以下、本発明の詳細を説明する。
(導電性粒子)
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを備える。本発明に係る導電性粒子では、残留磁化の飽和磁化に対する比が、0.6以下である。
本発明に係る導電性粒子では、上記の構成が備えられているので、電極間の接続抵抗を効果的に低くすることができ、かつ、磁性凝集を効果的に抑制することができる。
従来の導電性粒子では、磁性を有するニッケル等の金属が周辺環境や製造工程等で磁化され、導電性粒子が凝集(磁性凝集)することがある。導電性粒子の凝集(磁性凝集)を抑制する方法としては、めっき層にリンを含有させて、飽和磁化を低減させる方法等が挙げられる。しかしながら、めっき層のリン含有率が高くなると、導電性粒子の抵抗値が著しく上昇し、該導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続すると、電極間の接続抵抗も高くなることがある。
また、従来の導電性粒子では、飽和磁化を低減させても、残留磁化が十分に低減していないことがある。本発明者は、導電性粒子の磁性凝集を抑制するためには、残留磁化を低減させる必要があることを見出した。従来の導電性粒子では、電極間の接続抵抗を低くすることと、磁性凝集を抑制することとを両立させることが困難なことがある。
本発明者らは、特定の導電性粒子を用いることで、電極間の接続抵抗を低くすることと、導電性粒子の磁性凝集を抑制することとの双方を両立させることができることを見出した。本発明では、上記の構成が備えられているので、電極間の接続抵抗を効果的に低くすることができ、かつ、導電性粒子の磁性凝集を効果的に抑制することができる。
本発明では、上記のような効果を得るために、特定の導電性粒子を用いることは大きく寄与する。
電極間の接続抵抗を効果的に低くし、かつ、磁性凝集を効果的に抑制する観点から、本発明に係る導電性粒子では、残留磁化の飽和磁化に対する比(残留磁化/飽和磁化)が、0.6以下である。上記比(残留磁化/飽和磁化)は、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下、最も好ましくは0.0である。電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くし、かつ、磁性凝集をより一層効果的に抑制する観点から、上記比(残留磁化/飽和磁化)は、0.0に近いほど好ましい。上記比(残留磁化/飽和磁化)が、上記上限以下であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、磁性凝集をより一層効果的に抑制することができる。なお、上記比(残留磁化/飽和磁化)の下限は特に限定されない。上記比(残留磁化/飽和磁化)は、例えば、0.001以上であることが好ましく、0.01以上であることがより好ましい。
磁性凝集をより一層効果的に抑制する観点からは、上記導電性粒子の残留磁化は、0.02A/m(20emu/cm3)以下であることが好ましい。上記残留磁化は、好ましくは0.015A/m(15emu/cm3)以下、より好ましくは0.01A/m(10emu/cm3)以下、さらに好ましくは0.005A/m(5emu/cm3)以下であり、最も好ましくは0.0000A/m(0.0emu/cm3)である。磁性凝集をより一層効果的に抑制する観点から、上記残留磁化は、0.0000A/m(0.0emu/cm3)に近いほど好ましい。上記残留磁化が、上記上限以下であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、磁性凝集をより一層効果的に抑制することができる。なお、上記導電性粒子の残留磁化の下限は特に限定されない。上記残留磁化は、例えば、0.0001A/m(0.1emu/cm3)以上であることが好ましい。
上記導電性粒子の残留磁化は、例えば、後述の軟質磁性体部による被覆率を調整することで制御することができる。例えば、軟質磁性体部による被覆率を大きくすると、上記残留磁化を小さくすることができ、また、軟質磁性体部による被覆率を小さくすると、上記残留磁化を大きくすることができる。
磁性凝集をより一層効果的に抑制する観点からは、上記導電性粒子の飽和磁化は、0.2A/m(200emu/cm3)以下であることが好ましい。上記飽和磁化は、好ましくは0.1A/m(100emu/cm3)以下、より好ましくは0.08A/m(80emu/cm3)以下、さらに好ましくは0.05A/m(50emu/cm3)以下である。上記飽和磁化が、上記上限以下であると、磁性凝集をより一層効果的に抑制することができる。集磁力の観点からは、上記導電性粒子の飽和磁化は、0.001A/m(1emu/cm3)以上であることが好ましい。上記飽和磁化は、好ましくは0.005A/m(5emu/cm3)以上、より好ましくは0.01A/m(10emu/cm3)以上、さらに好ましくは0.015A/m(15emu/cm3)以上である。上記飽和磁化が、上記下限以上であると、外部磁場によって異方導電材料中の導電性粒子を効率的に配列させることができる。
上記導電性粒子の飽和磁化は、例えば、導電層又は導電部の厚みを調整することで制御することができる。例えば、導電層又は導電部の厚みを厚くすると、上記飽和磁化を大きくすることができ、また、導電層又は導電部の厚みを薄くすると、上記飽和磁化を小さくすることができる。
上記導電性粒子の残留磁化及び飽和磁化は、振動試料型磁力計(東栄科学産業社製「PV-300-5」)を用いて測定することができる。具体的には、以下のようにして測定することができる。
ニッケル粉を封入したカプセルを装置の校正試料として使用し、振動試料型磁力計の校正を行う。次に、導電性粒子をカプセルに秤量し、サンプルホルダーに取り付ける。該サンプルホルダーを磁力計本体に設置し、温度20℃(定温)、最大印加磁界20kOe、速度3分/loopの条件下での測定により、磁化曲線を得る。得られた磁化曲線から残留磁化及び飽和磁化(A/m)を求める。
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下、より一層好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下である。上記導電性粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成され難くなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記導電性粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。導電性粒子の粒子径は、例えば、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各導電性粒子の粒子径の平均値を算出したり、レーザー回折式粒度分布測定を行ったりすることにより求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの導電性粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の導電性粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。レーザー回折式粒度分布測定では、1個当たりの導電性粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記導電性粒子の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定により算出することが好ましい。
上記導電性粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。上記導電性粒子の粒子径の変動係数が、上記上限以下であると、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができる。
上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:導電性粒子の粒子径の標準偏差
Dn:導電性粒子の粒子径の平均値
上記導電性粒子の形状は特に限定されない。上記導電性粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状等の球形状以外の形状であってもよい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子2と、導電部3とを備える。導電性粒子1においては、導電部3は導電層である。導電部3は、基材粒子2の表面を覆っている。導電性粒子1は、基材粒子2の表面が導電部3により被覆された被覆粒子である。導電性粒子1は、表面に導電部3を有する。導電性粒子1では、導電部3は、単層の導電部(導電層)である。上記導電性粒子では、上記導電部が上記基材粒子の表面の全体を覆っていてもよく、上記導電部が上記基材粒子の表面の一部を覆っていてもよい。上記導電性粒子では、上記導電部は、単層の導電部であってもよく、2層以上の層から構成される多層の導電部であってもよい。
導電性粒子1は、後述する導電性粒子51とは異なり、芯物質を有しない。導電性粒子1は導電性の表面に突起を有さず、導電部3の外表面に突起を有しない。導電性粒子1は球状である。但し、導電性粒子1は芯物質を有していてもよく、導電性の表面に突起を有していてもよく、導電部3の外表面に突起を有していてもよい。
上記導電性粒子は、導電性の表面に突起を有していなくてもよく、導電部の外表面に突起を有していなくてもよく、球状であってもよい。また、導電性粒子1は、後述する導電性粒子11,21,41,51とは異なり、絶縁性粒子を有しない。但し、導電性粒子1は、導電部3の外表面上に配置された絶縁性粒子を有していてもよい。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図2に示す導電性粒子11は、基材粒子2と、導電部3と、軟質磁性体部12と、絶縁性粒子13とを備える。絶縁性粒子13は、絶縁性を有する材料により形成されている。
導電性粒子11は導電性粒子1とは異なり、軟質磁性体部12及び絶縁性粒子13を有する。導電性粒子11は、軟質磁性体部12と接触していない絶縁性粒子13を含む。
上記導電性粒子は、軟質磁性体部を有していてもよく、軟質磁性体部を有していなくてもよい。上記導電性粒子は、絶縁性粒子を有していてもよく、絶縁性粒子を有していなくてもよい。上記導電性粒子では、上記軟質磁性体部は、上記導電部の外表面に配置されていることが好ましい。上記軟質磁性体部は、上記導電部と接触していないことが好ましい。上記導電性粒子では、上記絶縁性粒子は、上記導電部の外表面上に配置されていることが好ましい。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図3に示す導電性粒子21は、基材粒子2と、導電部3と、軟質磁性体部12と、絶縁性粒子13とを備える。
導電性粒子21は導電性粒子11とは異なり、軟質磁性体部12の表面を被覆している絶縁部22を有する。導電性粒子21は、軟質磁性体部12と接触していない絶縁性粒子13を含む。導電性粒子21は、絶縁部22と接触していない絶縁性粒子13を含む。
絶縁部22は、絶縁性を有する材料である。導電性粒子21では、絶縁部22は、軟質磁性体部12の表面の全部を覆っている。従って、導電部3と軟質磁性体部12との間に絶縁部22が配置されている。軟質磁性体部12は、導電部3と接触していない。上記絶縁部は、上記軟質磁性体部の表面の少なくとも一部を覆っていればよく、上記軟質磁性体部の表面の全部を覆っていなくてもよい。上記導電性粒子では、上記軟質磁性体部は、上記導電部の外表面上に配置されていることが好ましい。上記軟質磁性体部は、上記絶縁部を介して上記導電部の外表面上に配置されていることが好ましい。上記絶縁部は、上記導電部と上記軟質磁性体部との間に配置されていることが好ましい。上記導電性粒子は、絶縁性粒子を有していてもよく、絶縁性粒子を有していなくてもよい。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図4に示す導電性粒子31は、基材粒子2と、導電部3と、軟質磁性体部12とを備える。
導電性粒子31は導電性粒子11とは異なり、導電部3の表面を被覆している絶縁部32を有する。
絶縁部32は、絶縁性を有する材料である。導電性粒子31では、絶縁部32は、導電部3の表面の全部を覆っている。従って、導電部3と軟質磁性体部12との間に絶縁部32が配置されている。軟質磁性体部12は、導電部3と接触していない。上記絶縁部は、上記導電部の表面の少なくとも一部を覆っていればよく、上記導電部の表面の全部を覆っていなくてもよい。上記導電性粒子では、上記軟質磁性体部は、上記絶縁部を介して上記導電部の外表面に配置されていることが好ましい。上記絶縁部は、上記導電部と上記軟質磁性体部との間に配置されていることが好ましい。上記導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された絶縁性粒子を有していてもよい。
図5は、本発明の第5の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図5に示す導電性粒子41は、基材粒子2と、導電部3と、軟質磁性体部12と、絶縁性粒子13とを備える。
導電性粒子41は導電性粒子11とは異なり、導電部3の外表面上に配置された絶縁部42を有する。導電性粒子41は、軟質磁性体部12と接触していない絶縁性粒子13を含む。導電性粒子41は、絶縁部42と接触していない絶縁性粒子13を含む。
絶縁部42は、絶縁性を有する材料である。導電性粒子41では、絶縁部42は、絶縁性粒子である。導電性粒子41では、導電部3の外表面上に絶縁部42が配置されており、絶縁部42の外表面上に軟質磁性体部12が配置されている。従って、導電部3と軟質磁性体部12との間に絶縁部42が配置されている。軟質磁性体部12は、導電部3と接触していない。上記絶縁部は、上記導電部の表面の少なくとも一部を覆っていればよく、上記導電部の表面の全部を覆っていなくてもよい。上記導電性粒子では、上記軟質磁性体部は、上記絶縁部を介して上記導電部の外表面に配置されていることが好ましい。上記絶縁部は、上記導電部と上記軟質磁性体部との間に配置されていることが好ましい。上記導電性粒子は、絶縁性粒子を有していてもよく、絶縁性粒子を有していなくてもよい。
図6は、本発明の第6の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図6に示す導電性粒子51は、基材粒子2と、導電部61と、軟質磁性体部12と、絶縁性粒子13とを備える。
導電性粒子51は導電性粒子21とは異なり、基材粒子2の表面上に配置された複数の芯物質62を有する。導電部61は、基材粒子2と芯物質62とを被覆している。芯物質62を導電部61が被覆していることにより、導電性粒子51は、表面に複数の突起63を有する。導電性粒子51では、芯物質62により導電部61の表面が隆起されており、複数の突起63が形成されている。上記導電性粒子では、上記突起を形成するために、上記芯物質を用いてもよく、上記芯物質を用いなくてもよい。上記導電性粒子では、上記芯物質を有していなくてもよい。
以下、導電性粒子の他の詳細について説明する。
基材粒子:
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよく、上記シェルが無機シェルであってもよい。
上記樹脂粒子の材料として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、及びポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン系共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン系共重合体としては、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体及びジビニルベンゼン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記樹脂粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子の材料は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、及びα-メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及び無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びグリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、及びプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、及びステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;エチレン、プロピレン、イソプレン、及びブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、及びクロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、並びに、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、及びビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。「(メタ)アクリル」は、「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味する。「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」と「メタクリロイル」との一方又は双方を意味する。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は、金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記有機コアの材料としては、上述した樹脂粒子の材料等が挙げられる。
上記無機シェルの材料としては、上述した基材粒子の材料として挙げた無機物が挙げられる。上記無機シェルの材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子の材料である金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。上記基材粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の間隔が小さくなり、かつ導電層の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子が得られる。さらに基材粒子の表面に導電部を形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成され難くなる。
上記基材粒子の粒子径は、2μm以上50μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の粒子径が、2μm以上50μm以下の範囲内であると、基材粒子の表面に導電部を形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成され難くなる。
上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
上記基材粒子の粒子径は、数平均粒子径を示す。上記基材粒子の粒子径は粒度分布測定装置等を用いて求められる。基材粒子の粒子径は、任意の基材粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求めることが好ましい。導電性粒子において、上記基材粒子の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
導電性粒子の含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。検査用埋め込み樹脂中に分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率を25000倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の基材粒子を観察する。各導電性粒子における基材粒子の粒子径を計測し、それらを算術平均して基材粒子の粒子径とする。
導電部:
上記導電部は、金属を含むことが好ましい。上記導電部を構成する金属は、特に限定されない。上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は、軟質磁性体であってもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムがより好ましい。なお、本明細書において導電部とは、導電部を構成する材料と同じ材料を用いて粉体試料を作製し、三菱化学社製「粉体抵抗率測定システム」を用いて該粉体試料の体積抵抗値を測定したときに、該体積抵抗値が0.005Ω・cm以下である部分と定義される。
また、導通信頼性を効果的に高める観点からは、上記導電部及び上記導電部の外表面部分はニッケルを含むことが好ましい。ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より一層好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、97重量%以上であってもよく、97.5重量%以上であってもよく、98重量%以上であってもよい。
なお、導電部の表面には、酸化により水酸基が存在することが多い。一般的に、ニッケルにより形成された導電部の表面には、酸化により水酸基が存在する。このような水酸基を有する導電部の表面(導電性粒子の表面)に、化学結合を介して、絶縁性粒子を配置できる。
上記導電部は、1つの層により形成されていてもよい。上記導電部は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、上記導電部は、2層以上の積層構造を有していてもよい。上記導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層を構成する金属は、金、ニッケル、パラジウム、銅又は錫と銀とを含む合金であることが好ましく、金であることがより好ましい。最外層を構成する金属がこれらの好ましい金属である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層を構成する金属が金である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
上記基材粒子の表面上に導電部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。上記導電部を形成する方法は、無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法であることが好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
上記導電部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。上記導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子を十分に変形させることができる。
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電部の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗を十分に低くすることができる。
上記導電部の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
芯物質:
上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に複数の突起を有することが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。導電部の表面に突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜を効果的に排除できる。このため、電極と導電部とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、電極間の接続時に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性粒子を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電部を形成した後、該第1の導電部上に芯物質を配置し、次に第2の導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面上に導電部(第1の導電部又は第2の導電部等)を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。また、突起を形成するために、上記芯物質を用いずに、基材粒子に無電解めっきにより導電部を形成した後、導電部の表面上に突起状にめっきを析出させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法等を用いてもよい。
基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。付着させる芯物質の量を制御する観点からは、基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法は、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法であることが好ましい。
上記芯物質を構成する物質としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記芯物質が金属であることが好ましい。
上記金属は特に限定されない。上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫-鉛合金、錫-銅合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記金属は、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記金属は、上記導電部(導電層)を構成する金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が、上記下限以上及び上限以下であると、電極間の接続抵抗を効果的に低くすることができる。
上記芯物質の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。芯物質の粒子径は、例えば、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各芯物質の粒子径の平均値を算出したり、レーザー回折式粒度分布測定を行ったりすることにより求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの芯物質の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の芯物質の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。レーザー回折式粒度分布測定では、1個当たりの芯物質の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記芯物質の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定により算出することが好ましい。
絶縁性粒子:
上記導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された複数の絶縁性粒子を備えることが好ましい。この場合には、上記導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性粒子が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性粒子を容易に排除できる。さらに、導電部の外表面に複数の突起を有する導電性粒子である場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性粒子をより一層容易に排除できる。
上記絶縁性粒子の材料としては、上述した樹脂粒子の材料、及び上述した基材粒子の材料として挙げた無機物等が挙げられる。上記絶縁性粒子の材料は、上述した樹脂粒子の材料であることが好ましい。上記絶縁性粒子は、上述した樹脂粒子又は上述した有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましく、樹脂粒子であってもよく、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。
上記絶縁性粒子の他の材料としては、ポリオレフィン化合物、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。上記絶縁性粒子の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリオレフィン化合物としては、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリドデシル(メタ)アクリレート及びポリステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂の架橋物としては、ポリエチレングリコールメタクリレート、アルコキシ化トリメチロールプロパンメタクリレートやアルコキシ化ペンタエリスリトールメタクリレート等の導入が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。また、重合度の調整に、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、チオールや四塩化炭素等が挙げられる。
上記導電部の表面上に上記絶縁性粒子を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。電極間を電気的に接続した場合に、絶縁信頼性及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記導電部の表面上に上記絶縁性粒子を配置する方法は、物理的方法であることが好ましい。
上記導電部の外表面、及び上記絶縁性粒子の外表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。上記導電部の外表面と上記絶縁性粒子の外表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。上記導電部の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミン等の高分子電解質を介して絶縁性粒子の外表面の官能基と化学結合していても構わない。
上記絶縁性粒子の粒子径は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記絶縁性粒子の粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは300nm以上、特に好ましくは500nm以上であり、好ましくは4000nm以下、より好ましくは2000nm以下、さらに好ましくは1500nm以下、特に好ましくは1000nm以下である。絶縁性粒子の粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電層同士が接触し難くなる。絶縁性粒子の粒子径が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁性粒子を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
上記絶縁性粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることが好ましい。上記絶縁性粒子の粒子径は粒度分布測定装置等を用いて求められる。上記絶縁性粒子の粒子径は、任意の絶縁性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求めることが好ましい。上記導電性粒子において、上記絶縁性粒子の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。その検査用埋め込み樹脂中の分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の絶縁性粒子を観察する。各導電性粒子における絶縁性粒子の粒子径を計測し、それらを算術平均して絶縁性粒子の粒子径とする。
上記導電性粒子の粒子径の、上記絶縁性粒子の粒子径に対する比(導電性粒子の粒子径/絶縁性粒子の粒子径)は、好ましくは4以上、より好ましくは8以上であり、好ましくは200以下、より好ましくは100以下である。上記比(導電性粒子の粒子径/絶縁性粒子の粒子径)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間を電気的に接続した場合に、絶縁信頼性及び導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。
軟質磁性体部:
上記導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された軟質磁性体部を備えることが好ましい。上記導電性粒子が、上記軟質磁性体部を備えていると、上記導電部の導電性を損なうことなく、上記導電性粒子の残留磁化をより一層効果的に低減することができる。結果として、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、磁性凝集をより一層効果的に抑制することができる。なお、本明細書において軟質磁性体部とは、外部磁場の影響下では磁化されるが、外部磁場を取り除くと速やかに磁力を失う部分と定義される。上記軟質磁性体部は、飽和磁化が0.00A/mを超え、かつ残留磁化の飽和磁化に対する比(残留磁化/飽和磁化)が0.3未満であることが好ましい。上記軟質磁性体部の飽和磁化及び上記比(残留磁化/飽和磁化)は、以下の手順に従って測定することができる。上記軟質磁性体部を構成する材料と同じ材料を用いて粉体試料を作製する。該粉体試料を導電性粒子の残留磁化及び飽和磁化を測定するのと同様の手順で、振動試料型磁力計(東栄科学産業社製「PV-300-5」)を用いて測定する。得られた飽和磁化及び残留磁化から、上記軟質磁性体部の飽和磁化及び上記比(残留磁化/飽和磁化)が得られる。
上記軟質磁性体部は、軟質磁性体粒子であってもよく、軟質磁性体層であってもよい。
電極間の接続抵抗をより一層効果的に低く維持しつつ、磁性凝集をより一層効果的に抑制する観点からは、上記導電性粒子は、上記軟質磁性体部を複数備えることが好ましい。より具体的には、軟質磁性体部が軟質磁性体粒子を含み、該軟質磁性体粒子を複数含むことが好ましい。他の具体的な態様としては、上記導電性粒子が1つの軟質磁性体部によって導電部の外表面の全体が覆われているのではなく、導電部が露出するように複数の軟質磁性体部がまだら模様に存在している態様が好ましい。上記導電性粒子では、複数の上記軟質磁性体部が離れて、上記導電部の外表面上に配置されていることが好ましい。離れて存在する軟質磁性体部の数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上、特に好ましくは10以上である。離れて存在する軟質磁性体部の数は、導電性粒子の表面積等に応じて、適宜設定することができる。
上記軟質磁性体部は特に限定されない。上記軟質磁性体部の材料としては、純鉄、ケイ素鉄、パーマロイ、Fe-Si-Al、パーメンジュール、電磁ステンレス、アモルファス(鉄基アモルファス及びコバルト基アモルファス等)、ナノ結晶、並びにフェライト(マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライト、コバルトフェライト、マグヘマイト及びマグネタイト等)等が挙げられる。上記軟質磁性体部の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記軟質磁性体部が粒子である場合に、上記軟質磁性体部の粒子径は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記軟質磁性体部の粒子径は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。上記軟質磁性体部の粒子径が上記下限以上であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、磁性凝集をより一層効果的に抑制することができる。
上記軟質磁性体部の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることが好ましい。上記軟質磁性体部の粒子径は粒度分布測定装置等を用いて求められる。上記軟質磁性体部の粒子径は、任意の軟質磁性体部50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求めることが好ましい。上記導電性粒子において、上記軟質磁性体部の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。その検査用埋め込み樹脂中の分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の軟質磁性体部を観察する。各導電性粒子における軟質磁性体部の粒子径を計測し、それらを算術平均して軟質磁性体部の粒子径とする。
上記軟質磁性体部が層である場合に、上記軟質磁性体部の厚みは、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記軟質磁性体部の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。
上記軟質磁性体部の厚みは、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求めることが好ましい。上記導電性粒子において、上記軟質磁性体部の厚みを測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。その検査用埋め込み樹脂中の分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の軟質磁性体部の厚みを観察する。各導電性粒子における軟質磁性体部の厚みを計測し、それらを算術平均して軟質磁性体部の厚みとする。
磁性凝集をより一層効果的に抑制する観点からは、上記導電部と上記軟質磁性体部とは離れていることが好ましい。上記導電部と上記軟質磁性体部との離れている距離は、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上であり、好ましくは800nm以下、より好ましくは500nm以下である。上記離れている距離が上記下限以上であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、磁性凝集をより一層効果的に抑制することができる。なお、上記導電部と上記軟質磁性体部との離れている距離は、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の導電部と軟質磁性体部との離れている距離を計測し、それらを算術平均して上記導電部と上記軟質磁性体部との離れている距離とする。なお、上記導電性粒子が、導電部と軟質磁性体部との間に配置された絶縁部を備える場合には、後述の絶縁部の厚みの測定方法に従って測定される絶縁部の厚みを、上記導電部と上記軟質磁性体部との離れている距離としてもよい。
上記導電部の表面積全体に占める上記導電部の表面の上記軟質磁性体部により覆われている部分の面積(軟質磁性体部による被覆率)は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、より一層好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、さらに一層好ましくは40%以上、特に好ましくは45%以上、最も好ましくは50%以上である。上記軟質磁性体部による被覆率は80%以下であってもよい。上記軟質磁性体部による被覆率が上記下限以上であると、磁性凝集をより一層効果的に抑制することができる。電極間の接続抵抗をより一層効果的に低く維持する観点からは、上記軟質磁性体部による被覆率は、95%以下であてもよく、90%以下であってもよく、80%以下であってもよく、70%以下であってもよい。
上記軟質磁性体部による被覆率は以下のようにして求められる。
導電性粒子を一方向から走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、観察画像における導電部の表面の外周縁部分の円内の面積全体に占める、導電部の表面の外周縁部分の円内における軟質磁性体部の合計の面積から算出する。上記軟質磁性体部による被覆率は、20個の導電性粒子を観察し、各導電性粒子の測定結果を平均した平均被覆率として算出することが好ましい。
絶縁部:
上記導電性粒子は、上記導電部と上記軟質磁性体部との間に配置された絶縁部を備えることが好ましい。上記導電性粒子では、上記軟質磁性体部が、上記絶縁部を介して上記導電部の外表面に配置されていることが好ましい。上記軟質磁性体部は、上記導電部と接触していないことが好ましい。上記絶縁部は、上記導電部と上記軟質磁性体部との間に配置されていることが好ましい。上記導電性粒子が上記の好ましい態様を満足すると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、磁性凝集をより一層効果的に抑制することができる。
なお、上記絶縁部は、上述した絶縁性粒子とは異なる。上記絶縁性粒子は、隣接する電極間の短絡を防止するために用いられている。上記絶縁部は、上記軟質磁性体部と上記導電部との接触を防止するために用いられている。
上記絶縁部は、絶縁性を有する材料であれば特に限定されない。上記絶縁部としては、絶縁性の樹脂等が挙げられる。上記絶縁部としては、上述した絶縁性粒子の材料等が挙げられる。
上記導電部の外表面に上記軟質磁性体部及び上記絶縁部を配置する方法は特に限定されない。上記導電部の外表面に上記軟質磁性体部及び上記絶縁部を配置する方法は、上記導電部の表面上に上記絶縁性粒子を配置する方法を利用することができる。具体的には、上記導電部の外表面に上記軟質磁性体部及び上記絶縁部を配置する方法としては、以下の方法等が挙げられる。上記軟質磁性体部の表面を上記絶縁部により被覆して絶縁部被覆軟質磁性体部を得た後、該絶縁部被覆軟質磁性体部を上記導電部の外表面に配置する方法(この場合に、上記絶縁部被覆軟質磁性体部は、多摩川精機社製「FG beads」(登録商標)のように、複数個の軟質磁性体部を包含した形態であってもよい)。上記導電部の表面を上記絶縁部により被覆して絶縁部被覆導電性粒子を得た後、該絶縁部被覆導電性粒子の外表面に上記軟質磁性体部を配置する方法。上記絶縁部を用いて粒子を形成した後、該粒子の表面上に上記軟質磁性体部を配置させて軟質磁性体部付き粒子を得た後、該軟質磁性体部付き粒子を上記導電部の表面の外表面に配置する方法。
上記絶縁部の厚みは、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上であり、好ましくは800nm以下、より好ましくは500nm以下である。上記絶縁部の厚みが上記下限以上であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、磁性凝集をより一層効果的に抑制することができる。なお、上記絶縁部が粒子である場合には、上記絶縁部の厚みは該粒子の直径に相当する。
上記絶縁部の厚みは、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求めることが好ましい。上記導電性粒子において、上記絶縁部の厚みを測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。その検査用埋め込み樹脂中の分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の絶縁部の厚みを観察する。各導電性粒子における絶縁部の厚みを計測し、それらを算術平均して絶縁部の厚みとする。
上記導電部の外表面に上記軟質磁性体部及び上記絶縁部を配置する方法として、上記軟質磁性体部の表面を上記絶縁部により被覆して絶縁部被覆軟質磁性体部を得た後、該絶縁部被覆軟質磁性体部を上記導電部の外表面に配置する方法が採用される場合には、絶縁部被覆軟質磁性体部は、絶縁層被覆軟質磁性体粒子であることが好ましい。上記絶縁層被覆軟質磁性体粒子は、軟質磁性体粒子の表面を絶縁層により被覆して得られる。すなわち、上記絶縁層被覆軟質磁性体粒子を、導電部の外表面に配置することが好ましい。この場合、上記絶縁層被覆軟質磁性体粒子の平均粒子径は、好ましくは25nm以上、より好ましくは50nm以上であり、好ましくは800nm以下、より好ましくは500nm以下、更に好ましくは150nm以下である。上記絶縁層被覆軟質磁性体粒子の平均粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電層同士が接触し難くなり得られる接続構造体の絶縁信頼性が向上する。上記絶縁層被覆軟質磁性体粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、導電性粒子表面から脱離し難く、磁性凝集を効果的に抑制することができる。
なお、絶縁層被覆軟質磁性体粒子の平均粒子径は、例えば、以下の手順に従って測定できる。導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。その検査用埋め込み樹脂中の分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の導電層の外表面に配置されている絶縁層被覆軟質磁性体粒子の粒子径を観察する。各導電性粒子における絶縁層被覆軟質磁性体粒子の粒子径を計測し、それらを算術平均して絶縁層被覆軟質磁性体粒子の平均粒子径とする。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散されて用いられることが好ましく、バインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極間の電気的な接続に用いられることが好ましい。上記導電材料は回路接続用導電材料であることが好ましい。上記導電材料では、上述した導電性粒子が用いられているので、電極間の絶縁信頼性及び導通信頼性をより一層高めることができる。上記導電材料では、上述した導電性粒子が用いられているので、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、磁性凝集をより一層効果的に抑制することができる。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ、特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。
上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは30Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記粘度(η25)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定することができる。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層高めることができる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高めることができる。上記導電性粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、磁性凝集をより一層効果的に抑制することができる。
(接続構造体)
本発明に係る接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と、上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部の材料が、上述した導電性粒子であるか、又は上記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料(上述した導電材料)である。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記導電性粒子における上記導電部により電気的に接続されている。
上記接続構造体は、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材との間に、上記導電性粒子又は上記導電材料を配置する工程と、熱圧着することにより、導電接続する工程とを経て、得ることができる。上記導電性粒子が上記絶縁性粒子を有する場合には、上記熱圧着時に、上記絶縁性粒子が上記導電性粒子から脱離することが好ましい。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
図7に示す接続構造体81は、第1の接続対象部材82と、第2の接続対象部材83と、第1の接続対象部材82及び第2の接続対象部材83を接続している接続部84とを備える。接続部84は、導電性粒子1を含む導電材料により形成されている。接続部84は、導電性粒子1を複数含む導電材料を硬化させることにより形成されていることが好ましい。なお、図7では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子11、21、31、41又は51を用いてもよい。
第1の接続対象部材82は表面(上面)に、複数の第1の電極82aを有する。第2の接続対象部材83は表面(下面)に、複数の第2の電極83aを有する。第1の電極82aと第2の電極83aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材82及び第2の接続対象部材83が導電性粒子1における導電部により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記熱圧着の圧力は好ましくは40MPa以上、より好ましくは60MPa以上であり、好ましくは90MPa以下、より好ましくは70MPa以下である。上記熱圧着の加熱の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。上記熱圧着の圧力及び温度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。また、上記導電性粒子が上記絶縁性粒子を有する場合には、導電接続時に導電性粒子の表面から絶縁性粒子が容易に脱離できる。
上記導電性粒子が上記絶縁性粒子を有する場合には、上記積層体を加熱及び加圧する際に、上記導電性粒子と、上記第1の電極及び上記第2の電極との間に存在している上記絶縁性粒子を排除することができる。例えば、上記加熱及び加圧の際には、上記導電性粒子と、上記第1の電極及び上記第2の電極との間に存在している上記絶縁性粒子が、上記導電性粒子の表面から容易に脱離する。なお、上記加熱及び加圧の際には、上記導電性粒子の表面から一部の上記絶縁性粒子が脱離して、上記導電部の表面が部分的に露出することがある。上記導電部の表面が露出した部分が、上記第1電極及び上記第2の電極に接触することにより、上記導電性粒子を介して第1の電極と第2の電極とを電気的に接続することができる。
上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(参考例1)
(1)導電性粒子本体の作製
粒子径が3μmのテトラメチロールメタンテトラアクリレートとジビニルベンゼンとの共重合樹脂により形成された基材粒子を用意した。パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、基材粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、基材粒子を取り出した。次いで、基材粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、基材粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された基材粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、分散液を得た。次に、ニッケル粒子スラリー(平均粒子径100nm)1重量部を3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された基材粒子を含む懸濁液を得た。
また、硫酸ニッケル0.35mol/L、ジメチルアミンボラン1.38mol/L及びクエン酸ナトリウム0.5mol/Lを含むニッケルめっき液(pH8.5)を用意した。
得られた懸濁液を60℃にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子の表面にニッケル-ボロン導電層(厚み0.15μm)が形成された導電性粒子本体を得た。
(2)絶縁層被覆軟質磁性体粒子の作製
軟質磁性体粒子(軟質磁性体部)の表面を、以下のようにして絶縁層(絶縁部)で被覆した。
4つ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付けた500mLセパラブルフラスコに、下記の重合性化合物を含む組成物を入れた後、超音波照射機を用いて十分に乳化させた。その後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下50℃で5時間重合を行った。上記組成物は、蒸留水200重量部と、直径30nmの酸化鉄ナノ粒子(組成:マグヘマイト又はマグネタイト、シグマアルドリッチ社製)5.2重量部と、2,2’-アゾビス{2-[N-(2-カルボキシエチル)アミジノ]プロパン}0.1重量部とを含む。さらに、上記組成物は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王社製「エマルゲン106」)0.1重量部と、メタクリル酸メチル1.7重量部と、エチレングリコールジメタクリレート0.1重量部とを含む。反応終了後、冷却し、遠心分離機で固液分離を2回行い、余分な重合性化合物を洗浄により除去し、重合性化合物により形成された被覆部によって、軟質磁性体粒子の表面の全体が覆われた絶縁層被覆軟質磁性体粒子(粒子径50nm)を得た。
以下、得られた絶縁層被覆軟質磁性体粒子を、粒子(A)と記載することがある。
(3)導電性粒子(絶縁層被覆軟質磁性体粒子付き導電性粒子)の作製
得られた粒子(A)を超音波照射下で蒸留水に分散させ、粒子(A)の10重量%水分散液を得た。得られた導電部を表面に有する基材粒子(導電性粒子本体)10重量部を蒸留水100重量部に分散させ、粒子(A)の10重量%水分散液1重量部を添加し、室温で8時間攪拌した。5μmのメッシュフィルターで濾過した後、さらにメタノールで洗浄、乾燥し、導電性粒子本体に粒子(A)が付着した導電性粒子を得た。
(4)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
得られた導電性粒子7重量部と、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂25重量部と、フルオレン型エポキシ樹脂4重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂30重量部と、SI-60L(三新化学工業社製)とを配合して、3分間脱泡及び攪拌することで、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。
(5)接続構造体の作製
L/Sが10μm/10μmであるIZO電極パターン(第1の電極、電極表面の金属のビッカース硬度100Hv)が上面に形成された透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが10μm/10μmであるAu電極パターン(第2の電極、電極表面の金属のビッカース硬度50Hv)が下面に形成された半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が100℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、60MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を100℃で硬化させ、接続構造体を得た。
(実施例3~7,10,12、参考例2,11、及び比較例3,4)
軟質磁性体部の種類、軟質磁性体部による被覆率、絶縁部の厚み、軟質磁性体粒子の表面を絶縁層で被覆する際のメタクリル酸メチルの添加量及び粒子(A)の平均粒子径を、下記の表1に示すように設定したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
なお、実施例10では、酸化鉄ナノ粒子に代えて、ハンマーミル・ボールミルの乾式粉砕装置で成形した平均粒子径30nmのパーマロイ粒子を用いた。また、実施例12では、パーメジュール粉体(大同特殊鋼社製)をハンマーミル・ボールミルの乾式粉砕装置で成形した平均粒子径30nmのパーメジュール粒子を用いた。また、比較例4では平均粒子径30nmのニッケルスラリーを用いた。また、実施例3~7,10,12、参考例2,11、及び比較例3,4の軟質磁性体部による被覆率は、絶縁層被覆軟質磁性体粒子付き導電性粒子の作製時に、粒子(A)の10重量%水分散液の添加量を変化させることで調整した。
(実施例8)
(1)導電性粒子本体の作製
参考例1と同様にして、導電性粒子本体を作製した。
(2)絶縁部被覆導電性粒子の作製
導電性粒子本体の表面を、以下のようにして絶縁層(絶縁部)で被覆した。
4つ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付けた500mLセパラブルフラスコに、下記の重合性化合物を含む組成物を入れた後、超音波照射機を用いて十分に乳化させた。その後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下50℃で5時間重合を行った。上記組成物は、蒸留水200重量部と、得られた導電性粒子本体20重量部と、2,2’-アゾビス{2-[N-(2-カルボキシエチル)アミジノ]プロパン}0.01重量部とを含む。さらに、上記組成物は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王社製「エマルゲン106」)0.1重量部と、メタクリル酸メチル0.1重量部と、エチレングリコールジメタクリレート0.1重量部とを含む。反応終了後、冷却し、遠心分離機で固液分離を2回行い、余分な重合性化合物を洗浄により除去し、重合性化合物により形成された被覆部によって、導電性粒子本体の表面の全体が覆われた絶縁部被覆導電性粒子(絶縁層の厚み50nm)を得た。
(3)導電性粒子(絶縁層及び軟質磁性体粒子を備える導電性粒子)の作製
絶縁部被覆導電性粒子における絶縁層の表面を、以下のようにして軟質磁性体粒子(軟質磁性体部)で被覆した。
直径30nmの酸化鉄ナノ粒子(組成:マグヘマイト又はマグネタイト、シグマアルドリッチ社製)を超音波照射下で蒸留水に分散させ、10重量%水分散液を得た。得られた絶縁部被覆導電性粒子10重量部を蒸留水100重量部に分散させ、酸化鉄ナノ粒子の10重量%水分散液1重量部を添加し、室温で8時間攪拌した。5μmのメッシュフィルターで濾過した後、さらにメタノールで洗浄、乾燥し、絶縁部被覆導電性粒子に酸化鉄ナノ粒子が付着した導電性粒子(絶縁層及び軟質磁性体粒子を備える導電性粒子)を得た。
(4)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
得られた導電性粒子を用いたこと以外は、参考例1と同様にして、導電材料を得た。
(5)接続構造体の作製
得られた導電材料を用いたこと以外は、参考例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例9)
(1)導電性粒子本体の作製
参考例1と同様にして、導電性粒子本体を作製した。
(2)軟質磁性体粒子被覆絶縁性粒子の作製
以下のようにして絶縁性粒子を形成した。
4つ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付けた500mLセパラブルフラスコに、下記の重合性化合物を含む組成物を入れた後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下50℃で5時間重合を行った。上記組成物は、蒸留水200重量部と、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールメタクリレート0.2重量部と、2,2’-アゾビス{2-[N-(2-カルボキシエチル)アミジノ]プロパン}0.2重量部と、メタクリル酸メチル20重量部と、エチレングリコールジメタクリレート1重量部とを含む。反応終了後、冷却し、遠心分離機で固液分離を2回行い、余分な重合性化合物を洗浄により除去し、絶縁性粒子(粒子径300nm)を得た。
得られた絶縁性粒子の表面を、以下のようにして軟質磁性体粒子(軟質磁性体部)で被覆した。
直径30nmの酸化鉄ナノ粒子(組成:マグヘマイト又はマグネタイト、シグマアルドリッチ社製)を超音波照射下で蒸留水に分散させ、10重量%水分散液を得た。得られた絶縁性粒子10重量部を蒸留水100重量部に分散させ、酸化鉄ナノ粒子の10重量%水分散液1重量部を添加し、室温で8時間攪拌した。5μmのメッシュフィルターで濾過した後、さらにメタノールで洗浄、乾燥し、絶縁性粒子に酸化鉄ナノ粒子が付着した軟質磁性体粒子被覆絶縁性粒子を得た。
(3)導電性粒子(軟質磁性体粒子被覆絶縁性粒子付き導電性粒子)の作製
導電性粒子本体の表面を、以下のようにして軟質磁性体粒子被覆絶縁性粒子で被覆した。
得られた軟質磁性体粒子被覆絶縁性粒子を超音波照射下で蒸留水に分散させ、10重量%水分散液を得た。導電性粒子本体10重量部を蒸留水100重量部に分散させ、軟質磁性体粒子被覆絶縁性粒子の10重量%水分散液1重量部を添加し、室温で8時間攪拌した。5μmのメッシュフィルターで濾過した後、さらにメタノールで洗浄、乾燥し、導電性粒子本体に軟質磁性体粒子被覆絶縁性粒子が付着した導電性粒子(軟質磁性体粒子被覆絶縁性粒子付き導電性粒子)を得た。
(4)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
得られた導電性粒子を用いたこと以外は、参考例1と同様にして、導電材料を得た。
(5)接続構造体の作製
得られた導電材料を用いたこと以外は、参考例1と同様にして、接続構造体を得た。
(比較例1)
参考例1の導電性粒子本体を導電性粒子として用意した。この導電性粒子を用いたこと以外は参考例1と同様にして、導電材料、及び接続構造体を得た。
(比較例2)
(1)導電性粒子本体の作製
参考例1と同様にして、導電性粒子本体を作製した。
(2)導電性粒子(軟質磁性体粒子被覆導電性粒子の作製)
導電性粒子本体の表面を、以下のようにして軟質磁性体粒子で被覆した。
直径30nmの酸化鉄ナノ粒子(組成:マグヘマイト又はマグネタイト、シグマアルドリッチ社製)を超音波照射下で蒸留水に分散させ、10重量%水分散液を得た。導電性粒子本体10重量部を蒸留水100重量部に分散させ、酸化鉄ナノ粒子の10重量%水分散液1重量部を添加し、室温で8時間攪拌した。5μmのメッシュフィルターで濾過した後、さらにメタノールで洗浄、乾燥し、導電性粒子本体に酸化鉄ナノ粒子が付着した軟質磁性体粒子被覆導電性粒子を得た。
(3)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
得られた導電性粒子を用いたこと以外は、参考例1と同様にして、導電材料を得た。
(4)接続構造体の作製
得られた導電材料を用いたこと以外は、参考例1と同様にして、接続構造体を得た。
(評価)
(1)導電性粒子の残留磁化及び飽和磁化
ニッケル粉を封入したカプセルを装置の校正試料として使用し、振動試料型磁力計(東栄科学産業社製「PV-300-5」)の校正を行った。得られた導電性粒子をカプセルに秤量し、サンプルホルダーに取り付けた。該サンプルホルダーを磁力計本体に設置し、温度20℃(定温)、最大印加磁界20kOe、速度3分/loopの条件下での測定により、磁化曲線を得た。得られた磁化曲線から、導電性粒子の残留磁化及び飽和磁化を求めた。
また、測定結果から、残留磁化の飽和磁化に対する比(残留磁化/飽和磁化)を算出した。
(2)軟質磁性体部による被覆率
得られた導電性粒子の導電部の表面積全体に占める導電部の表面の軟質磁性体部により覆われている部分の面積(軟質磁性体部による被覆率)を測定した。
軟質磁性体部による被覆率を以下のようにして求めた。
得られた導電性粒子を一方向から走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、観察画像における導電部の表面の外周縁部分の円内の面積全体に占める、導電部の表面の外周縁部分の円内における軟質磁性体部の合計の面積から算出した。軟質磁性体部の被覆率は、20個の導電性粒子を観察し、各導電性粒子の測定結果を平均した平均被覆率として算出した。
(3)絶縁部の厚み
得られた導電性粒子の絶縁部の厚みを、以下のようにして測定した。
得られた導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製した。その検査用埋め込み樹脂中の分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出した。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の絶縁部の厚みを観察した。各導電性粒子における絶縁部の厚みを計測し、それらを算術平均して絶縁部の厚みとした。
(4)導電性粒子の磁性凝集
得られた導電材料を観察し、導電性粒子の磁性凝集が発生しているか否かを確認した。導電性粒子の磁性凝集を下記の条件で判定した。
[導電性粒子の磁性凝集の判定基準]
○○:導電性粒子の磁性凝集が発生していない
○:導電性粒子の磁性凝集が僅かに発生しているが抑制効果が認められる
×:導電性粒子の磁性凝集が発生している
(5)接続抵抗(上下の電極間)
得られた20個の接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。接続抵抗を下記の基準で判定した。
[接続抵抗の判定基準]
○○○:接続抵抗が1.5Ω以下
○○:接続抵抗が1.5Ωを超え2.0Ω以下
○:接続抵抗が2.0Ωを超え5.0Ω以下
△:接続抵抗が5.0Ωを超え10Ω以下
×:接続抵抗が10Ωを超える
(6)絶縁信頼性(横方向に隣り合う電極間)
上記(5)導通信頼性の評価で得られた20個の接続構造体において、隣接する電極間のリークの有無を、テスターで抵抗値を測定することにより評価した。絶縁信頼性を下記の基準で評価した。
[絶縁信頼性の判定基準]
○○○:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数が、20個
○○:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数が、18個以上20個未満
○:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数が、15個以上18個未満
△:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数が、10個以上15個未満
×:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数が、10個未満
詳細及び結果を下記の表1,2に示す。
実施例3~10,12、及び参考例1,2,11で得られた導電性粒子は、比較例1~4で得られた導電性粒子よりも導電性粒子の磁性凝集が抑制されていた。
また、実施例3~7,10,12、及び参考例1,2,11で得られた導電性粒子は、実施例8で得られた導電性粒子よりも低い接続抵抗を示した。これは、実施例8で得られた導電性粒子では、導電性粒子本体の表面の全体が絶縁部で被覆されているため導電層の露出が少なかったのに対して、実施例3~7,10,12、及び参考例1,2,11で得られた導電性粒子では、絶縁層被覆軟質磁性体粒子によって被覆されているため導電層の露出が多かったためと考えられる。
また、実施例3~7,10,12、及び参考例1,2,11で得られた導電性粒子は、実施例9で得られた導電性粒子よりも低い接続抵抗を示した。これは、実施例9の導電性粒子では、平均粒子径300nmの絶縁性粒子に平均粒子径30nmの酸化鉄ナノ粒子が付着した軟質磁性体粒子被覆絶縁性粒子の平均粒子径が大きい(300nmを超える平均粒子径)のに対して、実施例3~7,10,12、及び参考例1,2,11の導電性粒子では、絶縁層被覆軟質磁性体粒子の平均粒子径が小さい(50nm~130nmの平均粒子径)ためと考えられる。このため、接続構造体の作製時の熱圧着の際に、実施例9の導電性粒子では、絶縁性粒子が導電性粒子表面から脱離しにくいことに対して、実施例3~7,10,12、及び参考例1,2,11の導電性粒子では、絶縁層被覆軟質磁性体粒子が導電性粒子表面から容易に脱離したためと考えられる。