上記した複合容器が備えるプラスチック製部材は、容器本体に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体から分離(剥離)して除去することができ、容器本体をリサイクルすることができる。しかしながら、プラスチック製部材は、容器本体に密着するように設けられており、その容器本体からの分離性には改善の余地があった。
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。図1A乃至図13は一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
内容物入り複合容器の構成
まず、図1A乃至図3により、本実施の形態による内容物入り複合容器の概要について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ内容物L入り複合容器10Aを正立させた状態(図1A)における上方および下方のことをいう。
図1A乃至図3に示す内容物L入り複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形型50を用いてプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図4および図5参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置し、内容物L(図1Aおよび図1B参照)が充填されたプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40と、容器本体10の後述する口部11に装着されたキャップ60と、を備えている。
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
他方、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。
次に、容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首部13と、胴部20と、底部30とを有している。
このうち口部11は、キャップ60に螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。容器本体10に内容液等の内容物Lが充填され、口部11にキャップ60が螺着されることにより、内容物L入り複合容器10Aが作製される。なお、容器本体10に充填される内容物Lとしては、特に限定されるものではないが、例えば、清酒であっても良い。なお、本明細書中、「清酒」とは、日本の酒税法に定められたもののほか、酒税法上の「合成清酒」も含む。
首部13は、フランジ部17と胴部20との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。
胴部20は、首部13側から底部30側に向けて徐々に径が拡大する形状(水平断面において徐々に面積が拡大する形状)を有する第1部分21と、第1部分21の下方に設けられ、全体として略均一な径をもつ第2部分22と、を有している。このうち第2部分22は、円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20の第2部分22が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20の第2部分22が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。胴部20の外面には、例えば、減圧吸収パネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
一方、底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
また、胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm以上250μm以下程度に薄くすることができる。また、底部30における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば0.15mm以上2.0mm以下程度にすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、10g以上20g以下とすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なお容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。容器本体10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。さらに、容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを射出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
このような容器本体10は、例えば満注容量が100ml以上2000ml以下のボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体10は、満注容量が例えば10L以上60L以下の大型のボトルであっても良い。
次に、プラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aの外側に密着された後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、図2に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の首部13、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。
なお、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。または、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11、首部13および底部30の中心部を除く、胴部20および底部30を覆うように設けられていても良い。
このようなプラスチック製部材40としては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
プラスチック製部材40がプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材40は、プリフォーム10aの外側に設けられ、このプリフォーム10aと一体となって加熱され、2軸延伸ブロー成形されることにより得られる。
プラスチック製部材40は、容器本体10に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体10から剥離して除去することができる。ところで、本実施の形態において、図1A、図1Bおよび図3に示すように、プラスチック製部材40に、プラスチック製部材40を貫通する切り込み部45が形成されている。これにより、切り込みに45からプラスチック製部材40の分離を行うことができる。このため、容器本体10の表面からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。この結果、複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40の分離をより一層容易なものとし、容器本体10のリサイクルを行いやすくすることができる。
また、この切り込み部45は、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30に対応する位置に形成されており、具体的には、図3に示すように、切り込み部45は、底部30の凹部31に対応する位置に形成されている。これにより、複合容器10Aの外観が損なわれることを抑制することができる。また、底部30の厚みは、胴部20の厚みよりも厚くなっていることが一般的である。このため、切り込み部45が容器本体10の底部30に対応する位置に形成されていることにより、後述するように、切断用部材87(図7等参照)をプラスチック製部材40に押し付けながら切り込み部45を形成する際に、万が一、切断用部材87が容器本体10に接触した場合であっても、容器本体10に孔が開いてしまう不具合を抑制することができる。この結果、内容物Lが複合容器10Aから漏れ出す不具合を効果的に抑制することができる。
また、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40は、複合容器10Aに内容物Lを充填した際に、内容物Lの熱によって加熱されて収縮している。このため、図1Bおよび図3に示すように、容器本体10の底部30が露出する開口部46が形成されている。この場合、図3に示すように、切り込み部45の輪郭は、底面方向から見て、互いに離間する方向に窪む一対の円弧形状を有している。これにより、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、切り込み部45の端部(図3に示すA部)において、裂け目が生じやすくすることができる。このため、切り込み部45の端部に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。
また、切り込み部45は、複数形成されている。このため、図1Bに示すように、複合容器10Aに内容物Lを充填した際に、内容物Lの熱によって複数の切り込み部45間の部分が加熱されて収縮し、複数の切り込み部45間の部分は、容器本体10に対して浮き上がっている。これにより、使用者が、切り込み部45を起点として、容器本体10からプラスチック製部材40を更に容易に分離除去することができる。
なお、図3において、プラスチック製部材40が内容物Lに加熱されて収縮する前の切り込み部45を仮想線(二点鎖線)で示している。この場合、プラスチック製部材40が収縮する前の切り込み部45は、円弧形状に形成されており、容器本体10の周方向に沿って線状に延びる2本の切り込み部45が形成されている。また、2本の切り込み部45は、底面方向から見て約180°ずつ等配となるように形成されていている。さらに、各々の切り込み部45がなす円弧形状において、中心角θは、それぞれ約45°となっており、切り込み部45が形成された周上において、2つの切り込み部45と、切り込み部45が形成されていない部分とは、約45°ずつ等配となるように形成されていている。なお、底部30に形成される切り込み部45は、3つ以上であっても良く、中心角θは、形成される切り込み部45の数等に応じて適宜変更することができ、中心角θは45°未満でも良く、例えば30°であっても良い。
プラスチック製部材40としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン-1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げることができる。このうち低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。またそれらのブレンド材料や多層構造、部分的多層構造のものであってもよい。さらに、プラスチック製部材40の材料には、その特性が損なわれない範囲において、主成分の樹脂以外にも、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
プラスチック製部材40は、紫外線等の不可視光線をバリアする光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
プラスチック製部材40は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保冷性又は保温性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保冷性又は保温性が高められる。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、冷たすぎたり熱すぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。これら樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子を混合することが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上80μm以下であることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて公知の方法により測定することができる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン-アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル-アクリル樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂などを挙げることができる。また、ローペイクHP-1055、ローペイクHP-91、ローペイクOP-84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH-5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)などの市販される中空粒子を用いることも出来る。中空粒子の含有量としては、プラスチック製部材40に含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
また、プラスチック製部材40は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる。
プラスチック製部材40は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
また、プラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm以上500μm以下程度とすることができる。
次に図1Aにより、キャップ60について説明する。このキャップ60は、キャップ本体61と、キャップ本体61に破断可能に取付けられたリング62とを有している。これらキャップ本体61およびリング62はPE等の合成樹脂により一体成形されている。キャップ本体61とリング62との間には、周期的に切り込みが設けられた破断部60aが形成され、この破断部60aに沿ってキャップ本体61とリング62とを破断可能になっている。
また、キャップ本体61は、平板状の天面部63と、天面部63から延びる筒部64と、筒部64内面に形成されたねじ部65とを有している。キャップ60は、キャップ本体61のねじ部65を容器本体10の口部11のねじ部14に螺合させることにより、容器本体10の口部11に装着されている。
複合プリフォームの構成
次に、図4および図5により、複合プリフォームの構成について説明する。
図4および図5に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
プリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aのうち、胴部20aの全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。
なお、プラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。または、プラスチック製部材40aは、底部30を除く、胴部20aを覆うように設けられていても良い。
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものが用いられる。
この場合、プラスチック製部材40aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられる。また、プラスチック製部材40aは、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
なお、この場合、円筒状のプラスチック製部材40aをプリフォーム10aに嵌め込んだ後、プラスチック製部材40aの下端部(口部11aとは反対側の端部)に形成された余白部を熱圧着しても良い。
プラスチック製部材40aとしては、例えばダイレクトブロー成形により作製されたダイレクトブローチューブ、シート成形により作製されたシート成形チューブ、押出成形により作製された押出チューブ、射出成形により作製された射出成形チューブ、インフレーション成形により作製されたインフレーション成形チューブ等を用いることができるが、これに限定されるものではなく、上記以外の成形方法を用いても良い。
プラスチック製部材40aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
次にプラスチック製部材40aの形状について説明する。
図6(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対してもバリア性等の様々な機能や特性を付与することができる。このようなプラスチック製部材40aは、例えば上述したダイレクトブローチューブやシート成形チューブ、射出成形チューブを挙げることができる。
また、図6(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、円筒状の胴部41を有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aとしては、例えば上述したブローチューブ、押出チューブ、インフレーション成形チューブ、シート成形チューブを用いることができる。
また、図6(c)および図6(d)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、図6(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、胴部41を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、図6(d)に示すように、底部42を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。
切り込み部形成装置の構成
次に、図7乃至図9により、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40に対して、プラスチック製部材40を貫通する切り込み部45を形成するための切り込み部形成装置80について説明する。
切り込み部形成装置80は、ベース部81と、ベース部81上に配置された駆動部82と、駆動部82に取り付けられ、プラスチック製部材40に対して、プラスチック製部材40を貫通する切り込み部45を形成する加工部83と、を備えている。
このうちベース部81は、駆動部82を支持するものである。ベース部81は、後述するフレーム組合体90に支持されている。なお、これに限らず、ベース部81は、作業スペースの床面上に直接接するように配置されていても良い。
駆動部82は、ベース部81上に配置された本体部84と、本体部84に対して所定の方向(図9の左右方向)に沿って進退可能なロッド85と、を有している。また、ロッド85には、加工部83が取り付けられている。ロッド85は、本体部84に対して出没自在であり、本体部84から所定の方向(図9の左方)に突出した進行位置(図11(b)参照)と、進行位置からロッド85の一部が本体部84に引き込まれた退避位置(図7乃至図9参照)との間で進退可能に構成されている。また、この場合、ロッド85の進退は、案内部材85aによって案内されるようになっている。
また、駆動部82は、ロッド85の進行位置と退避位置とを切り替えるレバー86を更に有しており、レバー86の回動動作により、ロッド85の進行位置と退避位置とが切り替えられるように構成されている。なお、駆動部82としては、例えばエアシリンダを用いることができる。この場合、例えば、レバー86を初期位置(図7および図9参照)から回動させた際に、エアシリンダの図示しないシリンダ内に空気が供給され、ロッド85が進行位置をとる。一方、レバー86を初期位置に戻した際に、エアシリンダの図示しないシリンダ内から空気が排出され、ロッド85が退避位置をとるように構成することができる。この場合、ロッド85が進行位置をとった際における、ロッド85の本体部84からの突出量は、ロッド85が退避位置をとった際における、加工部83と容器本体10との間の距離に基づいて適宜設定することができる。すなわち、ロッド85の突出量は、ロッド85が進行位置をとった際に、加工部83の後述する切断用部材87が、プラスチック製部材40を貫通するとともに、容器本体10に傷を付けない程度の突出量とすることができる。
加工部83は、プラスチック製部材40に対して切り込み部45を形成するものである。この加工部83は、所定の方向(水平方向)に移動自在に設けられるとともに、当該所定の方向に沿って延びる回動軸線Xに対して回動自在に設けられている。また、加工部83は、本体部83aと、本体部83aに取り付けられた切断用部材87とを含んでいる。本実施の形態では、加工部83は、2つの切断用部材87を含み、各々の切断用部材87は、それぞれ本体部83aの上部と下部とに取り付けられている。また、切断用部材87は、円形状を有し、回動軸線Xに直交する回動軸線Yに対して回転自在に設けられている。この場合、一例として、切断用部材87は、丸刃のカッターであっても良い。
このような加工部83は、切断用部材87をプラスチック製部材40に押し付けながら、切断用部材87を回動させることにより、プラスチック製部材40に対して切り込み部45を形成するように構成されている。すなわち、加工部83が回動軸線Xに対して回動することにより、本体部83aに取り付けられた切断用部材87が回動軸線Xに対して回動する。これにより、切断用部材87がプラスチック製部材40に対して切り込み部45を形成するように構成されている。また、上述したように、切断用部材87は、回動軸線Yに対して回転自在に設けられている。このため、切り込み部45を形成する際に、切断用部材87がプラスチック製部材40に押し付けられながら回動軸線Xに対して回動することに伴い、切断用部材87自身が回動軸線Yに対して回転(自転)する。これにより、切り込み部45を形成する際に、切り込み部45におけるバリ等の発生を抑制し、かつ切断用部材87の摩耗を抑制することができるようになっている。
この加工部83は、ロッド85が進行位置をとる場合においては、プラスチック製部材40に接触する状態となり、ロッド85が退避位置をとる場合においては、加工部83がプラスチック製部材40に接触しない状態となるようになっている。この場合、加工部83の切断用部材87をプラスチック製部材40に対して押し付ける押し付け量は、上述したロッド85の突出量により調整されている。このように、切断用部材87のプラスチック製部材40に対する押し付け量を調整することにより、加工部83によってプラスチック製部材40に対して切り込み部45を形成する際に、容器本体10に傷が付くことを抑制することができる。
また、加工部83は、加工部83を回動させるレバー83bを更に有しており、レバー83bの回動動作により、加工部83が回動軸線Xに対して回動するように構成されている。この場合、ロッド85が進行位置をとった状態において、レバー83bを初期位置(図7乃至図9参照)から回動させることにより、切断用部材87が回動し、切断用部材87がプラスチック製部材40に円弧形状の切り込み部45を形成するようになっている。
また、切り込み部形成装置80は、容器本体10を支持する支持部88を更に備えている。この支持部88は、後述するフレーム組合体90に取り付けられている。また、支持部88は、容器本体10の底部30が加工部83と対向するように、容器本体10を横向きに倒した状態で、容器本体10を支持している。この支持部88は、容器本体10の口部11を支持する第1支持部88aと、容器本体10の胴部20を支持する第2支持部88bと、を有している。図7に示すように、第1支持部88aには、容器本体10の口部11の形状に対応する形状の凹部88cが形成されており、この凹部88c内に容器本体10の口部11が収容されるようになっている。また、第2支持部88bには、容器本体10の胴部20の第2部分22の外径よりも大きい内径を有する開口部88dが形成されており、この開口部88d内に容器本体10の胴部20が収容されるようになっている。
また、図7乃至図9に示すように、切り込み部形成装置80は、容器本体10の回転を規制する回転規制部89を更に備えている。この回転規制部89は、駆動部82のロッド85の先端に固定されており、容器本体10の底部30に対応する形状をもっている。この回転規制部89は、ロッド85が進行位置をとった際に、容器本体10の底部30の凹部31に嵌合して、容器本体10を所定の方向(図9の左方)に押圧する。これにより、容器本体10のフランジ部17が支持部88の第1支持部88aに押し付けられ、容器本体10の回転が規制されるようになっている。また、回転規制部89は、加工部83が回動した場合であっても、回動軸線Xに対して回動しないように構成されている。このため、容器本体10の底部30の凹部31に嵌合した回転規制部89が回動してしまうことにより、回転規制部89と共に容器本体10が回動してしまうことを抑制することができる。
次に、上述したベース部81を支持するフレーム組合体90の一例について説明する。
フレーム組合体90は、支持部材91と、支持部材91上に配置された高さ調整部材92とを有している。
このうち支持部材91は、作業スペースの床面上に配置されるものである。この支持部材91は、一対の四角柱状の部材から構成されており、各々の部材は、回動軸線Xに沿って延びるように配置されている。
高さ調整部材92は、四角柱状の部材から構成されており、支持部材91の幅方向(回動軸線Xに直交する方向)に沿って延びるように配置されている。この高さ調整部材92は、ベース部81、案内部材85aおよび支持部88の高さを調整する役割を果たす。これにより、加工部83が、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30に対応する位置に、切り込み部45を形成することができるようになっている。
なお、フレーム組合体90において、上述した各々の部材は、ボルト等により、互いに固定されていても良い。
内容物入り複合容器の製造方法
次に、図10(a)~(f)、図11(a)~(c)、図12(a)~(c)および図13(a)-(b)により、本実施の形態による内容物入り複合容器10Aの製造方法について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図10(a)参照)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。また、プリフォーム10aとして、従来一般に用いられるプリフォームを用いても良い。
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図10(b)参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。
この際、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図10(a)~(b))と、ブロー成形を行う一連の工程(図10(c)~(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図10(c)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
また、ブロー成形型50を準備する。そして、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、複合容器10Aを作製するためのブロー成形型50に送られる(図10(d)参照)。
容器本体10および容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40は、このブロー成形型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形型50は、金属型または樹脂型である型本体52を備えており、型本体52は、互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとからなる(図10(d)参照)。型本体52の内面は、複合容器10Aの首部13、胴部20および底部30に対応する形状を有している。図10(d)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で型本体52の一対の胴部金型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
次に、図10(e)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、型本体52の一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形型50が構成される。次に、プリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
これにより、複合プリフォーム70は、ブロー成形型50の内面に対応する形状に賦形され、ブロー成形型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形型50の内面に対応する形状に賦形される。
このようにして、容器本体10および容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40が得られる。
その後、図10(f)に示すように、型本体52の一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形型50内から、容器本体10および容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40が取出される。
次に、ブロー成形後のプラスチック製部材40に対して、プラスチック製部材40を貫通する切り込み部45を形成する。この際、まず、切り込み部形成装置80を準備する。次に、図11(a)に示すように、切り込み部形成装置80の支持部88に容器本体10を取り付ける。この際、容器本体10の口部11が第1支持部88aの凹部88c内に収容され、容器本体10の胴部20の第2部分22が、第2支持部88bの開口部88d内に収容される。なお、この場合、駆動部82のレバー86は、初期位置にあり、駆動部82のロッド85は、退避位置をとっている。
次いで、使用者が、レバー86を初期位置から回動させる。これにより、図11(b)に示すように、駆動部82の本体部84からロッド85が所定の方向(図9の左方)に突出し、ロッド85が進行位置をとる。これにより、ロッド85の先端に取り付けられた回転規制部89(図8参照)が容器本体10の底部30の凹部31(図1A、図1Bおよび図3参照)に嵌合して、容器本体10を当該所定の方向(図9の左方)に押圧する。これにより、容器本体10のフランジ部17が支持部88の第1支持部88aに押し付けられる。また、この際、切断用部材87がプラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30に対応する位置に押し付けられる。
次に、使用者が、加工部83のレバー83bを回動させる。これにより、図11(c)に示すように、切断用部材87が回動軸線Xに対して回動する。この際、上述したように、回転規制部89(図8参照)により、容器本体10のフランジ部17が支持部88の第1支持部88aに押し付けられている。また、回転規制部89は、ロッド85に固定されており、加工部83が回動した場合であっても、回動しないように構成されている。これにより、容器本体10の回転が規制される。このため、切断用部材87の回動に伴って、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30に対応する位置に円弧形状の切り込み部45(図3参照)が形成される。このように、切り込み部45が容器本体10の底部30に対応する位置に形成されることにより、複合容器10Aの外観が損なわれることを抑制することができる。また、加工部83は、2つの切断用部材87を含んでいる。これにより、プラスチック製部材40に2つの切り込み部45(図1A、図1Bおよび図3参照)が形成される。このため、複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40の分離をより容易なものとすることができる。
また、切り込み部45を形成する際、切断用部材87が、回動軸線Y(図7乃至図9参照)に対して回転(自転)する。すなわち、切断用部材87をプラスチック製部材40に押し付けながら、切断用部材87を回動させたとき、切断用部材87自身が回転しながら、プラスチック製部材40に切り込み部45を形成する。これにより切り込み部45にはバリ等が発生しにくくなり、かつ切断用部材87の摩耗も抑えられる。
次いで、使用者が、レバー83bを回動させて、レバー83bを初期位置に戻す(図12(a)参照)。
次に、使用者が、レバー86を回動させて、レバー86を初期位置に戻す。これにより、図12(b)に示すように、駆動部82の本体部84にロッド85の一部が引き込まれる。
そして、使用者が、切り込み部形成装置80の支持部88から複合容器10Aを取り外す。このようにして、図12(c)に示すように、複合容器10Aが得られる。
次いで、容器本体10内に内容物Lを充填することにより、内容物Lの熱によって切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を加熱して収縮させる。この際、まず、図13(a)に示すように、複合容器10A内へ内容物Lを充填する。この場合、容器本体10の口部11(図1A参照)を介して、複合容器10A内へ内容物Lを充填する。これにより、図13(b)の矢印a1に示すように、内容物Lの熱によって切り込み部45周囲のプラスチック製部材40が加熱されて収縮する。このため、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、切り込み部45の端部(図3のA部参照)において、裂け目が生じやすくすることができる。このため、切り込み部45の端部に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。
ところで、上述したように、プラスチック製部材40には、2つの切り込み部45が形成されている。これにより、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40が収縮することによって、図13(b)の矢印a2に示すように、2つの切り込み部45間の部分が容器本体10に対して浮き上がる。このため、使用者が、2つの切り込み部45間の部分を摘まみやすくなり、プラスチック製部材40を容器本体10から容易に分離して除去することができる。
また、容器本体10内に内容物Lを充填する場合、内容物Lは、例えば、60℃以上96℃以下の温度で充填される。内容物Lが60℃以上の温度で充填されることにより、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を効果的に収縮させることができる。このため、2つの切り込み部45間の部分を容器本体10に対して効果的に浮き上がらせることができる。また、内容物Lが96℃以下の温度で充填されることにより、内容物Lの熱により、容器本体10が変形してしまう不具合を抑制することができる。
その後、内容物Lが充填された容器本体10の口部11にキャップ60を装着する。このようにして、内容物L入り複合容器10Aが得られる。
ところで、容器本体10をリサイクルする際、複合容器10Aのプラスチック製部材40を容器本体10から分離除去する必要がある。この場合、切り込み部45を起点として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。このため、複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40の分離を容易なものとすることができる。とりわけ、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40は、複合容器10Aに内容物Lを充填した際に、内容物Lに加熱されて収縮している。これにより、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、切り込み部45の端部において、裂け目が生じやすくすることができる。このため、切り込み部45の端部に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、容器本体10内に内容物Lを充填することにより、内容物Lの熱によって切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を加熱して収縮させる。これにより、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、切り込み部45の端部において、裂け目が生じやすくすることができる。このため、切り込み部45の端部に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。
また、本実施の形態によれば、プラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができるので、従来と同様に無色透明な容器本体10をリサイクルすることができる。
また、本実施の形態によれば、切り込み部45は、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30に対応する位置に形成される。これにより、複合容器10Aの外観が損なわれることを抑制することができる。このため、複合容器10Aの意匠性が低下することを抑制することができる。また、底部30の厚みは、胴部20の厚みよりも厚くなっていることが一般的である。このため、容器本体10の底部30に対応する位置に切り込み部45を形成することにより、万が一、切断用部材87が容器本体10に接触した場合であっても、容器本体10に孔が開いてしまう不具合を抑制することができる。この結果、内容物Lが容器本体10から漏れ出す不具合を効果的に抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、複数の切り込み部45が形成され、容器本体10内に内容物Lを充填することにより、内容物Lの熱によって複数の切り込み部45間の部分が容器本体10に対して浮き上がる。これにより、使用者が、複数の切り込み部45間の部分を摘まみやすくなり、プラスチック製部材40を容器本体10から、より容易に分離して除去することができる。
なお、上記実施の形態において、内容物Lの熱によって切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を加熱して収縮させた後に、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を更に加熱することにより、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を更に収縮させ、複数の切り込み部45間の部分を容器本体10に対して更に浮き上がらせても良い。この際、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を、ヒートガンなどの温風を用いて加熱しても良い。加熱する方法はヒートガン、ドライヤーなどの温風以外に、蒸気や加熱した冶具、レーザーを用いても良い。蒸気の場合は、シュリンクラベルを装着する際のシュリンクトンネルを利用することも考えられる。また、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を加熱する際に、容器本体10が変形しない程度にその周辺が温められてもよい。この場合、図14の矢印a3に示すように、切り込み部45を更に加熱することにより、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40が更に収縮する。これにより、図14の矢印a4に示すように、複数の切り込み部45間の部分を容器本体10に対して更に浮き上がらせることができる。これにより、使用者が複数の切り込み部45間の部分を更に摘まみやすくなり、プラスチック製部材40を容器本体10から更に容易に分離して除去することができる。
また、上記実施の形態において、切り込み部45が、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30に対応する位置に形成されている例について説明した。しかしながら、これに限られず、図15に示すように、切り込み部45が、例えば、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の胴部20に対応する位置に形成されていても良い。図15に示す例においては、胴部20の第1部分21のうち、首部13近傍に、2つの切り込み部45が形成されている。また、この場合においても、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40は、複合容器10Aに内容物Lを充填した際に、内容物Lの熱によって加熱されて収縮している。このため、図15に示すように、容器本体10の胴部20が露出する開口部46が形成されている。この場合、切り込み部45の輪郭は、正面視で、互いに離間する方向に窪む一対の円弧形状を有している。これにより、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、切り込み部45の上端および下端において、裂け目が生じやすくすることができる。このため、切り込み部45の端部に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。なお、図15において、プラスチック製部材40が内容物Lに加熱されて収縮する前の切り込み部45を仮想線(二点鎖線)で示している。この場合、プラスチック製部材40が収縮する前の切り込み部45は、容器本体10の長手方向に沿って線状に延びるように形成されている。また、この場合、切り込み部45は、例えば切断用部材87をプラスチック製部材40に対して押し付けることにより、形成することができる。なお、切り込み部45は、胴部20の第2部分22に形成されていても良い。また、この場合、切断用部材87は、カッターや抜き型に使用されるトムソン刃またはビク刃、腐食(エッチング)加工により作製するピナクル刃またはそれらをシャープニング加工した刃物、その他切削により作製する刃物(彫刻刃)であっても良い。
さらに、この場合においても、複合容器10Aに内容物Lを充填した際に、内容物Lの熱によって複数の切り込み部45間の部分が加熱されて収縮し、複数の切り込み部45間の部分は、容器本体10に対して浮き上がっている。これにより、使用者が、複数の切り込み部45間の部分を摘まみやすくなり、プラスチック製部材40を容器本体10から、より容易に分離して除去することができる。なお、図15において、プラスチック製部材40のうち、容器本体10に対して浮き上がっている部分を網掛けで示している。
また、上記実施の形態において、切り込み部45が、複数形成されている例について説明した。しかしながら、これに限られず、図16に示すように、形成される切り込み部45が、1つであっても良い。この場合、切り込み部45がなす円弧形状において、中心角θは、180°以下であることが好ましい。これにより、複合容器10Aの搬送中等において、切り込み部45を起点としてプラスチック製部材40が容器本体10の底部30から捲れてしまうことを抑制することができる。
また、この場合においても、容器本体10内に内容物Lを充填することにより、内容物Lの熱によって切り込み部45周囲のプラスチック製部材40が加熱して収縮する。このため、図16に示すように、容器本体10の底部30が露出する開口部46が形成され、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、切り込み部45の端部(図16に示すA部)において、裂け目が生じやすくすることができる。このため、切り込み部45の端部に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。
また、この場合においても、上述したように、内容物Lの熱によって切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を加熱して収縮させた後に、切り込み部45を更に加熱することにより、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を更に収縮させても良い。この場合、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40が更に収縮することにより、開口部46の面積が大きくなる。これにより、使用者が、切り込み部45を起点として、容器本体10からプラスチック製部材40を更に容易に分離除去することができる。
また、上記実施の形態において、切断用部材87を回動させることにより、切り込み部45を形成する例について説明した。しかしながら、これに限らず、切り込み部45を形成する工程において、容器本体10を回動させても良い。この場合、切り込み部形成装置80において、回転規制部89を駆動部82のロッド85から取り外すことにより、容器本体10を回動軸線Xに対して回動させることができる。この場合においても、プラスチック製部材40に対して切り込み部45を形成することができる。
また、上記実施の形態において、加工部83が2つの切断用部材87を含んでいる例について説明した。しかしながら、これに限られず、加工部83が切断用部材87を1つのみ含んでいても良く、加工部83が3つ以上の切断用部材87を含んでいても良い。
さらに、上記実施の形態において、底部30が、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している例について説明した。しかしながら、これに限られず、図17乃至図19に示すように、底部30が、ペタロイド形状を有していても良い。この場合、底部30は、中央に位置する中央部131と、中央部131から底部30の周縁部30bに向けて放射状に延びる複数(この場合は5本)のペタロイド脚132とを有している。
図18に示すように、5本のペタロイド脚132は、底部30の周縁部30bに沿って周方向に等間隔に配置されている。ペタロイド脚132は、複合容器10Aを安定して正立させるためには5本以上設けることが好ましいが、成形性の観点等から、その上限は9本程度とすることが好ましい。また、バックリングを効果的に防止するために、ペタロイド脚132の本数を奇数本とすることが好ましく、とりわけ5本とすることが更に好ましい。
また図18および図19に示すように、各ペタロイド脚132は、各々円周状に延びる接地部132aと、接地部132aから中央部131側に向けて上方に延びる内側傾斜面132bと、接地部132aから周縁部30b側に向けて上方に延びる外側傾斜面132cとを有している。
一方、隣接する各ペタロイド脚132間には、谷部133が形成されている。各谷部133は、中央部131から周縁部30bに向かって上方へ延びる湾曲面からなっている。各谷部133は、中央部131から周縁部30bに向かう断面において、下方へ向けて湾曲する球面の一部を構成している(図19参照)。この場合、各谷部133は、ドーム状曲面の一部からなっていても良い。
この場合、図18および図19に示すように、切り込み部45は、中央部131に対応する位置に形成することができる。
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。