以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層とを有する。該導電層は、導電性を有するので、一般に金属を含む。本発明に係る導電性粒子では、上記基材粒子の上記導電層側に、有機化合物と金属(以下、金属Xと記載することがある)とを含む領域(以下、領域Rと記載することがある)が存在する。本発明に係る導電性粒子では、上記基材粒子の表面近傍に上記領域Rが存在する。上記領域Rにおける金属Xの含有量は10重量%以上、90重量%以下である。上記領域Rにおける金属Xの含有量は、上記領域Rにおける金属Xの含有量の平均が10重量%以上、90重量%以下の範囲であるように分布を有していてもよい。上記基材粒子の表面と上記基材粒子の中心(以下、中心Cと記載することがある)とを結ぶ方向における上記領域Rの平均厚みは10nm以上である。すなわち、本発明に係る導電性粒子では、上記有機化合物と金属Xとを含む領域Rが存在し、かつ領域Rにおける金属Xの含有量の平均が10重量%以上、90重量%以下であり、更に本発明に係る導電性粒子は、領域Rを平均厚み10nm以上で有する。
本発明における上述した構成の採用により、導電性粒子を比較的硬くすることができる。特に上記有機化合物と金属Xとを含む領域Rが存在し、かつ領域Rにおける金属Xの含有量の平均が10重量%以上、90重量%以下であることは、導電性粒子を効果的に硬くすることに寄与する。従って、本発明に係る導電性粒子を用いて電気的に接続された電極間の導通信頼性を高めることができる。
また、導電性粒子により接続される電極、及び導電性粒子の導電層の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。本発明に係る導電性粒子は比較的硬いことから、電極及び導電性粒子の導電層の表面の酸化被膜を効果的に排除することができる。このため、電極間の接続抵抗を効果的に低くすることができ、電極間の導通信頼性を高めることができる。
さらに、本発明における上述した構成の採用により、基材粒子と導電層との密着性を向上させることができる。
電極間の導通信頼性をより一層高くし、かつ基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、上記基材粒子の表面と中心Cとを結ぶ方向における領域Rの平均厚みは好ましくは50nm以上、より好ましくは80nm以上である。上記基材粒子の表面と中心Cとを結ぶ方向における領域Rの平均厚みは特に限定されない。上記基材粒子の表面と中心Cとを結ぶ方向における領域Rの平均厚みは基材粒子の粒子径の1/2以下であり、基材粒子の粒子径の1/4以下であることが好ましく、1/10以下であることが好ましい。上記基材粒子の表面と中心Cとを結ぶ方向における領域Rの平均厚みは好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下、更に好ましくは300nm以下、特に好ましくは200nm以下である。
上記基材粒子の粒子径は、上記基材粒子が真球状である場合には直径を意味し、上記基材粒子が真球状以外の形状である場合には最大径を意味する。
電極間の導通信頼性をより一層高くし、かつ基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、上記基材粒子の表面から上記基材粒子の中心Cに向かって20nmの深さ位置における上記基材粒子中の金属Xの含有量を含有量Aとし、上記基材粒子の表面から上記基材粒子の中心Cに向かって50nmの深さ位置における上記基材粒子中の金属Xの含有量を含有量Bとしたときに、上記含有量Aは上記含有量Bよりも大きいことが好ましい。上記含有量Aが上記含有量Bよりも大きいとき、電極間の導通信頼性をより一層高くし、かつ基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、上記含有量Aと上記含有量Bとの差の絶対値は好ましくは5重量%以上、好ましくは50重量%以下である。
電極間の導通信頼性をより一層高くする観点からは、領域Rにおける金属Xの含有量の平均は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上である。また、領域Rにおける金属Xの含有量の平均は60重量%以上であってもよく、70重量%以上であってもよい。
基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、領域Rにおける金属Xの含有量の平均は好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、更に好ましくは60重量%以下である。また、領域Rにおける金属Xの含有量の平均は50重量%以下であってもよく、40重量%以下であってもよい。
上記領域Rにおける金属Xの含有量の平均、並びに上記含有量A及び上記含有量Bは、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いて測定された分析チャートから得ることが可能である。
電極間の導通信頼性をより一層高くし、かつ基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、領域Rに含まれる金属Xは粒塊であることが好ましい。
電極間の導通信頼性をより一層高くし、かつ基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、上記基材粒子の領域R内における金属Xが粒塊であり、上記導電層内に金属の粒塊が存在する場合に、上記基材粒子の領域R内における金属Xの粒塊の大きさの平均が、上記導電層内における金属Xの粒塊の大きさの平均よりも小さいことが好ましい。この場合には、上記導電層内に金属の粒塊が存在しなくてもよい。すなわち、上記導電層内に金属の粒塊が存在しない場合に、上記基材粒子の領域R内における金属Xが粒塊であればよい。
電極間の導通信頼性をより一層高くし、かつ基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、上記基材粒子の領域R内における金属Xが粒塊であり、上記基材粒子の領域R内における金属Xの粒塊の全ての大きさが、20nm以下であることが好ましい。言い換えれば、上記基材粒子の領域R内における金属Xが粒塊であり、上記基材粒子の領域R内に、20nmの大きさを超える金属Xの粒塊が無いことが好ましい。上記基材粒子の領域R内における金属Xの粒塊の全ての大きさが、10nm以下であることがより好ましい。
電極間の導通信頼性をより一層高くし、かつ基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、上記基材粒子の領域R内における金属Xが粒塊であり、上記基材粒子の領域R内における上記粒塊の大きさの平均は、好ましくは1nm以上、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下、更に好ましくは5nm以下である。
また、金属Xが粒塊である場合に、該粒塊の大きさは、好ましくは領域Rの上記平均厚み以下、より好ましくは領域Rの上記平均厚みの3/4以下、更に好ましくは領域Rの上記平均厚みの1/2以下である。
上記粒塊の大きさは、上記粒塊が真球状である場合には直径を意味し、上記粒塊が真球状以外の形状である場合には最大径を意味する。
上記粒塊の大きさは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影された画像により、測定可能である。
基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、上記基材粒子はハロゲン原子を含まないか、又は、上記基材粒子中のハロゲン原子の含有量は少ないほどよく、更に上記基材粒子はヨウ素原子を含まないか、又は、上記基材粒子中のヨウ素原子の含有量は少ないほどよい。
基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、上記基材粒子は、上記領域R中にハロゲン原子を含まないか、又は、上記基材粒子の上記領域R中のハロゲン原子の含有量は少ないほどよい。基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、上記基材粒子は、上記領域R中にヨウ素原子を含まないか、又は、上記基材粒子の上記領域R中のヨウ素原子の含有量は少ないほどよい。
上記基材粒子中のハロゲン原子の含有量及び上記領域R中のハロゲン原子の含有量は好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下、最も好ましくは0重量%(含まない)である。上記基材粒子中のヨウ素原子の含有量及び上記領域R中のヨウ素原子の含有量は好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下であり、特に好ましくは0重量%(含まない)である。
上記基材粒子は、ハロゲン原子を含まない基材粒子であることが好ましく、上記領域R中にハロゲン原子を含まない基材粒子であることが好ましく、更にヨウ素原子を含まない基材粒子であることが好ましく、上記領域R中にヨウ素原子を含まない基材粒子であることが好ましい。
上記領域Rに含まれる金属Xは特に限定されない。上記領域Rに含まれる金属Xとしては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム及びケイ素等が挙げられる。金属Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。電極間の導通信頼性をより一層高くし、かつ基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、領域Rに含まれる金属Xは、パラジウム、ニッケル、金、白金、銅又は銀であることが好ましい。これらの領域Rに含まれる1種の金属Xは、他の金属と合金化していてもよい。
電極間の導通信頼性をより一層高くし、かつ基材粒子と導電層との密着性をより一層高くする観点からは、上記導電層が、上記基材粒子と接する表面にニッケルを含むことが好ましい。上記導電層が、上記基材粒子と接する表面にニッケル層(ニッケルを含む導電層)を有することが好ましい。
接続抵抗をより一層低くし、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)は好ましくは3000N/mm2以上、より好ましくは7000N/mm2以上、好ましくは60000N/mm2以下、より好ましくは30000N/mm2以下である。
上記導電性粒子における上記圧縮弾性率(10%K値)は、以下のようにして測定できる。
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度2.6mN/秒、及び最大試験荷重10gfの条件下で導電性粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
K値(N/mm2)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:導電性粒子が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:導電性粒子が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:導電性粒子の半径(mm)
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図1に示すように、導電性粒子1は、基材粒子2と、導電層3と、複数の芯物質4と、複数の絶縁性物質5とを有する。
基材粒子2の導電層側に、有機化合物と金属Xとを含む領域Rが存在する。領域Rにおける金属Xの含有量の平均が10重量%以上、90重量%以下である。領域Rの平均厚みは、基材粒子2の表面から基材粒子2の中心Cに向かって10nm以上である。
導電層3は、基材粒子2の表面上に配置されている。導電性粒子1は、基材粒子2の表面が導電層3により被覆された被覆粒子である。
導電性粒子1は導電性の表面に、複数の突起1aを有する。導電層3は外表面に、複数の突起3aを有する。複数の芯物質4が、基材粒子2の表面上に配置されている。複数の芯物質4は導電層3内に埋め込まれている。芯物質4は、突起1a,3aの内側に配置されている。導電層3は、複数の芯物質4を被覆している。複数の芯物質4により導電層3の外表面が隆起されており、突起1a,3aが形成されている。
導電性粒子1は、導電層3の外表面上に配置された絶縁性物質5を有する。導電層3の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質5により被覆されている。絶縁性物質5は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、本発明に係る導電性粒子は、導電層の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。但し、本発明に係る導電性粒子は、絶縁性物質を必ずしも有していなくてもよい。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図2に示す導電性粒子11は、基材粒子2と、第1の導電層12と、第2の導電層13と、複数の芯物質4と、複数の絶縁性物質5とを有する。
導電性粒子1と導電性粒子11とでは、導電層のみが異なっている。すなわち、導電性粒子1では、1層構造の導電層が形成されているのに対し、導電性粒子11では、2層構造の第1の導電層12及び第2の導電層13が形成されている。
第1の導電層12は、基材粒子2の表面上に配置されている。第2の導電層13は第1の導電層12の表面上に配置されている。第2の導電層13は外表面に、複数の突起13aを有する。導電性粒子11は導電性の表面に、複数の突起11aを有する。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図3に示す導電性粒子21は、基材粒子2と、導電層22とを有する。導電層22は、基材粒子2の表面上に配置されている。
導電性粒子21は、芯物質を有さない。導電性粒子21は導電性の表面に突起を有さない。導電性粒子21は球状である。導電層22は表面に突起を有さない。このように、本発明に係る導電性粒子は突起を有していなくてもよく、球状であってもよい。また、導電性粒子21は、絶縁性物質を有さない。但し、導電性粒子21は、導電層22の表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。
なお、図1〜3では、基材粒子2は表面に凹部又は凸部を有さないが、基材粒子2は表面に凹部又は凸部を有していてもよい。基材粒子2は表面に金属Xによる凸部を有していてもよい。基材粒子2は表面に金属Xによる2つの凸部間に位置する凹部を有していてもよい。図1〜3では、導電層3,12,22は内表面に凹部又は凸部を有さないが、導電層3,12,22は内表面に凹部又は凸部を有していてもよい。導電層3,12,22は内表面に金属Xに由来する凹部を有していてもよい。導電層3,12,22の内表面に金属Xの一部が埋め込まれていてもよい。
なお、図5に、図3に示す導電性粒子21における有機化合物と金属Xとを含む領域Rとを示した。なお、領域Rの上記平均厚みは、図5に示すように、基材粒子2の表面と基材粒子2の中心Cとを結ぶ方向における領域Rの距離Dの平均である。
以下、導電性粒子の他の詳細を説明する。
[基材粒子]
金属Xを除く部分における上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子及び有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。上記基材粒子のなかでも、金属粒子を除く基材粒子が好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子が好ましい。金属Xを除く部分における上記基材粒子は、有機化合物により形成されていることが好ましい。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよい。上記シェルが無機シェルであってもよい。
上記基材粒子は、樹脂(有機化合物)により形成された樹脂粒子であることが好ましい。上記導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機化合物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂(有機化合物)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン系共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン系共重合体等としては、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体及びジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは300μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは30μm以下、最も好ましくは5μm以下である。基材粒子の粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性がより一層高くなり、導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、基材粒子の表面に導電層を無電解めっきにより形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。粒子径が上記上限以下であると、導電性粒子が充分に圧縮されやすく、電極間の接続抵抗がより一層低くなり、更に電極間の間隔が小さくなる。上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
上記基材粒子の粒子径は、2μm以上、5μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の粒子径が2〜5μmの範囲内であると、電極間の間隔が小さくなり、かつ導電層の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子が得られる。上記基材粒子の粒子径は、3μm以下であってもよい。
上記基材粒子の表面近傍に、有機化合物と金属Xとを含む領域Rを形成する方法としては、基材粒子表面近傍で有機化合物と金属Xとを混合し、重合を行う方法、並びに基材粒子の表面近傍を有機化合物層で被覆し、スパッタリングにより金属Xを該有機化合物層に混合させる方法等が挙げられる。
[導電層]
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子の表面上に基材粒子に接するように配置されている導電層を有する。
上記導電層を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、タングステン、モリブデン及びケイ素等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。上記導電層に含まれる1種の金属Xは、他の金属と合金化していてもよい。
導電性粒子1,21のように、上記導電層は、1つの層により形成されていてもよい。導電性粒子11のように、導電層は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。上記導電層が、上記基材粒子の表面上に配置された第1の導電層と、上記第1の導電層の外側の表面上に配置された第2の導電層とを有することが好ましい。上記導電層は、単層の第1の導電層のみであって、第1の導電層の外側の表面上に第2の導電層を有していなくてもよい。導電層が複数の層により形成されている場合には、第2の導電層(最外層など)は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層又はパラジウム層であることがより好ましく、金層であることが特に好ましい。最外層がこれらの好ましい導電層である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
ニッケルは、導電層を比較的硬くし、かつ導通信頼性をより一層高める。また、ボロンは導電層を比較的硬くする。従って、上記導電層(第1の導電層)は、ニッケルを含むことが好ましく、ボロンを含むことが好ましい。上記導電層(第1の導電層)は、ニッケルを主成分として含むことが好ましい。
上記導電層(第1の導電層)100重量%中のニッケルの含有量が50重量%以上であると、電極間の接続抵抗がかなり低くなる。上記導電層(第1の導電層)100重量%中のニッケルの含有量は好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記導電層(第1の導電層)100重量%中のニッケルの含有量は97重量%以上であってもよく、97.5重量%以上であってもよく、98重量%以上であってもよい。上記導電層(第1の導電層)100重量%中のニッケルの含有量は好ましくは99.85重量%以下、より好ましくは99.7重量%以下、更に好ましくは99.45重量%未満である。上記ニッケルの含有量が上記下限以上であると、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、電極及び導電層の表面における酸化被膜が少ない場合には、上記ニッケルの含有量が多いほど電極間の接続抵抗が低くなる傾向がある。
上記導電層(第1の導電層)は、ニッケルと、ボロン及びリンの内の少なくとも1種とを含むことが好ましい。上記導電層(第1の導電層)では、ニッケルとボロン及びリンの内の少なくとも1種とは合金化していてもよい。また、上記導電層(第1の導電層)では、ニッケル、ボロン及びリン以外の成分を用いてもよい。
上記導電層(第1の導電層)100重量%中のボロンとリンとの合計の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは4重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは2.5重量%以下、最も好ましくは2重量%以下である。ボロンとリンとの合計の含有量が上記下限以上であると、導電層がより一層硬くなり、電極及び導電性粒子の表面の酸化被膜をより一層効果的に除去でき、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。ボロンとリンとの合計の含有量が上記上限以下であると、ニッケルの含有量が相対的に多くなるので、電極間の接続抵抗が低くなる。
上記導電層(第1の導電層)100重量%中のボロンの含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは4重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは2.5重量%以下、最も好ましくは2重量%以下である。ボロンの含有量が上記下限以上であると、導電層がより一層硬くなり、電極及び導電性粒子の表面の酸化被膜がより一層効果的に除去され、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。ボロンの含有量が上記上限以下であると、ニッケルの含有量が相対的に多くなるので、電極間の接続抵抗が低くなる。
上記導電層(第1の導電層)は、リンを含まないか又は含み、かつ上記導電層(第1の導電層)100重量%中のリンの含有量が0.5重量%未満であることが好ましい。上記導電層(第1の導電層)100重量%中のリンの含有量はより好ましくは0.3重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下である。上記導電層(第1の導電層)はリンを含まないことが特に好ましい。
上記導電層(第1の導電層)におけるニッケルなどの金属の各含有量、ボロン及びリンなどの各含有量の測定方法は、既知の種々の分析法を用いることができ特に限定されない。この測定方法として、吸光分析法又はスペクトル分析法等が挙げられる。上記吸光分析法では、フレーム吸光光度計及び電気加熱炉吸光光度計等を用いることができる。上記スペクトル分析法としては、プラズマ発光分析法及びプラズマイオン源質量分析法等が挙げられる。
上記導電層(第1の導電層)におけるニッケルなどの金属の各含有量、ボロン及びリンなどの各含有量を測定する際には、ICP発光分析装置を用いることが好ましい。ICP発光分析装置の市販品としては、HORIBA社製のICP発光分析装置等が挙げられる。
上記基材粒子又は上記第1の導電層の表面上に導電層(第1,第2の導電層)を形成する方法は特に限定されない。導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子又は他の導電層の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電層の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下である。導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。上記導電性粒子の粒子径は、5μm以下であることも好ましい。
上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には、直径を示し、導電性粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
導電性粒子における導電層全体の厚み及び導電層が単層である場合の導電層(第1の導電層)の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、更に好ましくは0.05μm以上、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.3μm以下である。上記導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、充分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が充分に変形する。
導電層が2層以上の積層構造である場合に、基材粒子に接する上記第1の導電層の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上、更に好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.1μm以下である。上記第1の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、導電層による被覆を均一にでき、かつ電極間の接続抵抗が充分に低くなる。
導電性粒子における導電層全体の厚み及び導電層が単層である場合の導電層(第1の導電層)の厚みは、0.05μm以上、0.3μm以下であることが特に好ましい。さらに、基材粒子の粒子径が2μm以上、5μm以下であり、かつ、導電性粒子における導電層全体の厚み及び導電層が単層である場合の導電層(第1の導電層)の厚みが0.05μm以上、0.3μm以下であることが特に好ましい。この場合には、導電性粒子を大きな電流が流れる用途により好適に用いることができる。さらに、導電性粒子を圧縮して電極間を接続した場合に、電極が損傷するのをより一層抑制できる。
上記導電層の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
上記第1の導電層におけるニッケル、ボロン及びリンの含有量を制御する方法としては、例えば、無電解ニッケルめっきにより導電層を形成する際に、ニッケルめっき液のpHを制御する方法、無電解ニッケルめっきにより導電層を形成する際に、ボロン含有還元剤の濃度を調整する方法、無電解ニッケルめっきにより導電層を形成する際に、リン含有還元剤の濃度を調整する方法、並びにニッケルめっき液中のニッケル濃度を調整する方法等が挙げられる。
無電解めっきにより形成する方法では、一般的に、触媒化工程と、無電解めっき工程とが行われる。以下、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、ニッケルとボロンとを含む合金めっき層を形成する方法の一例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、ボロン含有還元剤が好適に用いられる。また、上記還元剤として、リン含有還元剤を用いることで、リンを含む導電層を形成できる。
上記無電解めっき工程では、ニッケル含有化合物及び上記ボロン含有還元剤を含むニッケルめっき浴が好適に用いられる。ニッケルめっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、ニッケルを析出させることができ、ニッケルとボロンとを含む導電層を形成できる。
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル及び塩化ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、ニッケル塩であることが好ましい。
上記ボロン含有還元剤としては、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム等が挙げられる。上記リン含有還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。
[芯物質]
本発明に係る導電性粒子は導電性の表面に突起を有することが好ましい。導電層は外表面に突起を有することが好ましい。該突起は複数であることが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。さらに、導電性粒子の導電層の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子の使用により、電極間に導電性粒子を配置した後、圧着させることにより、突起により酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁性物質を有する場合、又は導電性粒子が樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
上記芯物質が上記導電層中に埋め込まれていることによって、上記導電層が外表面に複数の突起を有するようにすることが容易である。但し、導電性粒子及び導電層の表面に突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに無電解めっきにより導電部を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。
上記導電性粒子1個当たりの上記の突起は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。突起の数の上限は導電性粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。
[絶縁性物質]
本発明に係る導電性粒子は、上記導電層の表面上に配置された絶縁性物質を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡をより一層防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。導電性粒子が導電層の外表面に複数の突起を有する場合には、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。
電極間の圧着時に上記絶縁性物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁性物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
上記絶縁性物質の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。本発明に係る導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。本発明に係る導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極の接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体)
本発明の導電性粒子を用いて、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、該接続部が本発明の導電性粒子により形成されているか、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。上記接続構造体を得るために用いられる上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
図4に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1を含む導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図4では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料は、電子部品を接続するための導電材料であることが好ましい。上記導電ペーストはペースト状の導電材料であり、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗工されることが好ましい。上記導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(基材粒子Aの作製例1)
粒子径が3.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)を用意した。この樹脂粒子10gに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−503」)の2重量%水溶液100gを添加し、常温で10分間攪拌した。その後、100℃で24時間真空乾燥処理し、シランカップリング表面処理された粒子を得た。
得られたシランカップリング表面処理された粒子10gをセパラブルフラスコに秤量した。この粒子と、ジビニルベンゼン(DVB、新日鐵住金化学社製)10g、メタクリル酸メチル(MMA、三菱レイヨン社製)100g、過酸化ベンゾイル(BPO、ナカライテスク社製)10g、イソプロパノール(IPA、ナカライテスク社製)1000g、及び硫酸パラジウム0.5重量%水溶液50mlを含む混合液とを混合し、40℃で12時間攪拌した。その後、ジメチルアミンボラン2gを添加し、水酸化ナトリウムでpHを5.0に調整し、40℃で2時間攪拌し、40℃でアセトンを用いた洗浄を行い、50℃で24時間真空乾燥することにより、基材粒子Aを得た。
得られた基材粒子Aでは、該基材粒子Aの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が50重量%である領域が存在し、基材粒子Aの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは20nmであった。また、得られた基材粒子Aでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は5nmであった。
(基材粒子Bの作製例2)
基材粒子Aの作製例1において、上記硫酸パラジウム0.5重量%溶液の配合量を10mlに変更することにより、領域に含まれる金属の含有量を変更した。
得られた基材粒子Bでは、該基材粒子Bの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が10重量%である領域が存在し、基材粒子Bの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは20nmであった。また、得られた基材粒子Bでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は5nmであった。
(基材粒子Cの作製例3)
基材粒子Aの作製例1において、上記硫酸パラジウム0.5重量%溶液の配合量を30mlに変更することにより、領域に含まれる金属の含有量を変更した。
得られた基材粒子Cでは、該基材粒子Cの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が30重量%である領域が存在し、基材粒子Cの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは20nmであった。また、得られた基材粒子Cでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は5nmであった。
(基材粒子Dの作製例4)
基材粒子Aの作製例1において、上記硫酸パラジウム0.5重量%溶液の配合量を70mlに変更することにより、領域に含まれる金属の含有量を変更した。
得られた基材粒子Dでは、該基材粒子Dの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が70重量%である領域が存在し、基材粒子Dの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは20nmであった。また、得られた基材粒子Dでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は5nmであった。
(基材粒子Eの作製例5)
基材粒子Aの作製例1において、上記硫酸パラジウム0.5重量%溶液の配合量を90mlに変更することにより、領域に含まれる金属の含有量を変更した。
得られた基材粒子Eでは、該基材粒子Eの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が90重量%である領域が存在し、基材粒子Eの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは20nmであった。また、得られた基材粒子Eでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は5nmであった。
(基材粒子Fの作製例6)
基材粒子Aの作製例1において、シランカップリング表面処理された粒子と上記混合液とを混合した後の攪拌時間を12時間から6時間に変更することにより、基材粒子Fの表面と中心とを結ぶ方向における領域の厚みを変更した。
得られた基材粒子Fでは、該基材粒子Fの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が50重量%である領域が存在し、基材粒子Fの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは10nmであった。また、得られた基材粒子Fでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は5nmであった。
(基材粒子Gの作製例7)
基材粒子Aの作製例1において、シランカップリング表面処理された粒子と上記混合液とを混合した後の攪拌時間を12時間から30時間に変更することにより、基材粒子Gの表面と中心とを結ぶ方向における領域の厚みを変更した。
得られた基材粒子Gでは、該基材粒子Gの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が50重量%である領域が存在し、基材粒子Gの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは50nmであった。また、得られた基材粒子Gでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は5nmであった。
(基材粒子Hの作製例8)
基材粒子Aの作製例1において、シランカップリング表面処理された粒子と上記混合液とを混合した後の攪拌時間を12時間から60時間に変更することにより、基材粒子Hの表面と中心とを結ぶ方向における領域の厚みを変更した。
得られた基材粒子Hでは、該基材粒子Hの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が50重量%である領域が存在し、基材粒子Hの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは100nmであった。また、得られた基材粒子Hでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は5nmであった。
(基材粒子Iの作製例9)
基材粒子Aの作製例1において、水酸化ナトリウムでpHを調製する際に、pHを5.0から7.0に変更することにより、領域に含まれる金属の平均粒子径を変更した。
得られた基材粒子Iでは、該基材粒子Iの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が50重量%である領域が存在し、基材粒子Iの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは20nmであった。また、得られた基材粒子Iでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は15nmであった。
(基材粒子Jの作製例10)
基材粒子Aの作製例1において、シランカップリング表面処理された粒子と上記混合液とを混合した後の攪拌時間を12時間から60時間に変更することにより、基材粒子Jの表面と中心とを結ぶ方向における領域の厚みを変更した。また、水酸化ナトリウムでpHを調製する際に、pHを5.0から10.0に変更することにより、領域に含まれる金属の平均粒子径を変更した。
得られた基材粒子Jでは、該基材粒子Jの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が50重量%である領域が存在し、基材粒子Jの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは100nmであった。また、得られた基材粒子Jでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は50nmであった。
(基材粒子Kの作製例11)
基材粒子Aの作製例1で得られたシランカップリング表面処理された粒子を用意した。シランカップリング表面処理された粒子10gをセパラブルフラスコに秤量した。この粒子と、ジビニルベンゼン(DVB、新日鐵住金化学社製)10g、メタクリル酸メチル(MMA、三菱レイヨン社製)100g、過酸化ベンゾイル(BPO、ナカライテスク社製)10g、イソプロパノール(IPA、ナカライテスク社製)1000g、及び硫酸パラジウム0.5重量%水溶液50mlを含む混合液とを混合し、40℃で12時間攪拌して、第1の分散液を得た。次に、金属ニッケル粒子スラリー(平均粒子径150nm)1gを3分間かけて上記第1の分散液に添加し、芯物質が付着された基材粒子を含む第2の分散液を得た。
その後、第2の分散液に、ジメチルアミンボラン2gを添加し、水酸化ナトリウムでpHを5.0に調整し、40℃で2時間攪拌し、40℃でアセトンを用いた洗浄を行い、50℃で24時間真空乾燥することにより、芯物質が付着された基材粒子Kを得た。
得られた基材粒子Kでは、該基材粒子Kの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が50重量%である領域が存在し、基材粒子Kの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは20nmであった。また、得られた基材粒子Kでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は5nmであった。
(基材粒子Xの作製例12)(比較例用)
基材粒子Aの作製例1において、上記硫酸パラジウム0.5重量%溶液の配合量を8mlに変更することにより、領域に含まれる金属の含有量を変更した。
得られた基材粒子Xでは、該基材粒子Xの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が8重量%である領域が存在し、基材粒子Xの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは20nmであった。得られた基材粒子Xでは、該基材粒子Xの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量が10重量%以上、90重量%以下である領域は存在しなかった。また、得られた基材粒子Xでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は5nmであった。
(基材粒子Yの作製例13)(比較例用)
基材粒子Aの作製例1において、シランカップリング表面処理された粒子と上記混合液とを混合した後の攪拌時間を12時間から3時間に変更することにより、基材粒子Yの表面と中心とを結ぶ方向における領域の厚みを変更した。
得られた基材粒子Yでは、該基材粒子Yの表面近傍に、有機化合物(ジビニルベンゼン共重合体)と金属(パラジウム)とを含みかつ金属の含有量の平均が50重量%である領域が存在し、基材粒子Yの表面と中心とを結ぶ方向における上記領域の平均厚みは5nmであった。また、得られた基材粒子Yでは、上記領域に含まれる金属が粒子の状態で存在しており、該粒子の平均粒子径は5nmであった。
(実施例1)
基材粒子Aを蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。
硫酸ニッケル0.23mol/L、ジメチルアミンボラン0.92mol/L及びクエン酸ナトリウム0.5mol/Lを含むニッケルめっき液(pH8.5)を用意した。
得られた懸濁液を60℃にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。その後、懸濁液を濾過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上に基材粒子Aに接するように、ニッケルとボロンとを含む導電層(厚み0.1μm)が配置された導電性粒子を得た。導電層100重量%中のニッケルの含有量は98.9重量%、ボロンの含有量は1.1重量%であった。
(実施例2〜10)
基材粒子Aを下記の表1に示す種類に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例11)
基材粒子Aを下記の表1に示す種類に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性の表面に突起を有する導電性粒子を得た。導電層100重量%中のニッケルの含有量は99.2重量%、ボロンの含有量は0.8重量%であった。
(実施例12)
(1)突起の形成
基材粒子Aを下記の表1に示す種類に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性の表面に突起を有する導電性粒子を得た。導電層100重量%中のニッケルの含有量は99.2重量%、ボロンの含有量は0.8重量%であった。
(2)絶縁性粒子の作製
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付けた1000mL容セパラブルフラスコに、メタクリル酸グリシジル50mmol、メタクリル酸メチル50mmol、ジメタクリル酸エチレングリコール3mmol、メタクリル酸フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩1mmol及び2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミジノ]プロパン}2mmolを含むモノマー組成物を加え、その固形分率が5重量%となるように蒸留水を添加した。その後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にスルホニウム基及びエポキシ基を有する絶縁性粒子(平均粒子径180nm、粒子径のCV値7%)を得た。
(3)導電性粒子の作製
得られた絶縁性粒子を超音波照射下で蒸留水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。得られた導電性の表面に突起を有する導電性粒子10gを蒸留水500mLに分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液4gを添加し、23℃で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターで濾過した後、更にメタノールで洗浄、乾燥し、導電性の表面に突起を有し、かつ導電層の外表面に絶縁性粒子が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、得られた導電性粒子では、導電層の外表面に突起を有する導電性粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
(比較例1,2)
基材粒子Aを下記の表1に示す種類に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例13)
ニッケルとボロンとを含む導電層の表面に、無電解金めっきにより、金層(厚み0.1μm)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例14〜22)
基材粒子Aを下記の表2に示す種類に変更したこと、並びにニッケルとボロンとを含む導電層の表面に、無電解金めっきにより、金層(厚み0.1μm)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例23)
ニッケルとボロンとを含む導電層の表面に、無電解金めっきにより、金層(厚み0.1μm)を形成したこと以外は実施例11と同様にして、導電性の表面に突起を有する導電性粒子を得た。
(実施例24)
ニッケルとボロンとを含む導電層の表面に、無電解金めっきにより、金層(厚み0.1μm)を形成したこと以外は実施例12と同様にして、導電性の表面に突起を有し、かつ導電層の外表面に絶縁性粒子が配置された導電性粒子を得た。
(比較例3,4)
基材粒子Aを下記の表2に示す種類に変更したこと、並びにニッケルとボロンとを含む導電層の表面に、無電解金めっきにより、金層(厚み0.1μm)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例25)
ニッケルとボロンとを含む導電層の表面に、無電解パラジウムめっきにより、パラジウム層(厚み0.1μm)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例26〜34)
基材粒子Aを下記の表3に示す種類に変更したこと、並びにニッケルとボロンとを含む導電層の表面に、無電解パラジウムめっきにより、パラジウム層(厚み0.1μm)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例35)
ニッケルとボロンとを含む導電層の表面に、無電解パラジウムめっきにより、パラジウム層(厚み0.1μm)を形成したこと以外は実施例11と同様にして、導電性の表面に突起を有する導電性粒子を得た。
(実施例36)
ニッケルとボロンとを含む導電層の表面に、無電解パラジウムめっきにより、パラジウム層(厚み0.1μm)を形成したこと以外は実施例12と同様にして、導電性の表面に突起を有し、かつ導電層の外表面に絶縁性粒子が配置された導電性粒子を得た。
(比較例5,6)
基材粒子Aを下記の表3に示す種類に変更したこと、並びにニッケルとボロンとを含む導電層の表面に、無電解パラジウムめっきにより、パラジウム層(厚み0.1μm)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(評価)
(1)基材粒子における金属の含有量及び領域Rにおける金属の含有量の測定
エネルギー分散型X線分析装置(EDS)(堀場製作所社製「EMAXEvolution EX−470」)を用いて、得られた基材粒子において、有機金属化合物と金属とを含む領域における金属の含有量を測定した。また、有機金属化合物と金属とを含む領域の平均厚みを求めた。
さらに、得られた測定値から、有機金属化合物と金属とを含む領域における金属の含有量の平均を求めた。
また、上記基材粒子の表面から上記基材粒子の中心に向かって20nmの深さ位置における上記基材粒子中の金属の含有量Aと、上記基材粒子の表面から上記基材粒子の中心に向かって50nmの深さ位置における上記基材粒子中の金属の含有量Bとを評価した。
(2)粒塊の大きさ
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、得られた基材粒子及び得られた導電性粒子における導電層の画像を撮影した。撮影された画像により、基材粒子の領域R内における粒塊の大きさの平均及び最大値、並びに導電層における粒塊の大きさの平均を測定した。なお、粒塊が無い場合には、粒塊の大きさの平均及び最大値は「0」と評価した。
(3)圧縮弾性率(10%K値)
得られた導電性粒子の圧縮弾性率(10%K値)を、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。
(4)めっき状態
得られた導電性粒子50個のめっき状態を、走査型電子顕微鏡により観察した。めっき割れ又はめっき剥がれ等のめっきむらの有無を観察した。めっき状態を下記の基準で判定した。
[めっき状態の判定基準]
○:めっきむらが確認された導電性粒子が4個以下
×:めっきむらが確認された導電性粒子が5個以上
(5)導通信頼性(接続抵抗)
接続構造体の作製:
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「エピコート1009」)10重量部と、アクリルゴム(重量平均分子量約80万)40重量部と、メチルエチルケトン200重量部と、マイクロカプセル型硬化剤(旭化成ケミカルズ社製「HX3941HP」)50重量部と、シランカップリング剤(東レダウコーニングシリコーン社製「SH6040」)2重量部とを混合し、導電性粒子を含有量が3重量%となるように添加し、分散させ、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、片面が離型処理された厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗布し、70℃の熱風で5分間乾燥し、異方性導電フィルムを作製した。得られた異方性導電フィルムの厚さは12μmであった。
得られた異方性導電フィルムを5mm×5mmの大きさに切断した。切断された異方性導電フィルムを、一方に抵抗測定用の引き回し線を有するアルミニウム電極(高さ0.2μm、L/S=20μm/20μm)を有するガラス基板(幅3cm、長さ3cm)のアルミニウム電極側のほぼ中央に貼り付けた。次いで、同じアルミニウム電極を有する2層フレキシブルプリント基板(幅2cm、長さ1cm)を、電極同士が重なるように位置合わせをしてから貼り合わせた。このガラス基板と2層フレキシブルプリント基板との積層体を、10N、180℃、及び20秒間の圧着条件で熱圧着し、接続構造体を得た。なお、ポリイミドフィルムにアルミニウム電極が直接形成されている2層フレキシブルプリント基板を用いた。
接続抵抗の測定:
得られた接続構造体における対向する電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。また、導通信頼性を下記の評価基準で評価した。
〔導通信頼性の評価基準〕
○○○:接続抵抗が2.0Ω以下
○○:接続抵抗が2.0Ωを超え、3.0Ω以下
○:接続抵抗が3.0Ωを超え、5.0Ω以下
△:接続抵抗が5.0Ωを超え、10Ω以下
×:接続抵抗が10Ωを超える
(6)基材粒子と導電層との密着性
得られた導電性粒子1.0g、直径1mmのジルコニアボール45g、及びトルエン17gを200mLビーカーに入れた。スリーワンモーター攪拌機を用いて6分間400rpmで撹拌した。撹拌終了後、導電性粒子とジルコニアボールとを分別した。走査型電子顕微鏡で1000個の導電性粒子を観察し、基材粒子と導電層との密着性を下記の基準で判定した。
[基材粒子と導電層との密着性の判定基準]
○:導電性粒子1000個中、導電層のはがれが生じている導電性粒子が10個未満
△:導電性粒子1000個中、導電層のはがれが生じている導電性粒子が10個以上、50個未満
×:導電性粒子1000個中、導電層のはがれが生じている導電性粒子が50個以上
結果を下記の表1〜3に示す。なお、比較例1,3,5では、基材粒子の領域の平均厚みの欄には、有機化合物と金属とを含むかつ金属の含有量の平均が8重量%である領域の平均厚みを示した。
なお、表2では、実施例13〜24では、ニッケルとボロンとを含む導電層の表面に金層(金を含む導電層)を形成した例を示した。金層にかえてパラジウム層(パラジウムを含む導電層)を形成した実施例25〜36の場合にも、表3に示すように、実施例13〜24と同様の評価結果を示すことを確認した。