JP7299936B2

JP7299936B2 - 切削工具、切削インサート及び保持具

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Publication number: JP7299936B2
Application number: JP2021024890A
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Inventors: 雄大井田
Original assignee: Tungaloy Corp
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Priority date: 2021-02-19
Filing date: 2021-02-19
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Description

本発明は、切削工具、切削インサート及び保持具に関する。

旋削用の切削工具は、通常、切削インサートと、当該切削インサートを保持する工具本体（保持具）を有する。上記切削インサートには、３つのコーナー部を有する略三角形の立体形状（略三角柱状）のものがあり、この中には、例えばコーナー部の角度が６０度（°）を超えるものや超えないもの、ネガ型（逃げ角がない）のものやポジ型（逃げ角がある）のものなどがある。これらの切削インサートは、工具本体に固定されて使用されている（特許文献１、２参照）。

特開２０１９－３４３５８号公報特表２０１８－５２９５３５号公報

ところで、上述のような略三角柱状の複数種類の切削インサートは、外殻形状がそれぞれ異なり、またしっかり固定する必要があるため、それぞれの専用の工具本体に固定される。そのため、切削インサートを異なる種類のものに取り換えるときには、工具本体も取り換える必要があり、作業効率が低下する。また、切削インサートの種類ごとに工具本体を用意する必要があり、コストも高くなる。さらに、切削インサートを用いて様々な形状の加工を日替わりで行うような場合には、工作機械の刃物台（タレットなど）の制約から、搭載できる保持具の本数に限りがあり、コーナー部の角度が例えば８０度の、６０度を超えるようなネガ型及びポジ型、コーナー部の角度が例えば３５度の、６０度未満のネガ型及びポジ型の４種類の切削インサートのような様々な種類の切削インサートを１本の保持具で使用できるとよい。

本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、上述の４種類を含む複数種類の切削インサートを一つの工具本体でしっかり保持することができる切削工具、切削インサート及び保持具を提供することをその目的とする。

本発明の一態様に係る切削工具は、切削インサートと工具本体を備えた切削工具であって、切削インサートは、３つのコーナー部を有する略三角形の立体形状を備え、工具本体は、コーナー部の角度が６０度を超えるネガ型の切削インサートと、コーナー部の角度が６０度を超えるポジ型の切削インサートと、コーナー部の角度が６０度未満のネガ型の切削インサートと、コーナー部の角度が６０度未満のポジ型の切削インサートを含む複数種類の切削インサートを選択的に固定可能な固定部を備え、前記固定部は、切削インサートの底面と接触する底面と、切削インサートの側面と接触する側壁面と、を有し、前記固定部の側壁面は、切削インサートの種類に応じて切削インサートと接触する部分が異なっている。

上記態様によれば、４種類の切削インサートを一つの工具本体でしっかり保持することができる。

上記態様において、前記固定部の側壁面は、中央の中央壁面と、当該中央壁面の両端に接続され、中央壁面よりも工具本体後方に後退する後退壁面を有し、前記中央壁面と前記後退壁面に、前記切削インサートと接触する部分を有するようにしてもよい。

上記態様において、前記固定部の側壁面は、前記中央壁面の上部と前記後退壁面の上部に、前記切削インサートと接触する部分を有するようにしてもよい。

上記態様において、前記切削インサートは、隣り合うコーナー部の間に３つの周側面を有し、前記切削インサートの各周側面は、コーナー部を形成するコーナー面と、隣り合う２つのコーナー部の間の中央に形成された中央面と、前記中央面と前記コーナー面の間に設けられ、前記中央面と前記コーナー面を接続する接続面とを有し、前記切削インサートの前記中央面の第１の部分、又は、前記接続面、前記コーナー面からなる第２の部分のいずれかが、前記固定部の側壁面と接触するようにしてもよい。

上記態様において、コーナー部の角度が６０度を超えるポジ型の切削インサートと、コーナー部の角度が６０度未満のネガ型の切削インサートと、コーナー部の角度が６０度未満のポジ型の切削インサートの３種類の切削インサートが、前記固定部の側壁面に対し共通の第１の部分に接触し、コーナー部の角度が６０度を超えるネガ型の切削インサートが、前記固定部の側壁面に対し前記３種類の切削インサートと異なる第２の部分に接触するようにしてもよい。

上記態様において、前記固定部の側壁面の前記第２の部分は、前記第１の部分よりも、前記側壁面の中央から離れた外側に位置するようにしてもよい。

本発明の別の態様に係る切削インサートは、角度が６０度を超える、又は６０度未満の３つのコーナー部を有する略三角形の立体形状を備え、隣り合うコーナー部の間に３つの周側面を有し、前各周側面は、コーナー部を形成するコーナー面と、隣り合うコーナー部の間の中央に形成された中央面と、前記中央面と前記コーナー面の間に設けられ、前記中央面と前記コーナー面を接続する接続面とを有し、前記中央面の第１の部分、又は、前記接続面、前記コーナー面からなる第２の部分のいずれかに、切削工具の工具本体に固定される際に工具本体と接触する接触部分が形成されている。

上記態様において、前記切削インサートは、コーナー部の角度が６０度を超えるポジ型の切削インサート、コーナー部の角度が６０度未満のネガ型の切削インサート又は、コーナー部の角度が６０度未満のポジ型の切削インサートであり、前記中央面の第１の部分に、切削工具の工具本体に固定される際に工具本体と接触する接触部分が形成されていてもよい。

上記態様において、前記切削インサートは、コーナー部の角度が６０度を超えるネガ型の切削インサートであり、前記接続面、前記コーナー面からなる第２の部分に、切削工具の工具本体に固定される際に工具本体と接触する接触部分が形成されていてもよい。

本発明の別の態様に係る保持具は、３つのコーナー部を有する略三角形の立体形状を備える切削インサートを保持する保持具であって、コーナー部の角度が６０度を超えるネガ型の切削インサートと、コーナー部の角度が６０度を超えるポジ型の切削インサートと、コーナー部の角度が６０度未満のネガ型の切削インサートと、コーナー部の角度が６０度未満のポジ型の切削インサートを含む複数種類の切削インサートを選択的に固定可能な固定部を備え、前記固定部は、切削インサートの底面と接触する底面と、切削インサートの側面と接触する側壁面と、を有し、前記固定部の側壁面は、切削インサートの種類に応じて切削インサートと接触する部分が異なっている。

切削工具の斜視図である。工具本体の斜視図である。工具本体の固定部の正面図である。第１の切削インサートの斜視図である。第１の切削インサートの平面図である。第１の切削インサートの側面図である。第２の切削インサートの斜視図である。第２の切削インサートの平面図である。第２の切削インサートの底面図である。第２の切削インサートの側面図である。第３の切削インサートの斜視図である。第３の切削インサートの平面図である。第３の切削インサートの側面図である。第４の切削インサートの斜視図である。第４の切削インサートの平面図である。第４の切削インサートの底面図である。第４の切削インサートの側面図である。第１の切削インサートを取り付けた工具本体の固定部の拡大平面図である。図１８のＡ－Ａ断面図である。切削インサートと工具本体の接触部分を示す説明図である。第２の切削インサートを取り付けた工具本体の固定部の拡大平面図である。図２０のＢ－Ｂ断面図である。切削インサートと工具本体の接触部分を示す説明図である。第３の切削インサートを取り付けた工具本体の固定部の拡大平面図である。図２２のＣ－Ｃ断面図である。第４の切削インサートを取り付けた工具本体の固定部の拡大平面図である。図２４のＤ－Ｄ断面図である。

以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。

図１は、本実施の形態に係る切削工具１の一例を示す説明図である。切削工具１は、刃先交換式の旋削用の工具である。切削工具１は、切削インサート１０と、切削インサート１０が固定される工具本体（保持具）２０を備えている。

＜工具本体＞
工具本体２０は、３つのコーナー部を有する複数種類の切削インサート１０を選択的に保持することができるように構成されている。工具本体２０は、例えば略角柱状に形成され、その先端に、切削インサート１０の固定部３０を有している。固定部３０は、図２及び図３に示すように例えば切削インサート１０の底面に接触する底面４０と、切削インサート１０の側面と接触する側壁面４１を有している。

底面４０は、例えば工具本体２０の敷金５０の天面によって形成されている。なお、底面４０は、敷金５０でなく工具本体２０自体で形成されていてもよい。

底面４０は、略正三角形の形状を有する。底面４０は、工具本体２０の先端側（図２及び図３の先端方向Ｘ１側）に三角形の一つの頂部が向くように形成されている。底面４０の先端側には、先端方向Ｘ１に向かって延伸する、上に凸の凸条部６０が形成されている。底面４０は、先端側に第１の底面４０ａを有し、後端側に第２の底面４０ｂを有している。第１の底面４０ａと第２の底面４０ｂは共に略平坦であり、第１の底面４０ａは、第２の底面４０ｂよりも低く、第１の底面４０ａと第２の底面４０ｂの間には段部が形成されている。凸条部６０は、第１の底面４０ａに形成されている。また、底面４０の後方部分（底面４０と側壁面４１との間）には、平坦面６１があり、この平坦面６１は、第２の底面４０ｂよりも低くなっている。なお、ここでいう「上」は、図２及び図３の工具本体２０の姿勢を基準にしている。

側壁面４１は、底面４０の後方側（図２及び図３の後方向Ｘ２側）の端部において立設されている。側壁面４１は、左右方向（図２及び図３に示す前後方向Ｘの直角方向）Ｙに延設する略長方形状を有している。側壁面４１は、左右方向Ｙの中央の中央壁面７０と、中央壁面７０の両端に接続され、中央壁面７０よりも後方に後退する後退壁面７１を有している。

中央壁面７０は、方形状の平坦面である。中央壁面７０は、底面４０の垂直面に対し上側が先端方向Ｘ１に出て下側が後方向Ｘ２側に出るように底面４０の垂直面に対しわずかに傾斜（前傾）している。

後退壁面７１は、中央壁面７０から左右方向Ｙの外側に近づくにつれて次第に滑らかに後退する湾曲面状の形状を有している。後退壁面７１は、中央壁面７０と同様に、底面４０の垂直面に対し上側が先端方向Ｘ１に出て下側が後方向Ｘ２側に出るように底面４０の垂直面に対しわずかに傾斜（前傾）している。

工具本体２０は、例えば側壁面４１の上部に段部８０を有し、その段部８０は、その後方向Ｘ２側に位置する平坦面８１に接続されている。平坦面８１の中央付近には、切削インサート１０を上から保持するクランプ８２（図１に示す）を固定するための孔８３が形成されている。図１に示すようにクランプ８２は、螺子８４により工具本体２０の平坦面８１に固定され、切削インサート１０の端面と、固定用孔の内面を押さえて保持することができる。

上記工具本体２０は、例えばコーナー部の角度が６０度を超えるネガ型の切削インサートと、コーナー部の角度が６０度を超えるポジ型の切削インサートと、コーナー部の角度が６０度未満のネガ型の切削インサートと、コーナー部の角度が６０度未満のポジ型の切削インサートの４種類を少なくとも含む複数種類の切削インサート１０を選択的に保持する。

図４乃至図６には、コーナー部の角度が６０度を超えるネガ型の第１の切削インサート９０の一例を示す。図４は、第１の切削インサート９０の一例を示す斜視図であり、図５は、第１の切削インサート９０を第１の端面から見た平面図であり、図６は、第１の切削インサート９０の側面図である。

＜第１の切削インサート＞
図４に示すように第１の切削インサート９０は、例えば扁平な略三角形の立体形状（略三角柱形状）を有している。第１の切削インサート９０の３つのコーナー部９１は、８０度の先端角度α１（図５に示す）を有している。

図４乃至図６に示すように第１の切削インサート９０は、互いに対向する略三角形状の第１の端面１００及び第２の端面１０１と、第１の端面１００と第２の端面１０１とを接続し、第１の端面１００との間と第２の端面１０１との間にそれぞれ交差稜線１０２、１０３を形成する３つの周側面１０４と、第１の端面１００から第２の端面１０１に貫通する固定用孔１０５を備えている。各コーナー部９１付近の交差稜線１０２、１０３は、切れ刃１２０を構成している。

図４及び図５に示すように第１の端面１００は、その中央に固定用孔１０５を有している。第１の端面１００の中心Ｏは、固定用孔１０５の中心軸Ｃ上に位置している。第１の端面１００は、その中心Ｏから各頂点（コーナー部９１）に向かう３つの溝１３０を有している。第１の端面１００は、コーナー部９１の切れ刃１２０付近に、第１のチップブレーカー１３１と第２のチップブレーカー１３２を有している。第１のチップブレーカー１３１は、各コーナー部９１の頂点近辺に設けられ、例えば上に突出する一つの突起部を有している。第２のチップブレーカー１３２は、例えば上に突出する複数の突起部を有し、各コーナー部９１の頂点付近から、隣のコーナー部９１の頂点に向かう交差稜線１０２に沿って配置されている。第２のチップブレーカー１３２の複数の突起部は、交差稜線１０２に沿って直線的に並べて配置されている。この第２のチップブレーカー１３２により、切削インサート９０の後引き動作において、切り屑の排出性を向上することができる。例えば第２の端面１０１は、第１の端面１００と同じ構成を有している。第１の切削インサート９０は、第１の端面１００を天面にした状態でも第２の端面１０１を底面にした状態でも使用することができる。

図４及び図６に示すように各周側面１０４は、コーナー部９１を形成するコーナー面１４０と、隣り合うコーナー部９１の間の中央に形成された中央面１４１と、中央面１４１とコーナー面１４０の間に設けられ、中央面１４１とコーナー面１４０を接続する接続面１４２とを有している。第１の切削インサート９０は、ネガ型であるため、逃げ角がなく、各周側面１０４は、第１の端面１００及び第２の端面１０１に対し垂直な面を構成している。

図５に示すように、第１の端面１００側から見た平面視で、コーナー部９１を挟んだ２つの中央面１４１がなす角度α２は、６０度である。コーナー部９１を挟んだ２つのコーナー面１４０がなす角度α３は、８０度である。コーナー部９１を挟んだ２つの接続面１４２がなす角度α４は、４５度である。これにより、接続面１４２とコーナー部９１との接続部分には、第１の端面１００（中心軸Ｃ）側から見て外側に膨らんだ山部１５０が形成される。この山部１５０は、工具本体２０の側壁面４１と接触する接触部分となる。

図６に示すように交差稜線１０２、１０３は、コーナー部９１の頂点において最も仮想中間平面Ｐ１から離れ、隣り合うコーナー部９１の間の中央において仮想中間平面Ｐ１に最も近づくように傾斜している。仮想中間平面Ｐ１とは、中心軸Ｃに垂直で、第１の端面１００と第２の端面１０１の間の中央を通る仮想面である。本例のようなポジ型の切削インサートにおいて、仮想中間平面Ｐ１に対し交差稜線１０２、１０３がなす傾斜角α５を、例えば１度以上、７度以下とするとよい。この交差稜線１０２、１０３の傾斜により切り屑の排出性を向上することができる。なお、本例では、交差稜線１０２、１０３が、図６に示す側面視で直線状であったが、曲線状であってもよい。この場合、傾斜角α５は、交差稜線１０２、１０３の仮想中間平面Ｐ１から最も離れた点と仮想中間平面Ｐ１に最も近づいた点とを結んだ直線と、仮想中間平面Ｐ１とがなす角度とする。

図５に示すように固定用孔１０５は、第１の切削インサート９０の中央を第１の端面１００から第２の端面１０１に向かう方向（厚み方向）に貫通している。

＜第２の切削インサート＞
図７乃至図１０には、コーナー部の角度が６０度を超えるポジ型の切削インサート１９０の一例を示す。図７は、第２の切削インサート１９０の一例を示す斜視図であり、図８は、第２の切削インサート１９０を第１の端面１００から見た平面図であり、図９は、第２の切削インサート１９０を第２の端面１０１から見た底面図である。図１０は、第２の切削インサート１９０の側面図である。

図７乃至図１０に示すように第２の切削インサート１９０は、ポジ型である点で、ネガ型の第１の切削インサート９０と異なる構成を有している。すなわち、第２の切削インサート１９０は、ポジ型であるため逃げ角があり、各周側面１０４の中央面１４１付近以外の部分（例えばコーナー面１４０及び接続面１４２）は、第１の端面１００の垂直面に対し傾斜した面になる。

図７及び図８に示すように第１の端面１００は、例えばチップブレーカー１３１、１３２を有しているが、溝１３０を有していない。図９に示すように第２の端面１０１は、第１の端面１００と異なる構成を有している。第２の端面１０１は、溝１３０を有しているが、チップブレーカー１３１、１３２を有しておらず、溝１３０以外の部分に平坦な底面を有している。

図１０に示すように各周側面１０４のコーナー面１４０及び接続面１４２は、第１の端面１００に対し９０度以下の角度を有し、傾斜している。そして、図８に示すように、中心軸Ｃ方向の第１の端面１００側から見て、コーナー部９１を挟んだ２つの中央面１４１の上端部（中央交差稜線）がなす角度α２は、６０度である。コーナー部９１を挟んだ２つのコーナー面１４０の上端部（コーナー交差稜線）がなす角度α３は、８０度である。コーナー部９１を挟んだ２つの接続面１４２の上端部（接続交差稜線）がなす角度α４は、４５度である。中央面１４１の上端部付近は、工具本体２０の側壁面４１と接触する接触部分となる。本例のようなネガ型の切削インサートにおいて、仮想中間平面Ｐ１に対し交差稜線１０２、１０３がなす傾斜角α５（図１０に示す）を、例えば１度以上、２２度以下とするとよい。

なお、第２の切削インサート１９０は、特に言及しない部分については第１の切削インサート９０と同じ構成を有しており、第１の切削インサート９０と同じ符号を用いて説明を省略する。

＜第３の切削インサート＞
図１１乃至図１３には、コーナー部の角度が６０度未満のネガ型の切削インサート２９０を示す。図１１は、第３の切削インサート２９０の一例を示す斜視図であり、図１２は、第３の切削インサート２９０を第１の端面１００から見た平面図であり、図１３は、第３の切削インサート２９０の側面図である。

図１１乃至図１３に示すように第３の切削インサート２９０は、コーナー部の角度が６０度未満である点で第１の切削インサート９０と異なる構成を有している。すなわち、図１２に示すように第３の切削インサート２９０の３つのコーナー部９１は、３５度の先端角度α１を有している。中心軸Ｃ方向の第１の端面１００側から見て、コーナー部９１を挟んだ２つの中央面１４１がなす角度α２は、６０度である。コーナー部９１を挟んだ２つのコーナー面１４０がなす角度α３は、３５度である。コーナー部９１を挟んだ２つの接続面１４２がなす角度α４は、８０度である。これにより、接続面１４２とコーナー面１４０との接続部分には、第１の端面１００側から見た平面視で、内側に凹む谷部３００が形成されている。そして、中央面１４１が、工具本体２０の側壁面４１と接触する接触部分となる。なお、第３の切削インサート２９０は、特に言及しない部分については第１の切削インサート９０と同じ構成を有しており、第１の切削インサート９０と同じ符号を用いて説明を省略する。

＜第４の切削インサート＞
図１４乃至図１７には、コーナー部の角度が６０度未満のポジ型の第４の切削インサート３９０を示す。図１４は、第４の切削インサート３９０の一例を示す斜視図であり、図１５は、第４の切削インサート３９０を第１の端面１００から見た平面図であり、図１６は、第４の切削インサート３９０を第２の端面１０１から見た底面図である。図１７は、第４の切削インサート３９０の側面図である。

図１４乃至図１７に示すように第４の切削インサート３９０は、ポジ型である点で、ネガ型の第３の切削インサート２９０と異なる構成を有している。すなわち、第４の切削インサート３９０は、ポジ型であるため逃げ角があり、各周側面１０４の中央面１４１付近以外の部分（例えばコーナー面１４０及び接続面１４２）は、第１の端面１００の垂直面に対し傾斜した面となる。

図１４及び図１５に示すように第１の端面１００は、例えばチップブレーカー１３１、１３２を有しているが、溝１３０を有していない。図１６に示すように第２の端面１０１は、第１の端面１００と異なる構成を有する。第２の端面１０１は、溝１３０を有しているが、チップブレーカー１３１、１３２を有しておらず、溝１３０以外の部分に平坦な底面を有している。

図１７に示すように各周側面１０４のコーナー面１４０及び接続面１４２は、第１の端面１００に対し９０度以下の角度を有し、傾斜している。そして、図１５に示すように、中心軸Ｃ方向の第１の端面１００側から見て、コーナー部９１を挟んだ２つの中央面１４１の上端部（中央交差稜線）がなす角度α２は、６０度である。コーナー部９１を挟んだ２つのコーナー面１４０の上端部（コーナー交差稜線）がなす角度α３は、３５度である。コーナー部９１を挟んだ２つの接続面１４２の上端部（接続交差稜線）がなす角度α４は、８０度である。中央面１４１の上端部が、工具本体２０の側壁面４１と接触する接触部分となる。なお、第４の切削インサート３９０は、特に言及しない部分については第３の切削インサート２９０と同じ構成を有しており、第３の切削インサート２９０と同じ符号を用いて説明を省略する。

上記切削工具１は、切削インサート９０、１９０、２９０、３９０を選択的に工具本体２０に固定することができる。

図１８に示すように第１の切削インサート９０は、一つのコーナー部９１を先端方向Ｘ１に向けた状態で、工具本体２０の固定部３０に載置され、螺子が固定用孔１０５に挿通され、当該螺子によって固定部３０に固定される。また第１の切削インサート９０は、図１に示したようにクランプ８２により上から押さえられる。第１の切削インサート９０の第２の端面１０１は、固定部３０の底面４０に当接し、第２の端面１０１の溝１３０と凸条部６０とが嵌合する。第１の切削インサート９０の一つの周側面１０４は、固定部３０の側壁面４１の両側の後退壁面７１の２か所で接触する。例えば図１９に示すように周側面１０４における接続面１４２とコーナー面１４０との接続部分である山部１５０（第２の部分）と、固定部３０の後退壁面７１とが接触する。このとき、山部１５０と後退壁面７１の上部同士（のみ）が接触する。図２０に示すように山部１５０と後退壁面７１は点Ｆ１で接触する。

図２１に示すように第２の切削インサート１９０は、一つのコーナー部９１を先端方向Ｘ１に向けた状態で、工具本体２０の固定部３０に載置され、螺子により固定部３０に固定される。また第２の切削インサート１９０は、クランプ８２により上から押さえられる。第２の切削インサート１９０の第２の端面１０１は、固定部３０の底面４０に当接し、第２の端面１０１の溝１３０と凸条部６０とが嵌合する。第２の切削インサート１９０の一つの周側面１０４は、固定部３０の側壁面４１の中央壁面７０の一か所で接触する。例えば図２２に示すように周側面１０４の中央面１４１（第１の部分）と固定部３０の中央壁面７０とが接触する。このとき、中央面１４１と中央壁面７０の上部同士（のみ）が接触する。図２３に示すように中央面１４１と中央壁面７０の接触部分Ｆ２は、左右方向Ｙに延びる線状となる。

図２４に示すように第３の切削インサート２９０は、一つのコーナー部９１を先端方向Ｘ１に向けた状態で、工具本体２０の固定部３０に載置され、螺子により固定部３０に固定される。また第３の切削インサート２９０は、クランプ８２により上から押さえられる。第３の切削インサート２９０の第２の端面１０１は、固定部３０の底面４０に当接し、第２の端面１０１の溝１３０と凸条部６０とが嵌合する。第３の切削インサート２９０の一つの周側面１０４は、固定部３０の側壁面４１の中央壁面７０の一か所で接触する。例えば図２５に示すように周側面１０４の中央面１４１（第１の部分）と固定部３０の中央壁面７０とが接触する。このとき、中央面１４１と中央壁面７０の上部同士（のみ）が接触する。図２３に示すように中央面１４１と中央壁面７０の接触部分Ｆ２は、左右方向Ｙに延びる線状となる。

図２６に示すように第４の切削インサート３９０は、一つのコーナー部９１を先端方向Ｘ１に向けた状態で、工具本体２０の固定部３０に載置され、螺子により固定部３０に固定される。また第４の切削インサート３９０は、クランプ８２により上から押さえられる。第４の切削インサート３９０の第２の端面１０１は、固定部３０の底面４０に当接し、第２の端面１０１の溝１３０と凸条部６０とが嵌合する。第４の切削インサート３９０の一つの周側面１０４は、固定部３０の側壁面４１の中央壁面７０の一か所で接触する。例えば図２７に示すように周側面１０４の中央面１４１（第１の部分）と固定部３０の中央壁面７０とが接触する。このとき、中央面１４１と中央壁面７０の上部同士（のみ）が接触する。図２３に示すように中央面１４１と中央壁面７０の接触部分Ｆ２は、左右方向Ｙに延びる線状となる。

本実施の形態によれば、工具本体２０が、コーナー部の角度が６０度を超えるネガ型の切削インサート９０と、コーナー部の角度が６０度を超えるポジ型の切削インサート１９０と、コーナー部の角度が６０度未満のネガ型の切削インサート２９０と、コーナー部の角度が６０度未満のポジ型の切削インサート３９０を含む複数種類の切削インサート１０を選択的に固定可能な固定部３０を備え、固定部３０の側壁面４１は、切削インサート１０の種類によって切削インサート１０と接触する部分が異なっている。これにより、４種類の切削インサート１０を一つの工具本体２０しっかり保持することができる。この結果、切削インサート１０の種類を取り換えるときでも、同じ工具本体２０を使用することができ、工具本体２０を取り換える必要がないため、作業効率を向上することができる。また、切削インサートの種類ごとの工具本体２０が必要でなくなり、コストを低減することができる。さらに、工作機械の刃物台（タレットなど）に搭載できる工具本体２０の本数に限りがあるところ、複数種類の切削インサートに対し１本の工具本体２０で対応できることは、被削材の加工形状の多様性や作業効率を確保する点で大きなメリットがある。

固定部３０の側壁面４１は、中央の中央壁面７０と、当該中央壁面７０の両端に接続され、中央壁面７０よりも後方向Ｘ２に後退する後退壁面７１を有し、中央壁面７０と後退壁面７１に、切削インサート１０と接触する部分を有している。これにより、切削インサート１０と側壁面４１とが接触する部分を切削インサート１０の種類に応じて好適に使い分けることができる。

固定部３０の側壁面４１は、中央壁面７０の上部と後退壁面７１の上部に、切削インサート１０と接触する部分を有している。これにより、切削インサート１０に対する工具本体２０の保持力を上げることができる。

切削インサート１０の中央面１４１の第１の部分か、接続面１４２、コーナー面１４０の第２の部分のいずれかが、固定部３０の側壁面４１と接触するので、切削インサート１０と側壁面４１とが接触する部分を切削インサート１０の種類に応じて好適に使い分けることができる。

コーナー部の角度が６０度を超えるポジ型の切削インサート１９０と、コーナー部の角度が６０度未満のネガ型の切削インサート２９０と、コーナー部の角度が６０度未満のポジ型の切削インサート３９０の３種類の切削インサートが、固定部３０の側壁面４１に対し共通の第１の部分（中央面１４１）に接触し、コーナー部の角度が６０度を超えるネガ型の切削インサート９０が、固定部３０の側壁面４１に対し３種類の切削インサート１９０、２９０、３９０と異なる第２の部分（接続面１４２及びコーナー面１４０）に接触する。これにより、工具本体２０は、切削インサート１０の外殻形状に応じて保持力が高くなる部分で切削インサートを適切に保持することができる。

固定部３０の側壁面４１の第２の部分は、第１の部分よりも、側壁面４１の中央から離れた外側に位置する。これにより、切削インサート９０の回転方向に対する工具本体２０の保持力を向上することができる。

以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

例えば切削インサート１０（９０、１９０、２９０、３９０）の構成は上記実施の形態のものに限られない。例えば切削インサート９０、１９０のコーナー部の角度α１は、８０度に限られず、切削インサート２９０、３９０のコーナー部の角度α１は、３５度に限られない。また、ネガ型の切削インサートは、周側面１０４の第１の端面１００に近い部分には逃げ面がなく、第２の端面１０１に近い部分に逃げ面があるものであってもよい。また、工具本体２０は、上記切削インサート９０、１９０、２９０、３９０のみならず、それら以外の構成（種類）の切削インサート１０も保持できてもよい。

本発明は、４種類の切削インサートを一つの工具本体でしっかり保持することができる切削工具を提供する際に有用である。

１切削工具
１０切削インサート
２０工具本体
３０固定部
４０底面
４１側壁面
７０中央壁面
７１後退壁面
９０第１の切削インサート
９１コーナー部
１００第１の端面
１０１第２の端面
１０４周側面
１９０第２の切削インサート
２９０第３の切削インサート
３９０第４の切削インサート

Claims

切削インサートと工具本体を備えた切削工具であって、
切削インサートは、３つのコーナー部を有する略三角形の立体形状を備え、
工具本体は、コーナー部の先端部分の先端角度が６０度を超える、逃げ角がないネガ型の第１の切削インサートと、コーナー部の先端部分の先端角度が６０度を超える、逃げ角があるポジ型の第２の切削インサートと、コーナー部の先端部分の先端角度が６０度未満の、逃げ角がないネガ型の第３の切削インサートと、コーナー部の先端部分の先端角度が６０度未満の、逃げ角があるポジ型の切削インサートを含む複数種類の第４の切削インサートを選択的に固定可能な固定部を備え、
前記固定部は、
前記切削インサートの底面と接触する底面と、
前記切削インサートの側面と接触する側壁面と、を有し、
前記固定部の前記側壁面は、中央の中央壁面と、当該中央壁面の両端に接続され、中央壁面よりも工具本体後方に後退する後退壁面と、を有し、
前記各切削インサートの側面は、隣り合う前記コーナー部の間に３つの周側面を有し、
前記各切削インサートの各周側面は、
コーナー部を形成するコーナー面と、
隣り合う２つのコーナー部の間の中央に形成された中央面と、
前記中央面と前記コーナー面の間に設けられ、前記中央面と前記コーナー面を接続する２つの接続面と、を有し、
前記第１の切削インサートは、前記各接続面に形成された山部が前記固定部の前記後退壁面と接触するように構成され、
前記第２から第４の切削インサートは、前記中央面が前記固定部の前記中央壁面と接触するように構成され、
前記コーナー部の前記先端角度は、前記コーナー面のある部分の角度である、切削工具。
前記第１の切削インサートの前記山部は、前記固定部の前記後退壁面の上部と点で接触する、
請求項１に記載の切削工具。
前記第２から第４の切削インサートの前記中央面は、前記固定部の前記中央壁面の上部と線状に接触する、
請求項１又は２に記載の切削工具。