JP7276668B2 - 軟磁性合金粉末、磁気コア、磁性部品および電子機器 - Google Patents

軟磁性合金粉末、磁気コア、磁性部品および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、軟磁性合金粉末、磁気コア、磁性部品および電子機器に関する。
近年、電子・情報・通信機器等、特に電子機器において低消費電力化および高効率化が求められている。さらに、低炭素化社会へ向け、上記の要求が一層強くなっている。そのため、電子・情報・通信機器等、特に電子機器の電源回路にも、エネルギー損失の低減や電源効率の向上が求められている。
ここで、電源回路のエネルギー損失の低減や電源効率の向上のためには、電源回路に用いられる磁気コアの比透磁率を高くすることが求められる。また、磁気コアの比透磁率を高くするためには、軟磁性合金粉末を高密度で充填して磁気コアを作製することが有効であることが知られている。軟磁性合金粉末を高密度で充填する方法としては、特許文献1、2に記載の方法が有効であることが知られている。
特許文献1には、球形度の高い軟磁性合金粉末を用いることで比透磁率が優れたインダクタを製造できる旨、記載されている。
特許文献2には、粒径の異なる2種類の粒子を用い、かつ、2種類の粒子の粒径比を特定の範囲内とすることで、粒子が高密度で充填され比透磁率が向上する旨、記載されている。
特開2010-212442号公報 特開2011-192729号公報
また、軟磁性合金粉末を成形して磁気コアを得るときの圧力を高くすることによっても、軟磁性合金粉末を高密度で充填することが可能である。しかし、成形時の圧力を高圧にして軟磁性合金粉末を高密度で充填しようとすると、軟磁性合金粉末内部に歪が発生する。このため、磁気コアの保磁力が増大し、比透磁率が低下してしまう問題があった。
本発明は、加圧による比透磁率の低下が抑制された磁気コアを得ることができる軟磁性合金粉末を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の軟磁性合金粉末は、
組成式(Co(1-(α+β))X1αX2β(1-(a+b+c+d+e))SiCr(原子数比)からなる主成分を有する軟磁性合金粉末であって、
X1はFeおよびNiからなる群から選択される1つ以上、
X2はAl,Mn,Ag,Zn,Sn,As,Sb,Cu,Bi,N,O,C,Sおよび希土類元素からなる群より選択される1つ以上、
MはNb,Hf,Zr,Ta,Mo,W,TiおよびVからなる群から選択される1つ以上であり、
0<a≦0.140
0.160<b≦0.250
0≦c≦0.200
0≦d≦0.250
0≦e≦0.030
0.160<b+c+d+e≦0.430
0.500<1-(a+b+c+d+e)<0.840
α≧0
β≧0
0≦α+β≦0.50
であり、
前記軟磁性合金粉末に圧力Xを加えた際の保磁力をYとして、XとYとの関係を最小二乗法により線形近似して得られた直線をY=kX+lとして表したとき、k(単位:Oe/MPa)が0≦k≦0.00100である。
本発明に係る軟磁性合金粉末は、上記の組成を有し、kが上記の範囲内である。本発明に係る軟磁性合金粉末を用いることにより、加圧による比透磁率の低下が抑制された磁気コアを提供することができる。
本発明に係る軟磁性合金粉末は、非晶質からなる構造を有してもよい。
本発明に係る軟磁性合金粉末は、ヘテロアモルファスからなる構造を有してもよい。
本発明に係る軟磁性合金粉末は、ナノ結晶からなる構造を有してもよい。
本発明に係る磁気コアは上記の軟磁性合金粉末を含む。
本発明に係る磁性部品は、上記の磁気コアを含む。
本発明に係る電子機器は、上記の磁性部品を含む。
X線結晶構造解析により得られるチャートの一例である。 図1のチャートをプロファイルフィッティングすることにより得られるパターンの一例である。 金属粉末製造装置の模式図である。 図3Aの要部拡大模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の軟磁性合金粉末は、組成式(Co(1-(α+β))X1αX2β(1-(a+b+c+d+e))SiCr(原子数比)からなる主成分を有する軟磁性合金粉末であって、
X1はFeおよびNiからなる群から選択される1つ以上、
X2はAl,Mn,Ag,Zn,Sn,As,Sb,Cu,Bi,N,O,C,Sおよび希土類元素からなる群より選択される1つ以上、
MはNb,Hf,Zr,Ta,Mo,W,TiおよびVからなる群から選択される1つ以上であり、
0<a≦0.140
0.160<b≦0.250
0≦c≦0.200
0≦d≦0.250
0≦e≦0.030
0.160<b+c+d+e≦0.430
0.500<1-(a+b+c+d+e)<0.840
α≧0
β≧0
0≦α+β≦0.50
であり、
前記軟磁性合金粉末に圧力Xを加えた際の保磁力をYとして、XとYとの関係を最小二乗法により線形近似して得られた直線をY=kX+lとして表したとき、k(単位:Oe/MPa)が0≦k≦0.00100である。
一般的に、Coを多く含む組成を有する軟磁性合金粉末は、Feを多く含む組成を有する軟磁性合金粉末と比較して保磁力が低い傾向にある。
また、軟磁性合金粉末を成形することで磁気コアを作製することができる。そして、成形時の圧力を高圧にするほど、軟磁性合金粉末を高密度で充填することができる。軟磁性合金粉末を高密度で充填することにより、磁気コアの比透磁率を向上させることができる。
しかし、軟磁性合金粉末を成形して磁気コアを作製する場合において、成形時の圧力を高圧にし、軟磁性合金粉末を高密度で充填しようとすると、磁性体(軟磁性合金粉末)内部に歪が発生する。このため、磁気コアの保磁力が増大し、比透磁率が低下してしまう傾向にある。
本実施形態に係る軟磁性合金粉末は、上記の組成を有し、かつ、軟磁性合金粉末を加圧した場合における保磁力の変化が小さい。具体的には、軟磁性合金粉末に圧力Xを加えた際の保磁力をYとして、XとYとの関係を最小二乗法により線形近似して得られた直線を、Y=kX+lとして表したとき、k(単位:Oe/MPa)が0≦k≦0.00100である。なお、0.00015≦k≦0.00095であってもよい。
kが上記の範囲外である場合には、成形時の圧力が高くなるほど、圧力の上昇に対する磁気コアの比透磁率が上昇する割合が小さくなる。それに対し、kが上記の範囲内である場合には、kが上記の範囲外である場合と比較して、圧力の上昇に対する磁気コアの比透磁率が上昇する割合が小さくなりにくい。すなわち、kが上記の範囲内である軟磁性合金粉末を用いる場合とkが上記の範囲外である軟磁性合金粉末を用いる場合とを比較すれば、成形時の圧力が高くなるほど、得られる磁気コアの比透磁率の差が大きくなる。
また、本実施形態の軟磁性合金粉末を熱処理する場合には、結晶粒径が100nm以下のナノ結晶を析出する場合がある。ナノ結晶を含むか否か、および非晶質を含むか否かは、XRDにより確認することができる。また、TEMを用いて確認することも可能である。
非晶質からなる構造は、非晶質のみを有する構造またはヘテロアモルファスからなる構造である。ヘテロアモルファスからなる構造は、初期微結晶が非晶質中に存在する構造のことである。なお、初期微結晶の平均結晶粒径には特に制限はないが、平均結晶粒径が0.3nm以上10nm以下であってもよい。また、非晶質からなる構造は、XRDにより確認することができる非晶質化率が85%以上である。なお、非晶質のみを有する構造であるか、ヘテロアモルファスからなる構造であるかについてはTEMで確認が可能である。ナノ結晶からなる構造は、ナノ結晶を主に含む構造のことである。結晶(ナノ結晶)からなる構造では、XRDにより確認することができる非晶質化率が85%未満である。また、ナノ結晶からなる構造におけるナノ結晶の平均結晶粒径は5nm以上100nm以下である。ヘテロアモルファスからなる構造およびナノ結晶からなる構造では、結晶粒径が100nmを超える結晶を含まない。なお、本実施形態では、軟磁性合金粉末が非晶質からなる構造を有することが好ましく、ヘテロアモルファスからなる構造を有することが特に好ましい。
本実施形態において、下記式(1)に示す非晶質化率Xが85%以上である軟磁性金属粉末は非晶質のみを有する構造またはヘテロアモルファスからなる構造を有し、非晶質化率Xが85%未満である軟磁性金属粉末は結晶からなる構造を有するとする。
X=100-(Ic/(Ic+Ia)×100)…(1)
Ic:結晶性散乱積分強度
Ia:非晶性散乱積分強度
非晶質化率Xは、軟磁性金属粉末に対してXRDによりX線結晶構造解析を実施し、相の同定を行い、結晶化したFe又は化合物のピーク(Ic:結晶性散乱積分強度、Ia:非晶性散乱積分強度)を読み取り、そのピーク強度から結晶化率を割り出し、上記式(1)により算出する。以下、算出方法をさらに具体的に説明する。
本実施形態に係る軟磁性金属粉末についてXRDによりX線結晶構造解析を行い、図1に示すようなチャートを得る。これを、下記式(2)のローレンツ関数を用いて、プロファイルフィッティングを行い、図2に示すような結晶性散乱積分強度を示す結晶成分パターンα、非晶性散乱積分強度を示す非晶成分パターンα、およびそれらを合わせたパターンαc+aを得る。得られたパターンの結晶性散乱積分強度および非晶性散乱積分強度から、上記式(1)により非晶質化率Xを求める。なお、測定範囲は、非晶質由来のハローが確認できる回析角2θ=30°~60°の範囲とする。この範囲で、XRDによる実測の積分強度とローレンツ関数を用いて算出した積分強度との誤差が1%以内になるようにした。
Figure 0007276668000001
なお、本実施形態の軟磁性合金粉末がナノ結晶を含む場合には、個々の粒子ごとに多数のナノ結晶を含む。すなわち、後述する軟磁性合金粉末の粒子径とナノ結晶の結晶粒径とは異なる。
以下、本実施形態に係る軟磁性合金粉末の各成分について詳細に説明する。
MはNb,Hf,Zr,Ta,Mo,W,TiおよびVからなる群から選択される1つ以上である。
Mの含有量(a)は0<a≦0.140を満たす。0.001≦a≦0.140を満たしてもよい。さらに、0.003≦a≦0.100を満たしてもよく、0.003≦a≦0.040を満たしてもよく、0.020≦a≦0.040を満たしてもよい。Mを含まない場合には、軟磁性合金粉末の保磁力が高くなりすぎ、磁気コアの比透磁率が低下する。aが大きすぎる場合にはkが大きくなりすぎる。そして、軟磁性合金粉末を成形するときの圧力が高い場合であって磁気コアの充填率が同等である場合において、aが上記の範囲内でありkが小さい場合と比較して磁気コアの比透磁率が低下する。
Bの含有量(b)は0.160<b≦0.250を満たす。0.180≦b≦0.250を満たしてもよく、0.180≦b≦0.220を満たしてもよい。bが小さすぎる場合も大きすぎる場合も、kが高くなりすぎる。そして、軟磁性合金粉末を成形するときの圧力が高い場合であって磁気コアの充填率が同等である場合において、bが上記の範囲内でありkが小さい場合と比較して磁気コアの比透磁率が低下する。
Pの含有量(c)は0≦c≦0.200を満たす。すなわち、Pを含有しなくてもよい。0≦c≦0.150を満たしてもよく、0≦c≦0.050を満たしてもよく、0≦c≦0.010を満たしてもよい。cが大きすぎる場合には、kが高くなりする。そして、軟磁性合金粉末を成形するときの圧力が高い場合であって磁気コアの充填率が同等である場合において、cが上記の範囲内でありkが小さい場合と比較して磁気コアの比透磁率が低下する。
Siの含有量(d)は0≦d≦0.250を満たす。すなわち、Siは含有しなくてもよい。0≦d≦0.200を満してもよく、0≦d≦0.100を満たしてもよく、0.050≦d≦0.070を満たしてもよい。dが大きすぎる場合には、kが高くなりすぎる。そして、軟磁性合金粉末を成形するときの圧力が高い場合であって磁気コアの充填率が同等である場合において、dが上記の範囲内でありkが小さい場合と比較して磁気コアの比透磁率が低下する。
Crの含有量(e)は0≦e≦0.030を満たす。すなわち、Crは含有しなくてもよい。0≦e≦0.020を満たしてもよく、0≦e≦0.010を満たしてもよく、0≦e≦0.001を満たしてもよい。eが大きすぎる場合には、kが高くなりすぎる。そして、軟磁性合金粉末を成形するときの圧力が高い場合であって磁気コアの充填率が同等である場合において、eが上記の範囲内でありkが小さい場合と比較して磁気コアの比透磁率が低下する。
また、本実施形態に係る軟磁性合金粉末は、0.160<b+c+d+e≦0.430を満たす。0.180≦b+c+d+e≦0.430を満たしてもよく、0.180≦b+c+d+e≦0.400を満たしてもよい。b+c+d+eが大きすぎる場合には、kが高くなりすぎる。そして、軟磁性合金粉末を成形するときの圧力が高い場合であって磁気コアの充填率が同等である場合において、b+c+d+eが上記の範囲内でありkが小さい場合と比較して磁気コアの比透磁率が低下する。
さらに、本実施形態に係る軟磁性合金粉末は、0.500<1-(a+b+c+d+e)<0.840を満たす。0.550≦1-(a+b+c+d+e)≦0.800を満たしてもよく、0.580≦1-(a+b+c+d+e)≦0.800を満たしてもよい。1-(a+b+c+d+e)が小さすぎる場合は飽和磁束密度が低い傾向にある。1-(a+b+c+d+e)が大きすぎる場合は、保磁力が高い傾向にある。
また、本実施形態の軟磁性合金粉末においては、Coの一部をX1および/またはX2で置換してもよい。
X1はFeおよびNiからなる群から選択される1つ以上である。X1の含有量に関してはα=0でもよい。すなわち、X1は含有しなくてもよい。また、X1の原子数は組成全体の原子数を100at%として40at%以下であってもよい。すなわち、0≦α{1-(a+b+c+d+e)}≦0.400を満たしてもよい。また、0≦α{1-(a+b+c+d+e)}≦0.360を満たしてもよく、0≦α{1-(a+b+c+d+e)}≦0.144を満たしてもよい。また、Feを全く含まない場合よりFeをわずかに含む場合のほうが、保磁力が低下しやすく、比透磁率が高くなりやすくなる。特にCo/Feが原子数比で5以上20以下である場合に保磁力が低下しやすく、比透磁率が高くなりやすくなる。
X2はAl,Mn,Ag,Zn,Sn,As,Sb,Cu,Bi,N,O,C,Sおよび希土類元素からなる群より選択される1つ以上である。X2はAl,Zn,Sn,Cu,Bi,La,Y,N,O,CおよびSからなる群より選択される1つ以上であってもよい。X2の含有量に関してはβ=0でもよい。すなわち、X2は含有しなくてもよい。また、X2の原子数は組成全体の原子数を100at%として5.0at%以下であってもよい。すなわち、0≦β{1-(a+b+c+d+e)}≦0.050を満たしてもよい。
CoをX1および/またはX2に置換する置換量の範囲としては、原子数ベースでCoの半分以下とする。すなわち、0≦α+β≦0.50とする。α+β>0.50の場合には、kが高くなりすぎる。そして、軟磁性合金粉末を成形するときの圧力が高い場合であって磁気コアの充填率が同等である場合において、0≦α+β≦0.50を満たしkが小さい場合と比較して磁気コアの比透磁率が低下する。
なお、本実施形態の軟磁性合金粉末は、上記の主成分に含まれる元素以外の元素を不可避的不純物として比透磁率等の特性に大きな影響を与えない範囲で含んでいてもよい。例えば、軟磁性合金粉末100質量%に対して0.1質量%以下、含んでいてもよい。
以下、本実施形態の軟磁性合金粉末におけるkの測定方法について説明する。まず、加圧した軟磁性合金粉末の作製方法について説明する。
本実施形態の軟磁性合金粉末を2g、秤量する。粉末の量が多すぎても少なすぎても結果が不正確になる可能性がある。
次に、Φ8mmの金型に秤量した粉末を流し込む。金型の径が大きすぎても小さすぎても結果が不正確になる可能性がある。
次に、ハンドプレス機により金型に流し込んだ粉末を特定の圧力Xで30秒加圧する。
次に、金型から加圧した粉末を取り出し、加圧した粉末を得る。
kの測定においては、加圧時の圧力Xが400MPaである粉末、800MPaである粉末、および加圧しない粉末の3種類の粉末を準備する。加圧しない粉末のXを0MPaとする。そして、それぞれの粉末の保磁力(単位:Oe)を測定する。そして、圧力Xを加えた際の保磁力をYとして、XとYとの関係を最小二乗法により線形近似して得られた直線をY=kX+lとして表し、近似直線の傾きであるk(単位:Oe/MPa)を算出する。なお、Xを400MPaまたは800MPaとして30秒加圧しても本実施形態の軟磁性合金粉末が固まることはなかった。
本実施形態では、軟磁性金属粉末の平均粒子径には特に制限はない。例えば5μm以上50μm以下であってもよい。
以下、本実施形態の軟磁性合金粉末の製造方法について説明する。
本実施形態の軟磁性合金粉末の製造方法としては、例えばガスアトマイズ法が挙げられる。
以下、ガスアトマイズ法による軟磁性合金粉末の製造方法について記載する。
本発明者らは、アトマイズ装置として、図3Aおよび図3Bに示すアトマイズ装置を用いる場合には、kが小さい軟磁性金属粉末を得やすくなることを見出した。
図3Aに示すように、アトマイズ装置10は、溶融金属供給部20と、金属供給部20の鉛直方向の下方に配置してある冷却部30とを有する。図面において、鉛直方向は、Z軸に沿う方向である。
溶融金属供給部20は、溶融金属21を収容する耐熱性容器22を有する。耐熱性容器22において、最終的に得られる軟磁性合金粉末の組成となるように秤量された各金属元素の原料が、加熱用コイル24により溶解され、溶融金属21となる。溶解時の温度、すなわち溶融金属21の温度は、各金属元素の原料の融点や溶融金属21の融点を考慮して決定すればよいが、たとえば1200~1600℃とすることができる。
溶融金属21は、吐出口23から冷却部30に向けて、滴下溶融金属21aとして吐出される。吐出された滴下溶融金属21aに向けて、ガス噴射ノズル26から高圧ガスが噴射され、滴下溶融金属21aは、多数の溶滴となり、ガスの流れに沿って筒体32の内面に向けて運ばれる。
ガス噴射ノズル26から噴射されるガスとしては、不活性ガスまたは還元性ガスが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどを用いることができる。還元性ガスとしては、例えば、アンモニア分解ガスなどを用いることができる。しかし、溶融金属21が酸化しにくい金属である場合には、ガス噴射ノズル26から噴射されるガスが空気であってもよい。
筒体32の内面に向けて運ばれた滴下溶融金属21aは、筒体32の内部で逆円錐状に形成してある冷却液流れ50に衝突し、さらに分断され微細化されるとともに冷却固化され、固体状の合金粉末となる。筒体32の軸心Oは、鉛直線Zに対して所定角度θ1で傾斜してある。所定角度θ1としては、特に限定されないが、好ましくは、0~45度である。このような角度範囲とすることで、吐出口23からの滴下溶融金属21aを、筒体32の内部で逆円錐状に形成してある冷却液流れ50に向けて吐出させ易くなる。
筒体32の軸心Oに沿って下方には、排出部34が設けられ、冷却液流れ50に含まれる合金粉末を冷却液と共に、外部に排出可能になっている。冷却液と共に排出された合金粉末は、外部の貯留槽などで、冷却液と分離されて取り出される。なお、冷却液としては、特に限定されないが、冷却水が用いられる。
本実施形態では、滴下溶融金属21aが逆円錐状に形成してある冷却液流れ50に衝突するので、冷却液流れが筒体32の内面33に沿っている場合に比べて、滴下溶融金属21aの溶滴の飛行時間が短縮される。飛行時間が短縮されると、滴下溶融金属21aの溶滴が酸化されにくいので、得られる軟磁性合金粉末の微細化も促進されると共に軟磁性合金粉末の品質も向上する。
本実施形態では、筒体32の内部で、冷却液流れを逆円錐状に形成するために、冷却液を筒体32の内部に導入するための冷却液導入部(冷却液導出部)36における冷却液の流れを制御している。図3Bに、冷却液導入部36の構成を示す。
図3Bに示すように、枠体38により、筒体32の径方向の外側に位置する外側部(外側空間部)44と、筒体32の径方向の内側に位置する内側部(内側空間部)46とが規定される。外側部44と内側部46とは、仕切部40で仕切られ、仕切部40の軸芯O方向の上部に形成してある通路部42で、外側部44と内側部46とは、連絡しており、冷却液が流通可能になっている。
外側部44には、単一または複数のノズル37が接続してあり、ノズル37から冷却液が外側部44に入り込むようになっている。また、内側部46の軸芯O方向の下方には、冷却液吐出部52が形成してあり、そこから内側部46内の冷却液が筒体32の内部に吐出(導出)されるようになっている。
枠体38の外周面は、内側部46内の冷却液の流れを案内する流路内周面38bとなっており、枠体38の下端38aには、枠体38の流路内周面38bから連続し、半径方向の外側に突出している外方凸部38a1が形成してある。したがって、外方凸部38a1の先端と筒体32の内面33との間のリング状の隙間が冷却液吐出部52となる。外方凸部38a1の流路側上面には、流路偏向面62が形成してある。
図3Bに示すように、外方凸部38a1により、冷却液吐出部52の径方向幅D1は、内側部46の主要部における径方向幅D2よりも狭くなっている。D1がD2よりも狭いことにより、内側部46の内部を流路内周面38bに沿って軸芯Oの下方に下る冷却液は、次に、枠体38の流路偏向面62に沿って流れて筒体32の内面33に衝突して反射する。その結果、図3Aに示すように、冷却液は、冷却液吐出部52から筒体32の内部に逆円錐状に吐出され、冷却液流れ50を形成する。なお、D1=D2である場合には、冷却液吐出部52から吐出される冷却液は、筒体32の内面33に沿って冷却液流れを形成する。
D1/D2は、好ましくは2/3以下であり、さらに好ましくは1/2以下であり、最も好ましくは1/10以上である。
なお、冷却液吐出部52から流出する冷却液流れ50は、冷却液吐出部52から軸芯Oに向けて直進する逆円錐流れであるが、渦巻き状の逆円錐流れであってもよい。
また、ガス噴射温度、ガス噴射圧、等は、目的とする軟磁性合金粉末の粒子径により適宜設定すればよい。ガス噴射温度は、例えば室温以上200℃以下であってもよい。ガス噴射圧は、例えば0.5MPa以上19MPa以下であってもよい。
以上の方法により、本実施形態に係る軟磁性合金粉末が得られる。kを好適に制御するためには、この時点では軟磁性合金粉末が非晶質からなり結晶(ナノ結晶)を含まないことが好ましい。
上記のガスアトマイズ法により得られた非晶質からなる軟磁性合金粉末に対して熱処理を行ってもよい。熱処理を行う場合には、例えば、250~600℃、好ましくは250~550℃、さらに好ましくは250~450℃で0.1~2時間、熱処理を行うことで、各粉体同士が焼結し粉体が粗大化することを防ぎつつ元素の拡散を促し、熱力学的平衡状態に短時間で到達させることができ、歪や応力を除去することができる。なお、熱処理により結晶化が進行してもよいが、結晶粒径が100nmを超える結晶が析出しない程度に低い温度で熱処理を行うことが好ましい。また、適度な温度および時間で熱処理を行うことでkを低下させることができ、特に成形時の圧力が高い場合における磁気コアの比透磁率を向上させることができる。なお、この時点でナノ結晶が析出してもよい。ただし、熱処理温度が高すぎる場合や熱処理時間が長すぎる場合には、kが高くなりすぎる。そして、軟磁性合金粉末を成形するときの圧力が高い場合であって磁気コアの充填率が同等である場合において、熱処理温度および熱処理時間が適切でありkが小さい場合と比較して磁気コアの比透磁率が低下する。
本実施形態に係る軟磁性合金粉末の用途には特に制限はなく、高比透磁率が求められる用途に好適に用いられる。例えば、磁気コアが挙げられる。特にパワーインダクタ用の磁気コアとして好適に用いることができる。また、軟磁性合金粉末を用いた磁性部品、例えば薄膜インダクタ、磁気ヘッドにも好適に用いることができる。さらに、当該軟磁性合金粉末を用いた磁気コアや磁性部品は電子機器に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
(実験例1)
Co0.720Nb0.0200.1800.010Si0.070である母合金が得られるように各種材料のインゴットを準備し、秤量した。そして、ガスアトマイズ装置内に配置されたルツボに収容した。
次に、アトマイズ装置10内に配置された耐熱性容器22に母合金を収容した。続いて、筒体32内を真空引きした後、耐熱性容器22外部に設けた加熱用コイル24を用いて、耐熱性容器22を高周波誘導により加熱し、耐熱性容器22中の原料金属を溶融、混合して溶融金属(溶湯)を得た。
得られた溶湯を冷却部30の筐体32内に1500℃のアトマイズ温度で噴射して、アルゴンガスを噴射ガス圧7MPaで噴射することにより、多数の溶滴とした。溶滴は、ポンプ圧10MPaで供給された冷却水により形成された逆円錐状の冷却水流れに衝突して、微細な粉末となり、その後回収された。
なお、図3A、図3Bに示すアトマイズ装置10において、筒体32の内面の内径は300mm、角度θ1は20度であった。また、実験例1では、D1/D2を表1に示す条件とした。
母合金の組成と軟磁性合金粉末の組成とが概ね一致していることをICP分析により確認した。
得られた各軟磁性合金粉末が非晶質からなる構造を有するのか、ナノ結晶からなる構造を有するのか、結晶からなる構造を含むのか、を確認した。XRDを用いてナノ結晶起因のピークの有無を確認し、非晶質化率が85%以上である場合に非晶質からなる構造を有するとし、85%未満である場合にナノ結晶からなる構造または結晶からなる構造を有するとした。さらに、非晶質化率が85%以上である場合についてはTEMを用いて、非晶質からなる構造が、非晶質のみを有する構造かヘテロアモルファスからなる構造か、について確認した。TEMを用いて確認した結果から、非晶質のみを有する構造を非晶質と記載し、ヘテロアモルファスからなる構造を有するものをヘテロアモルファスと記載した。なお、非晶質化率85%未満である場合については、XRDにおけるシェラーの式を用いた結晶子サイズの評価により、ナノ結晶よりも大きな結晶を含むか否かについて確認した。ナノ結晶よりも大きな結晶を含まない場合にはナノ結晶からなる構造を有するとした。そして、ナノ結晶からなる構造を有する場合にはナノ結晶と記載し、ナノ結晶よりも大きな結晶を含む場合には、結晶と記載した。結果を表1の内部構造欄に示す。
次に、得られた軟磁性合金粉末を2g、秤量した。次に、Φ8mmの金型に秤量した粉末を流し込んだ。次に、ハンドプレス機により金型に流し込んだ粉末を圧力Xで30秒加圧した。次に、金型から加圧した粉末を取り出し、加圧した粉末を得た。
kの測定においては、各試料において、加圧しない粉末(X=0)、加圧時の圧力Xが400MPaである粉末、加圧時の圧力Xが800MPaである粉末の3種類の粉末を準備し、それぞれの粉末の保磁力(単位:Oe)をHcメーター(K-HC1000型(東北特殊鋼社))を用いて測定した。そして、圧力Xを加えた際の保磁力をYとして、XとYとの関係を最小二乗法により線形近似して得られた直線をY=kX+lとして表し、近似直線の傾きであるkを測定した。結果を表1に示す。
次に、各軟磁性合金粉末からトロイダルコアを作製した。具体的には、各軟磁性合金粉末に対して絶縁バインダとなるフェノール樹脂量が全体の3質量%になるよう混合し、攪拌機として一般的なプラネタリーミキサーを用いて500μm程度の造粒粉となるように造粒した。次に、得られた造粒粉を磁性体の充填率が70%~72%になるように面圧6ton/cm(588MPa)~面圧8ton/cm(784MPa)で成形し、外形13mmφ、内径8mmφ、高さ6mmのトロイダル形状の成形体を作製した。得られた成形体を150℃で硬化させ、トロイダルコアを作製した。
そして、トロイダルコアの保磁力をHcメーター(K-HC1000型(東北特殊鋼社))を用いて測定した。トロイダルコアの保磁力は1.00Oe以下を良好とし、0.50Oe以下をさらに良好とし、0.30Oe以下を特に良好とした。
そして、トロイダルコアにUEW線を巻き線し、4284A PRECISION LCR METER(ヒューレットパッカード)を用いて100kHzでμ(比透磁率)を測定した。結果を表1に示す。なお、比透磁率μは30以上である場合を良好とし、35以上である場合を特に良好とした。
Figure 0007276668000002
表1より、kが0≦k≦0.00100を満たす試料No.1~3はコアの保磁力、コアの比透磁率がいずれも良好であった。これに対し、D1/D2を1とした試料No.4はkが大きすぎ、コアの保磁力が高すぎ、コアの比透磁率が低すぎる結果となった。
(実験例2)
実験例2では試料No.1または試料No.4に表2に示す温度で60分熱処理を行った点以外は試料No.1または試料No.4と同条件で軟磁性合金粉末およびトロイダルコアを作製した。結果を表2に示す。
Figure 0007276668000003
表2より、kが0≦k≦0.00100を満たす試料No.1、5~9はコアの保磁力、コアの比透磁率がいずれも良好であった。特に内部構造が非晶質のみを有する構造、ヘテロアモルファスからなる構造またはナノ結晶からなる構造である試料No.1、5~8は内部構造がナノ結晶よりも大きな結晶を含む構造である試料No.9と比較してコアの保磁力、コアの比透磁率がいずれも良好であった。さらに、内部構造が非晶質のみを有する構造またはヘテロアモルファスからなる構造である試料No.1、5~7は、内部構造がナノ結晶からなる構造である試料No.8と比較してコアの保磁力、コアの比透磁率がいずれも良好であった。これに対し、試料No.10はkが大きくなりすぎ、コアの保磁力が高すぎ、コアの比透磁率が低すぎる結果となった。また、試料No.4、および、試料No.4に対して熱処理を行った試料No.11~16は内部構造によらず、いずれもkが大きくなりすぎ、コアの保磁力が高すぎ、コアの比透磁率が低すぎる結果となった。
(実験例3)
実験例3では、試料No.7からCoの一部または全部をFeに置換させた点以外は試料No.7と同条件で軟磁性合金粉末およびトロイダルコアを作製した。結果を表3に示す。なお、軟磁性金属粉末の内部構造についてはXRDで非晶質化率85%以上であることのみを確認した。すなわち、非晶質からなる構造を有することは確認したが、非晶質からなる構造が、非晶質のみを有する構造かヘテロアモルファスからなる構造か、については確認しなかった。
Figure 0007276668000004
表3より、0≦α+β≦0.50を満たし、0≦k≦0.00100を満たす試料No.7、17~21はコアの比透磁率が良好であった。これに対し、0≦α+β≦0.50を満たさず、kが大きすぎる試料No.22、23はコアの保磁力が高すぎ、コアの比透磁率が低すぎる結果となった。また、特にCo/Feが原子数比で5以上20以下である試料No.17は、Co/Feが上記の範囲外である試料No.7、18~21と比較してkが小さくなりコアの保磁力が低くなり、コアの比透磁率が高くなった。なお、表3の全ての試料は非晶質からなる構造を有していた。
(実験例4)
実験例4では、試料No.17からNbの含有量(a)を変化させ、CoおよびFeの含有量を変化させた点以外は試料No.17と同条件で軟磁性合金粉末およびトロイダルコアを作製した。結果を表4に示す。なお、軟磁性金属粉末の内部構造については、非晶質からなる構造が、非晶質のみを有する構造かヘテロアモルファスからなる構造を有するか、については確認しなかった。
Figure 0007276668000005
表4より、0.001≦a≦0.140および0.500<1-(a+b+c+d+e)<0.840を満たし、0≦k≦0.00100を満たす試料No.17、25~29は、コアの保磁力およびコアの比透磁率が良好であった。これに対し、M(Nb)を含まずa=0.000である試料No.24はコアの保磁力が高すぎ、コアの比透磁率が低すぎる結果となった。また、aが大きすぎる試料No.30はkが大きくなりすぎ、コアの保磁力が高すぎ、コアの比透磁率が低すぎる結果となった。なお、試料No.24以外は非晶質からなる構造を有していた。試料No.24はナノ結晶よりも大きな結晶を含んでいた。
(実験例5)
実験例5では、試料No.17からBの含有量(b)、Pの含有量(c)、Siの含有量(d)、Crの含有量(e)を変化させ、CoおよびFeの含有量を変化させた点以外は試料No.17と同条件で軟磁性合金粉末およびトロイダルコアを作製した。結果を表5に示す。なお、軟磁性金属粉末の内部構造については、非晶質からなる構造が、非晶質のみを有する構造かヘテロアモルファスからなる構造か、については確認しなかった。
Figure 0007276668000006
表5より、Bの含有量(b)、Pの含有量(c)、Siの含有量(d)、Crの含有量(e)、b+c+d+eが特定の範囲内であり、0≦k≦0.00100を満たす各試料はコアの保磁力およびコアの比透磁率が良好であった。これに対し、Bの含有量(b)、Pの含有量(c)、Siの含有量(d)、Crの含有量(e)、b+c+d+eのいずれか一つ以上が特定の範囲外である各試料はkが大きくなりすぎ、コアの保磁力が高すぎ、コアの比透磁率が低すぎる結果となった。なお、試料No.31以外は非晶質からなる構造を有していた。試料No.31はナノ結晶よりも大きな結晶を含んでいた。
(実験例6)
試料No.7についてCoの一部をNiに置換した点以外は試料No.7と同条件で軟磁性合金粉末およびトロイダルコアを作製した。結果を表6に示す。なお、軟磁性金属粉末の内部構造については、非晶質からなる構造が、非晶質のみを有する構造かヘテロアモルファスからなる構造を有するか、については確認しなかった。
Figure 0007276668000007
表6より、Coの一部をNiに置換し、X1がNiである場合でも、組成が特定の範囲内であり、0≦k≦0.00100を満たす各試料はコアの保磁力およびコアの比透磁率が良好であった。これに対し、Niの含有量が大きすぎる試料No.58はkが大きくなりすぎ、コアの保磁力が高すぎ、コアの比透磁率が低すぎる結果となった。なお、表6の全ての試料は非晶質からなる構造を有していた。
(実験例7)
試料No.7についてCoの一部をX2に置換した点以外は試料No.7と同条件で軟磁性合金粉末およびトロイダルコアを作製した。結果を表7に示す。なお、軟磁性金属粉末の内部構造については、非晶質からなる構造が、非晶質のみを有する構造かヘテロアモルファスからなる構造を有するか、については確認しなかった。
Figure 0007276668000008
表7より、Coの一部をX2に置換した場合でも、組成が特定の範囲内であり、0≦k≦0.00100を満たす各試料はコアの保磁力およびコアの比透磁率が良好であった。なお、表7の全ての試料は非晶質からなる構造を有していた。
(実験例8)
試料No.7についてCoの一部をX1およびX2に置換した点以外は試料No.7と同条件で軟磁性合金粉末およびトロイダルコアを作製した。結果を表8に示す。なお、軟磁性金属粉末の内部構造については、非晶質からなる構造が、非晶質のみを有する構造かヘテロアモルファスからなる構造を有するか、については確認しなかった。
Figure 0007276668000009
表8より、Coの一部をX1およびX2に置換した場合でも、組成が特定の範囲内であり、0≦k≦0.00100を満たす各試料はコアの保磁力およびコアの比透磁率が良好であった。なお、表8の全ての試料は非晶質からなる構造を有していた。
(実験例9)
試料No.7についてMの種類を変化させた点以外は試料No.7と同条件で軟磁性合金粉末およびトロイダルコアを作製した。結果を表9に示す。なお、軟磁性金属粉末の内部構造については、非晶質からなる構造が、非晶質のみを有する構造かヘテロアモルファスからなる構造を有するか、については確認しなかった。
Figure 0007276668000010
表9より、Mの種類を変更した場合でも、組成が特定の範囲内であり、0≦k≦0.00100を満たす各試料はコアの保磁力およびコアの比透磁率が良好であった。なお、表9の全ての試料は非晶質からなる構造を有していた。
10…アトマイズ装置
20…溶融金属供給部
21…溶融金属
21a…滴下溶融金属
30…冷却部
36…冷却液導入部
38a1…外方凸部
50…冷却液流れ

Claims (7)

  1. 組成式(Co(1-(α+β))X1αX2β(1-(a+b+c+d+e))SiCr(原子数比)からなる主成分を有する軟磁性合金粉末であって、
    X1はFeおよびNiからなる群から選択される1つ以上、
    X2はAl,Mn,Ag,Zn,Sn,As,Sb,Cu,Bi,N,O,C,Sおよび希土類元素からなる群より選択される1つ以上、
    MはNb,Hf,Zr,Ta,Mo,W,TiおよびVからなる群から選択される1つ以上であり、
    0<a≦0.140
    0.160<b≦0.250
    0≦c≦0.200
    0≦d≦0.250
    0≦e≦0.030
    0.160<b+c+d+e≦0.430
    0.500<1-(a+b+c+d+e)<0.840
    α≧0
    β≧0
    0≦α+β≦0.50
    であり、
    前記軟磁性合金粉末に圧力Xを加えた際の保磁力をYとして、XとYとの関係を最小二乗法により線形近似して得られた直線をY=kX+lとして表したとき、k(単位:Oe/MPa)が0≦k≦0.00100である軟磁性合金粉末。
  2. 非晶質からなる構造を有する請求項1に記載の軟磁性合金粉末。
  3. ヘテロアモルファスからなる構造を有する請求項1に記載の軟磁性合金粉末。
  4. ナノ結晶からなる構造を有する請求項1に記載の軟磁性合金粉末。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の軟磁性合金粉末を含む磁気コア。
  6. 請求項5に記載の磁気コアを含む磁性部品。
  7. 請求項6に記載の磁性部品を含む電子機器。
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