JP7281953B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
本発明は、基材層および偏光層から構成される積層体に関する。
特許文献1には、延伸可能な表示装置が提案されている。特許文献2には、熱曲げ加工可能な偏光板が提案されている。
本発明の目的は、延伸した場合でも、視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度といった光学特性が著しく変化せず、かつヘイズおよびクラックといった外観不良も生じない延伸可能な積層体を提供することである。
本発明は、以下に示す積層体を提供する。
[1] 基材層および偏光層から構成される延伸可能な積層体であって、前記基材層の水分率は、5.0%以下であり、以下の式(1)を満たす、積層体。
|EA-ET|/|EA+ET|≦0.25 (1)
[式中、EAおよびETはそれぞれ、吸収軸方向および透過軸方向における引張弾性率を示す]
[2] 全ヘイズ値が3%以下である、[1]に記載の積層体。
[3] 前記偏光層の厚みは、0.5μm~10μmである、[1]または[2]に記載の積層体。
[4] 前記偏光層は、重合性液晶化合物と二色性色素とを含む偏光層形成用組成物の硬化物から構成される、[1]~[3]のいずれか1つに記載の積層体。
[5] 前記偏光層中の二色性色素の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して0.1~30質量部である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の積層体。
[6] 前記偏光層側に粘着剤層を更に有する、[1]~[5]のいずれか1つに記載の積層体。
[7] 前記粘着剤層を介して積層される位相差層を有する[6]に記載の積層体。
[8] [1]~[7]のいずれか1つに記載の積層体が、画像表示素子に貼合された、表示装置。
[1] 基材層および偏光層から構成される延伸可能な積層体であって、前記基材層の水分率は、5.0%以下であり、以下の式(1)を満たす、積層体。
|EA-ET|/|EA+ET|≦0.25 (1)
[式中、EAおよびETはそれぞれ、吸収軸方向および透過軸方向における引張弾性率を示す]
[2] 全ヘイズ値が3%以下である、[1]に記載の積層体。
[3] 前記偏光層の厚みは、0.5μm~10μmである、[1]または[2]に記載の積層体。
[4] 前記偏光層は、重合性液晶化合物と二色性色素とを含む偏光層形成用組成物の硬化物から構成される、[1]~[3]のいずれか1つに記載の積層体。
[5] 前記偏光層中の二色性色素の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して0.1~30質量部である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の積層体。
[6] 前記偏光層側に粘着剤層を更に有する、[1]~[5]のいずれか1つに記載の積層体。
[7] 前記粘着剤層を介して積層される位相差層を有する[6]に記載の積層体。
[8] [1]~[7]のいずれか1つに記載の積層体が、画像表示素子に貼合された、表示装置。
本発明の一態様によれば、延伸した場合でも、視感度補正単体透過率や視感度補正偏光度といった光学特性が著しく変化せず、かつヘイズやクラックといった外観不良も生じない延伸可能な積層体を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の一態様に係る積層体(以下、単に「積層体」ともいう)について説明する。
<積層体>
図1に本発明の一態様に係る積層体の概略断面図を示す。積層体10は、基材層11および偏光層12から構成される延伸可能な積層体である。延伸可能とは、積層体10を、吸収軸方向および/または透過軸方向へと引張した場合、破断せずに伸長することができることをいう。吸収軸方向とは、偏光層12を構成する後述の二色性色素および重合性液晶化合物が基材層面に対して水平配向した状態で重合性液晶化合物が硬化された場合や液晶性を示す二色性色素が基材層面に対して水平配向した場合において、二色性色素および重合性液晶化合物の配向方向をいう。透過軸方向とは、偏光層12を構成する後述の二色性色素と重合性液晶化合物とが基材層面に対して水平配向した状態で重合性液晶化合物が硬化された場合や液晶性を示す二色性色素が基材層面に対して水平配向した場合において、基材層面に対して水平な方向であって、かつ配向方向に対して垂直な方向をいう。偏光層の配向状態は偏光顕微鏡観察によって確認することができる。偏光顕微鏡クロスニコルの間に約45°の方向に積層体サンプルを挿入し、光抜けの状態で観察する。垂直方向に配向している場合、光抜けは発生せずに暗視野の状態が観察され、水平配向している場合、光抜けが発生して明視野の状態で観察される。
図1に本発明の一態様に係る積層体の概略断面図を示す。積層体10は、基材層11および偏光層12から構成される延伸可能な積層体である。延伸可能とは、積層体10を、吸収軸方向および/または透過軸方向へと引張した場合、破断せずに伸長することができることをいう。吸収軸方向とは、偏光層12を構成する後述の二色性色素および重合性液晶化合物が基材層面に対して水平配向した状態で重合性液晶化合物が硬化された場合や液晶性を示す二色性色素が基材層面に対して水平配向した場合において、二色性色素および重合性液晶化合物の配向方向をいう。透過軸方向とは、偏光層12を構成する後述の二色性色素と重合性液晶化合物とが基材層面に対して水平配向した状態で重合性液晶化合物が硬化された場合や液晶性を示す二色性色素が基材層面に対して水平配向した場合において、基材層面に対して水平な方向であって、かつ配向方向に対して垂直な方向をいう。偏光層の配向状態は偏光顕微鏡観察によって確認することができる。偏光顕微鏡クロスニコルの間に約45°の方向に積層体サンプルを挿入し、光抜けの状態で観察する。垂直方向に配向している場合、光抜けは発生せずに暗視野の状態が観察され、水平配向している場合、光抜けが発生して明視野の状態で観察される。
積層体10は、吸収軸方向および透過軸方向における破断伸び率がいずれも例えば5%以上であってよい。吸収軸方向および透過軸方向における破断伸び率がいずれも5%以上である場合、十分な延伸性が得られ易くなる傾向にある。積層体10は、吸収軸方向および透過軸方向における破断伸び率がいずれも好ましくは5%~20%であり、より好ましくは5%~15%である。吸収軸方向および透過軸方向における破断伸び率がいずれも5%~20%である場合、十分な延伸性が得られ易くなると共に、光学特性の変化や、ヘイズおよびクラックといった外観不良が起こり難くなる傾向にある。吸収軸方向および透過軸方向における破断伸び率は、引張試験において吸収軸方向または透過軸方向に引張した場合に積層体が破断した時の伸び率であり、JIS K7161に準拠して、例えばUTM(Universal Testing Machine、オートグラフAG-X、株式会社島津製作所)を用いて測定することができる。破断伸び率は、常温(温度23℃)における値を採用することができる。
積層体10は、吸収軸方向および透過軸方向における引張弾性率をそれぞれEAおよびETとした場合、以下の式(1)を満たす。
|EA-ET|/|EA+ET|≦0.25 (1)
積層体10が式(1)を満たさない場合、積層体10を引張した場合に、光学特性が変化したり、破断したり、あるいはヘイズおよびクラック等の外観不良が起こったりし易くなる傾向にある。この理由としては、積層体が等方的にある程度の大きさの引張弾性率を持つことで、積層体を延伸した場合でも積層体の光学特性が維持されると推定されるが、本発明はこの推定に何ら限定されない。引張弾性率は、後述の実施例の欄において説明する測定方法に従って測定することができる。|EA-ET|/|EA+ET|の下限値は、例えば0.01であってよい。引張弾性率は、常温(温度23℃)における値を採用することができる。
|EA-ET|/|EA+ET|≦0.25 (1)
積層体10が式(1)を満たさない場合、積層体10を引張した場合に、光学特性が変化したり、破断したり、あるいはヘイズおよびクラック等の外観不良が起こったりし易くなる傾向にある。この理由としては、積層体が等方的にある程度の大きさの引張弾性率を持つことで、積層体を延伸した場合でも積層体の光学特性が維持されると推定されるが、本発明はこの推定に何ら限定されない。引張弾性率は、後述の実施例の欄において説明する測定方法に従って測定することができる。|EA-ET|/|EA+ET|の下限値は、例えば0.01であってよい。引張弾性率は、常温(温度23℃)における値を採用することができる。
積層体10は、式(1)を満たすように、例えば基材層11、偏光層12および配向層の厚みの調節、基材層に用いる材料の選定、偏光層を形成するための二色性色素や重合性液晶化合物の選定やそれらの組成比の調節、配向層形成用組成物に用いる原料の選定および組成比の調節、偏光層および配向層を形成するための条件、例えば塗布、乾燥および重合条件等の調節等を組合わせることにより製造することができる。特に積層体の引張弾性率は基材層の引張弾性率と関係するので、基材層としては伸び率が5%以上であるものを使用することが好ましい。
積層体10は、好ましくは以下の式(2)を満たす。
|EA-ET|/|EA+ET|≦0.20 (2)
|EA-ET|/|EA+ET|≦0.20 (2)
引張弾性率EAおよびETはいずれも、例えば1MPa~30,000MPaであってよく、好ましくは10MPa~20,000MPa、より好ましくは50MPa~15,000MPaである。引張弾性率EAおよびETがいずれも50MPa~15,000MPaである場合、積層体10を延伸した場合でも破断しにくくなる傾向にある。
積層体10は、全ヘイズ値が例えば3%以下であってよい。全ヘイズ値が3%以下である場合、表示装置に好適に用いることができる。積層体10は、全ヘイズ値が好ましくは2.8%以下、より好ましくは2.5%以下である。全ヘイズ値が3%以下である場合、積層体10を表示装置に用いた場合、視認性が向上し易くなる傾向にある。全ヘイズ値は、後述する実施例の欄において説明する方法に従って測定することができる。一方、全ヘイズ値は、通常、0.1%以上である。全ヘイズ値は、後述の実施例の欄において説明する測定方法に従って測定することができる。
積層体10は、延伸前後の全ヘイズ値の差(ΔH)が例えば1.5%以下であってよく、好ましくは1.2%以下、より好ましくは1%以下である。好ましい実施態様において、積層体10は、延伸前と5%延伸後の全ヘイズ値の差(ΔH)が例えば1.5%以下であってよく、好ましくは1.2%以下、より好ましくは1%以下である。より好ましい実施態様において、積層体10は、延伸前と10%延伸後の全ヘイズ値の差(ΔH)が例えば1.5%以下であってよく、好ましくは1.2%以下、より好ましくは1%以下である。
積層体10の偏光性能は、分光光度計を用いて測定することができる。例えば、可視光である波長380nm~780nmの範囲で透過軸方向(配向垂直方向)の透過率(T1)および吸収軸方向(配向同一方向)の透過率(T2)を、分光光度計に偏光子付フォルダーをセットした装置を用いてダブルビーム法で測定することができる。可視光範囲での偏光性能は、下記式(3)ならびに式(4)を用いて、各波長における単体透過率、偏光度を算出し、さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことで、視感度補正単体透過率(Ty)および視感度補正偏光度(Py)を算出することができる。
単体透過率(%)=(T1+T2)/2 式(3)
偏光度(%)=(T1-T2)/(T1+T2)×100 式(4)
単体透過率(%)=(T1+T2)/2 式(3)
偏光度(%)=(T1-T2)/(T1+T2)×100 式(4)
積層体10は、視感度補正単体透過率が例えば30%以上であってよく、好ましくは35%以上、より好ましくは38%以上である。一方、積層体10は、視感度補正単体透過率が通常、70%以下である。視感度補正単体透過率は後述する実施例の欄において説明する方法に従って測定することができる。
積層体10は、吸収軸方向および透過軸方向への延伸前後の視感度補正単体透過率の差(ΔT)がいずれも例えば1.5%以下であってよく、好ましくは1.2%以下、より好ましくは1%以下である。好ましい実施態様において、積層体10は、延伸前と吸収軸方向および透過軸方向への5%延伸後との視感度補正単体透過率の差(ΔT)がいずれも例えば1.5%以下であってよく、好ましくは1.2%以下、より好ましくは1%以下である。より好ましい実施態様において、積層体10は、延伸前と吸収軸方向および透過軸方向への10%延伸後との視感度補正単体透過率値の差(ΔT)がいずれも例えば1.5%以下であってよく、好ましくは1.2%以下、より好ましくは1%以下である。
積層体10は、視感度補正偏光度が例えば80%以上であってよく、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。一方、積層体10は、視感度補正偏光度が通常、100%以下であり、99.99%以下であってもよい。視感度補正偏光度は後述する実施例の欄において説明する方法に従って測定することができる。
積層体10は、吸収軸方向および透過軸方向への延伸前後の視感度補正偏光度の差(ΔP)がいずれも例えば3%以下であってよく、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下である。好ましい実施態様において、積層体10は、延伸前と吸収軸方向および透過軸方向への5%延伸後との視感度補正偏光度の差(ΔP)がいずれも例えば3%以下であってよく、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下である。より好ましい実施態様において、積層体10は、延伸前と吸収軸方向および透過軸方向への10%延伸後との視感度補正偏光度の差(ΔP)がいずれも例えば3%以下であってよく、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下である。
積層体10は、厚みが例えば25μm~1000μmであってよく、好ましくは30μm~500μmであり、より好ましくは35μm~100μmである。積層体10の厚みが25μm~1000μmである場合、表示装置を薄膜化し易くなる傾向にある。
以下、積層体10を構成する各層について説明する。
[基材層]
基材層11は、例えば樹脂フィルムから構成されてよく、好ましくは透明樹脂フィルムから構成されてよい。樹脂フィルムは、長尺のロール状樹脂フィルムであってよく、枚葉状樹脂フィルムであってよい。連続的に製造できる点で長尺のロール状樹脂フィルムが好ましい。
基材層11は、例えば樹脂フィルムから構成されてよく、好ましくは透明樹脂フィルムから構成されてよい。樹脂フィルムは、長尺のロール状樹脂フィルムであってよく、枚葉状樹脂フィルムであってよい。連続的に製造できる点で長尺のロール状樹脂フィルムが好ましい。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースおよびセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンオキシド等のプラスチックが挙げられる。中でも環状オレフィン系樹脂、セルロースエステルおよびポリイミドが好ましい。
環状オレフィン系樹脂の代表的市販品の例としては、“Topas”(登録商標)(Ticona社(独)製)、“アートン”(登録商標)(JSR株式会社製)、“ゼオノア(ZEONOR)”(登録商標)、“ゼオネックス(ZEONEX)”(登録商標)(以上、日本ゼオン株式会社製)および“アペル”(登録商標)(三井化学株式会社製)等が挙げられる。このような環状オレフィン系樹脂を、溶剤キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して、樹脂フィルムとすることができる。市販されている環状オレフィン系樹脂フィルムを用いることもできる。環状オレフィン系樹脂フィルムの代表的市販品の例としては、“エスシーナ”(登録商標)、“SCA40”(登録商標)(以上、積水化学工業株式会社製)、“ゼオノアフィルム”(登録商標)(オプテス株式会社製)および“アートンフィルム”(登録商標)(JSR株式会社製)等が挙げられる。
セルロースエステルから構成される樹脂フィルムの代表的市販品の例としては、“フジタックフィルム”(富士写真フイルム株式会社製);“KC8UX2M”、“KC8UY”および“KC4UY”(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
基材層11の水分率は、5.0%以下であり、3.0%以下であることが好ましい。基材層11の水分率は、0.0%以上であることができる。基材層11の水分率が5.0%以下である場合、偏光層12を形成するときに、重合性液晶および二色性色素の配向方向の均一性が高まる傾向にある。特に、積層体10を延伸した場合、光学特性のムラが視認されやすくなるところ、延伸後であっても偏光層が良好な光学特性を維持しやすい。基材層の水分率は、後述の実施例に記載された方法で測定される。
樹脂フィルムの厚みは、積層体10の薄膜化の観点からは薄い方が好ましいが、あまりに薄いと耐衝撃性が確保しにくくなる傾向がある。樹脂フィルムの厚みは、例えば10~200μmであってよく、好ましくは15~150μm、より好ましくは20~100μmである。
基材層11は、少なくとも一方の表面にハードコート層、反射防止層、または帯電防止層を有していてもよい。基材層11は、偏光層12が形成されない側の表面のみに、ハードコート層、反射防止層、帯電防止層等が形成されていてもよい。基材層11は、偏光層12が形成されている側の表面のみに、ハードコート層、反射防止層、帯電防止層等が形成されていてもよい。基材層11として、後述のウインドウフィルムを用いることもできる。
[偏光層]
偏光層12は、1以上の重合性液晶化合物[以下、重合性液晶(a)ともいう]および二色性色素を含む組成物の硬化物から構成される層または、1以上の液晶性を示す二色性色素を含む組成物の硬化物から構成される層であることが好ましい。偏光層12が積層体10平面方向での偏光特性を有する場合、二色性色素と重合性液晶(a)が、積層体10平面に対して水平配向した状態で重合性液晶(a)を硬化するか、積層体10平面に対して液晶性を示す二色性色素が水平配向すればよく、偏光層12が積層体10の厚み方向での偏光特性を有する場合、二色性色素と重合性液晶(a)とが、積層体10平面に対して垂直配向した常態で重合性液晶(a)を硬化するか、積層体10平面に対して液晶性を示す二色性色素が垂直配向すればよい。偏光層12は、コーティング層であることが好ましく、例えば1以上の重合性液晶(a)と二色性色素とを含有する偏光層形成用組成物[以下、組成物(A)ともいう]の硬化物であってよい。
偏光層12は、1以上の重合性液晶化合物[以下、重合性液晶(a)ともいう]および二色性色素を含む組成物の硬化物から構成される層または、1以上の液晶性を示す二色性色素を含む組成物の硬化物から構成される層であることが好ましい。偏光層12が積層体10平面方向での偏光特性を有する場合、二色性色素と重合性液晶(a)が、積層体10平面に対して水平配向した状態で重合性液晶(a)を硬化するか、積層体10平面に対して液晶性を示す二色性色素が水平配向すればよく、偏光層12が積層体10の厚み方向での偏光特性を有する場合、二色性色素と重合性液晶(a)とが、積層体10平面に対して垂直配向した常態で重合性液晶(a)を硬化するか、積層体10平面に対して液晶性を示す二色性色素が垂直配向すればよい。偏光層12は、コーティング層であることが好ましく、例えば1以上の重合性液晶(a)と二色性色素とを含有する偏光層形成用組成物[以下、組成物(A)ともいう]の硬化物であってよい。
偏光層12は、厚みが例えば0.5~10μmであってよく、好ましくは1~8μmであり、より好ましくは1.5~5μmである。
偏光層12は、例えば組成物(A)を、基材層11または後述する配向層上に塗布し、得られた塗膜中の重合性液晶(a)を重合させることにより形成することができる。
(重合性液晶)
重合性液晶(a)は、重合性基を有し、かつ液晶性を有する化合物である。重合性基は、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。液晶性はサーモトロピック液晶でもリオトロピック液晶でもよいが、後述する二色性色素と混合する場合には、サーモトロピック液晶が好ましい。
重合性液晶(a)は、重合性基を有し、かつ液晶性を有する化合物である。重合性基は、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。液晶性はサーモトロピック液晶でもリオトロピック液晶でもよいが、後述する二色性色素と混合する場合には、サーモトロピック液晶が好ましい。
重合性液晶(a)がサーモトロピック液晶である場合は、ネマチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であってもよいし、スメクチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であってもよい。重合反応により硬化膜として偏光機能を発現する際には、重合性液晶(a)が示す液晶状態は、スメクチック相であることが好ましく、高次スメクチック相であれば高性能化の観点からより好ましい。中でも、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相またはスメクチックL相を形成する高次スメクチック液晶化合物がより好ましく、スメクチックB相、スメクチックF相またはスメクチックI相を形成する高次スメクチック液晶化合物がさらに好ましい。重合性液晶(a)が形成する液晶相がこれらの高次スメクチック相であると、偏光性能のより高い偏光層を製造することができる。また、このように偏光性能の高い偏光層はX線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られるものである。当該ブラッグピークは分子配向の周期構造に由来するピークであり、その周期間隔が3~6Åである膜を得ることができる。本発明の偏光層は、この重合性液晶(a)がスメクチック相の状態で重合された重合性液晶(a)の重合体を含むことが、より高い偏光特性が得られるという観点から好ましい。
このような化合物としては、具体的には、下記式(I)で表される化合物〔以下、化合物(I)ともいう〕等が挙げられる。当該重合性液晶(a)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
U1-V1-W1-X1-Y1-X2-Y2-X3-W2-V2-U2 (I)
[式(A)中、
X1、X2およびX3は、それぞれ独立に、2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を表し、ここで、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子または硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。ただし、X1、X2およびX3のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基または置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基である。
Y1、Y2、W1およびW2は、互いに独立に、単結合または二価の連結基である。
V1およびV2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH2-は、-O-、-S-または-NH-に置き換わっていてもよい。
U1およびU2は、互いに独立に、重合性基または水素原子を表し、少なくとも1つは重合性基である。]
[式(A)中、
X1、X2およびX3は、それぞれ独立に、2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を表し、ここで、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子または硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。ただし、X1、X2およびX3のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基または置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基である。
Y1、Y2、W1およびW2は、互いに独立に、単結合または二価の連結基である。
V1およびV2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH2-は、-O-、-S-または-NH-に置き換わっていてもよい。
U1およびU2は、互いに独立に、重合性基または水素原子を表し、少なくとも1つは重合性基である。]
化合物(I)において、X1、X2およびX3のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基である。特に、X1およびX3は置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基であることが好ましく、該シクロへキサン-1,4-ジイル基は、トランス-シクロへキサン-1,4-ジイル基であることがさらに好ましい。トランス-シクロへキサン-1,4-ジイル基の構造を含む場合、スメクチック液晶性が発現しやすい傾向にある。また、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または置換基を有していてもよいシクロへキサン-1,4-ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などの炭素数1~4のアルキル基、シアノ基および塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子が挙げられる。好ましくは無置換である。
Y1およびY2は、互いに独立に、単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CRa=CRb-、-C≡C-または-CRa=N-が好ましく、RaおよびRbは、互いに独立に、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。Y1およびY2は、-CH2CH2-、-COO-、-OCO-または単結合であることがより好ましく、X1、X2およびX3が全てシクロヘキサン-1,4-ジイル基を含まない場合、Y1およびY2が互いに異なる結合方式であることがより好ましい。Y1およびY2が互いに異なる結合方式である場合には、スメクチック液晶性が発現しやすい傾向にある。
W1およびW2は、互いに独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-またはOCO-が好ましく、互いに独立に単結合または-O-であることがより好ましい。
V1およびV2で表される炭素数1~20のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基およびイコサン-1,20-ジイル基などが挙げられる。V1およびV2は、好ましくは炭素数2~12のアルカンジイル基であり、より好ましくは直鎖状の炭素数6~12のアルカンジイル基である。直鎖状の炭素数6~12のアルカンジイル基とすることで結晶性が向上し、スメクチック液晶性を発現しやすい傾向にある。
置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基および塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子などが挙げられるが、該アルカンジイル基は、無置換であることが好ましく、無置換かつ直鎖状のアルカンジイル基であることがより好ましい。
U1およびU2は、ともに重合性基であると好ましく、ともに光重合性基であるとより好ましい。光重合性基を有する重合性液晶化合物は、熱重合性基よりも低温条件下で重合できるため、液晶がより秩序度の高い状態で重合体を形成できる点で有利である。
U1およびU2で表される重合性基は互いに異なっていてもよいが、同一であると好ましい。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基が好ましく、メタクリロイルオキシ基、あるいは、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
このような重合性液晶化合物としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
例示した前記化合物の中でも、式(1-2)、式(1-3)、式(1-4)、式(1-6)、式(1-7)、式(1-8)、式(1-13)、式(1-14)および式(1-15)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
(二色性色素)
二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。二色性色素としては、可視光を吸収する特性を有する特性を有する事が好ましく、380~680nmの範囲に吸収極大波長(λMAX)を有するものがより好ましい。このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素およびアントラキノン色素などが挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素およびスチルベンアゾ色素などが挙げられ、好ましくはビスアゾ色素およびトリスアゾ色素である。二色性色素は単独でも、組み合わせてもよいが、可視光全域で吸収を得るためには、3種類以上の二色性色素を組み合わせるのが好ましく、3種類以上のアゾ色素を組み合わせるのがより好ましい。
二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。二色性色素としては、可視光を吸収する特性を有する特性を有する事が好ましく、380~680nmの範囲に吸収極大波長(λMAX)を有するものがより好ましい。このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素およびアントラキノン色素などが挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素およびスチルベンアゾ色素などが挙げられ、好ましくはビスアゾ色素およびトリスアゾ色素である。二色性色素は単独でも、組み合わせてもよいが、可視光全域で吸収を得るためには、3種類以上の二色性色素を組み合わせるのが好ましく、3種類以上のアゾ色素を組み合わせるのがより好ましい。
アゾ色素としては、例えば、式(II)で表される化合物(以下、「化合物(II)」ということもある)が挙げられる。
T1-A1(-N=N-A2)p-N=N-A3-T2 (II)
[式(II)中、
A1およびA2およびA3は、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表し、T1およびT2は電子吸引基あるいは電子放出基であり、アゾ結合面内に対して実質的に180°の位置に有する。pは0~4の整数を表す。pが2以上である場合、各々のA2は互いに同一でも異なっていてもよい。可視域に吸収を示す範囲で-N=N-結合が-C=C-、-COO-、-NHCO-、-N=CH-結合に置き換わっていてもよい。]
T1-A1(-N=N-A2)p-N=N-A3-T2 (II)
[式(II)中、
A1およびA2およびA3は、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表し、T1およびT2は電子吸引基あるいは電子放出基であり、アゾ結合面内に対して実質的に180°の位置に有する。pは0~4の整数を表す。pが2以上である場合、各々のA2は互いに同一でも異なっていてもよい。可視域に吸収を示す範囲で-N=N-結合が-C=C-、-COO-、-NHCO-、-N=CH-結合に置き換わっていてもよい。]
A1およびA2およびA3における1,4-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基および2価の複素環基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などの炭素数1~4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基およびブトキシ基などの炭素数1~4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1~4のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基およびピロリジノ基などの置換または無置換アミノ基(置換アミノ基とは、炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は、-NH2である。)が挙げられる。なお、炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基およびヘキシル基などが挙げられる。炭素数2~8のアルカンジイル基としては、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基などが挙げられる。スメクチック液晶のような高秩序液晶構造中に包摂するためには、A1およびA2およびA3は無置換または水素がメチル基またはメトキシ基で置換された1,4-フェニレン基、または2価の複素環基が好ましく、pは0または1である事が好ましい。中でもpが1であり、かつ、A1およびA2およびA3の3つの構造のうち少なくとも2つが1,4-フェニレン基である事が分子合成の簡便さと高い性能の両方を有するという点でより好ましい。
2価の複素環基としては、キノリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、チエノチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾールおよびベンゾオキサゾールから2個の水素原子を除いた基が挙げられる。A2が2価の複素環基の場合には、分子結合角度が実質的に180°となる構造が好ましく、具体的には、二つの5員環が縮合したベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール構造がより好ましい。
T1およびT2は電子吸引基あるいは電子放出基であり、異なる構造である事が好ましく、T1が電子吸引基およびT2電子放出基、あるいはT1が電子放出基およびT2電子吸引基の関係である事がさらに好ましい。具体的には、T1およびT2は互いに独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基、またはトリフルオロメチル基が好ましく、中でもスメクチック液晶のような高秩序液晶構造中に包摂するためには、分子の排除体積がより小さい構造体である必要があるため、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基が好ましい。
式(2-1)~(2-6)中、
B1~B20は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(置換アミノ基および無置換アミノ基の定義は前記のとおり)、塩素原子またはトリフルオロメチル基を表す。高い偏光性能が得られる観点から、B2、B6、B9、B14、B18、B19は水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
n1~n4は、それぞれ独立に0~3の整数を表す。
n1が2以上である場合、複数のB2はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、
n2が2以上である場合、複数のB6はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、
n3が2以上である場合、複数のB9はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、複数のB14はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
B1~B20は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(置換アミノ基および無置換アミノ基の定義は前記のとおり)、塩素原子またはトリフルオロメチル基を表す。高い偏光性能が得られる観点から、B2、B6、B9、B14、B18、B19は水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
n1~n4は、それぞれ独立に0~3の整数を表す。
n1が2以上である場合、複数のB2はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、
n2が2以上である場合、複数のB6はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、
n3が2以上である場合、複数のB9はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、複数のB14はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記アントラキノン色素としては、式(2-7)で表される化合物が好ましい。
[式(2-7)中、
R1~R8は、互いに独立に、水素原子、-Rx、-NH2、-NHRx、-NRx 2、-SRxまたはハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
R1~R8は、互いに独立に、水素原子、-Rx、-NH2、-NHRx、-NRx 2、-SRxまたはハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
前記オキサジン色素としては、式(2-8)で表される化合物が好ましい。
[式(2-8)中、
R9~R15は、互いに独立に、水素原子、-Rx、-NH2、-NHRx、-NRx 2、-SRxまたはハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
R9~R15は、互いに独立に、水素原子、-Rx、-NH2、-NHRx、-NRx 2、-SRxまたはハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
前記アクリジン色素としては、式(2-9)で表される化合物が好ましい。
[式(2-9)中、
R16~R23は、互いに独立に、水素原子、-Rx、-NH2、-NHRx、-NRx 2、-SRxまたはハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
R16~R23は、互いに独立に、水素原子、-Rx、-NH2、-NHRx、-NRx 2、-SRxまたはハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
式(2-7)、式(2-8)および式(2-9)における、Rxで表される炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基等が挙げられ、炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基およびナフチル基等が挙げられる。
前記シアニン色素としては、式(2-10)で表される化合物および式(2-11)で表される化合物が好ましい。
二色性色素の含有量(複数種含む場合にはその合計量)は、良好な光吸収特性を得る観点から、重合性液晶(a)100質量部に対して、通常0.1~30質量部であり、好ましくは1~20質量部であり、より好ましくは2~15質量部である。二色性色素の含有量がこの範囲より少ないと光吸収が不十分となり、十分な偏光性能が得られず、この範囲よりも多いと液晶分子の配向を阻害する場合がある。
(配向層)
積層体10は、基材層11と偏光層12との間に配向層を有していてよい。配向層は、基材層11上に形成される偏光層12を構成する重合性液晶を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。
積層体10は、基材層11と偏光層12との間に配向層を有していてよい。配向層は、基材層11上に形成される偏光層12を構成する重合性液晶を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。
配向層は、重合性液晶の液晶配向を容易にする。水平配向、垂直配向、ハイブリッド配向、傾斜配向等の液晶配向の状態は、配向層および重合性液晶の性質によって変化し、その組み合わせは任意に選択することができる。例えば、配向層が配向規制力として水平配向を発現させる材料であれば、重合性液晶は水平配向またはハイブリッド配向を形成することができ、垂直配向を発現させる材料であれば、重合性液晶は垂直配向または傾斜配向を形成することができる。水平、垂直等の表現は、偏光層12平面を基準とした場合の、配向した重合性液晶の長軸の方向を表す。例えば、垂直配向とは偏光層12平面に対して垂直な方向に、配向した重合性液晶の長軸を有することである。ここでいう垂直とは、偏光層12平面に対して90°±20°のことを意味する。
配向規制力は、配向層が配向性ポリマーから形成されている場合は、表面状態やラビング条件によって任意に調整することが可能であり、光配向性ポリマーから形成されている場合は、偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。また、重合性液晶の、表面張力や液晶性等の物性を選択することにより、液晶配向を制御することもできる。
基材層11と偏光層12との間に形成される配向層としては、配向層上に偏光層12を形成する際に使用される溶剤に不溶であり、また、溶剤の除去や液晶の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向層は、配向性ポリマーからなる配向層、光配向層およびグルブ(groove)配向層等であってよい。中でも、長尺のロール状樹脂フィルムに適用する場合に配向方向を容易に制御できる点で、光配向層が好ましい。
配向層の厚みは、例えば10nm~5000nmの範囲であってよく、好ましくは10nm~1000nmの範囲であり、より好ましくは30~300nmである。
配向性ポリマーからなる配向層に用いられる配向性ポリマーとしては、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル類等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。これらの配向性ポリマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂フィルムから構成される基材層上に配向性ポリマーからなる配向層を形成する場合、配向性ポリマーからなる配向層は、通常、配向性ポリマーが溶剤に溶解した組成物(以下、「配向性ポリマー組成物」ともいう。)を樹脂フィルムに塗布し、溶剤を除去するか、または配向性ポリマー組成物を樹脂フィルムに塗布し、溶剤を除去し、ラビングすること(ラビング法)により得られる。
前記溶剤としては、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフランおよびジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルムおよびクロロベンゼン等の塩素置換炭化水素溶剤;等が挙げられる。これら溶剤は、単独でもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマーが、溶剤に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましい。
配向性ポリマー組成物として、市販の配向層形成用材料をそのまま使用してもよい。市販の配向層形成用材料の例としては、サンエバー(登録商標)(日産化学工業株式会社製)またはオプトマー(登録商標)(JSR株式会社製)等が挙げられる。
配向性ポリマー組成物を樹脂フィルムに塗布する方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法およびアプリケータ法等の塗布方法や、フレキソ法等の印刷法等の公知の方法が挙げられる。本発明の偏光板を、Roll-to-Roll形式の連続的製造方法により製造する場合、当該塗布方法には通常、グラビアコーティング法、ダイコーティング法またはフレキソ法等の印刷法が採用される。
配向性ポリマー組成物に含まれる溶剤を除去することにより、配向性ポリマーの乾燥被膜が形成される。溶剤の除去方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥法および減圧乾燥法等が挙げられる。
ラビングする方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を樹脂フィルムに塗布しアニールすることにより樹脂フィルム表面に形成された配向性ポリマーの膜を、接触させる方法が挙げられる。
光配向層は、通常、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーおよび溶剤を含む組成物(以下、「光配向層形成用組成物」ともいう)を樹脂フィルムに塗布し、偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向層は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点でより好ましい。
光反応性基とは、光を照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光を照射することで生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応、または光分解反応のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じるものである。当該光反応性基の中でも、二量化反応または光架橋反応を起こすものが、配向性に優れる点で好ましい。以上のような反応を生じうる光反応性基としては、不飽和結合、特に二重結合を有するものが好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)、および炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する基がより好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては例えば、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ-ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基およびシンナモイル基等が挙げられる。反応性の制御が容易であるという点や光配向時の配向規制力発現の観点から、カルコン基およびシンナモイル基が好ましい。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基および芳香族ヒドラゾン等の構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基およびホルマザン基等や、アゾキシベンゼンを基本構造とするものが挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基およびマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基およびハロゲン化アルキル基等の置換基を有していてもよい。中でも、光二量化反応を生じうる光反応性基が好ましく、シンナモイル基およびカルコン基が、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向層が得られやすいため好ましい。さらにいえば、光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
前記光配向層形成用組成物の取り扱いの容易さと、高耐久性の配向性を実現した配向層が得られやすいこととから、特に好ましい光反応性基を有するポリマーは例えば、式(A’)で表される基を側鎖に有するポリマー(以下、場合により「ポリマー(A’)」ともいう。)である。
[式(A’)中、
nは、0または1を表す。
X1は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-または-CH2-を表す。
Y1は、単結合または-O-を表す。
R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基を表す。
*は、ポリマー主鎖に対する結合手を表す。]
[式(A’)中、
nは、0または1を表す。
X1は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-または-CH2-を表す。
Y1は、単結合または-O-を表す。
R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基を表す。
*は、ポリマー主鎖に対する結合手を表す。]
式(A’)において、X1は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-N=N-、-C=C-および-CH2-のいずれかであると、ポリマー(A’)自体の製造が容易となるため、特に好ましい。
式(A’)において、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基またはヒドロキシ基を表し、該カルボキシル基および該スルホン酸基はアルカリ金属イオンと塩を形成していてもよい。これらの中でも、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基であるとさらに好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などが挙げられ、該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基およびブトキシ基などが挙げられる。
ポリマー(A’)の主鎖は特に限定されないが、式(M-1)または式(M-2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位;式(M-3)または式(M-4)で表される(メタ)アクリルアミド単位;式(M-5)または式(M-6)で表されるビニルエーテル単位;式(M-7)または式(M-8)で表される(メチル)スチレン単位、および式(M-9)または式(M-10)で表されるビニルエステル単位からなる群より選ばれるものから構成される主鎖をポリマー(A)は有していると好ましく、中でも、(メタ)アクリル酸エステル単位および(メタ)アクリルアミド単位からなる群より選ばれる単位から構成される主鎖をポリマー(A’)が有しているとさらに好ましい。なお、ここでいう「ポリマー(A’)の主鎖」とは、ポリマー(A’)が有する分子鎖のうち、最も長い分子鎖をいう。
式(M-1)~式(M-10)のいずれかで表される単位と、式(A’)で表される基は、直接結合していても、適当な連結基を介して結合していてもよい。この連結基としては、カルボニルオキシ基(エステル結合)、酸素原子(エ-テル結合)、イミド基、カルボニルイミノ基(アミド結合)、イミノカルボニルイミノ基(ウレタン結合)、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基および置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、並びにこれらを組み合わせてなる2価の基などを挙げることができる。置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基の具体例は、フェニレン基、2-メトキシ-1,4-フェニレン基、3-メトキシ-1,4-フェニレン基、2-エトキシ-1,4-フェニレン基、3-エトキシ-1,4-フェニレン基、2,3,5-トリメトキシ-1,4-フェニレン基などが挙げられる。これらの中でも、該連結基は、脂肪族炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~11のアルカンジイル基がさらに好ましい。なお、かかるアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基およびウンデカメチレン基などが挙げられ、これらは直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。また、かかるアルカンジイル基は置換基を有していてもよい。この置換基は例えば、炭素数1~4のアルコキシ基などである。
換言すると、式(A’)で表される基を有する構造単位としては、式(A)で表されるもの(以下、場合により「構造単位(A)」ともいい、当該構造単位(A)を含むポリマーを「ポリマー(A)」ともいう。)が好ましい。
[式(A)中、
X1、Y1、R1、R2およびnは式(A’)と同義であり、
S1は、炭素数1~11のアルカンジイル基であり、
で表される構造は、式(M-1)~式(M-10)のいずれかで表される構造である。]
[式(A)中、
X1、Y1、R1、R2およびnは式(A’)と同義であり、
S1は、炭素数1~11のアルカンジイル基であり、
で表される構造は、式(M-1)~式(M-10)のいずれかで表される構造である。]
ポリマー(A’)またはポリマー(A)の分子量は、例えばゲルパーミエイション法(GPC法)で求められるポリスチレン換算の重量平均分子量で表して、1×103~1×107の範囲が好ましい。ただし、あまり分子量が高くなると、溶媒への溶解性が低下して配向層形成用組成物の調製が困難になることや、光照射に対する感度が下がる傾向があるので、1×104~1×106の範囲が好ましい。
ポリマー(A)は、構造単位(A)に加え、式(B)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(B)」ともいう。)を有していてもよい。
[式(B)中、
mは、0または1を表す。
S2は、炭素数1~11のアルカンジイル基を表す。
で表される構造は、式(M-1)~式(M-10)のいずれかで表される構造である。
X2は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-または-CH2-を表す。
Y2は、単結合または-O-を表す。
R3およびR4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基を表す。]
[式(B)中、
mは、0または1を表す。
S2は、炭素数1~11のアルカンジイル基を表す。
で表される構造は、式(M-1)~式(M-10)のいずれかで表される構造である。
X2は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CH=CH-または-CH2-を表す。
Y2は、単結合または-O-を表す。
R3およびR4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基を表す。]
式(B)において、S2の具体例は、式(A)のS1の具体例と同じであり、R3およびR4のアルキル基およびアルコキシ基の具体例についてはそれぞれ、式(A)のR1およびR2の具体例と同じである。
ポリマー(A)の全構造単位に対する構造単位(A)および構造単位(B)のモル分率をそれぞれ、pおよびqとした(p+qは1である。)場合、0.25<p≦1および0≦q<0.75の関係を満たすことが好ましい〔ここで、ポリマー(A)が構造単位(A)を有し、pが1である場合とは、ポリマー(A)が構造単位(A)からなるポリマーであることを意味する。構造単位(A)からなるポリマーには、該構造単位(A)が1種であっても、2種以上であってもよい。〕。ただし、ポリマー(A)は光照射による配向能を著しく損なわない限り、構造単位(A)および構造単位(B)以外の構造単位(以下、場合により「他の構造単位」ともいう。)を有していてもよい。
ポリマー(A)は、構造単位(A)を誘導するモノマーと、必要に応じて構造単位(B)や他の構造単位を誘導するモノマーとを(共)重合することで製造できる。当該(共)重合には通常、付加重合法が採用され、かかる付加重合としては、ラジカル重合、アニオン重合およびカチオン重合などの連鎖重合、並びに配位重合などが挙げられる。重合条件は使用するモノマーの種類およびその量に応じて、上述の好ましいポリマー(A)の分子量が満たされるようにして設定される。
以上、光反応性基を有するポリマーの中で好ましいものとして、ポリマー(A)について詳述したが、配向層形成用組成物は、当該光反応性基を有するポリマー(好ましくは、ポリマー(A))を適当な溶剤に溶解することで調製される。かかる溶剤は、当該光反応性基を有するポリマーが溶解することができ、適正な粘度の配向層形成用組成物が得られる範囲で適宜選択できるが、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトンまたはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;ペンタン、ヘキサンおよびヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶剤;トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル溶剤;テトラヒドロフランおよびジメトキシエタンなどのエーテル溶剤;クロロホルムおよびクロロベンゼンなどの塩素含有溶剤;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、γ-ブチロラクトンおよびジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これら溶剤は、単独種で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
光配向層形成用組成物に対する、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの含有量は、当該光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの種類や製造しようとする光配向層の厚さによって適宜調節できるが、0.2質量%以上とすることが好ましく、0.3~10質量%の範囲が特に好ましい。また、光配向層の特性が著しく損なわれない範囲で、ポリビニルアルコールやポリイミド等の高分子材料や光増感剤が含まれていてもよい。
光配向層形成用組成物を樹脂フィルムに塗布する方法としては、前述した配向性ポリマー組成物を樹脂フィルムに塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向層形成用組成物から、溶剤を除去する方法としては、例えば、配向性ポリマー組成物から溶剤を除去する方法と同じ方法が挙げられる。
偏光を照射するには、樹脂フィルム等の上に塗布された光配向層形成用組成物から、溶剤を除去したものに直接、偏光を照射する形式でも、樹脂フィルム側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であることが特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外光)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArF等の紫外光レーザー等が挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプがより好ましい。これらのランプは、波長313nmの紫外光の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光を照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラー等の偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
なお、ラビングまたは偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
グルブ(groove)配向層は、膜表面に凹凸パターンまたは複数のグルブ(溝)を有する膜である。等間隔に並んだ複数の直線状のグルブを有する膜に液晶分子を置いた場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向する。
グルブ配向層を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像およびリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化性樹脂の層を形成し、樹脂層を樹脂フィルムへ移してから硬化する方法、および樹脂フィルム上に形成した硬化前のUV硬化性樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法等が挙げられる。具体的には、特開平6-34976号公報および、特開2011-242743号公報記載の方法等が挙げられる。
配向乱れの小さな配向を得るためには、グルブ配向層の凸部の幅は0.05μm~5μmであることが好ましく、凹部の幅は0.1μm~5μmであることが好ましく、凹凸の段差の深さは2μm以下であることが好ましく、0.01μm~1μm以下であることが好ましい。
(その他の層)
積層体10は、偏光層12側に粘着剤層を更に有していてよい。粘着剤層は、積層体10を表示装置の画像表示素子、ウインドウフィルムまたはタッチセンサーに貼合するために用いられたり、位相差層と積層体とを積層するために用いられたりする。粘着剤としては、(メタ)アクリル系粘着剤、スチレン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系共重合体粘着剤等を用いることができる。
積層体10は、偏光層12側に粘着剤層を更に有していてよい。粘着剤層は、積層体10を表示装置の画像表示素子、ウインドウフィルムまたはタッチセンサーに貼合するために用いられたり、位相差層と積層体とを積層するために用いられたりする。粘着剤としては、(メタ)アクリル系粘着剤、スチレン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系共重合体粘着剤等を用いることができる。
積層体10は、位相差層を有していてもよい。位相差層としては、λ/4板、λ/2板、ポジティブCプレート、逆波長分散性のλ/4板、逆波長分散性のλ/2板、およびそれらの組合せが挙げられる。位相差層は、上記基材層を形成する透明樹脂フィルムや重合性液晶化合物を含む組成物から作製することができる。位相差層は、配向膜上に重合性液晶化合物を含む組成物を塗布し、重合性液晶化合物を硬化させることにより作製することができる。位相差層は、重合性液晶化合物の硬化物を含む層であってよく、配向膜及び基材をさらに含む層であってよい。位相差層の作製には、例えば上述の偏光層12の説明において例示した重合性液晶化合物、特開2010-31223号公報や特開2009-173893号公報に記載の重合性液晶化合物等を用いることができる。位相差層に含まれる配向膜は、例えば上述の偏光層12の説明において例示した配向膜であってよい。位相差層に含まれる基材は、例えば上述の基材層11の説明において例示した樹脂フィルムであってよい。位相差層は、上述の粘着剤層を介して積層されることができる。
積層体10は、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層等の表面処理層(コーティング層)を有していてもよい。
積層体10は、偏光層12を基準にその視認側に配置されるウインドウフィルムや、遮光パターン(ベゼル)を有していてもよい。ウインドウフィルムは、透明基材層の少なくとも一面にハードコート層を含んでなる。ウインドウフィルムは、既存のガラスのように硬直ではなく、フレキシブルな特性を有する。遮光パターンによって表示装置の配線が隠されて使用者に視認されないようにすることができる。積層体10は、タッチセンサーに積層されてもよい。
<積層体の製造方法>
偏光層12は、基材層11および存在する場合には配向層上に組成物(A)を塗布することで形成することができる。組成物(A)は、上述の二色性色素および重合性液晶化合物に加え、重合開始剤、レベリング剤、溶剤をさらに含み、光増感剤、重合禁止剤、レベリング剤等をさらに含み得る。
偏光層12は、基材層11および存在する場合には配向層上に組成物(A)を塗布することで形成することができる。組成物(A)は、上述の二色性色素および重合性液晶化合物に加え、重合開始剤、レベリング剤、溶剤をさらに含み、光増感剤、重合禁止剤、レベリング剤等をさらに含み得る。
(重合開始剤)
重合開始剤は、重合性液晶等の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、サーモトロピック液晶の相状態に依存しないという観点から、光の作用により活性ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
重合開始剤は、重合性液晶等の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、サーモトロピック液晶の相状態に依存しないという観点から、光の作用により活性ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
重合開始剤としては、例えばベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩等が挙げられる。
ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
アルキルフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1,2-ジフェニル-2,2-ジメトキシエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オンのオリゴマー等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
トリアジン化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジンおよび2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
重合開始剤として市販のものを用いることができる。市販の重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)(登録商標)907、184、651、819、250、および369、379、127、754、OXE01、OXE02、OXE03(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製);セイクオール(登録商標)BZ、Z、およびBEE(精工化学株式会社製);カヤキュアー(kayacure)(登録商標)BP100、およびUVI-6992(ダウ・ケミカル株式会社製);アデカオプトマーSP-152、N-1717、N-1919、SP-170、アデカアークルズNCI-831、アデカアークルズNCI-930(株式会社ADEKA製);TAZ-A、およびTAZ-PP(日本シイベルヘグナー株式会社製);並びに、TAZ-104(株式会社三和ケミカル製);等が挙げられる。組成物(A)中の重合開始剤は、1種類でもよいし、光の光源に合わせて2種類以上の複数の重合開始剤を混合してもよい。
組成物(A)中の重合開始剤の含有量は、重合性液晶の種類およびその量に応じて適宜調節できるが、重合性液晶の含有量100質量部に対して、通常0.1~30質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~8質量部である。重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶の配向を乱すことなく重合を行うことができる。
(増感剤)
組成物(A)は増感剤を含有してもよい。増感剤としては、光増感剤が好ましい。該増感剤としては、例えば、キサントンおよびチオキサントン等のキサントン化合物(例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等);アントラセンおよびアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセン等)等のアントラセン化合物;フェノチアジンおよびルブレン等が挙げられる。
組成物(A)は増感剤を含有してもよい。増感剤としては、光増感剤が好ましい。該増感剤としては、例えば、キサントンおよびチオキサントン等のキサントン化合物(例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等);アントラセンおよびアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセン等)等のアントラセン化合物;フェノチアジンおよびルブレン等が挙げられる。
組成物(A)が増感剤を含有する場合、組成物(A)に含有される重合性液晶の重合反応をより促進することができる。かかる増感剤の使用量は、重合性液晶の含有量100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.5~5質量部がより好ましく、0.5~3質量部がさらに好ましい。
(重合禁止剤)
重合反応を安定的に進行させる観点から、組成物(A)は重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤により、重合性液晶の重合反応の進行度合いをコントロールすることができる。
重合反応を安定的に進行させる観点から、組成物(A)は重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤により、重合性液晶の重合反応の進行度合いをコントロールすることができる。
前記重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、アルコキシ基含有ハイドロキノン、アルコキシ基含有カテコール(例えば、ブチルカテコール等)、ピロガロール、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル捕捉剤;チオフェノール類;β-ナフチルアミン類およびβ-ナフトール類等が挙げられる。
組成物(A)が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、重合性液晶の含有量100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部、さらに好ましくは0.5~3質量部である。重合禁止剤の含有量が、上記範囲内であると、重合性液晶の配向を乱すことなく重合を行うことができる。
(レベリング剤)
組成物(A)には、レベリング剤を含有させてもよい。レベリング剤とは、組成物の流動性を調整し、組成物を塗布して得られる膜をより平坦にする機能を有する添加剤であり、例えば、有機変性シリコーンオイル系、ポリアクリレート系およびパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。具体的には、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22-161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF-4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC-72、同FC-40、同FC-43、同FC-3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R-08、同R-30、同R-90、同F-410、同F-411、同F-443、同F-445、同F-470、同F-477、同F-479、同F-482、同F-483(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S-381、同S-382、同S-383、同S-393、同SC-101、同SC-105、KH-40、SA-100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM-1000、BM-1100、BYK-352、BYK-353およびBYK-361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)等が挙げられる。中でも、ポリアクリレート系レベリング剤およびパーフルオロアルキル系レベリング剤が好ましい。
組成物(A)には、レベリング剤を含有させてもよい。レベリング剤とは、組成物の流動性を調整し、組成物を塗布して得られる膜をより平坦にする機能を有する添加剤であり、例えば、有機変性シリコーンオイル系、ポリアクリレート系およびパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。具体的には、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22-161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF-4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC-72、同FC-40、同FC-43、同FC-3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R-08、同R-30、同R-90、同F-410、同F-411、同F-443、同F-445、同F-470、同F-477、同F-479、同F-482、同F-483(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S-381、同S-382、同S-383、同S-393、同SC-101、同SC-105、KH-40、SA-100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM-1000、BM-1100、BYK-352、BYK-353およびBYK-361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)等が挙げられる。中でも、ポリアクリレート系レベリング剤およびパーフルオロアルキル系レベリング剤が好ましい。
組成物(A)がレベリング剤を含有する場合、重合性液晶の含有量100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.1~5質量部、さらに好ましくは0.1~3質量部である。レベリング剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶を水平配向させることが容易であり、かつ得られる偏光膜がより平滑となる傾向がある。重合性液晶に対するレベリング剤の含有量が上記範囲を超えると、得られる偏光膜にムラが生じやすい傾向がある。なお、組成物(A)は、レベリング剤を2種以上含有していてもよい。
(溶剤)
組成物(A)は溶剤を含有してよい。一般に重合性液晶化合物は粘度が高いため、溶剤に溶解させた組成物(A)とすることで塗布が容易になり、結果として偏光膜の形成がし易くなる場合が多い。溶剤としては、重合性液晶化合物を完全に溶解し得るものが好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。
組成物(A)は溶剤を含有してよい。一般に重合性液晶化合物は粘度が高いため、溶剤に溶解させた組成物(A)とすることで塗布が容易になり、結果として偏光膜の形成がし易くなる場合が多い。溶剤としては、重合性液晶化合物を完全に溶解し得るものが好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトンまたはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフランおよびジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルムおよびクロロベンゼン等の塩素含有溶剤;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルミアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のアミド系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤の含有量は、前記組成物(A)の総量に対して50~98質量%が好ましい。換言すると、組成物(A)における固形分の含有量は、2~50質量%が好ましい。該固形分の含有量が50質量%以下であると、組成物(A)の粘度が低くなることから、偏光膜の厚さが略均一になることで、当該偏光膜にムラが生じにくくなる傾向がある。また、かかる固形分の含有量は、製造しようとする偏光膜の厚さを考慮して定めることができる。
(反応性添加剤)
組成物(A)は、反応性添加剤を含んでもよい。反応性添加剤としては、その分子内に炭素-炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有するものが好ましい。なお、ここでいう「活性水素反応性基」とは、カルボキシル基(-COOH)、水酸基(-OH)、アミノ基(-NH2)等の活性水素を有する基に対して反応性を有する基を意味し、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジン基、イミド基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、無水マレイン酸基等がその代表例である。反応性添加剤が有する、炭素-炭素不飽和結合および活性水素反応性基の個数は、通常、それぞれ1~20個であり、好ましくはそれぞれ1~10個である。
組成物(A)は、反応性添加剤を含んでもよい。反応性添加剤としては、その分子内に炭素-炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有するものが好ましい。なお、ここでいう「活性水素反応性基」とは、カルボキシル基(-COOH)、水酸基(-OH)、アミノ基(-NH2)等の活性水素を有する基に対して反応性を有する基を意味し、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジン基、イミド基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、無水マレイン酸基等がその代表例である。反応性添加剤が有する、炭素-炭素不飽和結合および活性水素反応性基の個数は、通常、それぞれ1~20個であり、好ましくはそれぞれ1~10個である。
反応性添加剤において、活性水素反応性基が少なくとも2つ存在することが好ましく、この場合、複数存在する活性水素反応性基は同一でも、異なるものであってもよい。
反応性添加剤が有する炭素-炭素不飽和結合とは、炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合、またはそれらの組み合わせであってよいが、炭素-炭素二重結合であることが好ましい。中でも、反応性添加剤としては、ビニル基および/または(メタ)アクリル基として炭素-炭素不飽和結合を含むことが好ましい。さらに、活性水素反応性基が、エポキシ基、グリシジル基およびイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種である反応性添加剤が好ましく、アクリル基とイソシアネート基とを有する反応性添加剤がより好ましい。
反応性添加剤の具体例としては、メタクリロキシグリシジルエーテルやアクリロキシグリシジルエーテル等の、(メタ)アクリル基とエポキシ基とを有する化合物;オキセタンアクリレートやオキセタンメタクリレート等の、(メタ)アクリル基とオキセタン基とを有する化合物;ラクトンアクリレートやラクトンメタクリレート等の、(メタ)アクリル基とラクトン基とを有する化合物;ビニルオキサゾリンやイソプロペニルオキサゾリン等の、ビニル基とオキサゾリン基とを有する化合物;イソシアナトメチルアクリレート、イソシアナトメチルメタクリレート、2-イソシアナトエチルアクリレートおよび2-イソシアナトエチルメタクリレート等の、(メタ)アクリル基とイソシアネート基とを有する化合物のオリゴマー等が挙げられる。また、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物、無水マレイン酸およびビニル無水マレイン酸等の、ビニル基やビニレン基と酸無水物とを有する化合物等が挙げられる。中でも、メタクリロキシグリシジルエーテル、アクリロキシグリシジルエーテル、イソシアナトメチルアクリレート、イソシアナトメチルメタクリレート、ビニルオキサゾリン、2-イソシアナトエチルアクリレート、2-イソシアナトエチルメタクリレートおよび前記のオリゴマーが好ましく、イソシアナトメチルアクリレート、2-イソシアナトエチルアクリレートおよび前記のオリゴマーが特に好ましい。
具体的には、下記式(Y)で表される化合物が好ましい。
[式(Y)中、
nは1~10までの整数を表わし、R1’は、炭素数2~20の2価の脂肪族または脂環式炭化水素基、或いは炭素数5~20の2価の芳香族炭化水素基を表わす。各繰返し単位にある2つのR2’は、一方が-NH-であり、他方が>N-C(=O)-R3’で示される基である。R3’は、水酸基または炭素-炭素不飽和結合を有する基を表す。
式(Y)中のR3’のうち、少なくとも1つのR3’は炭素-炭素不飽和結合を有する基である。]
nは1~10までの整数を表わし、R1’は、炭素数2~20の2価の脂肪族または脂環式炭化水素基、或いは炭素数5~20の2価の芳香族炭化水素基を表わす。各繰返し単位にある2つのR2’は、一方が-NH-であり、他方が>N-C(=O)-R3’で示される基である。R3’は、水酸基または炭素-炭素不飽和結合を有する基を表す。
式(Y)中のR3’のうち、少なくとも1つのR3’は炭素-炭素不飽和結合を有する基である。]
前記式(Y)で表される反応性添加剤の中でも、下記式(YY)で表される化合物(以下、化合物(YY)という場合がある。)が特に好ましい(なお、nは前記と同じ意味である)。
化合物(YY)には、市販品をそのまま又は必要に応じて精製して用いることができる。市販品としては、例えば、Laromer(登録商標)LR-9000(BASF社製)が挙げられる。
組成物(A)が反応性添加剤を含有する場合、反応性添加剤の含有量は、重合性液晶100質量部に対して、通常0.01~10質量部であり、好ましくは0.1~5質量部である。
組成物(A)が基材層に塗布される前に、基材層は水分率を調整されることが好ましい。基材層の水分率は、5.0%以下であることができ、3.0%以下であることが好ましい。基材層11の水分率は、0.0%以上であることができる。組成物(A)が、このような水分率の基材層に塗工されると、重合性液晶および二色性色素の配向方向の均一性が高まる。特に、積層体10を延伸した場合、光学特性のムラが視認されやすくなるところ、延伸後であっても偏光層が良好な光学特性を維持しやすい。基材層の水分率は、後述の実施例に記載された方法で測定される。
基材層の水分率は、基材層が加熱または加湿されることで調整される。基材層を加熱することは、積層体の弾性率を調整するのにも有効である。基材層を加熱する場合、加熱温度は、50℃以上150℃以下とすることができ、加熱時間は、1分以上10分以下とすることができる。
(塗布方法)
組成物(A)を基材層11または配向層上に塗布する方法としては、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、スリットコーティング法、マイクログラビア法、ダイコーティング法、インクジェット法等が挙げられる。また、ディップコーター、バーコーター、スピンコーター等のコーターを用いて塗布する方法等も挙げられる。中でも、Roll to Roll形式で連続的に塗布する場合には、マイクログラビア法、インクジェット法、スリットコーティング法、ダイコーティング法による塗布方法が好ましく、ガラス等の枚葉体に塗布する場合には、均一性の高いスピンコーティング法が好ましい。Roll to Roll形式で塗布する場合、基材層11に配向性ポリマー組成物または光配向層形成用組成物等を塗布して配向層を形成し、さらに得られた配向層上に組成物(A)を連続的に塗布することもできる。
組成物(A)を基材層11または配向層上に塗布する方法としては、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、スリットコーティング法、マイクログラビア法、ダイコーティング法、インクジェット法等が挙げられる。また、ディップコーター、バーコーター、スピンコーター等のコーターを用いて塗布する方法等も挙げられる。中でも、Roll to Roll形式で連続的に塗布する場合には、マイクログラビア法、インクジェット法、スリットコーティング法、ダイコーティング法による塗布方法が好ましく、ガラス等の枚葉体に塗布する場合には、均一性の高いスピンコーティング法が好ましい。Roll to Roll形式で塗布する場合、基材層11に配向性ポリマー組成物または光配向層形成用組成物等を塗布して配向層を形成し、さらに得られた配向層上に組成物(A)を連続的に塗布することもできる。
(乾燥方法)
組成物(A)に含まれる溶剤を除去する乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、通風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥およびこれらを組み合わせた方法が挙げられる。中でも、自然乾燥または加熱乾燥が好ましい。乾燥温度は、0~200℃の範囲が好ましく、20~150℃の範囲がより好ましく、50~130℃の範囲がさらに好ましい。乾燥時間は、10秒間~10分間が好ましく、より好ましくは30秒間~5分間である。光配向層形成用組成物および配向性ポリマー組成物も同様に乾燥することができる。
組成物(A)に含まれる溶剤を除去する乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、通風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥およびこれらを組み合わせた方法が挙げられる。中でも、自然乾燥または加熱乾燥が好ましい。乾燥温度は、0~200℃の範囲が好ましく、20~150℃の範囲がより好ましく、50~130℃の範囲がさらに好ましい。乾燥時間は、10秒間~10分間が好ましく、より好ましくは30秒間~5分間である。光配向層形成用組成物および配向性ポリマー組成物も同様に乾燥することができる。
(重合方法)
重合性液晶化合物を重合させる方法としては、光重合が好ましい。光重合は、基材層11上または配向層上に塗布された重合性液晶化合物を含む組成物(A)に活性エネルギー線を照射することにより実施される。照射する活性エネルギー線としては、乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物の種類(特に、重合性液晶化合物が有する光重合性官能基の種類)、光重合開始剤を含む場合には光重合開始剤の種類、およびそれらの量に応じて適宜選択される。具体的には、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線、およびγ線からなる群より選択される一種以上の光が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御し易い点、および光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって光重合可能なように、重合性液晶化合物の種類を選択することが好ましい。
重合性液晶化合物を重合させる方法としては、光重合が好ましい。光重合は、基材層11上または配向層上に塗布された重合性液晶化合物を含む組成物(A)に活性エネルギー線を照射することにより実施される。照射する活性エネルギー線としては、乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物の種類(特に、重合性液晶化合物が有する光重合性官能基の種類)、光重合開始剤を含む場合には光重合開始剤の種類、およびそれらの量に応じて適宜選択される。具体的には、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線、およびγ線からなる群より選択される一種以上の光が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御し易い点、および光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって光重合可能なように、重合性液晶化合物の種類を選択することが好ましい。
前記活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線照射強度は、通常、10mW/cm2~3,000mW/cm2である。紫外線照射強度は、好ましくはカチオン重合開始剤またはラジカル重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒~10分であり、好ましくは0.1秒~5分であり、より好ましくは0.1秒~3分であり、さらに好ましくは0.1秒~1分である。このような紫外線照射強度で1回または複数回照射すると、その積算光量は、10mJ/cm2~3,000mJ/cm2、好ましくは50mJ/cm2~2,000mJ/cm2、より好ましくは100mJ/cm2~1,000mJ/cm2である。積算光量がこの範囲以下である場合には、重合性液晶化合物の硬化が不十分となり、良好な転写性が得られない場合がある。逆に、積算光量がこの範囲以上である場合には、光学異方層を含む光学フィルムが着色する場合がある。
<表示装置>
表示装置としては特に限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(無機EL)表示装置、液晶表示装置、タッチパネル表示装置、電界発光表示装置等を挙げることができる。本実施の形態の表示装置は、延伸可能な積層体10を有するため、延伸可能な表示装置に好適に用いることができ、特に有機EL表示装置に好適に用いることができる。
表示装置としては特に限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(無機EL)表示装置、液晶表示装置、タッチパネル表示装置、電界発光表示装置等を挙げることができる。本実施の形態の表示装置は、延伸可能な積層体10を有するため、延伸可能な表示装置に好適に用いることができ、特に有機EL表示装置に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」および「部」は、特記のない限り、質量%および質量部である。
[引張弾性率]
引張弾性率は、JIS K7161に準拠して、UTM(Universal Testing Machine、オートグラフAG-X、株式会社島津製作所)を用いて吸収軸方向および透過軸方向へそれぞれ延伸した場合に測定した。延伸条件は、常温(温度23℃)で速度1.5mm/分、幅40mm、標点距離50mmとした。
引張弾性率は、JIS K7161に準拠して、UTM(Universal Testing Machine、オートグラフAG-X、株式会社島津製作所)を用いて吸収軸方向および透過軸方向へそれぞれ延伸した場合に測定した。延伸条件は、常温(温度23℃)で速度1.5mm/分、幅40mm、標点距離50mmとした。
[全ヘイズ値]
各延伸方向および延伸率で延伸する前および延伸した後の積層体についてそれぞれ、JIS K7136に準拠して、ヘイズメーター(HM-150、株式会社村上色彩技術研究所)を用いて全ヘイズ値を測定した。各延伸率で延伸する前および延伸した後の積層体の全ヘイズ値の差の絶対値をΔHとした。
なお全ヘイズ値は、以下の式で算出することができる。
全ヘイズ値(%)=散乱透過率(%)/全光線透過率(%)×100
各延伸方向および延伸率で延伸する前および延伸した後の積層体についてそれぞれ、JIS K7136に準拠して、ヘイズメーター(HM-150、株式会社村上色彩技術研究所)を用いて全ヘイズ値を測定した。各延伸率で延伸する前および延伸した後の積層体の全ヘイズ値の差の絶対値をΔHとした。
なお全ヘイズ値は、以下の式で算出することができる。
全ヘイズ値(%)=散乱透過率(%)/全光線透過率(%)×100
[視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度]
各延伸方向および延伸率で延伸する前および延伸した後の積層体についてそれぞれ、JISZ 8701に準拠して、視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度を、紫外可視分光光度計(V7100、日本分光株式会社)を用いて測定した。各延伸率で延伸する前および延伸した後の積層体の視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度の差の絶対値をそれぞれΔTおよびΔPとした。
各延伸方向および延伸率で延伸する前および延伸した後の積層体についてそれぞれ、JISZ 8701に準拠して、視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度を、紫外可視分光光度計(V7100、日本分光株式会社)を用いて測定した。各延伸率で延伸する前および延伸した後の積層体の視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度の差の絶対値をそれぞれΔTおよびΔPとした。
[基材層の水分率]
基材層の水分率は、株式会社エー・アンド・デイ製の加熱乾燥式水分計であるMS-70を用いて、以下の式に基づいて算出した。水分率を測定するときの基材層の大きさは、100mm×100mmとした。
基材層の水分率(%)=100×(WA-WB-WP)/(WB-W2)
WP=W1-W2
WAは、基材層を載せた試料皿の重さである。
WBは、基材層を載せた試料皿を120℃で加熱し、水分率の時間変化が0.02%/分以下になったときの重さである。
W1は、試料皿の重さである。
W2は、試料皿を120℃で加熱し、水分率の時間変化が0.02%/分以下になったときの重さである。
WPは、試料皿の表面水分量を反映している。
基材層の水分率は、株式会社エー・アンド・デイ製の加熱乾燥式水分計であるMS-70を用いて、以下の式に基づいて算出した。水分率を測定するときの基材層の大きさは、100mm×100mmとした。
基材層の水分率(%)=100×(WA-WB-WP)/(WB-W2)
WP=W1-W2
WAは、基材層を載せた試料皿の重さである。
WBは、基材層を載せた試料皿を120℃で加熱し、水分率の時間変化が0.02%/分以下になったときの重さである。
W1は、試料皿の重さである。
W2は、試料皿を120℃で加熱し、水分率の時間変化が0.02%/分以下になったときの重さである。
WPは、試料皿の表面水分量を反映している。
[外観評価]
各延伸方向および延伸率で延伸した後の積層体においてムラ、クラック、ヘイズおよび破断発生の有無について目視により評価した。
○:ムラ無し、クラック無し、ヘイズ無し、かつ破断未発生
×:ムラ無し、クラック無し、ヘイズ有り、かつ破断未発生
××:クラック発生、破断発生、またはムラ発生
各延伸方向および延伸率で延伸した後の積層体においてムラ、クラック、ヘイズおよび破断発生の有無について目視により評価した。
○:ムラ無し、クラック無し、ヘイズ無し、かつ破断未発生
×:ムラ無し、クラック無し、ヘイズ有り、かつ破断未発生
××:クラック発生、破断発生、またはムラ発生
[重合性液晶化合物]
重合性液晶化合物は、式(1-6)で表される重合性液晶化合物[以下、化合物(1-6)ともいう]75部と式(1-7)で表される重合性液晶化合物[以下、化合物(1-7)ともいう]25部とを用いた。
重合性液晶化合物は、式(1-6)で表される重合性液晶化合物[以下、化合物(1-6)ともいう]75部と式(1-7)で表される重合性液晶化合物[以下、化合物(1-7)ともいう]25部とを用いた。
化合物(1-6)および化合物(1-7)は、Lub et al.Recl.Trav.Chim.Pays-Bas、115、321-328(1996)記載の方法により合成した。
[偏光層形成用組成物]
偏光層形成用組成物は、化合物(1-6)75重量部、化合物(1-7)25重量部、二色性染料としての上記式(2-1a)、(2-1b)、(2-3a)で示されるアゾ色素各2.5重量部、重合開始剤としての2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(Irgacure369、BASFジャパン社製)6重量部、およびレベリング剤としてのポリアクリレート化合物(BYK-361N、BYK-Chemie社製)1.2重量部を、溶剤のトルエン400部に混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより調製した。
偏光層形成用組成物は、化合物(1-6)75重量部、化合物(1-7)25重量部、二色性染料としての上記式(2-1a)、(2-1b)、(2-3a)で示されるアゾ色素各2.5重量部、重合開始剤としての2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(Irgacure369、BASFジャパン社製)6重量部、およびレベリング剤としてのポリアクリレート化合物(BYK-361N、BYK-Chemie社製)1.2重量部を、溶剤のトルエン400部に混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより調製した。
[ポリマー1]
ポリマー1は、以下の構造単位からなる光反応性基を有するポリマーである。
GPC測定より、得られたポリマー1の分子量は数平均分子量28200、Mw/Mn1.82を示し、モノマー含有量は0.5%であった。
ポリマー1は、以下の構造単位からなる光反応性基を有するポリマーである。
GPC測定より、得られたポリマー1の分子量は数平均分子量28200、Mw/Mn1.82を示し、モノマー含有量は0.5%であった。
[配向層形成用組成物]
ポリマー1を濃度5重量%で、シクロペンタノンに溶解した溶液を配向層形成用組成物として用いた。
ポリマー1を濃度5重量%で、シクロペンタノンに溶解した溶液を配向層形成用組成物として用いた。
[実施例1]
厚みが25μmのトリアセチルセルロース(TAC)からなる基材層を準備した。この基材層を120℃で5分間加熱乾燥し、水分率が2%となるようにした。基材層上に、配向層形成用組成物をバーコート法により塗布し、塗膜を80℃で1分間乾燥した。厚さは100nmであった。
厚みが25μmのトリアセチルセルロース(TAC)からなる基材層を準備した。この基材層を120℃で5分間加熱乾燥し、水分率が2%となるようにした。基材層上に、配向層形成用組成物をバーコート法により塗布し、塗膜を80℃で1分間乾燥した。厚さは100nmであった。
次いでUV照射装置(SPOT CURE SP-7、ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長365nmで測定した積算光量が100mJ/cm2の光を、ワイヤーグリッド(UIS-27132##、ウシオ電機株式会社製)を通過した偏光を照射することで配向性能を付与し、配向層を得た。
得られた配向層上に偏光層形成用組成物をバーコート法により塗布した。塗膜を100℃で2分間加熱乾燥した後、室温まで冷却して乾燥された膜を得た。得られた膜に、UV照射装置(SPOT CURE SP-7)を用いて、積算光量が1200mJ/cm2(365nm基準)となるように、紫外線を照射して厚みが3μmの偏光層を得た。得られた積層体について、吸収軸方向および透過軸方向への各引張弾性率(EAおよびET)を測定した。この積層体は、EAが3180MPaでありETが3900MPaであった。また、延伸する前、吸収軸方向へ延伸率5%で延伸した後、および透過軸方向へ延伸率5%で延伸した後のそれぞれにおいて、全ヘイズ値、視感度補正単体透過率、視感度補正偏光度および外観を評価した。結果を表1に示す。延伸はUTMを用いて行った。延伸条件は、常温で速度1.5mm/分、幅40mm、標点距離50mmとした。
[実施例2]
実施例1において、吸収軸方向への延伸率および透過軸方向への延伸率をそれぞれ10%としたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
実施例1において、吸収軸方向への延伸率および透過軸方向への延伸率をそれぞれ10%としたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
[実施例3]
実施例1において、トリアセチルセルロース(TAC)からなる基材層をポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基材層に変えたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。PETからなる基材層の厚みは50μmであった。この積層体は、EAが4500MPaでありETが3300MPaであった。
実施例1において、トリアセチルセルロース(TAC)からなる基材層をポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基材層に変えたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。PETからなる基材層の厚みは50μmであった。この積層体は、EAが4500MPaでありETが3300MPaであった。
[実施例4]
実施例3において、吸収軸方向への延伸率および透過軸方向への延伸率をそれぞれ10%としたこと以外は、実施例3と同様にして積層体を作製した。
実施例3において、吸収軸方向への延伸率および透過軸方向への延伸率をそれぞれ10%としたこと以外は、実施例3と同様にして積層体を作製した。
[比較例1]
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%、厚み30μmのポリビニルアルコールフィルム〔株式会社クラレ製の商品名「クラレビニロン VF-PE♯3000」〕を、37℃の純水に浸漬した後、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の水溶液(ヨウ素/ヨウ化カリウム/水(重量比)=0.05/1.7/100)に浸漬した。
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%、厚み30μmのポリビニルアルコールフィルム〔株式会社クラレ製の商品名「クラレビニロン VF-PE♯3000」〕を、37℃の純水に浸漬した後、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の水溶液(ヨウ素/ヨウ化カリウム/水(重量比)=0.05/1.7/100)に浸漬した。
ヨウ化カリウムとホウ酸とを含む58℃の水溶液(ヨウ化カリウム/ホウ酸/水(重量比)=12/3.2/100)に浸漬した。フィルムを15℃の純水で洗浄した後、80℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向した厚み約12μmの偏光層を得た。延伸は、主にヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行い、トータルの延伸倍率は5.5倍であった。得られた偏光層の片面に、厚み25μmのTACフィルムからなる基材層〔コニカミノルタ株式会社製の商品名「KC2UA」〕を、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介して貼り合わせて偏光板を作製した。この積層体は、EAが8500MPaでありETが4950MPaであった。
得られた積層体について、吸収軸方向へ延伸率5%で延伸した後、および透過軸方向へ延伸率5%で延伸した後のそれぞれにおいて引張弾性率(EAおよびET)を測定した。また、延伸する前、吸収軸方向へ延伸率5%で延伸した後、および透過軸方向へ延伸率5%で延伸した後のそれぞれにおいて、全ヘイズ値、視感度補正単体透過率、視感度補正偏光度および外観を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例1において、吸収軸方向への延伸率および透過軸方向への延伸率をそれぞれ10%としたこと以外は、比較例1と同様にして積層体を作製した。
比較例1において、吸収軸方向への延伸率および透過軸方向への延伸率をそれぞれ10%としたこと以外は、比較例1と同様にして積層体を作製した。
[比較例3]
比較例1において、厚み25μmのTACフィルムの代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社)を使用したこと以外は、比較例1と同様にして積層体を作製した。PETフィルムの厚みは38μmであった。この積層体は、EAが9900MPaでありETが5100MPaであった。
比較例1において、厚み25μmのTACフィルムの代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社)を使用したこと以外は、比較例1と同様にして積層体を作製した。PETフィルムの厚みは38μmであった。この積層体は、EAが9900MPaでありETが5100MPaであった。
[比較例4]
基材層を加熱乾燥しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。
基材層を加熱乾燥しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。
表1に示される通り、実施例1~4の積層体は、延伸前と延伸後とにおいて全ヘイズ値、視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度の差が小さく、延伸後も良好な外観を呈した。一方、比較例1では、延伸前と延伸後の視感度補正偏光度の差が大きく、延伸後における外観評価において十分な結果が得られなかった。比較例2では延伸時に破断が生じた。比較例3では全ヘイズ値、視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度の差がいずれも大きく、外観評価において十分な結果が得られなかった。比較例4では、偏光層にムラが生じており、外観が悪かった。
[延伸試験]
実施例5、6及び比較例5で作製した積層体について、反射率測定を行った後、UTMを用いて温度60℃の環境下で速度2.5mm/分で延伸率5%延伸後、延伸状態を維持して、反射率測定および外観評価を行った。各積層体の測定用サンプルは、初期延伸方向長さ50mm、幅40mmであった。吸収軸方向(MD方向)および透過軸方向(TD方向)に延伸した場合についてそれぞれ延伸試験を行った。
実施例5、6及び比較例5で作製した積層体について、反射率測定を行った後、UTMを用いて温度60℃の環境下で速度2.5mm/分で延伸率5%延伸後、延伸状態を維持して、反射率測定および外観評価を行った。各積層体の測定用サンプルは、初期延伸方向長さ50mm、幅40mmであった。吸収軸方向(MD方向)および透過軸方向(TD方向)に延伸した場合についてそれぞれ延伸試験を行った。
反射率は、分光測色計(CM-2600d、コニカミノルタ株式会社製、SCIモード)に、測定用サンプル、反射板(アルミ板、反射率97%)の順に設置し、測定を行った。延伸前に測定した反射率[%]および延伸状態を維持して測定した反射率[%]の差の絶対値Δ反射率[%]を求めた。Δ反射率[%]は以下の式により求めることができる。
Δ反射率[%]=|Y(延伸前)-Y(延伸状態)|
Y(延伸前)=延伸前に測定した反射率[%]
Y(延伸状態)=延伸状態を維持して測定した反射率[%]
Δ反射率[%]=|Y(延伸前)-Y(延伸状態)|
Y(延伸前)=延伸前に測定した反射率[%]
Y(延伸状態)=延伸状態を維持して測定した反射率[%]
外観評価は、ムラ、クラック、ヘイズおよび破断発生の有無について目視により評価した。
○:ムラ無し、クラック無し、ヘイズ無し、かつ破断未発生
×:ムラ無し、クラック無し、ヘイズ有り、かつ破断未発生
××:クラック発生、破断発生、またはムラ発生
○:ムラ無し、クラック無し、ヘイズ無し、かつ破断未発生
×:ムラ無し、クラック無し、ヘイズ有り、かつ破断未発生
××:クラック発生、破断発生、またはムラ発生
[両面粘着剤層付コーティング型位相差層の作製]
(配向膜形成用組成物)
下記式で表される構造を有する光配向性材料5質量部(重量平均分子量:30,000)とシクロペンタノン(溶媒)95質量部とを混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、配向膜形成用組成物を得た。
(配向膜形成用組成物)
下記式で表される構造を有する光配向性材料5質量部(重量平均分子量:30,000)とシクロペンタノン(溶媒)95質量部とを混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、配向膜形成用組成物を得た。
(位相差層形成用組成物)
下記式で表される重合性液晶化合物A及び重合性液晶化合物Bを90:10の質量比で混合した混合物100質量部に対して、レベリング剤(F-556;DIC株式会社製)を1.0質量部、及び重合開始剤である2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369、BASFジャパン株式会社製)を6質量部添加した。さらに、固形分濃度が13%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間攪拌することにより、位相差層形成用組成物を得た。
(重合性液晶化合物A)
(重合性液晶化合物B)
重合性液晶化合物Aは、特開2010-31223号公報に記載された方法で製造した。また、重合性液晶化合物Bは、特開2009-173893号公報に記載された方法に準じて製造した。
下記式で表される重合性液晶化合物A及び重合性液晶化合物Bを90:10の質量比で混合した混合物100質量部に対して、レベリング剤(F-556;DIC株式会社製)を1.0質量部、及び重合開始剤である2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369、BASFジャパン株式会社製)を6質量部添加した。さらに、固形分濃度が13%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間攪拌することにより、位相差層形成用組成物を得た。
(重合性液晶化合物A)
(重合性液晶化合物B)
重合性液晶化合物Aは、特開2010-31223号公報に記載された方法で製造した。また、重合性液晶化合物Bは、特開2009-173893号公報に記載された方法に準じて製造した。
(基材、配向膜、重合性液晶化合物が硬化した層からなる積層体の作製)
基材として50μm厚のシクロオレフィン系樹脂フィルム〔ZF-14-50、日本ゼオン株式会社製〕を準備し、コロナ処理を施した。コロナ処理が施された面に、配向膜形成用組成物をバーコーターで塗布した。塗布膜を80℃で1分間乾燥した。乾燥した塗布膜に、偏光UV照射装置〔ウシオ電機株式会社の商品名「SPOT CURE SP-9」〕を用いて、軸角度45°にて偏光UVを照射し、配向膜を得た。偏光UVの照射は、波長313nmにおける積算光量が100mJ/cm2となるように行われた。
続いて、配向膜上に、位相差層形成用組成物を、バーコーターを用いて塗布した。塗布膜を120℃で1分間乾燥した。乾燥した塗布膜に、高圧水銀ランプ〔ウシオ電機株式会社の商品名:「ユニキュアVB-15201BY-A」〕を用いて、紫外線を照射した。紫外線の照射工程は、波長365nmにおける積算光量が400mJ/cm2となるように、窒素雰囲気下で行われた。照射直後に冷却工程として、硬化膜を5℃に設定したオーブンに20秒間投入した。オーブンから取り出し後、すぐに再度前記紫外線照射工程および冷却工程を実施し(すなわち2回の紫外線照射の合計の積算光量は800mJ/cm2である。)、基材、配向膜、および重合性液晶化合物が硬化した層からなる積層体を得た。
基材として50μm厚のシクロオレフィン系樹脂フィルム〔ZF-14-50、日本ゼオン株式会社製〕を準備し、コロナ処理を施した。コロナ処理が施された面に、配向膜形成用組成物をバーコーターで塗布した。塗布膜を80℃で1分間乾燥した。乾燥した塗布膜に、偏光UV照射装置〔ウシオ電機株式会社の商品名「SPOT CURE SP-9」〕を用いて、軸角度45°にて偏光UVを照射し、配向膜を得た。偏光UVの照射は、波長313nmにおける積算光量が100mJ/cm2となるように行われた。
続いて、配向膜上に、位相差層形成用組成物を、バーコーターを用いて塗布した。塗布膜を120℃で1分間乾燥した。乾燥した塗布膜に、高圧水銀ランプ〔ウシオ電機株式会社の商品名:「ユニキュアVB-15201BY-A」〕を用いて、紫外線を照射した。紫外線の照射工程は、波長365nmにおける積算光量が400mJ/cm2となるように、窒素雰囲気下で行われた。照射直後に冷却工程として、硬化膜を5℃に設定したオーブンに20秒間投入した。オーブンから取り出し後、すぐに再度前記紫外線照射工程および冷却工程を実施し(すなわち2回の紫外線照射の合計の積算光量は800mJ/cm2である。)、基材、配向膜、および重合性液晶化合物が硬化した層からなる積層体を得た。
作製した積層体における重合性液晶化合物が硬化した層上に後述の粘着剤層を積層した。次に、積層体から基材を剥離し、剥離して露出した面にも同様に粘着剤層を積層した。このようにして、粘着剤層、重合性液晶化合物が硬化した層、配向膜、および粘着剤層からなる両面粘着剤層付きのコーティング型位相差層を作製した。重合性液晶化合物が硬化した層は、λ/4の位相差値を有していた。
[両面粘着剤層付フィルム型位相差層の作製]
環状オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸したフィルムであるゼオノアフィルム(日本ゼオン株式会社、波長λ=550nmの光に対する面内位相差値:138nm)を準備した。このフィルムの両面に後述の粘着剤層をそれぞれ積層した。
環状オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸したフィルムであるゼオノアフィルム(日本ゼオン株式会社、波長λ=550nmの光に対する面内位相差値:138nm)を準備した。このフィルムの両面に後述の粘着剤層をそれぞれ積層した。
(粘着剤層)
アクリル酸ブチル:70質量部、アクリル酸エチル:20質量部、アクリル酸:2.0質量部、およびラジカル重合開始剤(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル):0.2質量部を、窒素雰囲気下で撹拌しながら55℃で反応させることによりアクリル樹脂を得た。
アクリル酸ブチル:70質量部、アクリル酸エチル:20質量部、アクリル酸:2.0質量部、およびラジカル重合開始剤(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル):0.2質量部を、窒素雰囲気下で撹拌しながら55℃で反応させることによりアクリル樹脂を得た。
アクリル樹脂:100質量部、架橋剤(東ソー株式会社製「コロネートL」):0.7質量部、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「X-12-981」):0.5質量部を混合した。全体固形分濃度が10%になるように酢酸エチルを添加して、粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)の離型処理面に、アプリケータを利用して乾燥後の厚みが25μmになるように塗布した。塗布層を100℃で1分間乾燥して、粘着剤層を備えるフィルムを得た。その後、粘着剤層上に、離型処理された別のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)を貼合した。その後、温度23℃、相対湿度50%RHの条件で7日間養生させた。
<実施例5>
実施例1で作製した基材層/偏光層からなる積層体の偏光層上に、上述の両面粘着剤層付コーティング型位相差層を、一方の粘着剤層を介して貼り合わせた。重合性液晶化合物が硬化した層の遅相軸は、偏光層の吸収軸に対して45度であった。このようにして、基材層/偏光層/粘着剤層/コ-ティング型位相差板/粘着剤層からなる円偏光板を作製した。得られた円偏光板について延伸試験を行った。結果を表2に示す。
実施例1で作製した基材層/偏光層からなる積層体の偏光層上に、上述の両面粘着剤層付コーティング型位相差層を、一方の粘着剤層を介して貼り合わせた。重合性液晶化合物が硬化した層の遅相軸は、偏光層の吸収軸に対して45度であった。このようにして、基材層/偏光層/粘着剤層/コ-ティング型位相差板/粘着剤層からなる円偏光板を作製した。得られた円偏光板について延伸試験を行った。結果を表2に示す。
<実施例6>
実施例1で作製した基材層/偏光層からなる積層体の偏光層と上述のフィルム型位相差層とを粘着剤層を介して貼り合わせた。フィルム型位相差層の遅相軸は、偏光層の吸収軸に対して45度であった。このようにして、基材層/偏光層/粘着剤層/フィルム型位相差層/粘着剤層からなる円偏光板を作製した。得られた円偏光板について延伸試験を行った。結果を表2に示す。
実施例1で作製した基材層/偏光層からなる積層体の偏光層と上述のフィルム型位相差層とを粘着剤層を介して貼り合わせた。フィルム型位相差層の遅相軸は、偏光層の吸収軸に対して45度であった。このようにして、基材層/偏光層/粘着剤層/フィルム型位相差層/粘着剤層からなる円偏光板を作製した。得られた円偏光板について延伸試験を行った。結果を表2に示す。
<比較例5>
比較例4で作製した基材層/偏光層からなる積層体を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、基材/偏光層/粘着剤層/コ-ティング型位相差層/粘着剤層からなる円偏光板を作製した。得られた円偏光板について延伸試験を行った。結果を表2に示す。
比較例4で作製した基材層/偏光層からなる積層体を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、基材/偏光層/粘着剤層/コ-ティング型位相差層/粘着剤層からなる円偏光板を作製した。得られた円偏光板について延伸試験を行った。結果を表2に示す。
10 積層体、11 基材層、12 偏光層。
Claims (8)
- 基材層および偏光層から構成される延伸可能な積層体であって、
前記基材層の水分率は、5.0%以下であり、
以下の式(1)を満たす、積層体。
|EA-ET|/|EA+ET|≦0.25 (1)
[式中、EAおよびETはそれぞれ、吸収軸方向および透過軸方向における引張弾性率を示す] - 全ヘイズ値が3%以下である、請求項1に記載の積層体。
- 前記偏光層の厚みは、0.5μm~10μmである、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記偏光層は、重合性液晶化合物と二色性色素とを含む偏光層形成用組成物の硬化物から構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記偏光層中の二色性色素の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して0.1~30質量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記偏光層側に粘着剤層を更に有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記粘着剤層を介して積層される位相差層を有する、請求項6に記載の積層体。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体が、画像表示素子に貼合された、表示装置。
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