JP6951189B2 - 引き戸の制動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、引き戸を開閉する際の制動装置に関するものである。
従来から、建物の開口部には、ガイドレールに沿って移動する引き戸が設置されている。近年では、引き戸を閉じる際に、閉鎖位置(開口部を完全に塞ぐ位置)まで引き戸を自動的に移動させる自閉式の引き戸が使用されるようになってきている。
このような自閉式の引き戸では、引き戸を閉鎖する際(閉鎖位置まで移動させる際)に、引き戸が勢いよく戸枠に衝突して衝撃音を発生させたり、誤って手指を引き戸と戸枠の間に挟んだりすることが問題となっていた。
このような問題を解決するために、引き戸を閉鎖位置の近傍において制動する引き戸の制動装置が開発されている。例えば、特許文献1のスライドアシスト機構は、枠体をガイドローラと一体のユニットとしてローラ支持体に取り付けているため、引き戸を戸枠に組み込む際の上下位置関係や、木製引き戸の反りやたわみによって引き戸と戸枠の上下位置関係が変わっても、引き戸側部材と戸枠側部材の上下位置関係は一定に保たれるように開発されている。
この特許文献1のスライドアシスト機構を含む従来の制動装置は、ダンパーを備えることで、ダンパーのストローク分の制動距離を有している。そのため、戸板の長さが短い場合等において、制動距離が不足したり、あるいは逆に制動装置が戸板内に納まらなかったりする、という問題が生じるおそれがある。そこで、本発明者らは、ダンパーによる制動距離を長くすることのできる、引き戸の制動装置を開発した。この引き戸の制動装置は、トリガと、スライド部材と、付勢手段と、ダンパーと、を備えている。
特開2005−350912号公報
しかしながら、引き戸の制動装置において、スライド部材が誤動作してしまい、トリガと係合していない状態にもかかわらず戸板に相対的に移動可能となって終端位置まで移動してしまうおそれがある。このように、スライド部材がいったん誤動作状態になってしまうと、待機姿勢に復帰させることはきわめて困難となる。
そこで、本発明は、スライド部材を誤動作状態から待機姿勢に復帰させることのできる、引き戸の制動装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の引き戸の制動装置は、戸枠に対する戸板の移動を減衰する引き戸の制動装置であって;前記戸枠は、前記戸板に向かって突出する係合片を有して所定位置に配置されるトリガを備え;前記戸板は、前記トリガと係脱可能に構成され、前記トリガの前記係合片と係合した状態で前記戸板に相対的に移動可能な移動姿勢となり、前記トリガの前記係合片と係合しない状態で前記戸板に相対的に移動不可能な待機姿勢となるスライド部材と、第1の端部が前記スライド部材に取り付けられるとともに第2の端部が前記戸板に取り付けられて、前記スライド部材が前記トリガと係合した状態で前記戸板を開方向又は閉方向に付勢して移動させる付勢手段と、前記付勢手段の付勢する方向の前記戸板の移動を減衰するダンパーと、を備え、前記トリガは、誤動作によって前記トリガと係合しない状態で移動姿勢となって移動範囲の終端まで移動した前記スライド部材を、掛止して待機姿勢に復帰させるラッチ部材を有している。
このように、本発明の引き戸の制動装置は、トリガと、スライド部材と、付勢手段と、ダンパーと、を備えており、トリガは、誤動作によってトリガと係合しない状態で移動姿勢となって移動範囲の終端まで移動したスライド部材を、掛止して待機姿勢に復帰させるラッチ部材を有している。このように、トリガがラッチ部材を有することで、スライド部材を誤動作状態から待機姿勢に復帰させることができるようになる。
戸枠及び戸板の全体構成を破断して説明する正面図である。(a)は開状態であり、(b)は制動開始時であり、(c)は閉状態である。 引き戸の制動装置の斜視図である。 引き戸の制動装置の構成を分解して説明する部品図である。 引き戸の制動装置の開状態の断面図である。 引き戸の制動装置の制動開始時の断面図である。 引き戸の制動装置の閉状態の断面図である。 トリガ周辺の構成の制動開始時の説明図である。 トリガ周辺の構成の閉状態の説明図である。 誤動作によって移動姿勢となっているスライド部材の断面図である。 誤動作によって移動姿勢となっているスライド部材をラッチ部材が通過する際の断面図である。 誤動作によって移動姿勢となっているスライド部材をラッチ部材が掛止する際の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例では、戸板を上部に配置されたガイドローラ(吊車)で吊下支持されている場合について説明するが、これは例示であって、この例に限定されるものではない。下部に配置されたガイドローラによって支持される戸板にも本発明を適用することができる。
(全体構成)
まず、図1を用いて引き戸1の全体構成を説明する。なお、図1では、説明の便宜上、戸板11の内部構成が見えるように描いている。引き戸1は、戸枠10と、戸板11と、によって開口部90を塞ぐように構成されている。戸枠10は、四角形の枠体であり、その内部に左右にスライド移動できるように戸板11が設置されている。
戸板11は、開口部90と略同一形状の四角形に形成されており、上部に配置されたガイドローラ12、13から吊り下げ支持されている。すなわち、戸枠10の上枠部材には下向きのC字状断面のレール10a(チャンネル部材)が取り付けられており、このレール10aの内部をガイドローラ12、13が走行(転動)することによって、戸板11が吊り下げられた状態でスライド移動するようになっている。
そして、戸板11の下端近傍には、本発明の引き戸の制動装置2が設置されている。引き戸の制動装置2の詳細な構成については後述する。引き戸の制動装置2は、図1(a)〜(c)に示したように、開状態では制動機能を発揮せず(図1(a)参照)、戸板11を閉める方向に移動させる途中の所定の位置(制動開始時、図1(b)参照)から、閉状態(図1(c)参照)まで制動機能を発揮するようになっている。
(引き戸の制動装置の構成)
本実施例の引き戸の制動装置2は、図2〜図3、図4〜図6に示すように、戸枠10側の構成として、戸板11に向かって突出するように所定位置に配置されるトリガ3を備えており;戸板11側の構成として、トリガ3と係脱可能に構成され、トリガ3と係合した状態で戸板11に相対的に移動可能となり、トリガ3と係合しない状態で戸板11に相対的に移動不可能となるスライド部材4と、第1の端部がスライド部材4に当接されるとともに第2の端部が戸板11に当接されて、スライド部材4がトリガ3と係合した状態で戸板11を開方向又は閉方向に付勢して移動させる付勢手段5と、付勢手段5の付勢する方向の戸板11の移動を減衰するダンパー6と、スライド部材4とともに戸板11に相対的に移動する第1のラックギヤ71と、第1のラックギヤ71に対向して戸板11に固定される第2のラックギヤ72と、ダンパー6の端部に回転自在に支承されて、第1のラックギヤ71と第2のラックギヤ72の間で噛み合って回転するピニオンギヤ65と、を備えている。
これを部品ごとに、すなわち構成のまとまりごとに説明すると、図2及び図3に示すように、引き戸の制動装置2は、トリガ3と、スライド部材4と、付勢手段5と、ダンパー6と、戸板11と一体になっているケース80と、レール81と、によって構成されている。
(トリガの構成)
トリガ3は、戸枠10に固定されるベース部材31と、ベース部材31に嵌合するトリガ部材32と、から構成されている。ベース部材31は、タッピング等によって戸枠10に固定するための固定孔を有するベース板31aと、ベース板31aから突出する突出部31bと、を備えている。ベース部材31の突出部31bは、先端に球状部分31cを有しており、この球状部分31cがトリガ部材32の嵌合孔32a(後述)に内接して嵌合するようにされている。
そして、トリガ部材32は、ベース部材31の球状の突出部31bに嵌合する嵌合孔32aと、スライド部材4に係合する係合片32bと、レール81のレール部材81aに嵌合されて摺動する左右の摺動片32c、32cと、を備えている。
そして、本実施例のトリガ部材32は、誤動作復帰用のくさび形状のラッチ部材32dと、ラッチ部材32dをスライド部材4に向けて付勢する弾性部材としてのバネ32eと、をさらに備えている。ラッチ部材32dは、誤動作によってトリガ部材32と係合しない状態で固定溝80bから摺動溝80aに脱出して移動姿勢となって移動範囲の終端まで移動したスライド部材4を、通常の係合片32bとは別部材で、掛止して引き戻して摺動溝80aから固定溝80bに脱落させて待機姿勢に復帰させるものである。
このラッチ部材32dは、トリガ部材32において、トリガ部材32の係合片32bの位置よりも、スライド部材4の移動範囲の終端に近い側に配置されている。すなわち、ラッチ部材32dは、係合片32bよりも先にスライド部材4に到達して、係合切欠42の背後に掛止されることで、移動姿勢のスライド部材4を固定溝80bの位置まで引き戻すことができるようになっている。
具体的に言うと、ラッチ部材32dは、くさび形状に形成されてトリガ3のトリガ部材32から出没自在に設置され、背後からバネ32eによって付勢されている。これによって、ラッチ部材32d及びトリガ部材32は、スライド部材4の移動範囲の終端方向にはスライド部材4を通過し、かつ、スライド部材4の移動範囲の終端方向と反対方向にはスライド部材4を掛止するようにされている。
より詳細に言えば、ラッチ部材32dの尖端のデフォルトの高さは、スライド部材4が待機姿勢となっている状態ではスライド部材4と接触しない高さ(すなわち、係合切欠42の後側の側壁よりも低く)、かつ、スライド部材4が移動姿勢となっている状態でスライド部材4と接触する高さ(すなわち、係合切欠42の前後の側壁よりも高く)にされている。したがって、待機姿勢ではスライド部材4に接触することはなく、移動姿勢ではスライド部材4と接触しつつ通過して、係合切欠42の後側の側壁を掛止するようになっている。
(スライド部材の構成)
スライド部材4は、後述する付勢手段5の第1部材51(第1のラックギヤ71と一体になっている)の一端に回転軸41を介して揺動(回動)自在に支持されており、トリガ3に係合する係合切欠42と、回転軸41について係合切欠42の反対側に配置される摺動軸43とを備えている。回転軸41は、スライド部材4の側方から突出しており、ケース80の摺動溝80a内を摺動する。
そして、摺動軸43は、スライド部材4の揺動によって、ケース80の摺動溝80a又は固定溝80bのいずれかに配置されるようになっている。すなわち、スライド部材4がトリガ3と係合して揺動されると、固定溝80bを脱して摺動溝80aに移動する。他方、スライド部材4がトリガ3と係合していなければ、固定溝80bに留まるようになっている。
つまり、スライド部材4がトリガ3と係合することにより、付勢手段5及びダンパー6がロック解除されて機能するようになり、スライド部材4がトリガ3と係合していないと、付勢手段5及びダンパー6がロックされて機能しないようになる。
(付勢手段の構成)
付勢手段5は、スライド部材4に対して戸板11を付勢する方向の前方側(図3では右側)に縮められた状態で設置されたバネ54、55と、このバネ54、55を案内するためのガイドである入れ子状(テレスコープ状)に構成された筒状の第1部材51、第2部材52、及び第3部材53と、によって構成されている。この第1のバネ54は、第1部材51と第2部材52の間で作用し、第2のバネ55は、第2部材52と第3部材53の間で作用する。なお、バネは単体であってもよいし、ガイドも入れ子状になっていなくてもよい。
そして、最も外側の第1部材51の上面には、戸板11の開閉方向に沿って第1のラックギヤ71が形成されている。さらに、第1部材51の一端には前述したスライド部材4が回転軸41を介して揺動自在に支持されており、他端にはケース80の摺動溝80c内を摺動する摺動軸51aが支持されている。また、第2部材52の一端の側面には突起52aが形成されており、ケース80の摺動溝80d内を摺動するようになっている。
(ダンパーの構成)
ダンパー6は、主にシリンダ61とロッド62によって構成される、オイルダンパー又はエアダンパーであり、ケース80の上部に篏合して固定されている。そして、本実施例のダンパー6には、ロッド62の先端に保持部材63が取り付けられている。保持部材63には、回転軸64を介してピニオンギヤ65が回転自在に支持されている。さらに、この回転軸64は、保持部材63の側方から突出しており、第1のラックギヤ71と一体の第1部材51の摺動軸51aが摺動するのと同一の摺動溝80c内を摺動するようになっている。
第1のラックギヤ71は、上述したように、付勢手段5の第1部材51の上面に形成されている。したがって、第1のラックギヤ71は、スライド部材4とともに戸板11と相対的に移動するようになっている。また、第2のラックギヤ72は、第1のラックギヤ71に対向して戸板11側に固定されている。換言すると、第2のラックギヤ72は、戸板11に固定されるケース80の頂部の下向き内面に形成されている。
そして、上向きの第1のラックギヤ71と下向きの第2のラックギヤ72との間に、ダンパー6のロッド62先端に取り付けられたピニオンギヤ65が配置され、コロの原理でラックギヤ71、72間を転動するようになっている。換言すると、第2のラックギヤ72が付勢手段5によって第1方向(例えば、閉方向)へ移動すると、ピニオンギヤ65が回転することで第1のラックギヤ71が第2方向(第1方向とは逆の方向、例えば、開方向)へ移動することになる。その際、ピニオンギヤ65は、第1のラックギヤ71に相対的に第2方向へ移動するとともに、第2のラックギヤ72に相対的に第1方向へ移動することとなる。
(ケースの構成)
ケース80は、合成樹脂などによって、下部が開いたコ字状に形成されるものであり、側面には、開閉方向に沿って3つの摺動溝80a、80c、80dと、1つの固定溝80bと、が形成されている。このうち最上部の摺動溝80cは、ピニオンギヤ65(の回転軸64)及び第1部材51の摺動軸51aを開閉方向に案内するものである。また、固定溝80bとつながっている摺動溝80aは、スライド部材4(の摺動軸43)及び第1のラックギヤ71(と一体の第1部材51の摺動軸51a)を開閉方向に案内するものである。さらに、最下部の摺動溝80dは、付勢手段5(の第2部材52の突起52a)を開閉方向に案内するものである。
(レールの構成)
レール81は、全体として下部が開いたコ字状に形成されるものであり、内面下部の左右に内向きに開いたコ字状のレール部材81a、81aが形成されている。そして、この左右のレール部材81a、81aの上に、ケース80が篏合される。さらに、左右のレール部材81a、81aには、トリガ3の左右の摺動片32c、32cがそれぞれ篏合しており、トリガ3がレール部材81a、81a内を摺動できるようになっている。すなわち、戸板11の下端には、戸板11の移動方向に沿って延びるレール部材81a、81aが設置されており、トリガ3のトリガ部材32の摺動片32c、32cがレール部材81a、81a内を摺動するようにされている。
(作用)
次に、図4〜図6、及び、図7〜図8を用いて、本実施例の引き戸の制動装置2の作用について説明する。まず、図7、図8を用いて、スライド部材4の搖動(回動、回転)作用について説明する。
前述したように、スライド部材4は、回転軸41を中心として搖動するようになっている。戸板11を閉じる際には、スライド部材4の摺動軸43がケース80の固定溝80b内に位置するため、スライド部材4は戸板11とともに移動する。そして、スライド部材4の係合切欠42がトリガ3の係合片32bと衝突すると(図7の状態、図1(b)の制動開始時に対応)、係合片32bから反力を受けたスライド部材4が回転軸41を中心として右回りに回転して摺動軸43が固定溝80b内から脱出して摺動溝80a内に移動する(図8の状態)。このようにして、スライド部材4は、摺動軸43が固定溝80b内にある待機姿勢(図7の姿勢)から、摺動軸43が摺動溝80a内へと脱出して移動姿勢(図8の姿勢)へと姿勢変化する。
次に、図4〜図6を用いて、本実施例の引き戸の制動装置2の作用について説明する。
まず操作者が、戸板11を手で閉めようとする。後述する制動開始状態までは、開状態が維持される。図4に示したように、戸板11が開状態の場合、スライド部材4はトリガ3と係合しておらず、スライド部材4の摺動軸43は固定溝80b内にある(図7も参照)。したがって、付勢手段5のバネ54、55は解放されずに縮んだままである。そのため、第1のラックギヤ71、ピニオンギヤ65及び第2のラックギヤ72は動かず、ダンパー6も働かない。
そして、戸板11がさらに移動すると制動開始時に移行する。操作者は、この状態で戸板11から手を離してよい。図5に示したように、制動開始時には、スライド部材4がトリガ3と衝突(係合)し、スライド部材4が揺動して摺動軸43が固定溝80bから摺動溝80aに脱出する。そうすると、スライド部材4及び第1のラックギヤ71と、第2のラックギヤ72及び戸板11と、が相対的に移動可能となる。したがって、付勢手段5のバネ54、55が解放されて伸びようとする。すなわち、第1のラックギヤ71は(絶対座標系で)位置を変えないまま、付勢手段5がケース80とともに戸板11を閉方向に押す。そのため、戸板11と一体の第2のラックギヤ72が、第1のラックギヤ71に相対的に閉方向に移動する。これに伴って、2つのラックギヤ71、72に挟まれたピニオンギヤ65が回転しつつ、(絶対座標系で)開方向に移動してダンパー6が働くことになる。
この際、ピニオンギヤ65の開方向への移動距離は、第1のラックギヤ71と第2のラックギヤ72の相対的な移動距離の1/2となる。逆に言うと、ダンパー6のストロークを一定とすれば、2つのラックギヤ71、72の相対的な移動距離は、ストロークの2倍となる。
その後、スライド部材4が終端位置まで移動すると、戸板11の移動が終了して閉状態となる(図6参照)。操作者が、戸板11を手で開ける場合には、付勢手段5による付勢力に抗して手で戸板11を移動させて、制動開始時と同じ位置になると、スライド部材4の摺動軸43が摺動溝80aから固定溝80bに移動(脱落)する。そうすると、スライド部材4とトリガ3の係合が解除されるとともに、付勢手段5は縮められた状態となる。
(誤動作復帰作用)
次に、図9〜図11を用いて、本実施例のトリガ3の誤動作復帰作用について説明する。まず、図9を用いて、誤動作によってスライド部材4が移動姿勢となっている状態について説明する。この誤動作は、例えば、スライド部材4とトリガ3とが不完全に係合した状態で移動姿勢となり、その後に係合が解除された場合などに生じる可能性がある。この場合、トリガ3のトリガ部材32の係合片32bと、スライド部材4の係合切欠42とは同じ高さ位置に存在するため、再び両者を係合させることは困難である。すなわち、戸板11を移動させて係合片32bと係合切欠42を近づけても、係合切欠42の前側の側壁が存在するため両者は係合することができない。
次に、図10の誤動作によって移動姿勢となっているスライド部材4をラッチ部材32dが通過する状態について説明する。上述した図9の誤動作状態から、さらに戸板11を図中右側(例えば、閉方向)に移動させると、戸板11とともにスライド部材4も右側に移動して、ラッチ部材32dと接触する位置になる。そうすると、ラッチ部材32dはスライド部材4の係合切欠42の右側の側壁と衝突するが、バネ32eが縮むことによって、トリガ部材32内に退避する。
続いて、図11の誤動作によって移動姿勢となっているスライド部材4をラッチ部材32dが掛止する状態について説明する。上述した図10の状態からさらに戸板11を右側(例えば、閉方向)に移動させると、戸板11とともにスライド部材4も右側に移動する。そして、スライド部材4の係合切欠42の左側の側壁とラッチ部材32dが衝突するが、先程と同様にバネ32eが縮むことによって、ラッチ部材32dがトリガ部材32内に退避する。その後、図示しないが、さらに戸板11を右側に移動させると、スライド部材4の係合切欠42の右側の側壁が、トリガ3の係合片32bと衝突して移動が止まる。
この状態になると、ラッチ部材32dが係合切欠き42の左側の側壁の背面と噛み合って掛止しているため、誤動作を復帰させる準備が整ったことになる。そして、先程までとは反対に、戸板11を左側(例えば、開方向)に移動させることで、スライド部材4の摺動軸43が摺動溝80aから固定溝80bへと脱落して待機姿勢となる。このようにして、本実施例の引き戸の制動装置2によれば、誤動作によって移動姿勢となったスライド部材4を待機姿勢に復帰させることができるのである。
(効果)
次に、本実施例の引き戸の制動装置2の奏する効果を列挙して説明する。
(1)上述してきたように、本実施例の引き戸の制動装置2は、戸枠10に対する戸板11の移動を減衰する引き戸の制動装置2であって;戸枠10は、戸板11に向かって突出する係合片32bを有して所定位置に配置されるトリガ3を備え;戸板11は、トリガ3と係脱可能に構成され、トリガ3の係合片32bと係合した状態で戸板11に相対的に移動可能な移動姿勢となり、トリガ3の係合片32bと係合しない状態で戸板11に相対的に移動不可能な待機姿勢となるスライド部材4と、第1の端部がスライド部材4に取り付けられるとともに第2の端部が戸板11に取り付けられて、スライド部材4がトリガ3と係合した状態で戸板11を開方向又は閉方向に付勢して移動させる付勢手段5と、付勢手段5の付勢する方向の戸板11の移動を減衰するダンパー6と、を備え、トリガ3は、誤動作によってトリガ3と係合しない状態で移動姿勢となって移動範囲の終端まで移動したスライド部材4を、掛止して待機姿勢に復帰させるラッチ部材32dを有している。このように、トリガ3がラッチ部材32dを有することで、スライド部材4を誤動作状態から待機姿勢に復帰させることができるようになる。この場合、トリガ3自体に誤動作復帰の機能を持たせることによって、別の部材を新たに用意することなく、誤動作状態から待機姿勢に復帰させることができる。
(2)また、ラッチ部材32dは、トリガ3において、トリガ部材32の係合片32bの位置よりも、スライド部材4の移動範囲の終端に近い側に配置されているため、係合片32bよりも先にスライド部材4に到達することができる。つまり、このようなラッチ部材32dの配置によって、トリガ3の移動範囲に余裕を残した状態でラッチ部材32dによってスライド部材4を掛止することができる。逆に、係合片32bのほうが終端に近い側に配置されていると、係合片32bとスライド部材4の係合切欠42の前側の側壁が先に衝突して移動が止まるため、ラッチ部材32dを誤動作復帰用に使用することはできない。
(3)また、ラッチ部材32dは、くさび形状に形成されてトリガ3から出没自在に設置されることで、スライド部材4が誤動作によって移動姿勢になっていても、スライド部材4の移動範囲の終端方向にはスライド部材4を通過し、かつ、スライド部材4の移動範囲の終端方向と反対方向にはスライド部材4を掛止するようにされている。これによって、ラッチ部材32dがスライド部材4と衝突しても、ラッチ部材32dの突出高さ程度であれば、バネ32eが縮むことでラッチ部材32dがトリガ部材32内に没落(退避)して通過することができる。
(4)そして、ラッチ部材32dの高さは、スライド部材4が待機姿勢となっている状態でスライド部材4と接触しない高さ、かつ、スライド部材4が移動姿勢となっている状態でスライド部材4と接触する高さにされている。ラッチ部材32dをこのような高さとすることで、通常の使用状態ではラッチ部材32dがスライド部材4と接触しないようになっている。一方、誤動作によってスライド部材4が移動姿勢となっている場合には、スライド部材4の係合切欠42とトリガ3の係合片32bを係合させることはできないものの、ラッチ部材32dによって係合切欠42の後面を掛止して引き戻すことができる。
(5)さらに、本実施例の引き戸の制動装置2は、図2〜図3、図4〜図6に示すように、戸枠10側の構成として、戸板11に向かって突出するように所定位置に配置されるトリガ3を備えており;戸板11側の構成として、トリガ3と係脱可能に構成され、トリガ3と係合した状態で戸板11に相対的に移動可能となり、トリガ3と係合しない状態で戸板11に相対的に移動不可能となるスライド部材4と、第1の端部がスライド部材4に取り付けられるとともに第2の端部が戸板11に取り付けられて、スライド部材4がトリガ3と係合した状態で戸板11を開方向又は閉方向に付勢して移動させる付勢手段5と、付勢手段5の付勢する方向の戸板11の移動を減衰するダンパー6と、スライド部材4とともに戸板11に相対的に移動する第1のラックギヤ71と、第1のラックギヤ71に対向して戸板11に固定される第2のラックギヤ72と、ダンパー6の端部に回転自在に支承されて、第1のラックギヤ71と第2のラックギヤ72の間で噛み合って回転するピニオンギヤ65と、を備えている。このため、戸枠10に対するピニオンギヤ65の移動距離が引き戸全体の制動装置の制動距離となるため、ダンパー6のストロークよりも制動距離を長くすることができる。
例えば、ピニオンギヤ65が1回転すると、上側の第2のラックギヤ72は下側の第1のラックギヤ71に対して、ピニオンギヤ65の2回転分だけ移動する。すなわち、第2のラックギヤ72の移動距離(=制動距離)は、ピニオンギヤ65の移動距離の2倍となる。換言すると、制動距離は、ダンパー6のストロークの2倍となるのである。
(6)また、付勢手段5は、スライド部材4に対して戸板11を付勢する方向の前方側に縮められた状態で設置されたバネ54、55を含むことが好ましい。このように構成すれば、引きバネを用いる場合と比べて、付勢手段5の全長を短くすることができる。さらに、スライド部材4を固定溝80bに押し込む方向に付勢力(弾性力)が作用するため、誤ってスライド部材4が固定溝80bから脱出することを防止できる。
(7)さらに、戸板11は、戸板11の上縁又は下縁に沿って戸板が移動する方向に延びるレール81を備え;トリガ3は、球状に形成された突出部31bを有して戸枠10に固定されるベース部材31と、ベース部材31の突出部31bに嵌合する嵌合孔32aと、スライド部材4に係合する係合片32bと、レール81に嵌合されて摺動する摺動片32cと、を有するトリガ部材32と、を備えることが好ましい。このようにベース部材31とトリガ部材32とが自在に角度を変えることができれば、引き戸の制動装置2を設置する際の、上下の位置ずれや、左右の位置ずれに追従させることができる。すなわち、戸板11と床(戸枠10)、又は、戸板11と戸板11の位置ずれを許容できるようになる。
(8)また、戸板11は、戸板11の開方向又は閉方向に沿って延びる摺動溝80aと、摺動溝80aから外れた固定溝80bと、をさらに備え;スライド部材4は、第1のラックギヤ71に対して回転軸41を介して回転自在に支承されて、トリガ3に係合する係合切欠42と、回転軸41について係合切欠42の反対側に配置される摺動軸43と、を有し;トリガ3が係合切欠42に係合しなければ、摺動軸43が固定溝80bに留まるとともに、トリガ3が係合切欠42に係合すれば、スライド部材4が回転して摺動軸43が固定溝80bから脱出して摺動溝80aに移動して戸板11の開方向又は閉方向に沿って摺動するようになっていることが好ましい。
(9)さらに、バネ54、55を戸板11の開方向又は閉方向に沿って案内するガイドとして、複数のガイド部品51、52、52によって入れ子状に構成されたガイドを備えることが好ましい。このように構成することで、バネ54、55が縮められた状態における横変形を防止するとともに、バネ54、55がまっすぐに伸びるようになることで弾性力を有効に作用させることができる。この場合、バネ54、55も複数段に構成することで、弾性力をダンパーストロークの間で均等に作用させることができる。
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、実施例では、戸板11を閉める際のストロークエンド付近に機能させる引き戸の制動装置2を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、戸板11を開ける際のストロークエンド付近に機能させる引き戸の制動装置として構成することももちろんできる。
1 引き戸
10 戸枠
11 戸板
2 引き戸の制動装置
3 トリガ
31 ベース部材
31a ベース部
31b 突出部
31c 球状部分
32 トリガ部材
32a 篏合孔
32b 係合片
32c 摺動片
32d ラッチ部材
32e バネ(弾性部材)
4 スライド部材
41 回転軸
42 係合切欠
43 摺動軸
5 付勢手段
51 第1部材
52 第2部材
53 第3部材
54 第1バネ
55 第2バネ
6 ダンパー
65 ピニオンギヤ
71 第1のラックギヤ
72 第2のラックギヤ
80 ケース
80a 摺動溝
80b 固定溝
81 レール
90 開口部

Claims (3)

  1. 戸枠に対する戸板の移動を減衰する引き戸の制動装置であって;
    前記戸枠は、
    前記戸板に向かって突出する係合片を有して所定位置に配置されるトリガを備え;
    前記戸板は、
    前記トリガと係脱可能に構成され、前記トリガの前記係合片と係合した状態で前記戸板に相対的に移動可能な移動姿勢となり、前記トリガの前記係合片と係合しない状態で前記戸板に相対的に移動不可能な待機姿勢となるスライド部材と、
    第1の端部が前記スライド部材に取り付けられるとともに第2の端部が前記戸板に取り付けられて、前記スライド部材が前記トリガと係合した状態で前記戸板を開方向又は閉方向に付勢して移動させる付勢手段と、
    前記付勢手段の付勢する方向の前記戸板の移動を減衰するダンパーと、を備え、
    前記トリガは、誤動作によって前記トリガと係合しない状態で移動姿勢となって移動範囲の終端まで移動した前記スライド部材を、掛止して待機姿勢に復帰させるラッチ部材を有し、
    前記ラッチ部材は、くさび形状に形成されて前記トリガから出没自在に設置されることで、前記スライド部材の移動範囲の終端方向には前記スライド部材を通過し、かつ、前記スライド部材の移動範囲の終端方向と反対方向には前記スライド部材を掛止するようにされている、引き戸の制動装置。
  2. 前記ラッチ部材は、前記トリガにおいて、前記トリガの前記係合片の位置よりも、前記スライド部材の移動範囲の終端に近い側に配置されている、請求項1に記載された引き戸の制動装置。
  3. 前記ラッチ部材は、前記スライド部材が待機姿勢となっている状態で前記スライド部材と接触しない高さ、かつ、前記スライド部材が移動姿勢となっている状態で前記スライド部材と接触する高さにされている、請求項1又は請求項2に記載された引き戸の制動装置。
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