JP4463398B2 - 模様付きプラスチック製装飾体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、意匠外観面を形成する表面側に特定の模様を有するプラスチック製装飾体に関するものであり、特に、水圧転写手段等にて所定の模様層の設けられたプラスチック成形体における、その模様層の保護手段として設けられるクリアコート層の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の模様付きプラスチック製成形品、例えば水圧転写手段にて模様層の設けられるもの等にておいては、当該模様層の保護のために、上記水圧転写された模様層の上に透明体からなる塗料を塗布し、これによってクリアコート層を形成させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記クリアコート層の形成は、一般に、2液型のアクリルウレタン系樹脂塗料を塗布するとともに、これを強制乾燥させることによって行なわれるようになっているものである。そして、このような工程を複数サイクル行なうことによって所定の表面硬度を有するクリアコート層を形成させるようにしているものである。このようなクリアコート層の形成に当っては、強制乾燥工程において可成りの時間を要するものであり、生産性が良くないと言う問題点がある。また、上記強制乾燥工程中において、塗料表面に、塵あるいは埃等の微細ごみの付着するおそれがあるため、作業現場周りをクリーン状態に保持する必要がある等の問題点を有する。このような問題点を解決するために、クリアコート層の形成に用いられる塗料を紫外線硬化型のものからなるようにするとともに、中間部に比較的柔らかな層を設けるようにした模様付きのプラスチック製装飾体を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、プラスチック製成形体からなるコア部材と、当該コア部材の表面部に設けられるものであって水圧転写手段にて所定の模様を有するように形成された模様層と、当該模様層の外表面部に設けられるものであって、透明体からなり、かつ、軟質成分を主体とするプラスチック材にて形成されるプライマ層と、当該プライマ層の外表面部に設けられるものであって紫外線硬化型の透明プラスチック体からなり、かつ、硬化後において上記プライマ層よりも硬い性状を有する物体にて形成されるハードコート層と、からなるようにするとともに、上記プライマ層をアクリル樹脂系ラッカの塗布またはアクリル樹脂系紫外線硬化型塗料の塗布にて形成させるようにした構成を採ることとした。
【0005】
このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、最表面部には表面硬度の比較的硬いハードコート層が設けられることによって表面部の傷付きが防止されるとともに、その内側には比較的柔らかく、かつ、弾力性のあるプライマ層が設けられることにより、表面層のヒビ割れ現象等が避けられることとなる。また、紫外線硬化型の塗料を用いることによって硬化時間を著しく短縮化することができるようになる。これによって、生乾き状態の塗料上に塵や埃等が付着するのを防止することができるようになる。
【0006】
また、本発明においては、模様付きプラスチック製装飾体に関して、上記プライマ層をアクリル樹脂系ラッカの塗布にて形成させるようにするとともに、上記ハードコート層をアクリルウレタン系樹脂材からなる塗料の塗布にて形成するようにした構成を採ることとした。このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、プライマ層に比較的コストの安いアクリル樹脂系ラッカを使用することができるようになり、本プラスチック製装飾体全体の製造コストの低減化を図ることができるようになる。また、プライマ層がラッカからなるものであるので、その乾燥が比較的短時間のうちに行なわれることとなり、全体の製造工程(時間)の短縮化を図ることができるようになる。
【0007】
また、本発明においては、模様付きプラスチック製装飾体に関して、上記プライマ層を、アクリル樹脂系紫外線硬化型塗料の塗布にて形成させるようにした構成を採ることとした。このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、プライマ層の硬化工程(予備乾燥工程)を短時間にて完了させることができるようになり、本製造工程全体の短縮化を図ることができるようになる。すなわち、本発明のものにおいては、プライマ層を形成する樹脂製塗料を塗布した後、この表面に紫外線を照射することによって、本プライマ層を形成する塗料を直ちに硬化させることができるようになる。従って、これに続いてハードコート層を形成する塗料を直ちに塗布することができるようになり、塗布工程を含む全製造工程の短縮化を図ることができるようになる。その結果、製造コストの低減化を図ることができるようになる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1及び図2を基に説明する。本実施の形態に関するものの、その構成は、図1に示す如く、所定のプラスチック製成形体からなるコア部材5と、当該コア部材5の外表面部に水圧転写手段等の印刷手段にて設けられるものであって所定の模様を有する模様層3と、当該模様層3の外表面部に設けられるものであって軟質成分を主体とする透明プラスチック材にて形成されるプライマ層2と、当該プライマ層2の外表面部に設けられるものであって紫外線硬化型の透明プラスチック材にて形成され、かつ、硬化後においては上記プライマ層2よりも硬い表皮層を有するように形成されるハードコート層1と、からなることを基本とするものである。このように、本実施の形態のものの特徴とするところは、プラスチック成形体等からなるコア部材5の表面側に水圧転写手段等にて設けられた模様層3を保護するためのクリアコート層の形成に関するものである。なお、ここに採用されるクリアコート層は、有色透明体あるいは無色透明体の、いずれからなるものであっても良い。
【0009】
このような基本構成からなるものにおいて、その具体的な形成工程(手順)について、図2を基に説明する。まず、図2(A)のプライマ塗布工程において、所定のプライマ塗布手段81を用いて模様層3の表面側に透明体からなる所定のプライマ塗料を塗布する。このプライマ塗料としては、一般的には、速乾性の塗料であるアクリル樹脂系のラッカが用いられ、このような塗料がプライマ塗布手段81を形成する所定の吹付け装置等にて吹付けられる。また、場合によっては、次のプライマ乾燥工程(B)を短縮化するために、プライマ塗料として、透明体からなるものであって紫外線硬化型のアクリル樹脂系塗料が採用される場合がある。このようなプライマ塗料は、軟質成分を主体に形成されるものであって乾燥後における表面硬度値が、鉛筆芯硬度表示法におけるHBからHの範囲内に含まれるものである。このように比較的柔らかなプライマ層2を設けることによって模様層3の保護膜を形成するクリアコート層の剥離あるいは脱落等を防止することができるようになる。
【0010】
このようなプライマ層2の塗布されたものが、次のプライマ乾燥工程(B)において、所定の予備乾燥手段91からの赤外線(熱線)照射を受けて、所定の状態に乾燥が成される。この場合、上記プライマ塗料がアクリル樹脂系ラッカからなるものである場合には、所定の熱線照射により適当な時間内にプライマ塗料の乾燥が行なわれることとなる。また、プライマ塗料が紫外線硬化型のもの、例えばアクリル樹脂系紫外線硬化型塗料からなるものである場合には、上記予備乾燥手段91としては紫外線照射装置が用いられることとなる。これによって、プライマ塗料の乾燥時間が、より短縮化されることとなる。
【0011】
次に、このようにしてプライマ層2の形成された、その表面部のところには、図2の(C)に示す如く、ハードコート層1を形成することとなる所定の塗料が所定の吹付け装置等からなるハードコート塗料塗布手段82にて塗布されることとなる。なお、ここに用いられる塗料は、透明体からなるものであって、紫外線硬化型塗料、例えばアクリル樹脂系の塗料等からなるものである。そして、この場合のアクリル樹脂系塗料は、硬化後においては、上記プライマ層2よりも、その表面硬度において硬い性状を呈するものが採用されるようになっている。具体的には、鉛筆芯の硬度表示法において2Hから4Hの範囲内に含まれるものである。
【0012】
そして、このような所定の紫外線硬化型塗料の塗布された状態のものが、次のハードコート層硬化工程(D)にて、所定の硬化処理が成されることとなる。具体的には、所定の紫外線照射手段92からの紫外線照射により上記ハードコート層1の表面硬化が成される。これによって、当該ハードコート層1を形成する塗料は短時間のうちに硬化し、所定の表面硬度を有するハードコート層1が形成されることとなる。すなわち、表面硬度が2Hから4Hの比較的硬い表面層が形成されることとなり、表面の傷付き等が抑止されることとなる。従って、模様層3の保護が図られることとなる。また、このようなハードコート層1の形成(乾燥工程)は、上記の如く、紫外線硬化型塗料への紫外線の照射にて行なわれるようになっていることより、比較的短時間のうちに諸作業が完了することとなり、作業の効率化が図られるとともに、生乾き状態の塗料表面部への塵や埃の付着等が抑止されることとなる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、意匠外観面を形成する表面側に特定の模様を有するプラスチック製装飾体に関して、プラスチック製成形体からなるコア部材と、当該コア部材の表面部に設けられるものであって所定の模様を有する模様層と、当該模様層の外表面部に設けられるものであって、透明体からなり、かつ、軟質成分を主体とするプラスチック材にて形成されるプライマ層と、当該プライマ層の外表面部に設けられるものであって紫外線硬化型の透明プラスチック体からなり、かつ、硬化後において上記プライマ層よりも硬い性状を有する物体にて形成されるハードコート層と、からなる構成を採ることとしたので、最表面部には表面硬度の比較的硬いハードコート層が設けられることによって表面部の傷付きが防止されるとともに、その内側には比較的柔らかく、かつ、弾力性のあるプライマ層が設けられることにより、表面層(ハードコート層)のヒビ割れ現象等が防止されるようになった。また、紫外線硬化型の塗料を用いることによって硬化時間を著しく短縮化することができるようになり、これによって、生産性の向上を図ることができるようになるとともに、生乾き状態の塗料上に塵や埃等が付着するのを防止することができるようになった。
【0014】
また、上記プライマ層をアクリル樹脂系ラッカの塗布にて形成するようにするとともに、上記ハードコート層をアクリルウレタン系樹脂材からなる塗料の塗布にて形成するようにしたものにおいては、プライマ層に比較的コストの安いアクリル樹脂系ラッカを使用することができるようになり、本プラスチック製装飾体全体の製造コストの低減化を図ることができるようになった。また、プライマ層がラッカからなるものであるので、その乾燥が比較的短時間のうちに行なわれることとなり、全体の製造工程(時間)の短縮化を図ることができるようになった。
【0015】
また、上記プライマ層を、アクリル樹脂系紫外線硬化型塗料の塗布にて形成させるようにしたものにおいては、プライマ層の硬化工程(乾燥工程)を更に短縮化することができるようになり、本製造工程全体の短縮化を図ることができるようになった。すなわち、本発明のものにおいては、プライマ層を形成する樹脂製塗料を塗布した後、この表面に紫外線を照射することによって本プライマ層を形成する塗料を直ちに硬化させることができるようになるので、これに続いてハードコート層を形成する塗料を直ちに塗布することができるようになり、塗布工程を含む全製造工程の短縮化を図ることができるようになった。その結果、生産性の向上を図ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる模様付きプラスチック製装飾体の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる模様付きプラスチック製装飾体を形成する模様保護層(クリアコート層)の、その形成工程(製造工程)を示す図である。
【符号の説明】
1 ハードコート層
2 プライマ層
3 模様層
5 コア部材
81 プライマ塗布手段
82 ハードコート塗料塗布手段
91 予備乾燥手段
92 紫外線照射手段

Claims (1)

  1. プラスチック製成形体からなるコア部材と、当該コア部材の表面部に設けられるものであって水圧転写手段にて所定の模様を有するように形成された模様層と、当該模様層の外表面部に設けられるものであって、透明体からなり、かつ、軟質成分を主体とするプラスチック材にて形成されるプライマ層と、当該プライマ層の外表面部に設けられるものであって紫外線硬化型の透明プラスチック体からなり、かつ、硬化後において上記プライマ層よりも硬い性状を有する物体にて形成されるハードコート層と、からなるようにするとともに、上記プライマ層をアクリル樹脂系ラッカの塗布またはアクリル樹脂系紫外線硬化型塗料の塗布にて形成させるようにしたことを特徴とする模様付きプラスチック製装飾体。
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