JP4984396B2 - 高炉操業方法 - Google Patents
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Description
また、製銑工程におけるCO2発生を抑制して、地球環境の保全に資する観点からも高炉におけるコークスの使用量低減は急務である。
(1)低密度、低粘度による炉内圧損の緩和を図ることができる。
(2)還元速度上昇によるシャフト効率の上昇と還元材比の低下を図ることができる。また、還元材比低減により、ボッシュガス量を低減できるので、圧損の低下を図ることができる。
(3)融着帯の鉱石の溶け落ち性改善と、これに伴う圧損の低下を図ることができる。
(4)ソルロス負荷低下によるコークス粉化軽減と炉下部充填層の粉率の低下を図り、これに伴う圧損の低下を図ることができる。
このように、水素投入には様々な理由に基づく炉内圧損の低減に対する有効性が指摘できる。
しかしながら、微粉炭、合成樹脂材などの固体還元材は発熱量が低いことや、またアッシュ成分がレースウェイ奥へ蓄積し易いことのため、実際には吹き込み量が増すほど通気性が悪化して炉内圧損が上昇することなどによって、コークスとの置換率を1.0以上にすることは困難である。
したがって、固体還元材の吹込み量を増やすことはコークス比の削減には有効であるが、還元材比はむしろ上昇するばかりか、CO2発生の抑制や、増産要請に対しても逆効果となる。
微粉炭比とH2/COの関係をグラフで示した図5から分かるように、微粉炭比の増加と共に、H2/COは直線的に上昇することから、水素投入の効果として圧損の低下などの効果を発揮すると予測される。
しかしながら、実際には本指標であるH2/COと、高炉炉下部通気抵抗指数K(以下、「炉下部K値」という。K=(Pblast 2-P2)/V1.7 但し、Pblast:送風圧(kg/cm2)、P:ボッシュ部直上の炉壁部静圧(kg/cm2)、V:ボッシュガス量(Nm3/t))の関係をグラフで示した図6から分かるように、上記の予測に反して水素投入量増加とともにK値は上昇しており、通気性に対しては水素投入によって期待されるのと逆の効果が得られた。
これは微粉炭に由来するアッシュの蓄積や、未燃チャーの発生と蓄積による圧損上昇の効果が水素投入による圧損緩和の効果を上回ったためと考えられる。
従って、水素投入による上記の効果を享受するためには、固体還元材を単独で吹き込むのでは不十分であり、水素投入方法や量の最適化など、さらに一段上の技術開発が必要である。
しかし、特許文献1においては、気体還元材をどのような条件で吹き込めば微粉炭等の固体還元材に由来するアッシュの蓄積や、未燃チャーの発生と蓄積による圧損上昇の効果よりも水素投入による圧損緩和の効果を上回らせて上記水素投入の効果が得られるかについては何らの開示及び示唆もされていない。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、発熱量が高く、かつアッシュを含まない、重油や天然ガスなどの液体状またはガス状の補助還元材を固体還元材と共に吹き込む場合において、通気性が悪化することを防止しつつ水素投入の効果を最大限引き出すことのできる高炉操業方法を提供することを目的としている。
図1に示されるように、微粉炭吹き込み量によらず、天然ガス吹込みによってボッシュガス中のH2/COを0.22以上とすれば、明らかに炉下部K値が減少に転じている。これらはアッシュを含まない還元材由来の水素投入によって、前述した水素投入の効果が享受できた結果と判断される。
メタン(CH4、H/C(平均的な組成中の水素と炭素のモル比)=4.0)、エタン(C2H6、H/C=3.0)、プロパン(C3H8、H/C=2.7)、ブタン(C4H10、H/C=2.5)、ペンタン(C5H12、H/C=2.4)、エチレン(C2H4、H/C=2.0)、プロピレン(C3H6、H/C=2.0)、ジメチルエーテル((CH3)2O、H/C=3.0)、ベンゼン(C6H6、H/C=1.0)、トルエン(C6H5CH3、H/C=1.33)、並びに、メタン、エチレン、プロパンなどの混合物である天然ガス(LNG)(H/Cは3.7〜4.0)、メタンと水素を主成分とするコークス炉ガス(COG)(H/Cは約5.9)、原油(H/Cは約1.87)、灯油(H/Cは約1.97)、軽油(H/Cは約1.84)、重油(1.55〜1.75)、トリオール(C7H8、H/C=1.1)、ナフタリン(C7H8、H/C=1.1)。
従って、気体還元材および液体還元材としてはH/Cが1.5以上のものが望ましく、上述したエタンやメタンなどを単独で、もしくは複数種を混合して用いればよい。
なお、予め各種ガスが混合されているCOGやLNGなどもこの条件に符合する。
具体的には入手のし易さの観点から気体還元材としては天然ガスが、液体還元材としては重油が特に好ましい。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下の(1)〜(3)の構成を有するものである。
固体還元材と共にH/C(平均的な組成中の水素と炭素のモル比)が1.5以上の液体還元材または気体還元材を同時に吹き込み、かつ下記の高炉炉下部通気抵抗指数Kを減少させるために前記固体還元材および/または気体還元材もしくは液体還元材の吹き込み量を前記推算値に基づいて調整する工程を備えたことを特徴とするものである。
高炉炉下部通気抵抗指数K=(Pblast 2-P2)/V1.7
但し、Pblast:送風圧(kg/cm2)
P :ボッシュ部直上の炉壁部静圧(kg/cm2)
V :ボッシュガス量(Nm3/t)
実操業においてボッシュガスをサンプリングしてガス中のCO、H 2 、H 2 、N 2 の濃度を把握する工程と、
固体還元材と共にH/C(平均的な組成中の水素と炭素のモル比)が1.5以上の液体還元材または気体還元材を同時に吹き込み、かつ下記の高炉炉下部通気抵抗指数Kを減少させるためにボッシュガス中のH 2 /COが0.22以上となるように前記固体還元材および/または気体還元材もしくは液体還元材の吹き込み量を前記サンプリングによって把握したガス濃度に基づいて調整する工程を備えたことを特徴とするものである。
高炉炉下部通気抵抗指数K=(P blast 2 -P 2 )/V 1.7
但し、P blast :送風圧(kg/cm 2 )
P :ボッシュ部直上の炉壁部静圧(kg/cm 2 )
V :ボッシュガス量(Nm 3 /t)
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、固体還元材として微粉炭および/または合成樹脂材を用いることを特徴とするものである。
(5)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記固体還元材が微粉炭であり、該微粉炭の吹き込み量を150kg/t−p以下にしたことを特徴とするものである。
本実施の形態に使用した高炉及びその周辺設備は、図2に示すように、内容積が3223m3である高炉1と、この高炉1に熱風を送る送風管2とを備え、この送風管2を貫通して微粉炭吹込みランス3、合成樹脂材吹込みランス4、気体還元材吹込みランス5が設置されている。
そして、補助還元材の吹込みに際してはボッシュガス中のH2/COが0.22以上となるように補助還元材の吹込み量を調整する。
微粉炭と天然ガスを吹込む場合に、微粉炭及び天然ガスの化学組成(C、O、H、Nなど)とこれらの吹込み量、送風中の全酸素原単位から計算によって、ボッシュガス中のH2/COが0.22以上の条件を満足する微粉炭吹込み比と天然ガス吹込み比の推算値を予め求めておく。
なお、酸素富化率が異なる場合も同様な図を得ることができる。
もっとも、上記の図3に基づいて天然ガス吹込み比を決定しても、操業時にボッシュガスを直接サンプリングしてガス中のCO、H2、H2、N2の濃度を把握しながら、天然ガス吹込み比をさらに調整するようにしてもよい。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば予め計算によって基礎となる値を求めていなくても、実操業においてボッシュガスを直接サンプリングしてガス中のCO、H2、H2、N2の濃度を把握しながら、天然ガス吹込み比を調整するようにしてもよい。
また、ボッシュガス中のH2/COが0.22以上に調整する方法として、天然ガス吹込み比を調整するのみならず、微粉炭等の固体還元材の吹込み比を調整するようにしてもよい。
微粉炭吹込み比を50kg/t-p、100kg/t-p、150kg/t-p、とした3つのケースについて、天然ガスの吹き込み比を20kg/t-pごとに変えることでボッシュガス中のH2/COを変化させ、そのときの還元材比とH2/COとの関係を求めた。
図4は還元材比とボッシュガス中のH2/COとの関係を示すグラフであり、縦軸が還元材比を、横軸がボッシュガス中のH2/COをそれぞれ示している。
しかし、天然ガスの吹込み比を増やし、ボッシュガス中のH2/COを0.22以上にすると、上記3つのいずれのケースにおいても還元材比低減の効果が顕著に現れている。
また、微粉炭吹込み比100kg/t-pのケースでは、ボッシュガス中のH2/COを0.32にしたときの還元材比は499kg/t-pとなっており、ボッシュガス中のH2/COが0.22未満のときの505kg/t-pに比較すると、6kg/t-p低減できている。
さらに、微粉炭吹込み比150kg/t-pのケースでは、ボッシュガス中のH2/COを0.35にしたときの還元材比は505kg/t-pとなっており、ボッシュガス中のH2/COが0.22未満のときの512kg/t-pに比較すると、7kg/t-p低減できている。
Claims (5)
- 羽口から補助還元材として固体還元材と気体還元材および/または液体還元材を吹込む高炉操業方法において、
物質収支計算によるボッシュガス中のH 2 /COが0.22以上の条件を満たす固体還元材と気体還元材および/または液体還元材の吹込み比の推算値を物質収支計算により求める工程と、
固体還元材と共にH/C(平均的な組成中の水素と炭素のモル比)が1.5以上の液体還元材または気体還元材を同時に吹き込み、かつ下記の高炉炉下部通気抵抗指数Kを減少させるために前記固体還元材および/または気体還元材もしくは液体還元材の吹き込み量を前記推算値に基づいて調整する工程を備えたことを特徴とする高炉操業方法。
高炉炉下部通気抵抗指数K=(Pblast 2-P2)/V1.7
但し、Pblast:送風圧(kg/cm2)
P :ボッシュ部直上の炉壁部静圧(kg/cm2)
V :ボッシュガス量(Nm3/t)
- 羽口から補助還元材として固体還元材と気体還元材および/または液体還元材を吹込む高炉操業方法において、
実操業においてボッシュガスをサンプリングしてガス中のCO、H 2 、H 2 、N 2 の濃度を把握する工程と、
固体還元材と共にH/C(平均的な組成中の水素と炭素のモル比)が1.5以上の液体還元材または気体還元材を同時に吹き込み、かつ下記の高炉炉下部通気抵抗指数Kを減少させるためにボッシュガス中のH 2 /COが0.22以上となるように前記固体還元材および/または気体還元材もしくは液体還元材の吹き込み量を前記サンプリングによって把握したガス濃度に基づいて調整する工程を備えたことを特徴とする高炉操業方法。
高炉炉下部通気抵抗指数K=(P blast 2 -P 2 )/V 1.7
但し、P blast :送風圧(kg/cm 2 )
P :ボッシュ部直上の炉壁部静圧(kg/cm 2 )
V :ボッシュガス量(Nm 3 /t) - 液体還元材として重油、気体還元材として天然ガスを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉操業方法。
- 固体還元材として微粉炭および/または合成樹脂材を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高炉操業方法。
- 前記固体還元材が微粉炭であり、該微粉炭の吹き込み量を150kg/t−p以下にしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高炉操業方法。
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