JP7281137B2 - 引き戸の制動装置 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 磯川産業株式会社及びアトムリビンテック株式会社が、平成31年4月18日~20日に2019春の新作発表会にて発表
本発明は、移動間仕切りを含む引き戸の制動装置に関するものである。
従来から、建物の開口部には、ガイドレールに沿って移動する引き戸が設置されている。近年では、引き戸を閉じる際に、閉鎖位置(開口部を完全に塞ぐ位置)まで引き戸を自動的に移動させる自閉式の引き戸が使用されるようになってきている。
このような自閉式の引き戸では、引き戸を閉鎖する際(閉鎖位置まで移動させる際)に、引き戸が勢いよく戸枠に衝突して衝撃音を発生させたり、誤って手指を引き戸と戸枠の間に挟んだりすることが問題となっていた。
このような問題を解決するために、引き戸を閉鎖位置の近傍において制動する引き戸の制動装置が開発されている。例えば、特許文献1のスライドアシスト機構は、枠体をガイドローラと一体のユニットとしてローラ支持体に取り付けているため、引き戸を戸枠に組み込む際の上下位置関係や、木製引き戸の反りやたわみによって引き戸と戸枠の上下位置関係が変わっても、引き戸側部材と戸枠側部材の上下位置関係は一定に保たれるように開発されている。
特開2005-350912号公報
ところで、特許文献1のスライドアシスト機構を含む従来の制動装置では、戸枠側の所定位置に恒久的に固定設置されるトリガが使用されている。このため、移動間仕切りの引き戸のように、必要に応じて設置して使用される引き戸には適用できなかった。
そこで、本発明は、必要に応じて設置して使用される引き戸に適用できる、引き戸の制動装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の引き戸の制動装置は、戸板の移動を減衰する引き戸の制動装置であって、前記戸板に向かって突出するトリガであって、建物側の所定位置に設けられた坪受部材と、前記戸板に保持されて前記坪受部材に挿入可能な出没自在の軸部材と、を有しており、建物に相対的に固定/移動を選択できるようになっている、トリガと、前記戸板側に移動可能に設置されて、前記トリガと係脱可能に構成され、前記トリガと係合した状態で前記戸板に相対的に移動可能となり、前記トリガと係合しない状態で前記戸板に相対的に移動不可能となるスライド部材と、第1の端部が前記スライド部材に取り付けられるとともに第2の端部が前記戸板に取り付けられて、前記スライド部材が前記トリガと係合した状態で前記戸板を開方向又は閉方向に付勢して移動させる付勢手段と、前記付勢手段の付勢する方向の前記戸板の移動を減衰するダンパーと、を備えている。
このように、本発明の引き戸の制動装置は、建物に相対的に固定/移動を選択できるようになっている、トリガと、スライド部材と、付勢手段と、ダンパーと、を備えている。このような構成であれば、必要に応じて建物に相対的にトリガを固定/移動することによって、例えば移動間仕切りのように、必要に応じて設置して使用される引き戸にも、引き戸の制動装置を適用できる。
引き戸の制動装置を含む引き戸の全体構造を示す斜視図である。 引き戸の制動装置の機能の説明図である。(a)は開状態であり、(b)は制動開始時であり、(c)は閉状態である。 引き戸の制動装置の斜視図である。 引き戸の制動装置の構成を分解して説明する部品図である。 引き戸の制動装置の開状態の断面図である。 引き戸の制動装置の制動開始時の断面図である。 引き戸の制動装置の閉状態の断面図である。 トリガの構成を分解して説明する部品図である。 軸部材が収納された状態のトリガの断面図である。 軸部材が突出された状態のトリガの断面図である。 ガイドローラの斜視図である。 ガイドローラの機能を説明する説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例では、戸板を上部に配置されたガイドローラ(吊車)で吊下支持されている場合について説明するが、これは例示であって、この例に限定されるものではない。
(全体構成)
まず、図1及び図2を用いて、引き戸としての移動間仕切り1の全体構成を説明する。移動間仕切り1は、スライド移動可能な3枚の収納パネル10、10、10と、戸板としてのスライド移動可能な1枚の引き戸パネル11と、によって開口部90を塞ぐように構成されている。すなわち、本実施例の移動間仕切り1は、間仕切りとして使用しない場合には、収納スペース(戸だまり)91に、引き戸パネル11及び収納パネル10、10、10が収容される。
このうち引き戸パネル11は、図2に示すように、上部に設置されたガイドローラ20、20を介して上部レール101~103から吊り下げ支持されている。すなわち、建物側には下向きのC字状断面の上部レール101~103(チャンネル部材)が取り付けられており、この上部レール101~103の内部をガイドローラ20、20が走行(転動)することによって、引き戸パネル11が吊り下げられた状態でスライド移動(開閉)するようになっている。ガイドローラ20の構成については後述する。
上部レール101~103は、図1に示すように、引き戸パネル11の開閉方向に延びる第1上部レール101と、第1上部レール101に直交する第2上部レール102と、両者が交差する箇所に配置される継目レール103と、から構成されている。
このうち第1上部レール101及び第2上部レール102は、直線的に延びる溝を有するレールである。一方、継目レール103は、第1溝103Aと第2溝103BとからなるT字型の溝を有するレールである。したがって、引き戸パネル11を引き戸として開閉(スライド移動)させる際には、ガイドローラ20は、第1上部レール101と継目レール103とを走行することになる(図12を用いて後述する)。
そして、引き戸パネル11の下部には、本実施例の引き戸の制動装置2が設置されている。この引き戸の制動装置2の詳細な構成については後述する。引き戸の制動装置2は、図2(a)~(c)に示したように、開状態では制動機能を発揮せず(図2(a)参照)、引き戸パネル11を閉める方向に移動させる途中の所定の位置(制動開始時、図2(b)参照)から、閉状態(図2(c)参照)まで制動機能を発揮するようになっている(ソフトクローズ)。
(引き戸の制動装置の構成)
引き戸の制動装置2は、図3~図4、図5~図7に示すように、戸板としての引き戸パネル11の移動を減衰する引き戸の制動装置2であって、引き戸パネル11に向かって突出するトリガ3であって、建物側の所定位置に設けられた坪受部材31と、引き戸パネル11に保持されて坪受部材31に挿入可能な出没自在の軸部材33と、を有しており、建物に相対的に固定/移動を選択できるようになっている、トリガ3と、引き戸パネル11側に移動可能に設置されて、トリガ3と係脱可能に構成され、トリガ3と係合した状態で引き戸パネル11に相対的に移動可能となり、トリガ3と係合しない状態で引き戸パネル11に相対的に移動不可能となるスライド部材4と、第1の端部がスライド部材4に取り付けられるとともに第2の端部が引き戸パネル11に取り付けられて、スライド部材4がトリガ3と係合した状態で引き戸パネル11を開方向又は閉方向に付勢して移動させる付勢手段5と、付勢手段5の付勢する方向の引き戸パネル11の移動を減衰するダンパー6と、を備えるとともに、さらに、スライド部材4とともに引き戸パネル11に相対的に移動する第1のラックギヤ71と、第1のラックギヤ71に対向して引き戸パネル11に固定される第2のラックギヤ72と、ダンパー6の端部に回転自在に支承されて、第1のラックギヤ71と第2のラックギヤ72の間で噛み合って回転するピニオンギヤ65と、を備えている。
これを部品ごとに、すなわち構成のまとまりごとに説明すると、図3及び図4に示すように、引き戸の制動装置2は、トリガ3と、スライド部材4と、付勢手段5と、ダンパー6と、引き戸パネル11と一体になっているケース80と、レール81と、によって構成されている。このうち、トリガ3の構成については、後述する。
スライド部材4は、後述する付勢手段5の第1部材51(第1のラックギヤ71と一体になっている)の一端に回転軸41を介して揺動(回動)自在に支持されており、トリガ3に係合する係合切欠42と、回転軸41について係合切欠42の反対側に配置される摺動軸43とを備えている。回転軸41は、スライド部材4の側方から突出しており、ケース80の摺動溝80a内を摺動する。
そして、摺動軸43は、スライド部材4の揺動によって、ケース80の摺動溝80a又は固定溝80bのいずれかに配置されるようになっている。すなわち、スライド部材4がトリガ3と係合して揺動されると、固定溝80bを脱して摺動溝80aに移動する。他方、スライド部材4がトリガ3と係合していなければ、固定溝80bに留まるようになっている。
つまり、スライド部材4がトリガ3と係合することにより、付勢手段5及びダンパー6がロック解除されて機能するようになり、スライド部材4がトリガ3と係合していないと、付勢手段5及びダンパー6がロックされて機能しないようになる。
付勢手段5は、スライド部材4に対して引き戸パネル11を付勢する方向の前方側(図4では右側)に縮められた状態で設置されたバネ54、55と、このバネ54、55を案内するためのガイドである入れ子状(テレスコープ状)に構成された筒状の第1部材51、第2部材52、及び第3部材53と、によって構成されている。この第1のバネ54は、第1部材51(上部材510と下部材511から構成される)と第2部材52の間で作用し、第2のバネ55は、第2部材52と第3部材53の間で作用する。なお、バネは単体であってもよいし、ガイドも入れ子状になっていなくてもよい。
そして、最も外側の第1部材51(の上部材51a)の上面には、引き戸パネル11の開閉方向に沿って第1のラックギヤ71が形成されている。さらに、第1部材51の一端には前述したスライド部材4が回転軸41を介して揺動自在に支持されており、他端にはケース80の摺動溝80c内を摺動する摺動軸71aが支持されている。また、第2部材52の一端の側面には突起52aが形成されており、ケース80の摺動溝80d内を摺動するようになっている。
ダンパー6は、主にシリンダ61とロッド62によって構成される、オイルダンパー又はエアダンパーであり、ハウジング60の筒形状内に挿入されている。そして、本実施例のダンパー6には、ロッド62の先端に保持部材63が取り付けられている。保持部材63には、回転軸64を介してピニオンギヤ65が回転自在に支持されている。
第1のラックギヤ71は、上述したように、付勢手段5の第1部材51の上面に形成されている。したがって、第1のラックギヤ71は、スライド部材4とともに引き戸パネル11と相対的に移動するようになっている。また、第2のラックギヤ72は、第1のラックギヤ71に対向して引き戸パネル11側に固定されている(ハウジング60の下向き面に形成される)。換言すると、第2のラックギヤ72は、引き戸パネル11に固定されるケース80の頂部側に下向きに取り付けられている。
そして、上向きの第1のラックギヤ71と下向きの第2のラックギヤ72との間に、ダンパー6のロッド62先端に取り付けられたピニオンギヤ65が配置され、コロの原理でラックギヤ71、72間を転動するようになっている。換言すると、第2のラックギヤ72が付勢手段5によって第1方向(例えば、閉方向)へ移動すると、ピニオンギヤ65が回転することで第1のラックギヤ71が第2方向(第1方向とは逆の方向、例えば、開方向)へ移動することになる。その際、ピニオンギヤ65は、第1のラックギヤ71に相対的に第2方向へ移動するとともに、第2のラックギヤ72に相対的に第1方向へ移動することとなる。
ケース80は、合成樹脂などによって、下部が開いたコ字状に形成されるものであり、側面には、開閉方向に沿って3つの摺動溝80a、80c、80dと、1つの固定溝80bと、が形成されている。このうち最上部の摺動溝80cは、第1部材51の摺動軸71aを開閉方向に案内するものである。また、固定溝80bとつながっている摺動溝80aは、スライド部材4(の摺動軸43)及び第1のラックギヤ71(と一体の第1部材51の回転軸41)を開閉方向に案内するものである。さらに、最下部の摺動溝80dは、付勢手段5(の第2部材52の突起52a)を開閉方向に案内するものである。
レール81は、全体として下部が開いたコ字状に形成されるものであり、内面下部の左右に内向きに開いたコ字状のレール部材81a、81aが形成されている。そして、この左右のレール部材81a、81aの上に、ケース80が篏合される。さらに、左右のレール部材81a、81aには、トリガ3の左右の摺動片32c、32cがそれぞれ篏合しており、トリガ3がレール部材81a、81a内を摺動できるようになっている。
前述したように、スライド部材4は、回転軸41を中心として搖動するようになっている。引き戸パネル11を閉じる際には、スライド部材4の摺動軸43がケース80の固定溝80b内に位置するため、スライド部材4は引き戸パネル11とともに移動する。そして、スライド部材4の係合切欠42がトリガ3の係合片32bと衝突すると(図1(b)の制動開始時に対応)、係合片32bから反力を受けたスライド部材4が回転軸41を中心として右回りに回転して摺動軸43が固定溝80b内から脱出して摺動溝80a内に移動する。
(制動装置の全体作用)
次に、図5~図7を用いて、本実施例の引き戸の制動装置2の全体作用について説明する。
まず操作者が、引き戸パネル11を手で閉めようとする。後述する制動開始状態までは、開状態が維持される。図5に示したように、引き戸パネル11が開状態の場合、スライド部材4はトリガ3と係合しておらず、スライド部材4の摺動軸43は固定溝80b内にある。したがって、付勢手段5のバネ54、55は解放されずに縮んだままである。そのため、第1のラックギヤ71、ピニオンギヤ65及び第2のラックギヤ72は動かず、ダンパー6も働かない。
そして、引き戸パネル11がさらに移動すると制動開始時に移行する。操作者は、この状態で引き戸パネル11から手を離してよい。図6に示したように、制動開始時には、スライド部材4がトリガ3と衝突(係合)し、スライド部材4が揺動して摺動軸43が固定溝80bから摺動溝80aに脱出する。そうすると、スライド部材4及び第1のラックギヤ71と、第2のラックギヤ72及び引き戸パネル11と、が相対的に移動可能となる。したがって、付勢手段5のバネ54、55が解放されて伸びようとする。すなわち、第1のラックギヤ71は(絶対座標系で)位置を変えないまま、付勢手段5がケース80とともに引き戸パネル11を閉方向に押す。そのため、引き戸パネル11と一体の第2のラックギヤ72が、第1のラックギヤ71に相対的に閉方向に移動する。これに伴って、2つのラックギヤ71、72に挟まれたピニオンギヤ65が回転しつつ、(絶対座標系で)開方向に移動してダンパー6が働くことになる。
この際、ピニオンギヤ65の開方向への移動距離は、第1のラックギヤ71と第2のラックギヤ72の相対的な移動距離の1/2となる。逆に言うと、ダンパー6のストロークを一定とすれば、2つのラックギヤ71、72の相対的な移動距離は、ストロークの2倍となる。
その後、スライド部材4が末端まで移動すると、引き戸パネル11の移動が終了して閉状態となる(図7参照)。操作者が、引き戸パネル11を手で開ける場合には、付勢手段5による付勢力に抗して手で引き戸パネル11を移動させて、制動開始時と同じ位置になると、スライド部材4の摺動軸43が摺動溝80aから固定溝80bに移動(脱落)する。そうすると、スライド部材4とトリガ3の係合が解除されるとともに、付勢手段5は縮められた状態となる。
(トリガの構成)
次に、本実施例のトリガ3の構成について説明する。本実施例のトリガ3は、建物側の所定位置に設置される坪受部材31と、引き戸パネル11に保持されて坪受部材31に挿入可能な出没自在の軸部材33と、を有している。したがって、軸部材33を坪受部材31に挿入した状態では建物に相対的に固定され、軸部材33を坪受部材31から抜いた状態では建物に相対的に移動可能となる。
トリガ3は、より詳細に言うと、坪受部材31及び軸部材33に加えて、本体部となるトリガ部材32と、レバー部材34と、回転軸35、36と、をさらに備えている。坪受部材31は、鍔板と、鍔板から下方に突出する円筒部と、から構成されるものであり、円筒部が建物側に設けた円孔に圧入されて建物側に固定される。
トリガ部材32は、スライド部材4に係合する係合片32aと、係合片32aに取り付けられる緩衝部材32bと、レール81のレール部材81aに嵌合されて摺動する左右の摺動片32cと、誤動作復帰用の突出片32dと、を備えている。
そして、本実施例のトリガ部材32には、軸部材33に連結されるレバー部材34であって、引き戸パネル11の木口面から突出しており、手で上下に回転移動(回転軸35を回転軸とする)させることによって、軸部材33が坪受部材31に向かって出没されるようになっている、レバー部材34をさらに備えている。
すなわち、トリガ部材32には、下方から円形の摺動孔が設けられており、この摺動孔に軸部材33が上下方向に出没可能に収容されている。そして、軸部材33の上部には、レバー部材34が回動自在(回転軸36を回転軸とする)に連結されており、レバー部材34(トリガ部材32に回転可能に設置されている。)を揺動させることで、軸部材33が上下移動するようになっている。
なお、後述する図9、図10に示すように、レバー部材34には、途中にボール34a、34aとバネ34bとが配置されており、収容姿勢(図9の姿勢)では、凹部32eにボール34aが落ちることでレバー位置を下方に保持し、突出姿勢(図10の姿勢)では凹部32fにボール34aが落ちることでレバー位置を上方に保持するようになっている。
したがって、図9に示す収容姿勢では、レバー部材34が下方に位置することで、回転軸35を介して反対側の軸部材33は上方に位置するため、軸部材33はトリガ部材32(=本体部)の内側に収容された状態となる。そうすると、軸部材33は坪受部材31に挿入されることなく、トリガ3は坪受部材31に拘束されず移動可能になる。
一方、図10に示す突出姿勢では、レバー部材34が上方に位置することで、回転軸35を介して反対側の軸部材33は下方に位置するため、軸部材33はトリガ部材32(=本体部)の外側に突出された状態となる。そうすると、軸部材33が坪受部材31に挿入されて、トリガ3が坪受部材31の位置に拘束・固定されることになる。
(ガイドローラの構成)
ここで、図11を用いて、ガイドローラ20の構成について簡単に説明する。本実施例のガイドローラ20は、図11に示すように、引き戸パネル11の上部に設置される吊車すなわちガイドローラ20であり、合計で6つの車輪21、・・・、22、・・・を備えている。このうち2軸4輪の4つの車輪21、・・・は、開閉方向に延びる第1上部レール101を走行し、1軸2輪の2つの車輪22、・・・は、第1上部レール101に直交する第2上部レール102を走行する。
次に、図12を用いて、ガイドローラ20の作用について説明する。引き戸パネル11は、移動間仕切り1を構成する各パネルのうち、最も収納スペース(戸だまり)91に近い位置に配置される場合がある(図1参照)。そうすると、図12に示すように、ガイドローラ20は、継目レール103内を走行する場合がある。
このとき、本実施例のように開閉方向に2軸4輪の車輪21、・・・を搭載することによって、1つの車輪21は収納方向の溝103b(第2上部レール102に接続する)に落ちるが、残りの3つの車輪21、・・・は溝103bに落ちることなく、継目レール103に支持されることになる。さらに、このように継目レール103内を走行するのは、制動装置2が機能している状態、すなわちバネ(54、55)の弾性力による弱い力で引き戸パネル11が移動している状態であるため、このように3つの車輪21、・・・が溝103bに落ちないことは特に効果が大きい。
(効果)
次に、本実施例の引き戸の制動装置2の奏する効果を列挙して説明する。
(1)上述してきたように、本実施例の引き戸の制動装置2は、戸板の移動を減衰する引き戸の制動装置2であって、戸板としての移動可能な引き戸パネル11に向かって突出するトリガ3であって、建物側の所定位置に設けられた坪受部材31と、移動可能な引き戸パネル11に保持されて坪受部材31に挿入可能な出没自在の軸部材33と、を有しており、建物に相対的に固定/移動を選択できるようになっている、トリガ3と、引き戸パネル11側に移動可能に設置されて、トリガ3と係脱可能に構成され、トリガ3と係合した状態で引き戸パネル11に相対的に移動可能となり、トリガ3と係合しない状態で引き戸パネル11に相対的に移動不可能となるスライド部材4と、第1の端部がスライド部材4に取り付けられるとともに第2の端部が引き戸パネル11に取り付けられて、スライド部材4がトリガ3と係合した状態で引き戸パネル11を開方向又は閉方向に付勢して移動させる付勢手段5と、付勢手段5の付勢する方向の引き戸パネル11の移動を減衰するダンパー6と、を備えている。このような構成であれば、必要に応じて建物に相対的にトリガ3を固定/移動することによって、例えば移動間仕切りのように、必要に応じて設置して使用される引き戸にも、引き戸の制動装置を適用できる。
(2)また、トリガ3は、軸部材33に連結されるレバー部材34であって、引き戸パネル11の木口面から突出しており、手で上下に移動させることによって、軸部材33が坪受部材31に向かって出没されるようになっている、レバー部材34をさらに有している。したがって、容易な操作によって、軸部材33を出没させることができる。
(3)さらに、スライド部材4とともに引き戸パネル11に相対的に移動する第1のラックギヤ71と、第1のラックギヤ71に対向して引き戸パネル11に固定される第2のラックギヤ72と、ダンパー6の端部に回転自在に支承されて、第1のラックギヤ71と第2のラックギヤ72の間で噛み合って回転するピニオンギヤ65と、を備えることが好ましい。このような構成によれば、引き戸パネル11に対するピニオンギヤ65の移動距離が全体の制動装置の制動距離となるため、ダンパー6のストロークよりも制動距離を長くすることができる。
例えば、ピニオンギヤ65が1回転すると、上側の第2のラックギヤ72は下側の第1のラックギヤ71に対して、ピニオンギヤ65の2回転分だけ移動する。すなわち、第2のラックギヤ72の移動距離(=制動距離)は、ピニオンギヤ65の移動距離の2倍となる。換言すると、制動距離は、ダンパー6のストロークの2倍となるのである。
(4)また、引き戸パネル11は、上部レール101~103に沿って移動可能な間仕切りパネル(10、11)であることが好ましい。
(5)さらに、上述した引き戸の制動装置2と;引き戸パネル11の開閉方向に延びる第1上部レール101と;第1上部レール101に直交する方向に延びる第2上部レールと102;第1上部レール101と第2上部レール102が交差する箇所に配置される継目レール103であって、第1上部レール101に繋がる第1溝103aと、第2上部レール102に繋がる第2溝103bと、を有する継目レール103と;引き戸パネル11の上部に取り付けられるガイドローラ20であって、第1上部レール101及び第1溝103aを走行する2軸4輪の車輪21、・・・と、第2上部レール102及び第2溝103bを走行する1軸2輪の車輪22、22と、を有する、ガイドローラ20と;を備えることが好ましい。このような構成であれば、ガイドローラ20が継目レール103を走行する際に、1つの車輪21は収納方向の溝103b(第2上部レール102に接続する)に落ちるが、残りの3つの車輪21、・・・は溝103bに落ちることなく、継目レール103に支持されることになる。
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、実施例では、引き戸パネル11を閉める際のストロークエンド付近に機能させる引き戸の制動装置2を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、引き戸パネル11を開ける際のストロークエンド付近に機能させる引き戸の制動装置として構成することももちろんできる。
1 移動間仕切り
10 収納パネル
11 引き戸パネル
2 引き戸の制動装置
3 トリガ
20 ガイドローラ
21、22 車輪
31 坪受部材
32 トリガ部材
33 軸部材
34 レバー部材
35、36 回転軸
4 スライド部材
41 回転軸
42 係合切欠
43 摺動軸
5 付勢手段
51 第1部材
52 第2部材
53 第3部材
54 第1バネ
55 第2バネ
6 ダンパー
65 ピニオンギヤ
71 第1のラックギヤ
72 第2のラックギヤ
80 ケース
80a 摺動溝
80b 固定溝
81 レール
90 開口部
91 収納スペース(戸だまり)
101 第1上部レール
102 第2上部レール
103 継目レール

Claims (5)

  1. 戸板の移動を減衰する引き戸の制動装置であって、
    前記戸板に向かって突出するトリガであって、建物側の所定位置に設けられた坪受部材と、前記戸板に保持されて前記坪受部材に挿入可能な出没自在の軸部材と、を有しており、建物に相対的に固定/移動を選択できるようになっている、トリガと、
    前記戸板側に移動可能に設置されて、前記トリガと係脱可能に構成され、前記トリガと係合した状態で前記戸板に相対的に移動可能となり、前記トリガと係合しない状態で前記戸板に相対的に移動不可能となるスライド部材と、
    第1の端部が前記スライド部材に取り付けられるとともに第2の端部が前記戸板に取り付けられて、前記スライド部材が前記トリガと係合した状態で前記戸板を開方向又は閉方向に付勢して移動させる付勢手段と、
    前記付勢手段の付勢する方向の前記戸板の移動を減衰するダンパーと、
    を備える、引き戸の制動装置。
  2. 前記トリガは、前記軸部材に連結されるレバー部材であって、前記戸板の木口面から突出しており、手で上下に移動させることによって、前記軸部材が前記坪受部材に向かって出没されるようになっている、レバー部材をさらに有する、請求項1に記載された、引き戸の制動装置。
  3. 前記スライド部材とともに前記戸板に相対的に移動する第1のラックギヤと、
    前記第1のラックギヤに対向して前記戸板に固定される第2のラックギヤと、
    前記ダンパーの端部に回転自在に支承されて、前記第1のラックギヤと前記第2のラックギヤの間で噛み合って回転するピニオンギヤと、を備える;請求項1又は請求項2に記載された、引き戸の制動装置。
  4. 前記戸板は、上部レールに沿って移動可能な間仕切りパネルである、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された、引き戸の制動装置。
  5. 請求項4に記載された、引き戸の制動装置と;
    前記戸板の開閉方向に延びる第1上部レールと;
    前記第1上部レールに直交する方向に延びる第2上部レールと;
    前記第1上部レールと前記第2上部レールが交差する箇所に配置される継目レールであって、前記第1上部レールに繋がる第1溝と、前記第2上部レールに繋がる第2溝と、を有する継目レールと;
    前記戸板の上部に取り付けられる吊車であって、前記第1上部レール及び前記第1溝を走行する2軸4輪の車輪と、前記第2上部レール及び前記第2溝を走行する1軸2輪の車輪と、を有する、吊車と;を備える、引き戸の制動システム。
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