JP2023128470A - 高炉の操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素ガスを吹込む高炉の操業方法において、水素ガスの温度が昇温可能な温度範囲内であっても水素ガスの吹込み量を増やすことなく炭素消費量の削減目標を達成可能な高炉の操業方法を提供する。【解決手段】水素ガス吹込みを行うことで基本操業諸元よりも炭素消費量を低減した、所定の炭素消費量の水素吹込みベース諸元における水素ガスと熱風による高炉への投入顕熱量に基づいて所定の顕熱量を決定する第1工程と、水素ガスと熱風による投入顕熱量が、所定の顕熱量となる水素ガスの温度と熱風の温度の関係に基づいて水素ガス温度-熱風温度相関を作成する第2工程と、作成した水素ガス温度-熱風温度相関に基づいて水素ガスの温度である第1の温度と熱風の温度である第2の温度を決定する第3工程と、決定された第1の温度で水素ガスを羽口から吹込み第2の温度で熱風を前記羽口から吹込む第4工程と、を備える高炉の操業方法。【選択図】図2

Description

本発明は、高炉の操業方法に関する。
鉄鋼業においては、高炉法が銑鉄製造工程の主流を担っている。高炉法においては、高炉の炉頂から高炉用鉄系原料(酸化鉄を含む原料。主として、焼結鉱。以下、単に「鉄系原料」とも称する)及びコークスを高炉内に交互かつ層状に装入する一方で、高炉下部の羽口から熱風を高炉内に吹き込む。熱風は、熱風とともに吹き込まれる微粉炭、及び、高炉内のコークスと反応することで、高温の還元ガス(ここでは主としてCOガス)を発生させる。すなわち、熱風は、コークス及び微粉炭をガス化させる。還元ガスは、高炉内を上昇し、鉄系原料を加熱しながら還元する。鉄系原料は、高炉内を降下する一方で、還元ガスにより加熱及び還元される。その後、鉄系原料は溶融し、コークスによってさらに還元されながら高炉内を滴下する。鉄系原料は、最終的には炭素を5質量%弱含む溶銑(銑鉄)として炉床部に溜められる。炉床部の溶銑は、出銑口から取り出され、次の製鋼プロセスに供される。したがって、高炉法では、コークス及び微粉炭等の炭材を還元材として使用する。
ところで、近年、地球温暖化防止が叫ばれ、温室効果ガスの一つである二酸化炭素(COガス)の排出量削減が社会問題になっている。上述したように、高炉法では還元材として炭材を使用するので、大量のCOガスが発生する。したがって、鉄鋼業はCOガス排出量において主要な産業のひとつとなっており、その社会的要請に応えねばならない。具体的には、高炉操業での更なる還元材比(溶銑1トンあたりの還元材使用量)の削減が急務となっている。
還元材は炉内で熱となって装入物を昇温させる役割と、炉内の鉄系原料を還元する役割があり、還元材比を低減させるためには炉内の還元効率を上げる必要がある。炉内の還元反応は様々な反応式で表記することができる。これらの還元反応のうち、コークスによる直接還元反応(反応式:FeO+C⇒Fe+CO)は大きな吸熱を伴う吸熱反応である。したがって、この反応を極力発生させないことが還元材比の低減において重要となる。この直接還元反応は高炉炉下部で生じる反応であるため、鉄系原料が炉下部に至るまでにCO、H等の還元ガスで鉄系原料を十分に還元することができれば、直接還元反応の対象となる鉄系原料を減らすことができる。
還元ガスである水素ガス(Hガス)を吹込む方法として、特許文献1には水素ガスを昇温して吹き込む高炉の操業方法が記載されている。具体的には、水素ガスによる鉄系原料の還元反応が吸熱反応であることによる炉内温度の低下を考慮して、水素ガスの吹込み量に応じて適切な温度に水素ガスを昇温して吹込むことが記載されている。特許文献1の方法によれば、安定した高炉操業を維持しつつCO排出量を削減することが可能となる。
国際公開第2021/107091号
しかし、特許文献1に開示された方法の場合、既存の設備では水素ガスを1000℃程度までしか昇温できないため、条件によっては炭素消費量の削減目標の達成が難しい場合もあった。
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、水素ガスを吹込む高炉の操業方法において、水素ガスの温度が昇温可能な温度範囲内であっても水素ガスの吹込み量を増やすことなく炭素消費量の削減目標を達成可能な高炉の操業方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その発明の要旨は以下の通りである。
(1)水素ガス吹込みを行うことで基本操業諸元よりも炭素消費量を低減した、所定の炭素消費量の水素吹込みベース諸元における、水素ガスと熱風による高炉への投入顕熱量に基づいて所定の顕熱量を決定する第1工程と、水素ガスと熱風による投入顕熱量が、前記第1工程で決定した前記所定の顕熱量となる水素ガスの温度と熱風の温度の関係に基づいて水素ガス温度-熱風温度相関を作成する第2工程と、前記第2工程で作成した前記水素ガス温度-熱風温度相関に基づいて水素ガスの温度である第1の温度と、熱風の温度である第2の温度を決定する第3工程と、前記第3工程で決定された前記第1の温度で水素ガスを羽口から吹込み、前記第2の温度で熱風を前記羽口から吹込む第4工程と、を備えることを特徴とする高炉の操業方法。
(2)前記第2工程は、前記水素吹込みベース諸元に対して、水素ガスの吹込み量と熱風の吹込み量を変化させず、水素ガスの温度と熱風の温度を変化させた場合に、水素ガスと熱風による投入顕熱量が前記所定の顕熱量になる水素ガスの温度と熱風の温度に基づいて、前記水素ガス温度-熱風温度相関を求めることを特徴とする上記(1)に記載の高炉の操業方法。
(3)前記水素ガス温度-熱風温度相関は、前記所定の顕熱量となる水素ガスの温度と熱風の温度の組み合わせからなるデータの集合に基づいて求められる、前記水素ガスの温度と前記熱風の温度の関係を示す近似式であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高炉の操業方法。
(4)前記高炉の操業における炭素消費量毎に第2工程を実施して、前記水素ガス温度-熱風温度相関を導出し、操業における目標とする炭素消費量に対応した前記水素ガス温度-熱風温度相関に基づいて、前記第1の温度と前記第2の温度を決定することを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
(5)前記第4工程は、熱風の流通経路の前記羽口より上流側において、プラズマ加熱装置によって熱風を前記第2の温度に加熱することを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
本発明によれば、水素ガスを吹込む高炉の操業方法において、水素ガスの温度が昇温可能な温度範囲内であっても水素ガスの吹込み量を増やすことなく炭素消費量の削減目標を達成可能な高炉の操業方法を提供することができる。
本実施形態の高炉と熱風炉等の構成を示す図である。 本実施形態の水素ガス温度-熱風温度相関の一例を示すグラフである。 炭素消費原単位の削減率20%を達成する操業の実施例および比較例について、水素ガス吹込み量の結果を示すグラフである。 炭素消費原単位の削減率40%を達成する操業の実施例および比較例について、水素ガス吹込み量の結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。本実施形態の高炉1の操業方法は、還元材としての水素ガスを羽口から熱風と共に吹込むものである。図1は、実施形態に係る高炉1と熱風炉等の構成を示す図である。高炉1は、熱風や水素ガスなどを高炉1内に吹込むために、羽口2と、環状管3と、送風管4と、ランス6と、プラズマ加熱装置8などを備える。
羽口2は高炉内に熱風を吹き込むための吹き込み口である。羽口2から吹き込まれる熱風は例えば熱風炉で生成され、熱風炉から環状管3、送風管4を経由して羽口2に供給される。熱風炉は例えば内部に珪石レンガを格子状に組んだ蓄熱室を持つ炉である。熱風の温度を測定し、その測定データに基づき熱風炉における蓄熱量や供給する空気の量を制御して熱風の温度が調整され、環状管3に送られる。また、還元材としての微粉炭を、羽口2を通じて高炉に吹き込むための、微粉炭吹込み用ランスが羽口2又は送風管4に挿通して配置されてもよい。
ランス6は、水素ガスを吹込むための吹込みランスである。ランス6は羽口2に挿通されており、ガスタンクから供給される水素ガスがランス6を介して羽口2内に吹込まれる。なお、水素ガスの高炉1への吹込みは通常は羽口2を通じて行うが、これに限定されず、羽口2以外の場所にランス6が設置されて水素ガスが吹き込まれてもよい。ランス6から吹込まれる水素ガスは、水素ガスを加熱する加熱装置によって、所望の温度に加熱されて供給される。
ランス6から吹込まれる水素ガスは、水素ガスのみで構成されるものに限られず、水素を主要成分とする水素系ガスであってもよい。水素を80mol%(ランスから吹込むガスを構成するすべてのガスの総物質量に対する水素ガスのmol%)以上含有する水素系ガスであるのが好ましい。
プラズマ加熱装置8は、熱風の温度を通常の操業条件(基本操業諸元)での温度よりも高温に加熱する場合に用いられる加熱装置である。プラズマ加熱装置8は、たとえば羽口2より上流側に配置され、送風管4内や羽口2内においてプラズマトーチにより熱風を加熱する。なお、プラズマ加熱装置8による熱風の加熱位置はこれに限られず、熱風炉から水素ガス合流位置であるランス6先端までの間で熱風を加熱できれば、どこであってもよい。羽口2の手前において、プラズマ加熱装置8によって熱風を加熱することで、既存の熱風炉における加熱条件や設備を変更することなく、基本操業条件の熱風の温度から適切に昇温させることができる。
なおプラズマ加熱による熱風の加熱方法・装置としては、例えば「稲葉 晋一、八木 順一郎、鉄と鋼、78(1992),p1187-1197」、「D. S. Gathergood: Applied Energy Research Conf., Swansea(1989年9月), Session I」、「https://abmproceedings.com.br/en/article/download-pdf/the-use-of-plasma-torches-in-blast-furnace-ironmaking」などに記載の方法を採用してよい。
また、本実施形態において、熱風の温度および水素ガスの温度は羽口から吹込まれる際の温度を意味し、後述の高炉1への投入顕熱量をより正確に評価できるような位置で、温度センサ等により測定された温度であることが好ましい。具体的には、熱風及び水素ガスの温度は、水素ガスが熱風に混ざる位置よりも上流側であって、なるべく羽口2に近い位置で測定される温度であればよい。例えば、図1に示す位置でランス6から水素ガスが吹き込まれる場合は、熱風の温度は羽口2(又は送風管4)内においてランス6の先端よりも上流側の位置で測定されればよい。水素ガスの温度は、ランス6内においてランスの先端側において測定されればよい。
なお、熱風が熱風炉から羽口2付近に供給されるまでに低下する温度を、実際の操業やシミュレーションによりあらかじめ確認しておき、その温度低下を考慮して羽口2付近の温度が所望の温度となるような温度に熱風炉やプラズマ加熱装置8の設定温度を設定してもよい。水素ガスについても同様に、ランス6の先端側までの温度低下を考慮して水素ガスのヒーターの設定温度が設定されてもよい。
次に、本実施形態の高炉の操業方法を説明する。本実施形態に係る高炉の操業方法は、以下の第1工程~第4工程を有する。
(第1工程)水素ガス吹込みを行うことで基本操業諸元よりも炭素消費量を低減した、所定の炭素消費量の水素吹込みベース諸元における、水素ガスと熱風による高炉への投入顕熱量に基づいて所定の顕熱量を決定する
(第2工程)水素ガスと熱風による投入顕熱量が、第1工程で決定した所定の顕熱量となる水素ガスの温度と熱風の温度の関係に基づいて水素ガス温度-熱風温度相関を作成する
(第3工程)第2工程で作成した水素ガス温度-熱風温度相関に基づいて水素ガスの温度(第1の温度)と、熱風の温度(第2の温度)を設定する
(第4工程)第3工程でそれぞれ設定された温度で水素ガス及び熱風を羽口から吹込んで操業を行う
以下、各工程について説明する。なお本明細書において「炭素消費原単位」は、溶銑1トンを製造するのに要した炭素(すなわち溶銑1トンあたりの炭素消費量)である。「炭素消費原単位の削減率」は、基本操業諸元での操業における炭素消費原単位に対して、別の諸元の操業において削減された炭素消費原単位の割合を意味する。基本諸元の炭素消費原単位をA(kg/t)、別のある諸元の操業時における炭素消費原単位をB(kg/t)とすると、炭素消費原単位の削減率ΔCは、以下の数式で示される。
△C=(A-B)/A×100(%)
炭素消費原単位の削減率ΔCが大きいほど、還元材比も低減し、ひいてはCO排出量が削減される。
また、「基本操業諸元」は、炭素消費量を低減する目標の設定に当たり、その基準とする諸元であり、上記の通り炭素消費量の削減率は基本操業諸元での炭素消費量を基準に算出される。本実施形態においては、水素ガスを吹き込まない操業を基本操業諸元として説明するが、これに限られず、基準とする操業条件として設定できる諸元であればよい。水素ガス吹込みを行っている操業諸元を基本操業諸元とし、炭素消費量の削減目標の基準とし、その操業条件から本実施形態の方法により炭素消費量を低減するものであってもよい。
また、上記工程において水素ガス温度-熱風温度相関を求める場合や決定した条件での操業における炭素消費量の削減効果の評価には、高炉数学モデルを用いた高炉操業シミュレーションを用いればよい。高炉数学モデルとしては、高炉全体の操業状態をシミュレートできればどのような数学モデルを使用してもよい。本実施形態では一例として「Kouji TAKATANI、Takanobu INADA、Yutaka UJISAWA、「Three-dimensional Dynamic Simulator for Blast Furnace」、ISIJ International、Vol.39(1999)、No.1、p.15-22」に記載の高炉数学モデルを用いた。当該高炉数学モデルは、概略的には、高炉の内部領域を高さ方向、径方向、周方向に分割することで複数のメッシュ(小領域)を規定し、各メッシュの挙動をシミュレーションするものである。
第1工程について説明する。まず、目標とする炭素消費量として炭素消費原単位の削減率を設定する。例えば、以下の表1に示す基本操業諸元に対して、水素ガス吹込みを行って還元材としての微粉炭吹込み量を減らすことで、全体で20%の削減率を達成するという目標を設定する。
次に、基本操業諸元に対して、炉頂温度、溶銑温度、出銑量が一定となる条件下において、水素ガス吹込みを行うことにより、炭素消費原単位が20%の削減率となる操業条件を設定する。具体的には、炉頂温度、溶銑温度、出銑量が一定となるように、微粉炭吹込み量を減少させ、熱風の吹込み量(送風量)、酸素富化量を調整し、水素ガスの吹込み条件(吹込み量および温度)を設定することで、上記操業条件を決定する。
水素ガスの吹込み条件は、特許文献1に記載の方法で決定することができる。すなわち、基本操業諸元に対して炉頂温度、出銑比、溶銑温度が一定となるように、熱風の吹込み量(送風量)、酸素富化率、微粉炭吹込み量を調整する。当該調整をしつつ、ある水素ガス温度において水素ガスの吹込み量を変化させた場合の炭素消費原単位の削減率を求める。
そして、水素ガス温度を変化させて、同様に吹込み量を変化させた場合の削減率を求めることを繰り返し、温度帯ごとの水素ガス吹込み量と削減率との関係を求める。求めた関係の中から、達成したい炭素消費原単位の削減率になる水素ガス温度と、吹込み量を選択することで決定されればよい。達成したい削減率になる水素ガスの温度と吹込み量の組み合わせは複数存在する場合もあるので、他の操業条件等の事情に応じて適切な条件を選択すればよい。
なお、本実施形態の説明において、以上の方法で水素ガスの条件(温度と吹込み量)を調整して設定した、所定の炭素消費量となる操業条件を、水素吹込みベース諸元とも記載する。
一例として、水素ガス温度を1200℃、水素吹込み量を約270Nm/tに設定した、炭素消費原単位の削減率が20%となる水素吹込みベース諸元を表2に示す。
次に、水素吹込みベース諸元における、羽口2からの投入顕熱量を導出する。投入顕熱量は、吹込み温度と、比熱と、吹込み量の積により求めることができる。本実施形態においては、水素吹込みベース諸元における、熱風による投入顕熱量と、水素ガスによる投入顕熱量の合計の顕熱量を導出する。この導出された水素ガスと熱風による投入顕熱量の合計を、次の第2工程において水素ガス温度-熱風温度相関を作成する際に利用する所定の顕熱量とする。
次に、第2工程について説明する。水素吹込みベース諸元から、水素ガス吹込み量および熱風の吹込み量(送風量)は変えずに一定とし、水素ガス温度と熱風温度を調整して、投入顕熱量が上記導出した所定の顕熱量となる水素ガス温度と熱風温度をプロットする。上述のとおり顕熱量は吹込み温度と比熱と吹込み量の積で求められ、熱風と水素ガスの合計の投入顕熱量は導出した所定の顕熱量で変わらないので、水素ガス温度をある温度に設定すれば、投入顕熱量が一定となる熱風温度を導出することができる。
以上の方法により、表2の20%削減の水素吹込みベース諸元と同じ投入顕熱量である所定の顕熱量となる、水素ガス温度と熱風温度の組み合わせを何点か導出する。それらのプロットから得られる近似直線が本実施形態における熱風温度と水素ガス温度の関係を表す水素ガス温度-熱風温度相関である。換言すれば、水素吹込みベース諸元と同じ所定の顕熱量となる、水素ガス温度と熱風温度の組み合わせからなるデータの集合を作成し、当該集合に基づいて特定される近似式が水素ガス温度-熱風温度相関となる。近似直線(近似式)は、たとえば最小二乗法により求めればよい。また、本実施形態の水素ガス温度-熱風温度相関である近似直線(近似式)は、熱風温度と水素ガス温度の関係を一次関数で示す式となる。
図2に上記の例で求めた、削減率20%の場合の水素ガス温度-熱風温度相関を表すグラフを示す。図2には、基本操業諸元に対して炭素消費原単位の削減率が40%となる水素吹込みベース諸元(下記表3に示す。)から、同様の方法で求めた水素ガス温度-熱風温度相関も表示する。
表3に示す削減率40%の水素吹込みベース諸元は、削減率20%の場合と同様に特許文献1に記載の方法により、水素ガスの温度帯ごとに水素吹込み量と削減率の関係を求めて、その関係の中から削減率40%を達成できる操業条件として決定したものである。なお、説明をわかりやすくするために、熱風温度と水素ガス温度を削減率20%の場合と同じ1200℃とした場合における削減率40%の水素吹込みベース諸元である。
図2の水素ガス温度-熱風温度相関において、まず、削減率20%の方については、グラフ右端の水素ガス温度が1200℃、熱風温度1200℃が、表2に示した削減率20%の水素吹込みベース諸元に対応する。そして、水素ガス温度と熱風温度の関係が削減率20%の水素ガス温度-熱風温度相関を満たしていれば、水素ガスの温度を1200℃から下げた操業においても、高炉1への投入顕熱量は所定の顕熱量で一定で削減率20%を達成できる。なお、削減率20%の水素ガス温度-熱風温度相関は、表2の水素吹込みベース諸元に対して水素ガス温度と熱風温度のみが変化し、水素ガス吹込み量や熱風の吹込み量は一定の操業条件における相関である。
炭素消費原単位の削減率40%の方についても、20%の場合と同様である。表3の水素吹込みベース諸元に対応するのが、グラフ右端の水素ガス温度1200℃、熱風温度1200℃の条件である。そして、水素ガスと熱風の温度が削減率40%の水素ガス温度-熱風温度相関を満たしていれば、水素ガスの温度を1200℃から下げた操業としても、高炉1への投入顕熱量は一定となり、削減率40%を達成できる。
なお、水素吹込みベース諸元における熱風と水素ガスの温度が同じ1200℃の場合、削減率40%の削減率の達成に必要な水素ガス吹込み量は20%の場合より多くなる。そして、図2のグラフに示すように、削減率40%の場合は20%の場合よりも水素ガス温度の低下に対して熱風をより高い温度に昇温する必要がある。つまり、炭素消費量の削減率が高くなるにしたがって、水素吹込み量が多くなるため、同じ投入顕熱量を維持するために熱風温度をより高い温度に昇温する必要がある。
水素ガス温度-熱風温度相関は、炭素消費原単位の削減率目標が決まっている場合に、その削減率に対応する相関を求めてもよいし、あらかじめ削減率毎に複数の相関を求めておき、実施可能な操業条件に応じて達成する削減率を決定し、その削減率の相関を使用して最終的な操業条件を決定してもよい。
次に、第3工程について説明する。第3工程は、第2工程によって求めた水素ガス温度-熱風温度相関に基づいて水素ガス温度(第1の温度)と熱風温度(第2の温度)を決定する工程である。
以下の説明において、本実施形態の方法により、水素ガス温度-熱風温度相関に基づいて水素ガス温度と熱風温度が設定された操業条件を「吹込み温度調整諸元」とも記載する。
まず、操業で達成したい炭素消費量である炭素消費原単位の削減率を設定する。そして、その削減率についてあらかじめ第2工程で求めた水素ガス温度-熱風温度相関に基づいて、水素ガス温度と熱風温度を決定する。
水素ガス温度については、水素ガスの昇温設備が昇温可能な温度範囲において決定されればよい。また、熱風温度については、高炉の耐火物やその他設備に影響を与えない温度範囲において決定されればよい。水素ガス温度と熱風温度はいずれを優先して決定してもよく、たとえば設備条件などに応じて条件がより厳しい方の温度から決定し、その温度に対応する他方の温度を水素ガス温度-熱風温度相関から決定してもよいし、相関に基づき両方の温度を考慮しながら適当な温度の組み合わせを決定してもよい。
たとえは、削減率20%とする場合で、水素ガスの昇温設備が600℃までしか加熱できないなどの理由に基づき、水素ガス温度を600℃と設定する。そして図2の削減率20%の水素ガス温度-熱風温度相関から、水素ガス温度600℃の場合の熱風温度を約1400℃と決定することができる。このとき、水素ガス温度600℃、熱風温度1400℃とした吹込み温度調整諸元は、水素ガス温度と熱風温度が1200℃の表2の水素吹込みベース諸元に対して投入顕熱量の変化は無く一定である。なお、吹込み温度調整諸元においては、水素ガスの吹込み量と、熱風の吹込み量についても、水素吹込みベース諸元と同じ吹込み量で一定とし、酸素量など他の操業条件についても水素吹込みベース諸元と同じとする。
また、逆に熱風温度の上限が1400℃であるという条件がある場合であれば、熱風の温度を1400℃に決定し、対応する水素温度(図2において削減率20%とする場合であれば、約600℃)を水素ガス温度-熱風温度相関に基づいて決定してもよい。
次に、第4工程は、水素ガス温度と熱風温度を第3工程で決定した温度に調整した吹込み温度調整諸元により操業を行う工程である。本実施形態の方法で決定した吹込み温度調整諸元により操業することで、炭素消費原単位の削減目標を達成した操業が可能となる。これにより、水素吹込み量を増やすことなく、水素ガス温度を調整可能な範囲で削減目標を達成した安定的な操業を行うことができる。
本実施形態においては、水素吹込みベース諸元について、熱風の温度を基本操業諸元の温度から変えないで、炭素消費量が所定の削減率となる水素ガス吹込み量と水素ガス温度を設定した。そして、その水素吹込みベース諸元を基礎として水素ガス温度-熱風温度相関を求めたが、これに限られない。上述の通り、同じ削減率を達成可能な水素吹込みベース諸元は、基本操業諸元の出銑比や溶銑温度などが変わらない範囲で任意に設定できる。そのため、他の条件に応じて水素吹込みベース諸元を適宜設定し、その諸元に対応する水素ガス温度-熱風温度相関を求めることができる。従って、本実施形態によれば、基本操業諸元と同様の出銑比等における安定的な操業を実現しつつ、さまざまな条件に対応した水素ガス温度と熱風温度を決定することができる。
本実施形態の方法で決定される吹込み温度調整諸元について、通常は、水素吹込みベース諸元に対して水素温度は低下させる一方で、熱風温度は合計の投入顕熱量が一定となるように上昇させた条件となるが、必ずしもそれに限られない。たとえば、設備などの条件によっては、水素温度を水素吹込みベース諸元の温度から上昇させて、水素ガス温度-熱風温度相関に基づき熱風温度を低下させてもよい。つまり、吹込み温度調整諸元は、熱風温度と水素ガス温度の両方が、水素ガス温度-熱風温度相関に基づいて調整された諸元であればよい。
本実施形態においては、炭素消費量の削減量を評価するパラメータとして、炭素消費原単位の削減率を用いたがこれに限られない。水素ガス吹込みによる炭素消費量の変化を評価できればどのようなパラメータを用いてもよく、炭素消費原単位、還元材比、還元材比の削減割合(ベース操業に対する還元材比の削減割合。求め方は炭素消費原単位の削減割合と同様)等でもよい。
また、本実施形態においては、熱風の温度をさらに加熱する手段としてプラズマ加熱装置を示したがこれに限られず、必要な温度に加熱可能な手段であれば適宜他の手段を用いてもよい。
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。本実施形態の方法であらかじめ求めた水素ガス温度-熱風温度相関を利用し、上述の高炉数学モデルを使用して高炉の操業のシミュレーションを行い、炭素消費原単位の削減効果について確認した。
基本操業諸元は表1に示した条件を用い、水素ガスのみを昇温させて削減率20%と40%を達成する水素吹込みベース諸元は、表2と表3に示した条件とした。表2および表3の諸元から、水素温度を900℃とした場合に、あらかじめ求めた水素ガス温度-熱風温度相関に基づき、目標の削減率を達成できる熱風温度を決定した。その他の操業条件については、表2および表3の水素吹込みベース諸元と同じとした。削減率20%と40%のそれぞれの水素ガス温度-熱風温度相関は、図2のグラフに示した関係を用いた。以上のように決定した吹込み温度調整諸元で高炉操業をシミュレートした。
また、比較例として、20%と40%の削減率について熱風温度は変化させずに水素温度と水素吹込み量を変化させることで各削減率を達成する操業条件についてもシミュレートした。
まず、削減率20%について、実施例と比較例での操業結果を図3のグラフに示す。図3は、削減率20%となる、水素吹込みベース諸元1、比較例1、実施例1の各操業諸元で操業を行った場合における、水素ガス吹込み量を示したグラフである。図3においてBTは熱風温度を表す。
20%削減を達成する水素吹込みベース諸元1では表2に示した通り約270Nm/tの水素吹込み量が必要であった。水素温度を900℃に下げて、熱風温度は表2の条件のまま1200℃とした比較例1では、20%削減を達成するために300Nm/tの水素吹込み量が必要となった。つまり、比較例1では同じ削減率20%を達成するためにより多量の水素吹込みが必要となった。
一方、実施例1では、水素温度が900℃でも、熱風温度をプラズマ加熱装置によって1302℃に昇温させて送風することで、水素吹込みベース諸元による吹込み量と同じ270Nm/t程度の水素ガス吹込みで削減率20%を達成できた。
次に削減率40%について、実施例と比較例での操業結果を図4のグラフに示す。図4は、削減率40%となる、水素吹込みベース諸元2、比較例2、実施例2の各操業諸元で操業を行った場合における水素ガス吹込み量を示したグラフである。図4においてBTは熱風温度を表す。
40%削減を達成する水素吹込みベース諸元2では表3に示した通り約650Nm/tの水素吹込み量が必要であった。水素温度を900℃に下げて、熱風温度は表3の条件の1200℃のままとした比較例2では、40%削減を達成するために900Nm/tの吹込み量が必要となり、より多量の水素吹込みが必要となった。
一方、実施例2では、水素温度が900℃でも、熱風温度をプラズマ加熱装置によって1510℃に昇温させて送風することで、水素吹込みベース諸元による吹込み量と同じ650Nm/t程度の水素ガス吹込みで削減率40%を達成できた。
1 高炉
2 羽口
4 送風管
6 ランス
8 プラズマ加熱装置

Claims (5)

  1. 水素ガス吹込みを行うことで基本操業諸元よりも炭素消費量を低減した、所定の炭素消費量の水素吹込みベース諸元における、水素ガスと熱風による高炉への投入顕熱量に基づいて所定の顕熱量を決定する第1工程と、
    水素ガスと熱風による投入顕熱量が、前記第1工程で決定した前記所定の顕熱量となる水素ガスの温度と熱風の温度の関係に基づいて水素ガス温度-熱風温度相関を作成する第2工程と、
    前記第2工程で作成した前記水素ガス温度-熱風温度相関に基づいて水素ガスの温度である第1の温度と、熱風の温度である第2の温度を決定する第3工程と、
    前記第3工程で決定された前記第1の温度で水素ガスを羽口から吹込み、前記第2の温度で熱風を前記羽口から吹込む第4工程と、
    を備えることを特徴とする高炉の操業方法。
  2. 前記第2工程は、前記水素吹込みベース諸元に対して、水素ガスの吹込み量と熱風の吹込み量を変化させず、水素ガスの温度と熱風の温度を変化させた場合に、水素ガスと熱風による投入顕熱量が前記所定の顕熱量になる水素ガスの温度と熱風の温度に基づいて、前記水素ガス温度-熱風温度相関を求めることを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業方法。
  3. 前記水素ガス温度-熱風温度相関は、前記所定の顕熱量となる水素ガスの温度と熱風の温度の組み合わせからなるデータの集合に基づいて求められる、前記水素ガスの温度と前記熱風の温度の関係を示す近似式であることを特徴とする請求項1または2に記載の高炉の操業方法。
  4. 前記高炉の操業における炭素消費量毎に第2工程を実施して、前記水素ガス温度-熱風温度相関を導出し、
    前記第3工程は、操業における目標とする炭素消費量に対応した前記水素ガス温度-熱風温度相関に基づいて、前記第1の温度と前記第2の温度を決定することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
  5. 前記第4工程は、熱風の流通経路の前記羽口より上流側において、プラズマ加熱装置によって熱風を前記第2の温度に加熱することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。


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