JP6722885B2 - 引戸装置 - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1には、床面に設けられた下部レールに下部両側の戸車が走行案内される戸パネルの上部案内装置が開示されている。この上部案内装置は、開口枠の上部外面に固定されるガイド枠と戸パネルの上端面に固定されるスライド枠との間にこれらに対して相対スライド可能な遊動ビームを設けた構成とされている。また、ガイド枠に、誘導ビームに設けられたローラが接当して遊動ビームの進出限界及び退入限界を規定するストッパー軸を設けた構成とされている。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る引戸装置は、壁体に設けられた開口を該開口の壁厚方向一方側において開閉するように前記壁体の一方面に沿ってスライド自在に建て付けられる戸板と、前記壁体の一方側の床側に配設され、前記戸板の荷重を受けて該戸板の下端側をガイドする下レールと、前記壁体の一方側において前記開口の上縁部分に沿って取り付けられる壁側レール部材及びこの壁側レール部材に対してスライド自在に結合されて保持され、前記戸板の上端側に配設される戸側レール部材を有し、該戸板の上端側をガイドする上ガイド部材と、前記壁側レール部材及び前記戸側レール部材のうちの一方に設けられ、閉鎖位置及び全開位置のうちの少なくとも一方側に移動する前記戸板を減速させる緩衝機構と、前記壁側レール部材及び前記戸側レール部材のうちの他方に設けられ、前記緩衝機構を作動させる作用部と、を備えており、前記壁側レール部材と前記戸側レール部材とは、これら壁側レール部材及び戸側レール部材のそれぞれに対してスライド自在に結合されて保持された中間レール部材を介して結合されていることを特徴とする。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の各実施形態では、各実施形態に係る引戸装置を施工した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
本実施形態に係る引戸装置1は、図1〜図3に示すように、壁体2に設けられた開口3を開口3の壁厚方向一方側において開閉するように壁体2の一方面に沿ってスライド自在に建て付けられる戸板10を備えている。つまり、この戸板10は、壁体の一部に設けられた袖壁に納められる袖壁納めや壁体に設けられた戸袋に納められる戸袋納めではなく、開口3の壁厚方向一方側となる外側においてスライド自在に、いわゆるアウトセット納め状に建て付けられる構成とされている。また、この戸板10は、図3に示す閉鎖位置から戸幅方向(壁幅方向)一方側に片引き状にスライドされて図2に示す全開位置とされれば、開口3の開口幅方向一方側に位置する壁体2の壁厚方向一方側に配される構成とされている。本実施形態では、引戸装置1を、単一の戸板10を備えた構成としている。
また、引戸装置1は、壁体2の一方側において開口3の上縁部分に沿って取り付けられる壁側レール部材21及び戸板10の上端側に配設される戸側レール部材35を有し、戸板10の上端側をガイドする上ガイド部材20を備えている。この戸側レール部材35は、壁側レール部材21に対してスライド自在に結合されて保持されている。
また、引戸装置1は、これら壁側レール部材21及び戸側レール部材35のうちの一方に設けられ、閉鎖位置及び全開位置のうちの少なくとも一方側に移動する戸板10を減速させる緩衝機構30A,30Bを備えている。また、引戸装置1は、これら壁側レール部材21及び戸側レール部材35のうちの他方に設けられ、緩衝機構30A,30Bを作動させる作用部42,42を備えている。
また、この開口3の下側は、床面によって区画するようにしてもよく、下枠によって区画するようにしてもよい。また、このような開口枠4,5,5を備えた引戸装置1として把握するようにしてもよい。また、本実施形態では、開口3を、開口枠4,5,5によって区画した例を示しているが、このような開口枠4,5,5を設けずに、無枠状にクロス仕上された内側面によって区画するようにしてもよい。
この下レール6は、図1(b)に示すように、開口3の壁厚方向一方側となる両縦枠5,5の壁厚方向一方側に位置するように配される。図例では、この下レール6を、その長手方向一端部が閉鎖位置とされた戸板10の戸先側端部近傍に位置する一方の縦枠5の壁厚方向一方側に位置するように配した例を示している。また、図例では、この下レール6を、両縦枠5,5の壁厚方向一方面に近接するように配した例を示している。
また、本実施形態では、この下レール6を、床上に設置される、いわゆる直付レールとしている。なお、このような態様に代えて、下レール6を、床に埋込状に設けられるものとしてもよい。
本実施形態では、図1及び図3に示すように、戸板10の上下寸法及び戸幅寸法を、開口3の開口高寸法及び開口幅寸法よりも大としている。図例では、戸板10の上下寸法を、閉鎖位置において、壁厚方向一方側から見て上枠4の全体を覆い得る寸法としている。また、戸板10の戸幅寸法を、閉鎖位置において、壁厚方向一方側から見て両側の縦枠5,5の略全体を覆い得る寸法としている。
また、本実施形態では、戸板10の下端部に、下レール6のガイド溝7に係合する戸車11を設けている。図例では、戸板10の下端部の戸幅方向両端部のそれぞれに戸車11,11を設けた例を示している。これら戸車11,11は、一部が戸板10の下端面から下方に向けて突出するように設けられている。また、これら戸車11,11は、戸厚方向に軸方向を沿わせた軸廻りに回転自在とされ、下レール6のガイド溝7に係合して転動する構成とされている。なお、このような戸車11を戸板10の下端部に設けた態様に代えて、戸板10の下端部に設けられた突条や下端部自体が下レール6のガイド溝7に係合してガイドされる態様等としてもよい。
本実施形態では、壁側レール部材21及び戸側レール部材35のうちの一方に、閉鎖位置に移動する戸板10を減速させる緩衝機構(閉鎖側緩衝機構)30Bと全開位置に移動する戸板10を減速させる緩衝機構(閉鎖側緩衝機構)30Aとを設けた構成としている。これら緩衝機構30A,30Bは、戸板10を減速させ、跳ね返りや衝撃を緩和する構成とされている。また、これら壁側レール部材21及び戸側レール部材35のうちの他方に、これら緩衝機構30A,30Bを作動させる作用部42,42を設けた構成としている。
また、本実施形態では、壁側レール部材21及び戸側レール部材35のうちの一方としての壁側レール部材21に、緩衝機構30A,30Bを設け、これらのうちの他方としての戸側レール部材35に、作用部42,42を設けた構成としている。
また、これら壁側レール部材21及び戸側レール部材35には、図1(a)に示すように、互いにスライド自在に結合されてスライドレールを構成する壁側レール26及び戸側レール36がそれぞれに設けられている。これら壁側レール26と戸側レール36との間には、リテーナ(保持器)やこれに回転自在に保持される転動体としてのボール等が設けられている。
壁側ベース部材22は、全長に亘って一様な断面形状とされており、壁体2側に取り付けられる取付片部23を備えている。
この取付片部23は、壁厚方向に厚さ方向を沿わせた薄板状とされており、ねじや釘等の適宜の止具によって壁体2側に固定される。図例では、この取付片部23を、上枠4との間に間隔を空けて上枠4よりも上方側に位置するように固定した例を示しているが、上枠4の上面や壁厚方向一方側に向く面に沿わせるように固定した構成としてもよい。また、図例では、壁体2との間にスペーサーを介して取付片部23を固定した例を示している。なお、この取付片部23に、止具挿通孔や止具止着箇所の目印となる目印溝等を設けた構成としてもよい。
また、壁側ベース部材22には、緩衝機構30A,30B及び壁側レール26が固定されてこれらを保持する固定保持部24,25が設けられている。本実施形態では、固定保持部24,25を、壁厚方向一方側から壁厚方向に沿う方向に見て緩衝機構30A,30B及び壁側レール26を覆うように設けた構成としている。
水平片部24は、上下方向に厚さ方向を沿わせた薄板状とされている。本実施形態では、この水平片部24の下面側に緩衝機構30A,30Bを設けた構成としている。
垂下片部25は、壁厚方向に厚さ方向を沿わせた薄板状とされている。本実施形態では、この垂下片部25の壁厚方向他方側(背面側)に壁側レール26を設けた構成としている。
また、本実施形態では、壁側レール26及び戸側レール36を、壁厚方向で(戸幅方向に沿う方向に見て)緩衝機構30A,30Bの壁厚方向一方側に位置するように設けた構成としている。水平片部24の壁厚方向に沿う突出寸法(幅寸法)は、これら壁側レール26及び戸側レール36並びに緩衝機構30A,30Bが下面側に配設可能なように適宜の寸法とされている。
また、図例では、この垂下片部25に連なるように、水平片部24の突出方向先端部から立ち上がるように設けられた立上片部を設けた例を示している。この立上片部の上下方向に沿う寸法(幅寸法)は、取付片部23に壁厚方向一方側から止具の止着が可能なように、取付片部23の上下方向に沿う寸法(幅寸法)よりも小とされている。このような立上片部を設けた構成とすれば、取付片部23に止着された止具を目立ち難くすることができる。
また、本実施形態では、この壁側レール26を、スライドレール26,36のアウターメンバー(アウターレール)を構成するものとしている。この壁側レール26は、スライドレール26,36のインナーメンバー(インナーレール)を構成する戸側レール36を収容するように一方向に向けて開口した凹溝を設けた形状とされている。本実施形態では、この壁側レール26を、凹溝が壁厚方向他方側に向けて開口するように配設した構成としている。また、この壁側レール26の凹溝の溝幅方向両側面は、ボールに応じた凹湾曲面状とされている。
これら全開側緩衝機構30Aと閉鎖側緩衝機構30Bとは、互いに同様な構成とされており、壁厚方向に沿う方向に見て、これらの間の壁幅方向に沿う方向中心を対称軸とする線対称状となるように配されている(図5及び図6も参照)。
本実施形態では、緩衝機構30A,30Bを、戸板10を減速させる機能に加え、戸板10の全開位置側及び閉鎖位置側への移動をアシスト(助勢)する機能(引込機能)を有した構成としている。つまり、これら緩衝機構30A,30Bは、全開位置側及び閉鎖位置側に移動する戸板10を減速させながら全開位置側及び閉鎖位置側に助勢する構成とされている。
また、これら緩衝機構30A,30Bは、図4〜図6に示すように、長尺筒状とされたケーシング内に、開口幅方向に沿って伸縮するロッドを有したシリンダー31,31を設けた構成とされている。また、これらシリンダー31,31のロッドの先端部に、スライド体32,32を連結した構成とされている。これらスライド体32,32は、作用部42,42に係合し、ケーシングに対して開口幅方向にスライドされる構成とされている。
また、シリンダー31,31には、付勢部材の付勢に抗するように、縮退されるロッドの作動抵抗となるダンパー(ショックアブソーバー)が設けられている。これらダンパーの作動抵抗(作動流体の粘性抵抗等)によって付勢部材の復元が抑えられてスライド体32,32の移動が減速され、全開側及び閉鎖側に移動する戸板10の減速がなされる構成とされている。なお、シリンダー31,31のロッドの伸縮寸法(ストローク)、つまりは、スライド体32,32のスライド方向に沿う可動寸法は、戸板10の減速が可能なように、適宜、設定するようにしてもよい。
レール長手方向中央側に設けられた第1突起部33,33は、戸板10のスライドを伴い作用部42,42に対する係合解除が可能なように、ケーシングに対して上下方向に概ね沿う方向に出没自在とされている。
第2突起部34,34は、常に突出した状態とされ、上記のように保持部によって没入状態で保持された第1突起部33,33を突出させる当接部としても機能する。
本実施形態では、この戸側レール部材35に、当該戸側レール部材35に対する戸板10の上下動を許容するように戸板10の上端部を保持する保持部38を設けた構成としている。また、戸側レール部材35に、当該戸側レール部材35に対して戸板10を下方側に付勢する付勢部材43を設けた構成としている。
また、戸側レール部材35に、戸側レール36が固定され、保持部38が設けられた戸側ベース部材37を設けた構成とされている。これら戸側レール36と戸側ベース部材37とは、互いに略同長さとされている。
この戸側レール36は、幅方向を上下方向に沿わせて配され、幅方向両側面がボールに応じた凹湾曲面状とされている。この戸側レール36の幅方向両側面と壁側レール26の凹溝の溝幅方向両側面との間に複数のボールが回転自在に設けられている。このような構成により、戸側レール36は、壁側レール26に対して戸幅方向にはスライド自在とされる一方、それ以外の方向(上下方向及び壁厚方向)への移動が壁側レール26によって抑止された構成とされている。
固定片部37aは、壁厚方向に厚さ方向を沿わせた薄板状とされ、戸側レール36の壁厚方向他方側に固定されている。戸側レール36は、固定片部37aに対して適宜の止具や溶接等によって固定されたものでもよい。
保持片部37bは、上下方向に厚さ方向を沿わせた薄板状とされ、本実施形態では、固定片部37aの下端部から壁厚方向他方側に向けて突出するように設けられている。
本実施形態では、戸板10の上端部に、上方側に向けて突出するように連結突部15を設けた構成とし、保持片部37bに、この連結突部15を上下動自在に受け入れて保持する保持部を構成する保持凹部38を設けた構成としている。
また、本実施形態では、これら保持凹部38,38を、保持片部37bを厚さ方向に貫通するように設け、連結突部15,15が挿通される挿通孔としている。連結突部15,15の上下方向に沿う突出寸法は、所望する戸板10の上下動の許容寸法に応じて適宜の寸法としてもよい。
また、連結突部15,15の上端部に、これら保持凹部38,38に挿通された連結突部15,15の抜止となる抜止部としての鍔状部15a,15aをそれぞれに設けた構成としている。なお、これら連結突部15,15は、略円柱形状や略多角柱状等とされたものでもよく、また、保持凹部38,38は、これら連結突部15,15に応じて丸孔状や略多角形孔状等とされたものでもよい。
被取付部14は、戸幅方向に長尺なブロック状とされており、その上面から上方側に向けて突出させるように連結突部15,15を設けた構成とされている。この被取付部14は、戸板10の取付部13に埋込状に嵌め込まれる構成とされている。なお、この被取付部14は、戸板10の取付部13に嵌め込むのみで取り付けられる構成とされたものでもよく、適宜の止具や接着剤等によって取り付けられる構成とされたものでもよい。また、図例では、被取付部14の長さ寸法を、戸側レール部材35よりも戸先側に延出するように長尺状とした例を示しているが、戸側レール部材35と略同長さとしてもよく、戸側レール部材35よりも小としてもよい。
また、被取付部14及び連結突部15,15も含めて戸側レール部材35(上ガイド部材20)として把握するようにしてもよい。なお、このように保持部としての保持凹部38,38に対して上下動自在に保持される被保持部としての連結突部15,15を戸側レール部材35に対して上下動自在に連結して一体的に設けた態様に代えて、戸板10に直接的に設けた態様等としてもよい。
なお、図例では、これら全開側トリガー部40A及び閉鎖側トリガー部40Bを、保持片部37bに一体的に設けたように図示しているが、保持片部37bに対して固定される別体とされたものとしてもよい。また、これら全開側トリガー部40A及び閉鎖側トリガー部40Bを、保持片部37bに対して位置調整可能に固定されるものとしてもよい。また、全開側緩衝機構30A及び閉鎖側緩衝機構30Bをそれぞれに作動させる作用部42,42を個別に設けた例を示しているが、全開側緩衝機構30A及び閉鎖側緩衝機構30Bの両方を作動させる共用の単一の作用部42を設けた構成としてもよい。
つまり、図5(a)、(b)に示すように、戸板10を開放側に向けて移動させ、全開側緩衝機構30Aのスライド体32の第2突起部34に、全開側トリガー部40Aの作用部42が当接すれば、第1突起部33が突出して作用部42に係合する。これにより、図5(b)、(c)に示すように、全開側緩衝機構30Aが作動、つまりは、シリンダー31のロッドの縮退による減速と付勢部材の付勢による助勢とがなされ、戸板10が全開位置となる。この全開位置から戸板10を閉鎖側に移動させれば、図5(b)及び図5(a)に示すように、作用部42によって全開側緩衝機構30Aが作動、つまりは、シリンダー31のロッドが伸長され、助勢力が蓄勢された状態でスライド体32が保持される。つまり、ロッドが伸長された状態で第1突起部33が没入されて保持される。
つまり、図6(a)、(b)に示すように、戸板10を閉鎖側に向けて移動させ、閉鎖側緩衝機構30Bのスライド体32の第2突起部34に、閉鎖側トリガー部40Bの作用部42が当接すれば、第1突起部33が突出して作用部42に係合する。これにより、図6(b)、(c)に示すように、閉鎖側緩衝機構30Bが作動、つまりは、シリンダー31のロッドの縮退による減速と付勢部材の付勢による助勢とがなされ、戸板10が閉鎖位置となる。この閉鎖位置から戸板10を開放側に移動させれば、図6(b)及び図6(a)に示すように、上記同様、作用部42によって閉鎖側緩衝機構30Bが作動、つまりは、シリンダー31のロッドが伸長され、助勢力が蓄勢された状態でスライド体32が保持される。つまり、ロッドが伸長された状態で第1突起部33が没入されて保持される。
また、戸板10を建て付ける際や、振動等によって意図せずに保持部による保持が解除されて第1突起部33,33が突出した状態となれば、詳細な説明は省略するが、以下のようにしてもよい。復帰部41,41を第1突起部33,33に当接させて没入させ、復帰部41,41の係合面に第1突起部33,33を係合させた状態で、戸板10を逆側に移動させシリンダー31,31のロッドを伸長させ、第1突起部33,33を正常な没入状態とするようにしてもよい。
被規制部材16は、図1〜図3に示すように、戸板10の戸尻側端部における壁体2側に向く面(壁厚方向他方側面)の下端部に設けられている。この被規制部材16は、戸板10の戸尻側端部の下端部に取り付けられた取付部に、壁厚方向他方側に向けて突出するように被係合片部17を設けた構成とされている。また、この被規制部材16は、閉鎖位置において戸幅方向で開口3側に露出しないように設けられている。被係合片部17は、上下方向に厚さ方向を沿わせた薄板状とされている。この被係合片部17の突出寸法や戸幅方向に沿う寸法は、規制部材18に係合して戸板10の開放側への移動方向前方側となる戸尻側の浮き上がりを効果的に抑制する観点等から適宜の寸法としてもよい。
この規制部材18には、図1(a)に示すように、壁厚方向一方側に向けて開口し、被規制部材16の被係合片部17を受け入れる係合凹溝19が壁幅方向に沿う方向の全体に亘って設けられている。この係合凹溝19の溝幅方向一方側の溝側面となる下方側に向く面(係合面)によって被規制部材16の被係合片部17の上方側への移動が抑制され、全開位置に移動する戸板10の移動方向前方側となる戸尻側の浮き上がりが抑制される。なお、これら規制部材18及び被規制部材16を、上記した全開側緩衝機構30Aのスライド体32に作用部42が係合する直前に互いに係合する構成とされたものとしてもよい。
また、上記構成とされた引戸装置1を設置する際には、被取付部14が連結突部15,15を介して戸側レール部材35に連結された上ガイド部材20及び下レール6を設置した状態で、これらに戸板10を建て付けて設置するようにしてもよい。この際、戸板10の戸車11,11を下レール6に係合させ、被取付部14を上方側に押し上げた状態で、戸板10の取付部13に嵌め込むようにして取り付けるようにしてもよい。
つまり、壁体2に設けられた開口3を開口3の壁厚方向一方側において開閉するように壁体2の一方面に沿ってスライド自在に建て付けられる戸板10と、この戸板10の下端側をガイドする下レール6と、を備えた構成としている。従って、戸板10を下レール6に沿ってスライド自在にアウトセット状に納めることができる。
また、壁側レール部材21及びこの壁側レール部材21に対してスライド自在に結合されて保持される戸側レール部材35を有し、戸板10の上端側をガイドする上ガイド部材20を備えた構成としている。従って、これら壁側レール部材21と戸側レール部材35とによって戸板10の上端側をガイドすることができる。また、閉鎖位置では、これら壁側レール部材21と戸側レール部材35とが重なり合うように配設されるので、戸板10の納め側の壁面の一方側にも延びるように上レールを設けたものと比べて、戸板10の上端側をガイドする上ガイド部材20を目立ち難くすることができる。
また、本実施形態では、壁側レール部材21(壁側レール26)に対して戸側レール部材35(戸側レール36)を直接的にスライド自在に結合した構成としている。つまり、これら壁側レール26及び戸側レール36によって一組のスライドレール(シングルスライドレール)を構成している。従って、後記する第2実施形態のように中間レール部材27を設けたものと比べて構造の簡略化を図ることができる。
なお、スライドレールを構成する壁側レール26及び戸側レール36としては、上記のようなボール等の転動体を介在させた態様に限られず、ローラー等を介在させた態様等としてもよく、その他、種々の構成とされたものの採用が可能である。
また、本実施形態では、全開位置に移動する戸板10を減速させる全開側緩衝機構30Aが作動される際に、戸板10の戸尻側端部に係合して戸板10の戸尻側の浮き上がりを抑制する規制部材18を設けた構成としている。従って、上記のように上端側のガイドの簡略化を図りながらも、全開位置に移動する戸板10の戸尻側の浮き上がりを抑制することができ、下レール6からの脱離等を抑制することができる。
また、本実施形態では、戸側レール部材35に、当該戸側レール部材35に対して戸板10を下方側に付勢する付勢部材43,43を設けた構成としている。従って、上ガイド部材20に対して上下動が許容された戸板10のがたつきや下レール6からの脱離等を抑制することができる。
図7〜図10は、第2実施形態に係る引戸装置の一例を模式的に示す図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
本実施形態では、壁側レール部材21Aと戸側レール部材35Aとを、これら壁側レール部材21A及び戸側レール部材35Aのそれぞれに対してスライド自在に結合されて保持された中間レール部材27を介して結合した構成としている。
また、本実施形態では、戸側レール部材35Aの戸側ベース部材37Aを、上記第1実施形態よりも長尺状としており、この戸側ベース部材37Aの長さ寸法を、戸板10Aの戸幅寸法と略同寸法としている。つまり、本実施形態では、図8(b)に示すように、この戸側レール部材35A(戸側ベース部材37A)を、全開位置において壁側レール部材21Aから延出するように配される構成としている。
また、本実施形態においても、壁側レール部材21Aに、全開側緩衝機構30A及び閉鎖側緩衝機構30Bを設け、戸側レール部材35Aに、全開側トリガー部40A及び閉鎖側トリガー部40Bを設けた構成としているが、これらを上記とは異なる箇所に設けている。
また、本実施形態では、これら緩衝機構30A,30Bを、互いのシリンダー31,31の基端側を突合わせるように壁側ベース部材22における戸板10A納め側の壁体2に延出された側となる長手方向一端側に設けた構成としている(図8(b)参照)。つまり、これら緩衝機構30A,30Bを、閉鎖位置の戸板10Aの戸尻側端部に応じた位置となるように、壁側ベース部材22の長手方向一端側に設けた構成としている。また、閉鎖側緩衝機構30Bを、全開側緩衝機構30Aよりも反開口側となる壁側ベース部材22の長手方向一端側に設けた構成としている。
この中間レール部材27は、壁側レール26Aにスライド自在に結合された第1インナーレール28aとこの第1インナーレール28aに逆側を向くように固定的に設けられた第2インナーレール28bとからなる中間インナーレール28を備えている。また、中間レール部材27は、第2インナーレール28bにスライド自在に結合された第1アウターレール29aとこの第1アウターレール29aに逆側を向くように固定的に設けられた第2アウターレール29bとからなる中間アウターレール29を備えている。また、この第2アウターレール29bが戸側レール36にスライド自在に結合された構成とされている。
また、本実施形態では、戸側ベース部材37Aの保持部としての保持凹部38Aを、戸板10Aの上端部15Aを受け入れる構成としている。つまり、本実施形態では、戸板10Aの上端部15Aに、上記のような取付部13や被取付部14、連結突部15を設けていない構成としている。
この保持凹部38Aは、下方側に向けて開口するように設けられ、下方側を向く底側が固定片部37Aaによって区画されている。また、戸側ベース部材37Aに、この保持凹部38Aの戸厚方向両側を区画するように、固定片部37Aaの戸厚方向両端部から垂れ下がるように保持片部37Ab,37Abを設けた構成としている。これら保持片部37Ab,37Abは、戸厚方向に厚さ方向を沿わせた薄板状とされている。
なお、このように別体とされたエンド部材39,39によって保持凹部38Aの戸幅方向両側を区画した態様に代えて、戸側ベース部材37Aに一体的に両側端面部を設けた構成としてもよい。
また、このように区画された保持凹部38Aの上下方向に沿う深さ寸法や戸厚方向に沿う幅寸法、戸幅方向に沿う長さ寸法は、嵌め入れられる戸板10Aの上端部15Aの保持が可能なように適宜の寸法としてもよい。また、保持凹部38Aの深さ寸法は、上記同様、所望する戸板10Aの上下動の許容寸法に応じて適宜の寸法としてもよい。また、保持凹部38Aの幅寸法は、図9(a)に示すように、上ガイド部材20A及び下レール6を設置した状態で、戸板10Aを斜め状にしてその上端部15Aの嵌め入れが可能なように適宜の寸法としてもよい。
また、戸側ベース部材37Aに、カバー片部37Acの上端部から壁厚方向他方側に向けて突出させるように覆い片部37Adを設けた構成としている。この覆い片部37Adは、上下方向に厚さ方向を沿わせた薄板状とされ、壁側ベース部材22の水平片部24の上面側に設けられた緩衝機構30A,30Bの上方側を覆うように設けられている。
また、本実施形態では、この覆い片部37Adの下面側に、作用部42,42を有したトリガー部40A,40Bを設けた構成としている。
つまり、図10(a)に示すように、戸板10Aを開放側に向けて移動させ、全開側緩衝機構30Aのスライド体32の第2突起部34に、全開側トリガー部40Aの作用部42が当接すれば、第1突起部33が突出して作用部42に係合する。これにより、全開側緩衝機構30Aが作動して減速と助勢とがなされ、戸板10Aが全開位置となる。
一方、図10(b)に示すように、戸板10Aを閉鎖側に向けて移動させ、閉鎖側緩衝機構30Bのスライド体32の第2突起部34に、閉鎖側トリガー部40Bの作用部42が当接すれば、第1突起部33が突出して作用部42に係合する。これにより、閉鎖側緩衝機構30Bが作動して減速と助勢とがなされ、戸板10Aが閉鎖位置となる。
例えば、図9(a)に示すように、上ガイド部材20A及び下レール6を設置した状態で、戸板10Aを斜め状にしてその上端部15Aを保持凹部38Aに嵌め入れ、戸車11,11を下レール6に係合させて戸板10Aを建て付けて設置するようにしてもよい。または、図9(b)に示すように、一方のエンド部材39を戸側ベース部材37Aから取り外した(脱離させた)状態で、保持凹部38Aの戸幅方向一方側開口から戸板10Aの上端部を戸幅方向に挿入させて建て付けるような態様等としてもよい。
また、本実施形態では、壁側レール部材21Aと戸側レール部材35Aとを、これら壁側レール部材21A及び戸側レール部材35Aのそれぞれに対してスライド自在に結合された中間レール部材27を介して結合した構成としている。従って、上記第1実施形態のように壁側レール部材21(壁側レール26)に対して戸側レール部材35(戸側レール36)を直接的にスライド自在に結合した構成としたものと比べて、戸側レール部材35Aを戸板10Aの戸尻側に設けることができる。これにより、全開位置に移動する戸板10Aの戸尻側の浮き上がりを抑制することができ、下レール6からの脱離等を抑制することができる。
また、上記各実施形態では、全開側緩衝機構30Aが作動される際に、戸板10,10Aの戸尻側端部に係合して戸板10,10Aの戸尻側の浮き上がりを抑制する規制部材18を設けた例を示しているが、このような規制部材18を設けないようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、戸側レール部材35,35Aに、戸側レール部材35,35Aに対して戸板10,10Aを下方側に付勢する付勢部材43,43Aを設けた例を示しているが、このような付勢部材43,43Aを設けないようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、戸側レール部材35,35Aに、戸側レール部材35,35Aに対する戸板10,10Aの上下動を許容するように戸板10,10Aの上端部(連結突部)15,15Aを保持する保持部(保持凹部)38,38Aを設けた例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、戸板10,10Aを戸側レール部材35,35Aに対して上下動不能に保持させた態様等としてもよい。
また、上記各実施形態では、閉鎖位置に移動する戸板10,10Aを減速させる緩衝機構30Bと全開位置に移動する戸板10,10Aを減速させる緩衝機構30Aとを設け、これらに応じた作用部42,42を設けた例を示しているが、このような態様に限られない。閉鎖位置及び全開位置のうちの少なくとも一方側に移動する戸板10,10Aを減速させる緩衝機構と、これに応じた作用部と、を設けた態様としてもよい。
6 下レール
10,10A 戸板
20,20A 上ガイド部材
21,21A 壁側レール部材
27 中間レール部材
30A 全開側緩衝機構(緩衝機構)
30B 閉鎖側緩衝機構(緩衝機構)
35,35A 戸側レール部材
38,38A 保持凹部(保持部)
42 作用部
43,43A 付勢部材
2 壁体
3 開口
Claims (5)
- 壁体に設けられた開口を該開口の壁厚方向一方側において開閉するように前記壁体の一方面に沿ってスライド自在に建て付けられる戸板と、
前記壁体の一方側の床側に配設され、前記戸板の荷重を受けて該戸板の下端側をガイドする下レールと、
前記壁体の一方側において前記開口の上縁部分に沿って取り付けられる壁側レール部材及びこの壁側レール部材に対してスライド自在に結合されて保持され、前記戸板の上端側に配設される戸側レール部材を有し、該戸板の上端側をガイドする上ガイド部材と、
を備えており、
前記壁側レール部材及び前記戸側レール部材のうちの一方には、閉鎖位置に移動する前記戸板を減速させる緩衝機構と全開位置に移動する前記戸板を減速させる緩衝機構とが設けられ、前記壁側レール部材及び前記戸側レール部材のうちの他方には、これら緩衝機構を作動させる作用部が設けられていることを特徴とする引戸装置。 - 請求項1において、
前記壁側レール部材と前記戸側レール部材とは、これら壁側レール部材及び戸側レール部材のそれぞれに対してスライド自在に結合されて保持された中間レール部材を介して結合されていることを特徴とする引戸装置。 - 壁体に設けられた開口を該開口の壁厚方向一方側において開閉するように前記壁体の一方面に沿ってスライド自在に建て付けられる戸板と、
前記壁体の一方側の床側に配設され、前記戸板の荷重を受けて該戸板の下端側をガイドする下レールと、
前記壁体の一方側において前記開口の上縁部分に沿って取り付けられる壁側レール部材及びこの壁側レール部材に対してスライド自在に結合されて保持され、前記戸板の上端側に配設される戸側レール部材を有し、該戸板の上端側をガイドする上ガイド部材と、
前記壁側レール部材及び前記戸側レール部材のうちの一方に設けられ、閉鎖位置及び全開位置のうちの少なくとも一方側に移動する前記戸板を減速させる緩衝機構と、
前記壁側レール部材及び前記戸側レール部材のうちの他方に設けられ、前記緩衝機構を作動させる作用部と、
を備えており、
前記壁側レール部材と前記戸側レール部材とは、これら壁側レール部材及び戸側レール部材のそれぞれに対してスライド自在に結合されて保持された中間レール部材を介して結合されていることを特徴とする引戸装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記戸側レール部材には、当該戸側レール部材に対する前記戸板の上下動を許容するように前記戸板の上端部を保持する保持部が設けられていることを特徴とする引戸装置。 - 請求項4において、
前記戸側レール部材には、当該戸側レール部材に対して前記戸板を下方側に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする引戸装置。
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