JP7302208B2 - 液体吐出装置及び駆動波形の制御方法 - Google Patents

液体吐出装置及び駆動波形の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体吐出装置及び駆動波形の制御方法に関する。
従来、液体吐出装置として、圧電素子に駆動波形を印加し、圧電素子の変形によりインク室内を加減圧してインク室の圧力を上下させることで、液体としてのインク滴を用紙などの対象物に向けて吐出させるインクジェット記録装置が知られている。
このようなインクジェット記録装置においては、吐出するインクの粘度が周囲温度により変化するため、装置内の所定の位置に設けたサーミスター等の手段にて温度検知をして、その検知温度で想定されるインク粘度に対応した駆動波形を出力する技術が既に知られている。
そして、温度変化による画質変動を押さえて高画質を実現するため、駆動波形をインクの温度変化に応じて変化させ、最適な吐出速度を維持する駆動波形の制御方法が開示されている。
しかしながら、従来の駆動波形制御方法では、インクの温度変化が連続的なのに対して、所定の温度刻みで駆動波形を不連続に切り替えている。そのため、切り替える前の駆動波形での吐出滴の体積と、切替後の駆動波形での吐出滴の体積とが比較的大きく変動することになり、印写画像の濃度ムラ発生の原因となっていた。また、一般にインクジェットヘッドは製造ばらつきに起因する吐出特性のばらつきを有しており(個別液室の共振周期など)、このばらつきの程度により、濃度ムラが顕著になる場合があった。特に、紙面上をヘッドがスキャンするシリアルプリンタにおいては、段差状の濃度ムラが発生して画質が低下するという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、環境温度によって吐出液体の粘度などの特性が変動することに対応して行われる、圧電素子の駆動波形を変更する制御において、紙面などの吐出対象面上における液体の濃度ムラ発生を抑制することができる液体吐出装置及び駆動波形の制御方法を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる液体吐出装置は、液体を吐出する複数のノズルを有し、吐出対象面に対して複数回のスキャンを行いながら液体を前記吐出対象面に吐出して前記吐出対象面上に画像を形成する記録ヘッドと、前記記録ヘッドから液体を吐出させながら前記記録ヘッドを主走査方向に移動し、前記記録ヘッドが液体を吐出した後に前記記録ヘッドを副走査方向に移動させる移動手段と、前記複数のノズルに対して各々駆動波形を印加する駆動波形印加手段と、前記記録ヘッドの近傍の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段が検出した温度に基づいて、駆動波形を補正する補正手段と、前記記録ヘッド近傍の温度が第1の温度から第2の温度に温度が変化した場合、前記複数回のスキャン中に、前記第2の温度に対応する第2の駆動波形の使用割合が前記第1の温度に対応する第1の駆動波形の使用割合に対して徐々に増加するように制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記吐出対象面を複数のスキャン領域に分割し、さらに各スキャン領域を複数のセル領域に分割し、前記複数回のスキャン中に、前記第2の駆動波形で液体が吐出されるセル領域が徐々に増加するように前記複数のノズルに対する駆動波形の変更を制御する。
本発明によれば、液体吐出装置において、検知温度に応じて駆動波形を切り替える際の、段差状の濃度ムラを軽減して画質を向上することができるという効果を奏する。
図1は、実施形態にかかる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置の一例の構成を透視して示す外観斜視図である。 図2は、前記インクジェット記録装置の内部機構を説明する装置側面図である。 図3は、前記インクジェット記録装置の制御部のハードウエア構成を示すブロック図である。 図4は、印刷制御部及びヘッドドライバの構成の一例を示すブロック図である。 図5は、インクジェット記録装置による作像の方法の説明図である。 図6は、記録ヘッドを駆動する波形についての説明図である。 図7は、印刷制御部の機能構成を示すブロック図である。 図8は、駆動波形補正の一例の説明図である。 図9は、駆動波形の制御方法の説明図である。 図10は、実施形態1の駆動波形制御の一例の流れを示すフロー図である。 図11は、実施形態1における駆動波形の切替制御の一例の説明図である。 図12は、実施形態1における駆動波形の切替制御の他の一例の説明図である。 図13は、実施形態2における駆動波形の切替制御の一例の説明図である。 図14は、実施形態2の駆動波形制御の一例の流れを示すフロー図である。 図15は、印刷制御部及びヘッドドライバの構成のその他の一例を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る液体吐出装置及び駆動波形の制御方法の実施の形態を詳細に説明する。本実施形態に係る液体吐出装置の一例としてインクジェット記録装置の一例について、図1及び図2を参照して説明する。図1はインクジェット記録装置を説明する斜視説明図であり、内部機構を透視して示している。また、図2は同記録装置の内部機構を説明する装置側面図である。
このインクジェット記録装置1では、記録装置本体1Aの内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部2等を収納している。記録装置本体1Aの下部には前方側から多数枚の用紙3を積載可能な給紙カセット4を抜き差し自在に装着することができる。また、用紙3を手差しで給紙するための手差しトレイ5が開倒自在に取り付けている。給紙カセット4あるいは手差しトレイ5から給送される用紙3を記録装置本体1A内に取り込み、印字機構部2によって所要の画像を記録した後、記録装置本体1Aの後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
印字機構部2では、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向に摺動自在に保持している。このキャリッジ13には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド14が装着されている。この記録ヘッド14には、その複数のインク吐出口(ノズル)が主走査方向と交差する方向に配列されている。また、この記録ヘッド14は、インク滴吐出方向が下向きとなるように装着されている。またキャリッジ13には、記録ヘッド14に各色のインクを供給するための各色のインクカートリッジ15が交換可能に装着されている。
インクカートリッジ15は、上部に大気と連通する大気口を有し、下部に記録ヘッド14にインクを供給する供給口を有し、内部にインクが充填された多孔質体を収納している。内部に収納され、記録ヘッド14に供給されるインクは、多孔質体の毛管力により、わずかな負圧に維持されている。また、記録ヘッドとして、ここでは各色毎の複数の記録ヘッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出する複数のノズルを有する1個の記録ヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ13は、その後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装し、その前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド12に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定している。したがって、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
一方、給紙カセット4にセットした用紙3を記録ヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25、及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ローラ24は副走査モータ49(図2参照)によってギヤ列27を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を記録ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材29を設けている。この印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32を設け、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33、及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35,36とを配設している。
記録時には、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を排紙する。
また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド14の吐出不良を回復するための回復装置37を配置している。回復装置37はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ13は印字待機中にはこの回復装置37側に移動される。そして、記録ヘッド14はキャッピング手段でキャッピングされる。このキャッピングにより、記録ヘッド14の吐出口部が湿潤状態に保たれるので、インク乾燥による記録ヘッド14の吐出不良が防止できる。また、回復装置37は、記録途中などに記録と関係しないインクを記録ヘッド14の吐出口から吸い出すことにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
液体吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド14の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去される。これにより記録ヘッド14の吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
次に、前記インクジェット記録装置1の制御部の概要について、図3のブロック図を参照して説明する。この制御部40は、この装置全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)41と、CPU41が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM(Read Only Memory)42と、画像データ等を一時格納するRAM(Random Access Memory)43と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ44と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行なう画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC(Application Specific Integrated Circuit)45とを備えている。
また、この制御部40は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行なうためのホストI/F46と、記録ヘッド14を駆動制御するためのデータ転送手段と駆動波形を生成する駆動波形生成手段を含む印刷制御部47と、キャリッジ13側に設けた記録ヘッド14を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC(Integrated Circuit))48と、主走査モータ17及び副走査モータ49を駆動するためのモータ駆動部50と、帯電ローラ51にAC(Alternating Current)バイアスを供給するACバイアス供給部52と、エンコーダセンサ53、54からの各検出信号、環境温度を検出する温度センサなどの各種センサからの検出信号を入力するためのI/O(Input/Output)55などを備えている。
また、この制御部40には、このインクジェット記録装置1に必要な情報の入力及び表示を行なうための操作パネル56が接続されている。ここで、制御部40は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの画像データ等をケーブル或いはLAN(Local Area Network)などのネットワークを介してホストI/F46で受信する。そして、制御部40のCPU41は、ホストI/F46に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC45にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ない、この画像データを印刷制御部47からヘッドドライバ48に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は後述するようにホスト側のプリンタドライバで行なっている。
印刷制御部47は、上述した画像データをシリアルデータでヘッドドライバ48に転送する。また、印刷制御部47は、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、滴制御信号(マスク信号)などをヘッドドライバ48に出力する。さらに、印刷制御部47は、ROM42に格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部及びヘッドドライバに与える駆動波形選択手段を含む。
そして、印刷制御部47は、一つの駆動パルス(駆動信号)あるいは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成して、ヘッドドライバ48に対して出力する。ヘッドドライバ48は、シリアルに入力される記録ヘッド14の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部48から与えられる駆動波形を構成する駆動信号を選択的に記録ヘッド14の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば、前述したような圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド14を駆動する。このとき、駆動波形を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴(大ドット)、中滴(中ドット)、小滴(小ドット)など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
また、CPU41は、リニアエンコーダを構成するエンコーダセンサ54からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ17に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部50を介して主走査モータ17を駆動する。
同様に、ロータリエンコーダを構成するエンコーダセンサ53からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて、副走査モータ49に対する駆動出力値(制御値)を算出する。この駆動出力値を、モータ駆動部50からモータドライバに出力し、モータドライバを介して副走査モータ49を駆動する。
次に、印刷制御部47及びヘッドドライバ48の一例について、図4を参照して説明する。
印刷制御部47は、上述したように、一つの印刷周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成して出力する駆動波形生成部61と、印刷画像に応じた画像データと、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、滴制御信号M0~M3を出力するデータ転送部62とを備えている。なお、前記駆動波形生成部61は各圧電素子14a毎に設けられる。また、滴制御信号は、ヘッドドライバ48の後述するスイッチ手段であるアナログスイッチ63の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号であり、駆動波形の印刷周期に合わせて選択すべき波形でHレベル(ON)に状態遷移し、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
ヘッドドライバ48は、データ転送部62からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/CH)を入力するシフトレジスタ64と、シフトレジスタ64の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路65と、階調データと制御信号M0~M3をデコードして結果を出力するデコーダ66と、デコーダ66のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ63が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ67と、レベルシフタ67を介して与えられるデコーダ66の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ63と、を備えている。
アナログスイッチ63は、各圧電素子14aの選択電極(個別電極)に接続され、各圧電素子14a毎に設けられている駆動波形生成部61からの駆動波形が入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と滴制御信号M0~M3をデコーダ66でデコードした結果に応じてアナログスイッチ63がオンにすることにより、駆動波形を構成する所要の駆動信号が通過して(選択されて)圧電素子14aに印加される。
以上の構成と制御方法により、記録ヘッド14からインクが吐出されて画像を形成する。
次に、本実施形態の一例であるインクジェット記録装置による作像の方法について、図5を参照して説明する。
作像の解像度には、画質、出力速度、紙種などにより、複数のモードが存在する。ここでは、一例として、画質を優先したモードの説明をする。画質を優先したモードの作像解像度は1200dpi(dot per inch)×1200dpiで構成されている(dpiは、1inchにいくつのドットを形成するかという解像度を表す単位である)。
一方で1ヘッド単位に形成されたノズル密度は300dpiであるため、ノズル列方向において1200dpiの解像度を得るには、ノズル列方向に1200dpiに相当する周期分をずらしながら、少なくとも4回分のヘッド走査を繰り返す必要がある。また、ヘッド走査方向の作像についても、作像の誤差分散のために2回に分けて行う。つまり、ある領域(ユニットセル)の作像を完了するには、「ノズル列方向に4回×主走査方向2回=8回」のヘッド走査を繰り返す必要がある。
実際の動作ではノズル毎の吐出ばらつきを拡散するために、図5のユニットセルは同一ノズルアレイで印字されるわけではなく、1走査が終わると所定の量だけヘッドがノズル列方向に移動して印字をすることになる。
次に、記録ヘッドを駆動する波形について、図6を参照して説明する。
駆動波形は、図4に示す印刷制御部47の駆動波形生成部(各圧電素子14a毎に設けられている)61で生成され、吐出するノズルと波形種類がヘッドドライバ48で選択されて、記録ヘッド14(図3参照)内部の圧電素子14aへ供給されるものである。また、温度センサ57(図3参照)で検知した温度に従って、制御部が駆動波形の種類を選択する。例えば、図6に示すように、一般に低温環境ではインクの粘度が高くなるために圧電素子への電圧を高めに入れる手段がとられるため、高温時の波形よりも電圧が高くなる。
上述のように、インクの粘度が環境温度の影響で変化するので、環境温度が変化に対応して、圧電素子を駆動するための駆動波形も変えていく必要がある。換言すれば、環境温度変化に応じて圧電素子の駆動波形を補正する必要がある。かかる補正を行なうことによりインクの吐出量と吐出速度を一定に保ち、紙面に記録される画像の劣化を抑制することができる。
本実施形態では、より詳細には、印刷制御部47において駆動波形信号Vcomxの波形を補正することによりインク吐出速度及びインク吐出量の変動を抑制している。
図7は、印刷制御部47の機能構成ブロック図である。印刷制御部47は、基準となる駆動波形データを予め格納し、出力する駆動波形テーブル71と、次周期で出力する画像データDD-1~DD-4を保持するとともに、この画像データを出力するデータ転送部62と、入力された画像データDD-1~DD-4に基づいて次周期における駆動ノズル数と次周期に出力される駆動波形信号Vcom1~Vcom4の組合せを出力する画素・Vcomカウント部72と、温度センサ57(図3参照)で検出される温度の入力値に基づいて駆動波形倍率補正値を算出し出力する駆動波形補正値算出部73と、入力された基準となる駆動波形を入力された駆動波形倍率補正値により補正して、駆動ノズル数及び駆動波形信号Vcom1~Vcom4の組合せに基づく駆動波形制御データDW1~DW4をヘッドドライバ48にそれぞれ出力する駆動波形補正部74と、を備えている。前記駆動波形テーブル71、画素・Vcomカウント部72、駆動波形補正値算出部73、および駆動波形補正部74は、前記駆動波形生成部(各圧電素子14a毎に設けられている)61を構成している。
具体的に、駆動波形補正値算出部73は、温度情報取得部731と、補正決定部732と、算出部733とを含む。RAM43は、各駆動波形に対応する駆動波形倍率補正値を設定した駆動波形補正テーブルを保持する。
温度情報取得部731は、温度センサ57が出力する温度値を入力することによりヘッド近傍の温度情報を取得する。
補正決定部732は、ヘッドの1走査ごとに、温度情報取得部731が初期値として取得したヘッド近傍の温度値と、温度情報取得部731が1走査後に取得したヘッド近傍の温度値とを比較し、温度差が閾値(例えば1℃)を超えた場合に駆動波形の補正を決定する。
算出部733は、補正決定部732により補正が決定されると、走査領域(例えば走査中のユニットセル)の残りの走査毎に駆動波形補正値を算出して出力する。図5で説明したモードのように各ユニットセルを複数回のヘッド走査により作像を完了する。従って算出部733は、走査領域(例えば走査中のユニットセル)の残りの走査毎に、記録ヘッドを構成する複数のノズルの圧電素子のうち駆動波形の補正を行う圧電素子を所定のアルゴリズムが示す順番で徐々に増やし、それらの駆動波形倍率補正値を駆動波形補正テーブルから取得して駆動波形補正部74に出力する。なお、ユニットセル番号や、各ユニットセル内の走査回数を示す情報などは、データ転送部62から出力される画像データに基づき画素・Vcomカウント部72が駆動ノズル数及び駆動波形信号Vcom1~Vcom4の組合せと共に駆動波形補正値算出部73に出力する。
次に、前記構成の印刷制御部47の駆動波形補正動作を説明する。なお、理解を容易にするために、ここでは繰り返しになる説明を適宜省略する。
データ転送部62は、保持していた次周期で出力する画像データDD-1~DD-4を画素・Vcomカウント部72に出力する。
画素・Vcomカウント部72は、入力された画像データDD-1~DD-4に基づいて次周期における駆動ノズル数と次周期に出力される駆動波形信号Vcom1~Vcom4の組合せを駆動波形補正値算出部73に出力する。また、画素・Vcomカウント部72は、ユニットセル番号や、各ユニットセル内の走査回数を示す情報などを、データ転送部62から出力される画像データに基づいて出力する。
駆動波形補正値算出部73は、駆動ノズル数及び駆動波形信号Vcom1~Vcom4を駆動波形補正部74に出力する。また、駆動波形補正値算出部73は、駆動波形倍率補正値を駆動波形補正部74に出力する。駆動波形補正値算出部73は、ヘッド近傍の温度が閾値を超えると、その後の残りの走査において、走査回数が増加するに従い、記録ヘッドを構成する複数のノズルの圧電素子の駆動波形を補正する数(駆動波形倍率が1を超える数)を増やす。
これにより、駆動波形補正部74は、駆動波形テーブル71から基準となる駆動波形データが入力すると、入力された駆動波形倍率補正値により補正して駆動波形制御データDW1~DW4としてヘッドドライバ48にそれぞれ出力する。
図8は、駆動波形補正の一例の説明図である。図8に示すように、駆動波形テーブル71から基準となる駆動波形データ(=駆動波形倍率=1)が入力されると、中間電位を一定としたまま、中間電位以外の部分に駆動波形倍率補正値を乗じて、駆動波形制御データDW1~DW4とする。図8の例の場合には、基準となる駆動波形データを駆動波形倍率補正値=1.2を乗じて駆動波形制御データDW1~DW4としている。この結果、電圧変動を抑制して、インク吐出速度及びインク吐出量の変動を抑制することとなっている。
本実施形態では、駆動波形の変更を決定してから駆動波形の変更が完了するまでに所定のプロセスを設定している。この駆動波形を変えていくプロセスが、駆動波形の補正時に生じる画像の濃度ムラを抑制することに寄与する。
従来の駆動波形の補正では、環境温度の変化が所定の閾値(例えば、1℃)を越えた場合に、駆動波形の変更が決定され、記録ヘッドの全てのノズルの駆動圧電素子の駆動波形が一斉に変更される。その結果、図9に示すように、駆動波形の変更前の記録画像における付着インク濃度と、駆動波形が変更された後の記録画像における付着インク濃度に視認され得る程度の濃度段差が生じる。
先に、図5を参照して説明したように、記録ヘッドのノズルから紙面上にインクを吐出して画像を形成する場合、例えば、紙面をユニットセルと呼ばれる幾つかの領域(図では8つの領域:ユニットセル1~8)に分割し、記録ヘッドによる記録スキャンを各ユニットセルについてそれぞれ8回行って作像が完了する。なお、このユニットセルの数および記録走査の回数は、記録する画像の解像度(例えば、1200dpi)と、記録に用いる記録ヘッドのノズル密度(例えば、300dpi)との関係から決定される。なお、上記記録スキャンとは記録ヘッドを対象の紙面に対してスキャンしながら記録ヘッドの複数のノズルから液体を吐出する動作を意味する。
本実施形態では、記録ヘッドが有するノズルの圧電素子の駆動波形の変更を決定した後の上記記録ヘッドによる記録走査において、一回目の記録スキャンから最後の8回目の記録スキャンまでの間で、記録ヘッドを構成する複数のノズルの圧電素子の駆動波形を変更決定前の第1の駆動波形から補正後の第2の駆動波形への変更数が徐々に増えるように制御し、最後の8回目の記録走査時には、全ての圧電素子において新たな駆動波形への変更を完了する。これによって、図9に示すように、本実施形態では、駆動波形の変更が決定された後に作成された画像における付着インクの濃度段差が視認できないレベルに抑制することができる。
本実施形態では、環境温度の変化に対応する記録ヘッドの複数のノズルの駆動素子(圧電素子)の駆動波形の変更を、画像形成時に行われる複数回の記録走査に比例させて徐々に行なう具体的な構成として、2つの例(実施形態1、実施形態2)を提案する。
(実施形態1)
駆動波形の変更プロセスの実施形態1を図5を参照して説明する。図5の例では、記録対象である紙面を1~8の領域(ユニットセル1~8)に分割し、各ユニットセルを記録ヘッドによりそれぞれ8回記録走査する。本実施形態では、各ユニットセル内をそれぞれ8つの領域(セル)に分割する。そして、第1回目のスキャンでは、各ユニットセル内のセル1をスキャンするノズルの圧電素子の駆動波形を新たな駆動波形で駆動する。続いて行なう第2回目のスキャンでは、前回のセル1をスキャンするノズルの圧電素子の駆動波形の変更に加えて、セル2をスキャンするノズルの圧電素子の駆動波形を変更する。続く第3回目のスキャンでは、さらにセル3をスキャンするノズルの圧電素子の駆動波形を変更する。このようにして、第8回目のスキャンでは、各ユニットセル1~8の各8つの全てのセル1~8をスキャンする圧電素子の駆動波形が新たな駆動波形に変更されることになる。その結果、図9に示すように、紙面上に作成された画像では、駆動波形の変更に伴う記録インクの濃度はスキャンの回数に随伴して徐々に変化するので、インク濃度の段差は視認できないレベルに抑制される。なお、上記実施形態1では、セルをスキャンするノズルの圧電素子の駆動波形の変更をセル1からセル8の順に従って変更しているが、この第2の駆動波形でスキャンするセル数の増加は、セル番号の昇順ばかりでなく降順でもよく、順不同であってもよい。要するに、第1回目のスキャンから第8回目のスキャンにかけて、複数のノズルの駆動波形が全数が第1の駆動波形で駆動する状態から全数が第2の波形で駆動される状態に徐々に移行できればよい。
図10は、上記実施形態1の駆動波形制御の流れを示すフロー図である。図10において、Nはユニットセル数を示し、iは現在のユニットセルを示し、jは各ユニット内のスキャン番目を示す。
印刷動作が開始されると、記録ヘッドの近傍温度が計測される(ステップS1)。続いて、検知温度を設定する(ステップS2)。次に、1スキャンの印字動作を実行する(ステップS3)。その後、記録ヘッドの近傍温度が計測され、前回の検知温度と違うか同じかを判断する(ステップS4)。この同じか違うかの判断は、例えば、温度差が1℃未満であるか、1℃以上であるかにより判断する。
計測温度が前回の検知温度と同じ場合、ステップS1に戻る。計測温度が前回の検知温度と違う場合、現在のユニットセルがNを超えているか(i>N)、N以下であるか(i≦N)を判断する(ステップS5)。現在のユニットセルがNを超えている(i>N)場合、印字残りがあるか否かを判断する(ステップS6)。印字残りがなければ、印刷動作を終了し、印字残りがある場合は、ステップS1に戻る。
ステップS5において、現在のユニットセルがN以下である(i≦N)と判断された場合、ユニットセル内のスキャン番がj以上(i≧j)であるか、j未満(i<j)であるかを判断する(ステップS7)。
ユニットセル内のスキャン番がiより大きい(i<j)場合、駆動波形の変更決定後の第1の駆動波形を駆動波形に設定する(ステップS8)。設定後、ステップS5に戻る。一方、ユニットセル内のスキャン番がi以下(i≧j)である場合は、駆動波形の変更決定前の第2の駆動波形を駆動波形に設定する(ステップS9)。設定後、ステップS5に戻る。
図10の制御フローに従うと図11のような駆動波形の切替制御となる。図11の「走査順」の項目は時間的に走査をする順番を表しており、各スキャンで駆動波形変更決定前の第1の駆動波形を使用するか駆動波形変更決定後の第2の駆動波形を使用するかを右側の灰色セルの表示で示している。また、「駆動波形変更決定後のユニット数」の項目は8回のユニットスキャンの、駆動波形変更決定後の数を示している。駆動波形変更決定後にユニットスキャンの中の駆動波形変更決定前と駆動波形変更決定後の第1の駆動波形の発生頻度が徐々に低下する構成となっている。なお、図10に示した制御フローは一例であり、駆動波形変更決定前後の第2の駆動波形の発生確率が徐々に増えている制御フローであれば、この制御フローでなくてもよい。
図12は、他の制御フローについて説明する図である。この制御フローでは、駆動波形変更決定後にユニットスキャンの中の駆動波形変更決定前と駆動波形変更決定後の第1の駆動波形の発生頻度が徐々に低下する構成となっており、さらに変更前の第1の駆動波形と変更後の第2の駆動波形を時間的に分散した例を示している。こうすることで、濃度段差部の濃度変動をより滑らかにできる。
(実施形態2)
駆動波形の変更プロセスの実施形態2では、例えば、吐出対象である紙面を1~8の領域(ユニットセル1~8)に分割し、各ユニットセルを記録ヘッドによりそれぞれ8回スキャンする。第1回目のスキャンでは、ユニットセル1からユニットセル8までスキャンするときの使用全ノズルの内の1/8の駆動波形を第2の駆動波形に変更する。第2回目のスキャンでは、ユニットセル1からユニットセル8をスキャンするときの全使用ノズルの内の2/8の駆動波形を第2の駆動波形に変更する。そして、第3回目のスキャンでは、ユニットセル1からユニットセル8をスキャンするときの全使用ノズルの内の3/8の駆動波形を第2の駆動波形に変更する。このようにして、第8回目のスキャンでは、ユニットセル1~8の全てのユニットセルをスキャンするときの全使用ノズルの駆動波形を全て第2の駆動波形に変更してスキャンを行なう。
図13に示す例では、8回のスキャンの第2回目のスキャンが完了した時点で、ヘッド近傍の温度測定に基づく駆動波形の変更が決定された場合の駆動波形の制御を示している。この場合は、第3回目のスキャンから全使用ノズルの内の第2の駆動波形で駆動するノズル数を増やし始め、最後の第8のスキャンでは、全ノズルが第2の駆動波形で駆動するように制御する。駆動波形を変更するノズルの順序は、ノズルの配列順(昇順および降順)であってもよいし、ランダムであっても良い。要するに、第1回目のスキャンから第8回目のスキャンにかけて、複数のノズルの駆動波形が全数が第1の駆動波形で駆動する状態から全数が第2の波形で駆動される状態に徐々に移行できればよい。
図14は、上記実施形態2の駆動波形制御の流れを示すフロー図である。図14において、Nは作像完了までに必要な全スキャン回数を示し、iは現在のスキャン番目を示す。
印刷動作が開始されると、記録ヘッドの近傍温度が計測される(ステップS10)。続いて、検知温度を設定する(ステップS11)。次に、1スキャンの印字動作を実行する(ステップS12)。その後、記録ヘッドの近傍温度が計測され、前回の検知温度と違うか同じかを判断する(ステップS13)。この同じか違うかの判断は、例えば、温度差が1℃未満であるか、1℃以上であるかにより判断する。
計測温度が前回の検知温度と同じ場合、ステップS10に戻る。計測温度が前回の検知温度と違う場合、現在のスキャンi(回数番)がNを超えているか(i>N)、N以下であるか(i≦N)であるかを判断する(ステップS14)。現在のスキャンiがNを超えている(i>N)場合、印字残りがあるか否かを判断する(ステップS15)。印字残りがなければ、印刷動作を終了し、印字残りがある場合は、ステップS10に戻る。
ステップS14において、現在のスキャンi(回数番)がN以下である(i≦N)と判断された場合、i/Nのノズルに第2の駆動波形を設定(ステップS16)し、残りのノズルには第1の駆動波形を設定したままにする(ステップS17)。次に、1スキャンの印刷動作を実行(ステップS18)し、印字残りがあるか否かを判断する(ステップS19)。印字残りがなければ、印刷動作を終了し、印字残りがある場合は、スキャン番目を一つ増やして(i=i+1)、ステップS14に戻る。
上記実施形態2の駆動波形の制御方法によっても、先に説明した実施形態1の駆動波形の制御方法による効果と同様の効果を得ることができる。
(印刷制御部及びヘッドドライバについてのその他の実施例)
図15は、印刷制御部及びヘッドドライバの構成のその他の一例を示す図である。図15に示すコントローラ90とヘッド駆動部80とが印刷制御部及びヘッドドライバに対応する。
ヘッド駆動部80は、記録ヘッドに設けられたN個のノズルに対応するN個の圧電素子5(5-1~5-N)を駆動する構成である。ヘッド駆動部80により、記録ヘッドの1ノズル列分の圧電素子5が駆動される。
各圧電素子5は、それぞれ駆動波形を伝達するFPC基板を介して、一方の電極が他の圧電素子5とともに共通電位(例えばグランド)に接続され、他方の電極がそれぞれヘッド駆動部80に接続される。
ヘッド駆動部80は、1つあるいは複数の集積回路で構成され、そのうち少なくとも圧電素子5に接続する部分はFPC基板に設置されている。ヘッド駆動部80は、コントローラ90から転送されるデータに基づき、各ノズルから適切な状態でインク滴が吐出されるように、各ノズルに対応する圧電素子に対して最適な駆動波形を個別に生成して、各圧電素子5を駆動する。
なお、ヘッド駆動部80は、記録ヘッドと一体に設けることができる。
コントローラ90は、印刷する画像データをそれぞれの記録ヘッド、ノズル列に対応する画像データに分離して、ヘッド駆動部80に転送する。また、コントローラ90は、ヘッド駆動部80で駆動波形を生成する際に使用する基本駆動波形情報や駆動波形補正情報をヘッド駆動部80に転送して設定する機能や、ヘッド駆動部80に各種制御信号を供給する機能を持つ。
ヘッド駆動部80は、図15に示すように、シフトレジスタ81、ラッチ82、駆動波形生成部83(83-1~83-N)、基本駆動波形情報保持部84、駆動波形補正情報保持部85、および制御部86を備える。
コントローラ90からヘッド駆動部80に対しては、記録ヘッドの1行分のデータに相当するN個の画像データSDIが、転送クロックSCKに同期してシリアルに入力される。シリアルに入力されるN個の画像データは、シフトレジスタ81に順次保持される。ここで、記録ヘッドのノズルから例えば大滴、中滴、小滴、吐出なしの4値の大きさの異なるドットに対応するインク滴を吐出させるものとすると、1個の画像データは2ビットのデータである。
ラッチ82は、一旦シフトレジスタ81に保持されたN個の画像データを、ラッチイネーブル信号LENの入力により保持するN個のラッチであり、1つあたり2ビットのデータ(D1~DN)を保持し、それぞれ対応する駆動波形生成部83に供給する。
駆動波形生成部83は、N個の圧電素子5-1~5-Nをそれぞれ個別に駆動するための駆動波形を生成するものであり、圧電素子5-1~5-Nのそれぞれに対応させたN個の駆動波形生成部83-1~83-Nを備える。i番目(ここでiは1~N)のチャンネルである駆動波形生成部83-iは、ラッチ82からラッチイネーブル信号LENに同期して2ビットの画像データDiが供給されると、基本駆動波形情報保持部84に保持されている基本駆動波形情報と、駆動波形補正情報保持部85に保持されている補正情報とを参照し、ラッチイネーブル信号LENを開始基準として駆動波形を生成して圧電素子5-iへ供給する。
基本駆動波形情報保持部84には、ノズルごと(チャンネルごと)の補正情報を含まない基本駆動波形の情報である基本駆動波形情報が、例えば大滴、中滴、小滴、吐出なしといった大きさの異なるドットごとの駆動波形として保持されている。駆動波形生成部83-iは、基本駆動波形情報保持部84が保持するこれらの基本駆動波形情報のうち、ラッチ82から供給される画像データDiに応じた基本駆動波形情報(例えば画像データDiが大滴を表すデータであれば、大滴用の基本駆動波形情報)を取得する。なお、基本駆動波形情報の詳細は後述する。
また、駆動波形補正情報保持部85には、基本駆動波形情報を補正するための補正情報が、ノズルごと(チャンネルごと)に保持されている。駆動波形生成部83-iは、駆動波形補正情報保持部85が保持するこれらの補正情報のうち、i番目のチャンネルに対応する補正情報を取得する。そして、駆動波形生成部83-iは、基本駆動波形情報保持部84から取得した基本駆動波形情報を、駆動波形補正情報保持部85から取得した補正情報を用いて補正することにより、i番目のチャンネルの駆動に最適な駆動波形を生成して圧電素子5-iに供給する。
制御部86は、ヘッド駆動部80全体の制御を行う。また、制御部86は、コントローラ90との間で通信を行う機能を有し、例えば、上述した基本駆動波形情報や補正情報をコントローラ90から受信して、基本駆動波形情報保持部84や駆動波形補正情報保持部85に設定したり、情報を更新したりといった処理を行う。ノズルごとに保持される補正情報は、コントローラ90または制御部36が走査回数ごとに駆動波形倍率補正値を適宜算出して設定する。
次に、駆動波形生成部83の詳細構成について説明する。駆動波形生成部83(83-1~83-N)は、図15に示すように、充放電信号生成部91とドライバ部92とを備える。
充放電信号生成部91は、画像データDi、基本駆動波形情報、補正情報、および波形生成開始基準としてのラッチイネーブル信号LENとから、圧電素子5に対する充電のタイミングと時間を制御する充電信号upと、圧電素子5に対する放電のタイミングと時間を制御する放電信号dnとを生成する。
ドライバ部92は、充放電信号生成部91が生成した充電信号upに従って圧電素子5に対して充電を行い、充放電信号生成部91が生成した放電信号dnに従って圧電素子5に対して放電を行う。
ドライバ部92を以上のような構成とすることで、充電信号upおよび放電信号dnがアクティブになるタイミングと期間を制御することにより、圧電素子5に印加される電圧Vp(すなわち駆動波形)を任意の波形形状に制御することができる。ここで、駆動波形生成部83(83-1~83-N)は、N個の圧電素子5-1~5-Nに対してそれぞれ個別に設けられているので、各圧電素子5に対してそれぞれ最適な駆動波形で駆動できるようになる。すなわち、各ノズルのノズル形状やインク流路構造、圧電素子特性、スイッチング素子特性、温度特性などのばらつきにより、インク滴量や着弾位置にばらつきが生じたとしても、これらのばらつきが小さくなるようにそれぞれ駆動波形を補正することができ、画像品質の劣化が抑制できる。
また、ヘッド駆動部80のうち、高耐圧プロセスで構成する必要のある、電源(電圧値Vh)に接続されて動作する回路はドライバ部92のみ(図15中の一点鎖線で囲んだA部内)であり、その他は例えばコア電圧1Vといった低耐圧プロセスで構成できる。また、従来用いられている駆動波形生成回路では、駆動波形の生成・駆動のためにDAコンバータや電圧あるいは電流アンプが必要であり、集積化したとしてもこれらのサイズが非常に大きくなってしまう。これに対して本実施形態では、図15に示したように非常に簡便な構成で圧電素子5の駆動を実現できるので、駆動波形生成部83をノズルごとに複数個備えたとしても、記録ヘッドに設置するのに十分なチップサイズの集積回路として実現可能である。なお、従来の記録ヘッドにおいても各圧電素子に対して少なくとも1対の双方向スイッチング素子が設けられており、双方向スイッチング素子に流れる電流の向きは双方向であるため通常少なくとも2つ以上のトランジスタで構成されている。つまり、本実施形態のように各圧電素子5に対応した複数の駆動波形生成部83を設けた構成であっても、従来の記録ヘッドと比較してチップサイズが増大することはない。従って、装置の大型化や、消費電力の増大、コストアップなどを招くこともない。
各実施形態の液体吐出装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、各実施形態の液体吐出装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、各実施形態の液体吐出装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。
また、各実施形態の液体吐出装置のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
なお、各実施形態の液体吐出装置は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用しても良いし、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置のいずれにも適用して良い。
11 主ガイドロッド(移動手段)
12 従ガイドロッド(移動手段)
13 キャリッジ(移動手段)
14 記録ヘッド
41 CPU(制御手段)
48 ヘッドドライバ(駆動波形印加手段)
56 温度センサ(温度検出手段)
71 駆動波形テーブル(補正手段)
73 駆動波形補正値算出部(補正手段)
74 駆動波形補正部(補正手段)
特開2004-106253号公報 特開2011-131429号公報 特許第2887012号公報

Claims (8)

  1. 液体を吐出する複数のノズルを有し、吐出対象面に対して複数回のスキャンを行いながら液体を前記吐出対象面に吐出して前記吐出対象面上に画像を形成する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドから液体を吐出させながら前記記録ヘッドを主走査方向に移動し、前記記録ヘッドが液体を吐出した後に前記記録ヘッドを副走査方向に移動させる移動手段と、
    前記複数のノズルに対して各々駆動波形を印加する駆動波形印加手段と、
    前記記録ヘッドの近傍の温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段が検出した温度に基づいて、駆動波形を補正する補正手段と、
    前記記録ヘッド近傍の温度が第1の温度から第2の温度に温度が変化した場合、前記複数回のスキャン中に、前記第2の温度に対応する第2の駆動波形の使用割合が前記第1の温度に対応する第1の駆動波形の使用割合に対して徐々に増加するように制御する制御手段と、
    を備え
    前記制御手段は、前記吐出対象面を複数のスキャン領域に分割し、さらに各スキャン領域を複数のセル領域に分割し、前記複数回のスキャン中に、前記第2の駆動波形で液体が吐出されるセル領域が徐々に増加するように前記複数のノズルに対する駆動波形の変更を制御する液体吐出装置。
  2. 前記制御手段は、前記複数のスキャン領域の数および前記複数のセル領域の数を前記画像の解像度と前記記録ヘッドのノズル密度とに基づいて決定する請求項に記載の液体吐出装置。
  3. 前記制御手段は、前記吐出対象面を複数のスキャン領域に分割し、これら複数のスキャン領域を複数回に亘ってスキャンするに当たって、スキャン回数の増加に比例して使用する全ノズルの内の前記第2の駆動波形で駆動されるノズルの割合を徐々に増加するように前記複数のノズルに対する駆動波形の変更を制御する請求項1に記載の液体吐出装置。
  4. 前記制御手段は、前記記録ヘッド近傍の温度が前記第1の温度から前記第2の温度に変化した後に、前記複数のノズルの全数に適用される駆動波形が前記第2の駆動波形に切り替わるまでの複数のスキャンにわたって、前記第2の駆動波形の使用割合が第1の駆動波形の使用割合に対して徐々に増加するように制御する請求項1に記載の液体吐出装置。
  5. 前記制御手段は、前記複数のノズルに対して印可される駆動波形が、前記第1の駆動波形から前記第2の駆動波形に徐々に移行するように制御し、
    前記温度検出手段は、前記複数のノズルに対して印可される駆動波形が、記第1の駆動波形から前記第2の駆動波形に移行する間に温度を検知しない、請求項1に記載の液体吐出装置。
  6. 液体を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドを用いて、吐出対象面に対して複数回のスキャンを行いながら液体を前記吐出対象面に吐出して前記吐出対象面上に画像を形成する工程と、
    前記記録ヘッドから液体を吐出させながら前記記録ヘッドを主走査方向に移動し、前記記録ヘッドが液体を吐出した後に前記記録ヘッドを副走査方向に移動させる工程と、
    前記複数のノズルに対して各々駆動波形を印加する工程と、
    前記記録ヘッドの近傍の温度を検出する工程と、
    前記検出した温度に基づいて、駆動波形を補正する工程と、
    前記記録ヘッド近傍の温度が第1の温度から第2の温度に温度が変化した場合、前記複数回のスキャン中に、前記第2の温度に対応する第2の駆動波形の使用割合が前記第1の温度に対応する第1の駆動波形の使用割合に対して徐々に増加するように制御する工程と、
    を含み、
    前記制御する工程は、前記吐出対象面を複数のスキャン領域に分割し、さらに各スキャン領域を複数のセル領域に分割し、前記複数回のスキャン中に、前記第2の駆動波形で液体が吐出されるセル領域が徐々に増加するように前記複数のノズルに対する駆動波形の変更を制御する駆動波形の制御方法。
  7. 前記制御する工程は、前記複数のスキャン領域の数および前記複数のセル領域の数を前記画像の解像度と前記記録ヘッドのノズル密度とに基づいて決定する請求項6に記載の駆動波形の制御方法。
  8. 前記制御する工程は、前記吐出対象面を複数のスキャン領域に分割し、これら複数のスキャン領域を複数回に亘ってスキャンするに当たって、スキャン回数の増加に比例して使用する全ノズルの内の前記第2の駆動波形で駆動されるノズルの割合を徐々に増加するように前記複数のノズルに対する駆動波形の変更を制御する請求項に記載の駆動波形の制御方法。
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