JP7275410B2 - β酸化水酸化鉄を実質的に含まないクエン酸第二鉄 - Google Patents

β酸化水酸化鉄を実質的に含まないクエン酸第二鉄 Download PDF

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Description

本発明は、高純度クエン酸第二鉄及びその製造方法等に関する。
特許文献1は、特定のクエン酸第二鉄を含む第二鉄有機化合物が、高リン血症等の治療
に有用であることを記載する。
特表2006-518391号公報
本発明は、β酸化水酸化鉄を実質的に含有しない高純度クエン酸第二鉄の製造方法、並びにβ酸化水酸化鉄を実質的に含有しない高純度クエン酸第二鉄及びその医薬用途を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、特許文献1に記載の
方法における塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを接触させる条件を改変することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) β酸化水酸化鉄を実質的に含有しない高純度クエン酸第二鉄であって、その総
重量に対してβ酸化水酸化鉄の含有量が6重量%未満である、前記高純度クエン酸第二鉄

(2) β酸化水酸化鉄の含有量が2.5重量%未満である、前記(1)の高純度クエン酸
第二鉄。
(3) β酸化水酸化鉄の含有量が1.0重量%未満である、前記(1)の高純度クエン酸
第二鉄。
(4) 第二鉄とクエン酸とのモル比が1:0.75~1:1.10である、前記(1)~(3)のい
ずれかの高純度クエン酸第二鉄。
(5) 第二鉄とクエン酸とのモル比が1:0.80~1:0.92である、前記(4)の高純度クエン酸第二鉄。
(6) 第15改正日本薬局方溶出試験法パドル法で第15改正日本薬局方溶出試験第1液を試験液とし、回転数を100回/分とする溶出試験において、溶出時間が15分におけるクエ
ン酸第二鉄の溶出率が80%以上である、前記(1)~(5)のいずれかの高純度クエン酸第二鉄。
(7) 前記(1)~(6)のいずれかの高純度クエン酸第二鉄を有効成分として含有す
る医薬組成物。
(8) 前記(1)~(6)のいずれかの高純度クエン酸第二鉄を有効成分として含有す
る高リン血症治療又は改善剤。
(9) 前記(1)~(6)のいずれかの高純度クエン酸第二鉄を有効成分として含有す
るリン吸着剤。
(10) 前記(1)~(6)のいずれかの高純度クエン酸第二鉄を有効成分として含有する血清リン低下剤。
(11) 前記(1)~(6)のいずれかの高純度クエン酸第二鉄の粉末であって、非晶質であることを特徴とする、粉末。
(12) 前記(1)~(6)のいずれかの高純度クエン酸第二鉄の粉末であって、20~45m2/gの比表面積を有することを特徴とする、粉末。
(13) 前記(11)の高純度クエン酸第二鉄の粉末であって、20~45m2/gの比表面積を有することを特徴とする、粉末。
(14) 前記(11)~(13)のいずれかの粉末を有効成分として含有する医薬組成物。
(15) 前記(11)~(13)のいずれかの粉末を有効成分として含有する高リン血症治療又は改善剤。
(16) クエン酸第二鉄の製造方法であって、以下の工程:
水性媒体中において塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを短時間且つ低温度下で接触させて、鉄を含有する析出物を形成させる、鉄含有析出物形成工程;
水性媒体中においてクエン酸と鉄含有析出物とを接触させて、その後加熱することによりクエン酸第二鉄水溶液を形成させる、クエン酸第二鉄水溶液形成工程;
クエン酸第二鉄水溶液と有機溶媒とを接触させて、クエン酸第二鉄を析出させる、クエン酸第二鉄析出工程;
を含む、前記方法。
(17) 鉄含有析出物形成工程において、塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを2時間以
内且つ0~10℃の範囲の液温で接触させる、前記(16)の方法。
(18) クエン酸第二鉄水溶液形成工程において、クエン酸と鉄含有析出物とを60~100℃の範囲の液温で接触させる、前記(16)又は(17)の方法。
(19) 鉄を含有する析出物がフェリハイドライトである、前記(16)~(18)のいずれかの方法。
(20) 前記(16)~(19)のいずれかの方法によって製造されるクエン酸第二鉄。
(21) 前記(20)のクエン酸第二鉄を有効成分として含有する医薬組成物。
(22) 前記(20)のクエン酸第二鉄を有効成分として含有する高リン血症治療又は改善剤。
(23) 前記(20)のクエン酸第二鉄を有効成分として含有するリン吸着剤。
(24) 前記(20)のクエン酸第二鉄を有効成分として含有する血清リン低下剤。
(25) 前記(20)のクエン酸第二鉄の粉末であって、非晶質であることを特徴とする、粉末。
(26) 前記(20)のクエン酸第二鉄の粉末であって、20~45m2/gの比表面積を有することを特徴とする、粉末。
(27) 前記(25)のクエン酸第二鉄の粉末であって、20~45 m2/gの比表面積を有す
ることを特徴とする、粉末。
(28) 前記(25)~(27)のいずれかの粉末を有効成分として含有する医薬組成物。
(29) 前記(25)~(27)のいずれかの粉末を有効成分として含有する高リン血症治療又は改善剤。
(30) 高リン血症の治療に使用するための、前記(7)、(14)、(21)又は(28)
の医薬組成物。
(31) β酸化水酸化鉄を実質的に含有しない高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体であって、その総重量に対してβ酸化水酸化鉄の含有量が6重量%未満である、前記高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体。
(32) β酸化水酸化鉄の含有量が2.5重量%未満である、前記(31)の高純度な、ク
エン酸及び水が配位した鉄(III)錯体。
(33) β酸化水酸化鉄の含有量が1.0重量%未満である、前記(31)の高純度な、ク
エン酸及び水が配位した鉄(III)錯体。
(34) 第二鉄とクエン酸とのモル比が1:0.75~1:1.10である、前記(31)~(33)のいずれかの高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体。
(35) 第二鉄とクエン酸とのモル比が1:0.80~1:0.92である、前記(31)~(33)のいずれかの高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体。
(36) 20~45 m2/gの比表面積を有し、且つ非晶質である、前記(31)~(33)のい
ずれかの高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体。
(37) 第15改正日本薬局方溶出試験法パドル法で第15改正日本薬局方溶出試験第1液
を試験液とし、回転数を100回/分とする溶出試験において、溶出時間が15分におけるク
エン酸及び水が配位した鉄(III)錯体の溶出率が80%以上である、前記(31)~(36)
のいずれかの高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体。
(38) 前記(31)~(37)のいずれかの高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体を有効成分として含有する医薬組成物。
(39) 前記(31)~(37)のいずれかの高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体を有効成分として含有する高リン血症治療又は改善剤。
(40) 前記(31)~(37)のいずれかの高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体を有効成分として含有するリン吸着剤。
(41) 前記(31)~(37)のいずれかの高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体を有効成分として含有する血清リン低下剤。
(42) クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体の製造方法であって、以下の工程:
水性媒体中において塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを短時間且つ低温度下で接触させて、鉄を含有する析出物を形成させる、鉄含有析出物形成工程;
水性媒体中においてクエン酸と鉄含有析出物とを接触させて、その後加熱することによりクエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体水溶液を形成させる、クエン酸及び水が配位し
た鉄(III)錯体水溶液形成工程;
クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体水溶液と有機溶媒とを接触させて、クエン酸及
び水が配位した鉄(III)錯体を析出させる、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体析出工程;
を含む、前記方法。
(43) 鉄含有析出物形成工程において、塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを2時間以
内且つ0~10℃の範囲の液温で接触させる、前記(42)の方法。
(44) クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体水溶液形成工程において、クエン酸
と鉄含有析出物とを60~100℃の範囲の液温で接触させる、前記(42)又は(43)の方法

(45) 鉄を含有する析出物がフェリハイドライトである、前記(42)~(44)のいずれかの方法。
(46) 前記(42)~(45)のいずれか1項の方法によって製造されるクエン酸及び水
が配位した鉄(III)錯体。
(47) 前記(46)のクエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体を有効成分として含有
する医薬組成物。
(48) 高リン血症の治療に使用するための、前記(38)又は(47)の医薬組成物。
(49) 前記(46)のクエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体を有効成分として含有
する高リン血症治療又は改善剤。
(50) 前記(46)のクエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体を有効成分として含有
する高リン血症治療又はリン吸着剤。
(51) 前記(46)のクエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体を有効成分として含有
する高リン血症治療又は血清リン低下剤。
本発明により、β酸化水酸化鉄を実質的に含有しない高純度クエン酸第二鉄の製造方法、並びにβ酸化水酸化鉄を実質的に含有しない高純度クエン酸第二鉄及びその医薬用途を提供することが可能となる。
実施例4のクエン酸第二鉄のIRスペクトルを示す図である。 実施例4のクエン酸第二鉄の粉末X線回折スペクトルを示す図である。 比較例1、11及び12、並びに実施例4、5、6、7、8及び9のクエン酸第二鉄について、日局溶出試験第1液(pH1.2)における溶出プロファイルを比較した結果を示す図である。 ラットにおけるリン吸収阻害作用試験において、対照群及び試験群(実施例1)のリン吸収量及び尿中リン排泄量の平均値(mg リン/日)を示す図である。
1. クエン酸第二鉄
本発明は、β酸化水酸化鉄を実質的に含有しない高純度クエン酸第二鉄に関する。
本明細書において、「クエン酸第二鉄」は、第二鉄(Fe(III))とクエン酸との錯体で
あって、その一態様は分子式Fe・x(C6H8O7)・y(H2O)で表される錯体である。上記の分子
式において、xは、好ましくは0.75~1.10の範囲であり、より好ましくは0.78~0.95の範
囲であり、特に好ましくは、0.80~0.92の範囲であり、とりわけ好ましくは、0.81~0.91の範囲である。別の態様として、xは好ましくは0.75~1.15の範囲であり、より好ましく
は0.80~1.10の範囲である。yは、好ましくは1.8~3.2の範囲であり、より好ましくは2.4~3.1の範囲であり、特に好ましくは、2.7~3.1の範囲である。また、第二鉄とクエン酸
とのモル比は、好ましくは1:0.75~1:1.10の範囲であり、より好ましくは1:0.78~1:0.95の範囲であり、特に好ましくは、1:0.80~1:0.92の範囲であり、とりわけ好ましくは、1:0.81~1:0.91の範囲である。別の態様として、第二鉄とクエン酸とのモル比は好ましくは1:0.75~1:1.15の範囲であり、より好ましくは1:0.80~1:1.10の範囲である。第二鉄と水とのモル比は、好ましくは1: 1.8~1: 3.2の範囲であり、より好ましくは1: 2.4~1: 3.1の範囲であり、特に好ましくは1:2.7~1:3.1の範囲である。
以下で詳細に説明するように、本発明者らは、特許文献1に記載の方法で第二鉄とクエ
ン酸との錯体を調製すると、水に難溶なβ酸化水酸化鉄(β-FeOOH)を副生成物として含有する場合があることを見出した。
これに対し、以下で説明する方法で製造された本発明のクエン酸第二鉄は、β酸化水酸化鉄を実質的に含有しない。それ故、本発明は、β酸化水酸化鉄を実質的に含有しない高純度クエン酸第二鉄を提供する。また、本発明のクエン酸第二鉄の一態様は、β酸化水酸化鉄を実質的に含有しない高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体である。
それ故、本発明のクエン酸第二鉄は、β酸化水酸化鉄を実質的に含有しない高純度な、クエン酸及び水が配位した鉄(III)錯体を包含するものとする。本発明の高純度クエン酸
第二鉄は、その総重量に対してβ酸化水酸化鉄の含有量が、好ましくは6重量%未満の範
囲であり、より好ましくは2.5 重量%以下の範囲であり、特に好ましくは、1.0 重量%以下の範囲であり、とりわけ好ましくは、0~1 重量%の範囲である。本明細書において、
「β酸化水酸化鉄を実質的に含有しない」は、β酸化水酸化鉄の含有量が上記の範囲であることを意味し、「高純度クエン酸第二鉄」は、β酸化水酸化鉄の含有量が上記の範囲であるクエン酸第二鉄を意味する。
なお、クエン酸第二鉄中のβ酸化水酸化鉄の含有量は、限定するものではないが、例え
ば、粉末X線回折法により算出することができる。
本発明のクエン酸第二鉄及び高純度クエン酸第二鉄の一態様として、比表面積が例えば20 m2/g以上であり、好ましくは20~45 m2/gの範囲であり、より好ましくは20~40 m2/g
の範囲である。
なお、比表面積は、限定するものではないが、例えば、窒素ガス吸着法(相対圧:0.05-0.3)によるBET表面積の測定法により測定することができる。
本発明のクエン酸第二鉄及び高純度クエン酸第二鉄の一態様は、非晶質の形態であり、好ましくは非晶質の粉末の形態である。それ故、本発明はまた、上記及び下記の特徴を有するクエン酸第二鉄又は高純度クエン酸第二鉄の非晶質又は非晶質の粉末に関する。なお、本明細書において、「非晶質の形態」は、粉末X線回折スペクトルにおいて、散漫性の
極大を持つハローパターンの回折特性を示すことを意味する。
また、本発明のクエン酸第二鉄及び高純度クエン酸第二鉄は、第15改正日本薬局方溶出試験法パドル法で第15改正日本薬局方溶出試験第1液を試験液とし、回転数を100回/分とする溶出試験において、溶出時間が15分における溶出率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、とりわけ好ましくは95%以上である。
上記の特徴を有することにより、本発明のクエン酸第二鉄及び高純度クエン酸第二鉄は優れた溶出特性を発揮することが可能となる。
2. クエン酸第二鉄の製造方法
本発明はまた、クエン酸第二鉄の製造方法に関する。本発明の方法は、鉄含有析出物形成工程、クエン酸第二鉄水溶液形成工程及びクエン酸第二鉄析出工程を少なくとも含む。各工程について、以下に説明する。
2-1. 鉄含有析出物形成工程
本工程は、水性媒体中で塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを接触させて、鉄を含有する析出物を形成させることを目的とする。ここで「接触」とは、例えば、塩化第二鉄水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を滴下することが挙げられるが、これに限定されない。
本工程において形成される鉄含有析出物は、フェリハイドライトを主成分とする析出物であることが好ましく、フェリハイドライトを主成分として含有し、且つβ酸化水酸化鉄を実質的に含有しない鉄含有析出物であることがより好ましい。
本工程において使用される塩化第二鉄は、無水物又は水和物の形態であってもよく、或いはそれらの水溶液の形態であってもよい。いずれの形態の塩化第二鉄であっても、本発明の方法に使用することができる。
本工程において使用される水性媒体は、水であることが好ましい。この場合、本工程により、鉄を含有する析出物、好ましくはフェリハイドライトを主成分とする析出物を含む水溶液が形成される。上記の水性媒体は、クエン酸及び前記析出物以外の成分を実質的に含有しないことが好ましい。
本工程において使用される塩化第二鉄及び水酸化ナトリウムは、当業界で慣用される通常の純度であればよい。塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとのモル比は、1:1~1:5の範囲であることが好ましく、1:2~1:4の範囲であることがより好ましい。
本工程の溶液において、塩化第二鉄に含有される第二鉄の濃度は、2~6重量%の範囲であることが好ましく、3~5重量%の範囲であることがより好ましい。水酸化ナトリウムの濃度は、5~15重量%の範囲であることが好ましく、9~11重量%の範囲であることがより好ましい。
本発明者らは、β酸化水酸化鉄の形成を抑制する条件を検討した結果、塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを短時間且つ低温度下で接触させることにより、フェリハイドライトを主成分として含有し、且つβ酸化水酸化鉄を実質的に含有しない鉄含有析出物を形成させることができることを見出した。
本工程において、塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを接触させる時間は、3時間以内で
あることが好ましく、2時間以内であることがさらに好ましく、1時間以内であることがより好ましく、30分以内であることが特に好ましい。また、塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを接触させる温度(液温)は、15℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましく、0~10℃の範囲であることが特に好ましい。
したがって、本工程において、塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを接触させる条件は、3時間以内の時間且つ15℃以下の液温であり、10℃以下又は0~10℃の範囲の液温であることが好ましく、2時間以内の時間且つ15℃以下の液温であることがさらに好ましく、2時間以内の時間且つ10℃以下の液温であることがより好ましく、2時間以内の時間且つ0~10℃の範囲の液温であることが特に好ましく、1時間以内の時間且つ0~10℃の範囲の液温であることがとりわけ好ましい。
本工程において、塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを接触させて得られる混合物の最終pHは、8~10の範囲であることが好ましい。
上記の条件で本工程を実施することにより、β酸化水酸化鉄の形成を抑制し、β酸化水酸化鉄を実質的に含有しない析出物を形成させることが可能となる。
2-2. 洗浄工程
本発明の方法は、以下で説明するクエン酸第二鉄水溶液形成工程の前に、鉄含有析出物を1~3回洗浄する、洗浄工程を含んでもよい。
本工程において、鉄含有析出物の洗浄は、水性媒体で実施することが好ましい。上記の水性媒体は、他の成分を実質的に含有しない精製水であることが好ましい。
また、本工程は、10~30℃の範囲の温度で実施することが好ましい。
上記の条件で本工程を実施することにより、結果として得られるクエン酸第二鉄の純度を向上させることが可能となる。
2-3. クエン酸第二鉄水溶液形成工程
本工程は、水性媒体中でクエン酸と上記の工程で得られた鉄含有析出物とを接触させて、クエン酸第二鉄水溶液を形成させることを目的とする。ここで「接触」とは、例えば、鉄含有析出物とクエン酸水溶液とを反応させることが挙げられるが、これに限定されない。
本工程において使用される水性媒体は、水であることが好ましい。この場合、本工程により、クエン酸第二鉄水溶液が形成される。上記の水性媒体は、クエン酸及び前記析出物以外の成分を実質的に含有しないことが好ましい。
本工程において使用されるクエン酸は、当業界で慣用される通常の純度であればよい。鉄含有析出物中に含有される第二鉄とクエン酸とのモル比は、1:1.0~1:1.5の範囲であることが好ましく、1:1.2~1:1.3の範囲であることがより好ましい。別の態様としては、鉄含有析出物中に含有される第二鉄とクエン酸とのモル比は、1:1.0~1:3.0の範囲であることが好ましく、1:1.0~1:1.6の範囲であることがより好ましい。
本工程で得られる溶液において、クエン酸の濃度は、10~40重量%の範囲であることが好ましく、20~30重量%の範囲であることがより好ましい。
本工程において、媒体中でクエン酸と鉄含有析出物とを接触させて混合物を形成させた後、該混合物を加熱することによりクエン酸第二鉄水溶液を形成させる。本工程において、上記の加熱温度は、60~100℃の範囲の液温であることが好ましく、70~90℃の範囲の
液温であることがより好ましい。また、上記の加熱時間は、1~3時間の範囲であることが好ましく、1.5~2.5時間の範囲であることがより好ましい。
したがって、本工程において、クエン酸第二鉄水溶液を形成させる条件は、上記の液温で1~3時間、該混合物を加熱することが特に好ましい。
上記の条件で本工程を実施することにより、クエン酸第二鉄を含有する水溶液を高収率で形成させることが可能となる。
2-4. クエン酸第二鉄析出工程
本工程は、クエン酸第二鉄水溶液と有機溶媒とを接触させて、クエン酸第二鉄を析出させることを目的とする。
本工程において使用し得る有機溶媒としては、限定するものではないが、例えば、アセトンのような水混和性の有機溶媒を挙げることができる。アセトン又は含水アセトンであることが好ましい。
本工程において使用される有機溶媒は、当業界で慣用される通常の純度であればよい。有機溶媒の使用量は、クエン酸第二鉄水溶液100重量部に対して、300~500重量部の範囲
であることが好ましく、350~450重量部の範囲であることがより好ましい。
本工程において、クエン酸第二鉄水溶液と有機溶媒とを上記の条件で接触させることにより、クエン酸第二鉄を析出させる。本工程において、上記の析出温度は、15~35℃の範囲であることが好ましく、20~30℃の範囲であることがより好ましい。また、上記の析出時間は、0.5~2時間の範囲であることが好ましく、0.5~1時間の範囲であることがより好ましい。
上記の方法で得られたクエン酸第二鉄をそのままの形態で所望の用途に使用してもよいが、場合により、析出したクエン酸第二鉄をさらに乾燥させる操作を実施してもよい。例えば、特許文献1に記載の方法で乾燥させることができる。
上記の条件で本工程を実施することにより、高純度のクエン酸第二鉄を高収率で析出させることが可能となる。
3. クエン酸第二鉄の医薬用途
3-1. 医薬組成物
本発明のクエン酸第二鉄を有効成分として含有する医薬組成物は、in vivoにおいて、
以下で説明する疾患又は障害を有するヒト及び非ヒト動物のいずれの個体に対しても適用することができる。ヒトに適用する場合、医薬組成物又は以下で説明する製剤の形態として提供することができる。非ヒト動物に適用する場合、対象となる非ヒト動物は、限定するものではないが、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ又はサルであることが好ましい。
上記の対象(患者又は被験体)に本発明の医薬組成物又は製剤を適用することにより、以下で説明する疾患又は障害を治療又は改善することが可能となる。それ故、本発明は、上記の患者又は被験体に本発明の医薬組成物又は製剤を投与することを含む、下記の疾患又は障害を治療又は改善する方法も提供する。
本発明の医薬組成物は、限定するものではないが、例えば、患者における摂取リン酸塩の吸収を阻害するため、または、高リン血症を治療又は改善するために使用することができる。それ故、本発明は、クエン酸第二鉄を有効成分として含有する高リン血症治療又は改善剤も提供する。或いは、本発明は、クエン酸第二鉄を有効成分として含有する血清リン低下剤も提供する。
本発明のクエン酸第二鉄は、高い比表面積を有し、リンの吸着能力が高い。それ故、本発明は、本発明のクエン酸第二鉄を有効成分として含有するリン吸着剤も提供する。
本発明の医薬組成物又は製剤を使用することにより、上記の疾患又は障害を治療又は改善することが可能となる。なお、本明細書において、「高リン酸血症の治療」とは、「高リン酸血症の改善」と同義であり、例えば、血清リン濃度を3.5~6.0 mg/dLの範囲に低下させることを意味するが、これに限定されない。
3-2. 医薬製剤
本発明の方法によって製造されるクエン酸第二鉄、すなわち本発明の高純度クエン酸第二鉄を有効成分として含有する医薬組成物は、該医薬組成物自体を単独で被験体に投与してもよいが、本発明の高純度クエン酸第二鉄を、該化合物と1種以上の製薬上許容される
担体、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、補助剤、安定剤、保存剤、滑沢剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、無痛化剤又は当業者に公知の他の材料、及び場合により他の薬物とを共に含む医薬(例えば製剤)として提供することもできる。それ故、本発明は、上記のような医薬組成物を提供するだけでなく、本発明の高純度クエン酸第二鉄を、1種以上の製薬上許容される担体、賦形剤、崩壊剤、結合剤、
流動化剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、補助剤、安定剤、保存剤、滑沢剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、無痛化剤又は当業者に公知の他の材料、及び場合により他の薬物と混合することを含む、医薬を製造する方法を提供する。
また、本発明は、上記の疾患又は障害を治療又は改善するための医薬の製造における、本発明の高純度クエン酸第二鉄の使用も提供する。
本明細書において、「製薬上許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/危険比に相応する、過度の毒性、刺激、アレルギー反応又は合併症を起こさない、被験体(例えば、ヒト)の組織と接触させて使用するのに適した化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を意味する。それぞれの担体、賦形剤等は、製剤の他の成分と共存可能であるという意味でも「許容される」ものでなければならない。
製剤は、単位投薬形態として適宜提供することができ、製薬技術分野において周知の任意の方法により調製し得る。このような方法は、本発明の高純度クエン酸第二鉄と1種以
上の副成分(例えば担体)とを混合する工程を含む。一般的には、製剤は、活性化合物と
微細に粉砕された固体の担体若しくは液体の担体又はその両方とを均一かつ緊密に混合し、次いで必要な場合には生成物を成形することにより調製される。
製剤の形態(剤形)としては、限定するものではないが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤又は懸濁剤等の経口剤を挙げることができる。
錠剤は、場合により1種以上の上記の副成分を加えて、通常の手段、例えば圧縮又は成
形により製造することができる。圧縮錠剤は、本発明の高純度クエン酸第二鉄を、場合により1種以上の結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、アカシアガム、ソルビトール、ト
ラガカント、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤又は希釈剤(例えば、微結晶セルロース、ラクトース);滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例えば、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);界面活性剤若しくは分散剤又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム);及び保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)と混合して、好適な機械で圧縮することにより調製し得る。錠剤は、場合によりコーティング又は切込みを施してもよく、また、例えば、製剤中に含まれるクエン酸第二鉄の徐放又は制御放出を提供するように製剤してもよい。錠剤は、場合により、胃以外の消化管の部分で放出されるように、腸溶コーティングを施してもよい。
3-3. 治療方法
本発明の医薬組成物又は製剤を、上記の疾患又は障害の治療又は改善に使用する場合、本発明の高純度クエン酸第二鉄の適切な投与量は、当然ながら患者により異なる。一般に、投与量は、実質的に有害な副作用を起こさずに所望の効果を達成する局所濃度を、作用の部位において達成するように選択される。ここで、選択される投与レベルは、限定するものではないが、例えば、クエン酸第二鉄の活性、投与経路、投与の時間、排出速度、治療の継続期間、組み合わせて使用される他の薬物、並びに患者の年齢、性別、体重、病態、全般的健康状態、及び既往歴を含む種々の因子に依存する。
in vivo投与は、全治療過程を通して、一回の投与で、連続的に、又は断続的に(例え
ば、適切な間隔をあけて分割投与で)行うことができる。1回又は複数回の投与は、治療
する医師により選択される用量レベル及びパターンで実施することができる。例えば、成人患者に経口投与する場合、クエン酸第二鉄の好適な用量は、1日あたり、通常約1~8 g
の範囲である。上記の量を1回又は複数回に分けて投与することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
1. クエン酸第二鉄の調製
実施例1:
鉄含有析出物形成工程
60.5 kg(Fe3+として6.7 kg;120.0 mol)の塩化第二鉄水溶液を反応容器に入れ、102.9 kgの精製水で希釈して、4.1重量%のFe3+を含有する塩化第二鉄水溶液を得た。この塩
化第二鉄水溶液を、0~5℃の液温となるように冷却した。予め0~5℃の液温に冷却した139.6 kgの10重量%NaOH水溶液を、前記塩化第二鉄水溶液に0~4.2℃の液温を維持しながら120分間かけて滴下して、最終pHを9.05とした。滴下終了後、得られた混合物を1.6~3.8
℃の温度(液温)で1時間撹拌した。pHを測定して、混合物のpHが8.0~10.0の範囲であることを確認した。
洗浄工程
上記の工程で得られた混合物を濾過しながら、120 kgの精製水で洗浄した。濾別されたフェリハイドライトを主成分とする鉄含有粗析出物(湿固体(1):70.52 kg)を、162.7 kgの精製水中で55分間撹拌洗浄した。この懸濁液を再度濾過し、フェリハイドライトを主
成分とする鉄含有析出物を得た(湿固体(2):53.26 kg)。
クエン酸第二鉄水溶液形成工程
28.9 kg(150.5 mol)のクエン酸を38.74 kgの精製水に溶解して、67.64 kgのクエン酸水溶液を調製した。上記の工程で得られた53.26 kgの湿固体(2)と67.64 kgの前記クエン
酸水溶液とを反応容器に入れ、室温(約25℃)で70分間、約67 rpmの撹拌速度でゆっくりと撹拌して混合物を形成させた。次いで、混合物の温度(液温)が80℃に到達するまで、該混合物の温度(液温)と外部温度との差が0~15℃の範囲となるような条件でゆっくり
と加熱昇温した。その後、混合物を80.1~84.0℃の液温で120分間撹拌して、フェリハイ
ドライトを主成分とする鉄含有析出物を溶解させた。フェリハイドライトを主成分とする鉄含有析出物が溶解したことを確認した後、混合物の液温が20~30℃の範囲となるように該混合物を冷却した。得られた混合物中の不溶物を濾過で除き、クエン酸第二鉄水溶液を得た(118.0 kg)。
クエン酸第二鉄析出工程
471.8 kgの95重量%アセトン(5重量%水を含有するアセトン)を反応容器に入れた。
上記の工程で得られた118.0 kgのクエン酸第二鉄水溶液を、25分間かけて撹拌しながら反応容器中の95重量%アセトンに滴下した。滴下終了後、得られた混合物を21.1~22.2℃の液温で40分間撹拌した。得られた混合物を濾過し、クエン酸第二鉄を含有する析出物を得た(湿固体(3):74.08 kg)。得られた74.08 kgの湿固体(3)を乾燥させて、目的の高純度クエン酸第二鉄を粉末として得た(収量:25.86 kg;収率:78.86%)。
実施例2:
実施例2のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液を塩化第二鉄水溶液に4.0~4.7℃の液温を維持しながら165分間かけて滴下して、最終pHを9.20とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:136.03 kg;収率:85.3%)。
実施例3:
実施例3のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液を塩化第二鉄水溶液に4.0~4.7℃の液温を維持しながら165分間かけて滴下して、最終pHを9.20とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:136.42 kg;収率:84.7%)。
実施例4:
鉄含有析出物形成工程
639.5 kg(Fe3+として67.3 kg;1205 mol)の塩化第二鉄水溶液を反応容器に入れ、1002 kgの精製水で希釈して、4.1重量%のFe3+を含有する塩化第二鉄水溶液を得た。この塩
化第二鉄水溶液を、0~5℃の液温となるように冷却した。予め0~5℃の液温に冷却した1467.9 kgの10重量%NaOH水溶液を、前記塩化第二鉄水溶液に3.5~8.0℃の液温を維持しな
がら120分間かけて滴下して、最終pHを9.22とした。滴下終了後、得られた混合物を3.7~4.7℃の温度(液温)で1時間撹拌した。pHを測定して、混合物のpHが8.0~10.0の範囲で
あることを確認した。
洗浄工程
上記の工程で得られた混合物を濾過しながら、2000 Lの精製水で洗浄した。濾別されたフェリハイドライトを主成分とする鉄含有粗析出物(湿固体(1):628.02 kg)を、1627.0
kgの精製水中で25分間撹拌洗浄した。この懸濁液を再度濾過し、フェリハイドライトを
主成分とする鉄含有析出物を得た(湿固体(2):530.75 kg)。
クエン酸第二鉄水溶液形成工程
289.30 kg(1506 mol)のクエン酸を389.0 kgの精製水に溶解して、678.3 kgのクエン
酸水溶液を調製した。上記の工程で得られた530.75 kgの湿固体(2)と678.3 kgの前記クエン酸水溶液とを反応容器に入れ、室温(約25℃)で69分間、約50 rpmの撹拌速度でゆっくりと撹拌して混合物を形成させた。次いで、混合物の温度(液温)が80℃に到達するまで、該混合物の温度(液温)と外部温度との差が0~15℃の範囲となるような条件でゆっく
りと加熱昇温した。その後、混合物を80.0~81.9℃の液温で120分間撹拌して、フェリハ
イドライトを主成分とする鉄含有析出物を溶解させた。フェリハイドライトを主成分とする鉄含有析出物が溶解したことを確認した後、混合物の液温が20~30℃の範囲となるように該混合物を冷却した。得られた混合物中の不溶物を濾過で除き、クエン酸第二鉄水溶液を得た(1226.5 kg)。
クエン酸第二鉄析出工程
2453 kgのアセトンを反応容器に入れた。上記の工程で得られた613.2 kgのクエン酸第
二鉄水溶液を、45分間かけて撹拌しながら反応容器中のアセトンに滴下した。滴下終了後、得られた混合物を24.0~24.6℃の液温で40分間撹拌した。得られた混合物を濾過し、クエン酸第二鉄を含有する析出物を得た(湿固体(3):425.17 kg)。得られた425.17 kgの
湿固体(3)を乾燥させて、目的の高純度クエン酸第二鉄を粉末として得た(収量:154.21 kg;収率:91.7%)。
実施例5:
実施例5のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液を塩化第二鉄水溶液に3.5~8.0℃の液温を維持しながら120分間かけて滴下して、最終pHを9.22とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:154.61 kg;収率:91.9%)。
実施例6:
実施例6のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液を塩化第二鉄水溶液に2.6~7.5℃の液温を維持しながら115分間かけて滴下して、最終pHを9.09とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:154.68 kg;収率:91.5%)。
実施例7:
実施例7のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液を塩化第二鉄水溶液に2.6~7.5℃の液温を維持しながら115分間かけて滴下して、最終pHを9.09とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:156.09 kg;収率:92.3%)。
実施例8:
実施例8のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液を塩化第二鉄水溶液に2.4~8.6℃の液温を維持しながら162分間かけて滴下して、最終pHを9.21とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:150.43 kg;収率:92.1%)。
実施例9:
実施例9のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液を塩化第二鉄水溶液に2.4~8.6℃の液温を維持しながら162分間かけて滴下して、最終pHを9.21とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:152.30 kg;収率:92.8%)。
実施例10:
実施例10のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に2.6~7.6℃の液温を維持しながら118分間かけて滴下して、最終pH
を9.13とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:149.47 kg;収率:88.4%)
実施例11:
実施例11のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に2.6~7.6℃の液温を維持しながら118分間かけて滴下して、最終pH
を9.13とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:150.47 kg;収率:89.0%)
実施例12:
実施例12のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に0~7.3℃の液温を維持しながら105分間かけて滴下して、最終pHを8.98とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:146.06kg;収率:87.7%)。
実施例13:
実施例13のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に0~7.3℃の液温を維持しながら105分間かけて滴下して、最終pHを8.98とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:146.56kg;収率:88.0%)。
実施例14:
実施例14のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に1.3~8.3℃の液温を維持しながら74分間かけて滴下して、最終pHを8.91とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:146.01 kg;収率:88.7%)。
実施例15:
実施例15のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に1.3~8.3℃の液温を維持しながら74分間かけて滴下して、最終pHを8.91とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:146.23 kg;収率:89.6%)。
実施例16:
実施例16のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に2.5~8.4℃の液温を維持しながら91分間かけて滴下して、最終pHを9.64とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:142.30 kg;収率:86.2%)。
実施例17:
実施例17のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に2.5~8.4℃の液温を維持しながら91分間かけて滴下して、最終pHを9.64とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:144.60 kg;収率:86.5%)。
実施例18:
実施例18のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に1.9~8.0℃の液温を維持しながら117分間かけて滴下して、最終pH
を8.40とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:138.93 kg;収率:86.8%)
実施例19:
実施例19のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に1.9~8.0℃の液温を維持しながら117分間かけて滴下して、最終pH
を8.40とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:132.89 kg;収率:83.2%)
実施例20:
実施例20のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に1.4~8.3℃の液温を維持しながら77分間かけて滴下して、最終pHを8.61とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:146.18 kg;収率:87.8%)。
実施例21:
実施例21のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に1.4~8.3℃の液温を維持しながら77分間かけて滴下して、最終pHを8.61とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:145.92 kg;収率:89.3%)。
実施例22:
実施例22のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に2.2~9.1℃の液温を維持しながら76分間かけて滴下して、最終pHを9.08とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:156.90 kg;収率:93.7%)。
実施例23:
実施例23のクエン酸第二鉄は、実施例4の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液
を塩化第二鉄水溶液に2.2~9.1℃の液温を維持しながら76分間かけて滴下して、最終pHを9.08とした他は、実施例4と同様の方法で調製した(収量:153.60 kg;収率:90.4%)。
実施例24:
鉄含有析出物形成工程
186.2 g(Fe3+として24.6 g;0.440 mol)の塩化第二鉄水溶液を出発原料とし、NaOH水溶液を、前記塩化第二鉄水溶液に3.0~5.3℃の液温を維持しながら100分間かけて滴下し
て、最終pHを9.08とした他は、実施例4と同様の方法で調製した混合物から鉄含有析出物
を得た。上記鉄含有析出物を4等分したものを原料とし、クエン酸第二鉄水溶液形成工程
において、クエン酸をFe3+に対して1.00当量とした他は、実施例4の、クエン酸第二鉄水
溶液形成工程およびクエン酸第二鉄析出工程と同様の方法で調整することにより、目的の高純度クエン酸第二鉄を得た(収量:24.76 g;収率:90.6%)。
実施例25:
実施例25のクエン酸第二鉄は、実施例20で得られた鉄含有析出物を用い、実施例20のクエン酸第二鉄水溶液形成工程において、クエン酸をFe3+に対して2.50当量とした他は、実施例20と同様の方法で調製した(収量:26.79 g;収率:93.7%)。
実施例26:
実施例26のクエン酸第二鉄は、実施例20で得られた鉄含有析出物を用い、実施例20のクエン酸第二鉄水溶液形成工程において、クエン酸をFe3+に対して2.50当量とした他は、実施例20と同様の方法で調製した(収量:26.88 g;収率:93.8%)。
実施例27:
実施例27のクエン酸第二鉄は、実施例20で得られた鉄含有析出物を用い、実施例20のクエン酸第二鉄水溶液形成工程において、クエン酸をFe3+に対して3.00当量とした他は、実施例20と同様の方法で調製した(収量:27.96 g;収率:94.4%)。
実施例28:
実施例28のクエン酸第二鉄は、実施例20の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液を塩化第二鉄水溶液に2.3~6.3℃の液温を維持しながら89分間かけて滴下して最終pHを9.
13として、且つクエン酸第二鉄水溶液形成工程において、クエン酸をFe3+に対して1.10当量とした他は、実施例20と同様の方法で調製した(収量:37.05 g;収率:94.8%)。
実施例29:
実施例29のクエン酸第二鉄は、実施例20の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液を塩化第二鉄水溶液に0~5.9℃の液温を維持しながら97分間かけて滴下して最終pHを9.25として、且つクエン酸第二鉄水溶液形成工程において、クエン酸をFe3+に対して1.25当量とした他は、実施例20と同様の方法で調製した(収量:37.98 g;収率:93.5%)。
実施例30:
実施例30のクエン酸第二鉄は、実施例20の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液を塩化第二鉄水溶液に3.1~6.3℃の液温を維持しながら91分間かけて滴下して最終pHを9.21として、且つクエン酸第二鉄水溶液形成工程において、クエン酸をFe3+に対して1.40当量とした他は、実施例20と同様の方法で調製した(収量:37.15 g;収率:94.5%)。
実施例31:
実施例31のクエン酸第二鉄は、実施例20の鉄含有析出物形成工程において、NaOH水溶液を塩化第二鉄水溶液に3.7~5.4℃の液温を維持しながら90分間かけて滴下して最終pHを9.28として、且つクエン酸第二鉄水溶液形成工程において、クエン酸をFe3+に対して1.55当量とした他は、実施例20と同様の方法で調製した(収量:37.69 g;収率:96.8%)。
比較例1-4
特許文献1に記載された方法にしたがって調製した。但し、本発明の鉄含有析出物形成
工程に相当する工程の条件は、下記表3に示す条件に改変した。
比較例11
食品添加物用の市販のクエン酸第二鉄(関東化学社製;製造ロット番号:901X1445;製造年月:2007年1月)を使用した。このクエン酸第二鉄は、硫酸第二鉄とアンモニア水よ
り製した水酸化第二鉄とクエン酸とを反応させ、得られた溶液を濃縮してシロップ状とし、これをガラス板上に薄く塗布し、小葉片として剥離するまで乾燥することによって調製される(食品添加物公定書解説書より)。
比較例12
食品添加物規格に適合した市販のクエン酸第二鉄(SIGMA社製, Technical Grade;製造ロット番号:048K0125;製造年月:2008年6月)を使用した。このクエン酸第二鉄は、比
較例11に記載の方法と同様の方法により調製される。
2. クエン酸第二鉄の組成分析
比較例11及び12、並びに実施例1~31のクエン酸第二鉄について、慣用の方法で第二鉄
の量(滴定法)、クエン酸の量(液体クロマトグラフィー)及び水分の量(カールフィッシャー、電量法、標準試験方法コードB-021)を測定した。結果を表1A及びBに示す。
Figure 0007275410000001
Figure 0007275410000002
表1Aに示すように、比較例11及び12のクエン酸第二鉄において、第二鉄とクエン酸とのモル比の平均値は1:1.10、第二鉄と水とのモル比の平均値は1:2.70であった。
これに対し、表1Bに示すように、実施例1~31のクエン酸第二鉄において、第二鉄、ク
エン酸及び水の量は、クエン酸第二鉄の総重量に対してそれぞれ17.6~21.4重量%、58.6~66.5重量%及び16.5~19.4重量%であり、各実施例の測定結果に大きな違いはなかった。上記の測定値から求めた第二鉄とクエン酸とのモル比は、1:0.796~1:1.098、第二鉄と水とのモル比は、1:2.412~1:3.021であった。
実施例1~31のモル比の最大値及び最小値を分子式「Fe・x(C6H8O7)・y(H2O)」に当てはめると、xの範囲は0.796~1.098となり、yの範囲は2.412~3.021となった。
3. クエン酸第二鉄の元素分析
比較例11及び12、並びに実施例1~23のクエン酸第二鉄について、慣用の方法で元素分
析を行い、炭素の量、水素の量及び酸素の量を測定した。結果を表2A及びBに示す。
Figure 0007275410000003
Figure 0007275410000004
表2Aに示すように、比較例11及び12において、第二鉄と炭素との組成比、第二鉄と水素との組成比及び第二鉄と酸素との組成比の平均値は、それぞれ1:6.7、1:10.6及び1:10.2
であった。
これに対し、表2Bに示すように、実施例1~23において、第二鉄と炭素との組成比、第
二鉄と水素との組成比及び第二鉄と酸素との組成比の平均値は、それぞれ1:5.09、1:9.30
及び1:8.56であった。上記の組成比の平均値をクエン酸第二鉄の一態様である分子式「Fe・x(C6H8O7)・y(H2O)」に当てはめると、その平均組成式は「FeC5.09H9.30O8.56」と算出され、平均分子量は263.33と算出された。
4. クエン酸第二鉄の赤外吸収スペクトル測定
実施例1~23のクエン酸第二鉄について、臭化カリウム錠剤法により赤外吸収スペクト
ル(IRスペクトル)を測定した。実施例4のクエン酸第二鉄のIRスペクトルを図1に示す。
図1に示すように、実施例4のクエン酸第二鉄のIRスペクトルには、1608 cm-1付近にク
エン酸の解離型カルボニウムイオンのC=O伸縮振動に由来すると推測される強い吸収が、1717 cm-1付近にクエン酸の非解離型のカルボン酸のC=O伸縮振動に由来すると推測される
弱い吸収が観測された。また、その他の実施例のクエン酸第二鉄も、実施例4のクエン酸
第二鉄と同様のIRスペクトルパターンを示し、上記の波数付近に同程度の強度の吸収帯が観測された。
5. クエン酸第二鉄の化学構造解析
上記のように、組成分析、元素分析及び赤外吸収スペクトルの結果から、実施例1~31
のクエン酸第二鉄の化学構造は、第二鉄と3価のクエン酸とのモル比が1:1の正塩の形態
ではなく、Fe・x(C6H8O7)・y(H2O)(式中、xは0.796~1.098であり、yは2.412~3.021で
ある)の錯体の形態であることが明らかとなった。
6. クエン酸第二鉄の粉末X線回析
実施例4のクエン酸第二鉄について、粉末X線回折測定法により粉末X線回折スペクトル
を測定した。なお、対陰極にはコバルトを用いた。結果を図2に示す。
図2に示すように、実施例4のクエン酸第二鉄の粉末X線回折スペクトルは、散漫性の極
大を持つハローパターンを示したため、実施例4のクエン酸第二鉄は非晶質(非晶質の粉
末)であると判断した。
7. β酸化水酸化鉄の同定とβ酸化水酸化鉄の定量
実施例1~31のクエン酸第二鉄について、夾雑物であるβ酸化水酸化鉄を定性及び定量
分析するため、粉末X線回析法(コバルト管球)により観測された回折角40~41°付近の
回折ピークのピーク面積を自動積分法により測定して、以下の式:
β酸化水酸化鉄量(重量%)=(QT/QS) x 0.025 x CF
[式中、
QTは、2.5%β酸化水酸化鉄から得られた回折角40~41°付近の回折ピークのピーク面
積であり;
QSは、試料から得られた回折角40~41°付近の回折ピークのピーク面積であり;
CFは、β酸化水酸化鉄標準物質の含有量(重量%)である]
を用いる外部標準法により、クエン酸第二鉄の試料中における該試料の総重量に対するβ酸化水酸化鉄量(重量%)を算出した。
なお、粉末X線回折法の操作条件は下記のとおりである。
ターゲット: Co
X線管電流: 40 mA
X線管電圧: 45 kV
走査範囲: 2θ=38~44°
ステップ: 2θ=0.01671°
平均時間/ステップ: 1000 s
固定発散スリット: 1/2°
回転速度: 毎分60回転
受光側のフィルター: Feフィルター
走査軸: ゴニオ
アンチスキャッタースリット:1°
試験例1:水酸化ナトリウムの添加条件の検討
鉄含有析出物形成工程において、水酸化ナトリウムを添加する際の温度と時間が、β酸化水酸化鉄の生成及び結果として得られるクエン酸第二鉄の溶解性に与える影響について、検討した。
上記1で説明した方法にしたがって、実施例1~31のクエン酸第二鉄を調製した。
比較例として、特許文献1に記載された方法にしたがって、比較例1~4のクエン酸第二
鉄を調製した。
比較例1~4及び実施例1~31のクエン酸第二鉄について、上記の粉末X線回折法によるβ酸化水酸化鉄由来のピークの有無、及び第15改正日本薬局方溶出試験法パドル法に基づき、30分における第15改正日本薬局方溶出試験第1液(日局溶出試験第1液)中の溶解性(
パドル法、100回転、600 mg/900 ml、溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定し、その極大波長における吸光度をもとに算出)を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0007275410000005
表3に示すように、鉄含有析出物形成工程において、塩化第二鉄と水酸化ナトリウムと
の反応温度(液温)は、15℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましく、0~10℃の範囲であることが特に好ましい。
鉄含有析出物形成工程において、水酸化ナトリウムの滴下時間は、3時間以内であるこ
とが好ましく、2時間以内であることがさらに好ましく、1時間以内であることがより好ましく、30分以内であることが特に好ましい。
したがって、鉄含有析出物形成工程において、水酸化ナトリウムの滴下条件は、例えば3時間以内且つ15℃以下であり、10℃以下又は0~10℃の範囲であることが好ましく、2時
間以内且つ15℃以下であることがさらに好ましく、2時間以内且つ10℃以下であることが
より好ましく、2時間以内且つ0~10℃の範囲の温度(液温)であることが特に好ましく、1時間以内且つ0~10℃の範囲であることがとりわけ好ましい。
試験例2:β酸化水酸化鉄の定量
比較例1~4並びに実施例1、4、5、6 、7及び10~23のクエン酸第二鉄について、上記の粉末X線回折法により、クエン酸第二鉄の試料中における該試料の総重量に対するβ酸化
水酸化鉄量(重量%)を算出した。結果を表4に示す。
Figure 0007275410000006
8. 日局溶出試験第1液における溶出プロファイル
比較例1、11及び12、並びに実施例4、5、6、7、8及び9のクエン酸第二鉄について、第15改正日本薬局方溶出試験法パドル法に基づき、第15改正日本薬局方溶出試験第1液(日局溶出試験第1液)(pH1.2)における溶出プロファイルを比較した(パドル法、100回転、600 mg/900 ml)。なお、比較例1、並びに実施例4、5、6、7、8及び9のクエン酸第二鉄は
、上記の方法にしたがって調製した試料の粉砕品を用いた。結果を図3に示す。
図3に示すように、本発明のクエン酸第二鉄の一態様は、日局溶出試験第1液(pH1.2、
パドル法、100回転、600 mg/900 ml)におけるクエン酸第二鉄の95重量%以上が15分以内、好ましくは10分以内に溶出する溶出挙動を示すクエン酸第二鉄である。また、15分での溶出率が、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、とりわけ好ましくは95%以上である。
9. 比表面積の測定
比較例11及び12、並びに実施例1、4、5、6、7及び10~23のクエン酸第二鉄について、
窒素ガス吸着法(相対圧:0.05-0.3)により比表面積(BET表面積)を測定した。結果を
表5に示す。
Figure 0007275410000007
10. 薬理試験
使用例1:ラットにおけるリン吸収阻害作用
ラットにおいて、クエン酸第二鉄(実施例1)のリン吸収阻害作用を検討した。1群8~9匹の雄性SD系ラットに、飼料の総重量に対して1.1重量%又は3.2重量%の実施例1のクエ
ン酸第二鉄を含有する飼料を用いて、7日間混餌投与した。対照群には、クエン酸第二鉄
を含有しない飼料を与えた。投与期間中は連日採糞及び採尿を実施した。採取した糞及び尿サンプル中のリン濃度を測定し、糞中リン排泄量及び尿中リン排泄量を算出した。摂餌量からクエン酸第二鉄量を差し引いた量に飼料中のリン含有率を乗じてリン摂取量を算出し、リン摂取量から糞中リン排泄量を差し引くことによりリン吸収量を算出した。対照群及び試験群のリン吸収量及び尿中リン排泄量の平均値(mg リン/日)を図4に示す。
11. 製剤試験
製剤例1:250 mg錠
1.680 kgのポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(Kollicoat IR、BASF製)及び0.42 kgのポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸
メチル共重合体(POVACOAT Type:F、大同化成工業製)を25.9 kgの精製水に加えた後、プロペラミキサーにより溶解して結合液を調製した。
38.3248 kg(無水物換算で30 kg)のクエン酸第二鉄(実施例4及び5で製造されたもの
のうち、それぞれ19.1624 kgずつを混合したもの)及び3.4591 kgの結晶セルロース(セ
オラス PH-102、旭化成ケミカルズ製)を流動層造粒乾燥機(WSG-60、パウレック製)に入れ、24.0 kgの前記結合液を噴霧して造粒後、乾燥させた。得られた乾燥顆粒を、スク
リーンミル(U20型、パウレック製)により目開き1143μmのスクリーンで篩過し、整粒末
を得た。
得られた41.4048 kgの整粒末に、3.42 kgの低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(LH-11、信越化学工業製)及び0.57 kgのクロスポビドン(Kollidon CL-F、BASF製)を添加し、W型混合機(TCW-100、徳寿工作所製)を用いて毎分29回転で310秒混合した。次いで
、0.7752 kgのステアリン酸カルシウム(日本薬局方ステアリン酸カルシウム、植物性、
太平化学産業製)を加えて、W型混合機(TCW-100、徳寿工作所製)を用いて毎分29回転で104秒混合し、打錠末を得た。この打錠末を、ロータリー式打錠機(コレクト12HUK、菊水製作所製)を用いて打錠圧950 kgf/杵で打錠し、長径14.8 mm、短径6.8 mm、質量405 mg
のカプセル型の素錠を得た。
得られた12.15 kgの素錠を、自動コーティング機(HCT-60N、フロイント産業製)を用
いて、600 gのヒプロメロース(TC-5M、信越化学工業製)、200 gの酸化チタン(Titanuim(IV) Oxide extra pure、メルク製)、100 gのタルク(ハイフィラー #17、松村産業
製)、100 gのマクロゴール6000(マクロゴール6000P、日油製)及び7000 gの精製水を混合して得られたコーティング液でコーティングして、1錠あたり約18 mgのコーティング皮膜を有する錠剤(1錠あたり12 mgのポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、3 mgのポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、30 mgの低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及び5 mgのクロスポビドン含有)
を得た。
製剤例1の粗錠及びコーティング皮膜を有する錠剤の成分組成を表6に示す。
Figure 0007275410000008
本発明の方法により、β酸化水酸化鉄の混在量を低減させたクエン酸第二鉄、及び溶出特性に優れた高純度クエン酸第二鉄を提供することが可能となる。

Claims (3)

  1. クエン酸第二鉄の製造方法であって、以下の工程:
    水性媒体中において塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを3時間以内且つ0~10℃の範囲の液温で接触させて、鉄を含有する析出物を形成させる、鉄含有析出物形成工程;
    水性媒体中においてクエン酸と鉄含有析出物とを接触させて、その後加熱することによりクエン酸第二鉄水溶液を形成させる、クエン酸第二鉄水溶液形成工程;
    クエン酸第二鉄水溶液と有機溶媒とを接触させて、クエン酸第二鉄を析出させる、クエン酸第二鉄析出工程;
    を含む、前記方法。ただし、塩化第二鉄と水酸化ナトリウムとを2時間以内で接触させる場合を除く。
  2. クエン酸第二鉄水溶液形成工程において、クエン酸と鉄含有析出物とを60~100℃の範囲の液温で接触させる、請求項1に記載の方法。
  3. 鉄を含有する析出物がフェリハイドライトである、請求項1又は2に記載の方法。
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