JP7302503B2 - 吸湿性シリコーン樹脂組成物、有機el素子用透明封止材、有機el素子用透明乾燥材、およびこれらの使用方法 - Google Patents

吸湿性シリコーン樹脂組成物、有機el素子用透明封止材、有機el素子用透明乾燥材、およびこれらの使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、吸湿性シリコーン樹脂組成物、有機エレクトロニクスルミネッセンス(以下、有機ELと略記する。)素子用透明封止材、有機EL素子用透明乾燥材、およびこれらの使用方法ならびに有機ELパネルに関する。
有機ELパネルは、自発光型と呼ばれるように素子自体が発光するため、液晶パネルのバックライトのように別光源を必要としないので低消費電力であり、薄型化、軽量化が容易などの特徴がある。また、液晶パネルに比べて高画質であるといわれている。
しかし、パネル内にごく微量の水分が侵入しただけで、素子発光面積が損なわれてしまうという問題がある(ダークスポットの発生)。そのため、有機ELパネルは、高度に水分侵入を防ぐ構造が必要となるため、有機EL素子を、ガラス等からなる透過性基板などで密閉する構造が一般的に用いられる。この構造は、ガラス等の基板上に、陽極、有機層、陰極を積層した構造の有機EL素子を形成し、これに対向する掘り込み型のガラス等を合わせた中空封止構造であり、内部を乾燥させた窒素(N2)ガス等で充填し、かつ端部を封止材で接着することによって得られる。このとき、有機ELパネル内に侵入した水分を除去する方法として、乾燥材を内部に設置する方法、有機EL素子を充填材で覆う方法等、様々な研究が報告されている。いずれの方法であっても、乾燥材や充填材が透光性を有する場合、有機EL素子が発生した光を上面から外部に取り出す、所謂トップエミッションが可能となるため、さらに有効なものとなる。
ところで、有機EL素子は、主に蒸着等の手法で形成されるが、微小なパーティクルの存在により、陰極と陽極とが短絡する所謂ショート現象が生じることがある。また、樹脂等の封止材中に吸湿粒子等を混合した場合、吸湿粒子の凝集等によってもショート現象が生じる場合がある。このようなショート現象が発生した場合、原因となるパーティクルや、吸湿粒子の凝集物の周囲の素子をレーザー等で分離する必要があり、発光の部分損失や工程増加の問題が生じる。
一方、有機ELパネルは、薄さへの追及があり、フラットタイプの薄型パネルのほか、湾曲した形状を有する薄型パネルなどが注目されている。そのような薄型パネルには、曲げに対する耐性が要求されることもあり、薄さのみならず、柔軟性も要求される。特に、折り曲げが可能なフレキシブル構造を有する有機ELパネルも注目されており、透光性基材や、乾燥材、充填材等、各構成部材に対して、同様に、薄さ、柔軟性が要求されている。
乾燥材や充填材を用いた有機ELパネルの製造方法として、例えば、特許文献1には、ゼオライト、シリカゲル等の乾燥材をシリコーン樹脂組成物中に添加し、これを有機ELパネル中に充填する方法が開示されている。しかし、この方法では、水分による有機EL発光素子の発光面積損失を抑制するのに必要な量の乾燥材を添加した場合、透光性が得られなくなるので、有機EL素子が発生した光を上面から外部に取り出すトップエミッションへの適用は不可能となる。
また、特許文献2には、有機金属化合物を捕水成分として添加したシリコーン樹脂組成物を有機ELパネル中に充填する方法が開示されている。この方法では、有機金属化合物の粘度が高いため、取り扱い上、シリコーン樹脂組成物と混合することで粘度を下げる方法が提案されているが、シリコーン樹脂成分の比率が上がるほど透光性が得られないという問題がある。
特開2017-183191号公報 特開2013-176751号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高透明でトップエミッションが可能であり、高温高湿下でもシュリンク量の成長および素子発光部の損失(ダークスポットの発生)を抑制し、かつ、ショート現象を抑制する効果を有する有機EL素子用透明封止材および有機EL素子用透明乾燥材として有用な吸湿性シリコーン樹脂組成物、有機EL素子用透明封止材、有機EL素子用透明乾燥材およびこれらの使用方法、ならびに有機ELパネルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、いずれも特定の屈折率を有する液状シリコーン樹脂および表面処理吸湿性シリカ微粒子を含む吸湿性シリコーン樹脂組成物が、有機EL素子用透明封止材または乾燥材として用いたとき、トップエミッションを可能とし、高透明かつ高温高湿下でシュリンク量の成長を抑制し、ダークスポットの発生およびショート発生を抑制することが可能であることを見出し、本発明をなすに至った。
したがって、本発明は、下記の吸湿性シリコーン樹脂組成物、有機EL素子用透明封止材、有機EL素子用透明乾燥材およびこれらの使用方法、ならびに有機ELパネルを提供する。
1. 液状シリコーン樹脂と、表面の少なくとも一部に有機ケイ素化合物および/またはその縮合物が結合してなる被覆部を有する表面処理吸湿性シリカ微粒子とを含む吸湿性シリコーン樹脂組成物であって、
上記有機ケイ素化合物が、下記式(II)で示される3官能性シラン化合物と、下記式(III)で示されるシラザン化合物および/または下記式(IV)で示される1官能性シラン化合物とを含み、
1Si(OR43 (II)
2 3SiNHSiR2 3 (III)
2 3SiX (IV)
(式中、R1は、置換または非置換の炭素原子数1~20の1価炭化水素基、R2は、互いに同一または異種の置換もしくは非置換の炭素原子数1~6の1価炭化水素基、R4は、互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基、Xは、OH基または加水分解性基である。)
上記液状シリコーン樹脂の屈折率および上記表面処理吸湿性シリカ微粒子の屈折率が、いずれも1.380~1.383であり、
硬化後の吸湿容量が4.0×10-5g/mm3以上である吸湿性シリコーン樹脂組成物。
2. 液状シリコーン樹脂が、下記(A)~(C)成分を含有する1記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子0.5~2.0モルに相当する量、および
(C)ヒドロシリル化触媒
3. (A)成分が、下記式(1)で表されるオルガノポリシロキサンである2記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
(R6 3SiO1/22(R6 2SiO2/2x (1)
(式中、R6は、互いに同一または異種の置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~12のアリール基、または炭素原子数2~10のアルケニル基であり、xは、5~50,000の整数である。)
4. 式(1)中のR6のうち1個以上が3,3,3-トリフルオロプロピル基である3記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
5. シリカ微粒子がゾルゲルシリカ微粒子である1~4のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
6. 表面処理吸湿性シリカ微粒子の含水率が0.5質量%以下である1~5のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
7. 表面処理吸湿性シリカ微粒子の体積基準粒度分布におけるメジアン径が0.01~0.5μmである1~6のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
8. シリコーン樹脂組成物全体に対する表面処理吸湿性シリカ微粒子の含有量が50~70質量%である1~7のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
9. 1~8のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物を製造する方法であって、下記式(I)
Si(OR34 (I)
(式中、R3は互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解・縮合することにより、SiO2単位を含む親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得た後、上記親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、下記式(II)
1Si(OR43 (II)
(式中、R1およびR4は上記と同じである。)
で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加して、上記親水性球状シリカ微粒子の表面を処理することにより、上記親水性球状シリカ微粒子の表面にR1SiO3/2単位(式中、R1は上記と同じである。)を導入した第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を調製し、次いで、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液から上記親水性有機溶媒と水の一部を除去して濃縮することにより、第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得た後、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液に、下記式(III)
2 3SiNHSiR2 3 (III)
(式中、R2は上記と同じである。)
で示されるシラザン化合物、下記式(IV)
2 3SiX (IV)
(式中、R2およびXは上記と同じである。)
で示される1官能性シラン化合物、またはこれらの混合物を添加し、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面を処理して上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面にR2 3SiO1/2単位(式中、R2は上記と同じである。)を導入した第二の表面処理シリカ微粒子を調製し、この第二の表面処理シリカ微粒子を熱処理して表面処理吸湿性シリカ微粒子を製造する工程を含む吸湿性シリコーン樹脂組成物の製造方法。
10. 1~8のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物からなる有機EL素子用透明封止材。
11. 1~8のいずれかに記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物の硬化物からなる有機EL素子用透明乾燥材。
12. 10記載の有機EL素子用透明封止材を有機EL素子上に塗布し、硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
13. 10記載の有機EL素子用透明封止材をパネル内に充填した後、このパネル内へ有機EL素子を装入し、上記封止材を硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
14. 10記載の有機EL素子用透明封止材を、有機EL素子を内部に有するパネル内に充填し、硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
15. 11記載の有機EL素子用透明乾燥材を、有機EL素子を内部に有するパネル内に配置する有機EL素子用透明乾燥材の使用方法。
16. 10記載の有機EL素子用透明封止材によって封止された有機ELパネル。
17. 11記載の有機EL素子用透明乾燥材を具備する有機ELパネル。
本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物は、高透明で、高温高湿下でもシュリンク量の成長が小さく、かつ、有機EL素子の破損(ダークスポットの発生)を抑えることができる有機EL素子用透明封止材を与えることができる。本発明の有機EL素子用透明封止材は、高透明であることから有機EL素子から発した光を透過させるトップエミッション型に適用可能である。また、本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物からなる有機EL素子用透明封止材は、吸湿容量が4.0×10-5g/mm3以上であるため、高い吸湿効果が得られる。即ち、より高湿度環境における有機ELパネルの耐久性向上が得られるため、車載用などの高温高湿度環境での使用が可能となる。
さらに、本発明の有機EL素子用透明封止材および乾燥材は、有機EL素子上に直接塗布または有機ELパネル内に配置することで、シリコーン樹脂が有する可撓性から、フレキシブル性を有する有機ELパネルを製造することが可能である。
加えて、本発明の有機EL素子用透明封止材および乾燥材は、封止材および乾燥材中の低分子シロキサンが有機ELパネル内に拡散・堆積し、有機EL素子の形成時に存在した微小パーティクル近傍を絶縁し、陰極と陽極とがパーティクルを介して短絡する等が原因とされるショート現象を抑制する効果を得ることができる。
また、本発明の有機EL素子用透明封止材は、吸湿材として混合するシリカ微粒子が分散性に優れるため、吸湿材の凝集に起因するショート現象発現を抑制する効果を得ることもできる。
本発明の一実施態様である有機EL素子用透明封止材を有機ELパネルに充填する方法を説明するための概略図である。 図1の方法で得られた有機ELパネルを示す断面概略図である。 パネル内に有機EL素子用透明封止材を充填せずに製造した有機ELパネルを示す断面概略図である。
[液状シリコーン樹脂]
本発明で用いられる液状シリコーン樹脂は、室温(25℃)で液状のものであれば特に制限されないが、下記(A)~(C)成分を含むことが好ましい。
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有する直鎖状オルガノポリシロキサン
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)ヒドロシリル化触媒
以下、各成分について詳述する。
(A)アルケニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン
本発明で用いられる液状シリコーン樹脂における(A)成分は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有する直鎖状オルガノポリシロキサンである。(A)成分は、ケイ素原子結合アルケニル基を1分子中に好ましくは2~8個有する直鎖状オルガノポリシロキサンである。具体的には、下記式(1)
(R6 3SiO1/22(R6 2SiO2/2x (1)
で示されるオルガノポリシロキサンが好ましい。
上記式(1)中、R6は、互いに同一または異種の置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~12のアリール基、または炭素原子数2~10のアルケニル基である。
6の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル基等のアルキル基や、これらアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の一部または全部が塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換された、例えば、トリフルオロメチル、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のフッ素置換アルキル基、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基などが挙げられる。
これらの中でも、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数6~8のアリール基、炭素原子数2~6のアルケニル基が好ましく、液状シリコーン樹脂の屈折率を1.380~1.383とする観点から、R6のうち1個以上が3,3,3-トリフルオロプロピル基であるこがさらに好ましく、安定性に優れるメチル基と、3,3,3-トリフルオロプロピル基とを組み合わせることが特に好ましい。
(A)成分中のアルケニル基については、分子鎖末端および側鎖のいずれに有していてもよいが、末端にのみアルケニル基を有するものが好ましい。xは5~50,000の整数であり、好ましくは10~20,000の整数である。
上記のアルケニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンメチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体等が挙げられる。
上記のアルケニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を併用してもよい。上記の直鎖状オルガノポリシロキサンを2種以上併用する場合、低分子量側のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は1,000~50,000が好ましく、より好ましくは1,500~20,000である。一方、高分子量側のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は1,500を超え、200,000以下が好ましく、より好ましくは、2,000を超え、100,000以下である。但し、(低分子側の重量平均分子量)<(高分子側の重量平均分子量)であるものとする。
なお、本発明における重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
なお、本発明で用いられる液状シリコーン樹脂は、(A)成分のアルケニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン以外の成分として、アルケニル基含有レジン状オルガノポリシロキサンを含有してもよい。但し、硬化時の気泡の発生および光透過性の悪化を抑制する観点から、アルケニル基含有レジン状オルガノポリシロキサンの含有量は(A)成分に対して1質量%以下とすることが好ましい。
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
本発明で用いられる液状シリコーン樹脂における(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、上記アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとヒドロシリル化によって架橋構造を形成する架橋剤の役割を果たすものであり、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
このような(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサンメチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサンや、これらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたもの、式:R3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:RHSiO2/2で示されるシロキサン単位と式:RSiO3/2で示されるシロキサン単位もしくは式:HSiO3/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、およびこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。なお、Rはメチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基などの1価炭化水素基である。(B)成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
(B)成分の配合量は、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子1.0~2.0モルに相当する量であり、好ましくは1.0~1.5モルに相当する量である。
(C)ヒドロシリル化触媒
本発明で用いられる液状シリコーン樹脂における(C)成分のヒドロシリル化触媒は、(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンと(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとがヒドロシリル化反応によって架橋する際の触媒である。
ヒドロシリル化反応用触媒としては白金族金属系触媒が好ましく、具体的には、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、塩化白金酸とビニル基含有(ポリ)シロキサンとの錯体、白金-アセチルアセトン錯体、白金-シクロペンタジエニル錯体等の白金族金属系触媒が挙げられる。
また、(C)成分としては、遮光下で不活性であり、かつ波長200~500nmの光を照射することにより活性な白金族金属触媒に変化するものを使用してもよい。このような(C)成分の具体例としては、白金族金属系触媒が挙げられ、その中でもルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金等の白金族元素化合物が好ましく、特に白金化合物が好ましい。この白金化合物の例としては、β-ジケトン白金錯体又は環状ジエン化合物を配位子に持つ白金錯体などが挙げられる。これらの化合物は合成してもよいし、市販品を使用してもよい。
上記のβ-ジケトン白金錯体としては、例えば、トリメチル(アセチルアセトナト)白金錯体、トリメチル(2,4-ペンタンジオネート)白金錯体、トリメチル(3,5-ヘプタンジオネート)白金錯体、トリメチル(メチルアセトアセテート)白金錯体、ビス(2,4-ペンタンジオナト)白金錯体、ビス(2,4-へキサンジオナト)白金錯体、ビス(2,4-へプタンジオナト)白金錯体、ビス(3,5-ヘプタンジオナト)白金錯体、ビス(1-フェニル-1,3-ブタンジオナト)白金錯体、ビス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)白金錯体などが挙げられ、好ましくはビス(β-ジケトナト)白金錯体、さらに好ましくはビス(アセチルアセトナト)白金錯体である。
上記の環状ジエン化合物を配位子に持つ白金錯体としては、例えば、(η5-シクロペンタジエニル)ジメチル白金錯体、(η5-シクロペンタジエニル)ジフェニル白金錯体、(η5-シクロペンタジエニル)ジプロピル白金錯体、(2,5-ノルボルナジエン)ジメチル白金錯体、(2,5-ノルボルナジエン)ジフェニル白金錯体、(η5-シクロペンタジエニル)ジメチル白金錯体、(η5-メチルシクロペンタジエニル)ジエチル白金錯体、(η5-トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジフェニル白金錯体、(η5-メチルシクロオクタジエニル)ジエチル白金錯体、(η5-シクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(η5-シクロペンタジエニル)エチルジメチル白金錯体、(η5-シクロペンタジエニル)アセチルジメチル白金錯体、(η5-メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(η5-メチルシクロペンタジエニル)トリヘキシル白金錯体、(η5-トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(η5-ジメチルフェニルシリルシクロペンタジエニル)トリフェニル白金錯体、(η5-シクロペンタジエニル)ジメチルトリメチルシリルメチル白金錯体などが挙げられ、好ましくは(η5-メチルシクロペンタジエニル)トリアルキル白金錯体、さらに好ましくは(η5-メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体である。
(C)成分の配合量は、本発明の樹脂組成物の硬化(ヒドロシリル化反応)を促進する量であれば特には限定されないが、硬化性、保存安定性およびコストの観点から、(A)成分と(B)成分の合計質量に対して、白金族金属量に換算して、0.5~1,000ppmとなる量が好ましく、より好ましくは1~500ppmである。
その他の成分
本発明で用いられる液状シリコーン樹脂には、上記(A)~(C)成分の他に、本発明の作用効果を損なわない範囲において、他の成分を添加してもよい。具体的にはヒドロシリル化反応の反応制御剤、接着性付与材(特には、分子中にアルケニル基、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基等から選ばれる少なくとも1種の官能性基を含有すると共に、分子中にSiH基を含有しないような官能性アルコキシシラン等の有機ケイ素化合物など)、チクソ性付与材などが挙げられる。
本発明で用いられる液状シリコーン樹脂の屈折率は1.380~1.383の範囲である。屈折率がこの範囲外である場合、シリカ微粒子との屈折率差が大きくなることにより、得られる硬化物の透明性が損なわれる。なお、屈折率の測定方法は後述する通りである。
[表面処理吸湿性シリカ微粒子]
本発明で用いられる表面処理吸湿性シリカ微粒子は、表面の少なくとも一部に有機ケイ素化合物および/またはその縮合物が結合してなる被覆部を有する吸湿性のシリカ微粒子である。
有機ケイ素化合物
上記有機ケイ素化合物は、下記式(II)で示される3官能性シラン化合物と、下記式(III)で示されるシラザン化合物および/または下記式(IV)で示される1官能性シラン化合物とを含む。
1Si(OR43 (II)
2 3SiNHSiR2 3 (III)
2 3SiX (IV)
上記式(II)中、R1は、置換または非置換の炭素原子数1~20、好ましくは炭素原子数1~6、より好ましくは炭素原子数1~3、特に好ましくは1~2の1価炭化水素基である。R1で表される1価炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、n-ヘキシル基等のアルキル基などが挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基である。また、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部または全部が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換されていてもよい。
上記式(II)中、R4は、互いに同一または異種の炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~3、特に好ましくは1~2の1価炭化水素基である。R4で表される1価炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル基等のアルキル基などが挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基である。
上記式(III)および式(IV)において、R2は、互いに同一または異種の置換ももしくは非置換の炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~4、特に好ましくは炭素原子数1~2の1価炭化水素基である。R2で表される1価炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル基等のアルキル基などが挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、プロピル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基である。また、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部または全部が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、好ましくは、フッ素原子で置換されていてもよい。
上記式(IV)中、Xは、OH基または加水分解性基である。Xで表される加水分解性基としては、例えば、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基などが挙げられ、好ましくは、アルコキシ基、アミノ基であり、特に好ましくは、アルコキシ基である。
上記式(II)で示される3官能性シラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシランや、これらの部分加水分解縮合生成物などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランであり、より好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランや、これらの部分加水分解縮合生成物である。
上記式(III)で示されるシラザン化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン等が挙げられ、好ましくはヘキサメチルジシラザンである。
上記式(IV)で示される1官能性シラン化合物としては、例えば、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール等のモノシラノール化合物、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン等のモノクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン、トリメチルシリルジメチルアミン、トリメチルシリルジエチルアミン等のモノアミノシラン、トリメチルアセトキシシラン等のモノアシルオキシシランなどが挙げられ、好ましくは、トリメチルシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルシリルジエチルアミンであり、特に好ましくは、トリメチルシラノール、トリメチルメトキシシランである。
シリカ微粒子
合成シリカ微粒子は、その製法によって、燃焼法シリカ、爆燃法シリカ、湿式シリカ、ゾルゲル法シリカ(所謂Stoeber法)に大別される。これらのうち、ゾルゲル法によるシリカが、内部に存在するシラノール基により水分を効率よく吸着することができるため好ましい。
以下に、ゾルゲル法による本発明で用いられる表面処理吸湿性シリカ微粒子の好ましい製造方法の一例を述べる。
本発明で用いられる表面処理吸湿性シリカ微粒子は、例えば、
工程(A1):親水性シリカ微粒子の合成工程、
工程(A2):3官能性シラン化合物による表面処理工程、
工程(A3):濃縮工程、
工程(A4):1官能性シラン化合物による表面処理工程
を含む製造方法によって得ることができる。
即ち、本発明で用いられる表面処理吸湿性シリカ微粒子の製造方法は、
工程(A1):下記式(I)
Si(OR34 (I)
(式中、R3は互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解・縮合することにより、SiO2単位を含む親水性シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る工程と、
工程(A2):上記親水性シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、下記式(II)
1Si(OR43 (II)
(式中、R1は置換または非置換の炭素原子数1~20の1価炭化水素基、R4は互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加して、上記親水性シリカ微粒子の表面を処理することにより、上記親水性シリカ微粒子の表面にR1SiO3/2単位(R1は上記と同じである。)を導入し、第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る工程と、
工程(A3):上記第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒分散液から上記親水性有機溶媒と水の一部を除去して濃縮することにより第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得る工程と、
工程(A4):上記第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液に、下記式(III)
2 3SiNHSiR2 3 (III)
(式中、R2は互いに同一または異種の置換または非置換の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
で示されるシラザン化合物、または、下記式(IV)
2 3SiX (IV)
(式中、R2は上記と同じである。XはOH基または加水分解性基である。)
で示される1官能性シラン化合物、またはこれらの混合物を添加し、上記第一の表面処理シリカ微粒子の表面を更に処理して上記第一の表面処理シリカ微粒子の表面にR2 3SiO1/2単位(式中、R2は上記と同じである。)を導入して第二の表面処理シリカ微粒子を得る工程と
を有する。
以下、工程(A1)~(A5)の各工程を、順を追って説明する。
-工程(A1):親水性シリカ微粒子の合成工程-
本工程では、式(I)
Si(OR34 (I)
で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解・縮合することによって親水性シリカ微粒子混合溶媒分散液を得る。
式中、R3は互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。R3で表される1価炭化水素基としては、好ましくは炭素原子数1~4、特に好ましくは1~2の1価炭化水素基が挙げられる。具体例としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素原子数1~4のアルキル基であり、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基である。
上記式(I)で示される4官能性シラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、テトラフェノキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランであり、特に好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。また、式(I)で示される4官能性シラン化合物の部分加水分解縮合生成物としては、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート等が挙げられる。
上記親水性有機溶媒としては、上記式(I)で示される4官能性シラン化合物と、この部分加水分解縮合生成物と、水とを溶解するものであれば特に制限されず、例えば、アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられ、好ましくは、アルコール類、セロソルブ類、特に好ましくはアルコール類である。
このアルコール類としては、下記式(V)で示されるアルコールが挙げられる。
5OH (V)
上記式(V)中、R5は、炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。R5は、好ましくは炭素原子数1~4、特に好ましくは1~2の1価炭化水素基である。R5で表される1価炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル基等のアルキル基等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基である。
上記式(V)で示されるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、メタノール、エタノールである。アルコールの炭素原子数が増えると、生成するシリカ微粒子の粒子径が大きくなる。従って、目的とする小粒径シリカ微粒子を得るためにはメタノールが好ましい。
また、上記塩基性物質としてはアンモニア、ジメチルアミン、ジエチルアミン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、アンモニア、ジエチルアミンであり、特に好ましくはアンモニアである。これらの塩基性物質は、所要量を水に溶解した後、得られた水溶液(塩基性)を上記親水性有機溶媒と混合すればよい。
このとき使用される水の量は、上記式(I)で示される4官能性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合生成物のヒドロカルビルオキシ基の合計1モルに対して0.5~5モルが好ましく、より好ましくは0.6~2モルであり、さらに好ましくは0.7~1モルである。水に対する親水性有機溶媒のモル比率は、質量比で0.5~10が好ましく、より好ましくは3~9であり、さらに好ましくは5~8である。親水性有機溶媒の量が多いほど所望の小粒径シリカ微粒子となる。
塩基性物質の量は、上記式(I)で示される4官能性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合生成物のヒドロカルビルオキシ基の合計1モルに対して0.01~2モルが好ましく、より好ましくは0.02~0.5モルであり、さらに好ましくは0.04~0.12モルである。塩基性物質の量が少ないほど所望の小粒径シリカ微粒子となる場合があり、多いと大粒径シリカ微粒子になる場合がある。
上記式(I)で示される4官能性シラン化合物等の加水分解および縮合は、周知の方法で行われる。即ち、塩基性物質を含む親水性有機溶媒と水との混合物中に、上記式(I)で示される4官能性シラン化合物等を添加することにより行われる。反応条件も周知の条件で行うことができ、通常、10~80℃程度で1~20時間程度が好ましい。
本工程(A1)で得られる親水性シリカ微粒子混合溶媒分散液中のシリカ微粒子の濃度は一般に3~15質量%であり、好ましくは5~10質量%である。
-工程(A2):3官能性シラン化合物による表面処理工程-
工程(A1)において得られた親水性シリカ微粒子混合溶媒分散液に、下記式(II)
1Si(OR43 (II)
で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加し、これにより親水性シリカ微粒子表面を処理することにより、上記親水性シリカ微粒子の表面にR1SiO3/2単位(R1は上記と同じである。)を導入し、第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得る。
本工程(A2)は、次の工程である濃縮工程(A3)においてシリカ微粒子の凝集を抑制するために不可欠である。この凝集を抑制できないと、得られるシリカ系粉体の個々の粒子は一次粒子径を維持できないため、その結果として、有機EL素子の封止において素子破損や、透過率減少等を引き起こすことがあり、好ましくない。
上記式(II)中、R1、R4、式(II)で示される3官能性シラン化合物の例は、表面処理吸湿性シリカ微粒子に用いられる有機ケイ素化合物について説明したものと同じである。
上記式(II)で示される3官能性シラン化合物の添加量は、親水性シリカ微粒子のSi原子1モル当り0.001~1モルであり、好ましくは0.01~0.1モル、特に好ましくは0.01~0.05モルである。この添加量が0.001モル以上であれば、分散性が良くなり好ましい。また、上記添加量が1モル以下であれば、シリカ微粒子の凝集が生じることもなく好ましい。反応条件は、10~80℃程度で1~20時間程度が好ましい。
本工程(A2)で得られる第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒分散液中のシリカ微粒子の濃度は、通常、3質量%以上15質量%未満であり、好ましくは5~10質量%である。かかる濃度が3質量%以上であれば、生産性が向上するので好ましく、15質量%未満であればシリカ微粒子の凝集が生じることもなく好ましい。
-工程(A3)濃縮工程-
工程(A2)で得られた第一の表面処理シリカ微粒子混合溶媒分散液から親水性有機溶媒と水の一部を除去し、濃縮することにより、所望に濃縮された第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得る。この際、疎水性有機溶媒をあらかじめ、或いは工程中に加えてもよい。疎水性溶媒としては、炭化水素系、ケトン系溶媒が好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、好ましくはメチルイソブチルケトンである。親水性有機溶媒と水の一部を除去する方法としては、例えば留去、減圧留去などが挙げられる。このときの条件は、10~150℃程度で1~20間程度が好ましい。
得られる濃縮分散液は、シリカ微粒子濃度が15~40質量%であることが好ましく、より好ましくは20~35質量%であり、さらに好ましくは25~30質量%である。上記シリカ微粒子濃度が15質量%以上であれば、後工程の表面処理がうまくいき、40質量%以下であればシリカ微粒子の凝集が生じることもなく好都合である。
本工程(A3)は、次の工程(A4)において表面処理剤として使用される式(III)で表されるシラザン化合物および式(IV)で表される一官能性シラン化合物が、アルコールや水と反応して表面処理が不十分となり、その後に乾燥を行うときに凝集を生じ、得られるシリカ粉体は一次粒子径を維持できないというような不具合を抑制するために不可欠である。
-工程(A4):1官能性シラン化合物による表面処理工程-
工程(A3)で得られた第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液に下記式(III)
2 3SiNHSiR2 3 (III)
で示されるシラザン化合物、下記式(IV)
2 3SiX (IV)
で示される1官能性シラン化合物、またはこれらの混合物を添加し、上記第一の表面処理シリカ微粒子表面を更に表面処理することにより、上記第一の表面処理シリカ微粒子の表面にR2 3SiO1/2単位(R2は上記と同じである。)を導入して第二の表面処理シリカ微粒子を得る。この工程では、上記の処理により第一の表面処理シリカ微粒子の表面に残存するシラノール基をトリオルガノシリル化する形でR2 3SiO1/2単位が表面に導入される。
上記式(III)および(IV)中のR2、式(IV)中のX、式(III)で示されるシラザン化合物および式(IV)で示される1官能性シラン化合物の例は、表面処理吸湿性シリカ微粒子に用いられる有機ケイ素化合物について説明したものと同じである。
シラザン化合物、1官能性シラン化合物の使用量については、親水性シリカ微粒子のSi原子1モルに対して好ましくは0.1~0.5モルであり、より好ましくは0.2~0.4モル、特に好ましくは0.25~0.35モルである。この使用量が0.1モル以上であれば、分散性が良好となり好ましい。また、上記使用量が0.5モル以下であれば経済的に有利であり好ましい。反応条件は、10~150℃程度で1~20時間程度が好ましい。
得られた表面処理吸湿性シリカ微粒子については、乾燥後吸湿しやすいため、液状シリコーン樹脂に添加・混合する前に脱水処理を行うことが好ましい。ここで、表面処理吸湿性シリカ微粒子の吸湿能力を発揮させるために、その含水率を0.5質量%以下に調整することが望ましい。脱水処理は加熱により行うことが好ましく、常圧の場合、脱水処理(加熱処理)工程を220℃~260℃の温度で行うことが好ましい。また、脱水処理工程の温度を低下させるため減圧下で行ってもよい。なお、含水率の測定方法は後述する通りである。
本発明で用いられる表面処理吸湿性シリカ微粒子は、その屈折率が1.380~1.383の範囲内である。この屈折率が上記範囲を外れると、上記シリコーン樹脂との屈折率の差が大きくなることにより、得られる硬化物の透明性が損なわれる。なお、屈折率の測定方法は後述する通りである。
本発明で用いられる表面処理吸湿性シリカ微粒子は、1次粒子の体積基準の粒度分布におけるメジアン径が0.01~0.5μmであることが好ましい。このような範囲であれば、微粒子の凝集によるシリコーン樹脂組成物の透明性の低下、素子の損傷やショートの発生を抑制することができる。なお、メジアン径の測定方法は後述する通りである。
本発明で用いられる表面処理吸湿性シリカ微粒子の添加量は、シリコーン樹脂組成物全体に対して50~70質量%の範囲が好ましい。この添加量が70質量%を超えると、粒子の凝集や粘度増加等により取り扱いが困難となるほか、脱泡が難しくなり、気泡含有による透過率の低下が発生する場合がある。また、有機ELパネルにおいて、凝集体が素子に接触することで、素子の損傷やショートが発生し、安定した発光が得られなくなる可能性がある。
また、上記の表面処理吸湿性シリカ微粒子の添加量については、本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物の吸湿容量(水分を吸着可能な量)が4.0×10-5g/mm3以上となる添加量であり、好ましくは5.0×10-5g/mm3以上となる量である。この樹脂組成物の吸湿容量が4.0×10-5g/mm3未満であると、十分な吸湿性が得られず、有機ELパネルに使用した場合の耐久性に劣る。
本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物において、上記液状シリコーン樹脂と上記表面処理吸湿性シリカ微粒子との混合方法としては、特に制限はないが、例えば下記の不活性ガス中の混合方法が挙げられる。
即ち、準備する上記液状シリコーン樹脂および上記表面処理吸湿性シリカ微粒子については、水分量を低減した不活性ガス中で保管することが好ましい。不活性ガスとしては、N2ガスやArガスが好ましく、水分量は1ppm以下が好ましい。
上記不活性ガス中において上記シリコーン樹脂および上記表面処理吸湿性シリカ微粒子を電子天秤等により指定量計量し、混合する。混合後、必要に応じて遠心力を利用した回転装置等を用いて脱泡する。気泡が除去しにくい場合は、真空脱泡等を行うことが好ましい。
有機EL素子用透明封止材
本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物は、透明であり、薄膜の硬化物を得ることが容易であるため、有機EL素子用の透明封止材として好適である。具体的には、厚さ25μmの硬化物シートにおいて、JIS K 7361-1:1997に準拠した方法で測定した全光線透過率が90%以上となるものを用いることが好適である。上記硬化物シートの全光線透過率が90%に満たないと、トップエミッション構造を有する有機ELパネルに利用すると不利となる場合がある。
また、本発明の有機EL素子用透明封止材は、その吸湿容量が4.0×10-5g/mm3以上であり、5.0×10-5g/mm3以上が好ましい。吸湿容量が4.0×10-5g/mm3に満たないものを有機EL素子用の封止材として使用した場合、有機ELパネルに流入した水分の吸湿が不十分となり、有機EL素子の耐久性が低いものとなる。
有機EL素子用透明封止材の塗布方法
本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物は、有機EL素子上に透明封止材として塗布することができる。塗布方法は、ディスペンス法、インジェクション法、スクリーン印刷法等を用いることができる。本発明の有機EL素子用透明封止材を有機EL素子上にコーティングした際の膜厚は特に限定されないが、フレキシブル構造を有する有機ELパネルに用いる場合は1~300μmの範囲が好ましい。
また、薄型パネルを作製する場合等の状況に応じて、本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物を有機EL素子上に直接塗布してもよく、有機EL素子上のSiO、SiN膜を介して塗布してもよい。
本発明の有機EL素子用の透明封止材の硬化方法について説明すると、本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物の硬化触媒として、波長200~500nmの光を照射することにより活性化する白金触媒を用い、紫外線照射した吸湿性シリコーン樹脂組成物を所定の環境下で静置することにより硬化する方法を用いることが好ましい。
紫外線照射方法としては、紫外光源として波長365nmのUV-LEDランプ、メタルハライドランプ等を使用して、適量の紫外線を照射する方法等が挙げられる。好ましくは波長200~500nm、より好ましくは200~350nmの光が使用される。硬化速度と変色防止との両観点から、照射時の温度は20~80℃が好ましく、照射強度は30~2,000mW/cm2が好ましく、照射線量は150~10,000mJ/cm2が好ましい。紫外線照射した組成物を静置し、硬化させる際の条件については特に限定されないが、20~60℃で1分間~1日間硬化させることが好ましい。
有機EL素子用透明封止材の充填方法
本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物は、有機ELパネル内に封止材として充填するのに有用である。本発明の封止材を適用する有機ELパネルは、その一例として、陽極、有機層、陰極を順次積層した構造の有機EL素子を形成したガラス基板と、これに対向する掘り込み型のガラス基板や、平板上のガラス等、好ましくは掘り込み型のガラス基板とを有機EL素子が掘り込み型ガラス基板内部に収容されるように貼り合わせた中空封止構造を有するものが好適である。ここで、本発明においては、特に掘り込み型のガラス基板を「パネル」といい、この掘り込み型のガラス基板と、有機EL素子を形成したガラス基板とを貼り合わせた中空封止構造体を「有機ELパネル」という。
有機EL素子を形成したガラス基板と、掘り込み型のガラス(パネル)とを貼り合せる方法としては、例えば、掘り込み型ガラス(パネル)内に封止材を充填した後、有機EL素子を形成したガラス基板を掘り込み型ガラス(パネル)内へ有機EL素子を装入するように対向して貼り合わせて封止する方法や、掘り込み型のガラス(パネル)内に有機EL素子を設置した後、このガラス(パネル)内へ封止材を充填して封止する方法等が挙げられる。
掘り込み型ガラス(パネル)内に封止材を充填した後、有機EL素子を装入して封止する方法について詳述すると、まず、本発明の封止材を掘り込み型ガラス(パネル)内部に充填する。次に、真空中で上下面基板を貼り合わせる設備にて、有機EL素子を積層したガラス基板と、上記封止材を充填した掘り込みガラス(パネル)とを有機EL素子を封止材中に装入しながら貼り合わせる。このとき、掘り込みガラス(パネル)の開口部端面に、紫外線硬化型エポキシ樹脂組成物等の接着剤をディスペンサー等で塗布しておくことが好ましい。封止材は、有機EL素子に直接接触した状態となり、ガラス基板と掘り込みガラス(パネル)とがエポキシ樹脂組成物を介して貼り合わされた充填構造体となる。なお、本発明の封止材には、充填前に予め紫外線を照射しておくことが好ましい。紫外線の照射条件によっては、紫外線照射後一定時間、液体状態を保ち、硬化は後で徐々に進行させることが可能である。
次に、上記充填構造を維持しながらエポキシ樹脂組成物等の接着剤に紫外線を照射して硬化させ、貼り合わせを完成させる。本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物からなる封止材は徐々に硬化が進行し、完全に固化する。このようにしてパネル内部に本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物からなる封止材を充填した有機ELパネルを完成させることができる。
有機EL素子用透明乾燥材
本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物の硬化物は、有機ELパネル内において有機EL素子に非接触である場合においても、有機ELパネル内に侵入した水蒸気を除湿するための有機EL素子用透明乾燥材として使用することができる。
有機EL素子用透明乾燥材の製造方法
有機EL素子用透明乾燥材の成形方法としては、目的とする成形品の形状や大きさにあわせて公知の成形方法を適宜選択することができる。例えば、注入成形、圧縮成形、射出成形、カレンダー成形、押出し成形、コーティング、スクリーン印刷などの成形方法が例示される。硬化条件としては、採用する成形方法での公知の条件でよく、一般的には、60~450℃、好ましくは80~400℃、より好ましくは120~200℃の温度条件で数秒~1日程度の成形時間である。また、硬化物中に残存している低分子シロキサン成分を低減する等の目的で、150~250℃、好ましくは200~240℃のオーブン内等で1時間以上、好ましくは1~70時間程度、更に好ましくは1~10時間程度のポストキュア(2次加硫)を行ってもよい。
また、本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物は、ディスペンス法、インジェクション法などの塗布方法のほか、スクリーン印刷、カレンダー成形法、インジェクション法、プレス法などの常法によりシート化して用いることができる。この場合、本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物をシート化したシリコーンゴムシートは、1.0μm~2mmの厚さで成形することが好ましく、より好ましくは1.0μm~1mmである。このような範囲であれば、有機ELデバイスのトータル厚みが増大することがなく、本発明の所望の効果が得られる。
有機EL素子用透明乾燥材の使用方法
本発明の有機EL素子用透明乾燥材は、特に有機ELパネル内に設置して使用するのに有用である。本発明の透明乾燥材を適用する有機ELパネルは、封止材について説明したものと同様であり、ガラス等の基板上に、陽極、有機層、陰極を順次積層した構造の有機EL素子を形成し、これとは別に用意した上記基板に対向する掘り込み型のガラス(パネル)等を有機EL素子が掘り込み型ガラス基板内部に収容されるように貼り合わせた中空封止構造を有するものが好ましい。また、本発明の透明乾燥材を使用する例としては、上記掘り込み型ガラス(パネル)の掘り込み内部に本発明の吸湿性シリコーン樹脂組成物を所定量滴下、またはディスペンスやインクジェット等により塗布してシリコーン樹脂組成物を硬化させることにより、上記掘り込み型ガラス(パネル)を貼り合わせて作製された有機ELパネルにおいては、有機EL素子の上方のみに本発明の透明乾燥材を載置することができ、また、この乾燥材は有機EL素子と接していない状態となる。
即ち、本発明の有機EL素子用透明乾燥材の使用方法においては、有機ELパネル内に隙間なく充填する方法ではなく、予め形成した透明乾燥材を、有機EL素子に非接触となるように用いるため、工程が容易である。また、本発明の透明乾燥材の使用方法は、透明乾燥材が有機EL素子に非接触であっても、乾燥材中の低分子シロキサンが有機ELパネル内に拡散・堆積し、有機EL素子の形成時に存在した微小パーティクル近傍を絶縁し、陰極と陽極とがパーティクルを介して短絡する所謂ショート現象を抑制する効果を得ることができる。
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、配合量の単位において、部は質量部を示す。また、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。屈折率はデジタル屈折計(RX-9000α、(株)アタゴ製)にて25℃で測定した。重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
液状シリコーン樹脂の調製(調製例1,2および比較調製例1)
[調製例1]
(A)成分として、下記平均式(2)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(重量平均分子量2,500)と、(B)成分として、下記式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(重量平均分子量1,300)とを、(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の単位質量あたりのモル数(モル/g)が、(A)成分中のケイ素原子結合ビニル基の単位質量あたりのモル数(モル/g)に対して、1.2となるように用いた。
(ViMe2SiO1/2)1.6(Me3SiO1/2)0.4 [(Me)(CF3-CH2-CH2-)SiO]15 (2)
(Me3SiO1/2)2(MeHSiO)4[(Me)(CF3-CH2-CH2-)SiO]6 (3)
また、(C)成分として、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)の酢酸2-(2-ブトキシエトキシ)エチル溶液(白金単体として1質量%)を(A)成分と(B)成分の合計量に対して0.4質量%用い、これらの(A)~(C)成分をプラネタリーミキサー(PLMG-350、(株)井上製作所製)で10分混練し、屈折率1.381の液状シリコーン樹脂を得た。
[調製例2]
(A)成分として下記平均式(4)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(重量平均分子量3,400)を用いた以外は調製例1と同様の手順で屈折率1.383の液状シリコーン樹脂を得た。
(ViMe2SiO1/2)1.6(Me3SiO1/2)0.4 (Me2SiO)6[(Me)(CF3-CH2-CH2-)SiO]18 (4)
[比較調製例1]
(A)成分として下記平均式(5)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(重量平均分子量9,000)を用いた以外は調製例1と同様の手順で屈折率1.386の液状シリコーン樹脂を得た。
(ViMe2SiO1/2)1.2(Me3SiO1/2)0.8 (Me2SiO)34[(Me)(CF3-CH2-CH2-)SiO]34 (5)
表面処理吸湿性シリカ微粒子の合成(合成例1~5および比較合成例1~3)
[合成例1]
・工程(A1):「親水性シリカ微粒子の合成工程」
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール989.5g、イオン交換水135.5g、28質量%アンモニア水66.5gを入れて混合した。この溶液を35℃となるように調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン436.5g(2.87モル)を6時間かけて滴下した。この滴下が終了した後も、更に0.5時間撹拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性シリカ微粒子の懸濁液を得た。
・工程(A2):「3官能性シラン化合物による表面処理工程」
上記工程(A1)で得られた懸濁液に、25℃でメチルトリメトキシシラン4.4g(0.03モル)を0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間撹拌を継続し、シリカ微粒子表面を処理することにより、第一の表面処理シリカ微粒子分散液を得た。
・工程(A3):「濃縮工程」
次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前工程で得られた分散液を60~70℃に加熱してメタノールと水との混合物1,021gを留去し、第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得た。このとき、濃縮分散液中のシリカ微粒子含有量は28質量%であった。
・工程(A4):「1官能性シラン化合物による表面処理工程」
前工程で得られた濃縮分散液に、25℃でヘキサメチルジシラザン138.4g(0.86モル)を添加した後、この分散液を50~60℃に加熱し、9時間反応させることにより、分散液中のシリカ微粒子をトリメチルシリル化した。次いで、この分散液中の溶媒を130℃、減圧下(6,650Pa)で留去することにより、第二の表面処理シリカ微粒子〔1〕186gを得た。
[合成例2]
合成例1において、工程(A1)でメタノール、イオン交換水、および28質量%アンモニア水の量をメタノール1,045.7g、イオン交換水112.6g、28質量%アンモニア水33.2gに代えた以外は同様にして、表面処理シリカ微粒子〔2〕188gを得た。
[合成例3]
・工程(A1):「親水性シリカ微粒子の合成工程」
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール623.7g、イオン交換水41.4g、28質量%アンモニア水49.8gを添加して混合した。この溶液を35℃に調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン1,163.7gおよび5.4質量%アンモニア水418.1gを同時に添加開始し、前者は6時間、そして後者は4時間かけて滴下した。テトラメトキシシラン滴下後も0.5時間撹拌を続けて加水分解を行い、親水性シリカ微粒子の懸濁液を得た。
・工程(A2):「3官能性シラン化合物による表面処理工程」
上記工程(A1)で得られた懸濁液に25℃でメチルトリメトキシシラン11.6g(テトラメトキシシランに対してモル比で0.01相当量)を0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間撹拌し、第一の表面処理シリカ微粒子を得た。
・工程(A3):「濃縮工程」
次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前工程で得られた分散液にメチルイソブチルケトン1,440gを添加した後、80~110℃に加熱してメタノールと水との混合物を7時間かけて留去し、第一の表面処理シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得た。
・工程(A4):「1官能性シラン化合物による表面処理工程」
前工程で得られた濃縮分散液に、25℃でヘキサメチルジシラザン357.6gを添加し、120℃に加熱し、3時間反応させ、シリカ微粒子をトリメチルシリル化した。その後溶媒を減圧下で留去して第二の表面処理シリカ微粒子〔3〕472gを得た。
[合成例4]
工程(A1)において、テトラメトキシシランの加水分解温度を27℃とした以外は合成例3と同様の操作を行い、表面処理シリカ微粒子〔4〕469gを得た。
[合成例5]
工程(A1)において、テトラメトキシシランの加水分解温度を20℃とした以外は合成例3と同様の操作を行い、表面処理シリカ微粒子〔5〕461gを得た。
[比較合成例1]
撹拌機および温度計を備えた0.3リットルのガラス製反応器に爆燃法シリカ(商品名:SO-C1、(株)アドマテクス製)100gを仕込み、イオン交換水1gを撹拌下で添加し、密閉後、更に60℃で10時間撹拌した。次いで、25℃まで冷却した後、ヘキサメチルジシラザン2gを撹拌下で添加し、密閉後、更に24時間撹拌した。120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら残存原料および生成したアンモニアを除去し、表面処理シリカ微粒子〔6〕100gを得た。
[比較合成例2]
撹拌機および温度計を備えた0.3リットルのガラス製反応器に爆燃法シリカ(商品名:SO-C1、(株)アドマテクス製)100gを入れ、イオン交換水1gを撹拌しながら添加し、密閉後、更に60℃で10時間撹拌した。次いで、25℃まで冷却した後、メチルトリメトキシシラン1gを撹拌下で添加し、密閉後、更に24時間撹拌した。次に、ヘキサメチルジシラザン2gを撹拌下で添加し、密閉後、更に24時間撹拌した。120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら残存原料および生成したアンモニアを除去し、表面処理シリカ微粒子〔7〕101gを得た。
[比較合成例3]
工程(A4)において、ヘキサメチルジシラザンを添加せずに、この分散液中の溶媒を130℃、減圧下(6,650Pa)で留去した以外は合成例1と同様の操作を行い、表面処理シリカ微粒子〔8〕179gを得た。
〔粒子径〕
合成例1~5および比較合成例1~3で得られた表面処理シリカ微粒子〔1〕~〔8〕について、メタノールに表面処理シリカ微粒子を0.5質量%となるように添加し、10分間超音波にかけることにより、該微粒子を分散させ、動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(商品名:UPA-EX150、日機装(株)製)により粒度分布を測定し、その体積基準の粒度分布におけるメジアン径(50%累積径)を粒子径とした。結果を表1に示す。
〔含水率〕
合成例1~5および比較合成例1~3で得られた表面処理シリカ微粒子〔1〕~〔8〕を大気圧下、30℃、80RH%の条件下に3日間曝露し、十分吸水させた後、アルミニウム容器に10mg精秤し、それを差動型示差熱天秤(型式:TG8120、理学電機(株)製)にて大気圧下、25℃(初期)から昇温速度10℃/分で、高温到達温度160℃、180℃、200℃、220℃、240℃、260℃までそれぞれ加熱した後、25℃まで冷却し、表面処理シリカ微粒子(〔1〕a~〔8〕g)についてそれぞれの重量減少率を含水率とした。結果を表1に示す。
また、初期の含水率と260℃加熱後の含水率との差から、各シリカ微粒子の吸湿性を算出した。なお、本発明で用いられるシリカ微粒子においては、吸湿性は8%ポイント以上が好ましい。結果を表1に示す。
〔屈折率〕
トルエン(屈折率1.4962)とアセトン(屈折率1.3587)との混合溶媒20gに表面処理シリカ微粒子1gを添加して分散させた。上記溶媒の配合比率により屈折率を調整し、分散液が透明になる点(溶媒と表面処理シリカ微粒子の屈折率が合致する点)を表面処理シリカ微粒子の屈折率とした。なお、溶媒の屈折率はデジタル屈折計((株)アタゴ、RX-9000α)にて測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007302503000001
表1に示されるように、本発明で使用する表面処理吸湿性シリカ微粒子の含水率と屈折率には相関があり、含水率が0.1質量%であるシリカ微粒子の屈折率は1.380~1.381となる。なお、含水率が0.5質量%の場合、シリカ微粒子の屈折率は1.383である。含水率が多くなるにつれ、シリカ微粒子の屈折率は高くなり、完全に吸湿したシリカ微粒子の屈折率は1.397~1.398程度となる。
表面処理吸湿性シリカ微粒子の含水率が0.5質量%以下であれば、高い吸湿能力を有し、屈折率が1.380~1.383となるため好ましい。
[実施例1~20、比較例1~41]
シリコーン樹脂組成物の製造
上記の各合成例で得られた表面処理シリカ微粒子を、予め100℃、100Paの減圧条件で2時間脱水し、密閉容器に封入後、水分量が1ppm以下に制御されたN2ガスで置換されたボックス内に静置した。
次いで、調製例1~3で得られた液状シリコーン樹脂を、水分量が1ppm以下に制御されたN2ガスで置換されたボックス内に2時間静置した後、上記表面処理シリカ微粒子を添加し、回転撹拌装置にて表面処理シリカ微粒子を液状シリコーン樹脂に30分間回転分散させた。その後、減圧脱泡処理を行い、シリコーン樹脂組成物を得た。なお、上記表面処理シリカ微粒子の添加量は、電子天秤を用いて指定量秤量した。
調製例1で得られた液状シリコーン樹脂(屈折率1.381)に、合成例1~5で得られた表面処理シリカ微粒子を、組成物全体に対して「10.0質量%」、「40.0質量%」、「50.0質量%」、「70.0質量%」の割合になるようそれぞれ混合した。
得られたシリコーン樹脂組成物を用いて下記評価を行った。結果を表2-1および2-2に示す。
なお、透明性の評価が「×」のものについては、耐久性およびショート不良発生の有無に関して評価不能であった(以下同じ)。
シリコーン樹脂組成物を用いた構造体の製造
ガラス平板上にシリコーン樹脂組成物を塗液し、レベリングさせた後、もう一方のガラス平板を上部から乗せ、シリコーン樹脂組成物の厚みが25μmになるようにガラス平板で上下挟んだ構造体を作製した。この構造体を、ホットプレートを用い、100℃で1時間加熱して、シリコーン樹脂組成物を硬化させた。なお、ガラス平板は、38mm×38mmで、厚みは上下ともに0.7mmとした。
〔透明性〕
得られた構造体について、透過率測定装置(V-780、日本分光(株)製)にて全光線透過率を測定した。全光線透過率が90%以上である場合を「〇」、87%以上90%未満を「△」、87%未満を「×」と評価した。
〔吸湿容量〕
上記と同様の手順で作成した構造体について、恒温槽を用いて40℃、90%RHの条件にて3日間曝露前後の質量を測定し、得られた質量増加量をシリコーン樹脂組成物の体積(38mm×38mm×0.025mm)で除した吸湿容量(g/mm3)を算出した。
有機ELパネルの製造
図1(i)~(iv)および図2を参照して、本発明の有機EL素子用透明封止材で封止した有機ELパネルの製造方法を説明する。
まず、厚さ1mm、サイズ50mm×50mmの無アルカリガラス基板(101)上に、陽極電極(102)、正孔注入層(103)、正孔輸送層(104)、発光層(105)、電子輸送層(106)、電子注入層(107)および陰極電極(108)を順次積層形成して有機EL素子積層ガラス体(109)を形成した(図1(i)参照)。
次に、水分量が1ppm以下に制御されたN2ガスで置換されたボックス内にて、図1(ii)に示す厚さ1mm、開口部の外寸42mm×42mm、掘り込み部の深さ25μmの断面凹形掘り込み形状の無アルカリ封止型ガラス(110)を別に準備した。この掘り込み形状の無アルカリ封止型ガラス(110)の開口部端面(2mm幅)の全面に紫外線硬化型エポキシ樹脂組成物(112)をディスペンサーによって塗布した。
次に、同ボックス内で、透明封止材として、実施例1~20および比較例1~41で得られたシリコーン樹脂組成物をガラス容器内にそれぞれ準備し、メタルハライドランプ(HANDY UV-100、(株)オーク製作所(OCR)製)にて、紫外線強度10mW/cm2で積算照射量2,000mJ/cm2となるように紫外線照射を行った。
次いで、紫外線照射後の透明封止材(111)を上記掘り込み内部、内寸38mm×38mm×深さ25μmの部分に充填した(図1(iii)に示す状態)。
続いて、図1(iv)に示すように、掘り込み部の透明封止材(111)が硬化する前に、有機EL素子積層ガラス体(109)のうち、正孔注入層(103)から陰極電極(108)までの部分を透明封止材(111)の内部に装入して、陽極電極(102)部分をエポキシ樹脂組成物(112)を介して掘り込みガラス(110)の開口部に貼り合わせた。
その後、メタルハライドランプ(HANDY UV-100、(株)オーク製作所(OCR)製)を用い、紫外線強度10mW/cm2で積算照射量10,000mJ/cm2となるようにエポキシ樹脂組成物に対して紫外線照射を行い、エポキシ樹脂組成物を硬化させた。これを25℃で3時間静置して透明封止材を硬化させ、図2に示す有機ELパネル(113)を得た。
なお、比較例41で用いた有機ELパネルは、ガラスパネルの内部がシリコーン樹脂組成物で封止されておらず、乾燥N2ガスで充填された状態である以外は図2の有機ELパネルと同じものである(図3の有機ELパネル(114))。
〔耐久性〕
得られた有機ELパネルを、高温高湿試験槽を用いて85℃、85%RHの環境に1,000時間暴露する前後について、25℃、大気下において10mA/cm2の電流密度で発光駆動させ、光学顕微鏡(LV150N、(株)ニコン製)を用いてダークスポットのサイズおよび個数の観察を行った。
直径5μm以上のダークスポットを対象とし、ダークスポットの発光部総面積に占める割合が全体の3%未満の場合を「A:特に優れる。」、3%以上5%未満の場合を「B:優れる。」、5%以上の場合を「C:劣る。」として耐久性を評価した。
〔ショート不良発生の有無〕
上記と同じ有機ELパネルを、高温高湿試験槽を用いて60℃、90%RHの環境に1,000時間曝露し、25℃の大気下に取り出した後、有機ELパネルのショート発生の有無を確認した。ショート発生の有無は、10mA/cm2以上の電流印加で発光の有無を確認し、発光が見られなかった場合には陰極上にショート痕の有無を確認し、ショート痕がある場合にはレーザーで上記ショート痕近傍の素子を分離することで発光が再現した場合、そのサンプルをショート不良発生サンプルと同定した。なお、各5個のサンプルに対して、ショート不良が発生したサンプルを個数で示した[ショート不良発生サンプル数/5]。
Figure 0007302503000002
Figure 0007302503000003
表2-1および2-2に示す通り、吸湿容量が4.0×10-5g/mm3以上である吸湿性シリコーン樹脂組成物を用いた有機ELパネルは、85℃、85%RH、1,000時間の条件において優れた耐久性を有していた。
一方、吸湿性シリコーン樹脂組成物の吸湿容量が4.0×10-5g/mm3未満である場合は、著しく耐久性に劣る結果となった。これは、吸湿性の不足により、有機ELパネルに流入した水分を吸湿できなかったためと考えられる。
また、屈折率が1.383を超える表面処理吸湿性シリカ微粒子を用いた場合、シリカ添加量が50質量%を超える場合において透明性に劣る結果となった。これは、液状シリコーン樹脂(屈折率1.381)と表面処理吸湿性シリカ微粒子の屈折率差が大きいことが理由として考えられる。
さらに、このような高屈折率のシリカ微粒子は元々の含水率が高いため、シリコーン樹脂組成物に添加した際に十分な吸湿容量(4.0×10-5g/mm3以上)が得られず、有機ELパネルの耐久性に劣る結果となった。
[実施例21~40、比較例42~81]
調製例2で得られた液状シリコーン樹脂(屈折率1.383)に、合成例1~5で得られた表面処理シリカ微粒子を、組成物全体に対して「10.0質量%」、「40.0質量%」、「50.0質量%」、「70.0質量%」でそれぞれ混合した。
得られたシリコーン樹脂組成物を用いて上記評価を行った。結果を表3-1および3-2に示す。
Figure 0007302503000004
Figure 0007302503000005
表3-1および3-2に示す通り、実施例21~40、比較例42~81において、それぞれ実施例1~20、比較例1~40と同様の結果を得た。
[比較例82~141]
比較調製例1で得られた液状シリコーン樹脂(屈折率1.386)に、合成例1~5で得られた表面処理シリカ微粒子を、組成物全体に対して「10.0質量%」、「40.0質量%」、「50.0質量%」、「70.0質量%」でそれぞれ混合した。
得られたシリコーン樹脂組成物を用いて上記評価を行った。結果を表4-1および4-2に示す。
Figure 0007302503000006
Figure 0007302503000007
表4-1および4-2に示す通り、比較調製例1で得られた液状シリコーン樹脂(屈折率1.386)に対して、屈折率1.380~1.383の表面処理シリカ微粒子を用いた場合は、両者の屈折率差が大きくなるため透明性に劣る結果となった。
一方、屈折率1.388~1.389の表面処理シリカ微粒子(〔1〕d、〔2〕d、〔3〕dおよび〔4〕d)を用いた場合は、比較調製例1で得られた液状シリコーン樹脂(屈折率1.386)との屈折率差が小さいため透明性が良好であるが、このようなシリカ微粒子は元々の含水率が高いため、シリコーン樹脂組成物に添加した際に十分な吸湿容量(4.0×10-5g/mm3以上)が得られず、有機ELパネルの耐久性に劣る結果となった。
[比較例142~249]
調製例1,2および比較調製例1で得られた液状シリコーン樹脂に、比較合成例1~3で得られたシリカ微粒子を組成物全体に対して「10.0質量%」、「40.0質量%」、「50.0質量%」および「70.0質量%」でそれぞれ混合した。
得られたシリコーン樹脂組成物を用いて上記の透明性評価を行った。結果を表5-1~5-3に示す。
Figure 0007302503000008
Figure 0007302503000009
Figure 0007302503000010
表5-1~5-3に示す通り、比較合成例1~3で得られたシリカ微粒子を添加したものは、いずれも全光線透過率が87%未満となった。
シリカ微粒子〔6〕a、〔6〕、〔6〕d、〔7〕a、〔7〕、〔7〕dは、屈折率が1.459~1.462であり、液状シリコーン樹脂(屈折率1.381~1.386)との屈折率差が大きいことが理由として考えられる。
シリカ微粒子〔8〕a、〔8〕、〔8〕dでは、屈折率が1.380~1.389であり、液状シリコーン樹脂との屈折率差は比較的小さいが、シリカ微粒子の表面処理が不十分であるため、シリコーン樹脂に混合する際にシリカ微粒子の凝集が生じた結果、いずれも全光線透過率は87%未満となった。
101 無アルカリガラス基板
102 陽極電極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極電極
109 有機EL素子積層ガラス
110 無アルカリ掘り込みガラス(パネル)
111 透明封止材
112 紫外線硬化型エポキシ樹脂組成物
113 有機ELパネル
114 有機ELパネル(オルガノポリシロキサン組成物が無滴下のもの)

Claims (15)

  1. 液状シリコーン樹脂と、表面の少なくとも一部に有機ケイ素化合物および/またはその縮合物が結合してなる被覆部を有する表面処理吸湿性シリカ微粒子とを含む吸湿性シリコーン樹脂組成物であって、
    上記有機ケイ素化合物が、下記式(II)で示される3官能性シラン化合物と、下記式(III)で示されるシラザン化合物および/または下記式(IV)で示される1官能性シラン化合物とを含み、
    1Si(OR43 (II)
    2 3SiNHSiR2 3 (III)
    2 3SiX (IV)
    (式中、R1は、置換または非置換の炭素原子数1~20の1価炭化水素基、R2は、互いに同一または異種の置換もしくは非置換の炭素原子数1~6の1価炭化水素基、R4は、互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基、Xは、OH基または加水分解性基である。)
    上記液状シリコーン樹脂が、下記(A)~(C)成分
    (A)下記式(1)で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
    (R 6 3 SiO 1/2 2 (R 6 2 SiO 2/2 x (1)
    (式中、R 6 は、互いに同一または異種の置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~12のアリール基、または炭素原子数2~10のアルケニル基であるが、R 6 のうち1個以上は3,3,3-トリフルオロプロピル基である。xは、5~50,000の整数である。)
    (B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5~2.0モルに相当する量、および
    (C)ヒドロシリル化触媒
    を含有するものであり、
    上記表面処理吸湿性シリカ微粒子が、下記式(I)
    Si(OR 3 4 (I)
    (式中、R 3 は互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
    で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解・縮合することにより、SiO 2 単位を含む親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得た後、上記親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、下記式(II)
    1 Si(OR 4 3 (II)
    (式中、R 1 およびR 4 は上記と同じである。)
    で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加して、上記親水性球状シリカ微粒子の表面を処理することにより、上記親水性球状シリカ微粒子の表面にR 1 SiO 3/2 単位(式中、R 1 は上記と同じである。)を導入した第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を調製し、次いで、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液から上記親水性有機溶媒と水の一部を除去して濃縮することにより、第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得た後、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液に、下記式(III)
    2 3 SiNHSiR 2 3 (III)
    (式中、R 2 は上記と同じである。)
    で示されるシラザン化合物、下記式(IV)
    2 3 SiX (IV)
    (式中、R 2 およびXは上記と同じである。)
    で示される1官能性シラン化合物、またはこれらの混合物を添加し、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面を処理して上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面にR 2 3 SiO 1/2 単位(式中、R 2 は上記と同じである。)を導入した第二の表面処理シリカ微粒子を調製し、この第二の表面処理シリカ微粒子を熱処理して得られたものであって、その含水率が0.5質量%以下、かつ体積基準粒度分布におけるメジアン径が0.01~0.5μmであり、
    上記液状シリコーン樹脂の屈折率および上記表面処理吸湿性シリカ微粒子の屈折率が、いずれも1.380~1.383であり、
    シリコーン樹脂組成物全体に対する上記表面処理吸湿性シリカ微粒子の含有量が50~70質量%であって、
    硬化後の吸湿容量が4.0×10-5g/mm3以上である吸湿性シリコーン樹脂組成物。
  2. (B)成分が、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体である請求項1記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
  3. シリカ微粒子がゾルゲルシリカ微粒子である請求項1または2記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物。
  4. 請求項1~のいずれか1項記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物を製造する方法であって、下記式(I)
    Si(OR34 (I)
    (式中、R3は互いに同一または異種の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
    で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解・縮合することにより、SiO2単位を含む親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得た後、上記親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、下記式(II)
    1Si(OR43 (II)
    (式中、R1およびR4は上記と同じである。)
    で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加して、上記親水性球状シリカ微粒子の表面を処理することにより、上記親水性球状シリカ微粒子の表面にR1SiO3/2単位(式中、R1は上記と同じである。)を導入した第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を調製し、次いで、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液から上記親水性有機溶媒と水の一部を除去して濃縮することにより、第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液を得た後、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の混合溶媒濃縮分散液に、下記式(III)
    2 3SiNHSiR2 3 (III)
    (式中、R2は上記と同じである。)
    で示されるシラザン化合物、下記式(IV)
    2 3SiX (IV)
    (式中、R2およびXは上記と同じである。)
    で示される1官能性シラン化合物、またはこれらの混合物を添加し、上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面を処理して上記第一の表面処理球状シリカ微粒子の表面にR2 3SiO1/2単位(式中、R2は上記と同じである。)を導入した第二の表面処理シリカ微粒子を調製し、この第二の表面処理シリカ微粒子を熱処理して表面処理吸湿性シリカ微粒子を製造する工程を含む吸湿性シリコーン樹脂組成物の製造方法。
  5. 上記式(II)で示される3官能性シラン化合物の添加量が、親水性球状シリカ微粒子のSi原子1モル当り0.001~1モルである請求項4記載の製造方法。
  6. 上記式(III)で示されるシラザン化合物、上記式(IV)で示される1官能性シラン化合物またはこれらの混合物の添加量が、親水性球状シリカ微粒子のSi原子1モルあたり0.1~0.5モルである請求項4または5記載の製造方法。
  7. 第二の表面処理シリカ微粒子の熱処理温度が、220~260℃である請求項4~6のいずれか1項記載の製造方法。
  8. 請求項1~のいずれか1項記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物からなる有機EL素子用透明封止材。
  9. 請求項1~のいずれか1項記載の吸湿性シリコーン樹脂組成物の硬化物からなる有機EL素子用透明乾燥材。
  10. 請求項記載の有機EL素子用透明封止材を、有機EL素子上に塗布し、硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
  11. 請求項記載の有機EL素子用透明封止材をパネル内に充填した後、このパネル内へ有機EL素子を装入し、上記封止材を硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
  12. 請求項記載の有機EL素子用透明封止材を、有機EL素子を内部に有するパネル内に充填し、硬化させる有機EL素子用透明封止材の使用方法。
  13. 請求項記載の有機EL素子用透明乾燥材を、有機EL素子を内部に有するパネル内に配置する有機EL素子用透明乾燥材の使用方法。
  14. 請求項記載の有機EL素子用透明封止材によって封止された有機ELパネル。
  15. 請求項記載の有機EL素子用透明乾燥材を具備する有機ELパネル。
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