JP7295251B2 - パターン形成方法、電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
これら電子線及びEUV光を用いたリソグラフィーは、次世代パターン形成技術として位置付けられ、高感度及び高解像性のレジストパターン形成方法が望まれている。
主鎖切断型レジストは、電子線やEUV光等の露光によりポリマー主鎖が切断されて、露光された部分のみが低分子化する性質を有する。したがって、このレジストを使用する場合、露光部及び未露光部それぞれの溶剤に対する溶解速度の差によってパターンが形成される。
また、分岐鎖状のアルキル基を有するカルボン酸エステルであって総炭素数が8以上であるカルボン酸系化合物を主成分とする現像液を用いるパターン形成方法(特許文献3)も知られている。
また、本発明は、電子デバイスの製造方法を提供することも課題とする。
上記レジスト膜を露光する工程と、
上記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程と、を有する、パターン形成方法であって、
上記現像液が、分岐鎖状の炭化水素基を含むアルコール系溶剤を主成分として含む、パターン形成方法。
〔2〕 上記アルコール系溶剤のCLogPが、1.000~2.200である、〔1〕に記載のパターン形成方法。
〔3〕 上記アルコール系溶剤の総炭素数が、5~7である、〔1〕又は〔2〕に記載のパターン形成方法。
〔4〕 上記アルコール系溶剤中に含まれる酸素原子が1個である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔5〕 上記アルコール系溶剤が、3-メチル-2-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、2,2-ジメチル-3-ペンタノール、2,3-ジメチル-3-ペンタノール、4,4-ジメチル-2-ペンタノール、2-メチル-2-ヘキサノール、2-メチル-3-ヘキサノール、5-メチル-2-ヘキサノール、及び5-メチル-1-ヘキサノールからなる群より選ばれる1種以上であり、且つ、上記アルコール系溶剤の含有量が、現像液の全質量に対して90質量%以上である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔6〕 上記アルコール系溶剤は、2級炭素又は3級炭素に水酸基が置換しているアルコール系溶剤である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔7〕 上記アルコール系溶剤の総炭素数が6又は7である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔8〕 上記重合体が、α-メチルスチレン系構造単位と、α-クロロアクリル酸エステル系構造単位とを含む、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔9〕 上記現像する工程が、現像装置を用いて現像する工程であり、
上記現像装置内の上記現像液に接触する領域の一部又は全部がフッ素含有樹脂で形成されている、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔10〕 ポジ型のパターンが形成される、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔11〕 〔1〕~〔10〕のいずれかに記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
また、本発明によれば、電子デバイスの製造方法を提供することもできる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に制限されない。
本明細書中における基(原子団)の表記について、本発明の趣旨に反しない限り、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
置換基は、特に断らない限り、1価の置換基が好ましい。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において表記される2価の基の結合方向は、特に断らない限り制限されない。例えば、「X-Y-Z」なる一般式で表される化合物中の、Yが-COO-である場合、Yは、-CO-O-であってもよく、-O-CO-であってもよい。つまり、上記化合物は「X-CO-O-Z」であってもよく「X-O-CO-Z」であってもよい。
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表す。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線を用いた描画も含む。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV(Extreme Ultraviolet)光)、X線、及び電子線等の活性光線(活性エネルギー線)が挙げられる。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析法により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本発明のパターン形成方法は、
露光により主鎖の結合が切断されて低分子量化する重合体(以下「特定重合体」ともいう。)を含むレジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程(以下「レジスト膜形成工程」ともいう。)と、
上記レジスト膜を露光する工程(以下「露光工程」ともいう。)と、
上記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程(以下「現像工程」ともいう。)と、を有する、パターン形成方法であって、
上記現像液が、分岐鎖状の炭化水素基を含むアルコール系溶剤(以下「特定アルコール系溶剤」ともいう。)を主成分として含む。
以下、本発明のパターン形成方法の各手順について説明する。
なお、本発明のパターン形成方法によれば、通常、現像工程により露光部が除去されたパターン、すなわちポジ型のパターンが形成され得る。
以下において、まず、工程1で使用し得るレジスト組成物及び支持体について説明する。
レジスト組成物は、露光により主鎖の結合が切断されて低分子量化する重合体(特定重合体)を含む。
特定重合体は、電子線等の電離放射線及び紫外線等の短波長の光(例えば、電子線、KrFレーザー、ArFレーザー、及びEUVレーザー等)の照射により主鎖の結合が切断されて低分子量化する重合体である。
特定重合体としては、α-クロロアクリル酸エステル系化合物に由来する構造単位(以下「α-クロロアクリル酸エステル系構造単位」ともいう。)と、α-メチルスチレン系化合物に由来する構造単位(以下「α-メチルスチレン系構造単位」ともいう。)とを含む共重合体が好ましい。つまり、特定重合体は、構造単位(繰り返し単位)として、α-クロロアクリル酸エステル系構造単位と、α-メチルスチレン系化合物に由来する構造単位を含む共重合体であるのが好ましい。
また、上記共重合体は、EVU露光における吸収効率をより向上させる観点から、フッ素原子を含むことも好ましい。フッ素原子はEUV光を吸収しやすい性質を有するため、EVU露光において吸収効率を高める効果がある。上記共重合体がフッ素原子を含む場合、共重合体中にフッ素原子を含む構造単位が別途含まれることが好ましい。言い換えると、上記共重合体がフッ素原子を含む場合、上記共重合体は、α-クロロアクリル酸エステル系構造単位と、α-メチルスチレン系構造単位と、フッ素原子を含む構造単位とを含むのが好ましい。なお、フッ素原子を含むα-クロロアクリル酸エステル系構造単位、及びフッ素原子を含むα-メチルスチレン系構造単位は、フッ素原子を含む構造単位に該当する。
また、上記共重合体中、α-メチルスチレン系構造単位の含有量(α-メチルスチレン系構造単位が複数種含まれる場合はその合計含有量)は特に制限されないが、共重合体の全構造単位に対して、10~90mol%が好ましく、30~70mol%がより好ましい。
上記共重合体中のα-クロロアクリル酸エステル系構造単位及びα-メチルスチレン系構造単位の合計含有量としては、共重合体の全構造単位に対して、90mol%以上が好ましく、98mol%以上がより好ましく、100mol%が好ましい(即ち、共重合体が、α-クロロアクリル酸エステル系構造単位及びα-メチルスチレン系構造単位のみで構成されることが好ましい)。
α-クロロアクリル酸エステル系構造単位は、α-クロロアクリル酸エステル系化合物に由来する構造単位である。
α-クロロアクリル酸エステル系化合物としては、α-クロロアクリル酸無置換アルキルエステル及びα-クロロアクリル酸エステル誘導体が挙げられる。
α-クロロアクリル酸無置換アルキルエステル中の無置換アルキル基としては、炭素数1~10の無置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい(なお、例えば、α-クロロアクリル酸無置換アルキルエステル中の無置換アルキル基がメチル基である場合とは、α-クロロアクリル酸メチルを意図する)。
α-クロロアクリル酸エステル誘導体としては、例えば、α-クロロアクリル酸ハロゲン置換アルキルエステルが挙げられ、具体的には、α-クロロアクリル酸2,2,2-トリクロロエチルエステル、α-クロロアクリル酸2,2,3,3,3-ペンタクロロプロピルエステル、及びα-クロロアクリル酸ペンタクロロフェニルエステル等が挙げられる。
α-クロロアクリル酸エステル系化合物としては、なかでも、α-クロロアクリル酸無置換アルキルエステルが好ましく、α-クロロアクリル酸メチル又はα-クロロアクリル酸エチルがより好ましい。
α-メチルスチレン系構造単位は、α-メチルスチレン系化合物に由来する構造単位である。α-メチルスチレン系化合物としては、α-メチルスチレン及びその誘導体が挙げられる。
α-メチルスチレン誘導体としては、例えば、4-クロロ-α-メチルスチレン、及び3,4-ジクロロ-α-メチルスチレン等が挙げられる。
上記共重合体は、上述したα-クロロアクリル酸エステル系構造単位及びα-メチルスチレン系構造単位以外に、更に、フッ素原子を含む構造単位を含んでいてもよい。
フッ素原子を含む構造単位としては、例えば、上述したα-クロロアクリル酸エステル系構造単位の一部にフッ素原子が導入された構造単位(以下「構造単位F-1」ともいう。)、上述したα-メチルスチレン系構造単位の一部にフッ素原子が導入された構造単位(以下「構造単位F-2」ともいう。)、及び、上記構造単位以外のその他のフッ素原子を有する構造単位(以下「構造単位F-3」ともいう。)が挙げられる。
α-クロロアクリル酸エステル系構造単位の一部にフッ素原子が導入された構造単位(構造単位F-1)としては、α-クロロアクリル酸フッ素置換アルキルエステル系化合物に由来する構造単位が好ましく、具体的には、例えば、以下に示すα-クロロアクリル酸パーフルオロアルキルエステル系化合物に由来する構造単位が挙げられる。
α-メチルスチレン系構造単位の一部にフッ素原子が導入された構造単位(構造単位F-2)としては、例えば、以下に示すフッ素原子を含むα-メチルスチレン系化合物に由来する構造単位が挙げられる。
上記構造単位以外のその他のフッ素原子を有する構造単位(構造単位F-3)としては、α-フルオロアクリル酸アルキルエステル系化合物に由来する構造単位が好ましく、α-フルオロアクリル酸フッ素置換アルキルエステル系化合物に由来する構造単位がより好ましい。構造単位F-3としては、具体的には、以下に示すα-フルオロアクリル酸パーフルオロエステル系化合物に由来する構造単位が挙げられる。
上記共重合体は、上述した構造単位以外に、基板密着性、レジストプロファイル、耐熱性、及び感度等を調節する目的で様々な構造単位を有していてもよい。
上記その他の構造単位に由来するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、ラクトン構造を含む(メタ)アクリレート、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、塩化ビニル、及び酢酸ビニル等が挙げられる。
上記共重合体を含むレジスト組成物としては、例えば、日本ゼオン株式会社製のZEP520Aが挙げられる。
レジスト組成物は、工程1において基板への塗布性を向上させる点で、更に、溶剤を含んでいてもよい。
溶剤としては、上述した特定重合体を溶解可能な溶剤であれば既知の溶剤を使用できる。使用できる溶剤としては、例えばアニソール等が挙げられる。
工程1において用いられるレジスト組成物は、特定重合体を主成分として含む。
ここで「特定重合体を主成分として含む」とは、特定重合体の含有量が、レジスト組成物の全固形分に対して90質量%以上であることを意味する。なお、本明細書において、レジスト組成物における「固形分」とは、レジスト膜を形成する成分を意図し、溶剤は含まれない。また、レジスト膜を形成する成分であれば、その性状が液体状であっても、固形分とみなす。
また、レジスト組成物は、上述した特定重合体及び溶剤の他に、例えば、界面活性剤等の任意成分を含んでいてもよい。
工程1で使用される支持体の材料としては特に制限されず、例えばシリコン、酸化シリコン、及び石英等を使用できる。支持体としては、具体的には、シリコンウェハ、及び、クロム等のメタルハードマスクが積層されたメタルハードマスク付き石英基板が挙げられる。
工程1は、レジスト組成物を用いて、支持体上にレジスト膜を形成する工程である。
レジスト組成物及び支持体については、既述のとおりである。
レジスト組成物中においては、金属原子の含有量が低減されているのが好ましい。
レジスト組成物中の金属原子の含有量を低減する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過による調整方法が挙げられる。フィルター孔径としては、ポアサイズ100nm未満が好ましく、10nm以下がより好ましく、5nm以下が更に好ましい。フィルターとしては、ポリテトラフルオロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のフィルターが好ましい。フィルターは、上記フィルター素材とイオン交換メディアとを組み合わせた複合材料で構成されていてもよい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であってもよい。
また、レジスト組成物中の金属原子の含有量を低減するためには、製造工程における金属不純物の混入を防止することが必要である。製造装置から金属不純物が十分に除去されたかどうかは、製造装置の洗浄に使用された洗浄液中に含まれる金属成分の含有量を測定することで確認できる。
レジスト組成物の製造においては、例えば、上述した樹脂及び界面活性剤等の各種成分を溶剤に溶解させた後、素材が異なる複数のフィルターを用いて濾過(循環濾過でもよい)を行うことが好ましい。例えば、孔径50nmのポリエチレン製フィルター、孔径10nmのナイロン製フィルター、孔径3~5nmのポリエチレン製フィルターを順列に接続し、濾過を行うのが好ましい。濾過は、2回以上の循環濾過を行う方法も好ましい。なお、上記濾過工程は、レジスト組成物中の金属原子の含有量を低減させる効果もある。フィルター間の圧力差は小さい程好ましく、一般的には0.1MPa以下であり、0.05MPa以下であることが好ましく、0.01MPa以下であることがより好ましい。フィルターと充填ノズルの間の圧力差も小さい程好ましく、一般的には0.5MPa以下であり、0.2MPa以下であることが好ましく、0.1MPa以下であることがより好ましい。
また、レジスト組成物の製造においてフィルターを用いて循環濾過を行う方法としては、例えば、孔径50nmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを用いて2回以上循環濾過を行う方法も好ましい。
レジスト組成物はフィルターによって濾過された後、清浄な容器に充填される。容器に充填されたレジスト組成物は、冷蔵保存されることが好ましい。これにより、経時による性能劣化が抑制される。レジスト組成物の容器への充填が完了してから、冷蔵保存を開始するまでの時間は短い程好ましく、一般的には24時間以内であり、16時間以内が好ましく、12時間以内がより好ましく、10時間以内が更に好ましい。保存温度は0~15℃が好ましく、0~10℃がより好ましく、0~5℃が更に好ましい。
レジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する方法としては、レジスト組成物を支持体上に塗布する方法が挙げられる。
レジスト組成物の塗布後、支持体を乾燥し、レジスト膜を形成してもよい。なお、必要により、レジスト膜の下層に、各種下地膜(無機膜、有機膜、反射防止膜)を形成してもよい。
露光の方法としては、形成したレジスト膜に所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射する方法が挙げられる。
活性光線又は放射線としては、紫外光、遠紫外光、極紫外光、X線、及び電子線が挙げられ、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは1~200nmの波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、EUV(13nm)、X線、及び電子ビームが挙げられる。
露光は、紫外線照射装置(アライナー、ステッパー、又はエキシマレーザを光源とする露光装置)、電子線露光装置、及びEUV露光装置を用いて実施されることが好ましい。露光装置としては、なかでも、スポット型ビーム又は可変整形型ビームを照射可能な電子線露光装置及びEUV露光装置が好ましい。
加熱温度は80~150℃が好ましく、80~140℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましい。
加熱時間は10~1000秒が好ましく、10~180秒がより好ましく、30~120秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光機、及び/又は現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
工程3は、現像液を用いて、露光されたレジスト膜を現像し、パターンを形成する工程である。
以下において、まず、工程3で使用される現像液について説明する。
工程3で使用される現像液は、分岐鎖状の炭化水素基を含むアルコール系溶剤(特定アルコール系溶剤)を主成分として含む。
ここで「特定アルコール系溶剤を主成分として含む」とは、特定アルコール系溶剤の含有量が、現像液の全質量に対して80質量%以上であることを意図する。
なお、現像液において、特定アルコール系溶剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。現像液が特定アルコール系溶剤を複数種含む場合、その合計含有量が、現像液の全質量に対して80質量%以上であればよい(言い換えると、現像液の主成分を構成すればよい)。
また、現像液は、主成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、界面活性剤等が挙げられる。
特定アルコール系溶剤の含有量は、現像液の全質量に対して90質量%以上であることが好ましい。なお、特定アルコール系溶剤の含有量の上限値としては、100質量%以下が好ましい。
特定アルコール系溶剤としては、なかでも、第二級アルコール又は第三級アルコールが好ましい。第二級アルコール又は第三級アルコール系溶剤を使用することで、水酸基に起因する水素結合による相互作用が働きにくくなる。その結果、上記アルコール系溶剤とパターン間の相互作用が抑制されてパターン倒れが生じにくくなる。つまり、パターンの解像性がより優れる。
分岐鎖状の炭化水素基としては、なかでも、分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
また、特定アルコール系溶剤中に含まれる酸素原子は1個が好ましい。すなわち、特定アルコール系溶剤は、1個の水酸基に含まれる酸素原子以外のその他の酸素原子を含まないことが好ましい。
特定アルコール系溶剤が水酸基に含まれる酸素原子以外のその他の酸素原子を含む場合、上記その他の酸素原子(より詳細には、その他の酸素原子を含むエーテル基又はエステル基)と水酸基との間に水素結合に起因する相互作用が発生しやすくなる。特定アルコール系溶剤中に含まれる酸素原子を1個とすることで、上記相互作用を抑制できる。上記相互作用が抑制されると、形成されるパターンは解像性により優れ、且つ、露光部にて発生する低分子量化した重合体成分の溶解性がより優れる。更に、現像後のパターンの乾燥工程時における揮発性がより優れる。
なお、括弧内における「ClogP」は、後述する方法により算出される数値である。また、「bp」とは、常圧における沸点(℃)を表す。
特定アルコール系溶剤としては、上記のなかでも2級又は3級アルコールが好ましく、具体的には、3-メチル-2-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、2,2-ジメチル-3-ペンタノール、2,3-ジメチル-3-ペンタノール、4,4-ジメチル-2-ペンタノール、2-メチル-2-ヘキサノール、2-メチル-3-ヘキサノール、及び5-メチル-2-ヘキサノールからなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。
特定アルコール系溶剤のCLogPが1.000以上の場合とは、親水性が比較的低く、低極性であることを意味する。特定アルコール系溶剤の極性が低くなるほど(CLogPが1.000以上の場合)、特定アルコール系溶剤間の相互作用、及び、パターンと特定アルコール系溶剤との間の相互作用が弱くなる傾向がある。この結果、現像後の乾燥の際にパターン間に毛細管力が発生し難くなり、パターン倒れが起こり難くなる。
このため、CLogPの下限値は1.000以上が好ましく、1.100以上がより好ましく、1.200以上が更に好ましい。
特定アルコール系溶剤のCLogPの上限値としては、2.200以下が好ましい。
特定アルコール系溶剤のCLogPが2.200以下の場合、現像装置内で使用される、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンーポリプロピレン樹脂、及びフッ素含有樹脂等の絶縁性の高い材料で製造された配管チューブ、バルブ、及びフィルター等の部材と特定アルコール系溶剤とが接触した際、静電気の発生が抑制され、且つ発生した静電気が特定アルコール系溶剤に滞留し難い。静電気を抑制できる結果として、配管内での放電による接液部材の損傷及び/又は液の汚染等のリスクを防止できる。
さらに、配管内での放電による接液部材の損傷及び/又は液の汚染等のリスクをより防止する観点から、CLogPの上限値としては、2.000以下がより好ましく、1.800以下が更に好ましい。
なお、「CLogP」は、ChemDraw(version.16、PerkinElmer社製)により計算できる。
現像工程は、記現像方式に準拠した現像装置を用いて実施されることが好ましい。
現像装置としては、現像液の金属汚染等を生じないようにするため、現像装置内の現像液に接触する領域(例えば、各種配管チューブ、バルブ、及び現像液収容容器等)の一部又は全部がポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン-ポリプロピレン樹脂、及びフッ素含有樹脂等の樹脂で形成されていることが好ましい。つまり、現像装置内の現像液に接触する領域に該当する部材が、上述した樹脂で形成されていることが好ましい。上記樹脂としては、なかでも、フッ素含有樹脂が好ましい。フッ素含有樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン-エチレン共重合体樹脂(ETFE)、三フッ化塩化エチレン-エチレン共重合樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、三フッ化塩化エチレン共重合樹脂(PCTFE)、及びフッ化ビニル樹脂(PVF)等が挙げられる。
現像時間としては、例えば、5~200秒の範囲で適宜調整することが好ましく、5~60秒がより好ましい。
現像温度としては、例えば、18~30℃の範囲で適宜調整することが好ましく、23℃前後がより好ましい。
上記パターン形成方法は、工程3の後に、リンス液を用いて洗浄する工程を含むことが好ましい。
現像液を用いて現像する工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、欠陥抑制と解像性能の両立できる点で、現像液よりも低沸点且つ低溶解性の溶剤を使用するのが好ましい。溶剤としては、水、有機溶剤、及びその混合液が使用できる。また、リンス液は、界面活性剤を含んでいてもよい。リンス液としては、具体的には、イソプロピルアルコール、イソプロピルアルコールと水の混合液等、及び、界面活性剤を含む水溶液等が使用できる。
また、本発明のパターン形成方法は、リンス工程の後に加熱工程を含んでいてもよい。本工程により、ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。また、本工程により、レジストパターンがなまされ、パターンの表面荒れが改善される効果もある。リンス工程の後の加熱工程は、通常40~250℃(好ましくは90~200℃)で、通常10秒間~3分間(好ましくは30~120秒間)行う。
基板(又は下層膜及び基板)の加工方法は特に制限されないが、工程3で形成されたパターンをマスクとして、基板(又は下層膜及び基板)に対してドライエッチングを行うことにより、基板にパターンを形成する方法が好ましい。
ドライエッチングは、1段のエッチングであっても、複数段からなるエッチングであってもよい。エッチングが複数段からなるエッチングである場合、各段のエッチングは同一の処理であっても異なる処理であってもよい。
エッチングは、公知の方法をいずれも用いることができ、各種条件等は、基板の種類又は用途等に応じて、適宜、決定される。例えば、国際光工学会紀要(Proc.of SPIE)Vol.6924,692420(2008)、特開2009-267112号公報等に準じて、エッチングを実施できる。また、「半導体プロセス教本 第四版 2007年刊行 発行人:SEMIジャパン」の「第4章 エッチング」に記載の方法に準ずることもできる。
形成されるパターンがトレンチ(溝)パターン状又はコンタクトホールパターン状である場合、パターン高さをトレンチ幅又はホール径で割った値で求められるアスペクト比が、4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましい。
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。上記電子デバイスとしては、電気電子機器(家電、OA(Offivce Automation)、メディア関連機器、光学用機器、及び通信機器等)に、好適に搭載されるものである。
〔レジスト膜形成工程〕
まず、6インチシリコンウェハ基板に、有機下地膜形成用組成物(AL412、ブリューワーサイエンス社製)を20nmの厚さで塗布して塗膜を形成した。次いで、上記塗膜を205℃で60秒間ベークして、有機下地膜付きのシリコン基板を準備した。
次いで、ZEP520A(日本ゼオン株式会社製主査切断型レジスト)をアニソールで希釈したレジスト組成物を用意した。このレジスト組成物を上述した有機下地膜付きのシリコン基板上にスピンコートにより塗布して塗膜を形成した。この塗膜を180℃で60秒間ベークすることにより、厚さ30nmのレジスト膜をシリコンウェハ上に形成した。
作製したレジスト膜付きシリコンウェハに対して露光工程を実施した。具体的には、EB露光装置(ELS-G100、加速電圧100kV、エリオニクス製)を使用し、ハーフピッチ(ライン幅)が15~50nmまでの複数のラインアンドスペースパターン(ライン/スペース=1/1)を同一のレジスト膜上に描画した。
次いで、露光後のレジスト膜の現像を実施した。現像液としては、表1の溶剤1~14を各々使用した。現像条件は以下のとおりである。
現像液吐出時間:10秒
現像液吐出時のウエハー回転数:500回転
現像液吐出後、直ちにスピンドライを開始。
スピンドライ回転数:2000回転
スピンドライ時間:30秒
なお、表中の「CLogP」は、ChemDraw(version.16、PerkinElmer社製)により計算した数値である。
また、表中の「bp」は、常圧における沸点(℃)を表す。
作製したハーフピッチ(ライン幅)が15~50nmまでの複数のラインアンドスペースパターンを、測長走査型電子顕微鏡(SEM((株)日立製作所S-9380II))を使用してパターン上部から観察して解像性の評価を実施した。具体的には、パターン倒れに起因する欠陥が生じないラインアンドスペースパターンを形成できる最少のライン幅(nm)により解像性を評価した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
下記評価基準に基づいて、現像液の静電気抑制性を評価した。
溶剤のCLogP値が2.200以下である場合:問題なし(判定A)
溶剤のCLogP値が2.200を超える場合:懸念あり(判定B)
また、実施例1~5の対比から、アルコール系溶剤の総炭素数が6又は7である場合、パターンの解像性がより優れることが明らかである。
また、実施例2~6の対比から、アルコール系溶剤が二級アルコール又は三級アルコールある場合、パターンの解像性がより優れることが明らかである。
一方で、分岐鎖構造を含む炭化水素を有さないアルコール系溶剤である溶剤7、8、11、12、13、14を現像液とする比較例1,2、5、6、7及び8、並びに、非アルコール系溶剤である溶剤9、10を現像液とする比較例3及び4では、形成されるパターンの解像性が所望の要求を満たさないことが分かる。
Claims (9)
- 電子線又は紫外線の照射によって主鎖の結合が切断されて低分子量化する重合体を含むレジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を電子線又は紫外線の照射によって露光する工程と、
前記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程と、を有する、パターン形成方法であって、
前記重合体が、α-メチルスチレン系構造単位と、α-クロロアクリル酸エステル系構造単位とを含み、
前記現像液が、分岐鎖状の炭化水素基を含むアルコール系溶剤を主成分として含み、
前記アルコール系溶剤は、CLogPが1.000以上であり、且つ、総炭素数が5~7である、パターン形成方法。 - 前記アルコール系溶剤のCLogPが、1.000~2.200である、請求項1に記載のパターン形成方法。
- 前記アルコール系溶剤中に含まれる酸素原子が1個である、請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
- 前記アルコール系溶剤が、3-メチル-2-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、2,2-ジメチル-3-ペンタノール、2,3-ジメチル-3-ペンタノール、4,4-ジメチル-2-ペンタノール、2-メチル-2-ヘキサノール、2-メチル-3-ヘキサノール、5-メチル-2-ヘキサノール、及び5-メチル-1-ヘキサノールからなる群より選ばれる1種以上であり、且つ、前記アルコール系溶剤の含有量が、現像液の全質量に対して90質量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記アルコール系溶剤は、2級炭素又は3級炭素に水酸基が置換しているアルコール系溶剤である、請求項1~4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記アルコール系溶剤の総炭素数が6又は7である、請求項1~5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記現像する工程が、現像装置を用いて現像する工程であり、
前記現像装置内の前記現像液に接触する領域の一部又は全部がフッ素含有樹脂で形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。 - ポジ型のパターンが形成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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