JP4487538B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

この発明は、複数のインク吐出部からインクを吐出して媒体上に画素を形成することにより印刷する印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法に関する。
複数のインク吐出部からインクを吐出して媒体上に画素を形成することにより印刷を行う印刷装置として、例えばインクジェット方式のプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。インクジェット方式のプリンタにあっては、各インク吐出部からインクを吐出させるための駆動信号が、基準タイミング信号をトリガとして各インク吐出部に供給されて媒体に画素が形成される。そして、各インク吐出部から吐出されたインクにて形成される複数の画素により画像が印刷される。このため、媒体上に形成される各画素の位置は、画素を形成すべき目標位置に、正確に形成されることが望ましい。
また、同一の駆動信号にて同一目標位置に画素形成すべく、異なるインク吐出部からインクを吐出しても、インク吐出部のインク吐出特性、及び、吐出するインクの特性の相違により、形成される画素の位置が異なる場合がある。このため、形成される画素の位置を調整するために、各インク吐出部に供給する駆動信号のタイミングを画素単位で変更することにより、画素ピッチとほぼ等しい分解能にて、形成される画素の位置を変更している。
特開2000−318146号公報
しかしながら、前述したように画素が形成される位置を、画素ピッチとほぼ等しい分解能にて変更する場合には、画素ピッチより小さなズレに対して、形成される画素の位置を適切に調整することができないという課題がある。
この発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、各インク吐出部にて形成される画素の位置を画素ピッチより高い分解能にて調整可能な印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法を提供することを目的とする。
主たる発明は、複数のインク吐出部を備えて所定方向に移動可能な移動体と、1つの画素を形成することが可能な期間内に前記インク吐出部から複数回インク滴を吐出させて、各々のインク滴にてドットを形成可能とするためのドット形成信号を複数有する駆動信号を、前記ドット形成信号を個々に変更することにより複数種類生成する駆動信号生成回路と、を有し、前記移動体が移動しつつ、基準タイミング信号をトリガとして前記駆動信号生成回路から供給される駆動信号に基づいて、前記複数のインク吐出部から各々インクを吐出して媒体に画素を形成する印刷装置において、前記インク吐出部から吐出したインクにて形成されるべき画素の目標位置と、当該インク吐出部からインクが吐出されて形成される画素の位置とのズレ量に基づいて、前記供給される駆動信号を、複数種類の前記駆動信号から選択するとともに、前記インク吐出部は、インクを吐出して異なるサイズの複数種類のドットを形成可能であり、変更する前記ドット形成信号は、前記複数種類のドットのうち、最小サイズのドットを形成するための前記ドット形成信号のみであることを特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明確にする。
本発明によれば、各インク吐出部にて形成される画素の位置を画素ピッチより高い分解能にて調整可能な印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法を実現することが可能である。
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
複数のインク吐出部を備えて所定方向に移動可能な移動体を有し、前記移動体が移動しつつ、基準タイミング信号をトリガとして供給される駆動信号に基づいて、前記複数のインク吐出部から各々インクを吐出して媒体に画素を形成する印刷装置において、前記インク吐出部から吐出したインクにて形成されるべき画素の目標位置と、当該インク吐出部からインクが吐出されて形成される画素の位置とのズレ量に基づいて、前記駆動信号を変更することを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、画素が形成されるべき目標位置と、インク吐出部からインクが吐出されて形成される画素の位置とのズレ量に基づいて、駆動信号を変更するので、前記ズレ量に応じて、駆動信号を変更することが可能である。また、駆動信号を変更するため、1つの画素を形成する期間内において、インクを吐出させるタイミングを変更することも可能である。このため、画素と画素との間隔、所謂画素ピッチより小さな高い分解能にて画素を形成する位置を変更することが可能である。よって、インク吐出部から吐出されたインクにて、目標位置により精度良く画素を形成することが可能であるため、良好な画像を印刷することが可能である。
かかる印刷装置において、前記目標位置は、異なるインク吐出部から吐出されたインクにて形成された画素の位置であることが望ましい。
このような印刷装置によれば、各インク吐出部から吐出されたインクにより形成される画素同士の位置を一致させることが可能である。
かかる印刷装置において、前記移動体は往復移動可能であり、前記目標位置は、前記移動体の往路にて所定の前記インク吐出部から吐出されたインクにて形成された画素の位置であり、前記移動体の復路にて前記所定のインク吐出部から吐出されたインクにて形成された画素の位置を調節すべく前記駆動信号を変更することが望ましい。
このような印刷装置によれば、移動体が往復移動しつつ、その往路、及び、復路にてそれぞれ画素を形成しても、同じインク吐出部から吐出するインクにて、往路で形成する画素と、復路で形成する画素とをいずれも目標位置に形成することが可能である。このため、移動体の移動方向が異なる移動動作中において、往路にて形成される画素の位置と、復路にて形成される画素の位置とを一致させることが可能であるため、良好な画像を印刷することが可能である。また、往路、復路のいずれの移動動作においても印刷するので、良好な画像を短時間にて印刷することが可能である。
かかる印刷装置において、前記駆動信号は、1つの前記画素を形成することが可能な期間内に前記インク吐出部から複数回インク滴を吐出させて、各々のインク滴にてドットを形成可能とするためのドット形成信号を複数有し、前記ドット形成信号を個々に変更可能であることが望ましい。
このような印刷装置によれば、画素を形成する複数のドットのうち、いずれかのドットの位置のみ変更することが可能である。すなわち、1つの画素を構成するドットの位置を各々より高い精度にて調整して印刷することが可能である。
かかる印刷装置において、前記ドット形成信号は、前記基準タイミング信号をトリガとして、前記インク滴を複数回吐出させるために複数回出力される吐出タイミング信号に基づいて供給され、前記駆動信号を変更することにより、各々の前記吐出タイミング信号が供給されてからインクが吐出されるまでの時間が変更されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、各々の吐出タイミング信号が供給されてからインクが吐出されるまでの時間が変更されるので、1つの画素を形成する複数のドットを各々形成するための各吐出タイミング信号を基準として、それぞれ正確に且つ確実に変更することが可能である。
かかる印刷装置において、前記インク吐出部は、前記ドット形成信号が所定の電位に保たれた状態から変化することによりインクを吐出し、前記ドット形成信号が供給されてからインクが吐出されるまでの時間は、前記ドット形成信号が所定の電位に保たれた状態から変化し始めるタイミングを調節することにより変更されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、ドット形成信号が所定の電位に保たれた状態から変化し始めるタイミングを調節するので、インクを吐出させるための電位の変化を保ったままで、ドットが形成される位置のみを変更することが可能である。
かかる印刷装置において、前記インク吐出部は、前記電位の変化に基づいて、インクを引き込む引込動作、及び、インクを押し出す押出動作にてインクを吐出し、前記引込動作と、前記押出動作とを規定するための電位パターンを維持しつつ、電位が変化し始める前記タイミングを調節することが望ましい。
このような印刷装置によれば、引込動作と、押出動作とを規定するための電位パターンを維持しつつ、電位が変化し始めるタイミングを調節するので、インクが吐出するタイミングが変更されても、電位パターンが維持されており、インクの吐出量が変わることなくインクの吐出タイミングを変更することが可能である。
かかる印刷装置において、前記駆動信号を変更することにより、ドットを形成する前記インク吐出部から吐出されるインクの量が変更されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、インクの吐出量が変更されるので、インクの量が多い場合には重量が大きいため早く媒体に到達し、インクの量が少ない場合には重量が小さいため遅く媒体に到達することになる。このため、吐出されるインクの量を変更することにより、ドットが形成される位置を調整し、ズレ量を小さくすることが可能である。
かかる印刷装置において、前記インク吐出部から吐出されるインクの量は、前記ドット形成信号における最高電位を調節することにより変更されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、ドット形成信号における最高電位を調節することにより、容易に且つ、確実にインクの吐出量を変更することが可能である。
かかる印刷装置において、前記インク吐出部は、インクを吐出して異なるサイズの複数種類のドットを形成可能であり、変更する前記ドット形成信号は、前記複数種類のドットのうち、最大サイズのドットを除くドットを形成するための前記ドット形成信号であることが望ましい。
最大サイズのドットは、サイズが大きいため、形成される位置にズレが生じても、画質への影響は小さいが、最大サイズのドットを除くドットは、画像の低階調部分に形成されることが多く、低階調部分に形成されたドットの位置にズレが生じると、形成される画像の色調が異なったり粒状性が目立つ場合があり、画質が低下する場合がある。上記印刷装置によれば、低階調部分に形成される、最大サイズのドットを除くドットを形成するドット形成信号を変更するので、低階調部分を有する画像を良好に印刷することが可能である。
かかる印刷装置において、前記複数のインク吐出部は、同色において濃度が異なるインクを含む複数色のインクを色ごとに吐出可能であり、前記同色において濃度が異なるインクのうち、濃度が低いインクにて形成される画素のズレ量が小さくなるように、前記駆動信号を変更することが望ましい。
濃度が低いインクにより形成されるドットは、画像の低階調部分に形成されることが多く、低階調部分に形成されたドットの位置にズレが生じると、形成される画像の色調が異なったり、粒状性が目立つことがあり、画質が低下する場合がある。上記印刷装置によれば、低階調部分に形成される濃度が低いインクによるドットを形成するドット形成信号を変更するので、低階調部分を有する画像を良好に印刷することが可能である。
かかる印刷装置において、前記インク吐出部は、インクを吐出するための駆動素子を有し、前記駆動信号は、前記駆動素子の固有振動周期に基づいて変更されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、駆動素子の固有振動周期に基づいて駆動信号が変更されるので、変更された駆動信号に基づいて駆動素子をなめらかに効率よく動作させ、所望のタイミングにてインクを吐出させることが可能である。
かかる印刷装置において、異なる前記駆動信号を生成するための駆動信号情報を、前記ズレ量に対応させて複数有し、前記ズレ量に基づいて前記駆動信号情報のうち一の前記駆動信号情報が選択され、選択された前記駆動信号情報に基づいて生成された駆動信号が供給されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、駆動信号情報をズレ量に対応させて複数有し、ズレ量に基づいて選択された駆動信号情報に基づいて駆動信号が生成されるので、制御が容易であり制御部等に対する負担が低減されるため、スループットを低下させずに良好な画像を印刷することが可能である。
また、複数のインク吐出部を備えて所定方向に移動可能な移動体を有し、前記移動体が移動しつつ、基準タイミング信号をトリガとして供給される駆動信号に基づいて、前記複数のインク吐出部から各々インクを吐出して媒体に画素を形成する印刷装置において、前記インク吐出部は、インクを吐出して異なるサイズの複数種類のドットを形成可能であり、前記複数のインク吐出部は、同色において濃度が異なるインクを含む複数色のインクを色ごとに吐出可能であり、前記駆動信号は、1つの前記画素を形成することが可能な期間内に前記インク吐出部から複数回インク滴を吐出させて、各々のインク滴にてドットを形成可能とするためのドット形成信号を複数有し、前記ドット形成信号は個々に変更可能であり、前記ドット形成信号は、前記基準タイミング信号をトリガとして、前記インク滴を複数回吐出させるために複数回出力される吐出タイミング信号に基づいて供給され、前記インク吐出部は、前記電位の変化に基づいて、インクを引き込む引込動作、及び、インクを押し出す押出動作にてインクを吐出するための駆動素子を有し、異なるインク吐出部から吐出されたインクにて形成された画素の位置を目標位置として、当該インク吐出部からインクが吐出されて形成される画素の位置とのズレ量に基づいて、前記複数種類のドットのうち、最大サイズのドットを除くドットを形成するための前記ドット形成信号、及び、前記同色において濃度が異なるインクのうち、濃度が低いインクにて形成される画素を形成するための前記ドット形成信号の、前記インク吐出部の前記引込動作と、前記押出動作とを規定するための電位パターンを維持しつつ、前記ドット形成信号が供給されてから、前記ドット形成信号が所定の電位に保たれた状態から変化し始めるタイミングを、前記駆動素子の固有振動周期に基づいて調節するための駆動信号情報を、前記ズレ量に対応させて複数有し、前記ズレ量に基づいて前記駆動信号情報のうち一の前記駆動信号情報が選択され、選択された前記駆動信号情報に基づいて生成された駆動信号が供給されることを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、上述した効果を奏するため、本発明の目的を最も有効に達成することが可能である。
また、複数のインク吐出部を備えて所定方向に移動可能な移動体を有し、前記移動体が移動しつつ、基準タイミング信号をトリガとして供給される駆動信号に基づいて、前記複数のインク吐出部から各々インクを吐出して媒体に画素を形成する印刷装置に、前記インク吐出部から吐出したインクにて形成されるべき画素の目標位置と、当該インク吐出部からインクが吐出されて形成される画素の位置とのズレ量に基づいて、前記駆動信号を変更する機能を実現させるためのコンピュータプログラムも実現可能である。
また、コンピュータ本体と、このコンピュータ本体と接続され、複数のインク吐出部を備えて所定方向に移動可能な移動体を有し、前記移動体が移動しつつ、基準タイミング信号をトリガとして供給される駆動信号に基づいて、前記複数のインク吐出部から各々インクを吐出して媒体に画素を形成する印刷装置と、を備えた印刷システムにおいて、前記インク吐出部から吐出したインクにて形成されるべき画素の目標位置と、当該インク吐出部からインクが吐出されて形成される画素の位置とのズレ量に基づいて、前記駆動信号を変更することを特徴とする印刷システムも実現可能である。
また、所定方向に移動可能な移動体に備えられたインク吐出部から吐出したインクにて形成されるべき画素の目標位置と、前記移動体が移動しつつ当該インク吐出部からインクが吐出されて形成される画素の位置とのズレ量に基づいて、前記複数のインク吐出部からインクを吐出するための駆動信号を選択するステップと、基準タイミング信号をトリガとして供給される、選択した前記駆動信号に基づいて、前記複数のインク吐出部から各々インクを吐出して媒体に画素を形成するステップとを有することを特徴とする印刷方法も実現可能である。
===印刷装置の全体構成===
図1〜図4は、本発明における印刷装置としてのインクジェットプリンタの一実施形態を説明するための図である。図1は、本実施形態のインクジェットプリンタの外観を示す図、図2は、インクジェットプリンタの構成を示すブロック図、図3は、インクジェットプリンタのキャリッジ及びその周辺部を示す図、図4は、インクジェットプリンタの搬送部及びその周辺部を示す図である。
図1に示すように、インクジェットプリンタ(以下、プリンタという)1は、背面から供給された印刷用紙等の媒体を前面から排出する構造を備えており、その前面部には操作パネル2および排紙部3が設けられ、その背面部には給紙部4が設けられている。操作パネル2には、各種操作ボタン5および表示ランプ6が設けられている。また、排紙部3には、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー7が設けられている。給紙部4には、カット紙(図示しない)を保持する給紙トレー8、媒体ユニットとしてのロール紙ユニット30を保持するロール紙ユニットホルダ35、36が備えられている。
図2に示すように、プリンタ1は、その主要部として、紙搬送ユニット10と、インク吐出ユニット20と、キャリッジ駆動ユニット40と、計測器群50と、コントローラ60とを備えている。
紙搬送ユニット10は、印刷用紙等の媒体を印刷可能な位置に搬送し、印刷動作時に所定の搬送方向(図2において紙面に垂直な方向)に所定の移動量にて間欠的に搬送する搬送機構として機能する。紙搬送ユニット10は、図4に示すように、薄手の印刷用紙等を挿入するための紙挿入口11A及びロール紙や厚手の印刷用紙等を挿入するための挿入口11Bと、給紙モータ(不図示)と、給紙ローラ13と、プラテン14と、紙搬送モータ(以下、PFモータという)15と、紙搬送モータドライバ(以下、PFモータドライバという)16と、搬送ローラ17Aと排紙ローラ17Bと、フリーローラ18Aとフリーローラ18Bとを有する。ただし、紙搬送ユニット10が搬送機構として機能するためには、必ずしも、これらの構成要素を全て要するというわけではない。
給紙モータ(不図示)は、紙挿入口11Aに挿入された印刷用紙をプリンタ1内に搬送するモータであり、パルスモータで構成される。給紙ローラ13は、紙挿入口11Aから挿入された紙をプリンタ1内に搬送するローラであり、給紙モータによって駆動される。一方、紙挿入口11Bからはロール紙や、厚手の印刷用紙がプリンタ1の操作者により挿入される。
PFモータ15は、図2および図4に示すように、媒体である例えば印刷用紙を紙搬送方向に送り出すモータであり、DCモータで構成される。PFモータドライバ16は、PFモータ15を駆動するためのものである。搬送ローラ17Aは、給紙ローラ13によってプリンタ内に搬送された印刷用紙を印刷可能な領域まで送り出すローラであり、PFモータ15によって駆動される。フリーローラ18Aは、搬送ローラ17Aと対向する位置に設けられ、印刷用紙を搬送ローラ17Aとの間に挟むことによって印刷用紙を搬送ローラ17Aに向かって押さえる。紙挿入口11Bから挿入されたロール紙や、厚手の印刷用紙は、その先端が後述する搬送ローラ17Aとフリーローラ18Aとに挟持されるべく挿入された後に、上述したように搬送ローラ17Aにて搬送される。
排紙ローラ17Bは、印刷が終了した印刷用紙をプリンタの外部に排出するローラである。排紙ローラ17Bは、不図示の歯車により、PFモータ15によって駆動される。フリーローラ18Bは、排紙ローラ17Bと対向する位置に設けられ、印刷用紙を排紙ローラ17Bとの間に挟むことによって印刷用紙を排紙ローラ17Bに向かって押さえる。プラテン14については後述する。
インク吐出ユニット20は、印刷用紙等の媒体にインクを吐出するためのものである。インク吐出ユニット20は、図2に示すように、印刷ヘッド21と、ヘッドドライバ22とを有する。印刷ヘッド21は、インクを吐出するためのノズルを複数有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。ヘッドドライバ22は、印刷ヘッド21を駆動して、印刷ヘッド21から断続的にインクを吐出させるためのものである。
キャリッジユニット40は、図3に示すように、インクを収容するインクカートリッジ48,49及び印刷ヘッド21が搭載された移動体としてのキャリッジ41を所定の方向(図2において紙面の左右方向、以下、CR移動方向という)に移動させるためのものである。キャリッジユニット40は、キャリッジ41と、キャリッジモータ(以下、CRモータという)42と、キャリッジモータドライバ(以下、CRモータドライバという)43と、プーリ44と、タイミングベルト45と、ガイドレール46とを有する。そして、印刷ヘッド21が有するノズルは、CR移動方向に沿って移動しながら、断続的にインクを吐出するように構成されている。
CRモータ42は、キャリッジ41をCR移動方向に移動させるモータであり、DCモータで構成される。CRモータドライバ43は、CRモータ42を駆動するためのものである。プーリ44は、CRモータ42の回転軸に取り付けられている。タイミングベルト45は、プーリ44によって駆動される。ガイドレール46は、キャリッジ41をCR移動方向に案内する。
計測器群50には、キャリッジ41の位置を検出するためのリニア式エンコーダ51と、搬送ローラ17Aの回転量を検出するためのロータリー式エンコーダ52と、印刷される紙の先端及び後端の位置を検出するための紙検出センサ53等が含まれる。
コントローラ60は、プリンタ1に接続されたコンピュータ等から送出された印刷データPDに基づいて画像を印刷すべく、プリンタ1の各ユニットを制御する。
このようなプリンタ1では、印刷時において、印刷用紙が搬送ローラ17Aにより間欠的に所定の搬送量で搬送され、その間欠的な搬送の合間にキャリッジ41が、搬送ローラ17Aによる搬送方向に対して交差する方向、即ちCR移動方向に沿って移動しながら、吐出ヘッド21から印刷用紙に向けてインクを吐出する。この吐出されたインクによって、印刷用紙上にはドットが形成されて印刷用紙上に画像が形成される。
===コントローラ===
図5は本実施形態のコントローラを説明するためのブロック図である。
コントローラ60は、外部インターフェース(外部I/F)25と、各種データを一時的に記憶するRAM26と、制御プログラム等を記憶したROM27と、CPU等を含んで構成された制御部28と、クロック信号(CK)を発生する発振回路29と、印刷ヘッド21へ供給するための駆動信号(COM)を生成する駆動信号生成回路221(詳細は後述する)と、駆動信号や、印刷データ(記録データ)に基づいて展開されたドットパターンデータ(ビットマップデータ)等を、紙搬送ユニット10、インク吐出ユニット20、キャリッジ駆動ユニット40等に送信する内部インターフェース(内部I/F)31と、を備えている。
外部I/F25は、例えば、キャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータ等によって構成される印刷データを、図示しない外部のコンピュータ等から受信する。また、ビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、外部I/F25を通じて、コンピュータ等に対して出力される。
RAM26は、受信バッファ、中間バッファ、出力バッファ及びワークメモリ(図示せず)を有している。そして、受信バッファは、外部I/F25を介して受信された印刷データを一時的に記憶し、中間バッファは、制御部28により変換された中間コードデータを記憶し、出力バッファは、画素パターンデータを記憶する。ここで、画素パターンデータとは、中間コードデータ(例えば、階調データ)をデコード(翻訳)することにより得られる印刷データである。
ROM27には、各種データ処理を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、フォントデータ、グラフィック関数等が記憶されている。また、ROM27には、後述する各ノズル列に対応付けられたズレ量情報と、各ノズル列に供給する駆動信号を対応付けるための駆動データテーブルも記憶されている。
制御部28は、ROM27に記憶された制御プログラムに従って各種の制御を行う。例えば、受信バッファ内の印刷データを読み出すと共にこの印刷データを変換して中間コードデータとし、当該中間コードデータを中間バッファに記憶させる。また、制御部28は、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM27に記憶されているフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して、画素パターンデータに展開(デコード)する。そして、制御部28は、必要な装飾処理を施した後に、この画素パターンデータを出力バッファに記憶させる。各画素パターンデータは、階調情報として、例えば2ビットのデータからなる。すなわち、制御部28は、階調データ設定手段として機能する。
印刷ヘッド21の1回のCR移動方向への移動により記録可能な1行分の画素パターンデータが得られると、当該1行分の画素パターンデータが、出力バッファから内部I/F31を通じて順次ヘッドドライバ22に出力される。出力バッファから1行分の画素パターンデータが出力されると、展開済みの中間コードデータが中間バッファから消去され、次の中間コードデータについての展開処理が行われる。
また、コントローラ60は、紙搬送ユニット10と、キャリッジ駆動ユニット40と接続されており、コントローラにより、PFモータ15が駆動されて印刷用紙が搬送され、CRモータモータが駆動されてキャリッジ41を移動させる。
===インク吐出ユニットの構成===
インク吐出ユニット20は、印刷ヘッド21とヘッドドライバ22とを有している。
<<<印刷ヘッド>>>
図6は、印刷ヘッド21を下面側から見た図である。印刷ヘッド21の下面には、ブラックインクを吐出するインク吐出部としてのブラックインクノズル列KDと、濃シアンインクを吐出するための濃シアンインクノズル列CDと、淡シアンインクを吐出するための淡シアンインクノズル列CLと、濃マゼンタインクを吐出するための濃マゼンタインクノズル列MDと、淡マゼンタインクを吐出するための淡マゼンタインクノズル列MLと、イエローインクを吐出するためのイエローインクノズル列YDと、が設けられている。
各ノズル列の複数のノズルは搬送方向に沿って整列している。印刷時には、キャリッジ41(図2)とともに印刷ヘッド21がCR移動方向に移動しつつ、各ノズル列からインクが吐出される。各ノズルからは例えば滴状のインクが吐出される。また、この例では用紙の搬送方向の上流側に1番ノズル#1が配置されている。
図7は、印刷ヘッドの内部構造を説明するための断面図である。
印刷ヘッド21は、図7に示すように、インクカートリッジ48,49(図3参照)からのインクが供給されるインク室62と、複数(例えば64個)のノズルnが搬送方向に列設されたノズルプレート64と、ノズルnのそれぞれに対応して複数設けられた圧力室66と、を主に備える。圧力室66は、駆動素子としてのピエゾ素子65の変形によって膨張・収縮するようになっている。
インク室62と圧力室66とは、インク供給口67及び供給側連通孔68を介して連通されている。また、圧力室66とノズルnとは、第1ノズル連通孔69及び第2ノズル連通孔61を介して連通されている。即ち、インク室62から圧力室66を通ってノズルnに至る一連のインク流路が、ノズルn毎に形成されている。
本実施の形態におけるノズルプレート64は、撥インク処理ノズルプレートとして構成してある。
ノズルnは、印刷用紙と対向するノズルプレート64の外側の表面に、比較的小さい口径で開口している一方、第2ノズル連通孔61側であるノズルプレートの裏側に、比較的大きい口径で開口している。このため、ノズルnの内側壁面は、漏斗状、あるいは、コーン状となる。
上記のピエゾ素子65は、所謂たわみ振動モードのピエゾ素子65である。たわみ振動モードのピエゾ素子65を用いると、充電によりピエゾ素子65が電界と直交する方向に縮んで圧力室66が収縮し、充電されたピエゾ素子65を放電することにより、ピエゾ素子65が電界と直交する方向に伸長して圧力室66が膨張する。
すなわち、印刷ヘッド21では、ピエゾ素子65に対する充放電に伴って、対応する圧力室66の容量が変化する。このような圧力室66の圧力変動を利用して、ノズルnからインク滴を吐出させることができる。
なお、上記のたわみ振動モードのピエゾ素子65に代えて、いわゆる縦振動モードの圧電振動子を用いることも可能である。縦振動モードの圧電振動子は、充電による変形で圧力室を膨張させ、放電による変形で圧力室66を収縮させる圧電振動子である。
以上のように構成されたプリンタ1は、記録動作時においてキャリッジ41の往復移動の各々に同期させて、印刷ヘッド21から滴状のインクを吐出させる。一方、キャリッジ41の往路移動と復路移動との切替わり時に搬送ローラ17Aを回転し、印刷紙を搬送方向に設定行幅分だけ移動させる。この結果、印刷用紙には、印刷データに基づく画像や文字等が記録される。
<<<ヘッドドライバ>>>
ヘッドドライバ22は、図5に示すように、第1シフトレジスタ(第1SR)32及び第2シフトレジスタ(第2SR)33からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路37及び第2ラッチ回路38からなるラッチ回路と、デコーダ39と、制御ロジック54と、レベルシフタ34と、スイッチ回路55とを備えている。
図8は、ヘッドドライバを説明するためのブロック図である。
各シフトレジスタ、各ラッチ回路、デコーダ及びスイッチ回路は、それぞれ、図8に示すように、印刷ヘッド21のノズルn毎に設けた第1シフトレジスタ32A〜32N 、第2シフトレジスタ33A〜33N、第1ラッチ回路37A〜37N、第2ラッチ回路38A〜38N、デコーダ39A〜39N及びスイッチ回路55A〜55Nから構成されている。
このようなヘッドドライバ22に駆動され、印刷ヘッド21は、コントローラ60からの印刷データ及びタイミング信号に基づいてインク滴を吐出する。コントローラ60からの印刷データ(SI)は、発振回路29からのクロック信号(CK)に同期して、内部I /F31から第1シフトレジスタ32及び第2シフトレジスタ33にシリアル伝送される。
コントローラ60からの印刷データは、各画素を2ビットのデータにて示している。各画素は、3滴のインク滴にて形成可能な3つのドットの形成、非形成により、サイズの異なる3種類の画素を形成可能である。具体的には、各画素は、非形成、小サイズ画素、中サイズ画素、大サイズ画素からなる4階調にて示され、印刷データは非記録が(00)、小サイズ画素が(01)、中サイズ画素が(10)、大サイズ画素が(11)にて示されている。
このような印刷データは、画素毎及びノズルn毎に設定される。そして、全てのノズルnに関して下位ビットのデータが第1シフトレジスタ32(32A〜32N)に入力され、全てのノズルnに関して上位ビットのデータが第2シフトレジスタ33(33A〜33N)に入力される。
図8に示すように、第1シフトレジスタ32には、第1ラッチ回路37が電気的に接続されている。同様に、第2シフトレジスタ33には、第2ラッチ回路38が電気的に接続されている。
そして、コントローラ60から基準タイミング信号としてのPTS信号をトリガとして供給されるラッチ信号(LAT)が各ラッチ回路37,38に入力されると、第1ラッチ回路37は印刷データの下位ビットのデータをラッチし、第2ラッチ回路38は印刷データの上位ビットをラッチする。
このように、第1シフトレジスタ32及び第1ラッチ回路37からなる回路ユニットと、第2シフトレジスタ33及び第2ラッチ回路38からなる回路ユニットは、それぞれが記憶回路として機能する。すなわち、これらの回路ユニットは、デコーダ39に入力される前の印刷データを一時的に記憶する。
各ラッチ回路37、38にてラッチされた印刷データは、デコーダ39A〜39Nに入力される。デコーダ39は、2ビットの印刷データを翻訳してパルス選択データ(パルス選択情報)を生成する。パルス選択データは、階調データに等しいかそれよりも多い複数ビットで構成され、各ビットは駆動信号(COM)を構成する各パルス波形に対応している。そして、各ビットの内容(例えば、(0),(1))に応じて、ピエゾ素子65に対する駆動パルス波形の供給/非供給が選択されるようになっている。なお、駆動信号(COM )及び駆動パルス波形の供給についての詳細は、後述する。
一方、デコーダ39には、制御ロジック54からのタイミング信号としてラッチ信号(LAT)及びチェンジ信号(CH)も入力される。
デコーダ39によって翻訳されたパルス選択データは、上位ビット側から順に、タイミング信号によって規定されるタイミングが到来する毎にレベルシフタ34に入力される。例えば、記録周期における最初のタイミングではパルス選択データの最上位ビットのデータがレベルシフタ34に入力され、2番目のタイミングではパルス選択データにおける2番目のビットのデータがレベルシフタ34に入力される。
レベルシフタ34は、電圧増幅器として機能し、パルス選択データが「1」の場合には、スイッチ回路55を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。
レベルシフタ34で昇圧された「1」のパルス選択データは、駆動パルス生成手段及び制御本体部として機能するスイッチ回路55に供給される。このスイッチ回路55は、印刷データの翻訳により生成されたパルス選択データに基づき、駆動信号(COM)に含まれる駆動パルスを選択して駆動パルスを生成すると共に、当該駆動パルスをピエゾ素子65に供給するものである。従って、スイッチ回路55の入力側には、駆動信号生成回路221からの駆動信号(COM)が供給されるようになっており、その出力側にはピエゾ素子65が接続されている。
パルス選択データは、スイッチ回路55の作動を制御する。例えば、スイッチ回路55 に加わるパルス選択データが「1」である期間中は、スイッチ回路55が接続状態になり、駆動信号の駆動パルスがピエゾ素子65に供給される。この結果、ピエゾ素子65の電位レベルが変化する。
一方、スイッチ回路55に加わるパルス選択データが「0」の期間中は、レベルシフタ34からスイッチ回路55を作動させる電気信号が出力されない。このため、スイッチ回路55が切断状態になり、駆動信号の駆動パルスがピエゾ素子65に供給されない。パルス選択データが「0」の期間においては、ピエゾ素子65は、パルス選択データが「0」に切り換わる直前の電位レベルを維持する。
===インクを吐出させるための駆動信号====
本発明では、キャリッジ41が移動しつつ、各ノズル列からインクを吐出する際に、吐出したインクにて画素を形成すべき目標位置と、当該ノズル列から実際にインクを吐出して形成された画素の位置とのズレ量に基づいて駆動信号を変更するため、駆動信号は1種類ではないが、互いに異なる複数種類の駆動信号の基準となる基準駆動信号について、まず説明する。
本実施形態において、1つの画素は、3滴のインク滴の組み合わせにより、各サイズの画素、すなわち大サイズ画素、中サイズ画素、小サイズ画素が形成されている。そして、1画素を形成するためのインクを吐出可能な期間(以下、1画素期間という)TWに最大3滴のインクを吐出する。
図9は、ノズル列からインクを吐出させるための基準駆動信号を示す図である。
図9に示すように、駆動信号Wは、1画素期間内に3滴のインクにてドットを形成可能な3つのドット形成信号を有している。このドット形成信号は、期間T1に出力される第1パルス信号PS1と、期間T2に出力される第2パルス信号PS2と、期間T3に出力される第3パルス信号PS3とであり、1つの画素を形成する周期TWにて繰り返し発生するパルス列波形信号である。
駆動信号Wにおいて、第1パルス信号PS1はノズルnから中インク滴を吐出させ中ドット駆動パルスDP1であり、第2パルス信号PS2はノズルnから小インク滴を吐出させる小ドット駆動パルスDP2であり、第3パルス信号PS3は第1パルス信号PS1と同様に、ノズルnから中インク滴を吐出させる中ドット駆動パルスDP3である。
そして、図9に示すように大サイズ画素を形成する際には、第1パルス信号PS1と第3パルス信号PS3とがピエゾ素子65に供給されて、2つの中ドットにて1つの画素が形成される。中サイズ画素を形成する際には、第1パルス信号PS1及び第3パルス信号PS3のいずれかと、第2パルス信号PS2とがピエゾ素子65に供給されて、1つの中ドットと1つの小ドットとにて1つの画素が形成される。このとき、第1パルス信号PS1及び第3パルス信号PS3のいずれを供給するかは、キャリッジ41の移動方向により設定されている。小サイズ画素を形成する際には、第2パルス信号PS2がピエゾ素子65に供給されて、1つの小ドットにて1つの画素が形成される。図9の画素イメージ図において、2つのドットにて形成される画素が有するドット同士の間隔が開いているように示されているが、実際にはインクの広がりや滲みにより1つの画素を形成している。
第1駆動パルスDP1は、PTS信号をトリガとして供給されるラッチ信号(LAT)が出力されてから電位を変化し始めるまで中間電位VMを維持させる第1ホールド要素P1と、中間電位VMから第1最高電位VH1まで電位を上昇させる第1充電要素P2と、第1最高電位VH1を所定時間維持させる第2ホールド要素P3と、第1最高電位VH1から第1最低電位VL1まで所定時間にて電位を下降させる第1放電要素P4と、第1最低電位VL1を所定時間維持させる第3ホールド要素P5と、第1最低電位VL1から中間電位VMまで所定時間にて電位を上昇させる第2充電要素P6、中間電位VMを維持させる第4ホールド要素P7とから構成される。第3駆動パルスDP3を構成する各要素は、第1駆動パルスDP1と同様であるが、第1ホールド要素の基点が、ラッチ信号ではなく、PTS信号が出力されて所定時間後に供給されるチェンジ信号であることが相違する。また、第1駆動パルスDP1と第3駆動パルスDP3とは、各々個別に最高電位、最低電位、各ホールド要素のホールド時間、充電要素、放電要素の所要時間を、設定することが可能である。
駆動パルスDP1、DP3がピエゾ素子に供給されると、中ドットを形成し得る量のインク滴がノズルnから吐出される。より具体的には、第1ホールド要素P1による所定時間中間電位VMに維持された後、第1充電要素P2が供給されてピエゾ素子65が中間電位VMから充電される。この充電により圧力室66の容積は、基準容積から第1最大容積まで膨張する。この圧力室66の膨張動作が、圧力室66にインクが引き込まれる引込動作である。そして、第1放電要素P4により、圧力室66は第1最小容積まで急激に収縮する。この圧力室66の収縮状態は第3ホールド要素P5が供給されている期間に亘って維持される。この圧力室66の急激な収縮及び収縮状態の保持により、圧力室66内のインク圧力が急速に高まりノズルnからは中インク滴が吐出される。すなわち、この圧力室66の収縮動作が、圧力室66からインクを押し出す押出動作である。そして、第2充電要素P6により、メニスカスの振動を短時間で収束させるべく圧力室66を膨張復帰させる。
駆動パルスDP2は、PTS信号が出力されてから所定時間後に供給されるチェンジ信号が出力されてから電位を変化し始めるまで中間電位VMを維持させる第5ホールド要素P8と、中間電位VMから第2最高電位VH2まで電位を上昇させる第3充電要素P9と、第2最高電位VH2を所定時間維持させる第6ホールド要素P10と、第2最高電位VH2から第2最低電位VL2まで所定時間にて電位を下降させる第2放電要素P11と、第2最低電位VL2を所定時間維持させる第7ホールド要素P12と、第2最低電位VL2から中間電位VMまで所定時間にて電位を上昇させる第4充電要素P13と、中間電位VMを維持させる第8ホールド要素P14とから構成される。第2駆動パルスDP2は、最高電位、最低電位、各ホールド要素のホールド時間、充電要素、放電要素の所要時間を設定することが可能である。
駆動パルスDP2がピエゾ素子65に供給されると、小ドットを形成し得る量のインク滴がノズルnから吐出される。より具体的には、第5ホールド要素P8による所定時間中間電位VMに維持された後、第3充電要素P9が供給されてピエゾ素子65が中間電位VMから充電されることにより、圧力室66の容積は、基準容積から第2最大容積まで膨張する(引込動作)。そして、第2放電要素P11により、圧力室66は第2最小容積まで急激に収縮する。この圧力室66の収縮状態は第7ホールド要素P12が供給されている期間に亘って維持される。この圧力室66の急激な収縮及び収縮状態の保持により、圧力室66内のインク圧力が急速に高まりノズルnからは小インク滴が吐出される(押出動作)。そして、第4充電要素P13により、メニスカスの振動を短時間で収束させるべく圧力室66を膨張復帰させる。
駆動信号は、ROM27に記憶されている、各ノズル列のズレ量情報と、駆動データテーブルとに基づいて生成される。上記基準駆動信号は、ズレ量が「0」を示すズレ量情報と対応付けられたノズル列に供給される駆動信号である。そして、各ノズル列には、当該ノズル列に対応付けられたズレ量に応じた駆動信号を生成するための駆動データが供給される。
====駆動信号生成部===
上述した駆動信号は、ROM27に記憶されているズレ量情報と、駆動データテーブルとに基づいて、駆動信号生成部にて生成される。
駆動信号生成部221は、後述するズレ量情報及び駆動データテーブルとに基づいて各ノズル列に対応する駆動信号を選択するためのセレクタ222と、選択された駆動信号を生成するDAC回路223とを有している。
駆動データテーブルには、各駆動信号を生成するための駆動信号情報としてのデジタルデータが記憶されており、セレクタ222により駆動すべきノズル列のズレ量に対応する駆動信号が選択されると、選択された駆動信号に対応する駆動データテーブルのデジタルデータが所定の周期にてDAC回路223に出力される。
デジタルデータは例えば4ビットのデータであり、第1ホールド要素P1では、ピエゾ素子65に中間電位VMを印加するためのデータ「1000」が前記周期に同期して、第1ホールド要素P1に相当する時間だけDAC回路に出力され続ける。第1ホールド要素P1に相当する時間が経過するとデジタルデータが「1001」「1010」「1011」・・・のように前記周期に同期して出力され、第1充電要素P2をなすべく中間電位VMから第1最高電位VH1に向けて電位が所定量ずつ段階的に上昇する。そして、デジタルデータの「1111」が供給されて第1最高電位VH1に到達すると、第2ホールド要素P3をなすべく「1111」が供給され続けることにより、第1最高電位VH1の状態が維持される。第2ホールド要素P3に相当する時間が経過するとデジタルデータが「1110」「1101」「1100」・・・のように前記周期に同期して出力され、第1放電要素P4をなすべく第1最高電位VH1から第1最低電位VL1に向けて電位が所定量ずつ段階的に下降する。そして、デジタルデータの「0000」が供給されて第1最低電位VL1に到達すると、第3ホールド要素P5をなすべく「0000」が供給され続けることにより第1最低電位VL1が維持される。そして、第3ホールド要素P5に相当する時間が経過するとデジタルデータが「0001」「0010」「0011」・・・のように前記周期に同期して出力され、第2充電要素P6をなすべく第1最低電位VL1から中間電位VMに向けて電位が所定量ずつ段階的に上昇する。
このように、セレクタ222にて選択された駆動信号のデジタルデータによりDAC回路223にて駆動信号が生成される。すなわち、この場合には、ズレ量に応じて変更される駆動信号は、第1ホールド要素P1に相当する時間だけDAC回路223に出力されるデジタルデータ「1000」を供給するステップ数により、中間電位VMに保たれた状態から電位が変化し始めるタイミングが調節されることになる。
===各ノズル列に対応するズレ量情報と駆動データテーブル===
各ノズル列に対応するズレ量情報とは、例えば、キャリッジ41が一方向に移動する際に、所定の目標位置に画素列を形成すべく、異なるノズル列から各々インクを吐出して画素列を形成した際に、各ノズル列から吐出されたインクにより形成された画素列の位置のずれ量、及び、キャリッジ41が往復移動する際において、所定の目標位置に画素列を形成すべく、往路にて所定のノズル列からインクを吐出して形成した画素列と、復路にて往路と同じノズル列からインクを吐出して形成した画素列との位置のズレ量を測定した値であったり、その測定した値を示す情報である。
各ノズル列のズレ量情報は、プリンタの製造工程などにおいて、各ノズル列からインクを吐出してズレ量測定用の印刷パターンを印刷して、各ノズル列により形成された画素列のズレ量を測定して取得し、予めROM27に記憶しておく。図10は、ROM27に記憶されるズレ量情報の概念の一例を示す図である。
例えば、まず基準駆動信号に基づいて、所定位置に画素列を形成すべく、各ノズル列から実際にインクを吐出させてズレ量測定用の印刷パターンを印刷する。印刷された印刷パターンの各ノズル列にて形成された画素列のうち、いずれか1つの画素列を基準としてその他の画素列ズレ量を測定する。すなわち、基準となるノズル列にて形成された画素列が目標位置となり、この目標位置と各ノズル列にて形成された画素列とのズレ量を測定することになる。
図11は、キャリッジを一方向に移動させて印刷する際に生じるズレ量を測定するためのズレ量測定用パターンを説明する図である。この例では、ブラックインクにて形成されるブラック画素列Kを基準とし、他のインクにて形成される画素列(C,LC,M,LM,Y)のズレ量を測定するとする。ズレ量測定用パターンにおいて、ブラック画素列Kは、ブラックノズル列が有するノズルのうち搬送方向下流側に位置する半分のノズルにて画素列を形成し、その他のノズル列は、各ノズル列が有するノズルのうち搬送方向上流側に位置するノズルにて画素列を形成する。そして、図11に示すような印刷パターンが印刷された場合には、ブラックの画素列と、各画素列とのズレ量を測定し、測定したズレ量を示す情報と各ノズル列とを対応付けてROM27に記憶しておく。
図12は、キャリッジを往復移動させて印刷する際に生じるズレ量を測定するためのズレ量測定用パターンを説明するための図である。このズレ量測定用パターン往路にて所定の間隔で、各ノズル列からインクを吐出して画素列を各々形成し、往路にて形成した画素列を目標位置として、同一のノズル列からインクを吐出して画素列を形成する。すなわち、本実施形態では、ノズル列の数が6列なので、往路にて互いに異なる色の画素列(図12では(往)と記載する)が6列形成され、復路においても6色6列の画素列(図12では(復)と記載する)が形成される。そして、図12に示すような印刷パターンが印刷された場合には、同一色のインクにて形成された2本の画素列のズレ量を測定し、測定したズレ量を示す情報と各ノズル列とを対応付けてROM27に記憶しておく。
図13は、ROM27に記憶される駆動データテーブルの概念の一例を示す図である。図示するように駆動データテーブルは、ズレ量情報と、このズレ量情報に対応付けられたノズル列から吐出したインクにて形成された画素列と、目標位置とが一致するような画素列を形成可能な駆動信号を示す情報とが対応付けられている。
図13に示す駆動データテーブルの例では、ズレ量情報として、ズレ量「0」を中心として5μm単位にて3段階ずつズレ量が設定され、計7段階のズレ量に対応する7つの駆動信号が設定されている。
本実施形態では、各ノズル列から吐出したインクにて形成された画素列と、目標位置とが一致するような画素列を形成するための駆動信号として、基準駆動信号における第1〜第3駆動パルスDP1〜DP3の第1ホールド要素P1,第5ホールド要素P8の時間を変更することにより、中ドット及び小ドットを形成するためにインクが吐出されるタイミングが変更される。
図14は、基準駆動信号と他の駆動信号との相違を説明するための図である。
図14において、中段の信号は基準駆動信号であり、上段に示した信号はズレ量「15μm」に対応する駆動信号であり、下段に示した信号はズレ量「−15μm」に対応する駆動信号である。また、各駆動信号の下は、各々の駆動信号にて形成されるドット形成位置の相違を示すイメージを示している。ズレ量「0」に対応する駆動信号となる基準駆動信号については上述したとおりである。
図示するように、ズレ量「15μm」に対応する駆動信号は、第1〜第3駆動パルスDP1〜DP3の第1ホールド要素P1、第5ホールド要素P8の時間が、基準駆動信号と比較して時間tだけ、いずれも短縮されており、ズレ量「―15μm」に対応する駆動信号は、第1〜第3駆動パルスDP1〜DP3の第1ホールド要素P1,第5ホールド要素P8の時間が、基準駆動信号と比較して時間tだけ、いずれも延長されている。このため、ズレ量「15μm」に対応する駆動信号に基づいてインクを吐出すると、基準駆動信号に基づいてインクを吐出する場合より、吐出されるタイミングが早くなり、形成される画素はCR移動方向において進行方向と逆側に形成される。また、ズレ量「―15μm」に対応する駆動信号に基づいてインクを吐出すると、基準駆動信号に基づいてインクを吐出する場合より、吐出されるタイミングが遅くなり、形成される画素はCR移動方向において進行方向側に形成されることになる。
本実施形態においては、第1〜第3駆動パルスDP1〜DP3を構成している第1ホールド要素P1,第5ホールド要素P8を除く要素はいずれも基準駆動信号と同一である。このため、形成される中ドット、及び、小ドットのサイズ等を変更することなく、画素が形成される位置のみを変更することが可能である。また、駆動データテーブルにより、ズレ量情報とズレ量に適した駆動信号を対応付け、必要な駆動信号を形成するための駆動信号情報としてのデジタルデータを予めROM27等に格納しておくことにより、容易に駆動信号を生成することが可能であり、制御部に対する負担を低減して、スループットを向上させることが可能である。
なお、ズレ量「5μm」及びズレ量「―5μm」に対応する駆動信号は第1ホールド要素P1の延長時間及び短縮時間が(1/3)×tであり、ズレ量「10μm」及びズレ量「―10μm」に対応する駆動信号は第1ホールド要素P1の延長時間及び短縮が(2/3)×tである。
このとき、各駆動信号における第1ホールド要素P1及び第5ホールド要素P8の延長時間及び短縮時間は、ピエゾ素子の固有振動周期Tcに基づいて設定することが望ましい。例えば、前記延長時間及び短縮時間(1/3)×tを固有振動周期Tcの整数倍に設定しておくと、ピエゾ素子を効率よく動作させることが可能なため、第1ホールド要素P1及び第5ホールド要素P8として設定した所望の時間を確保することが可能である。
本実施形態においては、第1〜第3駆動パルスDP1〜DP3の各第1ホールド要素P1,第5ホールド要素P8を変更する例を示したが、必ずしも第1〜第3駆動パルスDP1〜DP3の各第1ホールド要素P1,第5ホールド要素P8を変更する必要はない。この場合には、例えば低階調部分を構成するドットを形成するための駆動パルスのみを変更することが望ましい。ここで、特に低階調部分としたのは、低階調部分を除く領域では、大サイズ画素や中サイズ画素も形成されているため、画素が形成された位置にズレが生じたとしても、画素のサイズが大きいため目立ち難いからである。図15は画像を構成するドットの発生割合と画像の濃度(階調)との対応を示す図である。図示するように、低階調部分を構成するドットは、小ドットであり、小ドットを適正な位置に形成することにより高画質の画像を印刷することが可能である。
図16は、小ドットを形成するための信号のみを変更した駆動信号を示す図である。図示するように、第2駆動パルスDP2の第5ホールド要素P8のみを変更することにより、低階調部を有する画像を高画質に印刷すること可能であると共に、文字やイラストなど主に中ドットにて構成される大サイズ画素にて印刷される場合には基準駆動信号を用いることにより、駆動信号を生成する処理にかかる時間を短縮することが可能である。
また、低階調部分は、淡い色のインク、すなわち、淡シアンインク、淡マゼンタインク、イエローインクなどにより形成されるので、画素が形成される位置を調節するために駆動信号を変更する処理を、淡い色のインクを吐出するノズル列のみとしてもよい。この場合には、製造工程においてズレ量を測定する作業が削減され、また、ズレ量情報及び駆動データテーブルのデータ量が小さくなるという効果を奏する。
図17は、本実施形態のプリンタの印刷動作を示すフローチャートである。
プリンタ1は、電源が投入されると(S101)、ROM27に記憶されているズレ量情報と、駆動データテーブルとに基づいて、各ノズル列と、各ノズル列に適した駆動信号とを対応付ける(S102)
プリンタ1は、プリンタ1に接続されたコンピュータから印刷指令信号とともに印刷データを受信する(S103)、各ノズル列に対応付けられた駆動信号を駆動信号生成部221にて生成し(S104)、PTS信号に基づいて、生成した駆動信号をスイッチに供給する(S105)。制御部は、キャリッジ41を移動させつつ、印刷データに基づいてスイッチを動作させ、駆動信号の駆動パルスを適宜ピエゾ素子65に供給することにより画像を印刷する(S106)。
本実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、キャリッジ41が一方向に移動する際に、印刷ヘッド21が有するすべてのノズル列にて形成される画素列の位置を一致させることが可能である。また、キャリッジ41が往復移動する際に、同一のノズル列により往路と復路とにて形成されるの画素列の位置を一致させることが可能である。このため、画素の位置ずれによる色調のムラや濃度のむらが生じにくく良好な画像を印刷することが可能である。
上記実施形態においては、各ノズル列にて形成される画素の位置と、目標位置とのズレ量を測定しておき、測定したズレ量に応じて駆動信号を変更しているため、適切に画素の形成位置を変更することが可能である。また、駆動信号を変更する際に、駆動パルスにおける第1ホールド要素P1の時間のみを変更したので、形成される画素の位置を微少量だけ変更することが可能であると共に、ピエゾ素子65を振動させるための信号、すなわち、最高電位、最低電位、充電及び放電時間等は同じであるため、吐出されるインクの量を変更することなく、画素が形成される位置を変更することが可能である。このため、インク吐出部から吐出されたインクにより目標位置に画素が形成されるため良好な画像を印刷することが可能である。
===駆動信号の変形例===
図18は、本発明における駆動信号の変形例を示す図である。
この変形例における駆動信号は、図示するように、第1ホールド要素P1の時間を変更することなく、第1及び第2最高電位VH1,VH2、第1及び第2最低電位VL1,VL2を変更している点において上述した実施形態と相違する。
第1及び第2最高電位VH1,VH2、第1及び第2最低電位VL1,VL2を変更することにより、充電及び放電による圧力室66の容積の変化、すなわち膨張及び収縮量が変化する。このため、第1及び第2最高電位VH1,VH2、第1及び第2最低電位VL1,VL2を変更することにより、各ノズルから吐出されるインクの量が相違することになる。インクの量が異なると、当然のことながら吐出されるインク重量が異なり、吐出されてから印刷用紙に到達するまでの時間が相違する。すなわち、最高電位を高くし、最低電位を低くすることにより、インクの吐出量が多くなるためインクの吐出スピードが速くなり早く印刷用紙に到達する。このため、基準駆動信号にてインクを吐出した場合と比較して、画素が形成される位置は、CR移動方向において進行方向と反対側に形成されることになる。
また、最高電位を低くし、最低電位を高くすることにより、インクの吐出量が少なくなるためインクの吐出スピードが遅くなり印刷用紙に到達するまでの時間が長くなる。このため、基準駆動信号にてインクを吐出した場合と比較して、画素が形成される位置は、CR移動方向において進行方向側に形成されることになる。
このような駆動信号を駆動データテーブルにて、ズレ量情報と対応付けておくことにより、各ノズルにて形成される画素列のズレ量を調節することが可能である。この場合には、インクの吐出速度が同じになるように駆動信号が変更されることにより、インクの吐出量が調整されるので各ノズルから吐出されるインクの量が均一となる。このため、各ノズルから吐出されて形成される大サイズ画素、中サイズ画素、小サイズ画素の画素毎のサイズのばらつきが小さくなり、より良好な画像を印刷することが可能である。
===その他の実施形態===
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
(2)本発明は、一般にインク滴を吐出するタイプの印刷装置に適用可能であり、カラーインクジェットプリンタ以外の種々の印刷装置に適用可能である。例えば、インクジェット方式のファクシミリ装置やコピー装置にも適用可能である。
上記実施形態においては、印刷ヘッドが1つ設けられたプリンタについて説明したが、複数の印刷ヘッドを有し、各印刷ヘッドが複数色のインクを吐出するノズル列を有しているプリンタにおいて、異なる印刷ヘッドに設けられた同一色のインクを吐出するノズル列にて形成される画素列のズレ量が小さくなるように、各ノズル列毎に駆動信号を変更してもよい。この場合には、複数の印刷ヘッドを用いて1つの画像を印刷する場合であっても、異なる印刷ヘッドにて形成される画素の位置が一致しているため、複数の印刷ヘッドを用いて、高速に良好な画像を印刷することが可能である。
<<<印刷システム等の構成>>>
次に、本発明に係る実施形態の一例である印刷システム、コンピュータプログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図19は、印刷システムの外観構成を示した説明図である。コンピュータシステム700は、コンピュータ本体702と、表示装置704と、プリンタ706と、入力装置708と、読取装置710とを備えている。表示装置704は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ706は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置708は、本実施形態ではキーボード708Aとマウス708Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置710は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置710AとCD−ROMドライブ装置710Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magneto Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
図20は、図19に示した印刷システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ本体702が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ802と、ハードディスクドライブユニット804等の外部メモリがさらに設けられている。
なお、以上の説明においては、プリンタ706が、コンピュータ本体702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710と接続されてコンピュータシステムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、コンピュータシステムが、コンピュータ本体702とプリンタ706から構成されても良く、印刷システムが表示装置704、入力装置708及び読取装置710のいずれかを備えていなくても良い。
また、例えば、プリンタ706が、コンピュータ本体702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ706が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
また、上述した実施形態における、プリンタを制御するコンピュータプログラムが、プリンタコントローラ41のメモリに記憶されており、プリンタコントローラがこのコンピュータプログラムを実行することにより、上述した実施形態のプリンタ動作を達成してもよい。
このようにして実現された印刷システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
本実施形態のインクジェットプリンタの外観を示す図。 インクジェットプリンタの構成を示すブロック図。 インクジェットプリンタのキャリッジ及びその周辺部を示す図。 インクジェットプリンタの搬送部及びその周辺部を示す図。 本実施形態のコントローラを説明するためのブロック図。 印刷ヘッドを下面側から見た図。 印刷ヘッドの内部構造を説明するための断面図。 ヘッドドライバを説明するためのブロック図。 ノズル列からインクを吐出させるための基準駆動信号を示す図。 ROMに記憶されるズレ量情報の概念の一例を示す図。 キャリッジを一方向に移動させて印刷する際に生じるズレ量を測定するためのズレ量測定用パターンを説明するための図。 キャリッジを往復移動させて印刷する際に生じるズレ量を測定するためのズレ量測定用パターンを説明するための図。 ROMに記憶される駆動データテーブルの概念の一例を示す図。 基準駆動信号と他の駆動信号との相違を説明するための図。 画像を構成するドットの発生割と画像の濃度との対応を示す図。 小ドットを形成するための信号のみを変更した駆動信号を示す図。 本実施形態のプリンタの印刷動作を示すフローチャート。 本発明における駆動信号の変形例を示す図。 印刷システムの外観構成を示した説明図。 図19に示した印刷システムの構成を示すブロック図。
符号の説明
1 インクジェットプリンタ、2 操作パネル、3 排紙部、4 給紙部
5 操作ボタン、6 表示ランプ、7 排紙トレー、8 給紙トレー、
10 紙搬送ユニット、13 給紙ローラ、14 プラテン、
15 紙搬送モータ(PFモータ)、16 紙搬送モータドライバ(PFモータドライバ)
17A 搬送ローラ、17B 排紙ローラ、18A・18B フリーローラ
20 インク吐出ユニット、21 印刷ヘッド、22 ヘッドドライバ、
221 駆動信号生成部、222 セレクタ、223 DAC回路、25 外部I/F、
26 RAM、27 ROM、28 制御部、29 発振回路、30 ロール紙ユニット、
31 内部I/F、32 第1シフトレジスタ(第1SR)、
33 第2シフトレジスタ(第2SR)、34 レベルシフタ、35、
36 ロール紙ユニットホルダ、37 第1ラッチ回路、38 第2ラッチ回路、
39 デコーダ、40 キャリッジユニット、41 キャリッジ、
42 キャリッジモータ(CRモータ)、
43 キャリッジモータドライバ(CRモータドライバ)、
44 プーリ、 45 タイミングベルト、 46 ガイドレール、
48 インクカートリッジ(黒)、49 インクカートリッジ(カラー)
50 計測器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、55 スイッチ回路、60 制御ユニット、
61 第2ノズル連通孔、62 インク室、64 ノズルプレート、
65 ピエゾ素子、66 圧力室、67 インク供給口、68 供給側連通孔、
69 第1ノズル連通孔、700 印刷システム、 702 コンピュータ本体、
704 表示装置、 706 プリンタ、 708 入力装置、
708A キーボード、 708B マウス、 710 読取装置、
710A フレキシブルディスクドライブ装置、
710B CD−ROMドライブ装置、 802 内部メモリ、
804 ハードディスクドライブユニット、
n ノズル

Claims (1)

  1. 複数のインク吐出部を備えて所定方向に移動可能な移動体と、
    1つの画素を形成することが可能な期間内に前記インク吐出部から複数回インク滴を吐出させて、各々のインク滴にてドットを形成可能とするためのドット形成信号を複数有する駆動信号を、前記ドット形成信号を個々に変更することにより複数種類生成する駆動信号生成回路と、
    を有し、
    前記移動体が移動しつつ、
    基準タイミング信号をトリガとして前記駆動信号生成回路から供給される駆動信号に基づいて、前記複数のインク吐出部から各々インクを吐出して媒体に画素を形成する印刷装置において、
    前記インク吐出部から吐出したインクにて形成されるべき画素の目標位置と、当該インク吐出部からインクが吐出されて形成される画素の位置とのズレ量に基づいて、前記供給される駆動信号を、複数種類の前記駆動信号から選択するとともに、
    前記インク吐出部は、インクを吐出して異なるサイズの複数種類のドットを形成可能であり、
    変更する前記ドット形成信号は、前記複数種類のドットのうち、最小サイズのドットを形成するための前記ドット形成信号のみであることを特徴とする印刷装置。
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