JP5576231B2 - 導電性粒子、異方性導電材料及び接続構造体 - Google Patents

導電性粒子、異方性導電材料及び接続構造体 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、電極間の接続に使用できる導電性粒子に関し、より詳細には、基材粒子と、該基材粒子の表面上に設けられた導電層とを有する導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体に関する。
異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム及び異方性導電シート等の異方性導電材料が広く知られている。これらの異方性導電材料では、ペースト、インク又は樹脂中に導電性粒子が分散されている。
上記異方性導電材料は、ICチップとフレキシブルプリント回路基板との接続、及びICチップとITO電極を有する回路基板との接続等に使用されている。例えば、ICチップの電極と回路基板の電極との間に異方性導電材料を配置した後、加熱及び加圧することにより、これらの電極を電気的に接続できる。
上記異方性導電材料に用いられる導電性粒子の一例として、下記の特許文献1には、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に設けられた銅層とを備える導電性粒子が開示されている。特許文献1では、このような導電性粒子は、具体的な実施例では開示されていないが、対向する回路の接続において良好な電気的接続が得られることが記載されている。
特開2003−323813号公報
特許文献1に記載のような従来の導電性粒子では、銅層が容易に酸化するという問題がある。
さらに、従来の導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させて異方性導電材料を得たときに、バインダー樹脂の硬化が進行することがある。このため、異方性導電材料のポットライフが短いことがある。
本発明の目的は、銅層の外表面の酸化を抑制できる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体を提供することである。
本発明の限定的な目的は、銅層の外表面の酸化を抑制できるだけでなく、バインダー樹脂中に分散されたときに、得られる異方性導電材料のポットライフを長くすることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体を提供することである。
本発明の広い局面によれば、基材粒子と、該基材粒子の表面上に設けられた銅層とを備え、該銅層が、ビニル基を有するカップリング剤及び(メタ)アクリル化合物を用いて表面処理されている、導電性粒子が提供される。
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、上記銅層が、上記ビニル基を有するカップリング剤により表面処理された後、該ビニル基を有するカップリング剤に上記(メタ)アクリル化合物を反応させることにより表面処理されている。
本発明に係る導電性粒子の他の特定の局面では、導電性粒子は、表面に突起を有する。
本発明に係る導電性粒子の他の特定の局面では、上記銅層の表面上に配置された絶縁性樹脂粒子が備えられる。
本発明に係る異方性導電材料は、本発明に従って構成された導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。
本発明に係る異方性導電材料のある特定の局面では、上記バインダー樹脂は光硬化性化合物である。
本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備えており、上記接続部が、本発明に従って構成された導電性粒子、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている。
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子の表面上に設けられた銅層が、ビニル基を有するカップリング剤及び(メタ)アクリル化合物を用いて表面処理されているので、銅層の外表面に酸化が生じ難い。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。 図2は、本発明の他の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子2と、該基材粒子2の表面2a上に設けられた銅層3とを備える。銅層3は銅を含む。銅層3は導電層である。導電性粒子1は、銅層3の表面3a上に配置された絶縁性樹脂粒子をさらに備えていてもよい。絶縁性樹脂粒子は、銅層3の表面3a上に、パラジウム層などの他の導電層を形成した後、該導電層を介して間接に配置されていてもよい。
本実施形態の主な特徴は、基材粒子2の表面2a上に設けられた銅層3が、ビニル基を有するカップリング剤及び(メタ)アクリル化合物を用いて表面処理されていることである。このような表面処理が施された銅層の形成によって、導電層である銅層の外表面の酸化を顕著に抑制できる。従って、導電性粒子を電極間の接続に用いて、接続構造体を得た場合に、銅層の表面の酸化が抑制されているため、導通信頼性を高めることができる。また、銅層の外表面の酸化が進行すると、銅層の表面が黒くなる傾向がある。銅層の外表面の酸化を抑制することで、導電性粒子の外観も良好にすることができる。
さらに、ビニル基を有するカップリング剤及び(メタ)アクリル化合物を用いて銅層が表面処理されていることによって、導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させて異方性導電材料を得たときに、バインダー樹脂の硬化が進行し難くなる。従って、導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させた異方性導電材料のポットライフを長くすることができる。異方性導電材料に用いられている一般的なバインダー樹脂であれば、導電性粒子の使用により、バインダー樹脂の硬化を抑制することができる。特に、バインダー樹脂が光硬化性化合物である場合に、ビニル基を有するカップリング剤及び(メタ)アクリル化合物を用いて銅層が表面処理された導電性粒子の使用によって、バインダー樹脂の硬化を顕著に抑制することができる。
銅層の酸化をより一層抑制し、かつ異方性導電材料のポットライフをより一層長くする観点からは、上記銅層は、上記ビニル基を有するカップリング剤により表面処理された後、該ビニル基を有するカップリング剤に上記(メタ)アクリル化合物を反応させることにより表面処理されていることが好ましい。
銅層の酸化をより一層抑制し、かつ異方性導電材料のポットライフをより一層長くする観点からは、上記ビニル基を有するカップリング剤は、シランカップリング剤であることが好ましい。
上記ビニル基を有するシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。上記ビニル基を有するシランカップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
銅層の酸化をより一層抑制し、かつ異方性導電材料のポットライフをより一層長くする観点からは、上記(メタ)アクリル化合物は、(メタ)アクリレートモノマーであることが好ましい。上記(メタ)アクリル化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記(メタ)アクリルは、アクリルとメタクリルとを示す。上記(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとを示す。
また、上記(メタ)アクリル化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。上記架橋性化合物とともに、非架橋性化合物を用いてもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記架橋性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート及びラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記非架橋性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
図2は、本発明の他の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図2に示す導電性粒子11は、基材粒子2と、該基材粒子2の表面2a上に設けられた銅層12を備える。銅層12は導電層である。導電性粒子11は、基材粒子2の表面2aに複数の芯物質13を備える。導電層である銅層12は、芯物質13を被覆している。芯物質13を導電層が被覆していることにより、導電性粒子11は表面11aに複数の突起14を有する。導電性粒子11は、銅層12の外側の表面12aに複数の突起14を有する。突起14は、銅層12の表面12aに形成されている。芯物質13により銅層12の表面12aが隆起されており、突起14が形成されている。銅層12の表面12a上に、パラジウム層などの他の導電層が積層されてもよい。
導電性粒子11は、銅層12の表面12a上に配置された絶縁性樹脂粒子15を備える。本実施形態では、銅層12の表面12aの一部の領域が、絶縁性樹脂粒子15により被覆されている。このように、導電性粒子は、銅層などの導電層の表面上に付着された絶縁性樹脂粒子15を備えていてもよい。ただし、絶縁性樹脂粒子15は、必ずしも備えられていなくてもよい。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテルスルホン等が挙げられる。圧縮により導電性粒子を適度に変形させることができるので、上記樹脂粒子は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体により形成されていることが好ましい。
上記無機粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の平均粒子径は、1〜100μmの範囲内であることが好ましい。基材粒子の平均粒子径が1μm以上であると、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。基材粒子の平均粒子径が100μm以下であると、電極間の間隔を狭くすることができる。基材粒子の平均粒子径のより好ましい下限は2μm、より好ましい上限は50μm、更に好ましい上限は30μm、特に好ましい上限は5μmである。
上記平均粒子径は、数平均粒子径を示す。該平均粒子径は、例えばコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて測定できる。
上記銅層の平均厚みは、10〜1000nmの範囲内であることが好ましい。銅層の平均厚みのより好ましい下限は20nm、より好ましい上限は800nmである。銅層の平均厚みが上記下限以上であると、導電性粒子の導電性をより一層高めることができる。銅層の平均厚みが上記上限以下であると、基材粒子と銅層との熱膨張率の差が小さくなり、基材粒子から銅層が剥離し難くなる。
本発明に係る導電性粒子は、銅層上にパラジウム層を形成するための導電性粒子であってもよい。この場合には、本発明に係る導電性粒子の使用により、パラジウム層を形成する前に、銅層の酸化を抑制することができる。従って、基材粒子の表面上に銅層を有する導電性粒子を大量に生産しておき、後の工程で、必要に応じてパラジウム層を形成することができる。
上記銅層の表面上にパラジウム層を形成する場合に、パラジウム層の平均厚みは、5nm以上であることが好ましい。パラジウム層の平均厚みが5nm以上であると、銅層の表面をパラジウム層により均一に被覆できる。このため、導電性粒子は、外部環境に対する耐性が高くなり、銅層が酸化し難くなり、銅層中の銅とパラジウムとの間のガルバニック反応による銅の腐食が起こり難くなる。このため、導電性粒子における導電層全体の導電性をより一層高めることができる。
上記パラジウム層の平均厚みは、500nm以下であることが好ましい。パラジウム層の平均厚みが500nm以下であると、導電性粒子のコストが安くなる。さらに、パラジウムの使用量を低減できるので、環境負荷を低減できる。
上記パラジウム層の平均厚みの好ましい下限は10nm、より好ましい上限は400nmである。パラジウム層の平均厚みが10nm以上であると、導電性粒子の導電性をより一層高めることができる。
導電性粒子11のように、本発明に係る導電性粒子は表面に突起を有することが好ましい。導電性粒子は、導電層の表面に突起を有することが好ましく、更に銅層の表面に突起を有することが好ましい。上記突起は複数であることが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子の導電層とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁性樹脂粒子を備える場合に、又は導電性粒子が樹脂中に分散されて異方性導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。
基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質となる導電性物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質となる導電性物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質を構成する導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができるので、金属が好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金及び錫−鉛−銀合金等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質を構成する金属は、上記導電層を構成する金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
導電性粒子11のように、本発明に係る導電性粒子は、上記銅層の表面上に配置された絶縁性樹脂粒子を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性樹脂が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性樹脂を容易に排除できる。導電性粒子がパラジウム層の表面に突起を有する場合には、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性樹脂粒子をより一層容易に排除できる。
上記絶縁性樹脂粒子の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
上記導電層の表面に絶縁性樹脂粒子を付着させる方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリタイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁性樹脂粒子が脱離し難いことから、上記導電層の表面に、化学結合を介して絶縁性樹脂粒子を付着させる方法が好ましい。
本発明に係る導電性粒子は、上記導電層の表面に付着された絶縁性樹脂粒子を備えることがより好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、横方向に隣接する電極間の短絡をさらに一層防止できるだけでなく、接続された上下の電極間の接続抵抗をさらに一層低くすることができる。
(異方性導電材料)
本発明に係る異方性導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、一般的には絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記バインダー樹脂は、光硬化性化合物であることが好ましい。光硬化性樹脂である場合に、バインダー樹脂である光硬化性化合物中に基材粒子の表面上に銅層が設けられた導電性粒子を分散させた場合には、光硬性化合物の硬化が進行することがある。このため、長期間保管した異方性導電材料を使用できないことがある。これに対して、銅層の表面が、ビニル基を有するカップリング剤及び(メタ)アクリル化合物を用いて表面処理されている導電性粒子の使用により、光硬化性化合物の硬化の進行を抑制でき、異方性導電材料のポットライフを長くすることができる。
上記異方性導電材料は、熱硬化剤を含むことが好ましい。該熱硬化剤は特に限定されない。該熱硬化剤は、熱硬化性樹脂を硬化させる。該熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。該熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物等が挙げられる。なかでも、異方性導電材料及びBステージ状硬化物を低温でより一層速やかに硬化させることができるので、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、上記硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときに保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。これらの熱硬化剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されないが、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されないが、トリメチロールプロパン トリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトール ヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されないが、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱硬化剤の中でもポリチオール化合物又は酸無水物等が好ましく用いられる。異方性導電材料の硬化速度をより一層速くできるので、ポリチオール化合物がより好ましく用いられる。
上記ポリチオール化合物の中でもペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネートがより好ましい。このポリチオール化合物の使用により、異方性導電材料及びBステージ状硬化物の硬化速度をより一層速くできる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。バインダー樹脂100重量部に対して、熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、異方性導電材料を充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
上記異方性導電材料は、光重合開始剤を含むことが好ましい。該光重合開始剤は特に限定されない。該光重合開始剤は、光硬化性化合物を重合させる。該光重合開始剤として、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。該光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン光重合開始剤、ベンゾフェノン光重合開始剤、チオキサントン、ケタール光重合開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光重合開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光重合開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量は特に限定されない。バインダー樹脂100重量部に対して、上記光重合開始剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、更に好ましくは2重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。光重合開始剤の含有量が上記下限以上であると、光重合開始剤を添加した効果を充分に得ることが容易である。光重合開始剤の含有量が上記上限以下であると、異方性導電材料を硬化させた硬化物の接着力が充分に高くなる。
上記異方性導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
本発明に係る異方性導電材料は、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム、又は異方性導電シート等として使用され得る。本発明に係る異方性導電材料が、異方性導電フィルム又は異方性導電シート等のフィルム状の接着剤として使用される場合には、該導電性粒子を含むフィルム状の接着剤に、導電性粒子を含まないフィルム状の接着剤が積層されていてもよい。
異方性導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は10〜99.99重量%の範囲内であることが好ましい。上記バインダー樹脂の含有量のより好ましい下限は30重量%、更に好ましい下限は50重量%、特に好ましい下限は70重量%、より好ましい上限は99.9重量%である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限及び上限を満たすと、電極間に導電性粒子を効率的に配置でき、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は0.01〜20重量%の範囲内であることが好ましい。上記導電性粒子の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は10重量%である。上記導電性粒子の含有量が上記下限及び上限を満たすと、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
(接続構造体)
本発明に係る導電性粒子又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、該接続部が本発明の導電性粒子又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。
図3に、本発明の一実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
図3に示す接続構造体21は、第1の接続対象部材22と、第2の接続対象部材23と、第1,第2の接続対象部材22,23を接続している接続部24とを備える。接続部24は、導電性粒子1を含む異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図3では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子11を用いてもよい。
第1の接続対象部材22の上面22aには、複数の電極22bが設けられている。第2の接続対象部材23の下面23aには、複数の電極23bが設けられている。電極22bと電極23bとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材22,23が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記異方性導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。
上記加圧の圧力は9.8〜10〜4.9×10Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
本発明に係る導電性粒子の使用により、銅層の酸化が抑制されているので、電極間の導通信頼性を高めることができる。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板等が挙げられる。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物として、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素として、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)樹脂粒子形成工程
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製「GH−20」)を3重量%含む水溶液800重量部に、ジビニルベンゼン70重量部と、トリメチロールプロパントリメタクリレート30重量部と、過酸化ベンゾイル2重量部とを加え、攪拌し、混合した。窒素雰囲気下にて撹拌しながら80℃まで加熱し、15時間反応を行い、樹脂粒子を得た。
得られた樹脂粒子を蒸留水及びメタノールで洗浄した後、分級操作を行い、平均粒子径4.1μm及び変動係数5.0%の樹脂粒子を得た。
(2)無電解銅めっき工程
得られた樹脂粒子10gをエッチング処理した後、水洗した。次に、樹脂粒子に硫酸パラジウムを加え、パラジウムイオンを樹脂粒子に吸着させた。
次いでジメチルアミンボラン0.5重量%を含む水溶液に、パラジウムイオンが吸着した樹脂粒子を添加し、パラジウムを活性化させた。この樹脂粒子に蒸留水500mLを加え、粒子懸濁液を得た。
また、40g/Lの硫酸銅(5水和物)と、100g/Lのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)と、50g/Lのグルコン酸ナトリウムと、25g/Lのホルムアルデヒドとを含み、かつpH10.5に調整された無電解めっき液を用意した。上記粒子懸濁液に、上記無電解めっき液を徐々に添加し、50℃で攪拌しながら無電解銅めっきを行った。このようにして、銅層(厚み100nm)が表面上に設けられた銅めっき粒子を得た。
(3)表面処理工程
得られた銅めっき粒子10gに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越化学工業社製)の2重量%水溶液100gを添加し、常温で10分攪拌した後、100℃で24時間真空乾燥処理し、表面シランカップリング処理された粒子を得た。
得られた表面処理された粒子10gをセパラブルフラスコに秤量し、メタクリル酸メチル(MMA、三菱レイヨン社製)100g、過酸化ベンゾイル(BPO、ナカライテスク社製)10g及びイソプロパノール(IPA、ナカライテスク社製)1000gの混合液と混合し、40℃で12時間攪拌した後、アセトンで洗浄し、50℃で24時間真空乾燥処理して、表面処理した粒子を得た。このようにして、樹脂粒子の表面上に銅層が設けられており、かつ該銅層が表面処理された導電性粒子を得た。
(実施例2)
(1)芯物質付着工程
実施例1で得られた樹脂粒子10gをエッチング処理した後、水洗した。次に、樹脂粒子に硫酸パラジウムを加え、パラジウムイオンを樹脂粒子に吸着させた。
パラジウムが付着された樹脂粒子をイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、金属ニッケル粒子スラリー(三井金属社製「2020SUS」、平均粒子径200nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された樹脂粒子を得た。
(2)導電性粒子の作製
芯物質が付着された樹脂粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、無電解銅めっき工程及び表面処理工程を行い、樹脂粒子の表面上に銅層が設けられており、かつ該銅層が表面処理された導電性粒子を得た。
(実施例3)
樹脂粒子を、1,4−ブタンジオールジアクリレートと、テトラメチロールメタンテトラアクリレートとの共重合樹脂粒子(1,4−ブタンジオールジアクリレート:テトラメチロールメタンテトラアクリレート=95重量%:5重量%)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子は、銅層の表面に突起を有していた。
(実施例4)
(1)絶縁性樹脂粒子の作製
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒子径220nm及びCV値10%の絶縁性樹脂粒子を得た。
絶縁性樹脂粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性樹脂粒子の10重量%水分散液を得た。
実施例3で得られた導電性粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性樹脂粒子の水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性樹脂粒子が付着された導電性粒子を得た。
走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁性樹脂粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性樹脂粒子の被覆面積(即ち絶縁性樹脂粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
(実施例5)
樹脂粒子を、1,4−ブタンジオールジアクリレートと、テトラメチロールメタンテトラアクリレートとの共重合樹脂粒子(1,4−ブタンジオールジアクリレート:テトラメチロールメタンテトラアクリレート=95重量%:5重量%)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性粒子を得た。
(実施例6)
実施例3で得られた導電性粒子を実施例1で得られた導電性粒子に変更したこと以外は、実施例4と同様にして絶縁性樹脂粒子が付着された導電性粒子を得た。
(実施例7)
実施例3で得られた導電性粒子を実施例2で得られた導電性粒子に変更したこと以外は、実施例4と同様にして絶縁性樹脂粒子が付着された導電性粒子を得た。
(実施例8)
実施例3で得られた導電性粒子を実施例5で得られた導電性粒子に変更したこと以外は、実施例4と同様にして絶縁性樹脂粒子が付着された導電性粒子を得た。
(実施例9)
上記ビニル基を有するシランカップリング剤の種類をアリルトリメトキシシラン(A1504、東京化成工業社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例10)
上記(メタ)アクリル化合物の種類をラウリルメタクリレート(LMA、昭和化学社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(比較例1)
実施例1で得られた銅めっき粒子を導電性粒子とした。比較例1では、銅層を表面処理しなかった。
(評価)
(1)酸化の状態
得られた直後の導電性粒子を、40℃及び相対湿度90%の条件で24時間保管した。保管後の銅層の酸化の状態を目視で確認した。酸化の状態を下記の判定基準で判定した。
[酸化の状態の判定基準]
○:変色なし
△:軽微に変色(もとのピンクより赤みを帯びる)
×:顕著に変色(褐色又は黒褐色)
(2)ポットライフ
光硬化性化合物であるネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA、無錫カイフク化工有限公司製))95gと、光重合開始剤であるアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガキュア184」)5gとに、得られた導電性粒子10gを分散させ、異方性導電材料を得た。
粘度計(ブルークフィルド社製「DV−III ULTRA」)を用いて、得られた直後の異方性導電材料の粘度(初期の粘度)を測定した。
次に、得られた直後の異方性導電材料を40℃及び相対湿度90%の条件で24時間保管した。上記粘度計(ブルークフィルド社製「DV−III ULTRA」)を用いて、保管後の異方性導電材料の粘度(保管後の粘度)を再度測定した。
得られた粘度の値から、異方性導電材料のポットライフを下記の判定基準で判定した。
[ポットライフの判定基準]
○:初期の粘度に対して、保管後の粘度が1.1倍未満
×:初期の粘度に対して、保管後の粘度が1.1倍以上
結果を下記の表1に示す。
1…導電性粒子
2…基材粒子
2a…表面
3…銅層
3a…表面
11…導電性粒子
11a…表面
12…層
12a…表面
13…芯物質
14…突起
15…絶縁性樹脂粒子
21…接続構造体
22…第1の接続対象部材
22a…上面
22b…電極
23…第2の接続対象部材
23a…下面
23b…電極
24…接続部

Claims (7)

  1. 基材粒子と、該基材粒子の表面上に設けられた銅層とを備え、
    前記銅層が、ビニル基を有するシランカップリング剤及び(メタ)アクリル化合物を用いて表面処理されている、導電性粒子。
  2. 前記銅層が、前記ビニル基を有するシランカップリング剤により表面処理された後、該ビニル基を有するシランカップリング剤に前記(メタ)アクリル化合物を反応させることにより表面処理されている、請求項1に記載の導電性粒子。
  3. 表面に突起を有する、請求項1又は2に記載の導電性粒子。
  4. 前記銅層の表面上に配置された絶縁性樹脂粒子を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性粒子と、バインダー樹脂である熱硬化性樹脂とを含む、異方性導電材料。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性粒子と、バインダー樹脂である光硬化性樹脂とを含む、異方性導電材料。
  7. 第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、
    前記接続部が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性粒子、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている、接続構造体。
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