以下に、実施の形態にかかる電力量計を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる電力量計の分解斜視図である。図2は、実施の形態1にかかる電力量計の平面図である。図1および図2を含む複数の図面には、説明を分かりやすくするために、図面にXYZ軸の座標を付している。なお、図1には、後述する封印キャップは図示されていない。なお、Z軸方向は第1の方向の一例であり、X軸方向は第2の方向の一例であり、Y軸方向は第3の方向の一例である。
図1および図2に示す電力量計100は、分電盤または配電盤などの取り付け対象に取り付けられる配線用遮断器形の電力量計であるが、配線用遮断器形以外の形状の電力量計であってもよい。図1に示すように、実施の形態1にかかる電力量計100は、電力量計本体10と、電力量計本体10に取り付けられ、電力量計本体10の一部を覆うカバー20とを備える。
電力量計本体10は、不図示の電源装置に接続される単相3線式の電路に接続される複数の電源側端子1と、不図示の負荷装置に接続される単相2線式の電路に接続される複数の負荷側端子2とを備える。複数の電源側端子1は、X軸方向に配列され、複数の負荷側端子2も、X軸方向に配列される。また、複数の電源側端子1は、電力量計本体10のY軸方向における一端部に配置され、複数の負荷側端子2は、電力量計本体10のY軸方向における他端部に配置される。
また、電力量計本体10は、不図示の電源装置から不図示の負荷装置へ供給される電力量などを計測する計量部3を内部に備える。また、計量部3は、例えば、有効電力、無効電力、皮相電力、または力率なども計測することができる。なお、電力量計本体10は、上述した構成に限定されず、例えば、3相3線式の電路から負荷装置へ供給される電力量などを計測する構成であってもよい。
図1に示すように、電力量計本体10は、第1の表示面11aと、第1の設定部11bと、第2の表示面11cと、第2の設定部11dとを含む表示部11を備える。第1の表示面11aは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイの表示面であり、計量部3によって計測された電力量などの情報が表示される。
第1の設定部11bは、電力量計本体10の設定を変更するための複数の押し釦式スイッチ11b1を含む。押し釦式スイッチ11b1は、例えば、電力量計100の合成変成比を変更するための押し釦式スイッチ、または電力量計100の出力パルスを変更するための押し釦式スイッチなどである。出力パルスは、1パルスが何kWhに相当するかを表す。例えば、押し釦式スイッチ11b1への操作によって出力パルスが100kWh/パルスに設定された場合、1パルスは、100kWhの電力量が使用されたことを示す。
第2の表示面11cは、電力量計100の仕様を示す文字または記号が印刷または刻印される。第2の設定部11dは、電力量計本体10で変更可能なパラメータの設定のうち第1の設定部11bとは異なるパラメータを設定するために用いられる。第1の表示面11aは、電力量計本体10のエンドユーザなどによって操作され、第2の設定部11dは、例えば、電力需要家などによって操作される。
カバー20は、電力量計本体10の一部を覆う。カバー20は、図1および図2に示す例では、電力量計本体10の一部として、電力量計本体10の表示部11を覆う保護カバーである。かかるカバー20は、表示部11を外部から視認することができるように透明のプラスチックなどの樹脂材料から構成される。
なお、カバー20は、電力量計本体10の表示部11を覆うカバーに限定されず、例えば、電力量計本体10の電源側端子1および負荷側端子2の少なくとも一方を覆う端子カバーであってもよい。以下、カバー20は、電力量計本体10の表示部11を覆う保護カバーであるものとして説明する。
まず、電力量計本体10の構成について具体的に説明する。図3は、実施の形態1にかかる電力量計本体の外観斜視図であり、図4は、実施の形態1にかかる電力量計本体の正面図である。図5は、実施の形態1にかかる電力量計本体の一方の側面を示す側面図であり、図6は、実施の形態1にかかる電力量計本体の他方の側面を示す側面図である。図7は、図5に示すA領域の拡大図である。
図3に示すように、実施の形態1にかかる電力量計本体10の筐体4における側壁部41は、負荷側の側壁41aと、電源側の側壁41bとを含む。図3および図5に示すように、負荷側の側壁41aには、第1のガイド溝12aと、第2のガイド溝14aと、第3のガイド溝16aとが形成される。図6に示すように、電源側の側壁41bには、第1のガイド溝12bと、第2のガイド溝14bと、第3のガイド溝16bとが形成される。
第1のガイド溝12a,12b、第2のガイド溝14a,14b、および第3のガイド溝16a,16bの各々の深さである溝深さは、例えば、3mm程度であるが、かかる例に限定されない。なお、溝深さは、Y軸方向の長さで表される。第1のガイド溝12a,12b、第2のガイド溝14a,14b、および第3のガイド溝16a,16bは、電力量計本体10にカバー20が取り付けられる際に、カバー20を電力量計本体10と係合する位置までガイドする。
図5および図6に示すように、第1のガイド溝12a,12bの各々は、L字状に形成される。具体的には、第1のガイド溝12aは、図5および図7に示すように、Z軸方向に延伸する第1の溝12a1と、第1の溝12a1に連続しX軸方向に延伸する第2の溝12a2とを備える。同様に、第1のガイド溝12bは、図6に示すように、Z軸方向に延伸する第1の溝12b1と、第1の溝12b1に連続しX軸方向に延伸する第2の溝12b2とを備える。
第1の溝12a1,12b1の各々は、電力量計本体10の底面10aに向かうほどX軸方向の長さである幅が狭い。第2の溝12a2,12b2の各々は、第1の溝12a1,12b1のうち対応する第1の溝にZ軸方向で連続し、X軸正方向へ向けて延伸する。
第2のガイド溝14a,14bは、Z軸方向に延伸する。第2のガイド溝14aは、封印ねじ6aとY軸方向で互いに対向する位置に形成される。同様に、第2のガイド溝14bは、封印ねじ6bとY軸方向で互いに対向する位置に形成される。封印ねじ6a,6bの各々は、後述する封印キャップとともに電力量計100を封印するための部材であり、筐体4を構成する複数の部材を締結する。
図5および図6に示すように、第3のガイド溝16a,16bは、X軸方向に延伸する。第3のガイド溝16aは、負荷側の側壁41aの端部に形成され、第3のガイド溝16bは、電源側の側壁41bの端部に形成される。
なお、第1のガイド溝12aは、負荷側の側壁41aのうちX軸方向における第1の表示面11aの一端寄りの位置に配置される。第2のガイド溝14aは、負荷側の側壁41aのうちX軸方向における第1の表示面11aの他端寄りの位置に配置される。また、第1のガイド溝12bおよび第2のガイド溝14bの各々は、電源側の側壁41bのうちX軸方向における第1の表示面11aの一端寄りの位置に配置される。
筐体4の側壁部41には、第1の係合部13a,13bが形成される。第1の係合部13aは、第1のガイド溝12aの第2の溝12a2に配置される突起であり、第1の係合部13bは、第1のガイド溝12bの第2の溝12b2に配置される突起である。第1の係合部13a,13bは、第1のガイド溝12a,12bの溝深さと同様の長さの高さを有する突起であり、例えば、3mmの高さの突起である。
ここで、第1のガイド溝12aの第2の溝12a2と第1の係合部13aとの関係を説明する。図7に示すように、第2の溝12a2は、第1の取り付け領域12a21と、第2の取り付け領域12a22とを含み、第1の取り付け領域12a21と第2の取り付け領域12a22との間に、第1の係合部13aが配置される。図7において、第1の取り付け領域12a21は、第1のガイド溝12aの最下部であり、第2の取り付け領域12a22は、第1のガイド溝12aの最右部である。なお、第1のガイド溝12bの第2の溝12b2も、第2の溝12a2と同様に形成される。
図4に示すように、筐体4の側壁部41には、第2の係合部15a,15bが形成される。第2の係合部15aは、第2のガイド溝14aに配置される突起であり、第2の係合部15bは、第2のガイド溝14bに配置される突起である。第2の係合部15a,15bは、第2のガイド溝14a,14bの溝深さと同様の長さの高さを有する突起であり、例えば、3mmの高さの突起である。
ここで、第2のガイド溝14a,14bと第2の係合部15a,15bとの関係を説明する。図4に示すように、第2の係合部15aは、第2のガイド溝14aのうち第2のガイド溝14aの幅L1の方向であるX軸方向における中途部に配置される。第2の係合部15bは、第2のガイド溝14bのうち第2のガイド溝14bの幅L2の方向であるX軸方向における中途部に配置される。
次に、カバー20の構成について具体的に説明する。図8は、実施の形態1にかかるカバーを正面側からみた場合のカバーの外観斜視図である。図9は、実施の形態1にかかるカバーを背面側からみた場合のカバーの外観斜視図である。図10は、実施の形態1にかかるカバーの正面図である。図11は、実施の形態1にかかるカバーの側面図である。図12は、実施の形態1にかかるカバーの背面図である。
図8~図12に示すように、カバー20は、カバー本体21と、カバー本体21から延伸する足部22a,22bとを備える。カバー本体21は、前面部21aと、側壁部21bとを備える。前面部21aには、カバー20に電力量計本体10が取り付けられた場合に、電力量計本体10に設けられた押し釦式スイッチ11b1と対向する抜き孔25が設けられている。
側壁部21bの内側には、複数の第1の突起21c1,21c2と、複数の第2の突起21c3,21c4とが形成される。第1の突起21c1および第2の突起21c3は、側壁部21bの側壁21b1の内側に形成され、Y軸正方向に突出する。第1の突起21c2および第2の突起21c4は、側壁部21bの側壁21b2の内側に形成され、Y軸負方向に突出する。側壁21b1と側壁21b2とは、Y軸方向において、互いに対向する。第1の突起21c1,21c2は、Y軸方向において、互いに対向する位置に形成され、第2の突起21c3,21c4は、Y軸方向において、互いに対向する位置に形成される。
足部22aは、第1の延伸部22a1と、第2の延伸部22a2と、突起22a3とを備える。第1の延伸部22a1は、基端がカバー本体21の側壁部21bの側壁21b1に連続し先端に向けてZ軸負方向に延伸する。第2の延伸部22a2は、第1の延伸部22a1の先端に基端が連続し、Y軸方向であってカバー本体21の側壁部21bから離れる方向に沿って延伸する。突起22a3は、第2の延伸部22a2の基端から第2の延伸部22a2の延伸方向であるY軸負方向とは逆方向であるY軸正方向に突出する。突起22a3の高さは、Y軸正方向の長さであり、第2の係合部15a,15bのY軸方向の長さと同じ長さである。
足部22bは、第1の延伸部22b1と、第2の延伸部22b2と、突起22b3とを備える。第1の延伸部22b1は、基端がカバー本体21の側壁部21bの側壁21b2に連続し先端に向けてZ軸負方向に延伸する。第2の延伸部22b2は、第1の延伸部22b1の先端に基端が連続し、Y軸方向であってカバー本体21の側壁部21bから離れる方向であるY軸正方向に沿って延伸する。突起22b3は、第2の延伸部22b2の基端から第2の延伸部22b2の延伸方向であるY軸正方向とは逆方向であるY軸負方向に突出する。突起22b3の高さは、突起22a3の高さと同じである。
次に、電力量計本体10へのカバー20の取り付け方法について説明する。図13は、実施の形態1にかかる電力量計本体に保護カバーを取り付ける様子を示す外観斜視図である。図14は、実施の形態1にかかる電力量計本体に対するカバーの取り付け状態が第1の取り付け状態である場合の電力量計を示す斜視図である。図15は、図14に示す状態の電力量計を示す正面図である。図16は、図14に示す状態の電力量計の一方の側面を示す側面図である。図17は、図14に示す状態の電力量計の他方の側面を示す側面図である。
電力量計本体10に対する取り付けは、電力量計本体10に対するカバー20の取り付け状態を、まず、第1の取り付け状態にした後、その後、第2の取り付け状態にすることによって行われる。以下、電力量計本体10に対するカバー20の取り付け状態を単にカバー20の取り付け状態と記載する場合がある。
カバー20の取り付け状態を第1の取り付け状態にするために、電力量計本体10の正面側から、カバー20を第1の取り付け方向としてZ軸負方向に移動させる。そして、第1の突起21c1,21c2およびカバー20の足部22a,22bを、第1のガイド溝12a,12bおよび第2のガイド溝14a,14bに挿入し、第1のガイド溝12a,12bおよび第2のガイド溝14a,14bに沿ってZ軸負方向にスライドさせる。
具体的には、図13に示すように、カバー20の第1の突起21c1を、第1のガイド溝12aに挿入しZ軸負方向に移動させると、第1の突起21c1は第1のガイド溝12aの第1の溝12a1にガイドされて第1の溝12a1に沿って移動する。また、カバー20の足部22aを、第2のガイド溝14aに挿入しZ軸負方向に移動させると、足部22aは第2のガイド溝14aにガイドされて第2のガイド溝14aに沿って移動する。
同様に、電力量計本体10の正面側から、カバー20の第1の突起21c2を第1のガイド溝12bに挿入しZ軸負方向に移動させると、第1の突起21c2は第1のガイド溝12bの第1の溝12b1にガイドされて第1の溝12b1に沿って移動する。また、カバー20の足部22bを、第2のガイド溝14bに挿入しZ軸負方向に移動させると、足部22bは第2のガイド溝14bにガイドされて第2のガイド溝14bに沿って移動する。これにより、カバー20の取り付け状態が第1の取り付け状態になる。
カバー20の取り付け状態が第1の取り付け状態である場合、カバー20の第1の突起21c1は、第1のガイド溝12aのうち第2の溝12a2における図7に示す第1の取り付け領域12a21に位置する。また、カバー20の第1の突起21c2は、第1のガイド溝12bのうち第2の溝12b2における第1の取り付け領域に位置する。第2の溝12b2の第1の取り付け領域は、第2の溝12a2の第1の取り付け領域12a21と同様の位置に形成される。
カバー20の取り付け状態が第1の取り付け状態である場合、第1の設定部11bは、カバー本体21によって覆われない状態であり、第1の設定部11bに含まれる各押し釦式スイッチ11b1は外部から操作が可能である。また、カバー20の取り付け状態が第1の取り付け状態である場合、カバー20は、電力量計本体10に対してX軸方向とZ軸方向とにスライドすることができるが、電力量計本体10に対するY軸方向へのスライドはできない。なお、カバー20の取り付け状態が第1の取り付け状態である場合、第2の設定部11dは、カバー本体21によって覆われた状態であり、第2の設定部11dは外部から操作を行うことができない。
次に、カバー20の取り付け状態が第1の取り付け状態から第2の取り付け状態へ移行する中間の状態である中間取り付け状態である場合について説明する。図18は、実施の形態1にかかる電力量計本体に対するカバーの取り付け状態が中間取り付け状態である場合の電力量計を示す平面図である。図19は、図18に示すXIX-XIX線に沿った断面図である。
カバー20の取り付け状態を第1の取り付け状態から第1の取り付け状態へ移行させる場合、電力量計本体10に対してカバー20を第2の取り付け方向としてX軸正方向にスライドさせる。これにより、カバー20に形成された第1の突起21c1,21c2は、第1のガイド溝12a,12bに形成された第2の溝12a2,12b2にガイドされてX軸方向に沿って移動する。このとき、第2の溝12a2,12b2には、第1の係合部13a,13bが配置されているため、カバー20に形成された第1の突起21c1,21c2が第1の係合部13a,13bに乗り上げる。
カバー20の取り付け状態が中間取り付け状態である場合、第1の突起21c1は、第1の係合部13aの突起の高さである突起高分だけ持ち上げられ、第1の突起21c2は、第1の係合部13bの突起高分だけ持ち上げられる。例えば、第1の係合部13a,13bの突起高が3mmである場合、第1の突起21c1,21c2の各々は、3mm程度持ち上げられる。
第1の係合部13a,13bは、カバー20の取り付け状態が第2の取り付け状態である場合に、電力量計本体10に対するカバー20のX軸方向の移動を規制するためにカバー20に設けられる。
また、電力量計本体10に対してカバー20を第2の取り付け方向としてX軸正方向にスライドさせると、第2の突起21c3,21c4は、第3のガイド溝16a,16bにガイドされてX軸方向に沿って移動する。
また、電力量計本体10に対してカバー20を第2の取り付け方向としてX軸正方向にスライドさせると、図19に示すように、足部22aの内側に形成される突起22a3が第2のガイド溝14aに配置される第2の係合部15aに乗り上げる。同様に、足部22bの内側に形成される突起22b3が第2のガイド溝14bに配置される第2の係合部15bに乗り上げる。突起22a3,22b3が第2のガイド溝14a,14bに配置される第2の係合部15a,15bに乗り上げた状態が中間取り付け状態である。
カバー20の取り付け状態が中間取り付け状態である場合、足部22aの突起22a3は、第2の係合部15aの突起高分だけ持ち上げられ、足部22bの突起22b3は、第2の係合部15bの突起高分だけ持ち上げられる。例えば、第2の係合部15a,15bの突起高が3mmである場合、足部22a,22bの突起22a3,22b3の各々は、3mm程度持ち上げられる。
カバー20の取り付け状態が中間取り付け状態である場合、第1の突起21c1,21c2および第2の突起21c3,21c4のZ軸方向の移動が、第1のガイド溝12a,12bおよび第3のガイド溝16a,16bによって規制される。
次に、カバー20の取り付け状態を中間取り付け状態から第2の取り付け状態へ移行する場合について説明する。図20は、実施の形態1にかかる電力量計本体に対するカバーの取り付け状態が第2の取り付け状態である場合の電力量計を示す斜視図である。図21は、図20に示す状態の電力量計を示す正面図である。図22は、図20に示す状態の電力量計の一方の側面を示す側面図である。図23は、図20に示す状態の電力量計の他方の側面を示す側面図である。
カバー20の取り付け状態を中間取り付け状態から第2の取り付け状態へ移行する場合、図20~図23に示すように、電力量計本体10に対してカバー20をX軸正方向にさらにスライドさせる。これにより、図20および図22に示すように、カバー20に形成された第1の突起21c1は、第2の溝12a2に配置された第1の係合部13aを乗り越え、第2の溝12a2における図7に示す第2の取り付け領域12a22に移動する。
また、電力量計本体10に対するカバー20のX軸正方向へのスライドによって、図23に示すように、カバー20に形成された第1の突起21c2は、第2の溝12b2に配置された第1の係合部13bを乗り越え、第2の溝12b2の第2の取り付け領域に移動する。なお、第2の溝12b2の第2の取り付け領域は、第2の溝12a2の第2の取り付け領域12a22と同様の領域である。
また、電力量計本体10に対するカバー20のX軸正方向へのスライドによって、第2の突起21c3,21c4は、第3のガイド溝16a,16bにガイドされてX軸正方向に移動する。
また、電力量計本体10に対するカバー20のX軸正方向へのスライドによって、足部22aの突起22a3は、第2のガイド溝14aをX軸正方向に移動し、第2のガイド溝14aに配置される第2の係合部15aを乗り超える。同様に、電力量計本体10に対するカバー20のX軸正方向へのスライドによって足部22bの突起22b3は、第2のガイド溝14bをX軸正方向に移動し、第2のガイド溝14bに配置される第2の係合部15bを乗り超える。
カバー20の取り付け状態が第2の取り付け状態である場合、第1の設定部11bは、カバー本体21によって覆われた状態であり、第1の設定部11bは外部から操作を行うことができない。
また、カバー20の取り付け状態が第2の取り付け状態である場合、第1の突起21c1,21c2のZ軸方向の移動が、第1のガイド溝12a,12bによって規制され、第2の突起21c3,21c4のZ軸方向の移動が、第3のガイド溝16a,16bによって規制される。
さらに、カバー20の取り付け状態が第2の取り付け状態である場合、カバー20は、足部22a,22bの突起22a3,22b3と第2の係合部15a,15bとの係合と、第1の突起21c1,21c2と第1の係合部13a,13bとの係合とによって、電力量計本体10に対してX軸負方向へのスライドが規制される。
次に、封印キャップの取り付けについて説明する。図24は、実施の形態1にかかる電力量計の外観斜視図であり、図25は、実施の形態1にかかる電力量計の平面図である。図26は、図25に示すB領域の拡大図である。図27は、図25に示すXXVII-XXVII線に沿った断面図である。
図24~図27に示すように、電力量計100は、電力量計本体10およびカバー20に加え、封印キャップ5a,5bを含む。封印キャップ5a,5bは、電力量計本体10の検定後に取り付けられる。かかる封印キャップ5a,5bの仕様は、日本電気計器検定所により策定されている規格によって統一されている。
図25に示すように、封印キャップ5aは、足部22aと電力量計本体10の封印ねじ6aに跨って取り付けられ、封印キャップ5bは、足部22bと電力量計本体10の封印ねじ6bに跨って取り付けられる。これにより、電力量計本体10とカバー20とが封印され、カバー20を電力量計本体10から取り外すことを難しくすることができる。封印キャップ5a,5bに強い外力を無理やり加えることで、封印キャップ5a,5bを外そうとすると、封印キャップ5a,5bが破壊され、封印キャップ5a,5bを外そうとした痕跡を残すことができる。
図26に示すように、カバー20のカバー本体21と封印キャップ5aとの距離をL3とし、カバー20における足部22aの第1の延伸部22a1の厚みをL4とした場合、L3とL4とが同等になるように、封印キャップ5aが足部22aと電力量計本体10の封印ねじ6aに跨って取り付けられる。なお、第1の延伸部22a1は、Y軸負方向において厚みL4分だけカバー20の側壁21b1から突出されて形成されている。
そのため、電力量計100は、図27に示すように、足部22aの第1の延伸部22a1と封印キャップ5aとの間に隙間がない状態または隙間がほとんどない状態であり、また、足部22aの第2の延伸部22a2は、封印キャップ5aに固着された状態である。封印キャップ5bにおいても、同様に、足部22bの第1の延伸部22b1と封印キャップ5bとの間に隙間がない状態または隙間がほとんどない状態であり、また、足部22bの第2の延伸部22b2は、封印キャップ5bに固着された状態である。
この状態で、カバー20の取り付け状態を第2の取り付け状態からX軸負方向にスライドして第1の取り付け状態への移行を試みたとする。この場合、足部22aの突起22a3が第2の係合部15aを乗り上げようとするが、第1の延伸部22a1の移動が封印キャップ5aによって規制される。また、足部22bの突起22b3が第2の係合部15bを乗り上げようとするが、第1の延伸部22b1の移動が封印キャップ5bによって規制される。そのため、カバー20の取り付け状態を第2の取り付け状態からX軸負方向にスライドして第1の取り付け状態へ移行しようとしても、カバー20の取り付け状態が中間取り付け状態へ移行することが難しい。
このように、電力量計100では、封印キャップ5a,5bによって、第2の取り付け状態で取り付けられているカバー20を電力量計100から取り外すことを難しくすることができる。仮に、封印キャップ5a,5bを無理やり外そうとしても、上述したように、封印キャップ5a,5bが破壊され、封印キャップ5a,5bを外そうとした痕跡を残すことができる。
また、電力量計100では、足部22aの第2の延伸部22a2は、封印キャップ5aに固着された状態であり、足部22bの第2の延伸部22b2は、封印キャップ5bに固着された状態である。そのため、これによっても、封印キャップ5a,5bを無理やり外そうとしても、上述したように、封印キャップ5a,5bが破壊され、封印キャップ5a,5bを外そうとした痕跡を残すことができる。
なお、第1の延伸部22b1と封印キャップ5bとの間隔は、足部22bの突起22b3における突出方向の長さよりも短ければよく、これにより、カバー20を電力量計100から取り外すことを難しくすることができる。なお、足部22bの突起22b3における突出方向の長さは、突起22b3の突起高である。
また、電力量計100では、カバー20を電力量計本体10に取り付けた状態で電力量計本体10に予め取り付けられた封印ねじ6a,6bと足部22a,22bとに跨って封印キャップ5a,5bが取り付けられる。そのため、封印ねじで電力量計本体10にカバー20を取り付けることなく、電力量計100では、電力量計本体10の検定封印だけでなく、カバー20の取り外しも防止するように同時に封印することができる。
また、電力量計100では、電力量計本体10に対してカバー20がX軸方向にスライドされることによって、L字状の第1のガイド溝12a,12bおよび第3のガイド溝16a,16bに第1の突起21c1,21c2および第2の突起21c3,21c4が嵌め込まれる。そのため、電力量計100では、電力量計本体10に対してカバー20をZ軸方向にスライドして取り付ける場合に比べ、電力量計本体10に対するカバー20の取り付け強度を高めることができる。
なお、上述した例では、第1の係合部13a,13bは、突起であるが、窪みであってもよい。この場合、第1の係合部13aは、第1のガイド溝12aの第2の取り付け領域12a22に配置され、第1の係合部13bは、第1のガイド溝12bの第2の取り付け領域に配置される。また、第1の突起21c1,21c2は、例えば、第1のガイド溝12a,12bの溝深さの2倍程度の長さの高さを有する突起であり、例えば、6mmの高さの突起である。
同様に、第2の係合部15a,15bは、突起であるが、窪みであってもよい。この場合、第2の係合部15a,15bは、カバー20の取り付け状態が第2の取り付け状態である場合に、足部22a,22bの突起22a3,22b3とY軸方向で対向する位置に配置される。また、足部22a,22bの突起22a3,22b3は、第2のガイド溝14a,14bの溝深さの2倍程度の長さの高さを有する突起であり、例えば、6mmの高さの突起である。
また、上述した例では、足部22a,22bの延伸方向がZ軸方向であるものとして説明したが、足部22a,22bの延伸方向は、Z軸に対して角度を持った方向であってもよい。この場合、第2の溝12a2,12b2の延伸方向は、足部22a,22bの延伸方向に対して交差する方向である。
以上のように、実施の形態1にかかる電力量計100は、電力量を計測する計量部3を有する電力量計本体10と、電力量計本体10に取り付けられ、電力量計本体10の一部を覆うカバー20と、電力量計本体10とカバー20とを封印する封印キャップ5a,5bとを備える。カバー20は、電力量計本体10の一部を覆うカバー本体21と、カバー本体21の側壁部21bから延伸する足部22a,22bとを備える。電力量計本体10は、足部22a,22bと係合する第2の係合部15a,15bを備える。封印キャップ5a,5bは、足部22a,22bと電力量計本体10の封印ねじ6a,6bに跨って取り付けられる。これにより、電力量計100は、封印ねじでカバー20を締め付けることなく、電力量計本体10の一部を覆うカバー20を封印することができる。また、電力量計100では、電力量計本体10の検定封印だけでなく、カバー20の取り外しも防止するように同時に封印することができる。
また、電力量計本体10は、第2のガイド溝14a,14bを備える。第2のガイド溝14a,14bは、足部22a,22bの延伸方向である第1の方向に沿って延伸し、電力量計本体10にカバー20が取り付けられる際に足部22a,22bを第1の方向にガイドした後、第1の方向に直交または交差する方向である第2の方向へガイドする。第2の係合部15a,15bは、第2のガイド溝14a,14bに設けられ、電力量計本体10にカバー20が取り付けられる際に第2のガイド溝14a,14bにおいて第2の方向へ移動した足部22a,22bと係合する。これにより、電力量計100は、封印ねじでカバー20を締め付けることなく、電力量計本体10の一部を覆うカバー20を封印することができる。また、電力量計100では、電力量計本体10の検定封印だけでなく、カバー20の取り外しも防止するように同時に封印することができる。
また、カバー本体21は、側壁部21bの内側に突起22a3,22b3が設けられる。電力量計本体10は、L字状の第1のガイド溝12a,12bと、第1の係合部13a,13bとを備える。第1のガイド溝12a,12bは、第1の方向に沿って延伸する第1の溝12a1,12b1と、第2の方向に沿って延伸する第2の溝12a2,12b2とを含み、電力量計本体10にカバー20が取り付けられる際に突起22a3,22b3を第1の溝12a1,12b1および第2の溝12a2,12b2の順にガイドする。第1の係合部13a,13bは、突起22a3,22b3と係合する。第1の係合部13a,13bは、第1のガイド溝12a,12bの第2の溝12a2,12b2に設けられ、第2の溝12a2,12b2において第2の方向へ移動した突起22a3,22b3と係合する。これにより、電力量計100は、封印ねじでカバー20を締め付けることなく、電力量計本体10の一部を覆うカバー20を封印することができる。
また、足部22a,22bは、第1の延伸部22a1,22b1と、第2の延伸部22a2,22b2と、を備える。第1の延伸部22a1,22b1は、第1の方向に沿って延伸する。第2の延伸部22a2,22b2は、第1の延伸部22a1,22b1に連続し、カバー本体21の側壁部21bから離れる方向に沿って延伸する。封印キャップ5a,5bは、足部22a,22bの第2の延伸部22a2,22b2と封印ねじ6a,6bとに跨って取り付けられる。これにより、電力量計100では、封印キャップ5a,5bを無理やり外そうとしても、封印キャップ5a,5bが破壊され、封印キャップ5a,5bを外そうとした痕跡を残すことができる。
また、第1の延伸部22a1,22b1と封印キャップ5a,5bとの間隔は、足部22a,22bの突起22a3,22b3における突出方向の長さよりも短い。これにより、電力量計100では、封印キャップ5a,5bによって、第2の取り付け状態で取り付けられているカバー20を電力量計100から取り外すことを困難にすることができる。また、仮に、封印キャップ5a,5bを無理やり外そうとしても、上述したように、封印キャップ5a,5bが破壊され、封印キャップ5a,5bを外そうとした痕跡を残すことができる。
また、カバー本体21には、側壁部21bの内側に突起である第1の突起21c1,21c2とは異なる第2の突起21c3,21c4が設けられる。電力量計本体10は、第1の方向に沿って延伸し、電力量計本体10にカバー本体21が取り付けられる際に第2の突起21c3,21c4が移動する第3のガイド溝16a,16bを備える。これにより、カバー20が電力量計本体10に取り付けられた状態で、カバー20のZ軸方向の移動を精度よく制限することができる。
また、カバー本体21によって覆われる電力量計本体10の一部には、電力量計本体10の設定を行うための第1の設定部11bが含まれている。第1の設定部11bは、カバー本体21の第1の突起21c1,21c2が第2の溝12a2,12b2のうち第1の溝12a1,12b1と足部22a,22bの延伸方向で対向する位置にある場合、カバー本体21によって覆われていない状態である。これにより、電力量計本体10へのカバー20の取り付け状態が第1の取り付け状態である場合において、電力量計本体10の設定を変更することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。