JP7288175B2 - 積層構造体及び積層構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
第1節では、本発明の実施形態(第1の実施形態)に係る積層構造体1の構成について説明する。図1に示すように、積層構造体1は、基材層2と被覆層3とを備える。積層構造体1としては、看護分野(褥瘡予防サポーター、尖足予防サポーター、子供用シーネなど)、スポーツ用途(シューズのインソールなど)などで用いられるものが挙げられる。積層構造体1は、軟性材料で形成された被覆層3を設けることによって使用感が高められている。積層構造体1は、被覆層3を生体(例:人体)に接触させて利用する用途に好適である。実施形態では、積層構造体1がシューズのインソールである。
基材層2は被覆層3が形成される層であり、基材層2と被覆層3とは密着している。基材層2は発泡体で構成されており、基材層2の発泡体には、被覆層3を構成する樹脂が入り込む気泡が形成されている。基材層2は、多数の気泡を有する発泡体で構成することができ、また、多数の気泡を有するスポンジ体で構成することもできる。基材層2を構成する樹脂材料は特に限定されるものではない。基材層2の気泡構造は、連続気泡構造であってもよいし、独立気泡構造であってもよい。連続気泡構造の方が独立気泡構造よりも樹脂が奥に入り込みやすく、独立気泡構造の方が連続気泡構造よりも強度を高めやすい。
被覆層3は、基材層2の少なくとも一部を被覆する。被覆層3は、基材層2を構成する樹脂材料とは異なる樹脂材料で構成されている。被覆層3は、造形物10として、図2A~図2Cに示すように、2種類の線状構造体(後述する線状構造体4,5)が積層されて構成されている。
第2節では、積層構造体1の柔軟性に係る特徴的な構造について説明する。図4Bに示す通り、3Dプリンタ(不図示)における樹脂(例えば熱可塑性樹脂)が吐出されるノズルNZ(図6A及び図6B参照)の出口形状が真円状であっても、積層後の線状樹脂4b,5bの断面形状が重力の影響で積層方向に潰れて、略楕円形状となる。ここで、当該楕円形状の断面を有する線状樹脂4b,5bにおける積層方向の厚さをtと定義し、同一層内で隣り合う線状樹脂4b,5b間の距離をdと定義すると、d>tを満たすことに留意されたい。このような構成を有することで高い柔軟性を確保している。
第3節では、本実施形態に係る積層構造体1の製造方法について説明する。積層構造体1の製造方法は、特に限定されず、射出成形や3Dプリンタ造形などの方法によって形成可能である。射出成形の場合、形状記憶材料と軟性材料と用いた二色成形によって基材層2と被覆層3を一体成形することができる。また、基材層2と被覆層3の一方を射出成形で形成し、その上に他方を3Dプリンタ造形で形成してもよい。さらに、基材層2と被覆層3の両方を3Dプリンタ造形によって形成してもよい。3Dプリンタ造形では、積層構造体1が利用者ごとに設定された形状になるように形成可能であるので、基材層2と被覆層3の少なくとも一方は、3Dプリンタ造形によって形成することが好ましい。
第4節では、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では線状樹脂4b,5bの延在方向が層毎に縦と横の2方向で構成されている積層構造体1(線状構造体4,5)について説明したが、第2の実施形態では、層毎の延在方向が3方向であるような線状樹脂4b,5b,6bから構成されている積層造形対1(線状構造体4,5,6)を実施する。かかる場合の積層構造体1を図7A、図7Bに示す。図7Aが平面模式図、図6Bが端面模式図である。図7A、図7Bでは線状樹脂4b,5bは層毎に、図7A上で横方向である線状樹脂4b、左に60度回転した線状樹脂5b、左に120°回転した線状樹脂6bと、隣接する層毎に60度異なる方向に配置されている。さらに、図7Bから明らかなように、積層構造体1の全積層数をnとしたときに、積層方向に飛び出さない範囲、すなわち1≦k≦n-3である第k番目の層に関して、第k番目の層と第k+3番目の層における線状樹脂4b,5bの延在方向が同一である点に留意されたい。なお、図7A、図7Bでは層内における延在方向と垂直である方向に対する線状樹脂4b,5bの位置は第k番目の層と第k+3番目の層で同一の場合を示しているが、これに限定されるものではない。
以上のように、本実施形態によれば、樹脂製の3次元積層構造体において、より柔軟な積層構造体1を実施することができる。
2 :基材層
2a :横方向
3 :被覆層
3a :孔
4 :線状構造体
4a :溝
4b :線状樹脂
4c :直線部
5 :線状構造体
5a :溝
5b :線状樹脂
5c :直線部
6 :線状構造体
6b :線状樹脂
10 :造形物
BR :ブリッジ部
NZ :ノズル
Claims (9)
- 第1~第3層を含む複数の層が積層された積層構造体であって、
前記層は、それぞれ並列する複数の線状樹脂からなり、
同一層内で隣り合う2つの前記線状樹脂の間隔をd、前記線状樹脂の積層方向の厚さをtと定義すると、d>tを満たし、
前記線状樹脂を構成する材料のショアA硬度が50以下であり、
第2層は、第1層上に形成された層であり、
第3層は、第2層上に形成された層であり、
第1層を構成する線状樹脂と、第3層を構成する線状樹脂は、互いに平行に延在し、
第3層を構成する線状樹脂は、第1層を構成する線状樹脂の真上に配置され、
第1層を構成する線状樹脂と、第2層を構成する線状樹脂は、互いに異なる方向に延在する、
積層構造体。 - 請求項1に記載の積層構造体において、
1<d/t≦6を満たす、
積層構造体。 - n個の層が積層された積層構造体であって、
前記層は、それぞれ並列する複数の線状樹脂からなり、
1≦k<k+a≦nかつa≧3を満たす自然数k、aに対して、
第k番目の前記層及び第k+a番目の前記層の前記線状樹脂の延在方向が一致し、かつ第k番目の前記層及び第k+b番目(1≦b≦a-1)の前記層の前記線状樹脂の延在方向が一致しないように、前記各層が積層され、
前記線状樹脂を構成する材料のショアA硬度が50以下である、積層構造体。 - 請求項3に記載の積層構造体において、
a=3であり、
互いに隣接する前記層の前記線状樹脂の延在方向が略60度をなすように、前記各層が積層された、
積層構造体。 - 請求項1~請求項4の何れか1つに記載の積層構造体において、
前記線状樹脂を構成する材料の破断点伸度が150%以上である、
積層構造体。 - 第1~第3層を含む複数の層が積層された積層構造体の製造方法であって、
造形工程を備え、
前記造形工程では、ノズルを走査させながら前記ノズルから樹脂を吐出させ、それぞれ並列する複数の線状樹脂によって前記層を形成し、ここで、
同一層内で隣り合う2つの前記線状樹脂の間隔をd、前記線状樹脂の積層方向の厚さをtと定義すると、d>tを満たし、
前記線状樹脂を構成する材料のショアA硬度が50以下であり、
第2層は、第1層上に形成された層であり、
第3層は、第2層上に形成された層であり、
第1層を構成する線状樹脂と、第3層を構成する線状樹脂は、互いに平行に延在し、
第3層を構成する線状樹脂は、第1層を構成する線状樹脂の真上に配置され、
第1層を構成する線状樹脂と、第2層を構成する線状樹脂は、互いに異なる方向に延在する、
積層構造体の製造方法。 - 複数の層が積層された積層構造体の製造方法であって、
造形工程を備え、
前記造形工程では、ノズルを走査させながら前記ノズルから樹脂を吐出させ、それぞれ並列する複数の線状樹脂によって前記層を形成し、ここで、前記積層構造体は、
1≦k<k+a≦nかつa≧3を満たす自然数k、aに対して、
第k番目の前記層及び第k+a番目の前記層の前記線状樹脂の延在方向が一致し、かつ第k番目の前記層及び第k+b番目(1≦b≦a-1)の前記層の前記線状樹脂の延在方向が一致しないように、前記各層が積層され、
前記線状樹脂を構成する材料のショアA硬度が50以下である、
積層構造体の製造方法。 - 請求項6又は請求項7に記載の製造方法において、
前記造形工程では、直下の層に前記線状樹脂が存在する場所での前記樹脂の吐出量に比して、直下の層が空隙である場所での前記樹脂の吐出量を少なくする、
積層構造体の製造方法。 - 請求項6~請求項8の何れか1つに記載の製造方法において、
前記線状樹脂を構成する材料の破断点伸度が150%以上である、
積層構造体の製造方法。
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