JP7285205B2 - 芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエーテル組成物、シート及び芳香族ポリエーテルの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエーテル組成物、シート及び芳香族ポリエーテルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、充填材を含有させることにより優れた機械的強度を発揮できる芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエーテル組成物、シート及び芳香族ポリエーテルの製造方法に関する。
代表的な芳香族ポリエーテルとして、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が知られている。
また、特許文献1に開示された特定構造を有する芳香族ポリエーテル(以下、「芳香族ポリエーテルA’」ともいう。)は、PEEKに比べてガラス転移温度(Tg)が高い傾向を示し、耐熱性に優れる。
特開平2-255833号公報
特許文献1の芳香族ポリエーテルA’には、ガラス繊維等のような充填材の含有時における機械的強度をさらに向上する観点で、さらなる改善の余地が見出された。
本発明の目的は、充填材を含有させることにより優れた機械的強度を発揮できる芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエーテル組成物、シート及び芳香族ポリエーテルの製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下の芳香族ポリエーテル等が提供される。
1.下記式(1A)~(4A)で表される構造単位を含む、芳香族ポリエーテル。
Figure 0007285205000001
2.前記式(1A)で表される構造単位と、前記式(2A)で表される構造単位とのmol比([1A]:[2A])が、99:1~1:99である、1に記載の芳香族ポリエーテル。
3.前記式(3A)で表される構造単位と、前記式(4A)で表される構造単位とのmol比([3A]:[4A])が、99:1~1:99である、1又は2に記載の芳香族ポリエーテル。
4.メルトフローレートが0.2~110g/10minである、1~3のいずれかに記載の芳香族ポリエーテル。
5.1~4のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルを含む、芳香族ポリエーテル組成物。
6.充填材を含む、5に記載の芳香族ポリエーテル組成物。
7.前記充填材が、ガラス繊維、炭素繊維及び窒化ホウ素からなる群から選択される1以上である、6に記載の芳香族ポリエーテル組成物。
8.前記充填材がガラス繊維である、6又は7に記載の芳香族ポリエーテル組成物。
9.クロスと、前記クロスに含浸された1~4のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルとを含む、シート。
10.前記クロスが一方向材である、9に記載のシート。
11.前記クロスが、ガラス繊維及び炭素繊維からなる群から選択される1以上を含む、9又は10に記載のシート。
12.下記式(1B)~(4B)で表される化合物を反応させることを含む、芳香族ポリエーテルの製造方法。
Figure 0007285205000002
(前記式(1B)中、Xはハロゲン原子を表す。2つのXは同一であるか又は互いに異なる。
前記式(2B)中、Zはハロゲン原子を表す。2つのZは同一であるか又は互いに異なる。)
本発明によれば、充填材を含有させることにより優れた機械的強度を発揮できる芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエーテル組成物、シート及び芳香族ポリエーテルの製造方法が提供できる。
以下に発明を実施するための形態について説明する。尚、以下において記載される本発明の個々の形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の形態である。
(芳香族ポリエーテル)
本発明の一態様に係る芳香族ポリエーテル(以下、「芳香族ポリエーテルA」ともいう。)は、下記式(1A)~(4A)で表される構造単位(以下、「繰り返し単位」ともいう。)を含む。
Figure 0007285205000003
芳香族ポリエーテルAは、充填材を含有させることにより優れた機械的強度(例えば引張強度)を発揮できる。
特許文献1の芳香族ポリエーテルA’は、式(1A)~(3A)で表される構造単位を含むが、式(4A)で表される構造単位を含まない。本態様の一実施形態に係る芳香族ポリエーテルAは、芳香族ポリエーテルA’に比べ、充填材の含有時における引張強度を向上できる。本態様の一実施形態に係る芳香族ポリエーテルAは、芳香族ポリエーテルA’における式(3A)で表される構造単位の一部が、式(4A)で表される構造単位に置き換わっていることにより、芳香族ポリエーテルA’に比べ、充填材の含有時における引張強度を向上できる。
芳香族ポリエーテルAにおいて、式(1A)で表される構造単位と、式(2A)で表される構造単位とのmol比([1A]:[2A])は格別限定されない。
一実施形態において、mol比([1A]:[2A])は、99:1~1:99である。
mol比([1A]:[2A])は、60:40~80:20であることが好ましい。これにより、得られる芳香族ポリエーテルAは、良好な結晶性を示し、かつ融点(Tm)が過剰に高くなることが防止される。
式(1A)で表される構造単位及び式(2A)で表される構造単位の合計に対して、式(2A)で表される構造単位の割合が40mol%以下であることによって、得られる芳香族ポリエーテルAが良好な結晶性を示す。式(1A)で表される構造単位及び式(2A)で表される構造単位の合計に対して、式(2A)で表される構造単位の割合が20mol%以上であることによって、得られる芳香族ポリエーテルAの融点(Tm)が過剰に高くなることが防止される。
芳香族ポリエーテルAにおいて、式(3A)で表される構造単位と、式(4A)で表される構造単位とのmol比([3A]:[4A])は格別限定されない。
一実施形態において、mol比([3A]:[4A])は、99:1~1:99である。
mol比([3A]:[4A])は、95:5~75:25であることが好ましい。これにより、得られる芳香族ポリエーテルAは、良好な結晶性を示す。
芳香族ポリエーテルAにおいて、式(1A)で表される構造単位及び式(2A)で表される構造単位の合計と、式(3A)で表される構造単位及び式(4A)で表される構造単位の合計とのmol比([1A]+[2A]:[3A]+[4A])は格別限定されない。
一実施形態において、mol比([1A]+[2A]:[3A]+[4A])は、47:53~53:47である。
mol比([1A]+[2A]:[3A]+[4A])は、48:52~52:48であることが好ましい。
式(1A)で表される構造単位及び式(2A)で表される構造単位の合計のmol数は、式(3A)で表される構造単位及び式(4A)で表される構造単位の合計のmol数より大きくても、小さくても、同じでもよい。
一実施形態に係る芳香族ポリエーテルAにおいて、式(1A)で表される構造単位には、式(3A)で表される構造単位又は式(4A)で表される構造単位が連結されている。
一実施形態に係る芳香族ポリエーテルAにおいて、式(2A)で表される構造単位には、式(3A)で表される構造単位又は式(4A)で表される構造単位が連結されている。
一実施形態に係る芳香族ポリエーテルAは、下記式(5A)~(8A)で表される構造単位のうち1種以上を含む。
Figure 0007285205000004
式(5A)で表される構造単位は、式(1A)で表される構造単位と式(3A)で表される構造単位との連結体からなる構造単位である。
式(6A)で表される構造単位は、式(1A)で表される構造単位と式(4A)で表される構造単位との連結体からなる構造単位である。
式(7A)で表される構造単位は、式(2A)で表される構造単位と式(3A)で表される構造単位との連結体からなる構造単位である。
式(8A)で表される構造単位は、式(2A)で表される構造単位と式(4A)で表される構造単位との連結体からなる構造単位である。
一実施形態に係る芳香族ポリエーテルAは、式(6A)及び(8A)で表される構造単位のうち1種以上を含む。
一実施形態に係る芳香族ポリエーテルAは、式(5A)~(8A)で表される構造単位を含む。
一実施形態に係る芳香族ポリエーテルAにおいて、式(1A)で表される構造単位又は式(2A)で表される構造単位が分子鎖の1以上の末端に配置される。この場合、該構造単位に結合する末端構造は例えばハロゲン原子等であり得る。ハロゲン原子は格別限定されず、例えばF、Cl等であり得る。
一実施形態に係る芳香族ポリエーテルAにおいて、式(3A)で表される構造単位又は式(4A)で表される構造単位が分子鎖の1以上の末端に配置される。この場合、該構造単位に結合する末端構造は例えばH等であり得る(末端構造がHであるとき、該構造単位中のOと共に水酸基が形成され得る。)。
芳香族ポリエーテルAの末端構造は、例えば、上述したハロゲン原子や水酸基がH等に置き換わった構造等であってもよい。なお、末端構造はこれらの例に限定されず、任意の構造であり得る。
一実施形態において、芳香族ポリエーテルAは、式(1A)~(4A)で表される構造単位以外の他の構造単位を含まない。但し、分子鎖の末端には上述したように末端構造を有することができる。
一実施形態において、芳香族ポリエーテルAは、本発明の効果を損なわない範囲で、式(1A)~(4A)で表される構造単位以外の他の構造単位を含む。
一実施形態において、芳香族ポリエーテルAのメルトフローレート(MFR)は、0.2g/10分以上、1g/10分以上又は2g/10分以上であり、また、110g/10分以下、70g/10分以下又は60g/10分以下である。上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
さらに、一実施形態において、芳香族ポリエーテルAのメルトフローレート(MFR)は、0.2g/10分以上110g/10分以下であることが好ましく、1g/10分以上70g/10分以下であることがより好ましく、2g/10分以上60g/10分以下であることが最も好ましい。これにより、芳香族ポリエーテルAを押出成形や射出成形などに好適な粘度範囲にできる効果が得られる。
芳香族ポリエーテルAのメルトフローレート(MFR)は、実施例に記載の方法によって測定される値である。
一実施形態において、芳香族ポリエーテルAのガラス転移温度(Tg)は、170℃以上又は173℃以上であり、また、180℃以下又は177℃以下である。上限及び下限は任意に組み合わせることができる。これにより、芳香族ポリエーテルAは耐熱性に優れ、特に長期耐熱性に優れる。
一実施形態において、芳香族ポリエーテルAの融点(Tm)は、330℃以上、340℃以上又は350℃以上であり、また、390℃以下、380℃以下又は370℃以下である。上限及び下限は任意に組み合わせることができる。これにより、芳香族ポリエーテルAは耐熱性および成形性に優れ、特に短期耐熱性に優れる。
なお、「長期耐熱性」は、一般的には数万~10万時間というスケールで熱変形しにくい性質を意味し、製品を長期使用した際の熱変形防止性に対応し得る。「短期耐熱性」は、一般的に数分~数時間というスケールで変形しにくい性質を意味し、製品に一時的な負荷が加わった際の熱変形防止性に対応し得る。
一実施形態において、芳香族ポリエーテルAの結晶化温度(Tc)は、220℃以上、230℃以上又は240℃以上であり、また、310℃以下、300℃以下又は290℃以下である。上限及び下限は任意に組み合わせることができる。これにより、結晶化速度の制御が可能となる効果が得られる。
芳香族ポリエーテルAのガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)及び結晶化温度(Tc)は、実施例に記載の方法により測定される値である。
一実施形態において、芳香族ポリエーテルAの融点(Tm)と結晶化温度(Tc)との差(Tm-Tc)は、40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上又は60℃以上である。上記の差(Tm-Tc)の上限は格別限定されず、例えば120℃以下である。
固体状態の芳香族ポリエーテルAは、融点(Tm)以上の温度まで加熱されることによって溶融状態になる。溶融状態の芳香族ポリエーテルAは、結晶化温度(Tc)以下の温度まで冷却されることによって固体状態になる。ここで、結晶化温度(Tc)と融点(Tm)との差(Tc-Tm)が大きい程、芳香族ポリエーテルAの溶融状態からの冷却過程において、溶融状態をより長く継続できる。これにより、3Dプリンター等を用いた造形(成形)方法や印刷方法等において、ポリエーテルAを含む複数の要素(例えばドット)間が十分に合一され、これらの要素によって形成されるオブジェクト(印刷物や造形物等)を強固に一体化できる。
一実施形態において、芳香族ポリエーテルAは、ハロゲン原子を含む。一実施形態において、芳香族ポリエーテルAは、Cl及びFからなる群から選択される1以上を含む。芳香族ポリエーテルAのCl及びFの含有量は、それぞれ実施例に記載の方法(燃焼イオンクロマトグラフィー)により測定することができる。この場合、Cl及びFの含有量は、芳香族ポリエーテルAの分子構造を構成するCl及びFだけでなく、芳香族ポリエーテルAに混合されているCl及びF(例えば、芳香族ポリエーテルA中に残留している、モノマー由来のCl及びF)も含む。
一実施形態において、芳香族ポリエーテルAのCl含有量は、2μmol/g以上、30μmol/g以上又は40μmol/g以上であり、また、200μmol/g以下、180μmol/g以下又は150μmol/g以下である。上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
一実施形態において、芳香族ポリエーテルAのK含有量は、0μmol/g以上、1μmol/g以上又は2μmol/g以上であり、また、50μmol/g以下、30μmol/g以下又は10μmol/g以下である。上限及び下限は任意に組み合わせることができる。芳香族ポリエーテルAのK含有量は、実施例に記載の方法により測定される値である。
一実施形態において、芳香族ポリエーテルAにおけるCl含有量とK含有量との差(Cl含有量-K含有量)が正の値として大きい程、Clのうち芳香族ポリエーテルAの末端に結合しているものの割合が多い(ClのうちKとの塩として存在しているものの割合が少ない)と推定され、本発明の効果が発揮され易くなる。芳香族ポリエーテルAにおけるF含有量とK含有量との差(F含有量-K含有量)についても同様である。
一実施形態において、上記の差(Cl含有量-K含有量)は、2μmol/g以上、30μmol/g以上又は40μmol/g以上であり、また、200μmol/g以下、180μmol/g以下又は150μmol/g以下であり得る。上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
(芳香族ポリエーテルの製造方法)
本発明の一態様に係る芳香族ポリエーテルの製造方法は、下記式(1B)~(4B)で表される化合物を反応させることを含む。
Figure 0007285205000005
(式(1B)中、Xはハロゲン原子を表す。2つのXは同一であるか又は互いに異なる。
式(2B)中、Zはハロゲン原子を表す。2つのZは同一であるか又は互いに異なる。)
式(1B)~(4B)で表される化合物は、芳香族ポリエーテルAを重合するためのモノマーである。
式(1B)~(4B)で表される化合物を反応させる工程を経て、これら化合物(モノマー単位)の共重合体として、芳香族ポリエーテルAを得ることができる。
式(1B)中、Xで表されるハロゲン原子は格別限定されず、例えばF、Cl等であり得る。
一実施形態において、式(1B)で表される化合物として、2つのXがClである化合物を少なくとも用いる。
一実施形態において、式(1B)で表される化合物の合計を基準として、2つのXがClである化合物の割合は、例えば、50mol%以上、60mol%以上、70mol%以上、80mol%以上、90mol%以上、95mol%以上、97mol%以上、99mol%以上、99.5mol%以上又は100mol%である。
式(2B)中、Zで表されるハロゲン原子は格別限定されず、例えばF、Cl等であり得る。
一実施形態において、式(2B)で表される化合物として、2つのZがClである化合物を少なくとも用いる。
一実施形態において、式(2B)で表される化合物の合計を基準として、2つのZがClである化合物の割合は、例えば、50mol%以上、60mol%以上、70mol%以上、80mol%以上、90mol%以上、95mol%以上、97mol%以上、99mol%以上、99.5mol%以上又は100mol%である。
式(1B)で表される化合物の合計を基準としたときの、2つのXがClである化合物の割合、及び、式(2B)で表される化合物の合計を基準としたときの、2つのZがClである化合物の割合が大きい程、得られる芳香族ポリエーテルAの融点(Tm)と結晶化温度(Tc)との差(Tm-Tc)が大きくなり、溶融状態からの冷却過程において、溶融状態を長く継続できる。
式(1B)~(4B)で表される化合物は、容易に合成でき、また市販品としても入手可能である。
反応に供される式(1B)で表される化合物と、式(2B)で表される化合物とのmol比([1B]:[2B])は格別限定されない。
一実施形態において、mol比([1B]:[2B])は、99:1~1:99である。
mol比([1B]:[2B])は、60:40~80:20であることが好ましい。これにより、得られる芳香族ポリエーテルAは、良好な結晶性を示し、かつ融点が過剰に高くなることが防止される。
式(1B)で表される化合物及び式(2B)で表される化合物の合計に対して、式(2B)で表される化合物の割合が40mol%以下であることによって、得られる芳香族ポリエーテルAが良好な結晶性を示す。式(1B)で表される化合物及び式(2B)で表される化合物の合計に対して、式(2B)で表される化合物の割合が20mol%以上であることによって、得られる芳香族ポリエーテルAの融点が過剰に高くなることが防止される。
反応に供される式(3B)で表される化合物と、式(4B)で表される化合物とのmol比([3B]:[4B])は格別限定されない。
一実施形態において、mol比([3B]:[4B])は、99:1~1:99である。
mol比([3B]:[4B])は、95:5~75:25であることが好ましい。これにより、得られる芳香族ポリエーテルAは、良好な結晶性を示す。
反応に供される式(1B)で表される化合物及び式(2B)で表される化合物の合計と、式(3B)で表される化合物及び式(4B)で表される化合物の合計とのmol比([1B]+[2B]:[3B]+[4B])は格別限定されない。mol比([1B]+[2B]:[3B]+[4B])は、得られる芳香族ポリエーテルAの分子量を制御する等の目的で適宜調整できる。
一実施形態において、mol比([1B]+[2B]:[3B]+[4B])は、47:53~53:47である。
mol比([1B]+[2B]:[3B]+[4B])は、48:52~52:48であることが好ましい。これにより、得られる芳香族ポリエーテルAを、成形に好適な流動性を示す分子量に制御可能である。
式(1B)で表される化合物及び式(2B)で表される化合物の合計のmol数は、式(3B)で表される化合物及び式(4B)で表される化合物の合計のmol数より大きくても、小さくても、同じでもよい。
一実施形態において、式(1B)で表される化合物及び式(2B)で表される化合物の合計のmol数は、式(3B)で表される化合物及び式(4B)で表される化合物の合計のmol数より大きい。
一実施形態において、式(1B)~(4B)で表される化合物を、溶媒中で反応させる。
溶媒は格別限定されず、例えば、中性極性溶媒を用いることができる。中性極性溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジプロピルアセトアミド、N,N-ジメチル安息香酸アミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-イソプロピル-2-ピロリドン、N-イソブチル-2-ピロリドン、N-n-プロピル-2-ピロリドン、N-n-ブチル-2-ピロリドン、N-シクロへキシル-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-3-メチル-2-ピロリドン、N-メチル-3,4,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピペリドン、N-エチル-2-ピペリドン、N-イソプロピル-2-ピペリドン、N-メチル-6-メチル-2-ピペリドン、N-メチル-3-エチルピペリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、1-メチル-1-オキソスルホラン、1-エチル-1-オキソスルホラン、1-フェニル-1-オキソスルホラン、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン、ジフェニルスルホン等が挙げられる。
溶媒中における式(1B)~(4B)で表される化合物の合計の濃度(配合量基準)は格別限定されず、例えば、1.0mol/kg以上、2.0mol/kg以上又は3.0mol/kg以上であり得、また、5.5mol/kg以下、5.0mol/kg以下又は4.5mol/kg以下であり得る。上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
上記濃度が高濃度である程、芳香族ポリエーテルAの製造量が増す。上記濃度が低濃度である程、重合時における析出を防止して、芳香族ポリエーテルAを目的とする分子量まで好適に伸長できる。
上記のように溶媒を用いる場合、溶媒(反応系)にアルカリを添加することによって反応を促進できる。
アルカリは格別限定されず、例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩等が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等が挙げられる。
アルカリ金属炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム等が挙げられる。
アルカリは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
アルカリとして、例えば、炭酸カリウム、炭酸カリウムと炭酸ナトリウムとの混合物等を好ましく用いることができる。
式(1B)~(4B)で表される化合物の反応は脱水を伴うため、上記のように溶媒を用いる場合は、共沸剤の存在下で反応させてもよい。共沸剤は格別限定されず、例えばトルエン等が挙げられる。
式(1B)~(4B)で表される化合物の反応は、不活性ガス雰囲気で実施することができる。不活性ガスは格別限定されず、例えば窒素、アルゴンガス等が挙げられる。
式(1B)~(4B)で表される化合物の反応は、加熱下において行うことができる。反応温度は、通常は150~380℃の範囲、好ましくは180~350℃の範囲であり得る。また、反応時間は、通常は0.1~10時間、好ましくは1~5時間であり得る。
式(1B)~(4B)で表される化合物の反応終了後に、生成した芳香族ポリエーテルAを公知の方法に従って分離、洗浄又は精製することができる。
一実施形態において、上述した反応に供されるモノマーとして、式(1B)~(4B)で表される化合物以外の他のモノマーを用いない。
一実施形態において、上述した反応には、本発明の効果を損なわない範囲で、式(1B)~(4B)で表される化合物以外の他のモノマーが併用される。
一実施形態において、反応に供される全モノマーを基準として、式(1B)~(4B)で表される化合物の合計の割合(質量%)は、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上又は100質量%である。
一実施形態において、反応に供される全モノマーを基準として、全モノマーに含まれる式(1A)~(4A)で表される構造単位の合計の割合(質量%)が、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上又は100質量%である。
式(1B)~(4B)で表される化合物の反応は、一段階で完了してもよく、二段階以上で完了してもよい。二段階以上で反応させる場合は、例えば、反応に供される全モノマーのうちの一部を反応させてプレポリマーとした後、該プレポリマーに残りのモノマーを添加して反応させてもよい。
(芳香族ポリエーテル組成物)
本発明の一態様に係る芳香族ポリエーテル組成物は、芳香族ポリエーテルAを含む。
一実施形態において、芳香族ポリエーテル組成物は、充填材を含む。
充填材は、ガラス繊維、炭素繊維及び窒化ホウ素からなる群から選択される1以上であることが好ましい。一実施形態において、充填剤はガラス繊維である。
一実施形態において、芳香族ポリエーテル組成物は、マトリクスとしての芳香族ポリエーテルAと、ガラス繊維や炭素繊維等のような繊維状の充填材とを含む繊維複合材料であり得る。繊維複合材料は、所謂繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)であり得る。
繊維状の充填材は、サイジング剤で処理されたものであってもよい。サイジング剤によって、繊維状の充填材を束状に結束することができる。サイジング剤で処理された繊維状の充填材は、その表面にサイジング剤が付着している。サイジング剤は格別限定されず、例えば、エポキシ系サイジング剤、ウレタン系サイジング剤、ポリアミド系サイジング剤等が挙げられる。また、サイジング剤として、芳香族ポリエーテルAを用いることもできる。サイジング剤として、これらの1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。繊維状の充填材として、サイジング剤で処理されていないものを用いてもよい。
一実施形態において、充填材は、芳香族ポリエーテルAに対して強化作用を有する充填材である。ここで、「芳香族ポリエーテルAに対して強化作用を有する充填材」は、芳香族ポリエーテルA100質量部に充填材43質量部を均一に含有させた場合の引張強度が、充填材を含有しない芳香族ポリエーテルAの引張強度よりも大きくなる充填材である。引張強度は実施例に記載の方法によって測定される。
芳香族ポリエーテル組成物における充填材の含有量は格別限定されない。
一実施形態において、芳香族ポリエーテル組成物における充填材の含有量は、芳香族ポリエーテルA100質量部に対して、例えば、5質量部以上、10質量部以上又は20質量部以上であり、また、60質量部以下、55質量部以下又は50質量部以下である。上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
芳香族ポリエーテル組成物は、芳香族ポリエーテルA及び充填材以外の他の成分を含んでもよい。他の成分は格別限定されず、例えば、芳香族ポリエーテルAではない他の樹脂が挙げられる。他の樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等が挙げられる。他の成分として、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
一実施形態において、芳香族ポリエーテル組成物の50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上又は実質的に100質量%が、
芳香族ポリエーテルAであるか、
芳香族ポリエーテルA及び充填材であるか、
芳香族ポリエーテルA及び上述した他の成分であるか、又は
芳香族ポリエーテルA、充填材及び上述した他の成分である。
なお、「実質的に100質量%」である場合、不可避不純物を含んでもよい。
芳香族ポリエーテル組成物を調製する方法は格別限定されず、例えば、公知のミキサーによる混合や、押出機等による溶融混錬等が挙げられる。二軸混練機を用いて芳香族ポリエーテルAに充填材をサイドフィードしてもよい。
芳香族ポリエーテル組成物のペレットを製造してもよい。ペレットは、成形体を製造するための原料として用いることができる。
一実施形態において、ペレットの製造方法は、繊維状の充填材を短くカットしてチョップドの形態(「短繊維」ともいう)とした後、短繊維に芳香族ポリエーテルAを加えることを含む。短繊維と芳香族ポリエーテルAとを混合し、造粒することによってペレット(「短繊維ペレット」ともいう)を製造することができる。
一実施形態において、ペレットの製造方法は、溶融させた芳香族ポリエーテルAに繊維状の充填材のロービングを浸漬させて引き抜き成形した後に、所望のペレット長に切断してペレット(「長繊維ペレット」ともいう)を製造する。上記のように長繊維ペレットを製造する場合は、繊維状の充填材の折損を抑制できる。
芳香族ポリエーテル組成物(上述したペレットの形態であってもよい)を成形することによって、成形体を製造することができる。成形には、射出成形、押出成形、ブロー成形等の既知の方法を用いることができる。また、芳香族ポリエーテル組成物をプレス成形することもでき、コールドプレス法、ホットプレス法等の既知の方法を用いることができる。さらに、芳香族ポリエーテル組成物を3Dプリンター用樹脂組成物として用い、3Dプリンターによって成形することも好ましいことである。
(シート)
本発明の一態様に係るシートは、クロスと、該クロスに含浸された芳香族ポリエーテルAとを含む。かかるシートによれば、芳香族ポリエーテルAに充填材を含有させた場合と同様に、優れた機械的強度が発揮される。
クロスは格別限定されず、繊維を含むものであればよい。一実施形態において、クロスは、面状に配置された繊維によって構成される。クロスは、例えば織布、不織布、一方向材(「UD材」ともいう)等であり得る。
一方向材は、一方向に引き揃えられた繊維によって構成される。
クロスに含まれる繊維は格別限定されない。
クロスは、ガラス繊維及び炭素繊維からなる群から選択される1以上を含むことが好ましい。一実施形態において、クロスはガラス繊維を含む。
一実施形態において、シートは、マトリクスとしての芳香族ポリエーテルAと、ガラス繊維や炭素繊維等のような繊維状の充填材とを含む繊維複合材料であり得る。かかる繊維複合材料は、所謂繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)であり得る。例えば、クロスとして一方向材を用いることによって、一方向繊維強化プラスチックが得られる。
一実施形態に係るシートにおいて、クロスに含まれる繊維間に芳香族ポリエーテルAが含浸されている。クロスは1枚であってもよいし、2枚以上を積層した積層体であってもよい。クロスが積層体である場合、芳香族ポリエーテルAは、クロス間の結着にも寄与し得る。
シートは、芳香族ポリエーテルA及びクロスに加えて、他の成分を含んでもよい。他の成分としては、芳香族ポリエーテル組成物について説明したものを用いることができる。
一実施形態において、シートの50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上又は実質的に100質量%が、
芳香族ポリエーテルA及びクロスであるか、又は
芳香族ポリエーテルA、クロス及び上述した他の成分である。
なお、「実質的に100質量%」である場合、不可避不純物を含んでもよい。
上述したシートの製造方法は格別限定されない。
一実施形態において、シートの製造方法は、クロスに芳香族ポリエーテルAを浸漬させることを含む。この場合、例えば、芳香族ポリエーテルAを適切な溶媒に溶解して得られた溶液、芳香族ポリエーテルAを適切なビヒクルに混合して得られた混合物、あるいは芳香族ポリエーテルAの溶融物を、炭素繊維に塗布して、浸漬させることができる。
一実施形態において、シートの製造方法は、芳香族ポリエーテルAを含むサイジング剤によって結束された繊維によってクロスを作製することを含む。
一実施形態において、シートの製造方法は、芳香族ポリエーテルAを含むフィルムをクロスに積層して溶融プレスすることを含む。
一実施形態において、シートの製造方法は、芳香族ポリエーテルAの粉末をクロスに直接加えた後、前記粉末を溶融させることを含む。
以上、シートの製造方法に係る説明において、芳香族ポリエーテルAが含浸されるクロスは、上述した積層体であってもよい。
一実施形態において、シートは全面にわたって平面状である。
一実施形態において、シートには三次元的な形状が付与されている。シートの形状が「三次元的」であるというのは、シートが湾曲部分(屈曲部分を含む)を含むことを意味する。
三次元的な形状が付与されたシートの製造方法は格別限定されない。
一実施形態において、三次元的な形状が付与されたシートの製造方法は、三次元的な形状が付与されたクロスに芳香族ポリエーテルAを含浸させることを含む。
一実施形態において、三次元的な形状が付与されたシートの製造方法は、クロスに芳香族ポリエーテルAを含浸させてシート(例えば平面状のシート)を得た後、前記シートに三次元的な形状が付与されるように成形を施すことを含む。成形は、例えば、加熱下において、シートに圧力をかけることによって行うことができる。
以上、シートに係る説明において、芳香族ポリエーテルAは、上述した本発明の一態様に係る芳香族ポリエーテル組成物としてクロスに含浸されてもよい。この場合、芳香族ポリエーテル組成物は充填材を含んでも、含まなくてもよい。
(用途)
本発明の一態様である芳香族ポリエーテルA及び芳香族ポリエーテル組成物の用途は格別限定されない。芳香族ポリエーテルA及び芳香族ポリエーテル組成物は、例えば、航空宇宙用途、ギア、ベアリング等のような摺動部材、3Dプリンター用樹脂、各種樹脂組成物等として好適である。
また、芳香族ポリエーテルAを含む成形体は、電気・電子材料(コネクタ、プリント基板等)、産業構造材、自動車部品(車両搭載用コネクター、ホイールキャップ、シリンダーヘッドカバー等)、家電品、各種機械部品、パイプ、シート、トレイ、フィルム等の産業用資材として好適である。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例により限定されない。
(実施例1)
芳香族ポリエーテルA-1の合成
式(1B)~(4B)で表される化合物(ここで、式(1B)中の2つのX及び式(2B)中の2つのZはいずれもClである。)を反応させて、芳香族ポリエーテルA-1を得た。具体的には以下の方法で合成した。
撹拌機、温度計、窒素導入管及び冷却管に接続した水回収容器を備えた300mlの四口フラスコに、4,4’-ジクロロベンゾフェノン22.472g(0.089モル)、2,6-ジクロロベンゾニトリル6.602g(0.038モル)、4,4’-ビフェノール20.123g(0.108モル)、ヒドロキノン1.332g(0.012モル)、炭酸カリウム19.915g(0.144モル)及びジフェニルスルホン160.01gを入れ、窒素ガスを流通させた。
150℃に昇温した後、30分間かけて210℃に昇温し30分間保持した。次に30分間かけて300℃まで昇温して30分間保持し、更に30分間かけて340℃に昇温して2時間保持した。
反応終了後、生成物をブレンダー(ワーニング社製)で粉砕し、アセトン、水の順に洗浄を行ってから、180℃の乾燥機で乾燥し、粉末状の芳香族ポリエーテルA-1を得た。
(実施例2)
芳香族ポリエーテルA-2の合成
式(1B)~(4B)で表される化合物(ここで、式(1B)中の2つのXはいずれもFであり、式(2B)中の2つのZはいずれもClである。)を反応させて、芳香族ポリエーテルA-2を得た。具体的には以下の方法で合成した。
撹拌機、温度計、窒素導入管及び冷却管に接続した水回収容器を備えた300mlの四口フラスコに、4,4’-ジフルオロベンゾフェノン19.799g(0.091モル)、2,6-ジクロロベンゾニトリル6.695g(0.039モル)、4,4’-ビフェノール20.116g(0.108モル)、ヒドロキノン1.337g(0.012モル)、炭酸カリウム19.907g(0.144モル)及びジフェニルスルホン160.01gを入れ、窒素ガスを流通させた。
150℃に昇温した後、30分間かけて210℃に昇温し30分間保持した。次に30分間かけて300℃まで昇温して30分間保持し、更に30分間かけて340℃に昇温して2時間保持した。
反応終了後、生成物をブレンダー(ワーニング社製)で粉砕し、アセトン、水の順に洗浄を行ってから、180℃の乾燥機で乾燥し、粉末状の芳香族ポリエーテルA-2を得た。
(比較例1)
芳香族ポリエーテルA’-1の合成
式(1B)~(3B)で表される化合物(ここで、式(1B)中の2つのX及び式(2B)中の2つのZはいずれもClである。)を反応させて、芳香族ポリエーテルA’-1を得た。具体的には以下の方法で合成した。
撹拌機、温度計、窒素導入管及び冷却管に接続した水回収容器を備えた300mlの四口フラスコに、4,4’-ジクロロベンゾフェノン22.800g(0.091モル)、2,6-ジクロロベンゾニトリル6.701g(0.039モル)、4,4’-ビフェノール22.355g(0.120モル)、炭酸カリウム19.904g(0.144モル)及びジフェニルスルホン160.01gを入れ、窒素ガスを流通させた。
150℃に昇温した後、30分間かけて210℃に昇温し30分間保持した。次に30分間かけて300℃まで昇温して30分間保持し、更に30分間かけて340℃に昇温して2時間保持した。
反応終了後、生成物をブレンダー(ワーニング社製)で粉砕し、アセトン、水の順に洗浄を行ってから、180℃の乾燥機で乾燥し、粉末状のポリエーテルA’-1を得た。
評価方法
(1)メルトフローレート(MFR)
実施例及び比較例で得られた芳香族ポリエーテルのMFRを、株式会社立山科学ハイテクノロジーズ製メルトインデクサ(L-227)を用いて、ASTM D 1238に準拠し、樹脂温度400℃、荷重2.16kgにおいて測定した。
(2)熱特性
実施例及び比較例で得られた芳香族ポリエーテルのガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)及び結晶化温度(Tc)を、示差走査熱量測定により測定した。また、融点(Tm)と結晶化温度(Tc)との差(Tm-Tc)を算出した。測定は以下の手順で行った。
試料(芳香族ポリエーテル)5mgをアルミニウム製のパンに計り取り、示差走査熱量計(DSC)での温度走査測定を行った。測定は20℃から420℃まで20℃/分での昇温、420℃から20℃まで-20℃/分での降温、20℃から420℃まで20℃/分での昇温の順で行った。このうち降温で観測された結晶化の発熱ピークを読み取って結晶化温度(Tc)を求めた。また2回目の昇温で観測された融解の吸熱ピークを読み取って融点(Tm)を求めた。さらに比熱容量の変化点からガラス転移温度(Tg)を読取った。上記測定にはパーキンエルマー社製「DSC8500」を使用した。
(3)Cl及びF含有量
実施例及び比較例で得られた芳香族ポリエーテルのCl及びF含有量を燃焼イオンクロマトグラフ法にて測定した。燃焼イオンクロマトグラフ法は、試料を燃焼炉内に導入し、酸素を含む燃焼ガス中で燃焼させ、発生したガスを吸収液に捕集させた後、その吸収液をイオンクロマトグラフにて分離定量するものである。定量値は、既知濃度のリファレンスから作成した検量線を元に求めた。定量値は、Clの原子量を35.5、Fの原子量を19.0としてmol換算した値である。以下に測定条件を示す。
<試料燃焼>
燃焼装置:株式会社三菱化学アナリテック製AQF-2100H
燃焼炉設定温度:前段800℃、後段1100℃
アルゴン流量:400mL/min
酸素流量:200mL/min
吸収液:過酸化水素水
<イオンクロマトグラフ>
分析装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製Integrion
カラム:ガードカラムとして(Dionex IonPac AG12A)及び分離カラムとして(Dionex IonPac AS12A)を連結して使用(カラムは共にDIONEX社製)
溶離液:NaCO(2.7mmol/L)+NaHCO(0.3mmol/L)
流速:1.5mL/min
カラム温度:30℃
測定モード:サプレッサ方式
検出器:電気伝導度検出器
(4)K含有量
実施例及び比較例で得られた芳香族ポリエーテルのK含有量を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により測定した。
具体的には、試料(芳香族ポリエーテル)1gを白金皿に採取し、そこに濃硫酸を添加して加熱して炭化処理し、次にこれを電気炉に入れて550℃で12時間灰化処理した。その後、試料に塩酸2mlを添加して加熱処理し、放冷後、超純水で10mlにメスアップし、測定用溶液を得た。また、塩酸濃度を測定用溶液と同一にした既知濃度のリファレンス溶液も調製した。
得られた溶液について、ICP発光分光分析法(766.491nm)によりK含有量を測定した。定量値は、既知濃度のリファレンスから作成した検量線を元に求めた。定量値は、Kの原子量を39としてmol換算した値である。
(5)充填材による強化
実施例及び比較例で得られた各芳香族ポリエーテルについて、芳香族ポリエーテル100質量部と、充填材(ガラス繊維;日本電気硝子株式会社製「T-786H」、平均繊維径10μm、平均繊維長さ3.0mm)43質量部とを、ブラベンダー社製プラスチコーダを用いて400℃で5分間混練して、芳香族ポリエーテル組成物を得た。
得られた芳香族ポリエーテル組成物を、井元製作所製真空プレスを用いて400℃で2mm厚にプレス成形し、200℃でアニールし、プレス成形板を得た。このプレス成形板を、JIS K7161に規定するダンベル状5A形に切削して試験片とした。得られた試験片について、試験速度5mm/分、チャック間距離50mmで引張試験を行い、引張強度を測定した。
以上の結果を表1に示す。尚、表1においてF含有量の「*」は定量下限値未満(<0.3μmol/g)を意味する。
Figure 0007285205000006

Claims (12)

  1. 下記式(1A)~(4A)で表される構造単位を含み、
    融点(Tm)と結晶化温度(Tc)との差(Tm-Tc)が55℃以上である、芳香族ポリエーテル。
    Figure 0007285205000007
  2. 前記式(1A)で表される構造単位と、前記式(2A)で表される構造単位とのmol比([1A]:[2A])が、99:1~1:99である、請求項1に記載の芳香族ポリエーテル。
  3. 前記式(3A)で表される構造単位と、前記式(4A)で表される構造単位とのmol比([3A]:[4A])が、99:1~1:99である、請求項1又は2に記載の芳香族ポリエーテル。
  4. メルトフローレートが0.2~110g/10minである、請求項1~3のいずれかに記載の芳香族ポリエーテル。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルを含む、芳香族ポリエーテル組成物。
  6. 充填材を含む、請求項5に記載の芳香族ポリエーテル組成物。
  7. 前記充填材が、ガラス繊維、炭素繊維及び窒化ホウ素からなる群から選択される1以上である、請求項6に記載の芳香族ポリエーテル組成物。
  8. 前記充填材がガラス繊維である、請求項6又は7に記載の芳香族ポリエーテル組成物。
  9. クロスと、前記クロスに含浸された請求項1~4のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルとを含む、シート。
  10. 前記クロスが一方向材である、請求項9に記載のシート。
  11. 前記クロスが、ガラス繊維及び炭素繊維からなる群から選択される1以上を含む、請求項9又は10に記載のシート。
  12. 下記式(1B)~(4B)で表される化合物を反応させることを含む、芳香族ポリエーテルの製造方法。
    Figure 0007285205000008
    (前記式(1B)中、XはClを表す。
    前記式(2B)中、Zはハロゲン原子を表す。2つのZは同一であるか又は互いに異なる。)
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