JP7276829B2 - 装飾付き浴槽及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、装飾付き浴槽及びその製造方法に関する。
近年、嗜好の高級化傾向から、繊維強化プラスチック(FRP)の成形品である浴槽にも色彩及び模様等の装飾が求められるようになってきた。
特許文献1には、シートモールドコンパウンドからなる繊維強化プラスチックの浴槽において、少なくとも霧化圧を低下させ粒子状に噴霧することにより模様塗装する工程を含む模様付き浴槽の製造方法が記載されている。
特許文献2には、繊維強化プラスチック成形品の装飾所望箇所に硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により半硬化させて下塗り層を形成し、前記下塗り層上に、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性のウレタン樹脂を主な樹脂成分とする印刷インキ被膜または塗料皮膜からなる転写層を有する水圧転写フィルムから前記転写層を水圧転写して装飾層を形成し、水圧転写後の前記成形品を加熱乾燥し、前記装飾層上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により硬化させて透明な硬化樹脂層を形成し、前記成形品を加熱乾燥する工程又前記硬化樹脂層を形成する工程で前記下塗り層を完全硬化させる繊維強化プラスチック成形品の装飾方法が記載されている。
特許文献3には、塗装が施される被塗装部と、この被塗装部に隣接する塗装が施されない非塗装部との境界部分が屈曲部となっている成形品本体の、前記被塗装部と前記非塗装部とに跨がるように前記屈曲部に沿ってシート状またはテープ状をしたマスキング材を成形品本体に貼着するマスキング材貼着工程と、前記屈曲部をガイドにしながら屈曲部の稜線に沿ってマスキング材をカッターによって切断したのち、マスキング材の被塗装部側に貼着された部分を除去するマスキング材除去工程と、非塗装部にマスキング材の残部が貼着された状態で、被塗装部に塗装を施す塗装工程と、を備える加飾成形品の製造方法が記載されている。
特開2000-300454号公報 特開2004-223893号公報 特開2006-075999号公報
浴槽は、スポンジ、ブラシ、スポンジタワシ等の清掃具によって浴槽内がこすられながら清掃される。特許文献1~3に記載された製造方法によって製造した浴槽は、塗膜のエッジ部分で浴槽本体との間に若干の段差がどうしても生じる。そのため、清掃の際に、清掃具によって、塗膜のエッジにピーリング方向の力が加わり、塗膜が剥がれてしまう恐れがあった。
また、特許文献2、3に記載された製造方法は、水圧転写印刷法を用いて浴槽本体に直接塗装を施すため、生産性の向上に限界があった。
本発明は、浴槽本体に直接噴霧塗装を施すことによって生産性よく製造でき、かつ、スポンジ、ブラシ、スポンジタワシ等の清掃具を用いた清掃時においても塗膜のエッジにピーリング方向の力が加わりにくい装飾付き浴槽及びこの装飾付き浴槽を精度よく製造できる装飾付き浴槽の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の構成によって解決される。
[1] 浴槽本体の表面の少なくとも一部に噴霧塗膜を有する装飾付き浴槽であって、前記浴槽本体は、浴水収容部と、前記浴水収容部の上端部から外側に張り出し、前記浴水収容部の上端部を周回する段部と、前記段部の周縁から上方に立ち上がる浴槽上縁部とを有し、前記浴槽上縁部と前記段部との間に第1の屈曲部が存在し、前記浴水収容部と前記段部との間に第2の屈曲部が存在し、前記第1の屈曲部の屈曲中央から前記第2の屈曲部の屈曲中央までの間の位置から、前記浴水収容部の上端部にかけて、第1の噴霧塗膜が設けられ、前記第2の屈曲部の屈曲中央から前記第1の屈曲部の屈曲中央までの間の位置から、前記浴槽上縁部の下端部にかけて、第2の噴霧塗膜が設けられ、前記段部において、前記第1の噴霧塗膜と前記第2の噴霧塗膜とは、少なくとも一部に重なりを有し、前記重なりにおいて、前記第1の噴霧塗膜は前記第2の噴霧塗膜よりも前記段部の表面の近くに位置する、装飾付き浴槽。
[2] 前記第1の噴霧塗膜と前記第2の噴霧塗膜との重なり幅が0.1mm以上である、[1]に記載の装飾付き浴槽。
[3] 浴槽本体の表面の少なくとも一部に噴霧塗膜を有する装飾付き浴槽の製造方法であって、前記浴槽本体は、浴水収容部と、前記浴水収容部の上端部から外側に張り出し、前記浴水収容部の上端部を周回する段部と、前記段部の周縁から上方に立ち上がり、次いで外方に張り出す浴槽上縁部とを有し、前記浴槽上縁部と前記段部との間に第1の屈曲部が存在し、前記浴水収容部と前記段部との間に第2の屈曲部が存在し、(a)前記浴槽上縁部の下端部から前記段部にかけて第1のマスキング材を貼り付け、前記第1の屈曲部をガイドにしながら前記第1の屈曲部の稜線に沿って第1のマスキング材をカッターによって切断し、(b)前記第1のマスキング材の前記段部に貼り付けられた部分を除去し、(c)前記浴槽上縁部の下端部から前記浴水収容部の上端部にかけて第1の塗料を噴霧塗装して第1の噴霧塗膜を形成し、(d)前記第1のマスキング材の前記浴槽上縁部の下端部に貼り付けられた部分を除去し、(e)前記第1の屈曲部の屈曲中央から前記第2の屈曲部の屈曲中央までの間の位置から前記浴水収容部の上端部にかけて第2のマスキング材を貼り付け、(f)前記浴水収容部の上端部から前記浴槽上縁部の下端部にかけて第2の塗料を噴霧塗装して第2の噴霧塗膜を形成し、(g)前記第2のマスキング材を除去する、装飾付き浴槽の製造方法。
[4] 前記第1の噴霧塗膜と前記第2の噴霧塗膜との重なり幅が0.1mm以上である、[3]に記載の装飾付き浴槽の製造方法。
本発明によれば、浴槽本体に直接噴霧塗装を施すことによって生産性よく製造でき、かつ、スポンジ、ブラシ、スポンジタワシ等の清掃具を用いた清掃時においても塗膜のエッジにピーリング方向の力が加わりにくい装飾付き浴槽及びこの装飾付き浴槽を精度よく製造できる装飾付き浴槽の製造方法を提供できる。
本発明の装飾付き浴槽の本体の一例を表す平面図である。 図1のX-X線断面を模式的に表す断面図である。 図1の浴槽本体への塗装方法を図2のY部を拡大した断面で工程順に説明する説明図である。 本発明の装飾付き浴槽の浴室への取付け状態を表す斜視図である。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は両端の値を含むものとする。
本明細書において、「噴霧塗膜」とは、塗料を噴霧塗装して形成した塗膜をいうものとする。
以下では、図を適宜参照しながら、本発明の装飾付き浴槽及びその製造方法の実施形態を説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能である。
[装飾付き浴槽]
本発明の装飾付き浴槽Aは、浴槽本体1の表面の少なくとも一部に噴霧塗膜6を有する(図4)。
浴槽本体1は、浴水収容部3と、浴水収容部3の上端部から外側に張り出し、浴水収容部3の上端部を周回する段部4と、段部4の周縁から上方に立ち上がり、次いで外方に張り出す浴槽上縁部2とを有する(図1、図4)。
浴水収容部3は、浴水を溜める容体であり、浴水収容部3の上端が開口している。ただし、浴水は浴水収容部3のみに溜められるわけではなく、浴水の水面は、段部4、さらには浴槽上縁部2に達していてもよいし、浴水収容部3の上端部よりも低くてもよい。
浴槽上縁部2と段部4との間に第1の屈曲部41が存在し、浴水収容部3と段部4との間には第2の屈曲部42が存在する(図2)。
第1の屈曲部41の屈曲中央から第2の屈曲部42の屈曲中央までの間の位置から、浴水収容部3の上部33にかけて、第1の噴霧塗膜61が設けられている(図3(g)、図4)。
第2の屈曲部42の屈曲中央から第1の屈曲部41の屈曲中央までの間の位置から、浴槽上縁部2の下部23にかけて、第2の噴霧塗膜62が設けられている(図3(g)、図4)。
段部4において、第1の噴霧塗膜61と第2の噴霧塗膜62とは、少なくとも一部に重なりを有し、当該重なりにおいて、第1の噴霧塗膜61は第2の噴霧塗膜62よりも段部4の表面の近くに位置する(図3(g))。
第1の噴霧塗膜61と第2の噴霧塗膜62との重なり幅は、0.1mm以上が好ましい。上限は特に限定されないが、段部4の幅以下が好ましい。
浴槽本体1は、特に限定されないが、FRP製一体成形品が好ましく、シリコンモールドコンパウンド(SMC)材料をプレス成型又はハンドレイアップ法によって製造されるものがより好ましい。
段部4の幅は、特に限定されないが、1~10mmが好ましく、1~5mmがより好ましく、3mm程度がさらに好ましい。第1の噴霧塗膜61と第2の噴霧塗膜62との重なり幅を確実に確保できる。
第1の屈曲部41は、横断面が1~10mmRの湾曲形状に形成されていることが好ましく、2~5mmRの湾曲形状に形成されていることがより好ましく、約3mmRの湾曲形状に形成されていることがさらに好ましい(図2)。
第2の屈曲部42は、横断面が1~10mmRの湾曲形状に形成されていることが好ましく、2~5mmRの湾曲形状に形成されていることがより好ましく、約3mmRの湾曲形状に形成されていることがさらに好ましい(図2)。
屈曲部の曲率がこの範囲内であると、段部を設けたことによる違和感をよりよく緩和できるとともに、カッターのみでマスキング材を屈曲部の稜線に沿ってカットしやすくなる。
浴槽上縁部2の下部23と段部4とのなす角θの大きさは、特に限定されないが、90~150°が好ましく、93~120°がより好ましい(図2)。θの大きさがこの範囲内であると、スポンジ等の洗浄具により装飾付き浴槽を清掃する際に、噴霧塗膜6の塗膜端部にピーリング方向の力がより働きにくく、噴霧塗膜が剥がれるおそれをより低減できる。
段部4と浴水収容部3の上部33とのなす角θの大きさは、特に限定されないが、90~150°が好ましく、93~120°がより好ましい(図2)。θの大きさがこの範囲内であると、スポンジ等の洗浄具により装飾付き浴槽を清掃する際に、噴霧塗膜6の塗膜端部にピーリング方向の力がより働きにくく、噴霧塗膜が剥がれるおそれをより低減できる。
θとθの差|θ-θ|は、0~15°が好ましく、0~5°がより好ましい。
噴霧塗膜6(第1の噴霧塗膜61、第2の噴霧塗膜62)を形成する塗料は、特に限定されないが、アクリル系塗料、ウレタン系塗料、アクリルウレタン系塗料等、浴槽に噴霧塗装できるものであれば特に限定されない。第1の噴霧塗膜61を形成する塗料と第2の噴霧塗膜62を形成する塗料とは、同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
[装飾付き浴槽の製造方法]
本発明の装飾付き浴槽Aの製造方法は、浴槽本体1の表面の少なくとも一部に噴霧塗膜を有する装飾付き浴槽の製造方法であり、以下の(a)~(g)の工程を備える。
<浴槽本体>
浴槽本体1は、上述したとおりであり、浴水収容部3と、浴水収容部3の上端部から外側に張り出し、前記浴水収容部の上端部を周回する段部と、前記段部の周縁から上方に立ち上がり、次いで外方に張り出す浴槽上縁部とを有する(図1、図4)。
浴槽本体1において、浴槽上縁部2と段部4との間に第1の屈曲部が存在し、浴水収容部3と段部4との間に第2の屈曲部が存在する(図2)。
<工程(a)>
工程(a)は、浴槽上縁部2の下部23から段部4にかけて第1のマスキング材51を貼り付け、第1の屈曲部41をガイドにしながら第1の屈曲部41の稜線に沿って第1のマスキング材51をカッターCによって切断する工程である。
図3(a)に示すように、第1の屈曲部41の稜線に沿って浴槽上縁部2の下部23と段部4とに跨った状態で浴槽本体1に第1のマスキング材51を浴槽本体1のない壁面全周にわたって貼り付ける。
第1のマスキング材51にカッターCの刃先を押し当てて、第1の屈曲部41の稜線に沿って第1のマスキング材51を切断する。
マスキング材としては、例えば、マスキングテープ、マスキングゾル等が挙げられる。
<工程(b)>
工程(b)は、断片51bを除去する工程である。
図3(b)に示すように、断片51aと断片51bとに分割された後、断片51bを剥がして、段部4の表面を露出させる。
<工程(c)>
工程(c)は、浴槽上縁部2の下部23から浴水収容部3の上部33にかけて第1の塗料を噴霧塗装して第1の噴霧塗膜61を形成する工程である。
図3(c)に示すように、浴槽上縁部2の下部23、段部4、浴水収容部3の上部33の上に第1の塗料を噴霧塗装して塗膜を形成する。噴霧塗装の方法は、特に限定されず、従来公知の噴霧塗装の方法を用いることができる。第1の塗料を噴霧塗装した後、加熱乾燥炉内で塗料を硬化させることが好ましい。
第1の塗料は、浴槽の噴霧塗装に使用できるものであれば特に限定されないが、アクリル系塗料、ウレタン系塗料又はアクリルウレタン系塗料が好ましい。
第1の塗料を噴霧塗装する前に、被塗装面の処理を行ってもよい。被塗装面の処理としては、例えば、粗面化処理、プライマー塗料の塗布等が挙げられる。
第1の噴霧塗膜は2層以上からなるものとしてもよい。各層で同じ種類の塗料を用いてもよいし、異なる種類の塗料を用いてもよい。
第1の噴霧塗膜61の厚みは、特に限定されないが、5~200μmが好ましく、10~100μmがより好ましい。
<工程(d)>
工程(d)は、断片51aを除去する工程である。
図3(d)に示すように、断片51aをその上に形成された塗膜とともに剥がして、浴槽上縁部2の下部23の表面を露出させる。
断片51aを剥がす際には、段部4から浴水収容部3の上部33にかけて形成されている第1の噴霧塗膜61まで剥がさないように、「第1の噴霧塗膜61のガラス転移温度-30℃」以上の温度範囲で行うことが好ましい。
<工程(e)>
工程(e)は、第1の屈曲部41の屈曲中央から第2の屈曲部42の屈曲中央までの間の位置から、浴水収容部3の上部33にかけて第2のマスキング材52を貼り付ける工程である。
図3(e)に示すように、浴水収容部3の上部33に第2のマスキング材52を貼り付ける。図3(e)では、第2のマスキング材52は、浴水収容部3の上部33から第2の屈曲部42の屈曲中央までを覆っているが、第1の屈曲部41の屈曲中央から第2の屈曲部42の屈曲中央までの間に延長してもよい。なお、第1の屈曲部41の屈曲中央から第2の屈曲部42の屈曲中央までの間には、第1の屈曲部41の屈曲中央及び第2の屈曲部42の屈曲中央を含む。
<工程(f)>
工程(f)は、浴水収容部3の上部33から浴槽上縁部2の下部23にかけて第2の塗料を噴霧塗装して第2の噴霧塗膜62を形成する工程である。
図3(f)に示すように、浴槽上縁部2の下部23、段部4、浴水収容部3の上部33の上に第2の塗料を噴霧塗装して塗膜を形成する。噴霧塗装の方法は、特に限定されず、従来公知の噴霧塗装の方法を用いることができる。第2の塗料を噴霧塗装した後、加熱乾燥炉内で塗料を硬化させることが好ましい。
第2の噴霧塗膜62が第1の噴霧塗膜61の一部と重なるように、第2の塗料を噴霧塗装する。第2の噴霧塗膜62と第1の噴霧塗膜61との重なりは、0.1mm以上が好ましい。上限は特に限定されないが、段部4の幅以下が好ましい。
第2の塗料は、浴槽の噴霧塗装に使用できるものであれば特に限定されないが、アクリル系塗料、ウレタン系塗料又はアクリルウレタン系塗料が好ましい。
第2の塗料は、第1の塗料と同じ種類の塗料を用いてもよいし、異なる種類の塗料を用いてもよい。
第2の塗料を噴霧塗装する前に、被塗装面の処理を行ってもよい。被塗装面の処理としては、例えば、粗面化処理、プライマー塗料の塗布、溶剤の噴霧による第1の噴霧塗膜61の表面の粗化等が挙げられる。
第2の噴霧塗膜は2層以上からなるものとしてもよい。各層で同じ種類の塗料を用いてもよいし、異なる種類の塗料を用いてもよい。
第2の噴霧塗膜62の厚みは、特に限定されないが、5~200μmが好ましく、10~100μmがより好ましい。
<工程(g)>
工程(g)は、第2のマスキング材52を除去する工程である。
図3(g)に示すように、第2のマスキング材52をその上に形成された塗膜とともに剥がして、第2の噴霧塗膜62を形成していない部分を露出させる。
第2のマスキング材52を剥がす際には、段部4から浴槽上縁部2の下部23にかけて形成されている第2の噴霧塗膜62まで剥がさないように、「第2の噴霧塗膜62のガラス転移温度-30℃」以上の温度範囲で行うことが好ましい。
この後、噴霧塗膜の上に撥水性や親水性の膜であるトップコートを形成してもよい。
<作用効果>
本発明の装飾付き浴槽の製造方法は、屈曲部をガイドにしながら屈曲部の稜線に沿ってマスキング材をカッターによって切断するようにしたので、マスキング材が第1の塗料の被塗装部の境界線に沿って容易かつ正確に貼着される。また、本発明の装飾付き浴槽の製造方法は、水圧転写印刷法ではなく、浴槽本体に直接噴霧塗装することによって模様、色彩等の装飾を付ける。そのため、生産性よく、装飾付き浴槽を製造できる。
第2の噴霧塗膜が第1の屈曲部41の屈曲中央から第2の屈曲部42の屈曲中央までの間で第1の噴霧塗膜の上に位置するので、清掃の際に、清掃具によって、塗膜のエッジにピーリング方向の力が加わりにくく、噴霧塗膜が剥がれにくい。なお、一般的に、段部4と浴水収容部3の上部33とのなす角を含む入隅が一番強く清掃具で擦られ、次に浴槽上縁部2の下部23と段部4とのなす角を含む出隅が次に強く清掃具で擦られ、段部4を含むほぼ平坦面は比較的弱く清掃具で擦られる。特に段部4の幅は狭く、浴水収容部3の側壁面より上向きなので、より力が段部4にかからない。
本発明の装飾付き浴槽は、浴槽清掃時のスポンジ、ブラシ、スポンジタワシ等の接触による塗膜のピーリング、入浴時の人体の接触による塗膜のピーリングが低減されているので、浴槽の耐久性が高い。
A 装飾付き浴槽
BR 浴室
C カッター
1 浴槽本体
2 浴槽上縁部
23 浴槽上縁部2の下部
3 浴水収容部
33 浴水収容部3の上部
4 段部
41 第1の屈曲部
42 第2の屈曲部
51 第1のマスキング材
51a、51b 断片
52 第2のマスキング材
6 噴霧塗膜
61 第1の噴霧塗膜
62 第2の噴霧塗膜

Claims (4)

  1. 浴槽本体の表面の少なくとも一部に噴霧塗膜を有する装飾付き浴槽であって、
    前記浴槽本体は、浴水収容部と、前記浴水収容部の上端部から外側に張り出し、前記浴水収容部の上端部を周回する段部と、前記段部の周縁から上方に立ち上がる浴槽上縁部とを有し、
    前記浴槽上縁部と前記段部との間に第1の屈曲部が存在し、
    前記浴水収容部と前記段部との間に第2の屈曲部が存在し、
    前記第1の屈曲部の屈曲中央から前記第2の屈曲部の屈曲中央までの間の位置から、前記浴水収容部の上端部にかけて、第1の噴霧塗膜が設けられ、
    前記第2の屈曲部の屈曲中央から前記第1の屈曲部の屈曲中央までの間の位置から、前記浴槽上縁部の下端部にかけて、第2の噴霧塗膜が設けられ、
    前記段部において、前記第1の噴霧塗膜と前記第2の噴霧塗膜とは、少なくとも一部に重なりを有し、前記重なりにおいて、前記第1の噴霧塗膜は前記第2の噴霧塗膜よりも前記段部の表面の近くに位置する、
    装飾付き浴槽。
  2. 前記第1の噴霧塗膜と前記第2の噴霧塗膜との重なり幅が0.1mm以上である、請求項1に記載の装飾付き浴槽。
  3. 浴槽本体の表面の少なくとも一部に噴霧塗膜を有する装飾付き浴槽の製造方法であって、
    前記浴槽本体は、浴水収容部と、前記浴水収容部の上端部から外側に張り出し、前記浴水収容部の上端部を周回する段部と、前記段部の周縁から上方に立ち上がり、次いで外方に張り出す浴槽上縁部とを有し、
    前記浴槽上縁部と前記段部との間に第1の屈曲部が存在し、
    前記浴水収容部と前記段部との間に第2の屈曲部が存在し、
    (a) 前記浴槽上縁部の下端部から前記段部にかけて第1のマスキング材を貼り付け、前記第1の屈曲部をガイドにしながら前記第1の屈曲部の稜線に沿って第1のマスキング材をカッターによって切断し、
    (b) 前記第1のマスキング材の前記段部に貼り付けられた部分を除去し、
    (c) 前記浴槽上縁部の下端部から前記浴水収容部の上端部にかけて第1の塗料を噴霧塗装して第1の噴霧塗膜を形成し、
    (d) 前記第1のマスキング材の前記浴槽上縁部の下端部に貼り付けられた部分を除去し、
    (e) 前記第1の屈曲部の屈曲中央から前記第2の屈曲部の屈曲中央までの間の位置から前記浴水収容部の上端部にかけて第2のマスキング材を貼り付け、
    (f) 前記浴水収容部の上端部から前記浴槽上縁部の下端部にかけて第2の塗料を噴霧塗装して第2の噴霧塗膜を形成し、
    (g) 前記第2のマスキング材を除去する、
    装飾付き浴槽の製造方法。
  4. 前記第1の噴霧塗膜と前記第2の噴霧塗膜との重なり幅が0.1mm以上である、請求項3に記載の装飾付き浴槽の製造方法。
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