JP6981763B2 - 水質改善材 - Google Patents
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Description
また、特許文献2および3のような材料については、鉄と炭素の局部電池作用を利用するために鉄の溶出量は多いものの、バインダーとして、澱粉や焼酎滓などの水溶性有機物を使用しているため、実際に一旦塊状物が崩壊してしまうと鉄と炭素の接触が不充分になりやすく、長期的な底質改善には疑問がある。また、バインダーとして使用した水溶性有機物が、逆に底質環境の生物学的酸素必要量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)を上げてしまうという問題もある。
さらに、特許文献4については、鉄を焼結するために有機系産業廃棄物を主とする有機物を使用しているため、鉄の溶出効率の低下や廃棄物に含まれる有害な重金属等による新たな汚染の可能性がある。
前記核材の表面の少なくとも一部分を被覆するように前記核材に固定化された鉄粒子と、
を備えている。
核材である無機材料の表面に、有機バインダー及び鉄粒子を付着させて鉄付着無機材料を得る工程、
前記鉄付着無機材料を500℃以上の還元雰囲気で焼成して前記水質改善材を得る工程、
を含むことを特徴とする。
核材である無機材料を100℃〜300℃の範囲内の温度に加熱する工程、
加熱された前記無機材料の表面に、有機バインダー及び鉄粒子を付着させて鉄付着無機材料を得る工程、
前記鉄付着無機材料を500℃以上の還元雰囲気で焼成して前記水質改善材を得る工程、
を含むことを特徴とする。
また、本発明の水質改善材は、製造が容易で低コストな材料であるため、大量の散布が可能である。しかも、使用によって重金属類による汚染やBOD、CODを増加させるなどの懸念がない安全な材料でもあるため、使用に際して新たな環境負荷が生じることもない。
本実施の形態の水質改善材10は、核材2に固定された鉄粒子1が、炭素と接触して局部電池を形成することにより、水中へ2価鉄イオンとして溶出し、夏場、特に貧酸素状態での悪臭(硫化水素など)や赤潮(異常プランクトン発生)を抑制するとともに、磯やけによる藻場の再生に寄与するものである。このため、焼成後の最終製品では鉄粒子1は金属鉄となっていることが望ましい。
鉄粒子1となる鉄原料としては、鉄粉の他、製鉄ダスト、砂鉄などの酸化鉄、鉄鉱石粉などを用いることが可能であるが、鉄を多く含有する鉄粉や酸化鉄が好ましい。より好ましくは鉄(Fe)を主成分として炭素(C)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)の少なくとも一種以上が0.5重量%以上含まれている鉄鋼材料である。なお、このような鉄粒子1として、鋳鉄や炭素鋼、ステンレス鋼等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
本実施の形態の水質改善材10において使用される核材2は、比重が水よりも大きく、かつ、水に浸漬したときのpH変動が小さく、500℃以上、好ましくは700℃以上の熱処理が行われても安定な材質であれば特に限定されるものではない。このような材料としては、無機材料が適している。核材2を構成する無機材料としては、例えば、溶岩岩塊などの天然石の砕石や、シリカ、アルミナなどのセラミックス、黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素などの炭素材料が挙げられるが、核材2の表面に固着された鉄粒子1と局部電池を形成することができる炭素材料が核材2としてより好ましい。
本実施の形態の水質改善材10は、核材2の表面への鉄粒子1を固着させるため、高温で炭素化する有機バインダーを使用する。有機バインダーとしては、タール、ピッチ、天然高分子及び有機高分子より選ばれる1種以上であることが好ましい。有機バインダーを用いることによって、焼成によって生成する炭素質物3が、核材2と鉄粒子1をより強固に固着させるだけでなく、水質改善材10の強度などの物性を改善できる。さらには、鉄粒子1と炭素質物3の間でも局部電池を形成することによって、より安定的、かつ高濃度な鉄イオンの溶出を促進することができる。そのような観点から、有機バインダーとしては、固定炭素分を20重量%以上有しており、芳香環を多く含有したピッチやフェノール樹脂、リグニン、またはフェノール成分を主成分とするリグニンスルホン酸塩などが好ましく、これらの中でも、固定炭素分が豊富で、結着力に優れたコールタールピッチが最も好ましい。
なお、コールタールピッチの中でも固定炭素分が50重量%以上あるものが焼成時の形状維持の面からも好ましく、このようなコールタールピッチとしては、例えば、株式会社シーケム製のBPやIP(いずれも製品名)が例示される。
また、コールタールピッチは、例えば30〜150℃の範囲内に軟化点があるものが好ましい。このような軟化点を持つコールタールピッチの使用は、加熱しながら混合物を成型(造粒)するブリケットマシンや、溶融造粒に代表される乾式造粒などの分子間力による造粒方法には非常に都合がよい。これらの方法により、核材2に鉄粒子1を付着させた後、そのまま焼成すれば良いので、効率良く水質改善材10を製造することが可能である。
結着助剤は、焼成時に分解もしくは炭化するものであればよく、例えば、ゼラチンやデンプン糊、廃糖蜜、リグニンスルホン酸塩、コンニャク飛粉、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、デキストリン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などが好適である。結着助剤を使用する場合、有機バインダーと結着助剤の重量配合比(有機バインダー:結着助剤)は、例えば99:1〜30:70とすることが好ましい。このような範囲内となるように結着助剤の配合比を調整することによって、鉄粒子1の付着性や鉄イオンの溶出等に悪影響を及ぼすことなく、本実施の形態の水質改善材10を容易に製造することができる。
本実施の形態の水質改善材10における鉄粒子1の付着量は、水中での2価鉄イオン溶出の持続性に応じて調整され得るが、例えば、核材2の100重量部に対して鉄粒子1が1〜100重量部の範囲内であり、好ましくは5〜80重量部の範囲内、より好ましくは20〜50重量部の範囲内である。鉄粒子1の付着量が1重量部未満であると、核材2や有機バインダー由来の炭素質物3に直接接触する割合が極端に少なくなるので局部電池を形成しにくくなり、また、表面に露出する鉄が少なすぎる結果、2価鉄イオンの供給能力が低いとともに持続性が悪くなる。一方、鉄粒子1の付着量が100重量部を超えると、局部電池が形成され十分な鉄イオン供給能力は備わるが、鉄イオンが急激にかつ大量に発生する為に、材料表面が鉄の水酸化物で厚く覆われてしまい、流れの弱い底層では海水との接触が遮断されて、かえって鉄イオン発生量が低減することがあり、好ましくない。
なお、鉄粒子1には、鉄以外にその他微量の元素(Ni、Mnなど)も含まれていてもよいが、上記付着量は、単純に鉄粒子1の付着量を指す。
本実施の形態の水質改善材10における鉄と炭素の比率については、核材2に炭素材料を使用するか、非炭素材料を使用するかによって異なる範囲となる。前者(核材2に炭素材料を使用する場合)においては、核材2と有機バインダー、結着助剤等に由来する炭素の合計100重量部に対して、鉄を1〜100重量部の範囲内が適している。後者(核材2に非炭素材料を使用する場合)においては、有機バインダー、結着助剤等に由来する炭素の合計100重量部に対して、鉄を50〜500重量部の範囲内が適する。鉄と炭素の比率が上記範囲内となるように最適化することによって、鉄と炭素による局部電池がより効果的に発現され、鉄イオンの溶出が高濃度で継続的に起こるとともに、核材2に対する鉄粒子1の強固な固着性を確保できる。
本実施の形態の水質改善材10は、その見かけ比重が、1.2以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましい。見かけ比重が1.2未満であると、鉄粒子1の付着量が少ないうえに、潮の干満などの水流による搖動で散布した位置から水質改善材10が流出してしまいやすくなる。また、核材2の見かけ比重と水質改善材10の見かけ比重の差が、1.2〜2.0倍の範囲内にあることが好ましい。
本実施の形態の水質改善材10は、その表面の鉄粒子1が核材2に直接、または有機バインダーによって間接的に固着されているため、輸送や散布時において鉄粒子1の脱落がなく、かつ散布後の持続的な鉄イオンの溶出を可能とする。
鉄粒子1の結着性は、所定量の水質改善材10を、ミキサーなどを用いて一定時間機械的に撹拌することによって評価することが可能である。鉄粒子1の結着性は、撹拌前の水質改善材10の重量aに対する撹拌後の水質改善材10の重量bの比率[(b/a)×100%]として表すことができる。結着性は、95%以上あることが好ましく、97%以上であることがより好ましい。鉄粒子1の結着性が95%未満であると鉄粒子1の脱落が多くなり、水質改善効果が得られにくくなる。
本実施の形態の水質改善材10は、その表面に固着された鉄粒子1の表面の少なくとも一部が有機バインダー由来の炭素質物3から露出した状態となっていることが必須である。走査型電子顕微鏡(SEM)による観察からは、鉄粒子1の炭素質物3による被覆率は10〜90%の範囲内が適しており、好ましくは10〜70%の範囲内である。被覆率が10%未満であると鉄と炭素の接触が少ないために鉄イオンの溶出量が低下するだけでなく、鉄粒子1が脱落しやすい状態であるので好ましくない。また、被覆率が90%を超えると、鉄粒子1の露出面積が小さすぎるために鉄イオンの溶出量が少なくなるので好ましくない。なお、被覆率は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、水質改善材10に付着している鉄粒子1を任意に50個選び、各鉄粒子1について、その全表面積に対する、炭素質物3で覆われている部分の面積の比率を算出し、平均したものである。
また、本実施の形態の水質改善材10は、3重量%濃度の塩水に7日間の浸漬を3回繰り返したときの水質改善材10の鉄付着量1gあたりにおける1日あたりの鉄溶出量が0.7mg以上であることが好ましく、1.2mg以上がより好ましく、さらに、1.5mg以上であることが望ましい。このように底質環境中に高濃度の2価鉄イオンを供給することによって、硫化水素やリンをトラップして短期間で水質改善効果を得ることができるほか、微生物をはじめとする生物群の活性を高めてより高い水質改善効果を上げることが可能となる。
さらに、本実施の形態の水質改善材10は、不活性雰囲気中での熱重量分析における100℃〜500℃までの温度における重量減少率が1%以下であることが好ましい。100℃から500℃までの重量減少率が1%以下であるということは、核材2や有機バインダーなどに含まれる有機物が完全に炭素化していることを示している。そのため、水中に散布したときに鉄粒子1が脱離しにくく、かつ環境に有害な有機化合物が水質改善材10から溶出することが無いため、本材料による新たな環境負荷を生じることもない。
なお、前記の鉱物系の無機物には、鉛や銅、クロム、カドミウムなどの環境上有害な重金属は含まれない。
本実施の形態の水質改善材10は、核材2の表面に鉄粒子1が、有機バインダー等に由来する炭素質物3で結着され、鉄粒子1の一部が表面に露出していれば、製造方法としては特に限定されるものはない。
製法1は、以下の工程A〜工程Dを含むことができる。
工程A:
鉄粒子1となる鉄原料及び有機バインダー(さらに、必要に応じて有機溶剤や結着助剤を含んでもよい。以下、「有機バインダー等」と記すことがある)を混合し、それらの複合物を製造する工程。
工程B:
核材2を100℃〜300℃の範囲内の温度で加熱する工程。
工程C:
加熱された核材2の表面に、工程Aで得た複合物を付着させて鉄付着無機材料を作製する工程。
工程D:
鉄付着無機材料を不活性または還元雰囲気において500℃以上の温度で焼成して水質改善材10を得る工程。
製法2は、製法1の工程B、工程Cに替えて、以下の工程B1、工程C1を含むことができる。なお、工程A、工程Dは、製法1と同様である。
工程B1:
核材2を、有機溶媒に浸漬するか、又は核材2に有機溶媒をスプレーして、表面および内部を有機溶媒で濡らして含浸させる工程。
工程C1:
有機溶媒を含浸させた核材2と、工程Aで得た複合物を混合した後、有機溶媒により有機バインダーを溶解しながら鉄原料を核材2に付着させて鉄付着無機材料を作製する工程。
なお、工程C1は、常温で、または加温しながら行うことができる。
製法3は、製法1の工程B、工程Cに替えて、以下の工程B2、工程C2を含むことができる。なお、工程A、工程Dは、製法1と同様である。
工程B2:
核材2をアクリル、エポキシなどの有機系又はでんぷんのりなどの水系の結着助剤に浸漬するか、または核材2に結着助剤をスプレーして、表面を濡らしておく工程:
工程C2:
結着助剤で濡れた核材2と、工程Aで得た複合物を混合し、鉄原料を核材2に付着させて鉄付着無機材料を作成する工程。
ただし、核材2の表面を加熱して有機バインダーを熱で溶融して結着させる場合には、核材2の表面温度を有機バインダーの軟化点または融点以上の温度を確保しておく必要がある。具体的には、前段階の工程Bで核材2を、100℃〜300℃の範囲内の温度、好ましくは有機バインダーの軟化点または融点よりも30〜150℃の範囲内で高い温度に加熱しておくとよい。たとえば、軟化点が90℃のバインダーピッチの場合には、核材2の表面を200℃くらいに加熱しておくと接着性が高くなる。加熱温度が低すぎると、有機バインダーが軟化または溶融せず、接着性が低く、鉄粒子1が欠落しやすい。加熱温度が高すぎると、有機バインダーがダマになり、核材2の表面に均一に付着しない。
なお、工程Dの焼成は複数回行ってもよく、一度焼成した水質改善材10を鉄やマンガンなどの化合物の水溶液に浸漬したのち、再度焼成を行うこともできる。
電子比重計(EW−300SG、アズワン)を用いてアルキメデス法により測定した。
30回転/分のボールミル用ポットに水質改善材を入れて、30rpmで3分間回転したのち重量を測定し、処理前後の重量比から以下の基準により判定した
○(良好):処理前後の重量比が95%以上
×(不良):処理前後の重量比が95%未満
造粒物を乳鉢で粉砕し、窒素雰囲気下で熱重量分析(TGA)を行い、熱重量減少率を測定した。測定には、株式会社リガク製 急速加熱示差熱天秤 R−TG−DTA/H8120を用い、昇温スピードは15℃/分で、100℃から500℃まで昇温させたときの重量減少率を測定した。
材料を乳鉢で粉砕し、湿式分解−誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法にて測定した。
走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、水質改善材表面の鉄粒子を任意で50個選び、各鉄粒子について、画像解析ソフト(WinRooF:三谷商事株式会社製)を用いてその全表面積に対する、炭素質物で覆われている部分の面積の比率を算出し、平均したものである。
3重量%濃度の塩化ナトリウム水溶液を作製し、超音波で10分処理した後、25℃、真空下(0.88MPa)で60分間、脱気処理したものを塩水浸漬テストに用いた。また、塩水浸漬は窒素雰囲気のデシケータ内で行った。
テストに用いた水質改善材の重量に対して、20倍量の塩化ナトリウム水溶液をガラス製サンプル瓶にいれる(たとえば、水質改善材が5gの場合には100gの塩化ナトリウム水溶液に浸漬する)。これを真空デシケータ内で、真空下(0.88MPa)で60分間、脱気処理して、窒素ガスを大気圧になるまで封入する。
7日間静置後、サンプル瓶を5秒間で10回、手で振とうしたのち、材料をピンセットでとりだして、新しい塩化ナトリウム水溶液を加えて、上記の要領で塩水浸漬テストを合計3回繰り返した。3回目終了後の浸漬テスト後の水溶液を回収し、10%の硝酸を塩化ナトリウム水溶液の1/30の容量加え、加熱攪拌して、発生した鉄イオンを全量溶解した。得られた溶解液について、パックテスト−Fe、デジタルパックテストマルチSP(登録商標;株式会社共立理化学研究所)によって全鉄濃度を測定し、下記の式(1)により、核材に付着した鉄粒子1g当たりにおける1日当たりの鉄溶出量(mg/鉄1g/日)を算出した。
鉄溶出量(mg/鉄1g/日)=[(C×V)÷W]÷D …(1)
[式(1)において、
C:浸漬テスト3回目の全鉄濃度(ppm)、
V:テスト後の回収液量(ml)、
W:試験に用いた水質改善材の鉄付着量(g)、
D:浸漬テスト3回目の浸漬期間:7日間、 を意味する]
・鉄粒子
鋳鉄粉(竹内工業株式会社製、28メッシュアンダー品 炭素:2〜4重量%、Si:4重量%以下、Mn:0.5〜1.5重量%、P:0.03重量%以下、S:0.03重量%以下)
・核材
ピッチコークス塊(新日鉄住金化学株式会社製、嵩密度:1.32、重量:1.0〜2.0g/個)
・有機バインダー
コールタールピッチ粉(新日鉄住金化学株式会社製、軟化点:85℃、固定炭素分:58重量%、50メッシュアンダー)
・結着助剤
(1)アクリル樹脂(スリーエム ジャパン株式会社製、3M99 アクリル樹脂系スプレー)
(2)可溶性でんぷん(和光純薬製、固定炭素分:9.3重量%)
(3)エポキシ樹脂(スリーエム ジャパン株式会社製、スリーボンドエポキシ系接着剤TB2082C)
ピッチコークス塊1.1gをガラス製サンプル瓶に入れた10gのトルエンに大気下で1時間浸漬し、ピッチコークス中のオープンポアにトルエン(和光純薬工業製 試薬1級)を染み込ませた。重量比で鋳鉄粉:コールタールピッチ粉(以下、「BP」と記す)=8.5:1.5を混合した混合粉20gをサンプル瓶に準備した。サンプル瓶の混合粉中にトルエンを染み込ませたピッチコークス塊を入れて、卓上型ボールミル回転架台で120rpmで1分攪拌して、ピッチコークス塊表面に鋳鉄粉とBPを付着させた。それを24℃で1昼静置させ、染み込んだトルエンを徐々に放散させながら、BPを溶解させて鋳鉄粉をピッチコークス塊に付着させた。
ピッチコークス塊1.3gを250℃の高温炉に3時間入れて加熱した。重量比で鋳鉄粉:BP=8.5:1.5を混合した混合粉20gをサンプル瓶に準備する。サンプル瓶の混合粉中に加熱したピッチコークス塊を入れて、卓上型ボールミル回転架台で120rpmで1分攪拌して、ピッチコークス塊表面に鋳鉄粉とBPを付着させた。
その後は実施例1と同様にして焼成・冷却を行い、実施例2となる水質改善材を得た。
ピッチコークス塊1.3gを可溶性でんぷん5重量%水溶液に1時間浸漬した。重量比で鋳鉄粉:BP=8.5:1.5を混合した混合粉20gをサンプル瓶に準備する。サンプル瓶の混合粉中に可溶性でんぷんを付着したピッチコークス塊を入れて、卓上型ボールミル回転架台で120rpmで1分攪拌して、ピッチコークス塊表面に鋳鉄粉とBPを付着させた。その後、60℃で1昼夜乾燥して、ピッチコークス塊表面に鋳鉄粉とBPを付着させた。
その後は実施例1と同様にして焼成・冷却を行い、実施例3となる水質改善材を得た。
ピッチコークス塊1.2gに粘着性のアクリル樹脂をスプレー塗布した。重量比で鋳鉄粉:BP=8.5:1.5を混合した混合粉20gをサンプル瓶に準備する。サンプル瓶の混合粉中にアクリル樹脂が付着したピッチコークス塊を入れて、卓上型ボールミル回転架台で120rpmで1分攪拌して、ピッチコークス塊表面に鋳鉄粉とBPを付着させた。その後、60℃で1昼夜乾燥して、ピッチコークス塊表面に鋳鉄粉とBPを付着させた。
その後は実施例1と同様にして焼成を行い、実施例4となる水質改善材である焼成物を取り出した。
ピッチコークス塊1.3gを250℃の高温炉に3時間入れて加熱した。乳鉢に鋳鉄粉20gとBP2.5を混合し、さらにトルエン3gを添加して混合し、60℃で乾燥した。乾燥後、BPで被覆された鋳鉄粉を再度乳鉢で破砕した。次に、BPが付着した鋳鉄粉:BP=8.5:1.5を混合した混合粉20gをサンプル瓶に準備した。サンプル瓶の混合粉中に加熱したピッチコークス塊を入れて、卓上型ボールミル回転架台で120rpmで1分攪拌して、ピッチコークス塊表面に鋳鉄粉とBPを付着させた。
その後は実施例1と同様にして焼成・冷却を行い、実施例5となる水質改善材である焼成物を得た。
未処理の鋳鉄粉を単独で使用した。
重量比で鋳鉄粉:BP:エポキシ樹脂(液状)=25:65:10を乳鉢で混合し、10MPaで20φの円盤1.9gをプレス成型した。50℃で1昼夜硬化させた。
焼成を行わなかったこと以外は実施例4と同様にアクリル樹脂を結着助剤とし鋳鉄粉とBPを付着させたピッチコークス塊を作製した。
焼成を行わなかったこと以外は実施例3と同様に可溶性でんぷんを結着助剤とし鋳鉄粉とBPを付着させたピッチコークス塊を作製した。
焼成を行わなかったこと以外は実施例2と同様にして、鋳鉄粉とBPを付着させたピッチコークス塊を作製した
また、実施例は900℃以上で焼成をおこなっているために、炭化の進行と炭素質物3の導電性の向上により、焼成を行わず、BPを加熱溶融させただけの比較例5よりも2価鉄イオン溶出量が多く、環境に有害な有機化合物などが溶出するおそれもない。
Claims (7)
- 塊状の無機材料からなる核材と、
前記核材の表面の少なくとも一部分を被覆するように前記核材に固定化された複数の鉄粒子と、
前記鉄粒子を前記核材に固定化している炭素質物と、
を備えている焼成物であり、
前記複数の鉄粒子が、表面の少なくとも一部が前記炭素質物から露出している鉄粒子を含んでおり、
不活性雰囲気中での熱重量分析において100℃〜500℃までの温度における重量減少率が1%以下である水質改善材。 - 前記無機材料が、黒鉛、易黒鉛化炭素及び難黒鉛化炭素から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の水質改善材。
- 前記炭素質物が、タール、ピッチ、天然高分子及び有機高分子より選ばれる1種以上の有機バインダー由来である請求項1又は2に記載の水質改善材。
- 濃度3重量%の塩水への7日間の浸漬を3回繰り返した時の、前記核材に付着した前記鉄粒子1g当たりにおける1日当たりの平均鉄溶出量が0.7mg以上である請求項1から3のいずれか1項に記載の水質改善材。
- 底質環境改善材料である請求項1から4のいずれか1項に記載の水質改善材。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の水質改善材の製造方法であって、
核材である無機材料の表面に、有機バインダー及び鉄粒子を付着させて鉄付着無機材料を得る工程、
前記鉄付着無機材料を500℃以上の還元雰囲気で焼成して前記水質改善材を得る工程、
を含む水質改善材の製造方法。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の水質改善材の製造方法であって、
核材である無機材料を100℃〜300℃の範囲内の温度に加熱する工程、
加熱された前記無機材料の表面に、有機バインダー及び鉄粒子を付着させて鉄付着無機材料を得る工程、
前記鉄付着無機材料を500℃以上の還元雰囲気で焼成して前記水質改善材を得る工程、
を含む水質改善材の製造方法。
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