以下、図1〜図16を用いて本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、画像読取装置1を備えた複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機100の概略)
次に、図1、図2に基づき、実施形態に係る複合機100の概略を説明する。図1、図2は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、上部に画像読取部2と原稿搬送部3(カバー部に相当)を含む画像読取装置1が設けられる。又、複合機100の内部に、印刷を行う印刷部4(給紙部4a、搬送部4b、画像形成部4c、定着部4d)が設けられる。
原稿搬送部3は、画像読取部2の載置読取用コンタクトガラス71にセットされた原稿Dを押さえるカバーとして機能する。また、原稿搬送部3は、セットされた原稿Dを1枚ずつ送り読取用コンタクトガラス31(読み取り位置)に向けて連続的、自動的に搬送する。画像読取部2は、載置読取用コンタクトガラス71にセットされた原稿Dや、原稿搬送部3が搬送する原稿Dを読み取り、画像データを生成する。
印刷部4のうち、給紙部4aは、複数の用紙を収容する。印刷ジョブを実行するとき、給紙部4aは、用紙を1枚ずつ搬送部4bに送り込む。搬送部4bは、何れかの給紙部4aから供給された用紙を搬送する。画像形成部4cは、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。定着部4dは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。トナー定着後の用紙は、排出トレイ41に排出される。
図2に示すように、複合機100内に、主制御部5が設けられる。主制御部5は、画像形成装置の動作制御を司る。主制御部5は、CPU51、第2画像処理部52(画像処理部に相当)のような回路を含む。CPU51は、中央演算処理装置である。CPU51は、記憶部6に記憶されるプログラム、データに基づき画像形成装置の各部の制御や、各種の演算処理を行う。第2画像処理部52は、画像データに対して画像処理を行い、印刷や送信に用いる出力用画像データを生成する。
記憶部6は、RAM61のような揮発性の記憶装置と、ROM62、HDD63のような不揮発性の記憶装置を含む。記憶部6は、複合機100(画像読取装置1)の制御用の各種のプログラムやデータ、設定データ、画像データのような各種データを記憶する。また、記憶部6は、コピー、プリント、スキャン送信、ボックス保存、ボックス印刷のようなジョブの実行に必要なデータを、少なくもジョブが完了するまで記憶する。
又、主制御部5は、原稿搬送部3、画像読取部2、印刷部4の各部とバスのような信号線で接続される。主制御部5は、各部の存在を認識する。そして、主制御部5は、スキャンや印刷のような複合機100の動作を制御する。更に、主制御部5は、各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップを備えた通信部53と接続される。通信部53は、ネットワークや公衆回線やケーブルを介し、PCやサーバーのようなコンピューター200や、FAX装置300と通信可能に接続される。
(画像読取装置1)
次に、図3を用いて実施形態に係る画像読取装置1を説明する。図3は、実施形態に係る画像読取装置1の一例を示す図である。
画像読取装置1は、原稿搬送部3、画像読取部2、第2画像処理部52、記憶部6を含む。原稿搬送部3は、セットされた原稿Dを送り読取用コンタクトガラス31に向けて搬送する。また、原稿搬送部3は、正面側を上下に振るようにして開閉可能である(図1参照)。原稿搬送部3を持ち上げて開くと、載置読取用コンタクトガラス71を露出させることができる。また、原稿搬送部3は、載置読取用コンタクトガラス71の表面の汚れを落とすための清掃部材81、清掃機構82、清掃モーター83を含む(詳細は後述)。
また、画像読取装置1は、画像読取部2を含む。画像読取部2は、読取制御部20、読取部21、第1画像処理部22を内蔵する。また、画像読取部2は、スキャンテーブル部7、開閉センサー23を含む。
読取制御部20は、CPU(不図示)やメモリー(不図示)を含む基板である。読取制御部20は、画像読取部2(画像読取装置1)の動作を制御するコントローラーである。なお、画像読取部2内に読取制御部20を設けず、主制御部5が画像読取部2の動作を制御してもよい。言い換えると、以下で説明する読取制御部20が行う処理、制御を主制御部5が行ってもよい(この場合、主制御部5が画像読取装置1の制御部として機能)。
スキャンテーブル部7は、載置読取用コンタクトガラス71(コンタクトガラスに相当)を含む。そして、本実施形態の画像読取装置1、複合機100では、載置読取用コンタクトガラス71に画面、画像を映す。言い換えると、載置読取用コンタクトガラス71の部分をディスプレイとして用いる(詳細は後述)。
開閉センサー23は、原稿搬送部3が載置読取用コンタクトガラス71の上面に対して一定角度以上(25度から50度程度)、開けられているか否かを検知するセンサーである。開閉センサー23は、原稿搬送部3の開閉を検知できるセンサーであればよい。例えば、開閉センサー23には、透過型の光センサーを含み、原稿搬送部3が一定角度よりも閉じられると、原稿搬送部3の下面と接する可動部材(不図示)が光路を遮り、一定角度以上開けられると上方に付勢される可動部材が光路を遮らなくなるようなスイッチ型のセンサーを用いることができる。尚、開閉センサー23の出力は、読取制御部20に入力される。読取制御部20は、開閉センサー23の出力に基づき、原稿搬送部3が一定角度よりも開けられたこと、原稿搬送部3が一定角度よりも閉じられたことを検知する。
読取部21は、原稿Dを読み取る部分であり、光源部21a、移動枠21b、移動機構21c、巻取モーター21d、イメージセンサー21eを含む。
光源部21aは、載置読取用コンタクトガラス71上の原稿D、又は、送り読取用コンタクトガラス31を通過する原稿Dに光を照射する。移動枠21bは、光源部21aやイメージセンサー21eに光を導くミラーが取り付けられる。移動機構21cは、移動枠21bに接続されたワイヤー(不図示)や、ワイヤーを引っかける滑車(不図示)や、ワイヤーを巻き取る巻取モーター21dを含む。巻取モーター21dの駆動力を利用して、移動機構21cは、副走査方向で移動枠21bを移動させる。読取制御部20は、巻取モーター21dの回転方向を制御して、移動枠21bを自在に移動させる。移動枠21bの移動によって、原稿Dの読み取り位置を変えることができる。原稿搬送部3が搬送する原稿Dを読み取るとき、移動機構21cは、移動枠21bを送り読取用コンタクトガラス31の下方に移動させる。載置読取用コンタクトガラス71にセットされた原稿Dを読み取るとき、移動機構21cは、載置読取用コンタクトガラス71の下方を副走査方向で移動させる。
イメージセンサー21eは、原稿Dを読み取るためラインセンサーであり、列状に並べられた複数の光電変換素子を含む。イメージセンサー21eの各光電変換素子は、原稿Dの反射光を受光し、受光量(原稿Dの各画素の濃度)に応じたアナログ電圧を出力する。第1画像処理部22は、イメージセンサー21eの出力(アナログ電圧)をA/D変換し、原稿Dのディジタルデータ(画像データ)を生成する。また、第1画像処理部22は、シェーディング補正のような予め定められた画像処理を行う。
第1画像処理部22が処理した画像データ(原稿Dを読み取ることにより得られた画像データ、読取画像データ)は、記憶部6に送られる。主制御部5の第2画像処理部52は、記憶部6に記憶された読取画像データに対し、実行するジョブに応じた画像処理を行い、出力に用いる出力用画像データを生成する。
コピージョブ(原稿Dの読み取りで得られた画像データに基づく印刷、原稿Dの複写)やボックス印刷ジョブ(過去に原稿Dを読み取り、記憶部6に不揮発的に記憶させた画像データに基づく印刷)を行うとき、第2画像処理部52は、出力用画像データを印刷部4に送る。そして、印刷部4は、受信した画像データに基づき印刷を行う。また、スキャン送信ジョブ(原稿Dの読み取りで得られたデータに基づく画像データの送信)を行うとき、第2画像処理部52は、送信用に処理し、生成した出力用画像データを通信部53に送る。通信部53は、出力用画像データを指定された宛先に送信する。
(透過型ディスプレイ)
次に、図3、図4を用いて、実施形態に係る画像読取装置1での透過型ディスプレイを説明する。図4は、実施形態に係る画像読取装置1の透過型ディスプレイの一例を示す図である。
従来、画像読取装置1には、コンタクトガラスが設けられる。そして、本実施形態の画像読取装置1は、このコンタクトガラスの部分を透過型ディスプレイのガラス板としても用いる。
本実施形態の画像読取装置1(画像読取部2)のスキャンテーブル部7は、コンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス71)、透明表示パネル72、タッチパネル部73を含む。図4のうち、例えば、中央が載置読取用コンタクトガラス71である。そして、載置読取用コンタクトガラス71の上面側に、使用者による操作を受け付けるためのタッチパネル部73が設けられる。タッチパネル部73は、載置読取用コンタクトガラス71の全面を覆う。通常、タッチパネル部73は、透明である。
また、コンタクトガラスの下面側(コンタクトガラスとタッチパネル部73の間でもよい)に、透明表示パネル72が重ねられる。透明表示パネル72も載置読取用コンタクトガラス71の全面に重ねられる大きさを有する。透明表示パネル72は、透明電極を用いるなどして光が透過するように形成された表示パネルであって、液晶や有機ELを用いた表示パネルである。透明表示パネル72は、透過率が予め定められた値以上であり、白で表現する部分が透明となる(透過する)パネルである。
また、透明表示パネル72に液晶を用いるとき、画像読取部2内には、バックライト部74が設けられる(図3参照)。スキャンテーブル部7でメッセージや画像を表示するとき、読取制御部20は、バックライト部74を点灯させる。原稿Dを読み取るときや、原稿搬送部3が一定角度よりも閉じられているときのように点灯する必要がないとき、読取制御部20は、バックライト部74を消灯させる。
(スキャンテーブル部7での設定画面の表示)
次に、図5を用いて、実施形態に係るスキャンテーブル部7での設定画面の表示を説明する。図5は、実施形態に係るスキャンテーブル部7に表示される設定画面の一例を示す図である。図5は、意図的に原稿搬送部3と画像読取部2内部の図示を省略し、スキャンテーブル部7(画像読取部2)を上面側から見た図である。
実施形態に係る複合機100(画像読取装置1)の載置読取用コンタクトガラス71には、設定画面やメッセージを表示させることができる。言い換えると、スキャンテーブル部7(透明表示パネル72)は、各種メッセージ、設定画面、ソフトキーを表示する。設定画面としては、用いる機能(ジョブの種類)の選択画面、選択した機能に関する項目の画面がある。選択や設定値設定のため、ソフトキーが各画面内に表示される。
そして、スキャンテーブル部7の最上面はタッチパネル部73となっている。タッチパネル部73は、スキャンテーブル部7が表示する画面内のソフトキー(ボタン)やタブのうち、使用者が操作した(タッチした、押した)部分の位置、座標を検出するためのものである。読取制御部20は、タッチパネル部73の出力に基づき、操作されたソフトキーやタブを認識する。
スキャンテーブル部7が表示するソフトキーに対する操作に応じ、読取制御部20は、表示する画面をスキャンテーブル部7に切り替えさせる。各画面を表示するためのデータ(画面や画像やソフトキーを表示するための画像やテキストのデータ)は、記憶部6や、読取制御部20内のメモリー(不図示)に記憶される。
図5は、スキャンテーブル部7に表示されたメインメニュー画面S1の一例を示す。メインメニュー画面S1は、階層上、最上位の画面である。主電源投入で起動したとき、省電力モードを解除したとき、ジョブが完了したとき、読取制御部20は、メインメニュー画面S1をスキャンテーブル部7に表示させる。メインメニュー画面S1には、用いようとする機能(ジョブの種類)を選ぶための機能選択キーK1(アイコン)が表示される。何れかの機能選択キーK1をタッチして、コピー、スキャン送信、ボックス保存、ボックス印刷のようなジョブの種類を選択することができる。例えば、コピージョブを行いたいとき、「Copy」の語を含む機能選択キーK1を操作する。
機能選択後、読取制御部20は、設定項目を選択する画面や、選択された項目の設定値を設定するための画面をスキャンテーブル部7に表示させる。なお、項目を選択する画面や、設定値を設定するための画面の種類は多数に及ぶので、図示は省略する。
また、読取制御部20は、ジョブに関する設定用の画面を表示している間、ジョブの実行を指示するスタートキーK2や、数字入力用のソフトキーのようなよく用いられるソフトキーをスキャンテーブル部7に表示させてもよい。そして、読取制御部20は、タッチパネル部73で受け付けられたジョブに関する設定と、スタートキーK2によるジョブの実行開始指示を認識する。これにより、従来のようなハードキーや表示部を含む操作パネルを設けなくても、スキャンテーブル部7上で複合機100、画像読取装置1に関するあらゆる操作、設定を行うことができる。
(原稿Dの読み取り)
次に、図6〜図9を用いて、実施形態に係る画像読取装置1(複合機100)での原稿Dの読み取りの流れの一例を説明する。図6は、実施形態に係る画像読取装置1(複合機100)での原稿Dの読み取りの流れの一例を示すフローチャートである。図7は、実施形態に係る原稿フレームF1の一例を示す図である。図8は、実施形態に係る原稿フレームF1の位置の移動の一例を示す図である。図9は、実施形態に係るスキャンテーブル部7の状態変化の一例を示す図である。
図6のフローチャートのスタートは、スキャンテーブル部7で原稿読取を伴うジョブの種類の選択、選択したジョブでの項目の選択、選択した項目での設定値の設定が完了し、スタートキーK2が操作された(ジョブの実行開始指示がなされた)時点である。原稿読取を伴うジョブには、コピージョブや、スキャン送信ジョブがある。
なお、以下では、載置読取用コンタクトガラス71に原稿Dをセットして、読み取りを行う場合を主に説明する。
スキャンテーブル部7に表示されたスタートキーK2の操作時点では、原稿搬送部3(カバー部)は、一定角度以上開けられている状態である。まず、読取制御部20は、原稿Dのセット位置を示す原稿フレームF1と、原稿Dのセットに関するガイダンスG1の何れか一方、又は、両方をスキャンテーブル部7(透明表示パネル72)に表示させる(ステップ♯11)。
なお、原稿搬送部3に原稿Dを搬送させて読み取りを行うとき、原稿搬送部3は閉じられる。原稿搬送部3を閉じると、載置読取用コンタクトガラス71は見えない。そこで、原稿搬送部3が一定角度よりも閉じられ、かつ、原稿搬送部3の原稿トレイ32(図1参照)に原稿Dがセットされているとき、原稿搬送部3は自動的にセットされた原稿Dの搬送を開始し、読取制御部20は、以下に説明する表示をスキャンテーブル部7に行わせずに原稿Dを読み取る。なお、原稿トレイ32への原稿セットを検知するため、原稿搬送部3には、原稿セットセンサー33が設けられる(図3参照)。原稿セットセンサー33の出力に基づき、読取制御部20は原稿トレイ32にセットされた原稿Dがあるか否かを認識する。
一方、原稿搬送部3が一定角度よりも閉じられたものの、原稿トレイ32に原稿Dがセットされないまま再び原稿搬送部3が一定角度以上開けられると、読取制御部20は、図6のフローチャートを開始する。
図7〜図9に示すように、読取制御部20は、セット位置やセットすべき原稿サイズのような原稿Dのセットに関するガイダンスG1をスキャンテーブル部7に表示させる。図7〜図9では、吹き出し図形の内側にガイダンスG1を表示する例を示している。
また、図7、図8に示すように、読取制御部20は、原稿Dのセット位置を示す原稿フレームF1をスキャンテーブル部7に表示させる。読取制御部20は、原稿フレームF1の領域の上方を読取部21に読み取らせる。また、読取制御部20は、載置読取用コンタクトガラス71のうち原稿フレームF1に対応する部分の画像データを第1画像処理部22に生成させる。原稿フレームF1は実寸大である。図7、図8では、原稿フレームF1を2点鎖線で示している。
そして、図7〜図9に示すように、読取制御部20は、読み取る原稿Dのセットの方向を設定するためのセット方向キーK3(「縦」、「横」の文字を含む2つのソフトキー)をスキャンテーブル部7に表示させる。また、読取制御部20は、図7〜図9に示すように、読み取る原稿Dのサイズを設定するための原稿サイズキーK4をスキャンテーブル部7(透明表示パネル72)に表示させる。図7〜図9に示す例では、「Letter」「A3」、「A4」、「A5」「B4」、「B5」の各サイズに対応する原稿サイズキーK4を表示する例を示している。また、「More」のキーを操作することにより、他の原稿サイズを選ぶこともできる。
図7は、表示される原稿フレームF1の変化を示している。図7のうち上段の図は、セットされた原稿Dの設定が「A4・縦」のときの状態を示し、図7のうち下段の図は、セットされた原稿Dの設定が「A5・横」のときの状態を示す。このように、読取制御部20は、原稿サイズキーK4を表示し、タッチパネル部73の出力に基づき、設定された原稿サイズ、方向に対応する原稿フレームF1をスキャンテーブル部7に表示させる(ステップ♯12)。
読取制御部20は、操作された原稿サイズキーK4、セット方向キーK3に対応する大きさ(選択された原稿サイズの実寸どおりの大きさ)と方向の原稿フレームF1をスキャンテーブル部7(透明表示パネル72)に表示させる。尚、原稿フレームF1の端辺と、載置読取用コンタクトガラス71の端辺を一致させる必要はない。
また、読取制御部20は、タッチパネル部73が、原稿フレームF1の位置を移動させる原稿フレーム移動操作を受け付けたとき、原稿フレーム移動操作によって指定された位置に原稿フレームF1を表示させる(ステップ♯13)。
図8は、原稿フレーム移動操作によって、原稿フレームF1の位置を移動させた場合の一例を示している。本実施形態では、原稿フレーム移動操作は、原稿フレームF1の一部をタッチしたままタッチ位置をスライド移動させる操作(ドラッグ操作)である。図8の上段の図は、原稿フレームF1の移動前の状態を示す。図8の下段の図は、上段の図に示す白抜矢印方向にタッチ位置を移動させて原稿フレームF1を移動させた後の状態を示す。読取制御部20は、載置読取用コンタクトガラス71のうち、移動後の原稿フレームF1に対応する部分(領域)を読取部21に読み取らせ、画像データを第1画像処理部22に生成させる。
そして、読取制御部20は、開閉センサー23の出力に基づき、原稿搬送部3が閉じられたか(原稿搬送部3が一定角度よりも閉じられたか)を確認する(ステップ♯14)。原稿搬送部3が閉じられていなければ(ステップ♯14のNo)、フローは、ステップ♯11に戻る。
一方、原稿搬送部3が閉じられたとき(原稿搬送部3が一定角度よりも閉じられてから原稿搬送部3が完全に閉じられるまでに必要とされる所定時間が経過したとき、ステップ♯14のYes)、読取制御部20は、スキャンテーブル部7を透過状態とさせる(ステップ♯15)。言い換えると、読取制御部20は、透明表示パネル72を何も表示させない。そして、読取制御部20は、セットされた原稿Dの読み取りを読取部21に行わせる(ステップ♯16)。
図9は、原稿搬送部3が閉じられたことによるスキャンテーブル部7での表示変化の一例を示す。図9の上段の図は、原稿フレームF1にあわせて原稿Dがセットされている状態の一例を示す。図9の上段の図では、セットされた原稿Dを網掛け矩形で示している。一方、原稿搬送部3が閉じられると、図9の下段の図に示すように、読取制御部20は、表示していた画像を全て消させる。読取制御部20は、スキャンテーブル部7が透過している状態で、読取部21に読み取りを行わせる。
そして、読取制御部20は、読み取りにより得られた画像データ(読取画像データ)を記憶部6に記憶させる(ステップ♯16)。これにより、原稿Dの読み取りが完了する(エンド)。続いて、プレビュー画像Pの表示処理に移行する。
(プレビュー画像Pの表示)
次に、図10〜図15を用い、実施形態に係る画像読取装置1(複合機100)でのプレビュー画像Pの表示の一例を説明する。図10は、実施形態に係る画像読取装置1(複合機100)でのプレビュー画像Pの表示の流れの一例を示すフローチャートである。図11は、実施形態に係る出力フレームF2の一例を示す図である。図12は、出力する画像データの拡大の一例を示す図である。図13は、出力する画像データの縮小の一例を示す図である。図14は、実施形態に係る出力フレームF2の位置の移動の一例を示す図である。図15は、実施形態に係るプレビュー画像Pの位置の移動の一例を示す図である。
実施形態に係る画像読取装置1(複合機100)では、載置読取用コンタクトガラス71にセットされた原稿Dを読み取って得られた画像データ(スキャン結果)に基づき、プレビュー画像Pをスキャンテーブル部7に表示させることができる。プレビュー画像Pは、実際に印刷や送信のようなジョブを実行する前に、ジョブ結果のイメージを示すための画像である。
本実施形態の画像読取装置1、複合機100では、原稿Dの読み取り後、主制御部5は直ちに、印刷や送信の出力処理を開始しない。読み取りで得られた画像データに基づきジョブを開始するには、一度、原稿搬送部3を一定角度以上、持ち上げる(開ける)ことが必要である。
なお、原稿搬送部3が搬送する原稿Dを読み取ったときも、プレビュー画像Pを表示するようにしてもよい。この場合、全原稿の読み取り完了後、一度、原稿搬送部3を一定角度以上開けることを、出力開始条件の1つとする。言い換えると、主制御部5は、全ての出力開始条件が満たされると、印刷、送信のような出力を開始させる。
また、プレビュー画像Pを確認してから出力を開始するか、プレビュー画像Pを確認なしに(原稿搬送部3を持ち上げることなく)出力を開始するか、スキャンテーブル部7で設定できるようにしてもよい。
そして、図10のフローチャートのスタートは、プレビュー画像Pを確認してから出力を開始する場合である。例えば、原稿Dの読み取りが完了した時点(図6のフローチャートのエンドに到達した時点)である。
まず、読取制御部20は、開閉センサー23の出力に基づき、原稿搬送部3が一定角度以上開けられたことの確認を続ける(ステップ♯21のNo→ステップ♯21)。一定角度以上開けられたとき、読取制御部20は、原稿読取で得られた画像データ(読取画像データ)に基づくプレビュー画像Pを、読取画像データ(原稿D)の実寸大でスキャンテーブル部7に表示させる(ステップ♯22)。ここで、プレビュー画像Pを確認するには、セットされた原稿Dをいったん取り除く必要がある。そのため、スキャンテーブル部7にプレビュー画像Pを表示することには、原稿Dの回収忘れを防ぐ効果もある。
スキャンテーブル部7(透明表示パネル72)は、レターサイズでの読み取りが行われたときレターサイズのプレビュー画像Pを、A4サイズでの読み取りが行われたときA4サイズのプレビュー画像Pを表示する。本実施形態の画像読取装置1では、プレビュー画像Pを確認しながら拡大、縮小の操作を行える(詳細は後述)。そのため、プレビュー画像Pを表示するとき、原稿読取前に拡大率、縮小率の設定を行う必要はない。読取制御部20は、等倍で読み取る設定がなされたとき、又は、拡大率、縮小率の設定がなされないでスキャンがなされたとき等倍(実寸)で原稿フレームF1内を読取部21に読み取らせる。そして、読取制御部20は、原稿と同じサイズのプレビュー画像Pをスキャンテーブル部7に表示させる。
なお、原稿読取前に拡大率、縮小率の設定がなされたとき、読取制御部20は、等倍時と同じ速度で、または、設定された倍率に応じた速度で読取部21に読み取りを行わせ、第1画像処理部22又は第2画像処理部52は、原稿のサイズに倍率を乗じて得られるサイズの読取画像データを生成させる。そして、読取制御部20は、原稿のサイズに倍率を乗じて得られる大きさのプレビュー画像Pをスキャンテーブル部7に表示させる。例えば、倍率が124%に設定されていたとき、読取制御部20は、原稿よりも縦と横が24%ずつ大きいプレビュー画像Pをスキャンテーブル部7に表示させる。
透明表示パネル72と読取画像データでは、1ドットあたりの大きさが異なる場合がある。そこで、第2画像処理部52(第1画像処理部22でもよい)は、読取画像データの実寸大と同じ、又は、差が1〜数ドット未満となるような透明表示パネル72での縦方向と横方向のドット数を求める。
そして、第2画像処理部52は、求めたドット数となるように、読取画像データの縮小(画素の間引き)、又は、拡大(画素の追加)を行ってプレビュー用画像データを生成する。そして、第2画像処理部52は、生成したプレビュー用画像データを読取制御部20やスキャンテーブル部7に与える。スキャンテーブル部7は、与えられたプレビュー用画像データを用いて、実寸大の原稿読取結果(読取画像データ)を表示する。
また、読取制御部20は、印刷や送信での出力結果のサイズを設定するための出力サイズキーK5をスキャンテーブル部7に表示させ、操作された(表示位置がタッチされた)出力サイズキーK5に対応するサイズの出力フレームF2をスキャンテーブル部7に表示させる(ステップ♯23)。
また、図11〜図15に示すように、読取制御部20は、読取画像データのうち、印刷や送信のような出力で用いられる領域を示す出力フレームF2をスキャンテーブル部7に表示させる。出力フレームF2は実寸大である。図11〜図15では、出力フレームF2を1点鎖線で示している。主制御部5は、出力フレームF2の領域内の画像データを用いて印刷部4に印刷を行わせ、出力フレームF2の領域内の画像データを指定された宛先向けて通信部53に送信させる。
そして、図11〜図15に示すように、読取制御部20は、出力のサイズ(出力用画像データのサイズ)を設定するための出力サイズキーK5をスキャンテーブル部7に表示させる。図11〜図15は、「Letter」「A3」、「A4」、「A5」「B4」、「B5」の各サイズに対応する出力サイズキーK5を表示する例を示す。「More」のキーを操作することにより、他の出力サイズを選ぶこともできる。また、読取制御部20は、図11〜図15に示すように、出力物の方向を設定するための出力方向キーK6(「縦」、「横」の文字を含む2つのソフトキー)をスキャンテーブル部7に表示させる。
図11のうち上段の図は、セットされた原稿Dの設定が「A5・縦」のときの状態を示し、図11のうち下段の図は、セットされた原稿Dの設定が「B4・横」のときの状態を示す。このように、読取制御部20は、出力サイズキーK5を表示し、タッチパネル部73の出力に基づき、設定されたサイズ、方向に対応する出力フレームF2をスキャンテーブル部7(透明表示パネル72)に表示させる(ステップ♯23)。
また、読取制御部20は、タッチパネル部73が、読取画像データ(プレビュー画像P)を拡大する拡大操作、又は、縮小する縮小操作を受け付けたとき、操作量に応じた倍率となるように拡大又は縮小されたプレビュー画像Pをスキャンテーブル部7(透明表示パネル72)に表示させる(ステップ♯24)。
図12は、プレビュー画像Pを拡大する場合の一例を示している。本実施形態の拡大操作は、タッチパネル部73を2点タッチし、タッチした2点の間隔を広げる操作(いわゆるピンチアウト操作)である。図12は、図11の拡大操作による拡大後のプレビュー画像Pの一例を示している。タッチした2点の間隔(距離)が大きくなるほど拡大率が大きいものと扱われる。そのため、2点のタッチ位置の距離が長くなっていくごとに、表示されるプレビュー画像Pは大きくなる。
図13は、プレビュー画像Pを縮小する場合の一例を示している。本実施形態の縮小操作は、載置読取用コンタクトガラス71(スキャンテーブル部7のタッチパネル部73)を2点タッチし、タッチした2点の間隔を狭める操作(ピンチイン操作)である。図13は、図11の縮小操作による縮小後のプレビュー画像Pを示している。タッチした2点の間隔(距離)が近づくほど縮小率が大きいものと扱われる。そのため、2点のタッチ位置が近づくほど、表示されるプレビュー画像Pは小さくなる。
2点タッチがなされたとき、読取制御部20は、2点の座標の距離を求める。そして、読取制御部20は、2点の座標の距離の変化を把握する。2点の距離の変化量に対応する倍率を定めたテーブルデータを記憶部6に記憶させておく。2点の距離が近づいた場合には100%未満の倍率となり、2点の距離が離れた場合には、100%を超える倍率となるようにテーブルデータは定められる。また、2点の距離が近づくほど倍率が小さくなり、2点の距離が遠くなるほど倍率が大きくなるようにテーブルデータは定められる。
読取制御部20は、2点のタッチ位置の距離が変化したとき、テーブルデータを参照し、変化量に対応する倍率を定める。そして、主制御部5は、読取制御部20から倍率の通知を受け、求めた倍率に応じたプレビュー画像用の画像データを第2画像処理部52(第1画像処理部22でもよい)に生成させる。第2画像処理部52は、最初の(実寸大)のプレビュー用画像データに対し、求めた倍率のズーム処理を行って、拡大操作又は縮小操作に応じた倍率で表示するためのプレビュー用画像データを新たに生成する。
第2画像処理部52は、生成した新たなプレビュー用画像データを読取制御部20やスキャンテーブル部7に与える。スキャンテーブル部7は、新たなプレビュー用画像データに基づき、表示するプレビュー画像Pを変更する。
第2画像処理部52は、出力用画像データを生成するとき、読取画像データに求めた倍率を乗じ、読取画像データの拡大又は縮小処理を行う。そして、第2画像処理部52は、拡大又は縮小された読取画像データのうち、出力フレームF2に対応する部分を切り出し、出力用画像データを生成する。
また、読取制御部20は、タッチパネル部73が、出力フレームF2の位置を移動させる出力フレーム移動操作を受け付けたとき、出力フレーム移動操作によって指定された位置に出力フレームF2の表示位置をスキャンテーブル部7に移動させる(ステップ♯25)。
本実施形態の出力フレーム移動操作は、出力フレームF2の一部をタッチしたままタッチ位置をスライド移動させる操作(ドラッグ操作)である。図14の上段の図は、出力フレームF2の移動前の状態であって、出力フレームF2の一部をタッチした状態を示している。図14の下段の図は、上段の図に白抜矢印で示す方向にタッチ位置をスライド移動させた結果、出力フレームF2が移動された状態を示す。第2画像処理部52は、読取画像データのうち、移動後の出力フレームF2に対応する部分を切り出し、印刷出力や送信出力に用いる出力用画像データを生成する。
このように、実サイズのプレビュー画像Pを見ながら、読取画像データのうち、どの部分が抽出されるかを容易に確認することができる。そして、読取画像データのうち必要な部分を抽出した出力を容易に得ることができる。
従来、原稿Dを拡大コピーするとき、印刷したい部分が出力用紙内に収まるように倍率を予め計算したり、出力用紙内に印刷したい部分が入るように原稿Dのセット位置を意図的にずらしたりするような工夫が必要であった。うまくいくまで、試行錯誤を繰り返す必要があった。しかし、本実施形態の画像読取装置1によれば、スキャンの後で、実際にどのようなサイズになるかを実寸大で確認しながら、倍率とどの部分を出力するかを、簡単に設定することができる。
また、読取制御部20は、タッチパネル部73がプレビュー画像Pの位置を移動させるプレビュー画像移動操作を受け付けたとき、プレビュー画像移動操作によって指定された位置になるように、スキャンテーブル部7にプレビュー画像Pの表示位置を変えさせる(ステップ♯26)。
本実施形態のプレビュー画像移動操作は、出力フレームF2に重ならないようにプレビュー画像Pの一部をタッチしたまま、タッチ位置をスライド移動させる操作(ドラッグ操作)である。図15の上段の図は、プレビュー画像Pの移動前の状態であって、プレビュー画像Pの一部をタッチした状態を示している。図15の下段の図は、上段の図に白抜矢印で示す方向にタッチ位置をスライド移動させた結果、プレビュー画像Pが移動された後の状態を示す。第2画像処理部52は、読取画像データのうち移動後の出力フレームF2に対応する部分を切り出し、印刷出力や送信出力に用いる出力用画像データを生成する。
このように、実際のサイズと同じサイズのプレビュー画像Pを見ながら、プレビュー画像Pの表示位置を動かすことによっても、読取画像データから正確に所望する部分を抽出して、出力を得ることができる。
そして、読取制御部20は、開閉センサー23の出力に基づき、原稿搬送部3が閉じられたか(原稿搬送部3が一定角度より未満になったか)を確認する(ステップ♯27)。これにより、原稿搬送部3を閉じたことをトリガー(条件)として出力が開始されることになる。原稿搬送部3が閉じられていなければ(ステップ♯27のNo)、フローはステップ♯22に戻る。なお、スキャンテーブル部7に出力開始用のキーを表示させておき、出力開始用のキーが操作されたときに出力が開始されるようにしてもよい。
一方、原稿搬送部3が閉じられたとき(原稿搬送部3が一定角度よりも閉じられてから原稿搬送部3が完全に閉じられるまでに必要とされる所定時間が経過したとき、ステップ♯27のYes)、第2画像処理部52は、読取画像データの全部、又は、読取画像データから出力フレームF2に対応する部分を切り出し、印刷出力や送信出力に用いる出力用画像データを生成する(ステップ♯28)そして、主制御部5は、出力用画像データに基づき、印刷や送信のようなジョブを行わせる(ステップ♯29)。そして、本フローは終了する(エンド)。
(スキャンテーブル部7の清掃)
次に、図3、図16を用いて、実施形態に係るスキャンテーブル部7の清掃の一例を説明する。図16は、実施形態に係る画像読取装置1での清掃を説明するための図である。
本実施形態の画像読取装置1では、各種設定や、原稿読取、プレビュー画像Pの表示、印刷出力や送信出力に関し、スキャンテーブル部7の表面(タッチパネル部73)へのタッチが行われる。タッチを行うので、指紋、皮脂のような汚れがタッチパネル部73の表面に付くことがある。また、使用者の指に付着していた何らかのゴミがタッチによって、タッチパネル部73に付く場合もある。
汚れは、原稿Dと光源の間に位置する。そのため、汚れが読み取られる場合がある。汚れを読み取ると、原稿Dの再現性が低下し、読取画像データの画質や出力結果の品質が低下する。
そこで、実施形態に係る画像読取装置1は、清掃部材81と、清掃部材81を移動させる清掃機構82を含む。図16の下方の図は、画像読取部2と原稿搬送部3を正面側からみた模型的断面図である。図16の上方の図は、画像読取部2を上面から見た図であって、下方の図に対応させた図である。
具体的に、清掃部材81と清掃機構82は、原稿搬送部3内に設けられる。図16では、便宜上、清掃部材81を2本示しているが、これは、移動範囲の両端を示すものであって、左右いずれか1方に(1本のみ)設ければよい。清掃部材81は、ローラー状である(ローラー状でなくてもよい)。清掃部材81は、スキャンテーブル部7(タッチパネル部73)と接して、表面の汚れを拭き取る。清掃部材81のうち、スキャンテーブル部7と接する部分の素材は、布や軟質樹脂のような汚れを拭き取れる素材であって、タッチパネル部73を傷つけないような素材である。
図16の上方の図に示すように、載置読取用コンタクトガラス71の主走査方向と清掃部材81の長手方向は平行とされる。そして、清掃部材81は、載置読取用コンタクトガラス71の主走査方向の幅よりも長い。そして、清掃部材81の長辺方向の端の両方とも載置読取用コンタクトガラス71の外側となるような位置に清掃部材81が設けられる。言い換えると、清掃部材81は、載置読取用コンタクトガラス71をまたぐ。
原稿搬送部3の下面には、凹状の空間84が設けられる。清掃機構82は、清掃モーター83(図3参照)の駆動を利用して、清掃部材81を凹状の空間84内で、副走査方向で往復させる。清掃機構82は、清掃部材81の移動をガイドするレールや、ワイヤーやベルトのような清掃モーター83の駆動により清掃部材81を移動させるための部品を含む。
清掃部材81の退避位置は、載置読取用コンタクトガラス71の左端よりも左側の位置(図16のA地点)としてもよいし、載置読取用コンタクトガラス71の右端よりも右側の位置としてもよい(図16のB地点)。A地点を退避位置とする場合、清掃時、清掃機構82は、A地点(退避位置)からB地点に向けて清掃部材81を移動させ、B地点到ると、清掃部材81をA地点まで戻す。反対に、B地点を退避位置とする場合、清掃時、清掃機構82は、B地点(退避位置)からA地点に向けて清掃部材81を移動させ、A地点到ると、清掃部材81をB地点まで戻す。このように、清掃部材81は、載置読取用コンタクトガラス71の上面全体を拭き取る(図16の白抜矢印参照)。
載置読取用コンタクトガラス71の清掃の実行時点は、適宜定めることができる。プレビュー画像Pの確認後、原稿搬送部3が閉じられ、印刷や送信のような出力の開始にあわせて、清掃を開始してもよい。また、複合機100(画像読取装置1)の主電源が投入されたことによって複合機100(画像読取装置1)が起動した時点や、省電力モードが解除された時点に清掃を開始するようにしてもよい。
画像読取装置1、画像形成装置に設けられ、原稿Dがセットされるコンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス71)は、設置可能な原稿サイズよりも大きい。そこで、実施形態に係る画像読取装置1は、読み取る原稿Dがセットされるコンタクトガラスと、表示される画像に対する使用者の操作を認識するためのタッチパネル部73を含み、コンタクトガラスを透過型ディスプレイとして用いるスキャンテーブル部7と、コンタクトガラスにセットされた原稿Dを押さえるためのカバー部(原稿搬送部3)と、コンタクトガラスにセットされた原稿Dを読み取る読取部21(光源部21a、移動枠21b、移動機構21c、イメージセンサー21e等)と、読取部21による読み取り結果として、原稿Dの画像データを生成する画像処理部(第1画像処理部22)と、を含む。
このように、コンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス71)を透過型ディスプレイのガラス板として用いる。コンタクトガラスは、A3サイズのようなセット可能な原稿Dの最大サイズよりも大きいので、画像読取装置1、画像形成装置の画面サイズを従来よりも飛躍的に大きくすることができる。例えば、通常の操作パネルの表示部で表示されるガイダンス、メッセージのような文字を含む情報や、設定画面、キーを、従来よりも飛躍的に大きく表示させることができる。また、プレビュー画像Pも、実寸大で表示することができる。しかも、従来設けられている操作パネル内の表示部の画面サイズを大きくするのではなく、コンタクトガラスを用いて表示を行う。そのため、画像読取装置1を設置するために、今までよりも広いスペースは必要ない。また、ディスプレイと原稿Dのセット位置が一体化されているので、使用者の意識をスキャンテーブル部7に集中させることができる。そのため、読み取り後の原稿Dの回収を忘れることも少なくなる。
また、スキャンテーブル部7は、原稿Dのセット位置を示す原稿フレームF1と、原稿Dのセットに関するガイダンスG1の何れか一方、又は、両方を表示する。これにより、コンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス71)への原稿セットミスを減らすことができる。
また、スキャンテーブル部7は、セットされた原稿Dのサイズを設定するための原稿サイズキーK4を表示し、タッチパネル部73の出力に基づき、原稿サイズキーK4への操作によって選択された原稿サイズに対応する大きさの原稿フレームF1を表示する。
これにより、使用者は、セットする原稿Dのサイズを自由に定めることができる。また、原稿フレームF1のサイズは、原稿Dの各サイズに応じたサイズになるので、どのようなサイズの原稿Dでも、セットミスの発生を防ぐことができる。
従来、原稿Dのセットでは、所定の基準点と原稿Dの左上隅を合わせることや、コンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス71)の端辺と原稿Dの辺を合わせることが行われていた。しかし、分厚い本の読み取りでは、読み取りを行う見開きページの隅や辺が、コンタクトガラスの基準点や端辺とあっているかわかりづらい。そのため、原稿Dがずれた状態で読み取りが行われる場合があり、ずれると、原稿Dの読み取りやその出力をやり直さなくてはならない。そこで、タッチパネル部73は、原稿フレームF1の位置を移動させる原稿フレーム移動操作を受け付ける。スキャンテーブル部7は、原稿フレーム移動操作によって指定された位置に原稿フレームF1を表示する。
これにより、コンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス71)の基準点や端辺にあわせて原稿Dをセットする必要がなくなり、書籍のような原稿Dをセットしてから、原稿フレームF1内に読み取りたい部分が収まるように、原稿フレームF1を移動させることができる。従って、原稿Dにあわせて読み取る範囲を調整することができる。
また、画像読取装置1は、カバー部(原稿搬送部3)の開閉状態を検知するための開閉センサー23を含む。スキャンテーブル部7は、カバー部が一定角度以上開けられている状態で原稿フレームF1を表示する。これにより、カバー部が開けられていて、コンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス71)が露出している(見える)状態のときに限り、原稿フレームF1を表示する。
また、カバー部(原稿搬送部3)が閉じられた状態のとき、スキャンテーブル部7は、透過状態となる。読取部21(光源部21a、移動枠21b、移動機構21c、イメージセンサー21e等)は、スキャンテーブル部7が透過状態のとき、原稿Dの読み取りを行う。これにより、原稿Dの読み取り実行中、スキャンテーブル部7は透過状態となる。スキャンテーブル部7に写された画像を読み取ることがなく、原稿Dを正確に読み取ることができる。
また、読取部21(光源部21a、移動枠21b、移動機構21c、イメージセンサー21e等)は、タッチパネル部73で指定されたサイズで原稿Dを読み取る。スキャンテーブル部7は、原稿Dの読み取りにより得られた画像データである読取画像データに基づくプレビュー画像Pを、読取画像データの実寸大で表示する。
これにより、読み取りにより得られた画像データに基づく印刷結果や、読み取りにより得られた画像データに基づく送信出力結果の予想を示すプレビュー画像Pを、実サイズで確認することができる。従って、プレビュー画像Pを実寸よりも小さく操作パネル内の表示部に表示する場合に比べ、実際の出力結果により近いプレビュー画像Pを使用者に示すことができる。従って、使用者はより実際の結果に近いプレビュー画像Pを見ることができる。
また、スキャンテーブル部7は、画像処理部(第1画像処理部22又は第2画像処理部52)が読取画像データに基づき生成し、出力に用いる出力用画像データのサイズを設定するための出力サイズキーK5を表示し、操作された出力サイズキーK5に対応する大きさのフレームであって、画像処理部が読取画像データに基づき生成する出力用画像データの実寸大のフレームである出力フレームF2をプレビュー画像Pに重ねて表示する。
これにより、出力サイズキーK5を操作することにより、実寸大のプレビュー画像Pを見ながら、出力用画像データのサイズを設定することができる。また、プレビュー画像Pに重ねられる出力フレームF2により、読取画像データのうちどの部分が出力用画像データとして抽出されるか、及び、抽出される実際のサイズを確認することができる。
また、タッチパネル部73は、プレビュー画像Pの位置を移動させる操作、又は、出力フレームF2の位置を移動させる操作を受け付ける。スキャンテーブル部7は、移動後の位置にプレビュー画像P、又は、出力フレームF2を表示する。画像処理部(第1画像処理部22又は第2画像処理部52)は、読取画像データのうち出力フレームF2に対応する部分を切り出して出力用画像データを生成する。
これにより、実寸大のプレビュー画像Pを見ながら、読取画像データのうち、出力フレームF2の位置を自由に定めることができる。従って、読取画像データのうち出力する範囲を容易に定めることができる。しかも、実寸大の画像を見ながら、スキャンテーブル部7での操作だけで抽出する範囲を設定することができるので、従来の小型の表示部での操作や、一端画像データを出力してからPCで加工する場合に比べて容易に出力範囲を定めることができる。
また、タッチパネル部73は、読取画像データの拡大又は縮小操作を受け付ける。スキャンテーブル部7は、タッチパネル部73になされた拡大又は縮小操作に応じて拡大、又は、縮小されたプレビュー画像Pを表示する。画像処理部(第1画像処理部22又は第2画像処理部52)は、読取画像データに拡大又は縮小操作に応じたズーム処理を行って、出力用画像データを生成する。
これにより、実寸大のプレビュー画像Pを見ながら、所望する出力を得る上で適切な読取画像データの拡大率又は縮小率を自由かつ容易に定めることができる。従って、実寸大の画像を見ながら、スキャンテーブル部7での操作だけで拡大率又は縮小率を設定することができるので、所望の結果を得るために、予め適切と思われる拡大率又は縮小率を使用者が計算して読み取りを行う場合に比べて容易に出力範囲を定めることができる。また、所望の結果が得られるまで、拡大率又は縮小率を少しずつ変えつつ読み取りを繰り返すような試行錯誤をする必要もなくなる。また、一端画像データを出力してからPCで加工する場合に比べて読取場所で容易に出力範囲を定めることができる。
また、カバー部(原稿搬送部3)は、コンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス71)と接する清掃部材81と清掃部材81を移動させてスキャンテーブル部7の上面の汚れを拭き取る清掃機構82を含む。これにより、コンタクトガラス(タッチパネル部73)が使用者の操作によってタッチされても、タッチによる汚れを取り除くことができる。従って、原稿Dとともに汚れも読み取って、汚れが画像データに反映されることを無くすことができる。
また、清掃部材81は、コンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス71)の主走査方向の幅よりも長く、清掃部材81はコンタクトガラスをまたぐように設けられ、清掃機構82は、コンタクトガラスの上面全体の拭き取りがなされるように、清掃部材81をコンタクトガラスの副走査方向に移動させる。これにより、コンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス71)の全面を拭き掃除することができる。
また、スキャンテーブル部7は、実行しようとするジョブに関する設定画面と、設定用のキーを表示する。タッチパネル部73は、実行しようとするジョブに関する設定を受け付ける。これにより、スキャンテーブル部7であらゆる設定を行うことができる。従って、従来のようなタッチパネル部73を設けなくてもよくなる。
また、画像形成装置(複合機100)は、上述の画像読取装置1を含む。これにより、従来の操作パネルの表示部の画面サイズを大きくするのではなく、コンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス71)上に表示を行うので、画像形成装置のサイズ自体は大きくしないものの、表示画面のサイズが飛躍的に大型化された画像形成装置を提供することができる。また、ディスプレイと原稿Dのセット位置が一体化されているので、使用者の意識をスキャンテーブル部7に集中させることができる。そのため、読み取り後の原稿Dの回収を忘れのない画像形成装置を提供することができる。
また、画像形成装置(複合機100)は、印刷を行う印刷部4を含む。印刷部4は、プレビュー画像Pの表示後、カバー部(原稿搬送部3)が閉じられたとき、読取画像データに基づき印刷を行う。これにより、カバー部が閉じられると、自動的に印刷を開始する画像形成装置を提供することができる。従って、原稿読取を伴うジョブ(コピージョブ)の開始を1回実行すればよく、何度もジョブの進行に関する入力を行わなくてよい。
また、画像形成装置(複合機100)は、送信を行う通信部53を含む。通信部53は、プレビュー画像Pの表示後、カバー部(原稿搬送部3)が閉じられたとき、読取画像データ基づいたデータを送信する。これにより、カバー部が閉じられると、読取画像データ(出力用画像データ)に基づいて自動的に送信を開始する画像形成装置を提供することができる。従って、原稿読取を伴うジョブ(スキャン送信ジョブ)の開始を1回実行すればよく、何度もジョブの進行に関する入力を行わなくてよい。
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。