JP7297091B2 - 高炉の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉の操業方法に関する。
本願は、2019年11月29日に日本に出願された特願2019-216568号及び2020年5月27日に日本に出願された特願2020-092467号に基づき優先権を主張し、それらの内容をここに援用する。
鉄鋼業においては、高炉法が銑鉄製造工程の主流を担っている。高炉法においては、高炉の炉頂から高炉用鉄系原料(酸化鉄を含む原料。主として、焼結鉱。以下、単に「鉄系原料」とも称する)及びコークスを高炉内に交互かつ層状に装入する一方で、高炉下部の羽口から熱風を高炉内に吹き込む。熱風は、熱風とともに吹き込まれる微粉炭、及び、高炉内のコークスと反応することで、高温の還元ガス(ここでは主としてCOガス)を発生させる。すなわち、熱風は、コークス及び微粉炭をガス化させる。還元ガスは、高炉内を上昇し、鉄系原料を加熱しながら還元する。鉄系原料は、高炉内を降下する一方で、還元ガスにより加熱及び還元される。その後、鉄系原料は溶融し、コークスによってさらに還元されながら高炉内を滴下する。鉄系原料は、最終的には炭素を5質量%弱含む溶銑(銑鉄)として炉床部に溜められる。炉床部の溶銑は、出銑口から取り出され、次の製鋼プロセスに供される。したがって、高炉法では、コークス及び微粉炭等の炭材を還元材として使用する。
ところで、近年、地球温暖化防止が叫ばれ、温室効果ガスの一つである二酸化炭素(COガス)の排出量削減が社会問題になっている。上述したように、高炉法では、還元材として炭材を使用するので、大量のCOガスを発生する。したがって、鉄鋼業はCOガス排出量において主要な産業のひとつとなっており、その社会的要請に応えねばならない。具体的には、高炉操業での更なる還元材比(溶銑1トンあたりの還元材使用量)の削減が急務となっている。
還元材は炉内で熱となって装入物を昇温させる役割と、炉内の鉄系原料を還元する役割があり、還元材比を低減させるためには炉内の還元効率を上げる必要がある。炉内の還元反応は様々な反応式で表記することができる。これらの還元反応のうち、コークスによる直接還元反応(反応式:FeO+C⇒Fe+CO)は大きな吸熱を伴う吸熱反応である。したがって、この反応を極力発生させないことが還元材比の低減において重要となる。この直接還元反応は高炉炉下部で生じる反応であるため、鉄系原料が炉下部に至るまでにCO、H等の還元ガスで鉄系原料を十分に還元することができれば、直接還元反応の対象となる鉄系原料を減らすことができる。
上記課題を解決するための従来技術として、例えば特許文献1~6に開示されるように、羽口から熱風と共に還元ガス(Hガス、COG(Cokes Oven Gas)、天然ガス、都市ガス等)を吹き込むことで、炉内の還元ガスポテンシャルを向上させる技術が知られている。還元ガスが炭素含有還元ガス(ガスの分子構造に炭素原子が含まれる還元ガス。例えば炭化水素ガス)となる場合、炭素含有ガス中の炭素原子が高炉内でCOガスとなり、鉄系原料を還元する。還元ガスが水素ガス(Hガス)となる場合、水素ガスが鉄系原料を還元する。これにより、直接還元反応の対象となる鉄系原料を減らすことができる。なお、以下の説明では、特に断りがない限り、「炭素」、「水素」はそれぞれ、炭素原子、水素原子を意味するものとする。
日本国特許第6019893号公報 日本国特許第5987773号公報 日本国特許第5050706号公報 日本国特許第5770124号公報 日本国特許第5315732号公報 日本国特許第5851828号公報
しかし、特許文献1~6に開示された技術では、羽口から吹き込まれる還元ガスの吹込み量が少なく、CO排出量の削減効果が小さかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、高炉操業を安定に維持しつつ羽口から吹き込まれる還元ガスとしての高濃度水素含有ガスの吹込み量を増加し、CO排出量をさらに削減することが可能な、新規かつ改良された高炉の操業方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、水素ガスを80mol%以上含有する高濃度水素含有ガスを、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が常温以上300℃以下であり、かつ、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が200Nm/t以上500Nm/t以下である条件、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が300℃超600℃以下であり、かつ、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が145Nm/t以上である条件、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超900℃以下であり、かつ、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が125Nm/t以上である条件、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が900℃超1200℃以下であり、かつ、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が110Nm/t以上である条件、または、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が1200℃超であり、かつ、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が100Nm/t以上である条件で、羽口から吹き込むことを特徴とする、高炉の操業方法が提供される。
ここで、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が常温以上300℃以下であり、かつ、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が200Nm/t以上300Nm/t以下であってもよい。
また、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が300℃超600℃以下であり、かつ、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が145Nm/t以上600Nm/t以下であってもよい。
また、羽口前温度を2050℃以下としてもよい。
また、羽口前温度を2050℃超2150℃以下としてもよい。
また、羽口前温度を2150℃超2250℃以下としてもよい。
また、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超1400℃以下であってもよい。
また、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超となる場合、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を1000Nm/t以下としてもよい。
また、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超であり、かつ、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が400Nm/t以上となる場合、羽口前温度を2050℃以下としてもよい。
本発明の他の観点によれば、水素ガスを80mol%以上含有する高濃度水素含有ガスの吹込み温度が所定値であるときの、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量と炭素消費量に関する炭素消費パラメータとの相関である吹込み量-炭素消費パラメータ相関を羽口前温度毎に予め求めておき、現状の操業よりも炭素消費量が低減する高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を当該吹込み量-炭素消費パラメータ相関に基づいて決定し、高濃度水素含有ガスを当該決定された吹込み量で羽口から吹き込むことを特徴とする、高炉の操業方法が提供される。
また、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量-炭素消費パラメータ相関を高濃度水素含有ガスの吹込み温度毎に求めてもよい。
また、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が所定値であるときの、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量とベース操業に対する圧力損失の変化量との相関である吹込み量-圧力損失変化量相関を羽口前温度毎に予め求めておき、現状の操業よりも炭素消費量が低減し、かつ、圧力損失の変化量が所定範囲内の値となる高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を当該吹込み量-炭素消費パラメータ相関及び当該吹込み量-圧力損失変化量相関に基づいて決定してもよい。
また、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が所定値であるときの、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量とベース操業に対する炉頂ガス温度の変化量との相関である吹込み量-炉頂ガス温度変化量相関を羽口前温度毎に予め求めておき、現状の操業よりも炭素消費量が低減し、かつ、炉頂ガス温度の変化量が所定範囲内の値となる高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を当該吹込み量-炭素消費パラメータ相関及び当該吹込み量-炉頂ガス温度変化量相関に基づいて決定してもよい。
以上説明した通り、本発明の上記観点によれば、高炉操業を安定に維持しつつ羽口から吹き込まれる還元ガスとしての高濃度水素含有ガスの吹込み量を増加し、CO排出量をさらに削減することが可能となる。
高濃度水素含有ガスの吹込み温度を説明するための図である。 常温の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。 300℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。 350℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を示すグラフである。 600℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。 650℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を示すグラフである。 900℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。 950℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を示すグラフである。 1200℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。 1250℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を示すグラフである。 常温の純水素ガスの吹込み量または常温の80mol%H-20mol%N高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を示すグラフである。 常温の純水素ガスの吹込み量と圧力損失の変化量との相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。 常温の純水素ガスの吹込み量と炉頂ガス温度の変化量との相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。 羽口前温度Tfが2100℃となる際の、1200℃の純水素ガスの吹込み量と圧力損失の変化量との相関を示すグラフである。 純水素ガスの吹込み温度と炭素消費原単位の削減割合Input △Cを10%とするために必要な純水素ガスの吹込み量との相関を示すグラフである。 純水素ガスの吹込み温度と炭素消費原単位の削減割合Input △Cを20%とするために必要な純水素ガスの吹込み量との相関を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施形態において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、「還元材比」は、溶銑1トンを製造するのに要した還元材の合計質量である。したがって、還元材比は基本的には溶銑1トンを製造するのに要したコークス及び微粉炭の合計質量であり、高濃度水素含有ガス中の炭素含有還元ガスの質量は還元材比には含まれないものとして扱っている。また、「炭素消費原単位(Input C)」は、溶銑1トンを製造するのに要した炭素(すなわち溶銑1トンあたりの炭素消費量)である。「炭素消費原単位の削減割合Input △C」は、高濃度水素含有ガスを吹き込まない操業であるベース操業に対する炭素消費原単位の削減割合を意味する。単位kg/tでのベース操業のInput CをA、単位kg/tでのある操業時のInput CをBとすると、Input △Cは、以下の数式で示される。
Input △C=(A-B)/A×100(%)
炭素消費原単位の削減割合Input △Cが大きいほど、還元材比も削減され、ひいては、CO排出量が削減される。
<1.本発明者による知見>
本発明者は、上記の課題を解決するため、還元ガスとして高濃度水素含有ガスに着目した。ここで、本実施形態における高濃度水素含有ガスとは、水素ガスを80mol%(高濃度水素含有ガスを構成するすべてのガスの総物質量に対する水素ガスのmol%)以上含有するガスを意味する。純水素ガス(水素ガス濃度が100mol%となるガス)は高濃度水素含有ガスに含まれる。
そして、本発明者は、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量(以下、単に吹込み量ともいう)及び高濃度水素含有ガスの吹込み温度に着目した。高濃度水素含有ガス中の水素ガスによる鉄系原料の還元反応は吸熱反応である。吸熱反応による温度低下を補償するためには、当該水素ガスの吹込み温度を上げることが考えられる。しかしながら、高濃度水素含有ガス中の水素ガスを多量に吹き込んだ場合の炉内温度の低下量やその炉内温度の低下量に応じて求められる熱補償の程度等を把握することは非常に困難であり、これらについての詳細な検討はこれまで行われていなかった。上記の事項について、本発明者らによって初めて詳細な検討が行われた。具体的には、高濃度水素含有ガス中の水素ガスとCOガス等の様々なガス組成および高濃度水素含有ガスの様々な吹込み温度での還元反応速度の把握、ならびに、これらのガスの還元反応熱により変化する炉内温度による還元反応速度への影響および還元反応によって変化するガス組成による還元反応速度への影響の把握が行われ、その上で、還元反応速度が低下しない程度の熱量の把握が炉内全体に対して行われた。このような検討は、高炉実機での複数回の試験の実施、試験高炉レベルの装置を用い、断熱条件を模擬しつつ高炉炉内のガスを高炉炉内条件で吹込み可能な実験装置を用いた実験、または、シミュレーションモデルによる検討が必要になる。本発明者らは、シミュレーションモデルによって上記検討を行い、この結果、吹込み温度毎に吹込み量の適正範囲が存在することを見出した。
つまり、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃以下の場合、炭素消費原単位の削減割合Input △Cは、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量の増加に伴って単純に増加するものではなく、当該吹込み量がある程度増加すると緩和し減少に転じる。そして、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが緩和し減少に転じる際の高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量は高濃度水素含有ガスの吹込み温度によって異なる。一方で、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超となる場合、炭素消費原単位の削減割合Input △Cは、吹込み量の増加に伴って増加する傾向がある。高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量がある程度大きくなると、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが例えば7%以上となる。したがって、この適正範囲の水素ガスの吹込み量に従って決定される高濃度水素含有ガスの吹込み量を高炉に吹き込むことで、CO排出量を大きく削減することができる。例えば、後述する実施例に示される通り、高炉の操業時の炭素消費原単位の削減割合Input △Cを7%以上とすることができ、ひいてはCO排出量を大きく削減することができる。本発明者は、このような知見に基づいて本実施形態に係る高炉の操業方法に想到した。以下、本実施形態について詳細に説明する。
<2.高濃度水素含有ガスの組成>
本実施形態に係る高炉の操業方法では、高濃度水素含有ガスを羽口から吹き込む。そこで、まず、高濃度水素含有ガスの組成について説明する。高濃度水素含有ガスは、上述したように水素ガスを80mol%以上含有するガスである。高濃度水素含有ガスには純水素ガスが含まれる。高濃度水素含有ガスには、水素ガス以外の他のガス、例えば上述した炭素含有還元ガス(例えば炭化水素ガス)、COガス、COガス、HOガス、Nガス等を含んでいてもよい。ただし、他のガスの濃度は合計で20mol%未満となる。
他のガスの濃度が合計で20mol%以上であるガスは本実施形態における高濃度水素含有ガスには含まれない。他のガスの濃度が20mol%以上である場合、COガスの削減量が大きく低下するからである。例えば、他のガスのうち、炭化水素ガス、COガス、HOガスは、羽口先で分解される際に吸熱反応を生じるため、高炉内における還元効率が下がる。このため、還元されずに高炉炉下部に到達する鉄系原料が増加する。したがって、コークスによる直接還元反応量が多くなる。したがって、高炉内の温度を維持するために多くの還元材が必要になるので、COガスの削減量が大きく低下する。例えば、水素ガスを50mol%含むCOG(コークス炉ガス)を600Nm/tの吹込み量で高炉内に吹き込む場合、水素ガスを300Nm/tの吹込み量で高炉内に吹き込むことになる。このときのCO排出量の削減効果は、純水素ガスを300Nm/tの吹込み量で高炉内に吹き込んだときと比べて大きく劣り、抜本的なCO排出量削減(例えば炭素消費原単位の削減割合Input △C≧7%)にはつながらない。なお、後述する実施例で示されるように、常温の純水素ガスの例では、吹込み量が300Nm/t程度でCO排出量の削減効果が最大となる。
<3.高炉の操業方法>
つぎに、本実施形態に係る高炉の操業方法について説明する。本実施形態に係る高炉の操業方法では、まず、高濃度水素含有ガスの吹込み温度を常温以上の範囲内で決定する。
ここで、図1を参照して、高濃度水素含有ガスの吹込み温度(以下、これを単に「吹込み温度」と言うことがある。)について説明する。図1は、吹込み温度を説明するための図である。高濃度水素含有ガスは、例えば、ヒーター5を備えるガスタンク3でその温度が調節される。つまり、高濃度水素含有ガスは、ガスタンク3内でヒーター5によって加熱された後、または、常温の場合には非加熱のまま、高炉1の炉下部に設けられた熱風吹込み用の羽口2に送られる。羽口2に送られた高濃度水素含有ガスは、羽口2から高炉1内に吹き込まれることができる。具体的には、羽口2に送られた高濃度水素含有ガスは、熱風炉4で発生した熱風と混合(合流)された後、羽口2から高炉1内に吹き込まれる。吹込み温度は、羽口2から高炉1内に吹き込まれる際の熱風と混合される直前の高濃度水素含有ガスの温度である。実際の操業(実炉)では、例えば、高濃度水素含有ガスを加熱するヒーター5から高炉1内に吹き込まれるまでの温度低下がないため、ヒーター5の設定温度を吹込み温度とすることができる。熱風と高濃度水素含有ガスとが混合されることで高濃度水素含有ガスの温度は上昇するが、このときの温度は本実施形態における吹込み温度ではない。また、特許文献1では、送風温度は記載されているが、特許文献1の送風温度は本実施形態での吹込み温度とは異なるものである。
後述する実施例で示されるとおり、高濃度水素含有ガスを加熱せずに常温のまま羽口から吹込む場合にもCO排出量を大きく削減することができる(図2参照)。図2は、常温の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。このグラフは高炉操業シミュレーションによって得られるものである。詳細は実施例で説明するが、ここではKouji TAKATANI、Takanobu INADA、Yutaka UJISAWA、「Three-dimensional Dynamic Simulator for Blast Furnace」、ISIJ International、Vol.39(1999)、No.1、p.15-22などに示される、所謂「高炉数学モデル」を用いた。この高炉数学モデルは、概略的には、高炉の内部領域を高さ方向、径方向、周方向に分割することで複数のメッシュ(小領域)を規定し、各メッシュの挙動をシミュレーションするものである。シミュレーションの条件は後述する実施例と同様とした。図2に示されるように、常温の純水素ガスの吹込み量が200~500Nm/tとなる場合に炭素消費原単位の削減割合Input △Cを例えば7%以上にすることが可能となる。炭素消費原単位の削減割合Input △Cは好ましくは8%以上である。なお、本実施形態における「常温」とは、非加熱の状態を意味し、具体的には5℃以上35℃以下の温度とする。
詳細は後述するが、吹込み温度が常温以上の範囲内において、同一の吹込み量に対する炭素消費原単位の削減割合Input △Cは高濃度水素含有ガスの吹込み温度が高いほど大きくなる(図2~図10参照)。図3は、300℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。図4は、350℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を示すグラフである。図5は、600℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。図6は、650℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を示すグラフである。図7は、900℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。図8は、950℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を示すグラフである。図9は、1200℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。図10は、1250℃の純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を示すグラフである。
これらのグラフは上述した高炉操業シミュレーションによって得られるものである。詳細は実施例で説明する。図3~図10の炭素消費原単位の削減割合Input △Cは図2の炭素消費原単位の削減割合Input △Cよりも高いことがわかる。高濃度水素含有ガスの吹込み温度が高いほど、高炉内で生じたボッシュガス(窒素ガス、水素ガス、及びCOガスの混合ガス)の顕熱が高くなるので、より多くの還元ガスが鉄系原料を還元すると考えられる。すなわち、還元効率が高くなる。このため、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が高いほど炭素消費原単位の削減割合Input △Cが大きくなると考えられる。したがって、炭素消費原単位の削減割合Input △Cを高めるという観点からは、高濃度水素含有ガスの吹込み温度を高くすることが好ましい。具体的には、吹込み温度を300℃超の範囲内で決定することが好ましく、600℃超の範囲内で決定することがより好ましく、900℃超の範囲内で決定することがより好ましい。
ただし、高濃度水素含有ガスの吹込み温度を600℃超とするためには、大規模な設備改造が必要になる場合がある。このため、既存の設備では高濃度水素含有ガスの吹込み温度を600℃超とすることが難しい場合には、高濃度水素含有ガスの吹込み温度を常温~600℃の範囲内で決定してもよい。一方で、既存の設備で(あるいは既存の設備の改造により)高濃度水素含有ガスの吹込み温度を600℃超とすることができる場合には、600℃超の範囲内で高濃度水素含有ガスの吹込み温度を決定してもよい。
ついで、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を決定する。ここで、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量は、羽口から高炉内に吹き込まれる高濃度水素含有ガス中の水素ガスの溶銑1トン当たりの流量であり、単位はNm/tである。高濃度水素含有ガスが純水素ガスであるとき、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量は高濃度水素含有ガスの吹込み量に等しい。高濃度水素含有ガスが水素ガス以外の他のガスを含む混合ガスであるとき、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量は、単位mol%での、高濃度水素含有ガスの吹込み量に水素ガスの比率を乗じた量となる。実際の操業では、高濃度水素含有ガスの供給源(例えばガスタンク)の排出口に設けられた流量計が示す値と単位mol%での高濃度水素含有ガス中の水素ガスの比率から高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を算出する。
本実施形態では、高濃度水素含有ガスの吹込み温度で場合分けして吹込み量を決定する。具体的には、吹込み温度が常温~300℃となる場合には、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を200~500Nm/tの範囲内で決定する。一方で、吹込み温度が300℃超600℃以下となる場合には、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を145Nm/tの範囲内で決定する。高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超900℃以下となる場合には、高濃度水素含有ガスの吹込み量を125Nm/t以上の範囲内で決定する。高濃度水素含有ガスの吹込み温度が900℃超1200℃以下となる場合には、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を110Nm/t以上の範囲内で決定する。高濃度水素含有ガスの吹込み温度が1200℃超となる場合、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を100Nm/t以上の範囲内で決定する。
このように吹込み温度で場合分けするのは、吹込み温度によって好適な吹込み量がやや異なるからである。なお、以下の説明では高濃度水素含有ガスが純水素ガスである場合を一例として説明するが、後述する実施例1-2に示される通り、高濃度水素含有ガスに水素ガス以外のガスが含まれる場合であっても、高濃度水素含有ガスの吹込み温度と好適な吹込み量との相関は変わらない。
図2及び図3に示すように、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が常温~300℃となる場合には、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量をベース操業の0から増加させていくと炭素消費原単位の削減割合Input △Cが増加する。そして、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が300Nm/t程度となる際に炭素消費原単位の削減割合Input △Cがピークとなり、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量がさらに増加すると炭素消費原単位の削減割合Input △Cは減少に転じる。そして、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が200~500Nm/tの範囲内の値となる場合に、炭素消費原単位の削減割合Input △Cを7%以上とすることが可能となる。なお、高濃度水素含有ガスが純水素ガスとなる場合、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量は、高濃度水素含有ガスの吹込み量となるが、高濃度水素含有ガスが水素ガス以外のガスを含む場合、この値は高濃度水素含有ガスの吹き込み量に水素ガスの比率(mol%)を乗じた量となる。
水素ガスによる鉄系原料の還元反応(すなわち水素還元反応)は吸熱反応である。このため、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が300Nm/tを超えた場合には、かかる吸熱反応が炉内で多く生じ、炉内温度が低下すると考えられる。そして、このような炉内温度の低下により、水素ガスを含む還元ガスによる還元効率が低下すると考えられる。このような還元効率の低下を防ぐためには、還元材比を上げて操業を行う必要がある。このため、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が300Nm/tを超えた場合に、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが減少に転じる。したがって、吹込み温度が常温~300℃となる場合には、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を200~400Nm/tの範囲内で決定することが好ましく、200~300Nm/tの範囲内で決定することがより好ましい。この場合、炭素消費原単位の削減割合Input △Cを8%以上とすることが可能となる。
図4及び図5に示すように、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が300℃超600℃以下となる場合にも、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量をベース操業の0Nm/tから増加させていくと炭素消費原単位の削減割合Input △Cが増加する。そして、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が145Nm/t以上であると、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが7%以上となる。高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃の場合、図5に示すように、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が600Nm/t程度で炭素消費原単位の削減割合Input △Cが飽和する。高濃度水素含有ガスの吹込み温度が350℃の場合では、図4に示すように、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が300Nm/t程度となる際に炭素消費原単位の削減割合Input △Cがピークとなり、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量がさらに増加すると炭素消費原単位の削減割合Input △Cは減少に転じる。
なお、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が350℃の場合、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が600Nm/tを超えると、羽口先温度Tfを2200℃に維持することが困難になることがある。従来の高炉操業では、羽口前温度Tfは2200℃程度とされることが多く、羽口前温度Tfが2200℃に維持することが困難である場合、従来の高炉操業の操業条件と大きく操業条件を変更することになる。
高濃度水素含有ガスの吹込み温度が350℃の場合に炭素消費原単位の削減割合Input △Cが減少に転じる理由は上記と同様である。高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃の場合、吹込み量が700Nm/tまでの範囲では、炭素消費原単位の削減割合Input △Cは減少には転じない。しかしながら、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が600Nm/t程度で炭素消費原単位の削減効果は飽和する。吹込み温度が350℃超600℃以下となる場合、ボッシュガスの顕熱がより大きい。したがって、水素還元反応による吸熱の影響が小さくなるので、水素ガスを上記の場合よりも多く吹き込んでも、炉内温度が下がりにくくなると考えられる。したがって、多くの水素ガスを高炉内に吹き込んでも炉内温度が下がりにくくなり、ひいては還元効率が下がりにくくなると考えられる。このため、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが飽和すると考えられる。さらに、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が300~600Nm/tとなる場合に炭素消費原単位の削減割合Input △Cが10%以上となる。
図6及び図7に示すように、吹込み温度が600℃超900℃以下となる場合にも、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量をベース操業の0Nm/tから増加させていくと炭素消費原単位の削減割合Input △Cが増加する。そして、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が125Nm/t以上の範囲内の値となる場合に、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが7%以上となる。特に、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が180Nm/t以上の範囲内の値となる場合に、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが10%以上となる。さらに、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量の増加に伴って炭素消費原単位の削減割合Input △Cの上昇割合(吹き込み量の単位上昇量に対する炭素消費原単位の削減割合Input △Cの上昇量)は減少するものの、炭素消費原単位の削減割合Input △Cは減少に転じることがない。これは高濃度水素含有ガスの吹き込み温度が600℃以下となる場合と明らかに異なる挙動である。なお、図7は高濃度水素含有ガス(ここでは純水素ガス)の吹込み温度が900℃となる場合の高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹き込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を示すグラフであるが、高濃度水素含有ガスの吹き込み温度が650℃となる場合にも図7と同様の傾向がみられた。例えば、図6に示すように、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が650℃となり、かつ高濃度水素含有ガスの吹込み量が125Nm/t以上となる場合、炭素消費原単位の削減割合Input △Cは7.0%以上となった。
上述したように、水素ガスによる還元反応は吸熱反応であるため、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量がある程度増加すると炭素消費原単位の削減割合Input △Cが減少に転じる。しかし、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超であれば、高炉内で生じたボッシュガスの顕熱が非常に高くなるので、還元反応に要する反応熱を賄うことができる。このため、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が上昇しても炭素消費原単位の削減割合Input △Cは減少に転じず、継続して増加すると考えられる。このような挙動は高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超となる場合に観測される。したがって、炭素消費原単位の削減割合Input △Cをより高めるという観点からは、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量の上限値は特に設定されない。ただし、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量の増加に伴って炭素消費原単位の削減割合Input △Cの上昇割合が減少することから、ある程度の吹き込み量で炭素消費原単位の削減効果が頭打ちになると想定される。この際の吹き込み量は概ね1000Nm/tであると想定される。したがって、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量は1000Nm/t以下であってもよい。
図8及び図9に示すように、吹込み温度が900℃超1200℃以下となる場合にも、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量をベース操業の0Nm/tから増加させていくと炭素消費原単位の削減割合Input △Cが増加する。そして、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が110Nm/t以上の範囲内の値となる場合に、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが7%以上となる。特に、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が150Nm/t以上の範囲内の値となる場合に、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが10%以上となる。さらに、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超900℃以下となる場合と同様に、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量の増加に伴って炭素消費原単位の削減割合Input △Cの上昇割合は減少するものの、炭素消費原単位の削減割合Input △Cは減少に転じることがない。なお、図9は高濃度水素含有ガス(ここでは純水素ガス)の吹込み温度が1200℃となる場合の高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹き込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を示すグラフであるが、高濃度水素含有ガスの吹き込み温度が950℃となる場合にも図9と同様の傾向がみられた。例えば、図8に示すように、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が950℃となり、かつ高濃度水素含有ガスの吹込み量が110Nm/t以上となる場合、炭素消費原単位削減割合Input △Cは7.0%以上となった。
したがって、炭素消費原単位の削減割合Input △Cをより高めるという観点からは、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量の上限値は特に設定されない。ただし、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が1000Nm/t程度となる場合に炭素消費原単位の削減効果が頭打ちになると想定されることから、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量は1000Nm/t以下であってもよい。
なお、高炉操業シミュレーションによれば、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が1200℃となり、かつ高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が800Nm/t以上となる場合、微粉炭吹込み量が0となり、コークス比を低減することで更なる炭素消費原単位の削減が可能となった。一般に、高炉操業においては、コークス比の低減は圧力損失の上昇を招き、操業不安定となる。ここで、圧力損失は、羽口先(羽口前)での圧力、言い換えると羽口の出口における炉内圧力と炉頂での圧力との差であり、送風機から羽口先への配管圧損を除いた値をいう。実際の操業では、圧力損失は炉壁部に設置された圧力計によって測定される。しかし、図14に示すように、本実施形態のような高水素濃度条件での高炉操業においては、炉内ガス粘度、ガス密度が大きく低下するため、コークス比を低減させた際の圧力損失の上昇の懸念は解消され、実操業において安定した操業に問題ない程度の圧損である。なお、図14は、羽口前温度が2100℃となる際の、1200℃の純水素ガスの吹込み量と炉内圧力損失の変化量との相関を示すグラフであり、高炉操業シミュレーションにより得られるものである。通常操業における圧力損失は概ね85kPa程度が目安となっている。図14によれば、本実施形態の操業条件では、圧力損失が85kPa未満となっていることがわかる。
図10に示すように、吹込み温度が1200℃超となる場合にも、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量をベース操業の0Nm/tから増加させていくと炭素消費原単位の削減割合Input △Cが増加する。そして、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が100Nm/t以上の範囲内の値となる場合に、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが7%以上となる。さらに、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超900℃以下となる場合と同様に、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量の増加に伴って炭素消費原単位の削減割合Input △Cの上昇割合は減少するものの、炭素消費原単位の削減割合Input △Cは減少に転じることがない。したがって、炭素消費原単位の削減割合Input △Cをより高めるという観点からは、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量の上限値は特に設定されない。ただし、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が1000Nm/t程度となる場合に炭素消費原単位の削減効果が頭打ちになると想定されることから、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量は1000Nm/t以下であってもよい。
高濃度水素含有ガスの吹込み温度を600℃超にできる環境であれば、吹込み温度の上限値は特に制限されない。ただし、図15及び図16に示されるように、炭素消費原単位の削減効果は、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が1200℃超から1400℃程度の範囲でほぼ横ばいになる。なお、図15及び図16は、純水素ガスの吹込み温度と炭素消費原単位の削減割合Input △Cを10%または20%とするために必要な純水素ガスの吹込み量との相関を示すグラフである。羽口前温度Tfは2100℃とした。これらのグラフは図2~図10の相関を純水素ガスの吹込み温度と炭素消費原単位の削減割合Input △Cを10%または20%とするために必要な純水素ガスの吹込み量との相関に整理したものである。したがって、高濃度水素含有ガスの吹込み温度は1400℃以下であってもよい。すなわち、高濃度水素含有ガスの吹込み温度は、例えば600℃超1400℃以下であってもよい。
ついで、高濃度水素含有ガスを決定された吹込み温度及び吹込み量で羽口から吹き込む。これにより、炭素消費原単位の削減割合Input △Cを例えば7%以上とすることができ、ひいては、CO排出量を大きく削減することができる。なお、高濃度水素含有ガスを吹き込む羽口は、例えば炉下部に設けられた熱風吹込み用の羽口である。本実施形態では、高濃度水素含有ガスを熱風吹込み用の羽口から吹き込むことを前提として説明を行うが、高濃度水素含有ガスを吹き込む羽口はこれに限定されない。羽口の他の例としては、シャフト部に設けられた所謂シャフト羽口が挙げられる。高濃度水素含有ガスは、これらの羽口の何れかから高炉内に吹き込まれてもよいし、両方の羽口から高炉内に吹き込まれてもよい。複数の羽口から高濃度水素含有ガスを高炉内に吹き込む場合、各羽口から吹き込まれる高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量の総和が上記決定された吹込み量に一致する。
なお、本実施形態の条件下で適切に水素ガスの吹込み温度、吹込み量、羽口前温度Tf等を設定することにより、炉頂ガス温度を適切に維持する操業が可能となる。このため、炉頂ガス温度の維持のために行われる予熱ガス吹込みや炉内装入物の予熱は不要になるが、別途それらを実施しても良い。
<4.変形例>
(4-1.変形例1)
以下、高炉の操業方法の各種変形例を説明する。変形例1では、羽口前温度Tfを2050℃以下に維持する。ここで、羽口前温度Tfは、羽口の炉内側先端部における炉内温度であり、羽口先温度Tfとも称される。実際の操業では、羽口前温度Tfは、重見彰利著「製銑ハンドブック」(地人書館)に記載されたラムの式に従って羽口先理論燃焼温度として算出される。
図2、図3、図5、図7、及び図9に示されるように、羽口前温度Tfが2050℃以下(図2、図3、図5、図7、及び図9では2000℃)となる場合の炭素消費原単位の削減割合Input △Cは、羽口前温度Tfが2050℃超となる場合(図2、図3、図5、図7、及び図9では2100℃、2200℃)の炭素消費原単位の削減割合Input △Cよりも大きくなる。そこで、変形例1では、羽口前温度Tfを2050℃以下に維持する。これにより、炭素消費原単位の削減割合Input △Cをより大きくすることができる。なお、図7及び図9に示される通り、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超となる場合、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹き込み量が400Nm/t以上となる場合に、この傾向が顕著に現れる。したがって、高濃度水素含有ガスの吹込み温度を600℃超とし、さらに高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹き込み量を400Nm/t以上とする場合に、羽口前温度Tfを2050℃以下としてもよい。
ここで、高濃度水素含有ガスの吹込み温度は熱風よりも低いので、高濃度水素含有ガスを高炉内に吹き込むことによって羽口前温度Tfが低下する。羽口前温度Tfを所望の温度とするためには、すなわち、羽口前温度Tfを高めるためには、酸素富化率を上げて操業を行う必要がある。ここで、高炉に吹き込まれる熱風は空気を含むガスである。熱風には、空気の他に湿分及び富化酸素をさらに含んでいても良い。酸素富化率とは、概略的には、熱風の総体積に対する熱風中の酸素の体積割合であり、酸素富化率(%)={(空気の送風量(流量)[Nm/min]×0.21+酸素富化量[Nm/min])/(空気の送風量[Nm/min]+酸素富化量[Nm/min])}×100-21であらわされる。実際の操業では、単位Nm/tでの富化酸素と熱風中の酸素との合計流量である酸素の流量は変えずに、単位Nm/tでの富化酸素の流量と空気の流量を変えることで酸素富化率を調整する。出銑比(炉内容積1mあたりの1日の出銑量)をなるべく一定とするためである。したがって、酸素富化率が高くなると、熱風の流量が減少する。この結果、ボッシュガス量が減少する。
したがって、羽口前温度Tfが高いほど、ボッシュガス量が減少する。そして、ボッシュガス量が減少すると、ボッシュガスの顕熱が減少する。したがって、水素還元反応による吸熱により炉内温度が低下しやすくなる。そして、このような炉内温度の低下を防止するためには、還元材比を高めた操業を行う必要がある。このため、羽口前温度Tfが2050℃以下となる場合の炭素消費原単位の削減割合Input △Cは、羽口前温度Tfが2050℃超となる場合の炭素消費原単位の削減割合Input △Cよりも大きくなると考えられる。
なお、溶銑への着熱及び微粉炭燃焼性の観点からは、羽口前温度Tfは2000℃以上であることが好ましい。ただし、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが十分大きくなり、微粉炭比(溶銑1トンあたりに使用する微粉炭)が十分に低くできるのであれば、羽口前温度Tfは2000℃未満であってもよい。例えば、羽口前温度Tfを2000℃未満としても炭素消費原単位の削減割合Input △Cを維持でき、かつ安定した操業が可能であれば、羽口前温度Tfを2000℃未満としてもよい。この点、例えば、上述したように、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が1200℃となり、かつ高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が800Nm/t以上となる場合、微粉炭吹込み量が0(すなわち、微粉炭比が0)となる。この場合、微粉炭の燃焼を考慮する必要がないので、羽口前温度Tfを2000℃未満としても炭素消費原単位の削減割合Input △Cを維持でき、かつ安定した操業が可能となる。したがって、羽口前温度Tfを2000℃未満とすることができる。つまり、高濃度水素含有ガスの吹込み温度を高め、かつ吹き込み量を多くした結果、微粉炭吹込み量を0とすることができれば、羽口前温度Tfを2000℃未満としてもよい。
(4-2.変形例2)
変形例2では、羽口前温度Tfを2050℃超2150℃以下に維持する。変形例1によれば、羽口前温度Tfを2050℃以下とすることで炭素消費原単位の削減割合Input △Cを大きくすることができる。一方で、羽口前温度Tfが低下すると、微粉炭の燃焼率が低下する可能性がある。つまり、羽口前温度Tfが低下すると、微粉炭が燃焼しにくくなる。微粉炭が難燃性である場合や、微粉炭比を高めて操業を行う場合、微粉炭の燃焼率が低下する可能性がより高まる。微粉炭の燃焼率が低下すると、炉内温度が低下するので、その分だけ還元材比を高めた操業を行う必要が生じうる。このような観点から、変形例2では、羽口前温度Tfを2050℃超2150℃以下に維持する。これにより、微粉炭の燃焼率を維持し、ひいては、炉内温度の低下を抑制することができる。
(4-3.変形例3)
変形例3では、羽口前温度Tfを2150℃超に維持する。従来の高炉操業では、羽口前温度Tfは2200℃程度とされることが多い。したがって、羽口前温度Tfを2150℃超とすることで、従来の高炉操業と大きく操業条件を変えずに操業を行うことができる。なお、羽口設備保護等の観点から、羽口前温度Tfは2250℃以下が好ましい。
(4-4.変形例4)
図2~図10に示されるように、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの間には一定の相関がある。そこで、変形例4では、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関である吹込み量-炭素消費原単位削減割合相関を予め求める。
例えば、高濃度水素含有ガスの吹込み温度を含む現状の高炉操業を反映した高炉操業シミュレーションにより何点かの吹込み量のそれぞれに対する炭素消費原単位の削減割合Input △Cを求める。具体的な方法は後述する実施例と同様の方法であればよい。
ついで、横軸を単位Nm/tでの高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量、縦軸を炭素消費原単位の削減割合Input △C(%)とした平面上に上記方法で求めた値をプロットする。ついで、これらのプロットの近似曲線を例えば最小二乗法で求め、この近似曲線、より具体的には、近似曲線を示す関係式を上述した吹込み量-炭素消費原単位削減割合相関とすればよい。吹込み量-炭素消費原単位削減割合相関は、羽口前温度Tf毎に求めることが好ましい。
ついで、現状の操業よりも炭素消費原単位の削減割合Input △Cが大きくなる吹込み量、すなわち、炭素消費量が低減する吹込み量を上記で求めた吹込み量-炭素消費原単位削減割合相関に基づいて決定する。ついで、高濃度水素含有ガスを当該決定された吹込み量で羽口から吹き込む。これにより、炭素消費原単位の削減割合Input △Cをより確実に大きくすることができる。
ここで、吹込み量-炭素消費原単位削減割合相関は、高濃度水素含有ガスの吹込み温度毎に予め求めておくことが好ましい。これにより、吹込み温度が変動した場合にも容易に所望の高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を決定することができる。すなわち、吹込み温度が変動した場合にも、容易に炭素消費原単位の削減割合Input △Cが大きくなる高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を決定することができる。
(4-5.変形例5)
図12は、単位Nm/tでの常温の純水素ガスの吹込み量と高濃度水素含有ガスを吹き込まない操業であるベース操業に対する単位kPaでの圧力損失の変化量との相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。このグラフは高炉操業シミュレーションによって得られるものである。詳細は実施例で説明する。ここで、圧力損失は、羽口先(羽口前)での圧力、言い換えると羽口の出口における炉内圧力と炉頂での圧力との差であり、送風機から羽口先への配管圧損を除いた値をいう。実際の操業では、圧力損失は炉壁部に設置された圧力計によって測定される。ベース操業に対する圧力損失の変化量は、ある操業時の圧力損失からベース操業時の圧力損失を減算した値である。圧力損失は、送風圧力の制約や吹き抜け防止等の観点からベース操業と同程度、あるいはベース操業より低い値となることが好ましい。図12は常温の純水素ガスを用いた場合の上記相関を示すが、純水素ガス以外の高濃度水素含有ガスを用いた場合にも上記相関が得られる。また、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が常温より大きくても上記相関が得られる。
図12から明らかな通り、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量と圧力損失の変化量との間には一定の相関がある。例えば、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を増加させた場合、上述したように、羽口前温度Tfが低下する。羽口前温度を所望の温度とするためには、酸素富化率を上げて操業を行う必要がある。実際の操業では、単位Nm/tでの富化酸素と熱風中の酸素との合計流量である酸素の流量は変えずに、単位Nm/t富化酸素の流量と空気の流量を変えることで、出銑量を所定量に保ちつつ酸素富化率を調整する。したがって、酸素富化率が高くなると、熱風の流量が減少する。この結果、ボッシュガス量が減少する。言い換えれば、羽口前温度Tfが低い場合、ボッシュガス量が増加する。この結果、ベース操業に比べて圧力損失が大きくなる可能性がある。ただし、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量がさらに増加すると、炉内ガスのガス粘度及びガス密度が低下し、圧力損失が小さくなる。そして、ガス粘度及びガス密度の低下による圧力損失の減少がボッシュガス量の増加による圧力損失の増加を相殺し、結果として圧力損失が減少する。
変形例5では、まず、変形例4と同様に吹込み量-炭素消費原単位削減割合相関を予め求める。さらに、吹込み量とベース操業に対する圧力損失の変化量との相関である吹込み量-圧力損失変化量相関を求める。
例えば、高濃度水素含有ガスの吹込み温度を含む現状の高炉操業を反映した高炉操業シミュレーションにより何点かの吹込み量のそれぞれに対する圧力損失の変化量を求める。具体的な方法は後述する実施例と同様の方法であればよい。
ついで、横軸を単位Nm/tでの高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量、単位kPaでの縦軸を圧力損失の変化量である△圧力損失とした平面上に上記方法で求めた値をプロットする。ついで、これらのプロットの近似曲線を例えば最小二乗法で求め、この近似曲線(より具体的には、近似曲線を示す関係式)を上述した吹込み量-圧力損失変化量相関とすればよい。吹込み量-圧力損失変化量相関は、羽口前温度Tf毎に求めることが好ましい。
ついで、現状の操業よりも炭素消費原単位の削減割合Input △Cが大きくなり、すなわち、炭素消費量が低減し、かつ圧力損失の変化量が所定範囲内の値となる吹込み量を吹込み量-炭素消費原単位削減割合相関及び吹込み量-圧力損失変化量相関に基づいて決定する。ここで、所定範囲は、例えば-50~+5kPa程度とされるが、これに限定されない。ついで、高濃度水素含有ガスを当該決定された吹込み量で羽口から吹き込む。これにより、圧力損失の変化量を所定範囲内の値としつつ、炭素消費原単位の削減割合Input △Cをより確実に大きくすることができる。
(4-6.変形例6)
図13は、常温の単位Nm/tでの純水素ガスの吹込み量と単位℃でのベース操業に対する炉頂ガス温度の変化量との相関を羽口前温度Tf毎に示すグラフである。このグラフは高炉操業シミュレーションによって得られるものである。詳細は実施例で説明する。ここで、炉頂ガス温度は、高炉の炉頂から排出される炉頂ガス(主にCO、N、未反応のCO等)の温度であり、実際の操業では、上昇管等に設置された温度計によって測定される。ベース操業に対する炉頂ガス温度の変化量は、ある操業時の炉頂ガス温度からベース操業時の炉頂ガス温度を減算した値である。炉頂ガス温度は、炉頂設備の制約や操業効率化の観点からベース操業と同程度であることが好ましく、一例としてベース操業の炉頂ガス温度±20℃程度の範囲内であることが好ましい。図13は常温の純水素ガスを用いた場合の上記相関を示すが、純水素ガス以外の高濃度水素含有ガスを用いた場合にも上記相関が得られる。また、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が常温より大きくても上記相関が得られる。
図13から明らかな通り、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量と炉頂ガス温度の変化量との間には一定の相関がある。例えば、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を増加させた場合、上述したように、羽口前温度Tfが低下する。羽口前温度Tfを所望の温度とするためには、酸素富化率を上げて操業を行う必要がある。実際の操業では、単位Nm/tでの酸素の流量は変えずに単位Nm/tでの空気の流量を変えることで酸素富化率を調整する。したがって、酸素富化率が高くなると、熱風の流量が減少する。この結果、ボッシュガス量が減少する。言い換えれば、羽口前温度Tfが上昇すると、ボッシュガス量が減少する。このため、(単位時間あたりに下降してくる炉内装入物の熱容量)/(単位時間当たりに上昇するボッシュガスの熱容量)で表される熱流比が上昇する。この結果、炉内を上昇する炉内ガスの温度が低下しやすくなり、結果として、炉頂ガス温度が低下しやすくなる。この結果、ベース操業に比べて炉頂ガス温度が低下する可能性がある。ただし、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量をさらに増加させていくと、概ね300Nm/tを境界として、上述したように、吸熱反応により炉内温度が低下し炉内還元効率が低下し始める。このような還元効率の低下を防ぐために還元材比を上げて操業することになるが、還元材比を上げると炉内への投入熱量が増加し、炉頂ガス温度が上昇傾向となるため、炉頂ガス温度が増加に転じる。
変形例6では、まず、変形例4と同様に吹込み量-炭素消費原単位削減割合相関を予め求める。さらに、吹込み量とベース操業に対する炉頂ガス温度の変化量との相関である吹込み量-炉頂ガス温度変化量相関を求める。
例えば、高濃度水素含有ガスの吹込み温度を含む現状の高炉操業を反映した高炉操業シミュレーションにより何点かの吹込み量のそれぞれに対する炉頂ガス温度の変化量を求める。具体的な方法は後述する実施例と同様の方法であればよい。
ついで、横軸を単位Nm/tでの高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量、縦軸を単位℃での炉頂ガス温度の変化量である△炉頂ガス温度とした平面上に上記方法で求めた値をプロットする。ついで、これらのプロットの近似曲線を例えば最小二乗法で求め、この近似曲線、より具体的には、近似曲線を示す関係式を上述した吹込み量-炉頂ガス温度変化量相関とすればよい。吹込み量-炉頂ガス温度変化量相関は、羽口前温度Tf毎に求めることが好ましい。
ついで、現状の操業よりも炭素消費原単位の削減割合Input △Cが大きくなり、すなわち、炭素消費量が低減し、かつ炉頂ガス温度の変化量が所定範囲内の値となる吹込み量を吹込み量-炭素消費原単位削減割合相関及び吹込み量-炉頂ガス温度変化量相関に基づいて決定する。ここで、所定範囲は、例えば-20~+20℃程度とされるが、これに限定されない。ついで、高濃度水素含有ガスを当該決定された吹込み量で羽口から吹き込む。これにより、炉頂ガス温度の変化量を所定範囲内の値としつつ、炭素消費原単位の削減割合Input △Cをより確実に大きくすることができる。
ここで、上記変形例4~6において、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量と対になるパラメータは必ずしも炭素消費原単位の削減割合Input △Cに限られない。つまり、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量と対になるパラメータは炭素消費量に関するパラメータ、すなわち、炭素消費パラメータであればどのようなものであってもよい。炭素消費量が減少すれば、CO排出量を削減することができるからである。このような炭素消費パラメータとしては、炭素消費原単位の削減割合Input △Cの他、炭素消費原単位、還元材比、還元材比の削減割合等が挙げられる。還元材比の削減割合とは、ベース操業に対する還元材比の削減割合であり、求め方は炭素消費原単位の削減割合Input △Cの求め方と同様である。
さらに、変形例5と変形例6は組み合わせてもよい。これにより、圧力損失の変化量及び炉頂ガス温度の変化量を所定範囲内の値としつつ、炭素消費原単位の削減割合Input △Cをより確実に大きくすることができる。
次に、本実施形態の実施例について説明する。本実施例では、高炉操業シミュレーションを行うことで、本実施形態に係る高炉の操業方法によって炭素消費原単位の削減割合Input △Cが大きくなる、すなわちCO排出量が削減されることを確認した。
<1.実施例1:高濃度水素含有ガスの吹込み温度が常温~600℃となる場合の検証>
上述したように、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関は600℃の吹込み温度を境界として異なる挙動を示す。そこで、実施例1では、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃以下となる場合の検証を行った。
<1-1.シミュレーションに使用したモデル及び計算条件>
高炉操業シミュレーションには、Kouji TAKATANI、Takanobu INADA、Yutaka UJISAWA、「Three-dimensional Dynamic Simulator for Blast Furnace」、ISIJ International、Vol.39(1999)、No.1、p.15-22などに示される、所謂「高炉数学モデル」を用いた。この高炉数学モデルは、概略的には、高炉の内部領域を高さ方向、径方向、周方向に分割することで複数のメッシュ(小領域)を規定し、各メッシュの挙動をシミュレーションするものである。
高炉数学モデルにおいては、高濃度水素含有ガスの吹込み量は、羽口から吹き込まれる高濃度水素含有ガスのガス量として設定される。このうち、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量は、高濃度水素含有ガスの吹込み量に単位mol%での水素ガスの比率を乗じた量として設定される。高濃度水素含有ガスの吹込み温度は、高濃度水素含有ガスを羽口から吹き込む際の高濃度水素含有ガスの温度として設定される。羽口前温度Tfは、各種ガスの燃焼熱、送風顕熱、羽口先(羽口前)に流入するコークスの温度、各種反応熱等を考慮した結果として算出される。圧力損失は、炉内充填層の圧力損失としてergun式を用いて算出される。炉頂ガス温度は、炉内装入物の最表層(もっとも上側の層)におけるガス温度として算出される。
計算条件を表1に示す。表1中のコークス比は溶銑1トンあたりに使用するコークス量である。また、高濃度水素含有ガスを吹き込まないベース操業の諸元を表2に示す。表1、2に示される通り、本実施例では羽口前温度Tfを2000℃、2100℃、2200℃の何れかとした。また、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を0~600Nm/tとした。また、全操業で出銑比と溶銑温度が一定となるよう、送風量、酸素富化率、PC(微粉炭)吹込み量を調整した。
Figure 0007297091000001
Figure 0007297091000002
なお、鉄系原料はすべて焼結鉱とした。また、焼結鉱の組成はT-Fe:58.5%、FeO:7.5%、C/S:1.9、Al:1.7%とした。また、コークスについては、C:87.2%、Ash:12.6%を使用する場合を想定した。なお、上記の「%」はいずれも「質量%」を表す。
<1-2.実施例1-1:高濃度水素含有ガスの吹込み温度が常温~600℃であり、高濃度水素含有ガスが純水素ガスであるケース>
実施例1-1では、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃以下の条件で、高濃度水素含有ガスを純水素ガスとして、純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を計算した。結果を図2~図5に示す。
図2~図5に示される通り、吹込み温度が常温以上600℃以下の範囲では、炭素消費原単位の削減割合Input △Cは、吹込み量の増加に伴って単純に増加するものではなく、吹込み量がある程度増加すると飽和し減少に転じることがわかった。そして、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが飽和し減少に転じる際の吹込み量は吹込み温度によってやや異なることがわかった。すなわち、吹込み温度毎に吹込み量の適正範囲が存在することがわかった。そして、かかる適正範囲は、吹込み温度が常温~300℃となる場合には、200~500Nm/tとなり、吹込み温度が300℃超600℃以下となる場合には、145Nm/t以上となった。また、図4及び図5に示される通り、炭素消費原単位の削減割合Input △Cは、吹込み量の増加に伴って単純に増加するものではなく、吹込み温度が600℃では、吹込み量が600Nm/t程度で飽和し、吹込み温度が350℃では、吹込み量が300Nm/t程度をピークに吹込み量の増加とともに減少に転じることがわかった。そして、吹込み温度が300℃超600℃以下となる場合には、吹込み量が145Nm/t以上の適正範囲内となる場合に、炭素消費原単位の削減割合Input △Cを7%以上とすることが可能となった。さらに、図2~図5に示される通り、同一の吹込み量に対する炭素消費原単位の削減割合Input △Cは、羽口前温度Tfによって異なり、羽口前温度Tfが2000℃となる場合にもっとも大きくなることもわかった。このような現象が得られる理由は上述した通りである。
したがって、本実施形態に係る高炉の操業方法に従って高濃度水素含有ガスを高炉内に吹き込むことで、炭素消費原単位の削減割合Input △Cを大きくすることができ、ひいてはCO排出量を大きく削減することができる。
<1-3.実施例1-2>
実施例1-2では、高濃度水素含有ガスに水素ガス以外のガスが含まれていても純水素ガスの場合と同様の操業が可能であることを確認した。具体的には、高濃度水素含有ガスとして80mol%の水素ガス及び20mol%の窒素ガスで構成される80mol%H-20mol%Nガスを想定した。そして、吹込み温度を25℃、羽口前温度Tfを2100℃として実施例1と同様に高炉操業シミュレーションを行った。結果を図11に示す。図11は、純水素ガス(100mol%Hガス)の計算結果と80mol%H-20mol%Nガスの計算結果とを対比して示す。なお、図11の横軸は、混合ガスの流量を純水素ガスに換算したものであり、すなわち、80mol%H-20mol%Nガスの流量に80mol%を乗じた値である。図11から明らかな通り、80mol%H-20mol%Nガスについても、純水素ガスに換算した吹込み量の適正範囲は純水素ガスの場合と変わらず、効果代のみ若干低下していることがわかった。したがって、高濃度水素含有ガスに水素ガス以外のガスが含まれていても純水素ガスの場合と同様の操業が可能であることがわかった。また、効果は若干落ちるものの、炭素消費原単位の削減割合Input △Cも大きくできることがわかった。
<1-4.実施例1-3>
実施例1-3では、高濃度水素含有ガスとして常温の純水素ガスを使用し、何点かの吹込み量のそれぞれに対する圧力損失の変化量(ベース操業に対する圧力損失の変化量)を求めた。その結果を図12に示す。図12から明らかな通り、純水素ガスの吹込み量と圧力損失の変化量との間には一定の相関があることがわかった。例えば、羽口前温度Tfが低い場合、ベース操業に対して圧力損失が大きくなる可能性があることがわかった。ただし、純水素ガスの吹込み量が増加すると圧力損失が減少した。より具体的には、羽口前温度Tfが2000℃となり、かつ吹込み量が100~150Nm/tとなった場合、圧力損失がベース操業と比べて10~20kPa程度上昇した。これは、上述した所定範囲外の値であった。ただし、吹込み量が200以上Nm/tまで上昇すると、圧力損失がベース操業の値と同程度またはそれ以下となった。このような現象が生じる理由は上述した通りである。したがって、吹込み温度が所定値であるときの、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量とベース操業に対する圧力損失の変化量との相関である吹込み量-圧力損失変化量相関を羽口前温度Tf毎に予め求めておき、現状の操業よりも炭素消費量が低減し、かつ、圧力損失の変化量が所定範囲内の値となる高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を当該吹込み量-炭素消費パラメータ相関及び吹込み量-圧力損失変化量相関に基づいて決定することで、圧力損失の増大を抑制することができ、安定した操業を行いながら炭素消費原単位の削減割合Input △Cを大きくすることができることがわかった。
そして、高濃度水素含有ガスとして常温の純水素ガスを使用し、その吹込み量が200Nm/t以上500Nm/t以下の条件では、図12に示すように、圧力損失の増大を抑制でき、安定した操業を行いながら炭素消費原単位の削減割合Input △Cを大きくすることができることがわかった。常温以上300℃以下の純水素ガスであれば、その吹込み量が200Nm/tまで上昇すると、圧力損失がベース操業の値と同程度またはそれ以下となることがわかった。同様に、300℃超600℃以下の純水素の吹込み量が145Nm/t以上の場合、600℃超900℃以下の純水素の吹込み量が125Nm/t以上の場合、900℃超1200℃以下の純水素の吹込み量が110Nm/t以上の場合、および、1200℃超の純水素の吹込み量が100Nm/t以上の場合でも、圧力損失の増大を抑制でき、安定した操業を行いながら炭素消費原単位の削減割合Input △Cを大きくすることができることがわかった。
したがって、本実施形態に係る高炉の操業方法に従って高濃度水素含有ガスを高炉内に吹き込むことで、圧力損失の変化量を所定範囲内の値としつつ、炭素消費原単位の削減割合Input △Cを大きくすることができることがわかった。
<1-5.実施例1-4>
実施例1-4では、高濃度水素含有ガスとして常温の純水素ガスを使用し、何点かの吹込み量のそれぞれに対する炉頂ガス温度の変化量(ベース操業に対する炉頂ガス温度の変化量)を求めた。その結果を図13に示す。図13から明らかな通り、純水素ガスの吹込み量と炉頂ガス温度の変化量との間には一定の相関があることがわかった。例えば、羽口前温度Tfが上昇すると、ベース操業に比べて炉頂ガス温度が低下した。具体的には、羽口前温度Tfが2100℃となり、かつ吹込み量が250~300Nm/tとなる場合、炉頂ガス温度の変化量が上述した所定範囲外の値となった。ただし、吹込み量が200Nm/tまで減少すれば、炉頂ガス温度の変化量が所定範囲内の値となった。このような現象が生じる理由は上述した通りである。よって、操業の効率性等を重視する場合には、純水素ガスの吹込み量と炉頂ガス温度の変化量との間の相関を考慮して、吹込み量を調整すればよい。したがって、吹込み温度が所定値であるときの、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量とベース操業に対する炉頂ガス温度の変化量との相関である吹込み量-炉頂ガス温度変化量相関を羽口前温度毎に予め求めておき、現状の操業よりも炭素消費量が低減し、かつ、炉頂ガス温度の変化量が所定範囲内の値となる高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を吹込み量-炭素消費パラメータ相関及び吹込み量-炉頂ガス温度変化量相関に基づいて決定することで、操業の効率性の低下を抑制することができることが分かった。
<2.実施例2:高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超となる場合の検証>
実施例2では、高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超となる場合の検証を行った。
<2-1.シミュレーションに使用したモデル及び計算条件>
高炉操業シミュレーションには、実施例1と同様の高炉数学モデルを用いた。計算条件を表3に示す。表3に示す通り、計算条件は実施例1とほぼ同様であるが、コークス比は実施例1と異なる条件とした。すなわち、実施例2では、コークス比は微粉炭吹込み量が0ton/hより大きい場合には300kg/tで一定とし、微粉炭吹込み量が0ton/hとなる場合(すなわち、微粉炭比が0となる場合)には変動させることとした。つまり、微粉炭吹込み量が0ton/hとなる場合、コークス比によって炉温を調整した。
上述したように、高濃度水素含有ガスの吹込み温度を高め、かつ吹き込み量を多くした場合、微粉炭吹込み量が0ton/hとなりうる。この場合、コークス比を低減することで、さらなる炭素消費原単位の削減が可能となる。また、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を0~1000Nm/tとした。また、高濃度水素含有ガスの吹込み温度を600℃超1400℃以下とした。なお、高濃度水素含有ガスを吹き込まないベース操業の諸元は実施例1と同様とした。その他の諸条件は実施例1と同様とした。例えば、全操業で出銑比と溶銑温度が一定となるよう、送風量、酸素富化率、PC(微粉炭)吹込み量を調整した。鉄系原料は実施例1で使用した焼結鉱とした。
Figure 0007297091000003
<2-2.実施例2-1:高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超であり、高濃度水素含有ガスが純水素ガスであるケース>
実施例2-1では、高濃度水素含有ガスを純水素ガスとして、純水素ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの相関を計算した。結果を図6~図10に示す。
図6~図10に示される通り、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量をベース操業の0Nm/tから増加させていくと炭素消費原単位の削減割合Input △Cが増加することがわかった。さらに、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量の増加に伴って炭素消費原単位の削減割合Input △Cの上昇割合(吹き込み量の単位上昇量に対する炭素消費原単位の削減割合Input △Cの上昇量)は減少するものの、炭素消費原単位の削減割合Input △Cは減少に転じることがなかった。これは高濃度水素含有ガスの吹き込み温度が600℃以下となる場合と明らかに異なる挙動であった。
なお、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが7%以上となる範囲は高濃度水素含有ガスの吹込み温度毎に異なっていた。具体的には、吹込み温度が600℃超900℃以下となる場合には、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が125Nm/t以上の範囲内の値となる場合に、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが7%以上となった。また、吹込み温度が900℃超1200℃以下となる場合には、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が110Nm/t以上の範囲内の値となる場合に、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが7%以上となった。吹込み温度が1200℃超となる場合には、高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が100Nm/t以上の範囲内の値となる場合に、炭素消費原単位の削減割合Input △Cが7%以上となった。
<2-3.その他の試験>
純水素ガスの吹込み温度を900℃として実施例1-3、1-4と同様の試験を行った。この結果、純水素ガスの吹込み温度が900℃となる場合にも、純水素ガスの吹込み量と圧力損失の変化量または炉頂ガス温度の変化量との間に一定の相関があることが確認できた。
したがって、本実施形態に係る高炉の操業方法に従って高濃度水素含有ガスを高炉内に吹き込むことで、炉頂ガス温度の変化量を所定範囲内の値としつつ、炭素消費原単位の削減割合Input △Cを大きくすることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (13)

  1. 水素ガスを80mol%以上含有する高濃度水素含有ガスを、
    前記高濃度水素含有ガスの吹込み温度が常温以上300℃以下であり、かつ、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が200Nm/t以上500Nm/t以下である条件、
    前記高濃度水素含有ガスの吹込み温度が300℃超600℃以下であり、かつ、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が145Nm/t以上である条件、
    前記高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超900℃以下であり、かつ、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が125Nm/t以上である条件、
    前記高濃度水素含有ガスの吹込み温度が900℃超1200℃以下であり、かつ、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が110Nm/t以上である条件、または、
    前記高濃度水素含有ガスの吹込み温度が1200℃超であり、かつ、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が100Nm/t以上である条件で、
    羽口から吹き込むことを特徴とする、高炉の操業方法。
  2. 前記吹込み温度が常温以上300℃以下であり、かつ、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が200Nm/t以上300Nm/t以下であることを特徴とする、請求項1に記載の高炉の操業方法。
  3. 前記高濃度水素含有ガスの吹込み温度が300℃超600℃以下であり、かつ、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が145Nm/t以上600Nm/t以下であることを特徴とする、請求項1に記載の高炉の操業方法。
  4. 羽口前温度を2050℃以下とすることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の高炉の操業方法。
  5. 羽口前温度を2050℃超2150℃以下とすることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の高炉の操業方法。
  6. 羽口前温度を2150℃超2250℃以下とすることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の高炉の操業方法。
  7. 前記高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超1400℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載の高炉の操業方法。
  8. 前記高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超となる場合、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を1000Nm/t以下とすることを特徴とする、請求項1または7に記載の高炉の操業方法。
  9. 前記高濃度水素含有ガスの吹込み温度が600℃超であり、かつ、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量が400Nm/t以上となる場合、羽口前温度を2050℃以下とすることを特徴とする、請求項1、7、または8に記載の高炉の操業方法。
  10. 水素ガスを80mol%以上含有する高濃度水素含有ガスの吹込み温度が所定値であるときの、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量と炭素消費量に関する炭素消費パラメータとの相関である吹込み量-炭素消費パラメータ相関を羽口前温度毎に予め求めておき、
    現状の操業よりも前記炭素消費量が低減する前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を前記吹込み量-炭素消費パラメータ相関に基づいて決定し、
    前記高濃度水素含有ガスを当該決定された吹込み量で前記羽口から吹き込むことを特徴とする、高炉の操業方法。
  11. 前記吹込み量-炭素消費パラメータ相関を前記吹込み温度毎に求めることを特徴とする、請求項10に記載の高炉の操業方法。
  12. 前記吹込み温度が所定値であるときの、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量とベース操業に対する圧力損失の変化量との相関である吹込み量-圧力損失変化量相関を羽口前温度毎に予め求めておき、
    現状の操業よりも前記炭素消費量が低減し、かつ、前記圧力損失の変化量が所定範囲内の値となる前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を前記吹込み量-炭素消費パラメータ相関及び前記吹込み量-圧力損失変化量相関に基づいて決定することを特徴とする、請求項10または11に記載の高炉の操業方法。
  13. 前記吹込み温度が所定値であるときの、前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量とベース操業に対する炉頂ガス温度の変化量との相関である吹込み量-炉頂ガス温度変化量相関を羽口前温度毎に予め求めておき、
    現状の操業よりも前記炭素消費量が低減し、かつ、前記炉頂ガス温度の変化量が所定範囲内の値となる前記高濃度水素含有ガス中の水素ガスの吹込み量を前記吹込み量-炭素消費パラメータ相関及び前記吹込み量-炉頂ガス温度変化量相関に基づいて決定することを特徴とする、請求項10~12の何れか1項に記載の高炉の操業方法。
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