JP7284651B2 - 底質からの硫化水素の発生抑制方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主に港湾等の閉鎖性海域において底質からの硫化水素の発生を抑制する方法に関するものである。
港湾などの閉鎖性海域は、沿岸都市から流入する過剰な有機物が蓄積し、富栄養化が進行しやすい環境にある。富栄養化の進行は、赤潮の発生などを引き起こすだけでなく、過剰な有機物や栄養塩類が水底に堆積して腐敗することにより底質の環境を悪化させるため、一般的に広くヘドロと呼称される還元性の強い暗黒色の汚泥と化した底質から硫化水素が発生して漁業や生活環境が大きく損なわれる問題がこれまで度々起きてきた。
このため、各種排水などへの環境基準の強化やヘドロ状となった底質の浚渫や、スラグ・苦土系石灰の散布(特許文献1、2)などが対策として行われてきたが、閉鎖性水域の底質環境はさほど改善しておらず、底質からの硫化水素の発生による環境問題は依然として継続している。
この問題に対して、鉄粉や酸化鉄、水酸化鉄を底質に散布することで硫化水素の発生を抑制する手法(非特許文献1、2)が提案されている。また、底質環境中に鉄イオンを継続的に供給することができる部材を散布または配置することによって、微生物の活動を活発化させることにより解決を試みることも提案されている(特許文献3~5)。
特開2013-39524号公報 特許第2917096号公報 特許第4556038号 特開2018-53304号公報 特開2018-164871号公報
井上徹教,藤原裕次,中村由行,2017.鉄剤散布による堆積物からの硫化物溶出抑制.海洋理工学会誌,23,25-30. 金谷弦,菊池永祐,2009.鉄添加により遊離硫化水素を汽水域底泥から除去する実験的手法の検討.東北アジア研究,13,17-28.
従来のヘドロと化した底質(以下、「ヘドロ」と呼称する)を浚渫する方法は、ヘドロが水分を多く含み、かつ重金属類なども含むことから、浚渫したヘドロの処理方法が問題となっている。また、鉄粉や酸化鉄、水酸化鉄を散布する方法は、一時的な効果は期待できるものの、硫化水素イオン等との反応による効果の消失や、ヘドロの堆積による効果の消失により、定期的な再散布が必要となる。さらに、鉄イオン供給物を海底に散布する方法でも、ヘドロの堆積により材料表面が覆い尽くされてしまうために安定した鉄イオンの発生が阻害されてしまうほか、周囲の環境によってはより底質の嫌気化を進行させてしまう恐れもある。
従って、本発明は、底質から発生する硫化水素を低コストで長期間、かつ安定的に抑制できる方法を提供することを目的とする。
本発明の底質からの硫化水素の発生抑制方法は、鉄と炭素を含む複合体を水中に浸漬して、局部電池効果により鉄イオンを発生せしめ、発生した前記鉄イオンを溶存酸素によって水酸化鉄に変化させて沈降させることによって、前記底質表面に連続的に供給することを特徴とする。
本発明の底質からの硫化水素の発生抑制方法は、前記複合体の破壊硬度が50N以上であってもよい。
本発明の底質からの硫化水素の発生抑制方法は、前記複合体として、下記(1)、(2)のいずれか一種を用いてもよい。
(1)鉄粉と炭素前駆体とを造粒焼結したもの。
(2)塊状の炭素質物もしくは無機物の表面に、鉄粉を、炭素前駆体を用いて焼結固定したもの。
本発明の底質からの硫化水素の発生抑制方法は、前記複合体の水中の浸漬深さが、水面下50cm以上であって水底から50cm以上の範囲内であってもよい。
本発明の底質からの硫化水素の発生抑制方法は、前記複合体の水中への浸漬が、前記水酸化鉄が沈降可能な収容体に前記複合体を収納し、水中に吊り下げることによって行ってもよい。
本発明の底質からの硫化水素の発生抑制方法は、底質に水酸化鉄を安定的かつ長期的に堆積させるための鉄イオン供給源として鉄と炭素を含む複合体を使用し、これを水面近くに吊り下げ等の手段で設置するだけで自然に、かつ連続的・持続的にヘドロの表層に水酸化鉄を供給することが可能となる。このため、硫化水素の発生抑制効果は短期間で消滅することはなく鉄イオンが発生する限り継続することになり、繰り返し散布や耕転や酸素吹き込み等の手間も不必要となる。また、浚渫やスラグ添加などとも異なりpH変動が無いことから、環境を激変させることもないため、ゴカイ類、貝等の底棲生物などに負荷を与えず、底質の生態系を破壊しない環境負荷が非常に低い方法である。
鉄-炭素複合体の好ましい例の外観構成を模式的に示す図である。 鉄-炭素複合体の別の好ましい例の断面構成を模式的に示す図である。 鉄-炭素複合体の設置位置を説明する図面である。 鉄-炭素複合体の設置状態を説明する図面である。 実施例及び比較例で使用した試験装置の概要を示す図面である。 実施例および比較例のORPおよび硫化水素の測定結果を示す図面である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本実施の形態の硫化水素の発生抑制方法は、例えば港湾などの閉鎖性水域に代表される水中に、鉄と炭素を含む複合体(以下、「鉄-炭素複合体」と記すことがある)を浸漬し、この鉄-炭素複合体から長期間かつ安定的に鉄イオンを発生せしめ、鉄イオンと溶存酸素により生じた水酸化鉄を沈降させることによって、安定的かつ長期的に底質に水酸化鉄を供給するものである。ここで、「水酸化鉄」とは、含水酸化鉄(α-、β-、又は、γ-FeOOH)又は水酸化鉄(Fe(OH))を意味する。また、「閉鎖系水域」とは、例えば、港湾、湖沼、ため池、堀、ダム湖などの水域を意味する。また、「底質」とは、例えば、海水域、淡水域、汽水域などの水域において、水底の表層を構成する堆積物や岩石、土砂を意味し、堆積物には、砂泥、動植物プランクトン等の遺骸、など含む。
<鉄と炭素を含む複合体(鉄-炭素複合体)>
鉄-炭素複合体は、水中で鉄イオンを発生し、水酸化鉄の供給源となる。鉄-炭素複合体は、鉄と炭素が物理的、機械的に接触しており、水中に浸漬した際に鉄と炭素間の電位差による局部電池効果によって鉄イオンを生じることができるものであれば特に限定されるものではない。鉄-炭素複合体の好ましい例として、炭素繊維を鉄材に締結したものや、鉄粉と木炭などの炭素質物をセメントや粘土などで造粒したもの、鉄粉を焼酎滓や有機汚泥、デンプン、廃糖蜜などで焼成固化したもの、などのような従来公知のものを使用することができる。
鉄-炭素複合体は、好ましくは粒状もしくは塊状であり、その破壊硬度が50N以上であることが好ましい。また、鉄-炭素複合体は、1年以上海中に浸漬されても自己崩壊しないものが良い。これは、表面積が大きいほうが鉄イオンの発生量を多くすることができるほか、海中では潮汐などの海流や波浪による揺動があるために鉄-炭素複合体が崩壊して海底に落下することを防止することができるからである。
なお、破壊硬度については海水もしくは淡水中に1ケ月浸漬させた後でも50N以上が好ましく、100N以上であることがより好ましい。
なかでも、鉄と炭素を炭素前駆体により造粒し焼結することによって作製された鉄-炭素複合体は、長期間安定的に鉄イオンを連続的に放出することができるほか、焼結後は造粒に使用した炭素前駆体が硬質な炭素となるために造粒物の強度が高く、かつ環境負荷を与える重金属や有機化合物のような物質の溶出も無いために最も好ましい鉄-炭素複合体である。
なお、焼結により作製される鉄-炭素複合体は、例えば下記(1)、(2)が好ましい例として挙げられる。
(1)鉄粉と炭素前駆体とを造粒焼結したもの(特許文献4参照)。
(2)塊状の炭素質物もしくは無機物の表面に、鉄粉を、炭素前駆体を用いて焼結固定したもの(特許文献5参照)。
図1は、上記(1)として例示した鉄-炭素複合体の外観構成を模式的に示す図である。図1に示すように、鉄-炭素複合体10Aは、複数の鉄粒子1と炭素質物3とを含有する多孔質な焼結体である。鉄-炭素複合体10Aにおいて、複数の鉄粒子1は、炭素質物3によって固定化されている。炭素質物3は、鉄粒子1を担持する構造体として機能するとともに、鉄粒子1との接触によって局部電池を形成する。鉄-炭素複合体10Aは、所定の見かけ比重と開気孔率を有する多孔質体であり、複数の細孔5が形成されている。炭素質物3は、コークス等の炭素質原料由来部分と、有機バインダー等の有機物に由来する接着部分とが区別できる状態で存在していてもよいし、あるいは、両者が互いに区別できない状態で実質的に一体となって炭素質物3を形成していてもよい。
鉄-炭素複合体10Aにおける鉄粒子1と炭素質物3との重量比は、水中での2価鉄イオン溶出の持続性に応じて調整され得るが、例えば、鉄粒子1:炭素質物3が5:95~95:5の範囲であり、好ましくは20:80~80:20、より好ましくは50:50~80:20である。炭素質物3に対する鉄粒子1の重量比が5重量%未満であると炭素質物3が多すぎて、水との接触面積が小さく、2価鉄イオンの供給能力が低いとともに持続性が悪くなる。一方、炭素質物3に対する鉄粒子1の重量比が95重量%を超えると、局部電池が形成され十分な鉄イオン供給能力は備わっているが、炭素分が少ない為に一体化物として脆くなり、表面から鉄粒子1が欠落したり、鉄-炭素複合体10Aの崩壊が発生しやすくなる。なお、鉄-炭素複合体10Aには、鉄、炭素以外に酸素(10重量%以下)やその他微量の元素(Ni、Mnなど)も含まれるが、上記重量比は、単純に鉄元素と炭素元素の比率をいう。また、炭素質物3には、予め配合するコークス等の炭素質原料以外に、有機バインダーなどの有機物が焼成されて、炭化された炭素も含む。
鉄-炭素複合体10Aは、1.1~4.0の見かけ比重(嵩密度)と20~70%の開気孔率を有する多孔質な焼結体であることが好ましい。ここで、見かけ比重は、1.3~3.5であるとより好ましい。また、開気孔率は30~60%であるとより好ましい。開気孔率が20%未満であると2価鉄イオンの溶出量が少なくなり、70%を超えると、材料の強度が低下して崩壊しやすくなるため好ましくない。
鉄-炭素複合体10Aは、破壊硬度が50N以上であることが好ましく、80N以上であることがより好ましい。破壊硬度が50N未満であると、水流による搖動で粒子同士が接触して鉄-炭素複合体10Aが破壊されやすくなる。このように、水流によって鉄-炭素複合体10Aが破壊されると、鉄と炭素が分離することにより局部電池の効果が消失し、2価鉄イオンの溶出が少なくなってしまう恐れがある。このような観点から、鉄-炭素複合体10Aは、5重量%濃度の塩水浸漬10日後の破壊硬度が、50N以上であり、かつ、塩水浸漬前の破壊硬度の1/2以上維持していることが、さらに好ましい。5重量%濃度の塩水浸漬10日後の破壊硬度が、塩水浸漬前の破壊硬度の1/2以上であることによって、局部電池の効果を長期間保持することができる。
また、鉄-炭素複合体10Aは、5重量%濃度の塩水浸漬10日後の2価鉄イオンの溶出量が2ppm以上であることが好ましく、より好ましくは5ppm以上、さらに、10ppm以上であることが望ましい。このように底質環境中に高濃度の2価鉄イオンを供給することによって、水酸化鉄が持続的に生成され、硫化水素の発生を抑制する効果を得ることができるほか、微生物をはじめとする生物群の活性を高めてより高い水質改善効果を上げることが可能となる。
さらに、鉄-炭素複合体10Aは、不活性雰囲気中での熱重量分析における室温~500℃までの温度における鉄-炭素複合体10Aの重量減少率が3%以下であることが好ましい。室温から500℃までの重量減少率が3%以下であるということは、有機バインダーおよびコークス粉が完全に炭素化していることを示している。そのため、水中に設置したときに鉄-炭素複合体10Aが崩壊しにくく、かつ環境に有害な有機化合物が鉄-炭素複合体10Aから溶出することが無いため、本材料による新たな環境負荷を生じることもない。
鉄-炭素複合体10Aは、0価の金属鉄が炭素と接触することによる局部電池の形成により、水中へ2価鉄イオンを溶出する。このため、鉄粒子1としては、鉄原料の段階で酸化鉄であっても、焼成後の最終製品で金属鉄になっていれば良いが、好ましくは鉄(Fe)を主成分として炭素(C)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)の少なくとも一種以上が0.5重量%以上含まれている鉄鋼材料を原料とすることが良い。なお、このような鉄粒子1として、鋳鉄や炭素鋼、ステンレス鋼等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
鉄-炭素複合体10Aを構成する鉄粒子1は、海水中において焼結している炭素との局部電池効果によって2価鉄イオンを水中に放出するため、徐々に小さくなる。従って使用する鉄粒子1の粒度としては、JIS規格で200~5メッシュであることが好ましい。なお、JIS規格ではメッシュの数値が小さくなるほど粒度は大きくなるため、「5メッシュ以下」というときは、例えば「4メッシュ」は含まないことを意味する。粒度が200メッシュ未満というようにあまりにも小さいと水との接触期間が短くなるとともに、製造時に発火、粉塵爆発などのおそれがある。また、5メッシュを超えるまで大きすぎると混合、混練、造粒が難しくなる。鉄粒子1の形状は、例えば球形などの粒状であればよく、不定形の塊状であってもよい。なお、図1では、説明の便宜上、鉄粒子1を平面視が正6角形の多面体形状に描いているが、これに限るものではない。
鉄-炭素複合体10Aを構成する炭素質物3は、鉄と局部電池を形成する為に必要であり、鉄との接触が非常に重要である。局部電池を形成させるための炭素質物3の原料(炭素質原料)としては、例えば、コークス、木炭、石炭粉、黒鉛、コールタールピッチや有機化合物、高分子材料の炭化物等が使用可能である。これらは単独もしくは2種以上混合して使用することもできる。炭素質原料の形状は問われないが、焼結後に鉄粒子1との接触箇所を多くして局部電池機能を発現しやすい粉粒状、塊状などが好ましく、不定形な外観形状であってもよい。鉄原料と配合する炭素質原料の50重量%以上は、高温で溶融して流動性を示さない固体炭素質材料であることが好ましい。そのような固体炭素質材料としては、例えば黒鉛、コークス粉などを挙げることができ、特に、450℃以上の温度履歴があり、かつ導電性を有するピッチコークス粉であることがより好ましい。
450℃以上の温度履歴があるピッチコークス粉は、コールタールピッチや高分子材料のように高温で溶融して流動することが無いため、造粒した形状を保ちやすく、かつ多孔質な鉄-炭素複合体10Aを得ることが容易である。コークス粉に代表される炭素質原料の粒度は、焼結後に鉄粒子1との接触箇所を多くして局部電池機能を効率化させるため、及び造粒性を向上させる為に、例えばJIS規格で300~5メッシュがよい。粒度が5メッシュよりも大きくなると、鉄粒子1と局部電池を形成するための接触点数が減り溶出効率が低下し、300メッシュよりも小さくなると嵩比重が小さくなりすぎ、混合性、造粒性が悪化するばかりか、発火、粉塵爆発などのおそれがある。
なお、コークス粉は、石油系または石炭系重質油から得られるコークスのいずれも使用することができる。これらの中でも、石炭系重質油から得られるコークスは、メソフェースリッチでニードルコークスになりやすいため、導電性が高く、結果的に局部電池としての電流が流れやすく、鉄イオンを発生しやすいので好ましい。
鉄-炭素複合体10Aは、有機物ではない導電性を有する炭素と、鉄との焼結体であるが、その製造過程において高温で炭素化する有機バインダーを使用する。有機バインダーを用いることによって、粉粒状の原料の凝集を促進させて粒状化速度を上げ、収率を向上させるとともに、焼結時に炭素化することにより鉄-炭素複合体10Aの物性(強度、表面状態、耐崩壊性など)を改善し、鉄粒子1と炭素質物3との接着を強固なものとすることができる。そのような観点から、有機バインダーとしては、固定炭素分を20重量%以上有しており、芳香環を多く含有したピッチやフェノール樹脂、リグニン、またはフェノール成分を主成分とするリグニンスルホン酸塩などが好ましく、これらの中でも、固定炭素及び結着力に優れたコールタールピッチが最も好ましい。
コールタールピッチは、不活性または還元雰囲気における500℃以上の焼成により、固定炭素以外の水素、酸素、窒素、硫黄分等が分解、揮発して、焼成物の実質95%以上が炭素となる。また、コールタールピッチは、焼成時に、水素、酸素、窒素、硫黄などが放出されることから空隙を形成し、水と鉄との接触面積を多くし、効率的な鉄イオン発生に寄与する。さらに、コールタールピッチは、導電性を有する強固な炭化物になるため、鉄粒子1と炭素質物3とを固定化するよいバインダーとなる。
なお、コールタールピッチの中でも固定炭素量が50%以上あるものが焼成時の形状維持の面からも好ましく、このようなコールタールピッチとしては、例えば、株式会社シーケム製のBPやIP(いずれも製品名)が例示される。
有機バインダーは、鉄原料と炭素質原料の混合物100重量部に対して、例えば5~20重量%の範囲内で配合することがよい。有機バインダーが5重量%未満ではバインダーとしての効果がなく、20重量%を越えると焼成時に有機バインダーが溶融することにより、所望の形状や好適な見かけ比重、開気孔率が得られなくなる。なお、鉄原料とコールタールピッチなどの有機バインダーのみで複合物を形成させた場合、焼成時に有機バインダーが溶融して、複合物の形状が維持できない。
コールタールピッチに代表される有機バインダーは、鉄原料及び炭素質原料に対して均一に混合させるために、粉粒体がよい。この粉粒体の粒度としては、例えば200~32メッシュがよい。有機バインダーの粒度が小さすぎると見かけ比重が小さくなりすぎ、混合、混練性が悪化し、大きすぎると混合、加熱溶融及び造粒品内部が不均一になる可能性がある。
また、コールタールピッチは、例えば30~150℃に軟化点があるものが好ましい。このような軟化点を持つコールタールピッチの使用は、加熱しながら混合物を成型(造粒)するブリケットマシンや溶融造粒などの乾式造粒などの分子間力による造粒方法には非常に都合がよい。それらによる造粒後、それをそのまま焼成すれば良いので、効率良く鉄-炭素複合体10Aを製造することが可能である。
また、有機バインダーには、コールタールピッチやフェノール樹脂などに加えて、造粒性を向上させるための造粒助剤を添加してもよい。造粒助剤は、焼結時に炭素質物3となるものであれば特に限定されない。造粒助剤の例として、ゼラチンやデンプン糊、廃糖蜜、リグニンスルホン酸塩、コンニャク飛粉、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、デキストリン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミドなどが好適である。造粒助剤を使用する場合、有機バインダーと造粒助剤の重量配合比(有機バインダー:造粒助剤)は、例えば100:0~30:70とすることが好ましい。このような範囲内となるように造粒助剤の配合比を調整することによって、焼結時の見かけ比重や開気孔率、破壊硬度等に悪影響を及ぼすことなく、所望の形状の鉄-炭素複合体10Aを容易に製造することができる。
鉄-炭素複合体10Aは、破壊硬度、見かけ比重や開気孔率などの物性値や局部電池効果による2価鉄イオンの溶出を妨げない範囲において、鉄と炭素以外に、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム等の元素を含有する鉱物系の無機物等をさらに含んでいても構わない。
鉄-炭素複合体10Aは、鉄原料と炭素質原料の混合物に有機バインダーを配合して、必要に応じて所望の形状に造粒したのち、不活性または還元雰囲気において500℃以上の温度で焼結することによって製造される。
鉄原料や炭素質原料、有機バインダーの配合順序は、特に限定されず、鉄原料と炭素質原料の混合物をまず作成してから有機バインダーを配合してもよいし、すべての原料を一度に配合してもよい。他の添加物を配合する場合もまた同様である。配合方法については、各種ブレンダーやミキサー、ニーダーなど一般的な混合・混練器を使用することができる。
各種原料が配合された混合物は、必要に応じて、任意の形状となるように造粒が行われる。造粒形状については、特に限定されず、例えば球状、回転楕円状、円柱状、不定形状等とすることができる。これらの中でも、海水等との接触面積が大きくなるので、球状もしくは回転楕円状が好ましい。また、造粒物の大きさについては、特に限定されるものではないが、球形の場合には、直径5mm以上、好ましくは直径5~100mm程度が好ましい。また、造粒物の形状が球形以外である場合は、直径5~100mmの球と同程度の体積となるような大きさとすることが好ましい。
なお、造粒は人手にて行うことも可能であるが、作業性や安全性、形状制御などの面からは、ペレタイザやブリケットマシン等の造粒機の使用が好ましい。
造粒された原料混合物は、水や有機溶剤を造粒時に使用した場合は60℃以上で乾燥した後、500℃以上の不活性又は還元雰囲気下において焼結を行う。焼結には、例えば、リードハンマー炉、トップチャージ炉、シャトル炉、トンネル炉、ロータリーキルン、ローラーハースキルンあるいはマイクロウェーブ等の設備を用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、仮焼処理は、連続式又はバッチ式のどちらでもよい。焼結温度は700℃であることがより好ましく、900℃であることがさらに好ましく、1000℃以上であることが最も好ましい。500℃以上の不活性または還元雰囲気下で焼結を行うことにより、有機バインダーを確実に炭化させるとともに、鉄原料中に含まれる酸化鉄の還元も行うことができる。焼成によって得られた鉄-炭素複合体10Aは、速やかな2価鉄イオンの溶出と高い破壊硬度を発現する環境負荷のない底質環境改善材として利用できる。
なお、焼成は複数回行ってもよく、一度焼結した焼結材を鉄やマンガンなどの化合物の水溶液に浸漬したのち、再度焼成を行うこともできる。
焼結工程を経た鉄-炭素複合体10Aはその後、不活性または還元雰囲気下のまま徐冷、もしくは徐冷の後、大気雰囲気下で取り扱いが可能な温度まで放冷されたのち、使用に供される。
図2は、上記(2)として例示した鉄-炭素複合体の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、鉄-炭素複合体10Bは、複数の鉄粒子11が塊状の無機材料からなる核材13の表面に固着された構造を有する。鉄粒子11は、有機バインダーに由来する炭素質物15よって核材13に固定化されている。有機バインダーに由来する炭素質物15は、鉄粒子11を核材13に担持させるための結着材として機能するとともに、鉄粒子11との接触によって局部電池を形成している。
鉄と炭素の局部電池を形成するためには、鉄粒子11の少なくとも表面の一部が有機バインダー由来の炭素質物15から露出していればよい。また、核材13と鉄粒子11は、両者が直接接触していてもよいし、あるいは、両者が有機バインダー由来の炭素質物15を介して接触していてもよい。
鉄-炭素複合体10Bは、核材13に固定された鉄粒子11が、炭素と接触して局部電池を形成することにより、水中へ2価鉄イオンを溶出する。このため、焼成後の最終製品では鉄粒子11は金属鉄となっていることが望ましい。
鉄粒子11となる鉄原料としては、鉄-炭素複合体10Aと同様のものを用いることができる。
鉄-炭素複合体10Bを構成する鉄粒子11は、海水中において、接触している炭素との局部電池効果によって2価鉄イオンを水中に放出するため、徐々に小さくなる。従って使用する鉄粒子11の粒度としては、例えば、JIS規格で7メッシュ以下であることが好ましく、JIS規格で200~7メッシュであることがより好ましい。粒度がJIS規格で7メッシュを超えて大きすぎると混合や核材13への付着が難しくなる。鉄粒子11の形状は、例えば球形などの粒状であればよく、不定形の塊状であってもよい。
鉄-炭素複合体10Bにおいて使用される核材13は、比重が水よりも大きく、かつ、水に浸漬したときのpH変動が小さく、500℃以上、好ましくは700℃以上の熱処理が行われても安定な材質であれば特に限定されるものではない。このような材料としては、無機材料が適している。核材13を構成する無機材料としては、例えば、溶岩岩塊などの天然石の砕石や、シリカ、アルミナなどのセラミックス、黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素などの炭素材料が挙げられるが、核材13の表面に固着された鉄粒子11と局部電池を形成することができる炭素材料が核材13としてより好ましい。
鉄-炭素複合体10Bで、核材13となる炭素材料には、黒鉛や易黒鉛化炭素であるコークスなどの他、難黒鉛化炭素である木炭や竹炭などの炭や、フェノール樹脂などを炭化したハードカーボンなども好ましく使用することができるが、安価であり、破砕物の形状が凹凸に富む塊状物となるコークスがより好ましい。なお、コークスにおける凹凸形状の目安としては嵩密度が1.2以上であるものが好ましい。
ここで、コークスとは、石炭コークスのほか、石油または石炭系重質油からディレードコーキングプロセスにより得られる生コークスと呼称されるディレードコークス、またはディレードコークスを非酸化性雰囲気下で800℃以上の温度でか焼を行ったか焼コークスと呼称されるものが含まれる。生コークス、か焼コークスのいずれも核材13として使用することができるが、生コークスを使用する場合は、焼成時に溶融して流動することのない450℃以上の温度履歴を持つものが好ましい。
核材13の形状は、特に限定されるものではなく、不定形状であっても構わないが、表面積の大きい形状が好ましい。また、例えば球形、多面体状、板状、ブロック状などの任意の形状のものを核材13として使用することによって、これらの形状をなす鉄-炭素複合体10Bが得られる。つまり、核材13を任意の形状に成形しておくことによって、鉄-炭素複合体10Bを所望の形状にしてもよい。
鉄-炭素複合体10Bは、核材13の表面への鉄粒子11を固着させるため、高温で炭素化する有機バインダーを使用する。有機バインダーとしては、タール、ピッチ、天然高分子及び有機高分子より選ばれる1種以上であることが好ましい。有機バインダーを用いることによって、焼成によって生成する炭素質物15が、核材13と鉄粒子11をより強固に固着させるだけでなく、鉄-炭素複合体10Bの強度などの物性を改善できる。さらには、鉄粒子11と炭素質物15の間でも局部電池を形成することによって、より安定的、かつ高濃度な鉄イオンの溶出を促進することができる。そのような観点から、有機バインダーとしては、固定炭素分を20重量%以上有しており、芳香環を多く含有したピッチやフェノール樹脂、リグニン、またはフェノール成分を主成分とするリグニンスルホン酸塩などが好ましく、これらの中でも、固定炭素分が豊富で、結着力に優れたコールタールピッチが最も好ましい。
コールタールピッチは、不活性または還元雰囲気における500℃以上の焼成により、固定炭素以外の水素、酸素、窒素、硫黄分等が分解、揮発して、焼成物の実質95重量%以上が炭素となる。また、コールタールピッチは、焼成時に、水素、酸素、窒素、硫黄などが放出されて空隙が形成されることから、水と鉄との接触面積が多くなり、局部電池による効率的な鉄イオン発生に寄与する。さらに、コールタールピッチは、導電性を有する強固な炭化物になるため、鉄粒子11を核材13に固定化するよいバインダーとなる。
なお、コールタールピッチの中でも固定炭素分が50重量%以上あるものが焼成時の形状維持の面からも好ましく、このようなコールタールピッチとしては、例えば、株式会社シーケム製のBPやIP(いずれも製品名)が例示される。
有機バインダーは、鉄粒子11となる鉄原料100重量部に対して、例えば3~40重量部の範囲内で配合することが好ましく、10~30重量部の範囲内がより好ましい。有機バインダーが3重量部未満では、バインダーとしての効果がなく、鉄粒子11が脱落してしまうので好ましくない。また、40重量部を越えると焼成時に有機バインダーが溶融して鉄粒子11が埋没してしまったりすることにより、鉄イオンを溶出させる能力が低下する場合がある。
コールタールピッチに代表される有機バインダーは、液状でも使用可能であるが、鉄粒子11となる鉄原料に対して均一に混合させるために、粉粒体がよい。この粉粒体の粒度としては、例えばJIS規格で200~32メッシュがよい。有機バインダーの粒度が小さすぎると混合、混練性が悪化し、大きすぎると混合、加熱溶融が不均一になる可能性がある。
また、コールタールピッチは、例えば30~150℃の範囲内に軟化点があるものが好ましい。このような軟化点を持つコールタールピッチの使用は、加熱しながら混合物を成型(造粒)するブリケットマシンや、溶融造粒に代表される乾式造粒などの分子間力による造粒方法には非常に都合がよい。これらの方法により、核材13に鉄粒子11を付着させた後、そのまま焼成すれば良いので、効率良く鉄-炭素複合体10Bを製造することが可能である。
また、有機バインダーには、コールタールピッチやフェノール樹脂などに加えて、製造時に核材13への鉄粒子11の付着を促進させるために有機溶剤や結着助剤を添加してもよい。有機溶剤は、有機バインダーを溶解させることができるものであれば特に限定されず、例えば、トルエンなどの芳香族化合物、ピリジン、キノリンなどの複素環式芳香族化合物や、ケロシンなどの脂肪族系化合物など一般的な有機溶剤が使用できるが、その後の溶剤回収や作業環境への影響を考慮すると、有機溶剤の代わりに結着助剤を使用することがより好ましい。
結着助剤は、焼成時に分解もしくは炭化するものであればよく、例えば、ゼラチンやデンプン糊、廃糖蜜、リグニンスルホン酸塩、コンニャク飛粉、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、デキストリン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などが好適である。結着助剤を使用する場合、有機バインダーと結着助剤の重量配合比(有機バインダー:結着助剤)は、例えば99:1~30:70とすることが好ましい。このような範囲内となるように結着助剤の配合比を調整することによって、鉄粒子11の付着性や鉄イオンの溶出等に悪影響を及ぼすことなく、鉄-炭素複合体10Bを容易に製造することができる。
鉄-炭素複合体10Bにおける鉄粒子11の付着量は、水中での2価鉄イオン溶出の持続性に応じて調整され得るが、例えば、核材13の100重量部に対して鉄粒子11が1~100重量部の範囲内であり、好ましくは5~80重量部の範囲内、より好ましくは20~50重量部の範囲内である。鉄粒子11の付着量が1重量部未満であると、核材13や有機バインダー由来の炭素質物15に直接接触する割合が極端に少なくなるので局部電池を形成しにくくなり、また、表面に露出する鉄が少なすぎる結果、2価鉄イオンの供給能力が低いとともに持続性が悪くなる。なお、鉄粒子11には、鉄以外にその他微量の元素(Ni、Mnなど)も含まれていてもよいが、上記付着量は、単純に鉄粒子11の付着量を指す。
鉄-炭素複合体10Bにおける鉄と炭素の比率については、核材13に炭素材料を使用するか、非炭素材料を使用するかによって異なる範囲となる。前者(核材13に炭素材料を使用する場合)においては、核材13と有機バインダー、結着助剤等に由来する炭素の合計100重量部に対して、鉄を1~100重量部の範囲内が適している。後者(核材13に非炭素材料を使用する場合)においては、有機バインダー、結着助剤等に由来する炭素の合計100重量部に対して、鉄を50~500重量部の範囲内が適する。鉄と炭素の比率が上記範囲内となるように最適化することによって、鉄と炭素による局部電池がより効果的に発現され、鉄イオンの溶出が高濃度で継続的に起こるとともに、核材13に対する鉄粒子11の強固な固着性を確保できる。
鉄-炭素複合体10Bは、その見かけ比重が、1.2以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましい。また、核材13の見かけ比重と鉄-炭素複合体10Bの見かけ比重の差が、1.2~2.0倍の範囲内にあることが好ましい。
鉄-炭素複合体10Bは、その表面の鉄粒子11が核材13に直接、または有機バインダーによって間接的に固着されているため、輸送中や水中への設置時に鉄粒子11の脱落がなく、かつ散布後の持続的な鉄イオンの溶出を可能とする。
鉄粒子11の結着性は、所定量の鉄-炭素複合体10Bを、ミキサーなどを用いて一定時間機械的に撹拌することによって評価することが可能である。鉄粒子11の結着性は、撹拌前の鉄-炭素複合体10Bの重量aに対する撹拌後の鉄-炭素複合体10Bの重量bの比率[(b/a)×100%]として表すことができる。結着性は、95%以上あることが好ましく、97%以上であることがより好ましい。鉄粒子11の結着性が95%未満であると鉄粒子11の脱落が多くなる。
鉄-炭素複合体10Bは、その表面に固着された鉄粒子11の表面の少なくとも一部が有機バインダー由来の炭素質物15から露出した状態となっていることが必須である。走査型電子顕微鏡(SEM)による観察からは、鉄粒子11の炭素質物15による被覆率は10~90%の範囲内が適しており、好ましくは10~70%の範囲内である。被覆率が10%未満であると鉄と炭素の接触が少ないために鉄イオンの溶出量が低下するだけでなく、鉄粒子11が脱落しやすい状態であるので好ましくない。また、被覆率が90%を超えると、鉄粒子11の露出面積が小さすぎるために鉄イオンの溶出量が少なくなるので好ましくない。なお、被覆率は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、鉄-炭素複合体10Bに付着している鉄粒子11を任意に50個選び、各鉄粒子11について、その全表面積に対する、炭素質物15で覆われている部分の面積の比率を算出し、平均したものである。
また、鉄-炭素複合体10Bは、3重量%濃度の塩水に7日間の浸漬を3回繰り返したときの鉄-炭素複合体10Bの鉄付着量1gあたりにおける1日あたりの鉄溶出量が0.7mg以上であることが好ましく、1.2mg以上がより好ましく、さらに、1.5mg以上であることが望ましい。このように水中に高濃度の2価鉄イオンを供給することによって、水酸化鉄を持続的に生成させることができる。
さらに、鉄-炭素複合体10Bは、不活性雰囲気中での熱重量分析における100℃~500℃までの温度における重量減少率が1%以下であることが好ましい。100℃から500℃までの重量減少率が1%以下であるということは、核材13や有機バインダーなどに含まれる有機物が完全に炭素化していることを示している。そのため、水中に設置したときに鉄粒子11が脱離しにくく、かつ環境に有害な有機化合物が鉄-炭素複合体10Bから溶出することが無いため、本材料による新たな環境負荷を生じることもない。
鉄-炭素複合体10Bは、局部電池効果による2価鉄イオンの溶出を妨げない範囲において、鉄と炭素以外に、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム等の元素を含有する鉱物系の無機物等をさらに含んでいても構わない。
鉄-炭素複合体10Bは、核材13の表面に鉄粒子11が、有機バインダー等に由来する炭素質物15で結着され、鉄粒子11の一部が表面に露出していれば、製造方法としては特に限定されるものはない。
鉄-炭素複合体10Bの好ましい製造方法として、鉄粒子11となる鉄原料及び有機バインダー(さらに、必要に応じて有機溶剤や結着助剤を含んでもよい)を混合した混合物を、核材13ともに不活性または還元雰囲気において500℃以上の温度で焼成する方法を挙げることができる。焼成前には、核材13を予備加熱して表面に混合物が付着させやすくしておいてもよいし、有機溶剤や結着助剤を使用して核材13の表面に混合物が付着しやすくしておいてもよい。なお、鉄原料や有機バインダー等の原料の配合順序は、特に限定されず、鉄原料と結着助剤などとの混合物をまず作成してから有機バインダーを配合してもよいし、すべての原料を一度に配合してもよい。他の添加物を配合する場合もまた同様である。
焼成には、例えば、リードハンマー炉、トップチャージ炉、シャトル炉、トンネル炉、ロータリーキルン、ローラーハースキルンあるいはマイクロウェーブ等の設備を用いることができるが、特にこれらに限定されるものではなく、連続式又はバッチ式のどちらであってもよい。焼成温度は有機バインダーが炭化する温度であれば特に制限はないが、少なくとも500℃以上であることが好ましい。特に有機バインダーとしてバインダーピッチを使用する場合は、ベンゾピレンなどの芳香族化合物が残留することが無いようにするため、焼成温度は700℃以上であることがより好ましく、900℃以上が更に好ましく、1000℃以上であることが最も好ましい。500℃以上の不活性または還元雰囲気下で焼成を行うことにより、有機バインダーを確実に炭化させるとともに、鉄原料中に含まれる酸化鉄の還元も行うことができる。焼成により得られた鉄-炭素複合体10Bは、BODの増加や有害な化学物質および重金属の溶出などの環境負荷がなく、局部電池効果によって2価鉄イオンを速やかに、かつ多量に溶出することができる。焼成工程を経た鉄-炭素複合体10Bは、その後、不活性または還元雰囲気下のまま徐冷、もしくは徐冷の後、大気雰囲気下で取り扱いが可能な温度まで放冷されたのち、使用に供される。
<浸漬位置及び浸漬方法>
本発明の底質からの硫化水素の発生抑制方法は、鉄-炭素複合体を硫化水素の発生のおそれがある水域に浸漬することによって行われる。このとき、鉄-炭素複合体の浸漬は、湖沼や港湾といった外界との水の交換が少ない閉鎖性水域が好ましいが、河口などのある程度流れのある場所も構わない。また、浸漬に際しては淡水域もしくは海域、汽水域のいずれであっても構わないが、水中の電気伝導度が高いことが好ましく、さらに塩化物イオンもしくは硫酸イオンが比較的多量に存在する場所がより好ましい。
鉄-炭素複合体の浸漬は、大潮などの干潮時であっても水面に鉄-炭素複合体が露出しない深さで行うことが好ましい。浸漬位置は、例えば図3に示すように、水面100aを基準として、深さD1が50cm以上であり、かつ、水底(本発明では、底質の表面を意味する)101からの距離D2が50cm以上の水深の範囲内がより好ましい。なお、図3において、符号20は所定量の鉄-炭素複合体を収容した網状の収容体を、符号30はブイ(浮き)などの浮遊体を、符号100は海水などの水を意味する。鉄-炭素複合体を水底101に配置すると、潮汐などによって舞い上がったヘドロの再堆積や新たに凝集・沈降によって生成したヘドロによって、鉄-炭素複合体が覆われてしまい、水酸化鉄の生成が抑制されたり、2価鉄イオンが鉄-炭素複合体から底質中へ供給されるために、さらに嫌気化が進行してしまい、かえって硫化水素の発生を増やしてしまうおそれがあるためである。
また、水面100aからの深さD1が50cmよりも浅いと、発生した水酸化鉄が海流や波浪などによって拡散してしまうために、硫化水素の発生を抑制するに十分な水酸化鉄の沈降と底質への供給、堆積が困難になる。また、水底101からの距離D2が50cm未満となると、設置場所の深度や環境によっては溶存酸素が減少するために溶出した鉄イオンが水酸化鉄になりにくくなるため適さない。また、溶存酸素低下に伴い底棲生物への悪影響も懸念される。一方で、水底101からの距離D2が大きすぎると、発生した水酸化鉄が海流や波浪などによって拡散してしまうために、硫化水素の発生を抑制するに十分な水酸化鉄の沈降と底質への供給、堆積が困難になる。このような観点から、水底101からの距離D2は、水深や溶存酸素量にもよるものの、例えば50cm以上から設置箇所の水深の2/3の深さまでがより好ましく、50cm以上から設置箇所の水深の1/2の深さまでがさらに好ましい。なお、水温躍層や密度躍層が形成されるような環境においては、前記位置に加えて、D2は少なくとも形成された躍層よりも浅い位置とすることが好ましい。
鉄-炭素複合体から溶出する鉄イオンは、Fe2+の2価鉄イオンの状態であるため、すぐにFe2+からFe3+に酸化され、含水酸化鉄(FeOOH;pHなどの周囲の環境により、α、β、γなどの形態がある)や水酸化鉄(Fe(OH))、Fe(ヘマタイト)、Fe(マグネタイト)などの鉄酸化物となる。
海水中では、鉄イオン(Fe2+)は酸化され、水酸化物となるが、その主体は、非常に微細なγ-FeOOHのオキシ水酸化鉄(含水酸化鉄)であり、FeやFeに比べ結晶性が低いために、反応性が高く、硫化水素をトラップしやすいのでより都合がよい。また、水酸化鉄は、Fe3+であることから溶存酸素を低下させることもない。
なお、鉄のみの場合にも、同様に水酸化鉄(ここでは、含水酸化鉄やFe(OH)を意味する)や酸化鉄(FeやFe)が発生するが、強硬な酸化鉄皮膜が覆い安定した含水酸化鉄の発生能力は低下する。
こうして、海底などの水底101に自然沈降した水酸化鉄は、ヘドロ化した底質から硫化水素が発生している場合には、硫化鉄となり硫化水素の発生を抑制する。また、硫化水素が発生する条件として、一般にヘドロおよびヘドロの直上水の酸化還元電位(ORP)が-250mV以下の還元雰囲気(硫酸塩還元菌の活動が活発化するORP)が必要であるところ、ヘドロ上に自然堆積した水酸化鉄は、酸化作用を有していることから、ORPを硫酸塩還元菌が活動しない電位まで上げていく作用があり、底質からの硫化水素の発生自体も抑制されることとなる。
つまり、本発明の硫化水素の発生抑制は、
(i)すでに底質から発生している硫化水素の水酸化鉄によるトラップ、
(ii)堆積した水酸化鉄によってヘドロ化した底質のORPを上昇させて、硫酸塩還元菌の活動を抑制することによる硫化水素の発生の抑制、
という2つの作用によるものであるといえる。そして、鉄-炭素複合体を水酸化鉄の大量かつ長期的、安定的な供給ソースとして水面近くで浸漬した状態におくことによって、前記硫化水素の発生抑制メカニズムを長期間働かせることができるのである。
さらに、本発明の方法は、鉄-炭素複合体から発生した鉄イオンによるリンのトラップも期待することができ、硫化水素の発生抑制による底質環境の改善だけではなく、有害物質や汚濁物質の除去といった環境浄化や排水処理などにも広く適用することができる。
鉄-炭素複合体を海面などの水面100aの近くに設置する方法としては、鉄-炭素複合体を網状の籠や袋などの収容体20に入れて、例えば、岸壁、ブイなどの浮遊体30、水底101に固定された杭などから吊り下げる方法、船底や魚類、貝類、海苔などの養殖に使用する生簀などに固定する方法などが好ましい。これらの設置方法においては、例えばロープや鎖などの長尺な部材を用いて収容体20を係留したり、着脱自在なアダプターを用いて収容体20を固定したりすることができる。収容体20を固定する場合は、水流によって揺動可能な状態にしてもよい。また、一端を水底101に固定し、他端を浮きに固定したロープなどを利用して、収容体20が水中に浮遊状態となるように係留してもよい。なお、鉄-炭素複合体を収納する収容体20は、生成した水酸化鉄を自然沈降させることが可能な形状・形態であることが好ましく、例えば網目状が好ましい。収容体20の素材については限定されるものではないが、金属類は腐食の恐れがあり、炭素繊維を使用したものは水流による揺動による破損や生物による食害があるため、合成繊維または樹脂製であることが好ましい。
また、潮汐や波浪を利用して水酸化鉄の発生と、沈降を促進することを目的に、鉄-炭素複合体とともに収容体20の内部に浮きを収納してもよい。浮きは、収容体20が水面に完全に浮上しない程度の浮力を与えるような数や量で、鉄-炭素複合体とともに収納することが好ましい。
さらに、鉄-炭素複合体を水中に浸漬させる際、生じた水酸化鉄を効率良く沈降させ、確実に水底101に供給するめに、図4に示すように、水酸化鉄を水底101の底質へ向けて誘導して沈降させる沈降促進手段40を設けてもよい。沈降促進手段40としては、例えば筒状体、半筒状体、複数の板状体の組み合わせなどが好ましく、収容体20の側方で周囲を囲繞したり、収容体20の下方に配置したりすることができる。
また、収容体20からの水酸化鉄の放出を効率的に行うため、図示は省略するが、水流を利用して、収容体20全体の揺動を促進する揺動促進手段や、収容体20の全体の回転を促進する回転促進手段などを付属させてもよい。揺動促進手段、回転促進手段としては、例えば水流に対する抵抗を増大させる短冊状の薄板などを用いることができる。さらに、水酸化鉄の発生を促進するために、収容体20の内部へのエアレーションを行う装置や、動力によって収容体20を揺動させたり、回転させたりする揺動装置や回転装置などを設けてもよい。
鉄-炭素複合体の収容体20は、複数配置してもよく、必要に応じて引き上げることもできるが、特に害があるものではないので、常時海水中に設置していても構わない。長期の浸漬の後、鉄-炭素複合体の鉄がすべて消耗した場合には、生物の棲家として海に入れてもよく、製鉄原料にリサイクルしてもよい。
以下、本発明の方法の実証試験のために行ったラボ検討の結果を実施例として記載するが、これらは本発明の実施形態を何ら限定するものではない。
[破壊硬度]
造粒物の崩壊する荷重(座屈する荷重)を圧壊荷重(破壊硬度)とした。荷重測定には、藤原製作所 木屋式硬度計1600-C(最大200N)を使用し、サンプルに圧縮荷重を加え、最大荷重を圧壊荷重とし、造粒物5点の平均値を採用した。
[硫化水素発生量の測定]
ヘドロから1cm上の水をピペットで採取し、株式会社共立理化学研究所のパックテスト(型式:WAK-S)にて測定した。
[ヘドロ上部の海水の酸化還元電位(ORP)の測定]
ヘドロから1cm上の部位にORP電極(株式会社堀場製作所:LAQUA act D-74 電極型式:9300)を設置し、ヘドロ直上の海水のORPを測定した。
[pHの測定]
ヘドロから1cm上の部位にpH電極(堀場製作所:LAQUA F-72 電極型式:9615S)を設置し、ヘドロ直上の海水のpHを測定した。
[鉄イオン溶出速度]
800℃で焼成した造粒物(約2.0g)を30mlの海水中に開放状態で浸漬し、7日後に造粒物のみを取り出し、発生した水酸化鉄を採取し、10%硝酸1mlを添加、加熱することで溶解し、鉄イオン発生量を、株式会社共立理化学研究所のパックテスト(型式:全鉄WAK-Fe)にて測定した。
発生した鉄イオン溶出速度は、発生鉄量÷浸漬日数÷造粒物重さで求めた。
[鉄-炭素複合体]
図1に示したものと同様の構成を有する鉄-炭素複合体10Aを使用した。すなわち、鋳鉄粉(竹内工業株式会社製、28メッシュアンダー品 炭素:2~4重量%、Si:4重量%以下、Mn:0.5~1.5重量%、P:0.03重量%以下、S:0.03重量%以下)とニードルコークス粉(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、9メッシュアンダー)をバインダーピッチ(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、軟化点:90℃)とデンプン(浅田製粉株式会社製、ライ麦粉α化品)を用いてブリケットマシンにて造粒(ポケット:18×14×深さ3.3mm)し、非酸化性雰囲気下800℃の温度で焼結して鉄-炭素複合体10Aを作製した。表1に、使用した鉄-炭素複合体10Aの詳細を示す。
Figure 0007284651000001
[実施例1]
底面の内直径が55mmで容量220mlの丸型ねじ口瓶に150mlのヘドロ(福岡県平松漁港にて採取)を入れ、次いで、直径30mm(内直径21mm)、高さ25cmのアクリル製の円筒を取り付けたふたをし、天然海水(福岡県平松漁港にて採取)を瓶内のヘドロが巻き上がらないように静かに230ml注ぎ込み、水層容量/へドロ層容量が1.5となるようにした。鉄-炭素複合体10Aは円筒の上部からナイロン糸で結わえて回転駆動部80から吊り下げて5mm径の空気穴を設けた栓をした。
ねじ口瓶は恒温水槽に設置し、27℃の温度にセットして静置し、10日間馴致したのち、11日目に円筒内の部分の海水を入れ替え、回転駆動部80を起動して100rpmの速度で鉄-炭素複合体10Aを回転させながら約50日間さらに静置して瓶内の海水のORP、硫化水素濃度を定期的に測定した。
実施例1における試験装置の概要を図5(a)に、評価結果を図6に示す。図5(a)において、符号50は試験容器、符号60はヘドロ、符号70は海水、符号80は回転駆動部を意味する(図5(b)~(d)において同様である)。なお、鉄-炭素複合体10Aは、ブリケット成型し、800℃で焼成した造粒物(重さ:2.0g)を使用した。
[比較例1~4]
底面の内直径が55mmで容量220mlの丸型ねじ口瓶に150mlのヘドロ(福岡県平松漁港にて採取)を入れ、鉄-炭素複合体10Aを投入しなかったもの(比較例1;図示省略)、鉄-炭素複合体10Aをヘドロ上に置いたもの(比較例2;図5(b)参照)、鉄-炭素複合体10Aをヘドロ中(ヘドロから2.5cm下)に埋めたもの(比較例3;図5(c)参照)、ヘドロ上に水酸化鉄21mg相当を散布したもの(比較例4;図5(d)参照)を作製した。なお、比較例4では、鉄-炭素複合体10Aを海水中に浸漬することによって生成した水酸化鉄を回収し、40℃で乾燥したものを使用した。図5(d)において、水酸化鉄層を符号90で示す。
次いで、直径30mm(内直径21mm)、高さ25cmのアクリル製の円筒を取り付けたふたをし、天然海水(福岡県平松漁港にて採取)を瓶内のヘドロが巻き上がらないように静かに230ml注ぎ込み、水層容量/へドロ層容量が1.5となるようにした。円筒は上部に5mm径の空気穴を設けた栓をした。
ねじ口瓶は恒温水槽に設置し、27℃の温度にセットして10日間馴致したのち、11日目に円筒内の部分の海水を入れ替え、さらに約50日間静置して瓶内の海水のORP、硫化水素濃度を定期的に測定した。
以上の比較例1~4の評価結果を図6に示す。
試験開始(馴致期間含む)後より、比較例1(無添加)では急激にORPの低下が起き、硫化水素の発生が見られたが、鉄-炭素複合体10Aが上部水に接する実施例1および比較例2、比較例4については、ORPが上昇し、硫化水素の発生が抑制される結果となった。しかし、比較例2の硫化水素抑制効果は実施例1に劣る結果であった。比較例4については、初期の硫化水素の発生抑制効果が高いものの、水酸化鉄が定量しか入っていないため、硫化水素と反応して消費されてしまうと硫酸塩還元菌の活動が勝り、最終的に再度ORPは低下し、硫化水素が発生してしまうことが確認された。この原因として、水酸化鉄は、硫化水素と反応して硫化鉄となるが、硫酸塩還元菌は、発生した硫化鉄を棲家として活動、増殖するためと思われ、実際に静置50日後にはヘドロ表面の水酸化鉄層は黒変していた。
一方、実施例1については、上部に吊るした鉄-炭素複合体10Aから継続して発生した鉄イオンが溶存酸素と反応して水酸化鉄に変化し、回転により鉄-炭素複合体10Aから剥離・沈降して絶えずヘドロ表面に供給されるため、静置50日経過後でも茶褐色の水酸化鉄層がヘドロ表面に堆積していた。このような機構によって、実施例1では、硫化水素がほとんど発生せず、ORPも高い状態を継続しつづけることが確認され、発明の効果を実証することができた。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
1…鉄粒子、3…炭素質物、5…細孔、10A,10B…鉄-炭素複合体、11…鉄粒子、13…核材、15…炭素質物、20…収容体、30…浮遊体、40…沈降促進手段、50…試験容器、60…ヘドロ、70…海水、80…回転駆動部、90…水酸化鉄層、100…水、100a…水面、101…水底

Claims (4)

  1. 底質からの硫化水素の発生を抑制する方法であって、
    鉄と炭素を含む複合体を、浸漬深さが水面を基準として50cm以上の深さであって水底からの距離が50cmまでの範囲内の水中に浸漬して、局部電池効果により鉄イオンを発生せしめ、発生した前記鉄イオンを溶存酸素によって水酸化鉄に変化させて沈降させることによって、前記底質表面に連続的に供給することを特徴とする底質からの硫化水素の発生抑制方法。
  2. 前記複合体の破壊硬度が50N以上である請求項1に記載の底質からの硫化水素の発生抑制方法。
  3. 前記複合体として、下記(1)、(2)のいずれか一種を用いる請求項1又は2に記載の底質からの硫化水素の発生抑制方法。
    (1)鉄粉と炭素前駆体とを造粒焼結したもの。
    (2)塊状の炭素質物もしくは無機物の表面に、鉄粉を、炭素前駆体を用いて焼結固定したもの。
  4. 前記複合体の水中への浸漬が、前記水酸化鉄が沈降可能な収容体に前記複合体を収納し、水中に吊り下げることによる請求項1からのいずれか1項に記載の底質からの硫化水素の発生抑制方法。
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