の温度条件で数秒~1日程度の成形時間である。また、硬化物中に残存している低分子シロキサン成分を低減する等の目的で、150~250℃、好ましくは200~240℃のオーブン内等で1時間以上、好ましくは1~70時間程度、更に好ましくは1~10時間程度のポストキュア(2次加硫)を行ってもよい。
本発明の有機EL素子用透明乾燥材は、特に有機ELパネル内に設置して使用するのに有用である。本発明の透明乾燥材を適用する有機ELパネルは、封止材について説明したものと同様であり、ガラス等の基板上に、陽極、有機層、陰極を順次積層した構造の有機EL素子を形成し、これとは別に用意した上記基板に対向する掘り込み型のガラス(パネル)等を有機EL素子が掘り込み型ガラス基板内部に収容されるように貼り合わせた中空封止構造を有するものが好ましい。また、本発明の透明乾燥材を使用する例としては、上記掘り込み型ガラス(パネル)の掘り込み内部に本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物を所定量滴下、またはディスペンスやインクジェット等により塗布してシリコーン樹脂組成物を硬化させることにより、上記掘り込み型ガラス(パネル)を貼り合わせて作製された有機ELパネルにおいては、有機EL素子の上方のみに本発明の透明乾燥材を載置することができ、また、この乾燥材は有機EL素子と接していない状態となる。
[調製例1]
(A)成分として、下記平均式(2)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(重量平均分子量2,500)と、(B)成分として、下記式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(重量平均分子量1,300)とを、(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の単位質量あたりのモル数(モル/g)が、(A)成分中のケイ素原子結合ビニル基の単位質量あたりのモル数(モル/g)に対して、1.2となるように用いた。
(ViMe2SiO1/2)1.6(Me3SiO1/2)0.4 [(Me)(CF3-CH2-CH2-)SiO]15 (2)
(Me3SiO1/2)2(MeHSiO)4[(Me)(CF3-CH2-CH2-)SiO]6 (3)
また、(C)成分として、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)の酢酸2-(2-ブトキシエトキシ)エチル溶液(白金単体として1質量%)を(A)成分と(B)成分の合計量に対して0.4質量%用い、これらの(A)~(C)成分をプラネタリーミキサー(PLMG-350、(株)井上製作所製)で10分混練し、屈折率1.381の液状シリコーン樹脂を得た。
(A)成分として下記平均式(4)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(重量平均分子量3,400)を用いた以外は調製例1と同様の手順で屈折率1.383の液状シリコーン樹脂を得た。
(ViMe2SiO1/2)1.6(Me3SiO1/2)0.4 (Me2SiO)6[(Me)(CF3-CH2-CH2-)SiO]18 (4)
(A)成分として下記平均式(5)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(重量平均分子量9,000)を用いた以外は調製例1と同様の手順で屈折率1.386の液状シリコーン樹脂を得た。
(ViMe2SiO1/2)1.2(Me3SiO1/2)0.8 (Me2SiO)34[(Me)(CF3-CH2-CH2-)SiO]34 (5)
[合成例1]
・工程(A1):「親水性シリカ微粒子の合成工程」
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール989.5g、イオン交換水135.5g、28質量%アンモニア水66.5gを入れて混合した。この溶液を35℃となるように調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン436.5g(2.87モル)を6時間かけて滴下した。この滴下が終了した後も、更に0.5時間撹拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性シリカ微粒子の懸濁液を得た。
上記工程(A1)で得られた懸濁液に、25℃でメチルトリメトキシシラン4.4g(0.03モル)を0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間撹拌を継続し、シリカ微粒子表面を処理することにより、第一の表面処理シリカ微粒子分散液を得た。
次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前工程で得られた分散液を60~70℃に加熱してメタノールと水との混合物1,021gを留去し、第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得た。このとき、濃縮分散液中のシリカ微粒子含有量は28質量%であった。
前工程で得られた濃縮分散液に、25℃でヘキサメチルジシラザン138.4g(0.86モル)を添加した後、この分散液を50~60℃に加熱し、9時間反応させることにより、分散液中のシリカ微粒子をトリメチルシリル化した。次いで、この分散液中の溶媒を130℃、減圧下(6,650Pa)で留去することにより、第二の表面処理シリカ微粒子〔1〕186gを得た。
合成例1において、工程(A1)でメタノール、イオン交換水、および28質量%アンモニア水の量をメタノール1,045.7g、イオン交換水112.6g、28質量%アンモニア水33.2gに代えた以外は同様にして、表面処理シリカ微粒子〔2〕188gを得た。
・工程(A1):「親水性シリカ微粒子の合成工程」
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール623.7g、イオン交換水41.4g、28質量%アンモニア水49.8gを添加して混合した。この溶液を35℃に調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン1,163.7gおよび5.4質量%アンモニア水418.1gを同時に添加開始し、前者は6時間、そして後者は4時間かけて滴下した。テトラメトキシシラン滴下後も0.5時間撹拌を続けて加水分解を行い、親水性シリカ微粒子の懸濁液を得た。
上記工程(A1)で得られた懸濁液に25℃でメチルトリメトキシシラン11.6g(テトラメトキシシランに対してモル比で0.01相当量)を0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間撹拌し、第一の表面処理シリカ微粒子を得た。
次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前工程で得られた分散液にメチルイソブチルケトン1,440gを添加した後、80~110℃に加熱してメタノールと水との混合物を7時間かけて留去し、第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得た。
前工程で得られた濃縮分散液に、25℃でヘキサメチルジシラザン357.6gを添加し、120℃に加熱し、3時間反応させ、シリカ微粒子をトリメチルシリル化した。その後溶媒を減圧下で留去して第二の表面処理シリカ微粒子〔3〕472gを得た。
工程(A1)において、テトラメトキシシランの加水分解温度を27℃とした以外は合成例3と同様の操作を行い、表面処理シリカ微粒子〔4〕469gを得た。
工程(A1)において、テトラメトキシシランの加水分解温度を20℃とした以外は合成例3と同様の操作を行い、表面処理シリカ微粒子〔5〕461gを得た。
撹拌機および温度計を備えた0.3リットルのガラス製反応器に爆燃法シリカ(商品名:SO-C1、(株)アドマテクス製)100gを仕込み、イオン交換水1gを撹拌下で添加し、密閉後、更に60℃で10時間撹拌した。次いで、25℃まで冷却した後、ヘキサメチルジシラザン2gを撹拌下で添加し、密閉後、更に24時間撹拌した。120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら残存原料および生成したアンモニアを除去し、表面処理シリカ微粒子〔6〕100gを得た。
撹拌機および温度計を備えた0.3リットルのガラス製反応器に爆燃法シリカ(商品名:SO-C1、(株)アドマテクス製)100gを入れ、イオン交換水1gを撹拌しながら添加し、密閉後、更に60℃で10時間撹拌した。次いで、25℃まで冷却した後、メチルトリメトキシシラン1gを撹拌下で添加し、密閉後、更に24時間撹拌した。次に、ヘキサメチルジシラザン2gを撹拌下で添加し、密閉後、更に24時間撹拌した。120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら残存原料および生成したアンモニアを除去し、表面処理シリカ微粒子〔7〕101gを得た。
工程(A4)において、ヘキサメチルジシラザンを添加せずに、この分散液中の溶媒を130℃、減圧下(6,650Pa)で留去した以外は合成例1と同様の操作を行い、表面処理シリカ微粒子〔8〕179gを得た。
合成例1~5および比較合成例1~3で得られた表面処理シリカ微粒子〔1〕~〔8〕について、メタノールに表面処理シリカ微粒子を0.5質量%となるように添加し、10分間超音波にかけることにより、該微粒子を分散させ、動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(商品名:UPA-EX150、日機装(株)製)により粒度分布を測定し、その体積基準の粒度分布におけるメジアン径(50%累積径)を粒子径とした。結果を表1に示す。
合成例1~5および比較合成例1~3で得られた表面処理シリカ微粒子〔1〕~〔8〕を大気圧下、30℃、80RH%の条件下に3日間曝露し、十分吸水させた後、アルミニウム容器に10mg精秤し、それを差動型示差熱天秤(型式:TG8120、理学電機(株)製)にて大気圧下、25℃(初期)から昇温速度10℃/分で、高温到達温度160℃、180℃、200℃、220℃、240℃、260℃までそれぞれ加熱した後、25℃まで冷却し、表面処理シリカ微粒子(〔1〕a~〔8〕g)についてそれぞれの重量減少率を含水率とした。結果を表1に示す。
また、初期の含水率と260℃加熱後の含水率との差から、各シリカ微粒子の吸湿性を算出した。なお、本発明で用いられるシリカ微粒子においては、吸湿性は8%ポイント以上が好ましい。結果を表1に示す。
トルエン(屈折率1.4962)とアセトン(屈折率1.3587)との混合溶媒20gに表面処理シリカ微粒子1gを添加して分散させた。上記溶媒の配合比率により屈折率を調整し、分散液が透明になる点(溶媒と表面処理シリカ微粒子の屈折率が合致する点)を表面処理シリカ微粒子の屈折率とした。なお、溶媒の屈折率はデジタル屈折計((株)アタゴ、RX-9000α)にて測定した。結果を表1に示す。
表面処理吸湿性シリカ微粒子の含水率が0.5質量%以下であれば、高い吸湿能力を有し、屈折率が1.380~1.383となるため好ましい。
〔シリコーン樹脂組成物の製造〕
上記の各合成例で得られた表面処理シリカ微粒子を、予め100℃、100Paの減圧条件で2時間脱水し、密閉容器に封入後、水分量が1ppm以下に制御されたN2ガスで置換されたボックス内に静置した。
次いで、調製例1~3で得られた液状シリコーン樹脂を、水分量が1ppm以下に制御されたN2ガスで置換されたボックス内に2時間静置した後、上記表面処理シリカ微粒子を添加し、回転撹拌装置にて表面処理シリカ微粒子を液状シリコーン樹脂に30分間回転分散させた。その後、減圧脱泡処理を行い、シリコーン樹脂組成物を得た。なお、上記表面処理シリカ微粒子の添加量は、電子天秤を用いて指定量秤量した。
得られたシリコーン樹脂組成物を用いて下記評価を行った。結果を表2-1および2-2に示す。
なお、透明性の評価が「×」のものについては、耐久性およびショート不良発生の有無に関して評価不能であった(以下同じ)。
ガラス平板上にシリコーン樹脂組成物を塗液し、レベリングさせた後、もう一方のガラス平板を上部から乗せ、シリコーン樹脂組成物の厚みが25μmになるようにガラス平板で上下挟んだ構造体を作製した。この構造体を、ホットプレートを用い、100℃で1時間加熱して、シリコーン樹脂組成物を硬化させた。なお、ガラス平板は、38mm×38mmで、厚みは上下ともに0.7mmとした。
得られた構造体について、透過率測定装置(V-780、日本分光(株)製)にて全光線透過率を測定した。全光線透過率が90%以上である場合を「〇」、87%以上90%未満を「△」、87%未満を「×」と評価した。
上記と同様の手順で作成した構造体について、恒温槽を用いて40℃、90%RHの条件にて3日間曝露前後の質量を測定し、得られた質量増加量をシリコーン樹脂組成物の体積(38mm×38mm×0.025mm)で除した吸湿容量(g/mm3)を算出した。
図1(i)~(iv)および図2を参照して、本発明の有機EL素子用透明封止材で封止した有機ELパネルの製造方法を説明する。
まず、厚さ1mm、サイズ50mm×50mmの無アルカリガラス基板(101)上に、陽極電極(102)、正孔注入層(103)、正孔輸送層(104)、発光層(105)、電子輸送層(106)、電子注入層(107)および陰極電極(108)を順次積層形成して有機EL素子積層ガラス体(109)を形成した(図1(i)参照)。
次いで、紫外線照射後の透明封止材(111)を上記掘り込み内部、内寸38mm×38mm×深さ25μmの部分に充填した(図1(iii)に示す状態)。
なお、比較例41で用いた有機ELパネルは、ガラスパネルの内部がシリコーン樹脂組成物で封止されておらず、乾燥N2ガスで充填された状態である以外は図2の有機ELパネルと同じものである(図3の有機ELパネル(114))。
得られた有機ELパネルを、高温高湿試験槽を用いて85℃、85%RHの環境に1,000時間暴露する前後について、25℃、大気下において10mA/cm2の電流密度で発光駆動させ、光学顕微鏡(LV150N、(株)ニコン製)を用いてダークスポットのサイズおよび個数の観察を行った。
直径5μm以上のダークスポットを対象とし、ダークスポットの発光部総面積に占める割合が全体の3%未満の場合を「A:特に優れる。」、3%以上5%未満の場合を「B:優れる。」、5%以上の場合を「C:劣る。」として耐久性を評価した。
上記と同じ有機ELパネルを、高温高湿試験槽を用いて60℃、90%RHの環境に1,000時間曝露し、25℃の大気下に取り出した後、有機ELパネルのショート発生の有無を確認した。ショート発生の有無は、10mA/cm2以上の電流印加で発光の有無を確認し、発光が見られなかった場合には陰極上にショート痕の有無を確認し、ショート痕がある場合にはレーザーで上記ショート痕近傍の素子を分離することで発光が再現した場合、そのサンプルをショート不良発生サンプルと同定した。なお、各5個のサンプルに対して、ショート不良が発生したサンプルを個数で示した[ショート不良発生サンプル数/5]。
一方、吸湿性シリコーン樹脂組成物の吸湿容量が4.0×10-5g/mm3未満である場合は、著しく耐久性に劣る結果となった。これは、吸湿性の不足により、有機ELパネルに流入した水分を吸湿できなかったためと考えられる。
また、屈折率が1.383を超える表面処理吸湿性シリカ微粒子を用いた場合、シリカ添加量が50質量%を超える場合において透明性に劣る結果となった。これは、液状シリコーン樹脂(屈折率1.381)と表面処理吸湿性シリカ微粒子の屈折率差が大きいことが理由として考えられる。
さらに、このような高屈折率のシリカ微粒子は元々の含水率が高いため、シリコーン樹脂組成物に添加した際に十分な吸湿容量(4.0×10-5g/mm3以上)が得られず、有機ELパネルの耐久性に劣る結果となった。
調製例2で得られた液状シリコーン樹脂(屈折率1.383)に、合成例1~5で得られた表面処理シリカ微粒子を、組成物全体に対して「10.0質量%」、「40.0質量%」、「50.0質量%」、「70.0質量%」でそれぞれ混合した。
得られたシリコーン樹脂組成物を用いて上記評価を行った。結果を表3-1および3-2に示す。
比較調製例1で得られた液状シリコーン樹脂(屈折率1.386)に、合成例1~5で得られた表面処理シリカ微粒子を、組成物全体に対して「10.0質量%」、「40.0質量%」、「50.0質量%」、「70.0質量%」でそれぞれ混合した。
得られたシリコーン樹脂組成物を用いて上記評価を行った。結果を表4-1および4-2に示す。
一方、屈折率1.388~1.389の表面処理シリカ微粒子(〔1〕d、〔2〕d、〔3〕dおよび〔4〕d)を用いた場合は、比較調製例1で得られた液状シリコーン樹脂(屈折率1.386)との屈折率差が小さいため透明性が良好であるが、このようなシリカ微粒子は元々の含水率が高いため、シリコーン樹脂組成物に添加した際に十分な吸湿容量(4.0×10-5g/mm3以上)が得られず、有機ELパネルの耐久性に劣る結果となった。
調製例1,2および比較調製例1で得られた液状シリコーン樹脂に、比較合成例1~3で得られたシリカ微粒子を組成物全体に対して「10.0質量%」、「40.0質量%」、「50.0質量%」および「70.0質量%」でそれぞれ混合した。
得られたシリコーン樹脂組成物を用いて上記の透明性評価を行った。結果を表5-1~5-3に示す。
シリカ微粒子〔6〕a、〔6〕c、〔6〕d、〔7〕a、〔7〕c、〔7〕dは、屈折率が1.459~1.462であり、液状シリコーン樹脂(屈折率1.381~1.386)との屈折率差が大きいことが理由として考えられる。
シリカ微粒子〔8〕a、〔8〕c、〔8〕dでは、屈折率が1.380~1.389であり、液状シリコーン樹脂との屈折率差は比較的小さいが、シリカ微粒子の表面処理が不十分であるため、シリコーン樹脂に混合する際にシリカ微粒子の凝集が生じた結果、いずれも全光線透過率は87%未満となった。
102 陽極電極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極電極
109 有機EL素子積層ガラス体
110 無アルカリ掘り込みガラス(パネル)
111 透明封止材
112 紫外線硬化型エポキシ樹脂組成物
113 有機ELパネル
114 有機ELパネル(オルガノポリシロキサン組成物が無滴下のもの)
Claims (15)
- 液状シリコーン樹脂と、表面の少なくとも一部に有機ケイ素化合物および/またはその縮合物が結合してなる被覆部を有する表面処理吸湿性シリカ微粒子とを含む吸湿性シリコーン樹脂組成物であって、
上記有機ケイ素化合物が、下記式(II)で示される3官能性シラン化合物と、下記式(III)で示されるシラザン化合物および/または下記式(IV)で示される1官能性シラン化合物とを含み、
R1Si(OR4)3 (II)
R2 3SiNHSiR2 3 (III)
R2 3SiX (IV)
(式中、R1は、置換または非置換の炭素原子数1~20の1価炭化水素基、R2は、互いに同一または異種の置換もしくは非置換の炭素原子数1~6の1価炭化水素基、R4は、互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基、Xは、OH基または加水分解性基である。)
上記液状シリコーン樹脂が、下記(A)~(C)成分
(A)下記式(1)で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
(R 6 3 SiO 1/2 ) 2 (R 6 2 SiO 2/2 ) x (1)
(式中、R 6 は、互いに同一または異種の置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~12のアリール基、または炭素原子数2~10のアルケニル基であるが、R 6 のうち1個以上は3,3,3-トリフルオロプロピル基である。xは、5~50,000の整数である。)
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5~2.0モルに相当する量、および
(C)ヒドロシリル化触媒
を含有するものであり、
上記表面処理吸湿性シリカ微粒子が、下記式(I)
Si(OR 3 ) 4 (I)
(式中、R 3 は互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解・縮合することにより、SiO 2 単位を含む親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得た後、上記親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、下記式(II)
R 1 Si(OR 4 ) 3 (II)
(式中、R 1 およびR 4 は上記と同じである。)
で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加して、上記親水性球状シリカ微粒子の表面を処理することにより、上記親水性球状シリカ微粒子の表面にR 1 SiO 3/2 単位(式中、R 1 は上記と同じである。)を導入した第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を調製し、次いで、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液から上記親水性有機溶媒と水の一部を除去して濃縮することにより、第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得た後、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液に、下記式(III)
R 2 3 SiNHSiR 2 3 (III)
(式中、R 2 は上記と同じである。)
で示されるシラザン化合物、下記式(IV)
R 2 3 SiX (IV)
(式中、R 2 およびXは上記と同じである。)
で示される1官能性シラン化合物、またはこれらの混合物を添加し、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面を処理して上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面にR 2 3 SiO 1/2 単位(式中、R 2 は上記と同じである。)を導入した第二の表面処理シリカ微粒子を調製し、この第二の表面処理シリカ微粒子を熱処理して得られたものであって、その含水率が0.5質量%以下、かつ体積基準粒度分布におけるメジアン径が0.01~0.5μmであり、
上記液状シリコーン樹脂の屈折率および上記表面処理吸湿性シリカ微粒子の屈折率が、いずれも1.380~1.383であり、
シリコーン樹脂組成物全体に対する上記表面処理吸湿性シリカ微粒子の含有量が50~70質量%であって、
硬化後の吸湿容量が4.0×10-5g/mm3以上である吸湿性シリコーン樹脂組成物。 - (B)成分が、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体である請求項1記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
- シリカ微粒子がゾルゲルシリカ微粒子である請求項1または2記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物を製造する方法であって、下記式(I)
Si(OR3)4 (I)
(式中、R3は互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解・縮合することにより、SiO2単位を含む親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得た後、上記親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、下記式(II)
R1Si(OR4)3 (II)
(式中、R1およびR4は上記と同じである。)
で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加して、上記親水性球状シリカ微粒子の表面を処理することにより、上記親水性球状シリカ微粒子の表面にR1SiO3/2単位(式中、R1は上記と同じである。)を導入した第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を調製し、次いで、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液から上記親水性有機溶媒と水の一部を除去して濃縮することにより、第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得た後、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液に、下記式(III)
R2 3SiNHSiR2 3 (III)
(式中、R2は上記と同じである。)
で示されるシラザン化合物、下記式(IV)
R2 3SiX (IV)
(式中、R2およびXは上記と同じである。)
で示される1官能性シラン化合物、またはこれらの混合物を添加し、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面を処理して上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面にR2 3SiO1/2単位(式中、R2は上記と同じである。)を導入した第二の表面処理シリカ微粒子を調製し、この第二の表面処理シリカ微粒子を熱処理して表面処理吸湿性シリカ微粒子を製造する工程を含む吸湿性シリコーン樹脂組成物の製造方法。 - 上記式(II)で示される3官能性シラン化合物の添加量が、親水性球状シリカ微粒子のSi原子1モル当り0.001~1モルである請求項4記載の製造方法。
- 上記式(III)で示されるシラザン化合物、上記式(IV)で示される1官能性シラン化合物またはこれらの混合物の添加量が、親水性球状シリカ微粒子のSi原子1モルあたり0.1~0.5モルである請求項4または5記載の製造方法。
- 第二の表面処理シリカ微粒子の熱処理温度が、220~260℃である請求項4~6のいずれか1項記載の製造方法。
- 請求項1~3のいずれか1項記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物からなる有機EL素子用透明封止材。
- 請求項1~3のいずれか1項記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物の硬化物からなる有機EL素子用透明乾燥材。
- 請求項8記載の有機EL素子用透明封止材を、有機EL素子上に塗布し、硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
- 請求項8記載の有機EL素子用透明封止材をパネル内に充填した後、このパネル内へ有機EL素子を装入し、上記封止材を硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
- 請求項8記載の有機EL素子用透明封止材を、有機EL素子を内部に有するパネル内に充填し、硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
- 請求項9記載の有機EL素子用透明乾燥材を、有機EL素子を内部に有するパネル内に配置する有機EL素子用透明乾燥材の使用方法。
- 請求項8記載の有機EL素子用透明封止材によって封止された有機ELパネル。
- 請求項9記載の有機EL素子用透明乾燥材を具備する有機ELパネル。
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