JP7275862B2 - 成形用組成物、並びにそれを用いた成形体及び積層物 - Google Patents
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Description
一般式A
(R1は、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であって、主鎖が炭素数12~13からなるアルキル基を表す。n1は、4~10の整数である。)
一般式B
(X1は、水素原子もしくはY1を表す。R2は、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であって、主鎖が炭素数12~13からなるアルキル基を表す。n2は、1~10の整数である。R3は、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であって、主鎖が炭素数12~13からなるアルキル基を表す。n3は、1~10の整数である。)
一般式C
無機酸化物粒子と、分散剤と、可塑剤とを含有する分散体であって、前記分散剤は、下記一般式Aで表される分散剤A、及び、下記一般式Bで表される分散剤Bから選ばれる少なくとも1種と、下記一般式Cで表される分散剤Cとからなる無機酸化物粒子分散体である。以下、本発明に使用する材料等に関して説明する。
無機酸化物粒子分散体に用いる無機酸化物粒子は、金属及びSiからなる群より選ばれる少なくともいずれか一つの元素の酸化物を用いることができる。成型体、積層物等に必要とされる物性値によって無機酸化物を選定することが可能であり、例えば、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、イットリア(Y2O3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化タングステン(WO3)、酸化鉛(PbO)、酸化ビスマス(Bi2O3)、セリア(CeO2)、酸化アンチモン(Sb2O5、Sb2O3)等が挙げられる。上記無機酸化物は、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
無機酸化物粒子分散体には下記一般式Aで表される分散剤Aを用いることができる。
無機酸化物粒子分散体には下記一般式Bで表される分散剤Bを用いることができる。
無機酸化物粒子分散体には下記一般式Cで表される分散剤Cを用いる。
無機酸化物分散体に用いる分散剤は、分散剤A、及び分散剤Bから選ばれる少なくとも1種と、分散剤Cとを併用することを特徴とする。このような組み合わせで用いることにより、可塑剤中に種々の無機酸化物粒子を良好に分散させることが可能であり、多様な成型用樹脂と混練して、成型することにより、高透明性を有する成型体を得ることが可能である。
成型用樹脂は、加温することにより、樹脂が軟化し、押出、又はプレス等で所定の形状に成型できる樹脂であれば、任意に使用することができる。例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレンの共重合体、アクリロニトリル・スチレンの共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられ、目的とする物性に応じて1種又は2種以上を選択することができる。ガラスとガラスの間に飛散防止を目的として成型体を貼りあわせる合わせガラスでは、成型体として、ポリビニルブチラール、又はポリビニルアセタールが、ガラスとの密着性、ならびに、加工性の観点から好ましい。
成型用組成物は、前述した無機酸化物粒子分散体と、前述した成型用樹脂とを含有する。成型用組成物を用いることによって、分散安定性に優れ、高い透明性を有し、黄変ならびにブリードアウトを抑制可能な成形体を容易に成形することができる。
成型用樹脂の製造プロセス中で、成型用樹脂を軟化、もしくは、成型用樹脂の一部を溶解するような溶剤を可塑剤として使用することができる。可塑剤として、例えば、フタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、リン酸エステル系、トリメリット酸エステル系、プロピレングリコール、プロピレングリコール系エステル、エチレングリコール、エチレングリコール系エステル、植物油、エポキシ化植物油、パラフィンなどの脂肪族炭化水素、並びにバレロラクトン、カプロラクトン等の高沸点の環状化合物等が挙げられる。これらの可塑剤を単独、もしくは、複数種混合して用いてもよい。
無機酸化物粒子分散体を作製するに当たり、高い透明性を達成する目的で一般的に用いられる分散機を用いることができ、例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター、パールミル、湿式ジェットミル、ロールミル等の分散機が挙げられる。分散機は、一種類のみ単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
成型体を作製するに当たり、無機酸化物粒子を成型用樹脂中に均一に分散する目的で無機酸化物粒子分散体と成型用樹脂を混練することができ、一般的な混練機を使用することができる。例えば、2本ロール、3本ロール等のロールミル、加圧ニーダー、バンバリミキサー、2軸押出機、単軸押出機等の混練機が挙げられる。混練機は、一種類のみ単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
無機酸化物粒子分散体と成型用樹脂の混練物を目的とする形に成型するために、一般的な成型機を使用することができる。鋳型等を用いて所望の形状へ押出成型、ブロー成型、プレス成型をすることができる。成型時には、目的に応じて、加温、冷却、圧力を調整することができる。
無機酸化物粒子分散体と成型用樹脂からなる成型体を基材、もしくは、貼りあわせの媒体として使用することで、様々な種類の積層物を得ることができる。複数種の層を重ねることで、積層物として多様な機能を一元化することが可能である。積層方法に関しては一般的に使用される方法を用いることができる。例えば、成型体を基材として塗料を塗布する方法、成型体を媒体として、種々の材料を熱プレス等により貼りあわせる方法、成型体を媒体として、粘着剤、接着剤等を用いて、他の材料を貼りあわせる方法が挙げられる。
自動車等では、ガラスの飛散防止を目的として、ガラスとガラスとの間に中間膜と呼ばれる成型体を挟んでプレス成型し、積層した合わせガラスを使用することが一般的である。本実施形態の成形体は、中間膜として使用することが好ましい。自動車では、近年、電気自動車が急速に普及し始めていることから燃費に多大な影響のある自動車内の温度上昇抑制の対策としてガラスへの熱線遮蔽性付与が実施されており、熱線遮蔽性のある無機酸化物粒子を含有することが好ましい。その他にも搭乗者の身体ケア、ならびに、内装物の耐光性維持の観点からUV遮蔽性のある材料を含有することが好ましく、更なる長期の耐光性の維持の観点から中間膜は無機酸化物粒子を含有することがより好ましい。したがって、中間膜として用いるためにはプロセスの簡素化の観点から熱線遮蔽性のある無機酸化物粒子とUV遮蔽性のある無機酸化物粒子とを両方含有した無機酸化物粒子分散体を用いることが好ましい。
無機酸化物粒子分散体の分散粒子径は、成型体ならびに積層物の透明性の観点から分散粒子径は小さい程、可視光領域における光散乱が低減される為好ましく、1~150nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、1~90nmの範囲であることが好ましい。尚、分散粒子径とは、動的光散乱方式の粒度分布計を用いて、体積粒度分布において、粒子径の小さいものからその粒子の体積割合を積算した際に、50%となる粒子径である。
透明性は、高いほど好ましく、無機酸化物粒子分散体を含有した成型体の全光線透過率を、使用した成型用樹脂と可塑剤のみからなる同膜厚の成型体を基準として算出した際に、90~100%であることが好ましく、95~100%であることがより好ましい。
一般に、UV遮蔽を目的として酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子、又は酸化セリウム粒子を無機酸化物粒子として用いる際に、分散剤の選択により、成型加工時の加温に伴って無機酸化物粒子の触媒活性が原因で黄変することがある。または、分散剤として、一級、二級のアミンを使用するとアミンの酸化が原因で黄変することがある。これに対し、分散剤A、及び分散剤Bから選ばれる少なくとも1種と、分散剤Cを併用することにより、成型加工時の加温による黄変を抑制でき、透明性の維持ができることから好ましい。
パンメル値とは合わせガラスの評価の一種であり、中間膜としての成型体とガラスの接着性を測る尺度として一般的に用いられる。パンメル値が大きい程、成型体とガラスの密着力が高く、パンメル値が小さい程、成型体とガラスの密着力が低いことを表す。パンメル値が2以下だとガラスから剥離しやすく、パンメル値が8以上だと耐貫通性が小さい為、3~7の範囲である事が好ましく、本範囲であれば、合わせガラスとして使用することが可能である。
一般に、成型体中に液状の分散剤、ならびに、可塑剤を含有する場合、種々の環境に長時間静置すると成型体中の表面に分散剤、ならびに、可塑剤が移動し、外観不良、密着性の低下、ならびに、帯電防止性能の変化などが起こる場合がある。これに対し、分散剤A、及び分散剤Bから選ばれる少なくとも1種と、分散剤Cを併用することにより、ブリードアウトを抑制することができ、成型体としての経時安定性が保持できる。
実施例及び比較例で使用した無機酸化物を以下に列挙する。
E-ITO(錫ドープ酸化インジウム、三菱マテリアル電子化成株式会社製)
T-1(アンチモンドープ酸化錫、三菱マテリアル電子化成株式会社製)
STR-100A-LP(酸化チタン、堺化学工業株式会社製)
Finex 50S-LP2(酸化亜鉛、堺化学工業株式会社製)
メタタングステン酸アンモニウム水溶液と塩化セシウムの水溶液とを、WとCsとのモル比が1対0.33となるように所定量秤量し、両液を混合し、混合溶液を得た。この混合溶液を130℃で乾燥し、還元雰囲気(アルゴン/水素=95/5体積比)中において550℃で1時間加熱した。その後、一度室温に戻した後、800℃アルゴン雰囲気中で1時間加熱することで、セシウム酸化タングステン粒子として無機酸化物粒子1を作製した。
実施例及び比較例で使用した分散剤を以下に列挙する。
NIKKOL AKYPO RLM 100
(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、一般式Aのn1=10、分散剤A、日光ケミカルズ株式会社製)
NIKKOL AKYPO RLM 45
(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、一般式Aのn1=4~5、分散剤A、日光ケミカルズ株式会社製)
NIKKOL ECT-7
(ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸、一般式Aのn1=7、分散剤A、日光ケミカルズ株式会社製)
ビューライト LCA-25NH
(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、一般式Aのn1=3、三洋化成株式会社製)
プライサーフA219B
(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、第一工業株式会社製)
プライサーフAL
(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、第一工業株式会社製)
ハイテノールLA-10
(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、第一工業株式会社製)
SOLSPERSE20000
(モノアミンのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、一般式CのZ2及びZ3がアルキル基からなる構造、分散剤C、日本ルブリゾール社製)
アデカプルロニックTR-701
(エチレンジアミンのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、分散剤C、株式会社ADEKA製)
アミート102
(ポリオキシエチレンラウリルアミン、花王株式会社製)
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、1-ドデカノール62.6部、ε-カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応した事を確認した後、ここに無水ピロメリット酸36.6部を加え、120℃で2時間反応させ、分散剤Bの構造である分散剤1を得た。なお、分散剤1は、一般式Bにおいて、X1はY1であり、R2は直鎖構造からなるアルキル基であって、主鎖が炭素数12であり、n2は7であり、R3は直鎖構造からなるアルキル基であって、主鎖が炭素数12であり、n3は7である。
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、1-ドデカノール31.3部、ε-カプロラクトン143.7部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応した事を確認した後、ここに無水トリメリット酸32.2部を加え、130℃で4時間反応させ、分散剤Bの構造である分散剤2を得た。なお、分散剤2は、一般式Bにおいて、X1は水素原子であり、R3は直鎖構造からなるアルキル基であって、主鎖が炭素数12であり、n3は7である。
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、1-ドデカノール31.3部、ε-カプロラクトン143.7部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応した事を確認した後、ここに無水マレイン酸16.4部を加え、130℃で4時間反応させ、分散剤3を得た。
実施例及び比較例で使用した可塑剤を以下に列挙する。
PEG#200(ポリエチレングリコール、沸点:250℃、日油株式会社製)
トリプロピレングリコール(沸点:273℃以上、旭硝子株式会社製)
Proviplast 1783(トリエチレングリコール ビス(2-エチルヘキサノエート)、沸点:344℃、Proviron社製)
ノニオンL-2(モノラウリン酸ポリエチレングリコール、沸点:300℃以上、日油株式会社製)
ビニサイザー90(フタル酸ジ2-エチルヘキシル、沸点:403℃、花王株式会社製)
エキセパール M-OL(オレイン酸メチル、沸点:218℃、花王株式会社製)
MFG(プロピレングリコールモノメチルエーテル、沸点:120℃、日本乳化剤株式会社製)
γ―ブチロラクトン(沸点:204℃、三菱ケミカル株式会社製)
実施例及び比較例で使用した成型用樹脂を以下に列挙する。
SA-863JP(ポリエチレンテレフタレート樹脂、ユニチカ株式会社製)
エスレックBL-1H(ポリビニルブチラール樹脂、積水化学工業株式会社製)
表1に示す配合組成に従い、均一になるように撹拌混合した後、さらに直径0.1mmのジルコニアビーズを用いてサンドミルで5時間分散した後、孔径1μmのフィルタで濾過して無機酸化物分散体をそれぞれ得た。尚、表1中、単位表記のない数字は部を表し、空欄は配合していないことを表す。
得られた無機酸化物粒子分散体に関して、分散粒子径、経時安定性を下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
無機酸化物粒子分散体の分散粒子径については、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製、マイクロトラックUPA)を用いて、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算した際に、50%となる粒子径を測定した。尚、測定に用いた試料は、実施例1~16、比較例1~9は分散体を分散体作製時に用いた可塑剤に測定可能な任意の量を添加し、バス型超音波装置にて分散し、調整した。実施例15~16に関しては、分散体をProviplast 1783に測定可能な任意の量を添加し、バス型超音波装置にて分散し、調整した。分散粒子径は透明性の観点から小さい程好ましく、下記の基準に従って評価した。なお、実施例17~29、比較例10~14に関しては、複数の無機酸化物粒子を分散体中に含有している為、動的光散乱方式の粒度分布では正確に判断し難いことから、測定値を記載していない。
A:90nm以下(極めて良好)
B:90nm超過、150nm以下(良好)
C:150nm超過(不良)
無機酸化物粒子分散体の経時安定性は、無機酸化物粒子分散体を50℃ 7日間静置した試料の分散粒子径を測定し、静置前の分散粒子径の値から静置後の分散粒子径の値を引いた値の絶対値を分散粒子径の変化率として評価した。分散粒子径の変化率は、小さい程、好ましく、下記の基準に従って評価した。
A:20nm以下(極めて良好)
B:20nm超過、50nm以下(良好)
C:50nm超過(不良)
表4に示す配合組成に従いエスレックBL-1Hと、Proviplast 1783と、無機酸化物粒子分散体とを2本ロールを用いて混練した。混練して得られた混練物を、プレス成型機にて150℃にて30分間プレス成型し、厚さ0.8mmの成型体を得た。別に、成型用樹脂70質量部とProviplast 1783 30質量部を混練し、同様の方法でプレス成型することで成型用樹脂と可塑剤のみからなる参照用の成型体を作製した。ヘーズメーター(日本電色工業社製、NDH-2000)を用いて、バインダーと可塑剤のみからなる参照用の成型体を基準として、無機酸化物粒子分散体を混練した成型体の全光線透過率の値を測定した。全光線透過率の値は、100に近い程好ましく、下記の基準に従って評価した。結果を表4に示す。尚、実施例1~9、15、17~29の無機酸化物粒子分散体を50℃ 7日間静置した試料を用いて同様に全光線透過率を測定したところ、無機酸化物粒子分散体を静置前後で成型物の全光線透過率に変化はなかった。したがって、実施例17~29に示す複数の無機酸化物粒子を単一の分散体中に含有した際でも分散粒子径が経時安定していることが推測できる。
A:95%以上、100%以下(極めて良好)
B:90%以上、95%未満(良好)
C:90%未満(不良)
透明性1の評価に用いた方法で成型体を作製した。また、成型用樹脂70質量部とProviplast 1783 30質量部を混練し、同様の方法でプレス成型することで成型用樹脂と可塑剤のみからなる参照用の成型体を作製した。無機酸化物粒子分散体を非含有の参照用の成型体を基準として成型体の黄変の有無を目視で判断した。結果を表4に示す。
透明性1の評価に用いた方法で成型体を作製し、この成型体を2枚の対向する2.4mm厚の無機ガラスで挟み込み、ロール法で予備接着した。次いで、140℃のオートクレーブで、圧力1.2MPaにて圧着し、成型体をガラスと積層した合わせガラスを得た。得られた合わせガラスを、-18℃±0.6℃の温度に16時間静置した後、0.45Kgのハンマーで打って、ガラスの粒径が6mm以下になるまで粉砕した。ガラスが部分剥離した後の膜の露出度を、あらかじめグレード付けした限度見本に従い、判定し、表3に示すようなパンメル値として表した。尚、パンメル値が大きい程、成型体とガラスの密着力が高く、パンメル値が小さい程、成型体とガラスの密着力が低いことを表す。パンメル値が2以下だとガラスから剥離しやすく、パンメル値が8以上だと耐貫通性が小さい為、3~7の範囲である事が好ましく下記の基準に従って判断した。結果を表4に示す。
A:3~7(良好)
C:1~2、8以上(不良)
表5に示す配合組成に従い、140℃にて12時間静置したSA-863JPと、無機酸化物粒子分散体とを2本ロールを用いて混練した。混練して得られた混練物を、プレス成型機にて260℃にて3分間プレス成型し、厚さ0.1mmの成型体を得た。別に、SA-863JPを、プレス成型機にて260℃にて3分間プレス成型し、厚さ1.0mmの参照用の成型体を作製した。ヘーズメーター(日本電色工業社製、NDH-2000)を用いて、成型用樹脂からなる参照用の成型体を基準として、無機酸化物粒子分散体を混練した成型体の全光線透過率の値を測定した。全光線透過率の値は、100に近い程好ましく、下記の基準に従って評価した。尚、実施例1~9、15~25の無機酸化物粒子分散体を50℃ 7日間静置した試料を用いて同様に全光線透過率を測定したところ、無機酸化物粒子分散体を静置前後で成型物の全光線透過率に変化はなかった。したがって、実施例17~25に示す複数の無機酸化物粒子を単一の分散体中に含有した際でも分散粒子径が経時安定していることが推測できる。
A:95%以上、100%以下(極めて良好)
B:90%以上、95%未満(良好)
C:90%未満(不良)
透明性2の評価に用いた方法で成型体を作製した。また、成型用樹脂のみを、同様の方法でプレス成型することで参照用の成型体を作製した。無機酸化物粒子分散体を非含有の参照用の成型体を基準として成型体の黄変の有無を目視で判断した。結果を表5に示す。
表5に示す配合組成に従い、140℃にて12時間静置したSA-863JPと、無機酸化物粒子分散体とを2本ロールを用いて混練した。混練して得られた混練物を、プレス成型機にて260℃にて3分間プレス成型し、厚さ0.1mmの成型体を得た。得られた成型体を80℃ 12時間静置し、表面の外観からブリードアウト性を評価した。可塑剤ならびに分散剤等が成型体表面に浮き出ることにより、例えば、斑模様、波模様等の外観異常が発生する場合は、外観だけでなく、成型体を積層して使用する際に他層との接着性が劣化するなどを引き起こす為、好ましくない。
A:外観異常なし(良好)
C:外観異常あり(不良)
Claims (9)
- 無機酸化物粒子と、分散剤と、可塑剤とを含有する無機酸化物粒子分散体、および成型用樹脂を含む成形用組成物であって、
前記無機酸化物粒子は、錫ドープ酸化インジウム粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子、及びセシウム酸化タングステン粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、
前記分散剤は、下記一般式Bで表される分散剤Bと、下記一般式Cで表される分散剤Cとを含み、
前記可塑剤は、プロピレングリコール、プロピレングリコール系エステル、エチレングリコール、及びエチレングリコール系エステル、からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、
前記成型用樹脂は、ポリエチレンテレフタレート及びポリビニルアセタールの少なくともいずれかを含む、
成形用組成物。
一般式B
(X1は、水素原子もしくはY1を表す。R2は、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であって、主鎖が炭素数12~13からなるアルキル基を表す。n2は、1~10の整数である。R3は、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であって、主鎖が炭素数12~13からなるアルキル基を表す。n3は、1~10の整数である。)
一般式C
(Z1は、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの重合体を含有する構造を表す。Z2及びZ3は、それぞれ独立に、アルキル基、もしくは、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの重合体を含有する構造を表す。) - 前記可塑剤の沸点が200℃以上である請求項1記載の成形用組成物。
- 前記可塑剤がポリエチレングリコール系エステル、ポリプロピレングリコール、及びポリプロピレングリコール系エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1または2記載の成形用組成物。
- 無機酸化物粒子分散体中の前記分散剤の含有率が、無機酸化物粒子100質量%に対して、10~30質量%である、請求項1~3いずれか記載の成形用組成物。
- 分散剤Bと分散剤Cとの合計質量中、分散剤B:分散剤Cが40:60~90:10である請求項1~4いずれか記載の成形用組成物。
- 前記無機酸化物粒子が、錫ドープ酸化インジウム粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子、及びセシウム酸化タングステン粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種と、酸化亜鉛粒子及び酸化チタン粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含む請求項1~5いずれか記載の成形用組成物。
- 無機酸化物粒子分散体中の前記無機酸化物粒子の含有率が、10~40質量%である、請求項1~6いずれか記載の成形用組成物。
- 請求項1~7いずれか記載の成形用組成物を用いた成型体。
- 請求項1~7いずれか記載の成形用組成物を用いた積層物。
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