JP7211087B2 - 複合容器、複合容器の製造方法およびブロー成形型 - Google Patents

複合容器、複合容器の製造方法およびブロー成形型 Download PDF

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Description

本開示は、複合容器、複合容器の製造方法およびブロー成形型に関する。
近時、飲食品等の内容液を収容するボトルとして、プラスチック製のものが一般化してきており、このようなプラスチックボトルには内容液が収容される。
このような内容液を収容するプラスチックボトルは、金型内にプリフォームを挿入し、2軸延伸ブロー成形することにより製造される。
ところで、従来の2軸延伸ブロー成形法では、例えばPETやPP等の単層材料、多層材料又はブレンド材料等を含むプリフォームを用いて容器形状に成形している。しかしながら、従来の2軸延伸ブロー成形法においては、単にプリフォームを容器形状に成形するだけであるのが一般的である。このため、容器に対して様々な機能や特性(バリア性や保温性等)を持たせる場合、例えばプリフォームを構成する材料を変更する等、その手段は限定されてしまう。とりわけ、容器の部位(例えば胴部や底部)に応じて、異なる機能や特性を持たせることは難しい。
これに対して本出願人は、特許文献1において、容器に対して様々な機能や特性を付与することが可能な複合容器を提案している。
特開2015-128858号公報
上記した複合容器が備えるプラスチック製部材は、容器本体に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体から分離(剥離)して除去することができ、容器本体をリサイクルすることができる。しかしながら、プラスチック製部材は、容器本体に密着するように設けられており、その容器本体からの分離性には改善の余地があった。
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、容器本体の外側に設けられたプラスチック製部材の分離性を高めることが可能な、複合容器、複合容器の製造方法およびブロー成形型を提供する。
一実施の形態による複合容器の製造方法は、複合容器の製造方法において、プリフォームを準備する工程と、前記プリフォームの外側に、プラスチック製部材を設ける工程と、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を、胴部金型と底部金型とを有するブロー成形型内でブロー成形することにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させ、容器本体と、前記容器本体の外側に接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を作製する工程と、を備え、前記複合容器から前記底部金型を引き抜く際、前記底部金型によって前記複合容器の前記容器本体の底部に位置する前記プラスチック製部材を引っ掛け、剥離開始部を形成する。
一実施の形態による複合容器の製造方法において、前記剥離開始部は、前記容器本体の前記底部から浮き上がっていても良い。
一実施の形態による複合容器の製造方法において、前記底部は、凹部と、前記凹部の周囲に設けられた接地部とを有し、前記凹部の中央に中央底面が配置され、前記中央底面の周囲に周辺凸部が突設され、前記剥離開始部は、前記周辺凸部の内壁面に対応する位置に形成されていても良い。
一実施の形態によるブロー成形型は、容器本体と、前記容器本体の外側に接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を作製するブロー成形型であって、前記容器本体の胴部に対応する胴部金型と、前記容器本体の底部に対応する底部金型と、を備え、前記底部金型は、前記複合容器から前記底部金型を引き抜く際、前記複合容器の前記容器本体の底部に位置する前記プラスチック製部材を引っ掛け、剥離開始部を形成する。
一実施の形態によるブロー成形型において、前記底部金型は、底部金型本体と、前記底部金型本体から突出する凸部とを有し、前記凸部は、中央平坦面と、前記中央平坦面の周囲に設けられ、前記剥離開始部を形成する周辺凹部とを有していても良い。
一実施の形態による複合容器は、複合容器において、口部と胴部と底部とを有する容器本体と、前記容器本体の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材と、を備え、前記容器本体の前記底部に位置する前記プラスチック製部材に、剥離開始部が形成されている。
一実施の形態による複合容器において、前記剥離開始部は、前記容器本体の前記底部から浮き上がっていても良い。
一実施の形態による複合容器において、前記底部は、凹部と、前記凹部の周囲に設けられた接地部とを有し、前記凹部の中央に中央底面が配置され、前記中央底面の周囲に周辺凸部が突設され、前記剥離開始部は、前記周辺凸部の内壁面に対応する位置に形成されていても良い。
本開示によれば、容器本体の外側に設けられたプラスチック製部材の分離性を高めることができる。
図1は、一実施の形態による複合容器を示す斜視図。 図2は、一実施の形態による複合容器を示す正面図。 図3は、一実施の形態による複合容器を示す底面図。 図4は、一実施の形態による複合容器を示す垂直断面図(図3のIV-IV線断面図)。 図5は、一実施の形態による複合容器を示す水平断面図(図2のV-V線断面図)。 図6は、一実施の形態による複合プリフォームを示す部分垂直断面図。 図7は、一実施の形態による複合プリフォームを示す水平断面図(図6のVII-VII線断面図)。 図8(a)~(d)は、各種プラスチック製部材を示す斜視図。 図9(a)~(f)は、一実施の形態による複合容器の製造方法を示す概略図。 図10は、ブロー成形型の底部金型を示す斜視図。 図11は、ブロー成形型の底部金型を示す正面図。 図12は、ブロー成形型の底部金型を示す平面図。 図13(a)、(b)は、底部金型を複合容器から引き抜いている状態を示す断面図。 図14は、底部金型が引き抜かれた後の複合容器の底部を示す断面図。
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。図1乃至図14は一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
複合容器の構成
まず、図1乃至図5により、本実施の形態による複合容器の概要について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図2および図4)における上方および下方のことをいう。
図1乃至図5に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形型50を用いてプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図6および図7参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40と、を備えている。
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
他方、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。
次に、容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首部13と、胴部20と、底部30とを有している。
このうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
首部13は、フランジ部17と胴部20との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。
胴部20は、首部13側から底部30側に向けて徐々に径が拡大する形状(水平断面において徐々に面積が拡大する形状)を有する第1部分21と、第1部分21の下方に設けられ、全体として略均一な径をもつ第2部分22と、を有している。このうち第2部分22は、円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20の第2部分22が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20の第2部分22が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。胴部20の外面には、例えば、減圧吸収パネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
一方、底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。図3に示すように、凹部31の中央には、平面視略六角形形状の中央底面33が配置されている。中央底面33の周囲には、平面視略扇形状の周辺凸部34が突設されている。この場合、周辺凸部34は、周方向に等しい間隔を空けて3つ配置されている。また、図4に示すように、周辺凸部34のうち中央底面33側を向く面には、内壁面34aが形成されている。内壁面34aは、複合容器10Aの中心軸に平行な面であっても良く、あるいは、逆テーパ状、すなわち内壁面34aの上端が下端よりも径方向外側に位置する面であっても良い。
また、胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば0.15mm以上0.5mm以下程度に薄くすることができる。また、底部30における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば0.15mm以上3.0mm以下程度にすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、10g以上40g以下とすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なお容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。容器本体10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。さらに、容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを射出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
このような容器本体10は、例えば満注容量が100ml以上2000ml以下のボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体10は、満注容量が例えば10L以上60L以下の大型のボトルであっても良い。
次に、プラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aの外側に密着された後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40は容器本体10の外面に接着されることなく剥離除去可能に取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、図2に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および底部30の中央底面33を除く、首部13、胴部20および底部30の一部を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の首部13、胴部20および底部30の一部に対して所望の機能や特性を付与することができる。
なお、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、胴部20および底部30を覆うように設けられていても良い。 あるいは、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。または、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11、首部13および底部30の中心部を除く、胴部20および底部30を覆うように設けられていても良い。
このようなプラスチック製部材40としては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
プラスチック製部材40がプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材40は、プリフォーム10aの外側に設けられ、このプリフォーム10aと一体となって加熱され、2軸延伸ブロー成形されることにより得られる。
プラスチック製部材40は、容器本体10に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体10から剥離して除去することができる。ところで、本実施の形態において、図3および図4に示すように、プラスチック製部材40に、容器本体10の底部30から予め浮き上がった剥離開始部(切欠部)45が形成されている。剥離開始部45は、プラスチック製部材40を剥離除去する際の切っ掛けとなる部分であり、指で摘まめる程度の小片状に形成されている。これにより、剥離開始部45を指で引っ張ることにより、プラスチック製部材40を引きちぎり、プラスチック製部材40の分離を行うことができる。このため、容器本体10の表面からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。この結果、複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40の分離をより一層容易なものとし、容器本体10のリサイクルを行いやすくすることができる。
この場合、剥離開始部45は、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30に対応する位置に形成されており、具体的には、図4に示すように、周辺凸部34の内壁面34aに対応する位置に形成されている。これにより、剥離開始部45が目立ちにくく、複合容器10Aの外観が損なわれることを抑制することができる。
また、図3に示すように、剥離開始部45の周囲において、容器本体10の底部30が露出している。また、剥離開始部45は、各周辺凸部34に1つずつ、合計3つ形成されており、互いに周方向に離間して配置されている。なお、剥離開始部45は、1つ以上であれば良く、形成される周辺凸部34の数等に応じて適宜変更することができる。
剥離開始部45の輪郭は、周辺凸部34の内壁面34aの周縁に略対応する。これにより、プラスチック製部材40を容器本体10から分離する際に、剥離開始部45の端部46において、裂け目を生じやすくすることができる。このため、剥離開始部45の端部46に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。なお、剥離開始部45の端部46は、周辺凸部34の内壁面34a以外の領域に位置していても良い。
プラスチック製部材40としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン-1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げることができる。このうち低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。またそれらのブレンド材料や多層構造、部分的多層構造のものであってもよい。さらに、プラスチック製部材40の材料には、その特性が損なわれない範囲において、主成分の樹脂以外にも、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
プラスチック製部材40は、紫外線等の不可視光線をバリアする光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
プラスチック製部材40は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保冷性又は保温性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保冷性又は保温性が高められる。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、冷たすぎたり熱すぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。これら樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子を混合することが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上80μm以下であることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて公知の方法により測定することができる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン-アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル-アクリル樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂などを挙げることができる。また、ローペイクHP-1055、ローペイクHP-91、ローペイクOP-84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH-5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)などの市販される中空粒子を用いることも出来る。中空粒子の含有量としては、プラスチック製部材40に含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
また、プラスチック製部材40は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる。
プラスチック製部材40は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
また、プラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm以上500μm以下程度とすることができる。
複合プリフォームの構成
次に、図6および図7により、複合プリフォームの構成について説明する。
図6および図7に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
プリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aのうち、胴部20aの全域と、底部30aの一部領域(底部30aの中心を除く領域)とを覆うように設けられている。
なお、プラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。または、プラスチック製部材40aは、底部30を除く、胴部20aを覆うように設けられていても良い。
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものが用いられる。
この場合、プラスチック製部材40aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられる。また、プラスチック製部材40aは、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
なお、この場合、円筒状のプラスチック製部材40aをプリフォーム10aに嵌め込んだ後、プラスチック製部材40aの下端部(口部11aとは反対側の端部)に形成された余白部を熱圧着しても良い。
プラスチック製部材40aとしては、例えばダイレクトブロー成形により作製されたダイレクトブローチューブ、シート成形により作製されたシート成形チューブ、押出成形により作製された押出チューブ、射出成形により作製された射出成形チューブ、インフレーション成形により作製されたインフレーション成形チューブ等を用いることができるが、これに限定されるものではなく、上記以外の成形方法を用いても良い。
プラスチック製部材40aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
次にプラスチック製部材40aの形状について説明する。
図8(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、周方向に繋ぎ目のない円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対してもバリア性等の様々な機能や特性を付与することができる。このようなプラスチック製部材40aは、例えば上述したダイレクトブローチューブやシート成形チューブ、射出成形チューブを挙げることができる。
また、図8(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、周方向に繋ぎ目のない円筒状の胴部41を有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aとしては、例えば上述したブローチューブ、押出チューブ、インフレーション成形チューブ、シート成形チューブを用いることができる。
また、図8(c)および図8(d)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、図8(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、胴部41を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、図8(d)に示すように、底部42を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。
複合容器の製造方法
次に、図9乃至図14により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図9(a)参照)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。また、プリフォーム10aとして、従来一般に用いられるプリフォームを用いても良い。
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図9(b)参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。
この際、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に緩挿し、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図9(a)~(b))と、ブロー成形を行う一連の工程(図9(c)~(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図9(c)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
また、ブロー成形型50を準備する。そして、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、複合容器10Aを作製するためのブロー成形型50に送られる(図9(d)参照)。
容器本体10および容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40は、このブロー成形型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形型50は、金属型または樹脂型であり、互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとを有する(図9(d)参照)。ブロー成形型50の内面は、複合容器10Aの首部13、胴部20および底部30に対応する形状を有している。
図9(d)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態でブロー成形型50の一対の胴部金型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
ところで図10乃至図12に示すように、底部金型50cは、底部金型本体65と、底部金型本体65から突出する凸部61とを有している。このうち凸部61は、容器本体10の凹部31に対応する形状を有している。具体的には、凸部61は、中央底面33に対応する中央平坦面63と、中央平坦面63の周囲に設けられ、周辺凸部34に対応する周辺凹部64とを有している。この場合、周辺凹部64は、周方向に等しい間隔を空けて3つ配置されている。
この周辺凹部64は、後述するように複合容器10Aから底部金型50cを引き抜く際、複合容器10Aの底部30に位置するプラスチック製部材40を引っ掛け、剥離開始部45を形成する引っ掛け部としての役割を果たす。また、周辺凹部64は、金型内壁面64aと周辺凹部底面64bとを有している。金型内壁面64aは中央平坦面63側に位置する面である。周辺凹部底面64bは金型内壁面64aに連接する平坦面である。金型内壁面64aは、周辺凹部底面64bに直交していても良く、あるいは、逆テーパ状、すなわち金型内壁面64aと周辺凹部底面64bとが鋭角的に交わっていても良い。
次に、図9(e)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、ブロー成形型50の一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形型50が構成される。次に、プリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
これにより、複合プリフォーム70は、ブロー成形型50の内面に対応する形状に賦形され、ブロー成形型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形型50の内面に対応する形状に賦形される。
このようにして、容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを有する複合容器10Aが得られる。
その後、図9(f)に示すように、ブロー成形型50の一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形型50内から、容器本体10とプラスチック製部材40とを有する複合容器10Aが取出される。
この間、底部金型50cが複合容器10Aの容器本体10の底部30から引き抜かれる。この際、底部金型50cの周辺凹部(引っ掛け部)64が、複合容器10Aの底部30に位置するプラスチック製部材40に引っ掛かり、剥離開始部45が形成される。
すなわち、図13(a)に示すように、底部金型50cが複合容器10Aに密着しているとき、底部金型50cの周辺凹部64は、複合容器10Aの底部30の周辺凸部34に嵌合している。
一方、図13(b)に示すように、底部金型50cが複合容器10Aから引き抜かれる際、底部金型50cが複合容器10Aの底部30から離間するように移動する。この際、周辺凹部64の金型内壁面64aが周辺凸部34の内壁面34aを擦り、内壁面34aに位置するプラスチック製部材40が内壁面34aから浮き上がって、剥離開始部45を形成する(図13(c)参照)。
その後、このようにして得られた複合容器10A内に内容物を充填し、容器本体10の口部11に図示しないキャップを装着することにより、内容物入り複合容器が得られる。
ところで、容器本体10をリサイクルする際、複合容器10Aのプラスチック製部材40を容器本体10から分離除去する必要がある。この場合、剥離開始部45を起点として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。このため、複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40の分離を容易なものとすることができる。とりわけ、剥離開始部45が容器本体10の底部30から浮き上がっている。これにより、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、剥離開始部45を摘まみやすい。また、剥離開始部45の端部46に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。
このように、本実施の形態によれば、複合容器10Aから底部金型50cを引き抜く際、底部金型50cによって複合容器10Aの底部30に位置するプラスチック製部材40を引っ掛け、剥離開始部45を形成する。これにより、プラスチック製部材40を容器本体10から分離させる際に、剥離開始部45の端部46において、裂け目が生じやすくすることができる。このため、剥離開始部45の端部46に裂け目を生じさせ、この裂け目を引き裂き線として、容器本体10からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。
また、本実施の形態によれば、底部金型50cによって剥離開始部45を形成するので、複合容器10Aを成形するのと同時に剥離開始部45を形成することができる。このため、複合容器10Aを作製する工程とは別に、剥離開始部45を形成する工程を設ける必要がない。
また、本実施の形態によれば、プラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができるので、従来と同様に無色透明な容器本体10をリサイクルすることができる。
また、本実施の形態によれば、剥離開始部45は、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30に対応する位置に形成される。これにより、複合容器10Aの外観が損なわれることを抑制することができる。このため、複合容器10Aの意匠性が低下することを抑制することができる。とりわけ、剥離開始部45は、周辺凸部34の内壁面34aに対応する位置に形成されているので、剥離開始部45が目立ちにくくなっており、また、剥離開始部45が底部30の接地部32よりも外方にはみ出すこともない。
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
10 容器本体
10A 複合容器
10a プリフォーム
11 口部
20 胴部
30 底部
40、40a プラスチック製部材
45 剥離開始部
50 ブロー成形型
50a、50b 胴部金型
50c 底部金型

Claims (7)

  1. 複合容器の製造方法において、
    プリフォームを準備する工程と、
    前記プリフォームの外側に、プラスチック製部材を設ける工程と、
    前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を、胴部金型と底部金型とを有するブロー成形型内でブロー成形することにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させ、容器本体と、前記容器本体の外側に接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を作製する工程と、を備え、
    前記複合容器から前記底部金型を引き抜く際、前記底部金型によって前記複合容器の前記容器本体の底部に位置する前記プラスチック製部材を引っ掛け、剥離開始部を形成する、複合容器の製造方法。
  2. 前記剥離開始部は、前記容器本体の前記底部から浮き上がっている、請求項1記載の複合容器の製造方法。
  3. 前記底部は、凹部と、前記凹部の周囲に設けられた接地部とを有し、前記凹部の中央に中央底面が配置され、前記中央底面の周囲に周辺凸部が突設され、前記剥離開始部は、前記周辺凸部の内壁面に対応する位置に形成されている、請求項1又は2記載の複合容器の製造方法。
  4. 容器本体と、前記容器本体の外側に接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を作製するブロー成形型であって、
    前記容器本体の胴部に対応する胴部金型と、
    前記容器本体の底部に対応する底部金型と、を備え、
    前記底部金型は、前記複合容器から前記底部金型を引き抜く際、前記複合容器の前記容器本体の底部に位置する前記プラスチック製部材を引っ掛け、剥離開始部を形成する、ブロー成形型。
  5. 前記底部金型は、底部金型本体と、前記底部金型本体から突出する凸部とを有し、前記凸部は、中央平坦面と、前記中央平坦面の周囲に設けられ、前記剥離開始部を形成する周辺凹部とを有する、請求項4記載のブロー成形型。
  6. 複合容器において、
    口部と胴部と底部とを有する容器本体と、
    前記容器本体の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材と、を備え、
    前記容器本体の前記底部に位置する前記プラスチック製部材に、剥離開始部が形成され
    前記底部は、凹部と、前記凹部の周囲に設けられた接地部とを有し、前記凹部の中央に中央底面が配置され、前記中央底面の周囲に周辺凸部が突設され、前記剥離開始部は、前記周辺凸部の内壁面に対応する位置に形成されている、複合容器。
  7. 前記剥離開始部は、前記容器本体の前記底部から浮き上がっている、請求項6記載の複合容器。
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