JP7280602B2 - 山留用コンクリート壁形成方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 平成30年4月26日 受注先現地施工現場(神奈川県横浜市金沢区瀬戸15-10)にて、昆野英雄が発明した山留用コンクリート壁形成方法、山留用コンクリート壁、および軸ガイド装置について公開した。 平成30年6月25日 株式会社アストリード本社事務所(埼玉県富士見市西みずほ台2-11-11-101)にて、昆野英雄が発明した山留用コンクリート壁形成方法、山留用コンクリート壁、および軸ガイド装置について公開した。 平成30年12月7日 受注先現地施工現場(東京都江東区潮見1-28-8)にて、昆野英雄が発明した山留用コンクリート壁形成方法、山留用コンクリート壁、および軸ガイド装置について公開した。 平成31年1月21日 受注先現地施工現場(東京都台東区蔵前4-18-2)にて、昆野英雄が発明した山留用コンクリート壁形成方法、山留用コンクリート壁、および軸ガイド装置について公開した。 平成31年3月9日 受注先現地施工現場(東京都江東区富岡2-12-8)にて、昆野英雄が発明した山留用コンクリート壁形成方法、山留用コンクリート壁、および軸ガイド装置について公開した。
本発明は、建築現場における山留用コンクリート壁形成方法に関する。
一般に、ビル等の建物を建てる際には、敷地を所定深さに掘削する掘削工事が行われ、また、この掘削工事を行うには、必ず、山留工事が必要となる。
すなわち、山留工事は、掘削工事を行うとき、周囲地盤が崩壊したり、周囲地盤からの土砂や水が流出したりすることが多いことから、作業に危険性を伴うことも多いので、それらを保護するために、掘削した側面を保護するために必須の工事である。
そして、山留工事が必要な場合は、工事現場の土質、地下水位、周辺の建築物や地盤上の荷重等を充分検討して工事方法を決めることが必要となる。
従来より、山留工事としては次のような工法が知られている。
すなわち、最も一般的な工法として、親杭・横矢板工法が挙げられる。
この親杭・横矢板工法として、まず、地中に親杭としてのH型鋼を同じ所定間隔で直列状に埋めこみ、そのH型鋼間に人力で複数枚の横矢板を隙間なく填め込んでいく山留め壁が知られている(特許文献1参照)。
特開2016-204834号公報
しかし、上記特許文献1に開示された技術では、複数本のH型鋼を埋め込んでおいて、それらのH型鋼間に多数枚の横矢板を填め込むために、敷地を所定深さに掘削しなければならず、その掘削作業が大掛かりとなり、H型鋼間に複数枚の横矢板を隙間なく填め込むための準備段階に多くの手間と時間が掛かる、という問題がある。
また、所定深さに掘削しなければならないが、地質が悪く地盤が脆かったり、土砂の圧力が強すぎたりする場所には不向きである、という問題もある。例えば、現場が河の近くであった場合等には、現場敷地を掘るうちに水が流出し、作業が困難となる。
さらに、H型鋼間に人力で複数枚の横矢板を隙間なく填め込んで行くための技能が必要となるが、そのような技能を身に付けた矢板職人が少なくなっており、作業が思うように捗らない、という問題や、横矢板に適した木材の入手が困難となっているうえ、大きな建設現場になればなるほど、夥しい数の矢板が必要となるので、横矢板の入手が一層困難となっている、という問題も生じている。
本発明では、敷地の地質に関係なく、また敷地を深堀りすることなく山留め壁を容易に形成することができる山留用コンクリート壁形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の山留用コンクリート壁形成方法は、敷地に沿って地中に埋設される複数の親杭に連続した山留用コンクリート壁を形成する山留用コンクリート壁形成方法であって、
前記複数の親杭を埋め込む親杭埋め込み工程と、隣り合う前記親杭の間でそれぞれの前記親杭に対応して外周の一部がそれぞれ接触配置され、且つ、互いから離して配置される2つの親杭側コンクリート体を設置する円柱状の親杭側コンクリート体設置工程と、前記親杭側コンクリート体の間でこれらの親杭側コンクリート体に連なる中間コンクリート体を設置する中間コンクリート体設置工程と、を備えていることを特徴とする。
本発明の山留用コンクリート壁は、敷地に沿って地中に埋設される複数の親杭と、これらの親杭間に設けられる山留壁部分とで構成される山留用コンクリート壁であって、
前記山留壁部分は、前記親杭の間でそれぞれの前記親杭に外周の一部が接触している円柱状の親杭側コンクリート体と、前記親杭側コンクリート体の間でそれぞれの前記親杭側コンクリート体に外周の一部が接触している中間コンクリート体とで構成されていることを特徴とする。
本発明の軸ガイド装置は、敷地に沿って地中に埋設され且つ案内部を有する複数の親杭の間で設定した位置に孔を掘削する杭打機用の掘削用軸部材を回転可能にガイドする軸ガイド装置であって、
前記隣り合う2つの前記親杭の前記案内部間に配置されるブレードと、前記掘削用軸部材に装着され前記ブレードを交換自在に保持するブレード保持部材と、を備え、前記ブレード保持部材を前記案内部間に配設したことを特徴とする。
本発明の山留用コンクリート壁形成方法によれば、隣り合う親杭のそれぞれに連続させて設置した親杭側コンクリート体と、それらの親杭側コンクリート体の中間のコンクリート体とが連なって設置され、各親杭側コンクリートがそれぞれの親杭と接触しているので、連続した山留用コンクリート壁を形成することができる。
その結果、敷地の地質に関係なく、また敷地を深堀りすることなく山留め壁を容易に形成することができる。
また、本発明の山留用コンクリート壁としたならば、互いに連続する円柱状の親杭側コンクリート体と中間コンクリート体とからなる山留壁部分が親杭間に設けられているので、止水効果の高い山留用コンクリート壁を容易に形成することができる。
さらに、本発明の軸ガイド装置としたならば、掘削用軸部材がガイド装置を具備しているので、スクリュー軸がガイド装置を具備しているので、掘削用軸部材が多少傾いた状態で進行しようとした場合でも、ブレードが親杭の凹部にガイドされるので、親杭に沿って略垂直方向に進行させることができる。
その結果、親杭側孔と中間孔とを連続させることができる。そして、これらの各孔に、セメント系固化剤を注入することで連続したコンクリート壁を形成することができ、その
コンクリート壁を止水効果の高い山留用コンクリート壁として利用することができる。
本発明に係る山留用コンクリート壁形成方法で使用される第1実施形態の小型杭打機を示し同図(A)は全体側面図、同図(B)はスクリュー軸先端の詳細図ある。 本第1実施形態で使用される先端掘削機構および軸ガイド装置とを示し、同図(A)は全体正面図、同図(B)は図(A)におけるB矢視図である。 図2で軸ガイド装置をスクリュー軸に装着した時の状態を図2のIII―IIIに沿った断面図である。 本第1実施形態の山留用コンクリート壁を形成する手順を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態で対向配置されたH型鋼間にコンクリート連続壁を形成する手順を示す説明図である。 本第1実施形態で完成した山留用コンクリート壁を示す平面図である。 本第1実施形態で孔堀り後に固化剤ミルクを注入する掘削攪拌施工サイクルを示すグラフである。 本第2施形態の山留用コンクリート壁を形成する手順を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態で対向配置されたH型鋼間にコンクリート連続壁を形成する手順を示す説明図である。 本第2実施形態で完成した山留用コンクリート壁を示す平面図である。 本発明の変形形態の例を示す概略図である。
以下に、添付図面を参照して、本発明の山留用コンクリート壁形成方法と、山留用コンクリート壁と、軸ガイド装置の第1実施形態について説明する。
[山留用コンクリート壁形成装置の全体構成]
図1には、小型のリーダレス杭打機(例えば、16tリーダレス)10が示されており、このリーダレス杭打機10は、本第1実施形態の山留用コンクリート壁65(図6参照)を製造する際に使用されるものである。
図1(A)に示すように、リーダレス杭打機10は、オーガ11と、当該オーガ11に装着された掘削用のスクリュー軸(掘削用軸部材)12とを備えており、このスクリュー軸12には所定径の孔を掘るためのスクリュー部12Aが装備されている。
また、図1(B)に示すように、スクリュー軸12の先端部には、先端掘削機構20と、その先端掘削機構20の上方に配置された軸ガイド装置30とが設けられている。
先端掘削機構20は、スクリュー軸12に交換自在に取付けられるようになっており、この先端掘削機構20は、後述する大径の孔を掘るために使用されるループヘッド25を備えている。
スクリュー軸12のスクリュー部12Aの大きさは、H型鋼の大きさに対応できるように、例えば、180Φ、250Φ、300Φ等の大きさの複数種類が予め準備されている。これに対して、ループヘッド13の大きさは、例えば、500Φ、530Φのものが予め準備されている。
なお、スクリュー部12Aおよびループヘッド13の大きさは上記に限定されない。
また、図示しないが、敷地内で、リーダレス杭打機10の近傍には、上記スクリュー軸12の内部に圧縮空気を送り込むためのコンプレッサーと、スクリュー部12Aによる掘削に続いてその孔にコンクリート系固化剤(固化剤ミルク)を注入するためのコンクリートミキサー装置等が配置されている。
なお、固化剤ミルクは、コンクリートミキサー装置からスクリュー軸12に送られ、そのスクリュー軸12の先端内部からスクリュー部12Aにより掘削された孔に注入されるようになっている。
図2には、前記先端掘削機構20と、ガイド装置30との詳細が示されている。
まず、先端掘削機構20を説明する。
先端掘削機構20は、スクリュー軸12の先端部に設けられた所定外径の掘削刃取付部材22と、掘削刃取付部材22の直上に設けられた上記ループヘッド25とを備えて構成されている。
また、掘削刃取付部材22の下面には、等間隔で配置された複数個の掘削刃22Aが装着されている。
前記ループヘッド25は、スクリュー軸12に設けられているスクリュー部12Aの外径および掘削刃取付部材22の外径よりも大きな外径に形成されており、このループヘッド25の下端部(先端部)にも掘削刃(図略)が装着されている。
ループヘッド25は、スクリュー状に形成されており、掘削刃取付部材22の掘削刃22Aおよびループヘッド25の掘削刃により掘り起こされた土が上方に導かれるようになっている。
また、ループヘッド25と掘削刃取付部材22とは同一の軸23に装着されており、この軸23は、取付ボルト24を介してスクリュー軸12に着脱自在に取付けられている。
次に、前記ガイド装置30を説明する。
図2,3に示すように、ガイド装置30は、上記スクリュー軸12の先端領域で、より具体的には、ループヘッド25の上方に設けられている。
ここで、ガイド装置30を設ける理由は、ループヘッド25を取付けたスクリュー軸12が、予め埋め込まれているH型鋼40に沿って略真っすぐ掘り進めるようにするためである。
すなわち、詳細は後述するが、ループヘッド25による掘削作業が開始されると、ループヘッド25の両隣には既に第1、2の孔51,52(図5参照)が掘られていることから、ループヘッド25は、必ず、第1、2の孔51,52のいずれか抵抗力の弱い方側に寄ってしまう。
そうすると、ループヘッド25で掘削された孔53が第1、2の孔51,52の中間部に位置しなくなる結果、孔の一部が重なり合わなくなり、山留め壁部分60(図5,6参照)が形成されなくなる。本実施形態では、そういう不具合を回避するためにガイド装置30が設けられている。
このガイド機構30は、図2,3に示すように、上記スクリュー軸12を挟み込んで取付ける断面半円形状の2枚のパイプ部材31A,31Aからなる取付本体31と、パイプ部材31A,31Aの外周端部に取付けられると共にスクリュー軸12と直交する方向に突出した2枚のブレード保持部材33,33と、これらのブレード保持部材33,33に交換可能に取付けられるブレード35とで構成されている。
ブレード35は、第1、第2のブレード部材35-1,35-2で構成されており、本実施形態では、第1、第2のブレード部材35-1,35-2は、略同じ長さとなっている。
各ブレード35-1,35-2は、長方形形状の板部材35Aと、この板部材35Aの上端部に固着された補強部材35Bとで構成され、図2(2)に示すように、側面視略T字状となっている。
取付本体31をスクリュー軸12に取付けるには、ブレード保持部材33,33の対向面を当接させ、そのブレード保持部材33,33にあけられているボルト挿通孔にボルト32,32を差込み、ブレード保持部材33,33の裏側からナット34,34で締め付けることで、取付本体31をスクリュー軸12に取付け・固定することができる。
また、各ブレード部材35-1,35-2は、一方のブレード保持部材33の表面に板部材35Aの側面を当接させ、ブレード35-1等にあけられているボルト挿通孔からボルト32を差込み、他方のブレード保持部材33の表面からナット34をボルト32のネジ部に螺合させて取付けられるようになっている。
つまり、ブレード部材35-1,35-2と2枚のブレード保持部材33,33とは、それぞれ、ボルト32、ナット34により共締め状態で取り付けられている。
なお、図2,3においては、各ブレード部材35-1,35-2側から取付けボルト32,32が差込まれ、そのボルト32,32は、ブレード部材35-1,35-2の反対側のブレード保持部材33,33でナット締めされるようになっているが、取付けボルト32,32をブレード部材35-1,35-2の反対側のブレード保持部材33,33側から取り付けるようにしてもよい。
このようにすれば、ブレード部材35-1,35-2を交換する際に、取付けボルト32,32をブレード保持部材33,33のボルト孔に差込んだ状態でブレード部材35-1,35-2のみを取外せるので、取付本体31のパイプ部材31A,31Aがばらけることがない。
2枚のブレード部材35-1,35-2は、対向配置された山留用親杭であるH型鋼40間の距離、より具体的に説明すると、H型鋼40のブレード35の案内用の案内部G間の距離に対応できるように、長さの異なる複数本が予め準備されている。
ここで、上記案内面Gは、図5に示すように、H型鋼40の上下のフランジ部40a,40aと、ウェブ部40bとで形成される略溝状の空間を言う。
スクリュー軸12に取付けられたガイド装置30のブレード部材35-1,35-2が、スクリュー軸12の側面両側に位置したとき、2本のブレード部材35-1,35-2の全長、つまり各ブレード部材35-1,35-2の外側端面間の寸法は、例えば、図5(D)に示すように、各ブレード部材35-1,35-2の長さ方向端面が、対向するH型鋼40の上記案内部Gにおいて、上下のフランジ部40a,40aとウェブ部40bとの交点近傍に位置するようになっている。
そして、スクリュー軸12がH型鋼40の埋設方向に沿って進行するとき、各ブレード部材35-1,35-2の長さ方向端面が上記交点近傍で、各フランジ部40a,40aとウェブ部40bとのいずれかに接触可能となっている。
[山留用コンクリート壁形成の基本作業手順]
次に、山留用コンクリート壁を形成するための基本作業手順を図4のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、このフローチャートの概略を説明する。
作業が開始されると、ステップ(S)1として、親杭であるH型鋼の埋込みを実行する(親杭埋込み工程)。
S2で、対向する一方のH型鋼のフランジ部間に親杭側の第1の孔を掘削する。
S3で、第1の孔に固化剤ミルクを注入して攪拌する。
S4で、対向する他方のH型鋼のフランジ内に親杭側の第2の孔を掘削する。
S5で、第2の孔に固化剤ミルクを注入して攪拌する。
S6で、スクリュー軸にガイド装置を装着する。
S7で、第1の孔と第2の孔との中間に中間孔として第3の孔を掘削する。
S8で、第3の孔に固化剤ミルクを注入し攪拌しながスクリュー軸12を引き上げて、作業は終了する。
以下に、上記作業手順を図5に基づいて具体的に説明する。
山留用コンクリート壁を形成するために、S1として、図5(A)に示すように、まず、H型鋼40を前記16tリーダレス杭打機10により通常通り打ち込んで埋め込む。
本実施形態で使用されるH型鋼40としては、上下のフランジ部41a,41a間の高さ寸法(ウェブ部41bの高さ寸法)が例えば350mmで、フランジ部41aの幅寸法が例えば350mmのものが使用されている。なお、H型鋼40の大きさは上記例に限らない。
ここで、H型鋼40を打ち込む位置には、予め、H型鋼40の打ち込みが容易となるように、スクリュー軸等により、H型鋼40の外周より大きな内径のH型鋼埋込用孔50(図5(A)参照)が掘削されている。
このH型鋼埋込用孔部50は、スクリュー軸12のスクリュー12AによりH型鋼40の外周より大きな孔を掘ったままの状態、つまり、スクリュー軸12を引き上げるとき土が孔に残った状態となっており、言わば解れた状態で柔らかい土が埋設された状態となっている。そのため、H型鋼40の打ち込みが容易となる。
図5,6に示すように、H型鋼40は、複数本が、敷地内の所定位置に予め設定された一定間隔、例えば、1m間隔で配置されている。これらのH型鋼40は、山留工事が敷地内で、例えば矩形形状に施工される場合、一方向、およびこの一方向と例えば直交する他の方向にもそれぞれ直列に配置されていて、多数個のH型鋼40で建設予定地全体が囲まれている。
一方向に直列に配置する際は、複数本のH型鋼40のフランジ部41a,41aが同じ向きとなるように、かつ、それらのフランジ部41a,41aが同一直線上に位置するように、複数本のH型鋼40を前記リーダレス杭打機10により順次打ち込んで地中に埋め込む。
他の方向に直列に配置する際も、上記と同様にして複数本のH型鋼40を順次打ち込んで地中に埋め込む。
H型鋼40は、敷地全体を囲むように配置されており、一方向に配置されたH型鋼40と、他方向に配置されたH型鋼40との交点でのH型鋼40の配置は、図6に示すような配置となっている。
すなわち、一方向に配置されたH型鋼40の最後のH型鋼40に対して、他方向に配置されたのH型鋼40の最初のH型鋼40は、最後のH型鋼40に対して略直交する方向に位置をずらして打ち込まれるようになっている。
S1の工程で、H型鋼40の打ち込みが完了したら、次に、コンクリート連続壁を形成する作業に移行する。
本第1実施形態では、図5(B)~(E)に示すように、対向配置されたH型鋼40,40の間に、3個所の孔51,52,53が掘削され、かつ、それらの各孔51,52,53のそれぞれに、セメント系固化剤(固化剤ミルク)が注入されるようになっている。
このようなH型鋼40,40に対して、S2として、図5(B)に示すように、対向配置されたH型鋼40,40のうち、一方側、例えば、図5(B)に示す左側のH型鋼40における上下のフランジ部部41a,41a内に、その内側寸法より小さな、例えば、Φ300のスクリュー12Aの一部がウェブ41bの表面の一部に近接させてスクリュー軸12を回転させ、所定深さまで掘削して、親杭側孔である第1の孔51を掘削する。
この際、スクリュー軸12の先端部から圧縮空気を噴出させながら掘削作業が実行される。
S2において、第1の孔51を所定深さまで掘削したら、S3において、スクリュー軸12を逆回転させて引き上げながら、スクリュー軸12の先端部内部から固化剤ミルクを第1の孔51に注入する(第1の固化剤注入工程)。この際、後に詳述するように、スクリュー軸12を孔内で何度か往復させながら攪拌し、これにより、孔の中で、土と固化剤ミルクとが混ざり合い、より強固なコンクリート体が形成される。
そして、スクリュー軸12が完全に引き抜かれたときには、第1の孔51内には固化剤ミルクが充満され、かつ孔51から溢れ出るようになっている。
ここで、第1の孔51は、上記のように、ウェブ41bの表面の一部に近接させてあけられいるが、この孔51は、H型鋼40を埋め込む際に予め掘削されたH型鋼埋め込み用孔50の中に掘削されている。
H型鋼埋め込み用孔50は、前述のように、土が解されたままの柔らかい状態なので、第1の孔51内に掘削された状態で固化剤ミルクが注入され、且つ、溢れ出したとき、その固化剤ミルクは、孔51の中は勿論、H型鋼埋め込み用孔50にも流れ出して、その孔50と混ざり合い第1の親杭側コンクリート体61が形成される(図5(C)、図6)。
つまり、親杭側コンクリート体61とH型鋼40とが連続することになる。
次いで、S4として、図5(C)に示すように、対向配置された他方(右側)のH型鋼40の上下のフランジ部部41a,41a内に、上記と同様に、その内側寸法より小さなΦ300のスクリュー12Aの一部がウェブ41bの表面の一部に近接させてスクリュー軸12を回転させ、所定深さまで掘削して、親杭側孔である第2の孔52を掘削する。
この際、スクリュー軸12の先端部から圧縮空気を噴出させながら穴掘り作業が実行される。
S4において、第2の孔52を所定深さまで掘削したら、S5において、スクリュー軸12を逆回転させて引き上げながら、スクリュー軸12の先端部内部から固化剤ミルクを第2の孔52に注入する。
そして、スクリュー軸12が完全に引き抜かれたときには、第2の孔52内には固化剤ミルクが充満され、かつ第2の孔52から溢れ出るようになっている。
この第2の孔52も、上記第1の孔51と同様に、第2の孔52から溢れ出した固化剤ミルクがH型鋼埋め込み用孔50にも流れ出して、その孔50と混ざり合い第2の親杭側コンクリート体62が形成される(図5(D)、図6)。つまり、親杭側コンクリート体62とH型鋼40とが連続することになる。
以上に説明したS2~S5により、図4に示すように、隣り合うH型鋼40,40の間で、それぞれのH型鋼40,40に対応して外周の一部がそれぞれ接触配置され、且つ、互いから離して配置される2つの親杭側コンクリート体61,62(図6参照)を設置する円柱状の親杭側コンクリート体設置工程Aが構成されている。
その後、S6において、図5(D)に示すように、軸ガイド装置30を装着したスクリュー軸12を、軸ガイド装置30のブレード35の両端が、対向配置されているH型鋼40,40のそれぞれの前記案内部Gに位置するように配置する。
最後に、S7として、図5(E)に示すように、上記第1の孔51と第2の孔52との中間位置に、それらの孔51,52に連なるような大きさの外径寸法、例えば、Φ500の前記ループヘッド25(図3参照)を回転させ、所定深さまで掘削して、中間孔である第3の孔53を掘削する。
この際、スクリュー軸12の先端部から圧縮空気を噴出させながら穴掘り作業が実行される。
S7において、第3の孔53を所定深さまで掘削したら、S8において、スクリュー軸12を逆回転させて引き上げながら、スクリュー軸12の先端部内部から固化剤ミルクを第3の孔53に注入する。
そして、スクリュー軸12が完全に引き抜かれたときには、第3の孔53内には固化剤ミルクが充満され、かつ孔53から溢れ出るようになっている。これにより、中間コンクリート体63が形成経緯製されるようになっている。
以上に説明したS6,7により、図4に示すように、親杭側コンクリート体61,62の間でこれらの親杭側コンクリート体61,62に連なる中間コンクリート体63を設置する中間コンクリート体設置工程Bが構成されている。
第3の孔53を掘削する際は、前述のように、ループヘッド25を装着したスクリュー軸12がH型鋼40の埋設方向(略垂直方向)に沿って進行できるように、前記ガイド装置30が使用されている。
そして、ガイド装置30を具備したスクリュー軸12では、第3の孔53を掘削する際に、図5(E)に示すように、各ブレード部材35-1,35-2が、対向するH型鋼40,40の前記案内部Gにガイドされた状態で、ループヘッド25が掘削を開始する。
スクリュー軸12がガイド装置30を具備しているので、スクリュー軸12が多少傾いた状態で進行しようとした場合でも、ガイド装置30の各ブレード部材35-1,35-2がH型鋼40,40の案内部Gにガイドされるので、埋設方向に沿って略垂直に進行することができる。
次に、前述のように、一方側の列のH型鋼40と他方側の列のH型鋼40とが直交しているコーナ部での第1の孔51、第2の孔52、および第3の孔53を掘削す工程を、図6を参照して説明する。
図6では、第1、第2、第3の孔51,52,35に固化剤ミルクが注入されて山留め用山留め壁部分60となった状態が示されているが、各孔51等は(51)のように、カッコで囲んで示してある。
第1の孔51は、一方側に直列に配列された最後のH型鋼40の上下のフランジ部部41a,41a内に前述と同じようにして掘削され、第2の孔52は、他方側に配列された最初のH型鋼40の上下のフランジ部部41a,41a内に前述と同じようにして掘削される。
ところが、第3の孔53を掘削す掘削する際、H型鋼40,40が直交配置されているので、前述のように、ガイド装置30のブレード35を係合させることができない。そのため、この位置では、ブレード35を取り外した状態で第3の孔53を掘削することになるが、ブレード35が取付けられていない状態で掘削する際でも、第3の孔53を掘削する前記ループヘッド25等は、第1、2の孔51,52側にずれるので、各孔51,52,53に固化剤ミルクが注入されたとき、連続したコンクリート壁を形成することができる。
[山留用コンクリート壁の説明]
図6は、複数のH型鋼40,40と、これらのH型鋼40,40の間に設けられた山留め壁部分60とで形成された山留用コンクリート壁65が示されている。
上記山留め壁部分60は、前述のような手順で形成された第1~3の孔51,52,53のそれぞれに固化剤ミルクを注入して形成されている。
山留め壁部分60は、直列に配置された対向するH型鋼40,40間に連続して形成された円柱状の第1、第2、第3のコンクリート体61,62,63で形成成されている。
第1のコンクリート体61は、前記第1の孔51に固化剤ミルクを注入しながら攪拌して形成され、第のコンクリート体62は第2の孔52に固化剤ミルクを注入ながら攪拌して形成され、第3のコンクリート体63は第3の孔53に固化剤ミルクを注入しながら攪拌して形成されたものである。
前述のように、第1の孔51と第2の孔52はそれぞれH型鋼40,40のウェブ部41b,41bに近接して掘削されているので、各孔51,52に固化剤ミルクを注入したときその固化剤ミルクが各孔51,52から溢れ出す。
その結果、前述した通り、その固化剤ミルクは、第1の孔51と第2の孔52の中は勿論、H型鋼埋め込み用孔50にも流れ出して、その孔50と混ざり合いコンクリート体が形成され、これにより、第1、第2のコンクリート体61,62とH型鋼40とが連続することになる。
第1、第2のコンクリート体61,62と第3のコンクリート体63とは上記のように連続しているので、山留め壁部分60は連続して形成されていることになる。
そして、、H型鋼40,40とその間に設けられた山留め壁部分60とにより、止水硬貨の高い山留用コンクリート壁65が形成される。
ここで、一方向に直列に配置されているH型鋼40,40と、他方向に直列に配置されているH型鋼40,40とが交わるコーナ部では、前述のように、第1、第2、第3の孔51,52,53が平面視略L字状になっているので、第1、第2、第3のコンクリート体61,62,63も略L字状に形成されている。
本第1実施形態で使用される固化剤ミルクとしては、例えば、ユースタビラー(US50推奨)1m3/目安300kgが使用される。そして、この固化剤ミルクは、前記コンクリートミキサー装置(図略)からスクリュー軸に送られ、スクリュー軸の先端内部から孔内に注入されるようになっている。
次に、図7を参照して、一つの孔の掘削攪拌施工サイクルを説明する。
図7において、縦軸は掘削深度を表し、横軸は経過時間を表す。
第1の孔51等の掘削時に使用される固化剤ミルクとしては、1個の孔に使用される全体量が、例えば、175Kg(0.3mプラント使用)に設定されたものが使用されている。
掘削がスタートすると、所定径のスクリューを有するスクリュー軸の先端内部からエア(圧縮空気)を噴出させながら、所定深度(例えば、7.5m)までスクリューで掘削する。
所定深度を確認した後、1回目のミルク注入として、半分;87.5Kgの固化剤ミルクをスクリュー軸の先端内部から注入しながら、スクリュー軸を半分の深さまで引き上げ、さらに、そこから再度最深部まで掘削する。
次に、最深部から半分の深さまでカラ送り(ミルクを注入しない状態)で引上げ、2回目のミルク注入として、残り半分のミルク87.5Kgを注入しながら深度0、つまり地上面まで引き上げ、さらに半分の深さまで掘削する。
ミルクを注入しながら半分の深さまで達したら、そこからカラ送りで最深度位置まで掘削し、最後に、その位置からエアを噴出しながらスクリュー軸を地上面まで引き上げて、掘削が終了する。
本第1実施形態の山留用コンクリート壁形成方法、山留用コンクリート壁、および軸ガイド装置によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)隣り合うH型鋼40,40のそれぞれに連続させて設置した第1、第2のコンクリート体61,62と、それらの第1、第2のコンクリート体61,62の中間に設置された第3のコンクリート体63とが連なって設置され、各第1、第2のコンクリート体61,62それぞれのH型鋼40,40接触しているので、連続した山留用コンクリート壁65を形成することができる。
その結果、敷地の地質に関係なく、また敷地を深堀りすることなく山留め壁を容易に形成することができる。
(2)複数本のH型鋼40,40を杭打機10により打ち込んだ後、対向するH型鋼40,40間に、一方のH型鋼40に近接させて第1の孔51を掘削し、他方のH型鋼40に近接させて第2の孔52を掘削し、第1、第2の孔51,52の中間に第3の孔53を掘削し、各孔51~53を掘削すると同時にそれぞれの51~53に固化剤ミルクを注入するだけで、H型鋼40,40に連続する山留用コンクリート壁65を形成することができる。これにより、山留用コンクリート壁65の形成が容易である。
(3)スクリュー軸12がガイド装置30を具備しているので、スクリュー軸12が多少傾いた状態で進行しようとした場合でも、ガイド装置30の2枚のブレード部材35-1,35―2がH型鋼40,40の案内部Gにガイドされるので、スクリュー軸12をH型鋼40,40の埋設方向に沿って略垂直方向に進行させることができる。
その結果、親杭側孔51,52と中間孔53とを連続させることができ、これらの各孔51,52には固化剤ミルクが注入されるので、連続した山留め壁部分60を形成することができ、これにより、止水効果を得ることができる。
(4)同じ孔径の第1,2の孔51,52に対して、第3の孔53が大きな孔径となるように掘られているが、この第3の孔53は、第1,2の孔51,52の外径よりも大きな外径のループヘッド25により1回で掘ることができるので、掘削工程が少なくて済む。
(5)対向するH型鋼40,40の間に設けられたコンクリート製の第1、第2のコンクリート体61,62と、第3のコンクリート体63とで山留め壁部分60が形成され、この山留め壁部分60は対向配置されたH型鋼40,40に連続している。これらの山留め壁部分60とH型鋼40,40とで形成されているので、止水効果を得ることができ、山留用コンクリート壁65を容易に形成することができる。
(6)山留め壁部分60が第1、第2のコンクリート体61,62で形成されているので矢板に比べてはるかに強度が高く、また、大きな止水効果が得られる。
(7)小回りの利く、例えば、16tリーダレス等の小型のリーダレス杭打機10を使用して、第1の孔51等を掘削することができるので、狭小敷地での山留め工事が可能となり、特に、建設敷地が狭くなりがちな、都会においても利用価値が高くなる。
次に、図8~10を参照して本発明の第2実施形態を説明する。
本第2実施形態では、H型鋼40-1,40-1間に第1~4の孔71~74を掘削し、かつ固化剤ミルクを注入して山留め壁部分80を形成するものである。
図8には、本第2実施形態における第1~4の孔71~74を掘削する手順、および各71~74のそれぞれに固化剤ミルクを注入する手順を示すフローチャートが示されている。
まず、このフローチャートの概略を説明する。
ここで、S1~S5までの手順は、前記第1実施形態と同じである。そのため、説明は省略する。
作業が開始されると、S1~S5まで作業が進み、S6に進む。
S6で、第1の孔(第2の孔)側に沿って第3の孔を掘削する。
S7で、第3の孔に固化剤ミルクを注入して攪拌する。
S8で、スクリュー軸にガイド装置を装着する
S9で、第1の孔と最後の孔以外の孔との中間に最後の孔を掘削する。
S10で、最後の孔に固化剤ミルクを注入して攪拌する。
S11で、攪拌のためガイド装置を反転して孔を掘削する(固化剤ミルクは注入しない)。
その後、スクリュー軸12を引き上げて、作業は終了する。
以上に説明したS2~S7により、図8に示すように、円柱状の親杭側コンクリート体設置工程Cが構成されている。
また、S8~S11により、図8に示すように、中間コンクリート体設置工程Dが構成されている。
以下に、上記作業手順を図9に基づいて具体的に説明する。
まず、図9(A)、(B)に示すように、対向配置されている一方側のH型鋼40-1と他方側のH型鋼40-1のそれぞれの上下のフランジ部40a間に、第1、第2の孔71,72を順次掘削すると共に、掘削と同時に固化剤ミルクを注入して第1、第2のコンクリート体81,82が形成される。
なお、図9(A)では、H型鋼40-1,40-1は、前記図5(A)で示したように、予め、地中に対向配置されているものとする。
次に、図9(C)に示すように、第1の孔(第2の孔)側に沿って第3の孔(最後の孔以外の孔)73を掘削すると共に、掘削と同時に固化剤ミルクを注入して第3のコンクリート体83が形成される。
ここで、第3の孔73の掘削は、図9(C)における右側のH型鋼40-1の前記案内部G内には、既に第2の孔72が掘削され、かつ固化剤ミルクが注入されて第2のコンクリート体82が形成されているので、そのH型鋼40-1の上下のフランジ部40a,40aの端部に近接させて(沿って)行われる。そのため、第3の孔73の孔径は第2の孔72の孔係よりも大きく形成されており、第3の孔73は、例えば、前記ループヘッド25(図2参照)により掘削される。
その後、図9(D)に示すように、前記ガイド装置30を装備したスクリュー軸12を、その中心が第3のコンクリート体83と第1のコンクリート体81との中間位置にくるように、ガイド装置30のブレード部材35-1と、35-2とがH型鋼40-1,40-1の前記案内部Gにガイドされるような設置位置に配置して、最後の孔74を掘削する。そして、図9(E)、図10に示すように、掘削と同時に固化剤ミルクを注入して第4のコンクリート体84が形成される。
また、最後の孔74の掘削時にも、上記ループヘッド25が使用される。つまり、最後の孔74と第3の孔73との孔径は、同じ大きさとなっている。
次いで、第3の孔73と第4の孔74とに注入され、かつ充満された固化剤ミルクをさらに攪拌するために、図9(E)に示すように(前記S11)、ガイド装置30を反転させる。つまり、ガイド装置30のブレード部材35-1が第2のコンクリート体82側に位置し、ブレード部材35-2が第1のコンクリート体81側に位置するようにガイド装置30を位置決めする。
その後、上記ガイド装置30に装備されているループヘッド25により攪拌用の孔90掘削される。但し、この攪拌用の孔90は攪拌するだけのために掘削されるものであるため、この攪拌用の孔90には固化剤ミルクは注入されない。
第2実施形態においては、最後の孔74を掘る際に前記ガイド装置30が用いられる。
最後の孔74が第3の孔73と第1の孔71との中間位置に掘られており、第1の孔71側に偏っているので、ガイド装置30の第1、第2のブレード部材35-1,35-2の長さが左右で異なっている。
すなわち、図9(D)に示すように、第2,3の孔72,73側のブレード部材35-2が第1の孔71側のブレード部材35-1よりも長くなっている。この場合、ブレード35は、長さの異なる複数種類が予め準備されているので、その中から選択して使用することができる。
また、図9(E)に示すように、第3,4の孔72,73内の固化剤ミルクを攪拌するために攪拌用の孔90を掘削する際にも、ガイド装置30が使用されるが、この場合には、ガイド装置30のブレード35が、図9(D)に対して反転して使用されるようになっている。すなわち、第2,3の孔72,73側のブレード部材35-1が第1の孔71側のブレード部材35-1よりも短いものが使用されるようになっている。
図9には、複数のH型鋼40-1,40-1と、これらのH型鋼40-1,40-1の間に設けられた山留め壁部分80と、で形成された山留用コンクリート壁85が示されている。
山留め壁部分80は、第1~4の孔71~74のそれぞれに固化剤ミルクを注入して形成された円柱状の第1~4のコンクリート体81~84で形成成されている。
第1の孔71と第2の孔72との一部はそれぞれH型鋼40-1,40-1のウェブ部40b,40bに接触しているので、第1のコンクリート体81と第2のコンクリート体82の一部もそれぞれH型鋼40-1,40-1のウェブ部40b,40bに接触していることになる。
H型鋼40-1,40-1とコンクリート壁80とが上記のように連続していることから、山留用コンクリート壁85は止水効果を得ることができ、山留壁としての役割を果たすことができる。
また、一方向に直列配置されているH型鋼40-1…と、他方向に直列に配置されているH型鋼40-1…とが交わるコーナ部では、前記第1実施形態と同様に、第1~4のコンクリート体71~74により略L字状のコンクリート壁80に形成されている。
本第2実施形態の山留用コンクリート壁85は以上のように構成されているので、前記(1)~(7)と略同様の効果の他、次のような効果を得ることができる。
(8)最後の孔74を掘る際、スクリュー軸12は、第1の孔71と第3の孔73との中間位置で掘削することになるが、第3の孔73側には既に第2の孔72が掘削されている。そのため、ガイド装置30の位置は、対向するH型鋼40-1,40-1間の中心部ではなく、一方のH型鋼40-1側、つまり、第1の孔51側に近い位置にあり、その結果、第1の孔51側のブレード部材35-1に対して、第3の孔5側のブレード部材35-2が長くなる。しかし、ガイド装置30のブレード35は、長さの異なる複数本で構成されているので、その中から、選択して使用することができる。これにより、利用価値の高いガイド装置30とすることができる。
(9)本第2実施形態では、攪拌用の孔90がループヘッド25により掘削されるようになっている。この攪拌用の孔90は、第3のコンクリート体83と第4のコンクリート体84とに跨っており、攪拌用の孔90には固化剤ミルクは注入されず、ループヘッド25により各コンクリート体83,84を形成する固化剤ミルクを攪拌するようになっている。これにより、各コンクリート体83,84を形成する固化剤ミルクが充分に攪拌され、その結果、強固なコンクリート壁を構成することができる。
以上、前記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
例えば、前記各実施形態では、H型鋼40等のフランジ部40a内に第1の孔51、第2の孔52を掘削する際、各孔51,52の一部をH型鋼40,40のそれぞれのウェブ部40bの一点に近接させて掘っていたが、これに限らない。
図11(A)に示すように、第2の孔52の一部をH型鋼40の上下のフランジ部40a,40aの一点とウェブ40bの一点との3箇所に近接させてもよく、また、図11(B)に示すように、第2の孔52の一部をH型鋼40の上側のフランジ部40aの一点とウェブ40bの一点との2点に近接させてもよく、さらに、図11(C)に示すように、第2の孔52の一部10をH型鋼40の上側のフランジ部40aの一点に近接させた状態で掘削してもよい。
このようにすることで、それぞれの孔52等に固化剤ミルクを注入した後、コンクリート製円柱62等がフランジ部40a等とが接触状態となり、これにより、止水効果が得られるようになっている。要するに、H型鋼40等と、コンクリート製コンクリート体62等とが連続していて止水効果が得られる構成であればよい。
なお、図11(A)、(B)、(Cにおいては、他方のH型鋼40のみを対象として記載されているが、一方のH型鋼40でもそれぞれに対応しているものである。
また、前記各実施形態では、親杭として、H型鋼40,40-1が使用されているが、これに限らず、I型鋼や、溝形鋼を背中合わせにしたものを親杭として使用してもよい。
本発明の山留用コンクリート壁形成方法、山留用コンクリート壁、および軸ガイド装置は、山留工事を施工する際に利用される。
10 リーダレス杭打機
12 スクリュー軸(掘削用軸部材)
12A スクリュー部
20 先端掘削機構
25 ループヘッド
30 軸ガイド装置
31 取付本体
33 ブレード保持部材
35 ブレード
40 H型鋼(親杭)
40a フランジ部
40b ウェブ部
50 H型鋼埋込用孔
51 第1の孔(親杭側孔)
52 第2の孔(親杭側孔)
53 第3の孔(中間孔)
60 山留め壁部分
61 第1のコンクリート体
62 第2のコンクリート体
63 第3のコンクリート体
65 山留用コンクリート壁
70 H型鋼埋込用孔
71 第1の孔(親杭側孔)
72 第2の孔(親杭側孔)
73 第3の孔(最後の孔以外の孔)
74 最後の孔(中間孔)
80 山留め壁部分
81 第1のコンクリート体
82 第2のコンクリート体
83 第3のコンクリート体
84 第4のコンクリート体
85 山留用コンクリート壁

Claims (3)

  1. 敷地に沿って地中に埋設される複数の親杭に連続した山留用コンクリート壁を形成する山留用コンクリート壁形成方法であって、
    前記複数の親杭を埋め込む親杭埋め込み工程と、
    隣り合う前記親杭の間でそれぞれの前記親杭に対応して外周の一部がそれぞれ接触配置され、且つ、互いから離して配置される2つの親杭側コンクリート体を設置する円柱状の親杭側コンクリート体設置工程と、
    前記親杭側コンクリート体の間でこれらの親杭側コンクリート体に連なる中間コンクリート体を設置する中間コンクリート体設置工程と、を備えていることを特徴とする山留用コンクリート壁形成方法。
  2. 請求項1に記載の山留用コンクリート壁形成方法であって、
    前記親杭側コンクリート体設置工程は、
    前記親杭の間で一方の親杭に近接した位置に杭打機の掘削用軸部材で第1の孔を掘削する第1の掘削工程と、
    前記第1の孔にセメント系固化剤を注入し攪拌して固化させることで一方の前記親杭側コンクリート体を形成する第1の親杭側コンクリート体形成工程と、
    前記親杭の間で他方の親杭に近接した位置に前記掘削用軸部材で第2の孔を掘削する第2の掘削工程と、
    前記第2の孔にセメント系固化剤を注入し攪拌して固化させることで他方の前記親杭側コンクリート体を形成する第2の親杭側コンクリート体形成工程と、を備えていることを特徴とする山留用コンクリート壁形成方法。
  3. 請求項2に記載の山留用コンクリート壁形成方法であって、
    前記中間コンクリート体設置工程は、前記一方および他方の親杭側コンクリート体の間でこれらの一方および他方の親杭側コンクリート体に一列に連なる1つまたは複数の中間孔を順次掘削する第3の掘削工程と、
    前記中間孔にセメント系固化剤を注入し攪拌して固化させることで前記中間コンクリート体を形成する中間コンクリート体形成工程と、を備えていることを特徴とする山留用コンクリート壁形成方法。
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