以下、図1~図12を用い、実施形態に係る画像処理装置を説明する。画像処理装置として、複合機100を例に挙げて説明する。複合機100は画像データに基づく印刷や送信ができる。複合機100は画像形成装置の一種でもある。本実施形態の説明に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
(複合機100)
図1を用いて、実施形態に係る複合機100を説明する。図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
図1に示すように、複合機100は、制御部1(画像処理部に相当)、記憶部2、原稿搬送部3a、画像読取部3b、操作パネル4、印刷部5を含む。
制御部1は、複合機100の動作を制御する。制御部1は、コピーや送信のようなジョブでの動作を制御する。制御部1は、制御回路10、画像データ生成回路11、画像処理回路12、通信部13を含む基板である。制御回路10は、例えば、CPUである。制御回路10は、ジョブに関する処理、演算を行う。画像データ生成回路11は、例えば、アナログ画像信号を処理する回路を含む。アナログ画像信号を処理する回路は、例えば、増幅回路、オフセット回路、A/D変換回路である。A/D変換回路は、増幅回路、オフセット回路が調整したアナログ画像信号をディジタルデータ(画像データ)に変換する。画像データ生成回路11は、画像読取部3bが原稿を読み取って出力したアナログ画像信号に基づき、読取画像データ6を生成する。例えば、画像データ生成回路11は、グレー(モノクロ)の読取画像データ6を生成する(カラーでもよい)。例えば、画像データ生成回路11は、1画素8~10ビットの画像データを生成する。また、画像処理回路12は画像処理を行う。画像処理回路12は、例えば、ASIC(画像処理用に設計、開発された集積回路)である。
通信部13は通信回路、通信メモリーを含む。通信部13はコンピューター200やFAX装置300と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。操作パネル4は宛先の設定を受け付ける。制御部1は、設定された宛先に向けて、原稿の読み取りに基づく画像データを通信部13に送信させる(スキャン送信、FAX送信)。また、通信部13は、コンピューター200やFAX装置300からの印刷用データを受信する。制御部1は、受信した印刷用データに基づき印刷部5に印刷させる(プリントジョブ、FAX受信印刷)。
記憶部2はRAM20を含む。また、記憶部2は、ROM21、ストレージ22(HDD又はSSD)を含む。制御部1は、記憶部2のプログラムやデータに基づき、各部を制御する。
原稿搬送部3aは、原稿搬送ローラー、原稿搬送モーターを含む。原稿搬送部3aは原稿の読み取り位置に向けて、セットされた原稿を1枚ずつ搬送する。原稿搬送部3aには、複数枚の原稿をセットすることができる。原稿読み取りを伴うジョブのとき、制御部1(制御回路10)は画像読取部3bに原稿の読み取りを行わせる。画像読取部3bは、原稿搬送部3aが搬送する原稿、又は、コンタクトガラスにセットされた原稿を読み取る。画像読取部3bは読み取った原稿の画像データを生成する。原稿読み取りと画像データの生成のため、画像読取部3bは、光源(ランプ)、レンズ、イメージセンサー(ラインセンサー)を含む。イメージセンサーはアナログ画像信号を出力する。
操作パネル4は使用者の設定を受け付ける。操作パネル4は、表示パネル41、タッチパネル42、ハードキー43を含む。制御部1は、メッセージや、設定用画面を表示パネル41に表示させる。また。制御部1は、操作用画像を表示パネル41に表示させる。操作用画像は、例えば、ボタン、キー、タブである。タッチパネル42の出力に基づき、制御部1は、操作された操作用画像を認識する。ハードキー43は、スタートキーやテンキーを含む。タッチパネル42、ハードキー43は使用者の設定操作(ジョブに関する操作)を受け付ける。例えば、操作パネル4は、原稿の読取のモードの設定を受け付ける。制御部1は操作パネル4の出力に基づき、設定内容を認識する。
印刷部5は、給紙部51、用紙搬送部52、画像形成部53、定着部54を含む。給紙部51は給紙カセット、給紙ローラーを含む。給紙カセットは用紙を収容する。給紙ローラーは用紙を送り出す。印刷ジョブのとき、制御部1は用紙を給紙部51に供給させる。用紙搬送部52は、用紙搬送用の搬送ローラー対、搬送モーターを含む。搬送ローラー対は用紙を搬送する。搬送モーターは搬送ローラー対を回転させる。制御部1は用紙を用紙搬送部52に搬送させる。
画像形成部53は、例えば、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写ローラーを含む。制御部1は画像データに基づくトナー像を画像形成部53に形成させる。制御部1は搬送用紙へのトナー像の転写を画像形成部53に行わせる。定着部54は、ヒーター、定着用回転体、定着用モーターを含む。ヒーターは定着用ローラーを熱する。用紙は定着用回転体と接しつつ搬送される。これにより、トナー像が用紙に定着する。制御部1は転写されたトナー像の用紙への定着を定着部54に行わせる。用紙搬送部52は印刷済み用紙を機外に排出する。
(読取モードの選択)
次に、図2を用いて、実施形態に係る複合機100での読取モードの選択の一例を説明する。図2は、実施形態に係る読取モードの選択画面44の一例を示す図である。
複合機100では、ページ分割モードとノーマルモードを利用することができる。ページ分割モードは、1枚の原稿から複数の内容(部分)を抽出し、抽出した各部分を異なるページに貼り付けるモードである。例えば、ページ分割モードは、複数ページの内容が1ページ内にまとめられた原稿の読み取りに用いられる。ノーマルモードは、通常の原稿読み取りを行うモードである。ノーマルモードは、原稿の内容を抽出せず、1枚の原稿に対して、1ページの画像データを生成するモードである。
操作パネル4が所定の操作を受け付けたとき、制御部1は、読取モードの選択画面44を表示パネル41に表示させる。図2は選択画面44の一例を示す。操作パネル4はモードの選択を受け付ける。複合機100は、ページ分割モードとノーマルモードのうち、使用するモードの選択を受け付ける操作パネル4を含む。
ページ分割モードで読み取りを行いたいとき、使用者は、操作パネル4でページ分割モードを選択する。具体的に、使用者はページ分割モードボタンB1を操作する。ノーマルモードで読み取りを行いたいとき、使用者は、操作パネル4でノーマルモードを選択する。具体的には、ノーマルモードボタンB2を操作する。操作されたボタンに基づき、制御部1は、操作パネル4で選択されたモードを認識する。
ページ分割モードのとき、制御部1(画像処理回路12)は、読取画像データ6について、候補領域8を定める。候補領域8は抽出するか否かの判定の対象となる領域である。制御部1は、候補領域8の上下幅W1と左右幅W2を認識する。制御部1は、上下幅W1と左右幅W2のそれぞれにおいて、予め定められた閾値との差が許容値D2以下の候補領域8を抽出領域9として抽出する。制御部1は、それぞれの抽出領域9を異なるページに貼り付けて1又は複数ページの出力用画像データ60を出力する。
(ページ分割モードでの読み取りの処理)
次に、図3~図7を用いて、実施形態に係るページ分割モードでの読み取りの流れの一例を説明する。図3、図4は実施形態に係るページ分割モードでの読み取りの流れの一例を示す図である。図5、図6は、実施形態に係る候補領域8の設定の一例を示す図である。図7は、実施形態に係る出力設定画面45の一例を示す図である。
図3のスタートは、ページ分割モードが選択された状態で、原稿を読み取り、制御部1(画像データ生成回路11)が読取画像データ6を生成した時点である(スタートキーの操作)。なお、ページ分割モードを選択して複数枚の原稿を連続して読み取るとき、原稿を1枚読み取るごとに、制御部1は、図3、図4の処理を行う。
まず、制御部1(画像処理回路12)は、読取画像データ6をコピーして線検出用画像データ7を生成する(ステップ♯1)。線検出用画像データ7は、境界線L1や枠線L2を検出するための画像データである。例えば、制御部1は、生成した線検出用画像データ7を記憶部2(RAM20)に記憶させる。
次に、制御部1(画像処理回路12)は、直線のみを残すための画像処理を線検出用画像データ7に施す(ステップ♯2)。例えば、制御部1は、コントラスト強調処理、二値化処理、ノイズ除去処理、直線検出処理、消去処理の順で、画像処理を線検出用画像データ7に施す。
コントラスト強調処理は、線検出用画像データ7(読取画像データ6)のコントラストを調整する処理である。例えば、制御部1は、ヒストグラム均等化法に基づく処理を行ってもよい。また、制御部1は、コントラスト強調用テーブルD0を用いて、コントラスト強調処理を行ってもよい。この場合、記憶部2は、コントラスト強調用テーブルD0を不揮発的に記憶する(図1参照)。制御部1は、コントラスト強調用テーブルD0を参照し、線検出用画像データ7に含まれる画素の画素値を変換する。コントラスト強調用テーブルD0は、変換前の画素値と変換後の画素値を定義したデータである。
コントラスト強調処理後、制御部1(画像処理回路12)は、線検出用画像データ7の二値化処理を行う。例えば、制御部1は、二値化用閾値を用いて二値化処理を行う。制御部1は、画素値が二値化用閾値以上の画素については、画素値を1とする。制御部1は、画素値が二値化用閾値よりも小さい画素については、画素値を0とする。
二値化処理後、制御部1(画像処理回路12)は、線検出用画像データ7のノイズ除去処理(輪郭検出)を行う。例えば、制御部1は、Sobelフィルターを用いた演算を線検出用画像データ7の各画素に施す。
ノイズ除去処理(輪郭検出)後、制御部1(画像処理回路12)は、直線検出処理を線検出用画像データ7に施す。例えば、制御部1は、ハフ変換のような直線を検出するアルゴリズムを用いて、線検出用画像データ7に含まれる直線を検出する。
直線検出処理後、制御部1(画像処理回路12)は、消去処理を行う。消去処理は、検出された直線以外の部分(成分)を消す処理である。これにより、文字や模様が消去される。消去処理のとき、制御部1は、認識した直線以外の部分の画素の画素値を白色(例えば、1)に変換する。なお、制御部1は、検出した直線のうち、予め定められた基準長さよりも短い直線を消去してもよい(画素値を白色に変換してもよい)。ある程度大きい領域を候補領域8とするためである。基準長さは、例えば、数センチ程度とできる。
続いて、線検出用画像データ7に基づき、制御部1(画像処理回路12)は、読取画像データ6が境界線L1を含むか否かを判定する(ステップ♯3)。境界線L1とは、読取画像データ6(線検出用画像データ7)の上端と下端をつなぐ直線、又は、左端と右端をつなぐ直線である。例えば、制御部1は、原稿を折り畳むことにより入れられた折り目を境界線L1と認識する。また、制御部1は、原稿の端から端まで手書きで入れられた直線を境界線L1と認識する。
具体的に、制御部1は、線検出用画像データ7を参照し、境界線L1を含むか否かを確認する。線検出用画像データ7が画像データの端部をつなぐ直線を含むとき、制御部1は、読取画像データ6が境界線L1を含むと判定する。また、制御部1は、線検出用画像データ7での境界線L1の位置を認識する。線検出用画像データ7に境界線L1が含まれないとき、制御部1は、読取画像データ6が境界線L1を含まないと判定する。
境界線L1を含むと判定できたとき(ステップ♯3のYes)、境界線L1の位置に基づき、制御部1(画像処理回路12)は、候補領域8を定める(ステップ♯4)。制御部1は、読取画像データ6について候補領域8を定める。図5は、境界線L1に基づく候補領域8の設定の一例を示す図である。
図5の左側の図は、読取画像データ6の一例を示す。図5の右側の図は、線検出用画像データ7の一例を示す。図5の右側に示す線検出用画像データ7には、直線のみを残すための画像処理が施されている。図5の例の場合、制御部1は、線検出用画像データ7において、左端と右端をつなぐ2本の直線を境界線L1と認識している。また、制御部1は、各境界線L1の位置も認識している。そして、制御部1(画像処理回路12)は、読取画像データ6のうち、認識した境界線L1と同じ位置の直線を境界線L1とする。制御部1は、境界線L1で読取画像データ6を分割する。制御部1は、分割された各領域を候補領域8とする。そのため、各候補領域8は、読取画像データ6の端辺の一部を含む。図5は、2本の左右方向の境界線L1に基づき、読取画像データ6を3つに分割する例を示す。
境界線L1を含むと判定できなかったとき(ステップ♯3のNo)、線検出用画像データ7に基づき、制御部1(画像処理回路12)は、読取画像データ6が空白に囲まれた枠線L2(矩形)を含むか否かを判定する(ステップ♯5)。
まず、制御部1(画像処理回路12)は、線検出用画像データ7を参照し、領域を囲う線(領域を閉じる直線)を枠線L2と認識する。そして、制御部1は、線検出用画像データ7における枠線L2の位置を認識する。制御部1は、読取画像データ6において、認識した枠線L2と同じ位置の枠線L2であって、枠線L2の1つ外側の画素の画素値が全て白(1)の枠線L2を、空白に囲まれた枠線L2(矩形)と認識する。枠線L2の1つ外側の画素の一部の画素値が黒(0)の枠線L2については、制御部1は、空白に囲まれた枠線L2(矩形)でないと判定する。例えば、他の枠線L2とつながっている枠線L2は、空白に囲まれた枠線L2と判定されない。
読取画像データ6が空白に囲まれた枠線L2を含むと判定できたとき(ステップ♯5のYes)、空白に囲まれた枠線L2に基づき、制御部1(画像処理回路12)は、候補領域8を定める(ステップ♯6)。制御部1は、読取画像データ6について、空白に囲まれた枠線L2内を候補領域8と定める。
図6は、枠線L2に基づく候補領域8の設定の一例を示す図である。図6は読取画像データ6の一例を示す。図6はカレンダーを読み取って得られた読取画像データ6である。図6での読取画像データ6には、空白で囲まれた枠線L2が12個(12ヶ月分)含まれる。制御部1(画像処理回路12)は、読取画像データ6のうち、空白で囲まれた枠線L2内(枠線L2で囲まれた領域)を候補領域8と定める。図6の読取画像データ6の場合、制御部1は、12個の候補領域8を設定する。
読取画像データ6が空白に囲まれた枠線L2を含むと判定できなかったとき(ステップ♯5のNo)、制御部1(画像処理回路12)は、本フローチャートを終了する(エンド)。抽出すべき領域を判定できないためである。
ステップ♯4、又は、ステップ♯6の後、制御部1(画像処理回路12)は、未選択の候補領域8のうち、1つの候補領域8を選択する(ステップ♯7)。そして、制御部1(画像処理回路12)は、選択した候補領域8の上下幅W1と左右幅W2を認識する(ステップ♯8、図8参照)。制御部1は、候補領域8の上下方向の画素数と1ドットのピッチを乗じて、上下幅W1を求める。また、制御部1は、候補領域8の左右方向の画素数と1ドットのピッチを乗じて、左右幅W2を求める。1ドットのピッチは、読取画像データ6の解像度に基づき決まる。
次に、制御部1(画像処理回路12)は、認識した上下幅W1と予め定められた第1閾値との差の絶対値(第1絶対値)を求める(ステップ♯9)。また、制御部1は、認識した左右幅W2と予め定められた第2閾値との差の絶対値(第2絶対値)を求める(ステップ♯10)。
第1閾値と第2閾値は、候補領域8のサイズが適切か(抽出するのにふさわしいか)否かを判定するための値である。第1閾値と第2閾値は予め定められる。第1閾値と第2閾値は固定された値でもよい。この場合、記憶部2は閾値定義データD1を不揮発的に記憶する(図1参照)。閾値定義データD1は、原稿サイズ(読取画像データ6のサイズ)に対する閾値を定義したデータである。制御部1は、閾値定義データD1を参照する。制御部1は、閾値定義データD1の中から原稿サイズに対応する第1閾値と第2閾値を用いて、各絶対値を求める。
また、操作パネル4は第1閾値と第2閾値の設定を受け付けてもよい。この場合、使用者は、抽出したい領域のサイズにあわせて、操作パネル4に第1閾値と第2閾値を入力する。例えば、ステップ♯4、又は、ステップ♯6が終わった時点で、制御部1は、第1閾値と第2閾値を入力するための画面を表示パネル41に表示させてもよい。制御部1は、操作パネル4(タッチパネル42)を用いて入力された第1閾値と第2閾値を認識する。
そして、制御部1(画像処理回路12)は、第1絶対値と第2絶対値の両方が、予め定められた許容値D2以下か否かを判定する(ステップ♯11)。許容値D2以下のとき(ステップ♯11のYes)、制御部1は、選択している候補領域8の部分の画像データを抽出領域9として抽出する(ステップ♯12)。例えば、制御部1は、後のステップで利用するまで、抽出領域9をRAM20に一時記憶させる。一方、許容値D2を超えているとき(ステップ♯11のNo)、制御部1は、選択している候補領域8の部分を抽出領域9として抽出しない(ステップ♯13)。
許容値D2は予め定められる。記憶部2は許容値D2を不揮発的に記憶する(図1参照)。例えば、許容値D2は、数mm~数cmの間の何れかの値とできる。操作パネル4は許容値D2の設定を受け付けてもよい。この場合、使用者は許容値D2を操作パネル4に入力する。制御部1は、入力された許容値D2を記憶部2に不揮発的に記憶させる。
そして、制御部1は、全ての候補領域8について、処理(絶対値の算出、許容値D2との比較)が完了したか否かを確認する(ステップ♯14)。言い換えると、制御部1は、全ての候補領域8について、ステップ♯7~ステップ♯13の処理を行ったか否かを確認する。全ての候補領域8について処理が完了していないとき(ステップ♯14のNo)、制御部1はステップ♯7を実行する(ステップ♯7に戻る)。
一方、全ての候補領域8について処理が完了したとき(ステップ♯14のYes)、制御部1は、抽出領域9を1つ以上抽出したか否かを確認する(ステップ♯15)。抽出領域9を1つも抽出できなかったとき(ステップ♯15のNo)、制御部1は、読取画像データ6に基づく出力用画像データ60を出力する(ステップ♯16)。言い換えると、候補領域8の全てが抽出領域9として抽出、分割する条件に合致しないとき、制御部1はノーマルモードと同様に、1ページに原稿の全ての内容が含まれた出力用画像データ60を出力する。制御部1は、操作パネル4での設定に応じた画像処理を行って、1ページの出力用画像データ60を出力する。
抽出領域9を1つ以上抽出できたとき(ステップ♯15のYes)、制御部1は、出力設定画面45を表示パネル41に表示させる(ステップ♯17)。操作パネル4は、抽出領域9の出力に関する設定を受け付ける(ステップ♯18)。制御部1は、出力設定画面45での設定内容を認識する(ステップ♯19)。なお、ステップ♯17~ステップ♯19の処理は、原稿の読み取り前に行われてもよい。
そして、制御部1(画像処理回路12)は、それぞれの抽出領域9を異なるページに貼り付けて1又は複数ページの出力用画像データ60を出力する(ステップ♯20)。具体的に、制御部1は、抽出領域9の個数と同じページ数の画像データを生成する。まず、制御部1は、抽出領域9の個数と同じページ数分、白紙の画像データを生成する。そして、制御部1は、白紙のページに1つずつ抽出領域9を貼り付ける。貼り付けられる抽出領域9は、ページごとに異なる。抽出領域9が1つの場合、制御部1は、抽出領域9を貼り付けた1ページの出力用画像データ60を出力する。抽出領域9が複数の場合、制御部1はそれぞれの抽出領域9を異なるページに貼り付けた画像データを複数ページ、出力する。
なお、抽出領域9を貼り付ける画像データ(出力用画像データ60)のサイズと向きは予め決まっていてもよい(例えば、A4サイズやレターサイズ)。また、操作パネル4は、抽出領域9を貼り付ける画像データのサイズと向きの設定を受け付けてもよい。この場合、制御部1は、抽出領域9を貼り付ける出力用画像データ60の各ページのサイズ、向きを設定されたサイズ、向きとする。例えば、A4サイズが設定されたとき、制御部1は、出力用画像データ60のサイズをA4サイズとする。
図7は、出力設定画面45の一例を示す。図7に示すように、出力設定画面45は、出力する画像データに関して設定を行う画面である。出力設定画面45で設定を行い、OKボタンB16を選択することにより、使用者が所望する態様の出力用画像データ60を得られる。
出力設定画面45は、抽出領域9の貼り付け位置を設定するためのボタン群を有する。出力設定画面45には、上下方向の位置を設定するためのボタンとして、上寄せボタンB3、第1中央ボタンB4、下寄せボタンB5が配される。また、出力設定画面45には、左右方向の位置を設定するためのボタンとして、左寄せボタンB6、第2中央ボタンB7、右寄せボタンB8が配される。
まず、抽出領域9を貼り付ける画像データでは、貼り付け可能範囲と余白範囲が予め定められる。貼り付け可能範囲は、余白範囲を除く範囲である。余白範囲は、画像データの上端から所定幅の範囲と、下端からから所定幅の範囲と、左端からから所定幅の範囲と、右端からから所定幅の範囲を含む。余白範囲は、画像データの縁部分であり、ロ字状である。所定幅は、数ミリ~数センチの間の何れかの長さとされる。
上寄せボタンB3が選択されたとき、制御部1(画像処理回路12)は、貼り付け可能範囲の上端と抽出領域9の上端が一致するように、抽出領域9を貼り付ける。第1中央ボタンB4が選択されたとき、制御部1は、貼り付け可能範囲の上下方向の中央と貼り付ける抽出領域9の上下方向の中央が一致するように、抽出領域9を貼り付ける。下寄せボタンB5が選択されたとき、制御部1(画像処理回路12)は、貼り付け可能範囲の下端と抽出領域9の下端が一致するように、抽出領域9を貼り付ける。
左寄せボタンB6が選択されたとき、制御部1(画像処理回路12)は、貼り付け可能範囲の左端と抽出領域9の左端が一致するように、抽出領域9を貼り付ける。第2中央ボタンB7が選択されたとき、制御部1は、貼り付け可能範囲の左右方向の中央と貼り付ける抽出領域9の左右方向の中央が一致するように、抽出領域9を貼り付ける。右寄せボタンB8が選択されたとき、制御部1(画像処理回路12)は、貼り付け可能範囲の右端と抽出領域9の右端が一致するように、抽出領域9を貼り付ける。
また、出力設定画面45には、拡大ボタンB9と等倍ボタンB10が配される。これらのボタンは、貼り付ける抽出領域9のサイズを設定するためのボタンである。拡大ボタンB9が選択されたとき、制御部1(画像処理回路12)は、拡大した抽出領域9を貼り付ける。等倍ボタンB10が選択されたとき、制御部1(画像処理回路12)は、拡大も縮小もしない(倍率を維持した)抽出領域9を貼り付ける。抽出領域9の拡大率は適宜定められる。例えば、制御部1は、上下比率と左右比率を求める。上下比率は、読取画像データ6の上下方向の幅を、抽出領域9の上下幅W1の最大値で除して得られる比率である。左右比率は、読取画像データ6の左右方向の幅を、何れかの抽出領域9の左右幅W2の最大値で除して得られる比率である。例えば、制御部1は、上下比率と左右比率のうち、小さい方の比率で抽出領域9を拡大する。
また、出力設定画面45には、ランドスケープボタンB11とポートレートボタンB12が配される。これらのボタンは、貼り付ける抽出領域9の向きを設定するためのボタンである。ランドスケープボタンB11が選択されたとき、制御部1(画像処理回路12)は、抽出領域9の長辺を横向き(左右方向)で貼り付ける。ポートレートボタンB12が選択されたとき、制御部1(画像処理回路12)は、抽出領域9の長辺を縦向き(上下方向)で貼り付ける。回転の必要があるとき、制御部1は、抽出領域9の回転処理を行う。
また、出力設定画面45には、プリントボタンB13とセンドボタンB14が配される。これらのボタンは、抽出領域9を貼り付けた画像データを用いるジョブを選択するためのボタンである。プリントボタンB13が選択されたとき、制御部1(画像処理回路12)は、出力した画像データに基づく印刷を印刷部5に行わせる(コピージョブ)。センドボタンB14が選択されたとき、制御部1(画像処理回路12)は、出力した画像データに基づく画像ファイルを通信部13に送信させる(送信ジョブ)。センドボタンB14が操作されたとき、操作パネル4は、出力用の画像データの宛先の設定を別途受け付ける。
また、出力設定画面45には、抽出領域選択ボタンB15が配される。抽出領域選択ボタンB15は、自動的に抽出された抽出領域9のうち、用いる抽出領域9を選択するためのボタンである。抽出領域選択ボタンB15が選択されたとき、制御部1、抽出領域9の選択用画面(不図示)を表示パネル41に表示させる。例えば、制御部1は、各抽出領域9を縮小したプレビュー画像を抽出領域9の選択用画面内に表示させる。使用者は、プレビュー画像を参照し、使用する抽出領域9を選択する。操作パネル4は使用する抽出領域9の選択を受け付ける。制御部1は、使用すると選択された抽出領域9を異なるページに貼り付けて1又は複数ページの出力用画像データ60を出力する。制御部1は、使用すると選択されなかった抽出領域9を貼り付けた画像データを出力しない(生成しない)。
このように、ステップ♯20では、制御部1(画像処理回路12)は、操作パネル4の設定に応じて、1又は複数ページの出力用画像データ60を出力する。ステップ♯16又はステップ♯20の後、制御部1は、出力用画像データ60に基づき、ジョブ(印刷ジョブ又は送信ジョブ)を印刷部5又は通信部13に行わせる(ステップ♯21)。そして、本フローに関する処理は終了する(エンド)。
(ページ分割モードの処理例)
次に、図8~図12を用いて、実施形態に係る複合機100でのページ分割モードでの処理例を説明する。図8~図10は、境界線L1に基づき分割する例を示す図である。図11、図12は枠線L2に基づき、分割する例を示す図である。
まず、図8の左側の図は、読取画像データ6の一例を示す。図8の左側の図は、直線のみを残すための画像処理前の線検出用画像データ7でもある。図8の右側の図は、直線のみを残すための画像処理後の線検出用画像データ7の一例を示す。消去処理等により、直線(境界線L1)のみが線検出用画像データ7に残る。制御部1は、線検出用画像データ7に基づき、境界線L1の位置を認識する。
図9は、境界線L1に基づき、制御部1(画像処理回路12)が4つの候補領域8を定めた例を示す。また、図9は、第1絶対値(上下幅W1と第1閾値の差の絶対値)と第2絶対値(左右幅W2と第2閾値の差の絶対値)が許容値D2以下のため、制御部1は、4つの候補領域8のそれぞれを抽出領域9として抽出した例を示す。
さらに、図10は、制御部1(画像処理回路12)が、それぞれの抽出領域9を異なるページに貼り付けて複数ページの出力用画像データ60を生成(出力)した例を示す。4つの抽出領域9を抽出したので、出力用画像データ60のページ数は4ページとなる。
このように、原稿を折る、又は、直線を書き込むだけで、原稿の内容を分割することができる。また、分割した内容をそれぞれ異なるページに貼り付けた画像データを自動的に得ることができる。
次に、図11を用いて、枠線L2に基づき抽出領域9を抽出する例を示す。図11の左側の図は、読取画像データ6の一例を示す。図11左側の図は、直線のみを残すための画像処理前の線検出用画像データ7でもある。図11の右側の図は、直線のみを残すための画像処理後の線検出用画像データ7の一例を示す。消去処理等により、線検出用画像データ7には、直線(空白に囲まれた枠線L2)のみが残っている。制御部1は、線検出用画像データ7に基づき、枠線L2の位置を認識する。
また、図11は、枠線L2に基づき、制御部1(画像処理回路12)が6つの候補領域8を定める例を示す。また、図12は、第1絶対値と第2絶対値が許容値D2以下のため、制御部1は、6つの候補領域8のそれぞれを抽出領域9として抽出する例を示す。
さらに、図12は、制御部1(画像処理回路12)が、それぞれの抽出領域9を異なるページに貼り付けて出力用画像データ60を出力する例を示す。6つの抽出領域9を抽出したので、出力用画像データ60のページ数は6ページとなる。
このように、枠線L2と空白で囲われた領域を自動的に認識し、囲われた領域単位で原稿の内容を分割することができる。また、分割した内容をそれぞれ異なるページに貼り付けて出力用の画像データを自動的に得ることができる。
このようにして、実施形態に係る画像処理装置(複合機100)は、画像読取部3b、画像処理部(制御部1)を含む。画像読取部3bは原稿を読み取る。画像処理部は、画像読取部3bの読み取りで得られた読取画像データ6を処理する。画像処理部は、読取画像データ6に含まれる境界線L1を認識する。画像処理部は、境界線L1で分割された領域のそれぞれを候補領域8と定める。画像処理部は、候補領域8の上下幅W1と左右幅W2を認識する。画像処理部は、予め定められた第1閾値と上下幅W1の差の絶対値である第1絶対値と、予め定められた第2閾値と左右幅W2の差の絶対値である第2絶対値が予め定められた許容値D2以下の候補領域8を抽出領域9として抽出する。画像処理部は、それぞれの抽出領域9を異なるページに貼り付けて、1又は複数ページの出力用画像データ60を出力する。
この構成によれば、抽出にふさわしいサイズの領域を自動的に抽出することができる。それぞれの抽出領域9(抽出した領域のデータ)を、別のページに割り振る(貼り付ける)ことができる。例えば、原稿に折り目を入れれば、折り目を境界として、1ページの原稿の内容を別のページに分けることができる。1枚の原稿に含まれる内容を複数ページに自動的、かつ、簡易に分けることができる。従来のように手作業でページの内容を分割しなくてもすむ。
画像処理部は、読取画像データ6に含まれる枠線L2を認識する。画像処理部は、空白に囲まれた枠線L2を認識する。画像処理部は、空白に囲まれた枠線L2内の領域を候補領域8と定める。枠線L2で囲まれ、かつ、枠線L2が空白で囲われた領域を自動的に抽出することができる。枠線L2で囲まれたブロック単位で原稿の内容(一部)を抽出することができる。各ブロックを異なるページに貼り付けた出力用の画像データを容易に得ることができる。
画像処理部は、読取画像データ6をコピーして線検出用画像データ7を生成する。画像処理部は、白黒処理、エッジ強調処理、及び、直線以外を消す処理を行って得られた線検出用画像データ7に基づき、読取画像データ6に含まれる境界線L1又は枠線L2を認識する。線(エッジ)を検出しやすくするための処理を施した画像データ(線検出用画像データ7)に基づき、読取画像データ6に含まれる線を認識することができる。読取画像データ6に含まれる線を正確に認識することができる。
操作を受け付ける操作パネル4を含む。操作パネル4は、ページ内での抽出領域9の貼り付け位置の設定を受け付ける。画像処理部は、操作パネル4で設定された位置に抽出領域9を貼り付ける。使用者は、抽出領域9の貼り付け位置を指定できる。所望の位置に抽出領域9が貼り付けられた出力用の画像データを得ることができる。
操作パネル4は、ページに貼り付ける抽出領域9のサイズの設定を受け付ける。画像処理部は、操作パネル4で設定されたサイズで抽出領域9を貼り付ける。使用者は、各ページに貼り付ける抽出領域9のサイズを設定できる。所望のサイズの抽出領域9が貼り付けられた出力用の画像データを自動的に得ることができる。
操作パネル4は、ページに貼り付ける抽出領域9の向きの設定を受け付ける。画像処理部は、操作パネル4で設定された向きで抽出領域9を貼り付ける。使用者は、各ページに貼り付ける抽出領域9の向きを設定できる。所望の向きで抽出領域9が貼り付けられた出力用の画像データを得ることができる。
操作パネル4は、使用する抽出領域9の選択を受け付ける。画像処理部は、操作パネル4で選択されたそれぞれの抽出領域9を異なるページに貼り付ける。画像処理部は、操作パネル4で選択されていない抽出領域9を貼り付けたページの画像データを出力しない。使用者は、抽出領域9のうち、使用する抽出領域9を選択できる。自動的に抽出された抽出領域9のうち、必要な抽出領域9を貼り付けた画像データを得ることができる。
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の更新を加えて実施することができる。