本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図1及び図5に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」とする。
また、図3、図11、図15に示す矢印Nの方向を「北」、矢印Sの方向を「南」として、矢印Eの方向を「東」、矢印Wの方向を「西」とする。
〔コンバインの全体構成〕
図1に示すように、自脱型のコンバイン1(本発明に係る「農作業機」に相当)は、クローラ式の走行装置11、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14、刈取部H、穀粒排出装置18、衛星測位モジュール80を備えている。
走行装置11は、コンバイン1における下部に備えられている。また、走行装置11は、エンジン(図示せず)からの動力によって駆動する。そして、コンバイン1は、走行装置11によって自走可能である。
また、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられている。運転部12には、コンバイン1の作業を監視するオペレータが搭乗可能である。尚、オペレータは、コンバイン1の機外からコンバイン1の作業を監視していても良い。
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14に接続している。また、衛星測位モジュール80は、運転部12の上面に取り付けられている。
刈取部Hは、コンバイン1における前部に備えられている。そして、刈取部Hは、バリカン型の切断装置15、及び、搬送装置16を有している。
切断装置15は、圃場の植立穀稈の株元を切断する。そして、搬送装置16は、切断装置15により切断された穀稈を後側へ搬送する。
この構成により、刈取部Hは、圃場の植立穀稈を刈り取る。コンバイン1は、刈取部Hによって圃場の植立穀稈を刈り取りながら走行装置11によって走行する刈取走行が可能である。
搬送装置16により搬送された穀稈は、脱穀装置13において脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
また、運転部12には、通信端末4(図4参照)が配置されている。通信端末4は、種々の情報を表示可能に構成されている。本実施形態において、通信端末4は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、通信端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、通信端末4は、コンバイン1の機外に位置していても良い。
ここで、コンバイン1は、図2に示すように圃場における外周側の領域で穀物を収穫しながら周回走行を行った後、図3に示すように圃場における内側の領域で刈取走行を行うことにより、圃場の穀物を収穫するように構成されている。
本実施形態においては、図2に示す周回走行は手動走行により行われる。また、図3に示す内側の領域での刈取走行は、自動走行により行われる。
尚、本発明はこれに限定されず、図2に示す周回走行は自動走行により行われても良い。
また、運転部12には、主変速レバー19(図4及び図5参照)(本発明に係る「車速操作部」に相当)が設けられている。主変速レバー19は、人為操作可能である。コンバイン1が手動走行しているとき、オペレータが主変速レバー19を操作すると、コンバイン1の車速が変化する。即ち、コンバイン1が手動運転しているとき、オペレータは、主変速レバー19を操作することにより、コンバイン1の車速を変更することができる。
尚、オペレータは、通信端末4を操作することにより、エンジンの回転速度を変更することができる。
作物の状態によって、適切な作業速度は異なる。オペレータが通信端末4を操作し、エンジンの回転速度を適切な回転速度に設定すれば、作物の状態に適した作業速度で作業を行うことができる。
〔制御部に関する構成〕
図4に示すように、コンバイン1は、制御部20を備えている。制御部20は、自車位置算出部21(本発明に係る「位置情報取得部」に相当)、領域算出部22、経路算出部23、走行制御部24、越境判定部25を有している。
衛星測位モジュール80は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星からのGPS信号を受信する。そして、図4に示すように、衛星測位モジュール80は、受信したGPS信号に基づいて、コンバイン1の自車位置を示す測位データを自車位置算出部21へ送る。
自車位置算出部21は、衛星測位モジュール80により出力された測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標(本発明に係る「位置情報」に相当)を経時的に算出する。尚、コンバイン1の位置座標は、コンバイン1の機体の位置を示している。算出されたコンバイン1の経時的な位置座標は、領域算出部22及び走行制御部24へ送られる。
尚、自車位置算出部21は、コンバイン1の位置座標を算出することによって、コンバイン1の位置座標を取得する。即ち、コンバイン1は、機体の位置を示す位置座標を取得する自車位置算出部21を備えている。
領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図3に示すように、外周領域SA及び作業対象領域CAを算出する。
より具体的には、領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、圃場の外周側における周回走行でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。そして、領域算出部22は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、コンバイン1が穀物を収穫しながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を、作業対象領域CAとして算出する。
例えば、図2においては、圃場の外周側における周回走行のためのコンバイン1の走行経路が矢印で示されている。図2に示す例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行う。そして、この走行経路に沿った刈取走行が完了すると、圃場は、図3に示す状態となる。
図3に示すように、領域算出部22は、コンバイン1が穀物を収穫しながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を、作業対象領域CAとして算出する。
そして、図4に示すように、領域算出部22による算出結果は、経路算出部23へ送られる。
経路算出部23は、領域算出部22から受け取った算出結果に基づいて、図3に示すように、作業対象領域CAにおける刈取走行のための走行経路である刈取走行経路LIを算出する。尚、図3に示すように、本実施形態においては、刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線である。また、複数のメッシュ線は直線でなくても良く、湾曲していても良い。
図4に示すように、経路算出部23により算出された刈取走行経路LIは、走行制御部24へ送られる。
走行制御部24は、走行装置11を制御可能に構成されている。そして、走行制御部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、経路算出部23から受け取った刈取走行経路LIと、に基づいて、コンバイン1の自動走行を制御する。より具体的には、走行制御部24は、図3に示すように、刈取走行経路LIに沿った自動走行によって刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
即ち、コンバイン1は、自動走行可能である。
〔コンバインによる収穫作業の流れ〕
以下では、コンバイン1による収穫作業の例として、コンバイン1が、図2に示す圃場で収穫作業を行う場合の流れについて説明する。
最初に、オペレータは、コンバイン1を手動で操作し、図2に示すように、圃場内の外周部分において、圃場の境界線BDに沿って周回するように刈取走行を行う。図2に示す例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行う。この周回走行が完了すると、圃場は、図3に示す状態となる。
領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図2に示す周回走行でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。そして、図3に示すように、領域算出部22は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、コンバイン1が植立穀稈を刈り取りながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を、作業対象領域CAとして算出する。
次に、経路算出部23は、領域算出部22から受け取った算出結果に基づいて、図3に示すように、作業対象領域CAにおける刈取走行経路LIを設定する。
そして、オペレータが自動走行開始ボタン(図示せず)を押すことにより、図3に示すように、刈取走行経路LIに沿った自動走行が開始される。このとき、走行制御部24は、刈取走行経路LIに沿った自動走行によって刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
作業対象領域CAにおける自動走行が開始されると、図3に示すように、まず、コンバイン1は、作業対象領域CAにおける外周部分において、作業対象領域CAの外形に沿って周回するように刈取走行を行う。このとき、コンバイン1は、刈取走行経路LIに沿った走行と、αターンによる方向転換と、を繰り返す。これにより、コンバイン1は、作業対象領域CAにおける外周部分を渦巻き状に刈取走行する。
尚、以下では、この渦巻き状の刈取走行を、「渦巻き走行」と称する。
図3においては、αターンによる方向転換が2回しか行われていないが、αターンによる方向転換は、3回以上行われても良い。即ち、渦巻き走行は、図3に示すケースよりも長い走行距離に亘って行われても良い。例えば、渦巻き走行は、コンバイン1が2周するまで行われても良い。
渦巻き走行が完了すると、コンバイン1は、刈取走行経路LIに沿って前進しながら行われる刈取走行と、Uターンによる方向転換と、を繰り返すことにより、作業対象領域CAの全体を網羅するように刈取走行を行う。
尚、以下では、前進しながらの刈取走行及びUターンによる方向転換を繰り返す走行を、「往復走行」と称する。
即ち、走行制御部24は、渦巻き走行の後に往復走行に移行するように、コンバイン1の走行を制御する。
コンバイン1により刈取走行が行われている間、上述の通り、切断装置15により刈り取られた刈取穀稈は、搬送装置16によって脱穀装置13へ搬送される。そして、脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。
〔車速制御に関する構成〕
図4に示すように、走行制御部24は、車速設定部24aを有している。車速設定部24aは、自動走行中の機体の状態毎に目標車速を設定可能である。
ここで、「機体の状態」とは、例えば、作業前進状態、旋回状態、後進状態、非作業状態である。本実施形態において、作業前進状態とは、コンバイン1が作業をしながら直前進している状態である。より具体的には、作業前進状態とは、コンバイン1が圃場の植立穀稈を刈り取りながら直前進している状態である。
また、本実施形態において、旋回状態とは、コンバイン1が前側に旋回走行している状態である。
また、本実施形態において、後進状態とは、コンバイン1が後側に走行している状態である。
また、本実施形態において、非作業状態とは、コンバイン1が作業をせずに直前進している状態である。より具体的には、非作業状態とは、コンバイン1が刈取作業を行わずに直前進している状態である。例えば、コンバイン1が穀粒排出場所へ向かうために直前進している状態、及び、コンバイン1が燃料補給場所へ向かうために直前進している状態は、何れも、非作業状態である。
尚、本発明はこれに限定されない。例えば、コンバイン1が作業をしながら前側に旋回走行している状態は、旋回状態に含まれず、作業前進状態に含まれても良い。また、コンバイン1が後側に旋回走行している状態は、後進状態に含まれず、旋回状態に含まれても良い。また、コンバイン1が作業をせずに前側に旋回走行している状態は、旋回状態に含まれず、非作業状態に含まれても良い。また、コンバイン1が作業をせずに後側に走行している状態は、後進状態に含まれず、非作業状態に含まれても良い。
コンバイン1の自動走行中に、オペレータが主変速レバー19を操作すると、図4に示すように、操作に応じた信号が主変速レバー19から走行制御部24へ送られる。そして、車速設定部24aは、この信号に基づいて、作業前進車速を設定する。尚、作業前進車速とは、自動走行中における作業前進状態の目標車速である。
詳述すると、図5に示すように、主変速レバー19は、中立位置QNから前方限界位置Q1に亘って、無段階に揺動操作可能に構成されている。そして、図6に示すように、車速設定部24aは、主変速レバー19の操作位置に応じて、作業前進車速を無段階に設定する。
図6に示すように、主変速レバー19の操作位置が中立位置QNである場合、車速設定部24aにより設定される作業前進車速は0(ゼロ)である。また、主変速レバー19の操作位置が第1操作位置Q10である場合、車速設定部24aにより設定される作業前進車速はV10である。また、主変速レバー19の操作位置が第2操作位置Q11である場合、車速設定部24aにより設定される作業前進車速はV11である。また、主変速レバー19の操作位置が前方限界位置Q1である場合、車速設定部24aにより設定される作業前進車速はV1である。
図6に示すように、主変速レバー19の操作位置が前側であるほど、車速設定部24aにより設定される作業前進車速は高くなる。
尚、図5に示すように、第1操作位置Q10は、中立位置QNよりも前側の操作位置である。また、第2操作位置Q11は、第1操作位置Q10よりも前側の操作位置である。
また、図6に示すように、V10は、V11より低い。また、V11は、V1より低い。
また、図7に示すように、通信端末4は、人為操作されるタッチパネル4aを有している。タッチパネル4aは、図7に示す目標車速設定画面を表示可能である。
目標車速設定画面では、旋回設定部5及び後進設定部6が表示される。旋回設定部5は、第1左ボタンLB1及び第1右ボタンRB1を含んでいる。後進設定部6は、第2左ボタンLB2及び第2右ボタンRB2を含んでいる。
オペレータが第1左ボタンLB1または第1右ボタンRB1を押すことにより、旋回設定部5は、第1左ボタンLB1が押された状態と、第1右ボタンRB1が押された状態と、の間で2段階に操作される。同様に、後進設定部6も、2段階に操作される。
そして、コンバイン1の停車中に、オペレータがタッチパネル4aを操作すると、図4に示すように、操作に応じた信号が、通信端末4から車速設定部24aへ送られる。そして、車速設定部24aは、この信号に基づいて、自動走行中における旋回状態及び後進状態の目標車速を設定する。
以上で説明した通り、車速設定部24aは、オペレータによる主変速レバー19及びタッチパネル4aの操作に基づいて、自動走行中の機体の状態毎に目標車速を設定する。即ち、車速設定部24aは、主変速レバー19及びタッチパネル4aを介して、人為操作可能である。
このように、車速設定部24aは人為操作可能である。
尚、タッチパネル4aの操作により、非作業状態の目標車速が設定されても良い。即ち、車速設定部24aは、通信端末4からの信号に基づいて、非作業状態の目標車速を設定するように構成されていても良い。
以下では、自動走行中における旋回状態の目標車速を、「旋回車速」と称する。また、自動走行中における後進状態の目標車速を、「後進車速」と称する。
図7に示す目標車速設定画面において、オペレータが第1左ボタンLB1を押すと、車速設定部24aは、旋回車速をV2に設定する。このとき、目標車速設定画面では、V2が強調表示される。
また、オペレータが第1右ボタンRB1を押すと、車速設定部24aは、旋回車速をV3に設定する。このとき、目標車速設定画面では、V3が強調表示される。
また、オペレータが第2左ボタンLB2を押すと、車速設定部24aは、後進車速をV4に設定する。このとき、目標車速設定画面では、V4が強調表示される。
また、オペレータが第2右ボタンRB2を押すと、車速設定部24aは、後進車速をV5に設定する。このとき、目標車速設定画面では、V5が強調表示される。
即ち、車速設定部24aは、第1左ボタンLB1及び第1右ボタンRB1の人為操作に応じて、旋回車速をV2とV3との間で切り替える。
また、車速設定部24aは、第2左ボタンLB2及び第2右ボタンRB2の人為操作に応じて、後進車速をV4とV5との間で切り替える。
尚、本実施形態において、V2はV3よりも低い。また、V4はV5よりも低い。また、V2及びV5は互いに同一である。また、V3はV1よりも低い。
そして、図4に示すように、走行制御部24は、変化率変更部24c及び車速制御部24dを有している。
車速設定部24aにより設定された作業前進車速、旋回車速、後進車速は、車速制御部24dへ送られる。
また、変化率変更部24cは、自動走行中に、目標変化率を、作業状況に応じて自動的に変更する。尚、目標変化率とは、車速変化率の目標値である。
そして、変化率変更部24cは、変更後の目標変化率を、車速制御部24dへ送る。
車速制御部24dは、車速設定部24aから受け取った作業前進車速、旋回車速、後進車速と、変化率変更部24cから受け取った目標変化率と、に基づいて、走行装置11を制御する。これにより、車速制御部24dは、車速を制御する。
このように、コンバイン1は、目標車速及び目標変化率に基づいて車速を制御する車速制御部24dを備えている。
尚、本実施形態において、「車速を制御する」とは、走行装置11の駆動速度を制御することを意味する。
また、図4に示すように、走行制御部24は、移行条件判定部24bを有している。以下では、移行条件判定部24bについて詳述する。
上述の通り、走行制御部24は、渦巻き走行の後に往復走行に移行するように、コンバイン1の走行を制御する。そして、移行条件判定部24bは、渦巻き走行が行われている間、所定時間毎に、移行条件が満たされたか否かを判定する。尚、移行条件とは、往復走行へ移行するための条件である。
本実施形態において、移行条件は、圃場内の既刈領域においてUターンを行うためのスペースが確保されることである。尚、コンバイン1が渦巻き走行を継続することに伴い、未刈領域が縮小し、既刈領域が拡大することとなる。そして、既刈領域が一定程度まで拡大することにより、Uターンを行うためのスペースが確保される。
また、移行条件判定部24bは、自車位置算出部21から走行制御部24へ送られたコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、移行条件が満たされたか否かを判定する。
より具体的には、移行条件判定部24bは、コンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、圃場における既刈領域の範囲を経時的に算出する。そして、移行条件判定部24bは、算出された既刈領域の範囲において、コンバイン1がUターンを行うことができるか否かを判定する。
このとき、コンバイン1がUターンを行うことができると判定された場合、移行条件判定部24bは、移行条件が満たされたと判定する。また、このとき、コンバイン1がUターンを行うことができないと判定された場合、移行条件判定部24bは、移行条件が満たされていないと判定する。
そして、移行条件判定部24bによって移行条件が満たされたと判定された場合、走行制御部24は、コンバイン1の走行を渦巻き走行から往復走行に移行させる。
〔渦巻き走行から往復走行への移行に応じた目標変化率の変更〕
以下では、渦巻き走行から往復走行への移行に応じた目標変化率の変更について、図3で示した自動走行を例に挙げ、図8から図10を参照して説明する。
図3に示す例では、まず、コンバイン1は、渦巻き走行を行う。より具体的には、まず、コンバイン1は、作業対象領域CAに進入し、刈取走行経路LIに沿って西へ向かって刈取走行を行う。そして、コンバイン1は、作業対象領域CAの西側端部へ到達すると、αターンを行い、刈取走行経路LIに沿って南へ向かって刈取走行を行う。
次に、コンバイン1は、位置P1を通過する。このときの時刻を、時刻t1とする。そして、コンバイン1は、位置P2に到達する。コンバイン1は、位置P2から外周領域SAに進入しながら、αターンを行う。これにより、コンバイン1は、位置P3、P4、P5、P6を通過し、位置P7に到達する。コンバイン1は、位置P7から作業対象領域CAにおける未刈領域に進入し、刈取走行経路LIに沿って東へ向かって刈取走行を行う。
この例では、コンバイン1が位置P2に到達したとき、図3に示す第1領域CA1は既刈領域である。尚、第1領域CA1は、作業対象領域CAの一部である。また、図3では、位置P2に到達した時点でのコンバイン1が仮想線で示されている。
そして、この例では、コンバイン1が位置P2に到達した時点で、移行条件が満たされるものとする。そのため、移行条件判定部24bは、コンバイン1が位置P2に到達した時点で、移行条件が満たされたと判定する。そして、走行制御部24は、コンバイン1が位置P7に到達した時点で、コンバイン1の走行を渦巻き走行から往復走行に移行させる。
尚、このように、本実施形態においては、移行条件判定部24bにより移行条件が満たされたと判定される時点と、走行制御部24がコンバイン1の走行を渦巻き走行から往復走行に移行させる時点と、が異なっている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、移行条件判定部24bにより移行条件が満たされたと判定された時点で、走行制御部24がコンバイン1の走行を渦巻き走行から往復走行に移行させても良い。
次に、コンバイン1は、位置P8に到達する。コンバイン1は、位置P8から外周領域SAに進入しながら、Uターンを行う。これにより、コンバイン1は、位置P9、P10を通過し、位置P11に到達する。コンバイン1は、位置P11から作業対象領域CAに進入し、刈取走行経路LIに沿って西へ向かって刈取走行を行う。
図8では、図3に示す例における時刻t1以降のコンバイン1の実車速の推移が示されている。また、図9では、図3に示す例における時刻t1以降のコンバイン1の目標車速の推移が示されている。そして、図10では、図3に示す例における時刻t1以降のコンバイン1の目標変化率の推移が示されている。
尚、コンバイン1が位置P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11に到達したときの時刻を、それぞれ、時刻t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9、t10、t11とする。
図3及び図8から図10に示す例において、コンバイン1は、時刻t1から時刻t2の間、及び、時刻t7から時刻t8の間、及び、時刻t11移行は作業前進状態である。また、コンバイン1は、時刻t3から時刻t6の間は後進状態である。また、コンバイン1は、時刻t8から時刻t11までの間は旋回状態である。
ここで、図3及び図8から図10に示す例では、主変速レバー19の操作位置は前方限界位置Q1に維持されているものとする。また、図7に示すように、旋回車速及び後進車速は、それぞれ、V3、V4に設定されている。
以下では、図3及び図8から図10を参照して、コンバイン1の実車速、目標車速、目標変化率の推移について詳述する。
時刻t1において、コンバイン1の実車速と目標車速とは、何れもV1である。また、時刻t1において、目標変化率はR1である。
尚、本実施形態において、渦巻き走行における目標変化率は、R1に設定されている。そして、図4に示すように、移行条件判定部24bは、移行条件が満たされたと判定すると、所定の信号を変化率変更部24cへ送る。この信号は、移行条件が満たされたことを示す信号である。
変化率変更部24cは、この信号を受け取ると、コンバイン1の走行が渦巻き走行から往復走行へ移行する際に、目標変化率をR1からR2へ自動的に変更する。即ち、変化率変更部24cは、コンバイン1の走行が渦巻き走行から往復走行へ移行することに応じて、目標変化率をR1からR2へ自動的に変更するように構成されている。
即ち、変化率変更部24cは、コンバイン1が渦巻き走行と往復走行との何れを行っているかに応じて、目標変化率を自動的に変更する。尚、渦巻き走行、及び、往復走行は、本発明に係る「作業状況」の具体例である。
時刻t2に、コンバイン1は位置P2に到達する。そして、位置P3から後進するために、時刻t2において、車速制御部24dは、目標車速をV1から0(ゼロ)に変更する。これと同時に、コンバイン1の実車速は、車速制御部24dによる制御によって、V1から0(ゼロ)へ漸近し始める。
時刻t3に、コンバイン1の実車速は0(ゼロ)に達すると共に、コンバイン1は後進を開始する。時刻t3において、車速制御部24dは、目標車速を0(ゼロ)からV4に変更する。これと同時に、コンバイン1の実車速は、車速制御部24dによる制御によって、0(ゼロ)からV4へ漸近し始める。
時刻t4に、コンバイン1の実車速はV4に達する。その後、時刻t5まで、コンバイン1の実車速はV4のままで維持される。
時刻t5に、コンバイン1は位置P5に到達する。そして、位置P6から前進するために、時刻t5において、車速制御部24dは、目標車速をV4から0(ゼロ)に変更する。これと同時に、コンバイン1の実車速は、車速制御部24dによる制御によって、V4から0(ゼロ)へ漸近し始める。
時刻t6に、コンバイン1の実車速は0(ゼロ)に達すると共に、コンバイン1は前進を開始する。時刻t6において、車速制御部24dは、目標車速を0(ゼロ)からV1に変更する。これと同時に、コンバイン1の実車速は、車速制御部24dによる制御によって、0(ゼロ)からV1へ漸近し始める。
時刻t7に、コンバイン1の実車速はV1に達する。その後、時刻t8まで、コンバイン1の実車速はV1のままで維持される。
時刻t8に、コンバイン1は位置P8に到達する。そして、コンバイン1は、Uターンによる旋回を開始する。このとき、車速制御部24dは、目標車速をV1からV3に変更する。これと同時に、コンバイン1の実車速は、車速制御部24dによる制御によって、V1からV3へ漸近し始める。
時刻t9に、コンバイン1の実車速はV3に達する。その後、時刻t10まで、コンバイン1の実車速はV3のままで維持される。
時刻t10に、コンバイン1は位置P10に到達する。そして、位置P11から刈取走行を再開するために、時刻t10において、車速制御部24dは、目標車速をV3からV1に変更する。これと同時に、コンバイン1の実車速は、車速制御部24dによる制御によって、V3からV1へ漸近し始める。
時刻t11に、コンバイン1の実車速はV1に達する。その後、コンバイン1の実車速はV1のままで維持される。
以上で説明した例においては、時刻t1から時刻t7までの間、コンバイン1は渦巻き走行を行っている。そのため、このときの目標変化率は、R1である。これにより、車速制御部24dは、時刻t1から時刻t7までの間、コンバイン1の実車速と目標車速とが異なる場合、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR1だけ変化するように、車速を制御する。
より具体的には、車速制御部24dは、時刻t2から時刻t4の間、及び、時刻t5から時刻t7の間において、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR1だけ変化するように、車速を制御する。
また、走行制御部24は、時刻t7において、コンバイン1の走行を渦巻き走行から往復走行に移行させる。そのため、このとき、変化率変更部24cは、目標変化率を、R1からR2に変更する。これにより、車速制御部24dは、時刻t7以降、コンバイン1の実車速と目標車速とが異なる場合、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR2だけ変化するように、車速を制御する。
より具体的には、車速制御部24dは、時刻t8から時刻t9の間、及び、時刻t10から時刻t11の間において、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR2だけ変化するように、車速を制御する。
尚、一般に、αターンでは、Uターンに比べて、圃場表面が荒らされやすい。
ここで、本実施形態では、渦巻き走行における目標変化率が、往復走行における目標変化率よりも小さい。即ち、R1はR2よりも小さい。そのため、時刻t1から時刻t7までの間では、時刻t7以降に比べて、コンバイン1の実車速の変化が緩やかになっている。
これにより、渦巻き走行でのαターンにおいて実車速が急変することにより、走行装置11によって圃場表面が荒らされてしまう事態を回避しやすい。
また、本実施形態では、往復走行における目標変化率は、比較的大きい。そのため、往復走行における作業効率が低くなる事態を回避しやすい。
〔主変速レバーの操作に応じた目標変化率の変更〕
変化率変更部24cは、コンバイン1の自動走行中に、主変速レバー19から走行制御部24へ送られた信号に応じて、目標変化率を自動的に変更するように構成されている。
即ち、変化率変更部24cは、自動走行中に、主変速レバー19の操作に応じて目標変化率を自動的に変更する。
以下では、主変速レバー19の操作に応じた目標変化率の変更について、図11で示す自動走行を例に挙げ、図12から図14を参照して説明する。
図11に示す例では、コンバイン1は、往復走行を行う。より具体的には、まず、コンバイン1は、作業対象領域CAにおいて、刈取走行経路LIに沿って東へ向かって刈取走行を行う。そして、コンバイン1は、位置P21を通過する。このときの時刻を、時刻t21とする。
次に、コンバイン1は、位置P22に到達する。コンバイン1は、位置P22から外周領域SAに進入しながら、Uターンを行う。これにより、コンバイン1は、位置P23、P24を通過し、位置P25に到達する。コンバイン1は、位置P25から作業対象領域CAにおける未刈領域に進入し、刈取走行経路LIに沿って西へ向かって刈取走行を行う。そして、コンバイン1は、位置P26に到達する。
この例では、コンバイン1が位置P26に到達するまで、主変速レバー19の操作位置は、前方限界位置Q1に維持されているものとする。そして、コンバイン1が位置P26に到達したとき、主変速レバー19が、中立位置QNへ操作されるものとする。
これにより、コンバイン1は、位置P26から減速し始める。そして、コンバイン1は、位置P27で停車する。
図12では、図11に示す例における時刻t21以降のコンバイン1の実車速の推移が示されている。また、図13では、図11に示す例における時刻t21以降のコンバイン1の目標車速の推移が示されている。そして、図14では、図11に示す例における時刻t21以降のコンバイン1の目標変化率の推移が示されている。
尚、コンバイン1が位置P22、P23、P24、P25、P26、P27に到達したときの時刻を、それぞれ、時刻t22、t23、t24、t25、t26、t27とする。
図11から図14に示す例において、コンバイン1は、時刻t21から時刻t22の間、及び、時刻t25から時刻t27の間は作業前進状態である。また、コンバイン1は、時刻t22から時刻t25の間は旋回状態である。
また、この例では、図7に示すように、旋回車速及び後進車速は、それぞれ、V3、V4に設定されている。
以下では、図11から図14を参照して、コンバイン1の実車速、目標車速、目標変化率の推移について詳述する。
時刻t21において、コンバイン1の実車速と目標車速とは、何れもV1である。また、時刻t21において、目標変化率はR2である。
尚、本実施形態において、変化率変更部24cは、主変速レバー19が減速側へ操作された場合、目標変化率をR3へ自動的に変更するように構成されている。
即ち、変化率変更部24cは、主変速レバー19が減速側へ操作されることに応じて、目標変化率を自動的に変更する。尚、主変速レバー19が減速側へ操作されることによってコンバイン1が減速する状況は、本発明に係る「作業状況」の具体例である。
時刻t22に、コンバイン1は位置P22に到達する。そして、コンバイン1は、Uターンによる旋回を開始する。このとき、車速制御部24dは、目標車速をV1からV3に変更する。これと同時に、コンバイン1の実車速は、車速制御部24dによる制御によって、V1からV3へ漸近し始める。
時刻t23に、コンバイン1の実車速はV3に達する。その後、時刻t24まで、コンバイン1の実車速はV3のままで維持される。
時刻t24に、コンバイン1は位置P24に到達する。そして、位置P25から刈取走行を再開するために、時刻t24において、車速制御部24dは、目標車速をV3からV1に変更する。これと同時に、コンバイン1の実車速は、車速制御部24dによる制御によって、V3からV1へ漸近し始める。
時刻t25に、コンバイン1の実車速はV1に達する。その後、時刻t26まで、コンバイン1の実車速はV1のままで維持される。
時刻t26に、コンバイン1が位置P26に到達したとき、上述の通り、主変速レバー19が、中立位置QNへ操作される。これに応じて、車速制御部24dは、目標車速をV1から0(ゼロ)に変更する。これと同時に、コンバイン1の実車速は、車速制御部24dによる制御によって、V1から0(ゼロ)へ漸近し始める。
そして、時刻t27に、コンバイン1の実車速は0(ゼロ)に達し、コンバイン1は停車する。
以上で説明した例においては、時刻t21から時刻t26までの間、コンバイン1は往復走行を行っている。そのため、このときの目標変化率は、R2である。これにより、車速制御部24dは、時刻t21から時刻t26までの間、コンバイン1の実車速と目標車速とが異なる場合、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR2だけ変化するように、車速を制御する。
より具体的には、車速制御部24dは、時刻t22から時刻t23の間、及び、時刻t24から時刻t25の間において、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR2だけ変化するように、車速を制御する。
また、時刻t26に、主変速レバー19が中立位置QNへ操作される。これに応じて、変化率変更部24cは、目標変化率を、R2からR3に変更する。これにより、車速制御部24dは、時刻t26以降、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR3だけ変化するように、車速を制御する。
より具体的には、車速制御部24dは、時刻t26から時刻t27の間において、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR3だけ変化するように、車速を制御する。
尚、R3はR2よりも大きい。そのため、時刻t26から時刻t27の間では、時刻t21から時刻t26の間に比べて、コンバイン1の実車速の変化が急になっている。
これにより、オペレータによる減速操作に対応し、感度良く減速が行われる構成を実現できる。
〔位置座標に応じた目標変化率の変更〕
図4に示すように、制御部20は、越境判定部25を有している。自車位置算出部21により算出されたコンバイン1の経時的な位置座標は、越境判定部25へ送られる。また、領域算出部22による算出結果は、越境判定部25へ送られる。
越境判定部25は、自車位置算出部21により算出されたコンバイン1の位置座標と、領域算出部22による算出結果と、に基づいて、コンバイン1が圃場の境界線BDの近傍に位置しており、且つ、圃場の境界線BDへ接近する方向に走行しているか否かを判定する。
コンバイン1が圃場の境界線BDの近傍に位置しており、且つ、圃場の境界線BDへ接近する方向に走行していると判定された場合、越境判定部25は、所定の信号を走行制御部24へ送る。この信号は、コンバイン1が圃場の境界線BDの近傍に位置しており、且つ、圃場の境界線BDへ接近する方向に走行していることを示す信号である。
走行制御部24は、この信号を受け取ると、コンバイン1を停車させるように、走行装置11を制御する。
また、変化率変更部24cは、コンバイン1の自動走行中に、自車位置算出部21により取得された位置座標に応じて目標変化率を自動的に変更するように構成されている。
以下では、位置座標に応じた目標変化率の変更について、図15で示す自動走行を例に挙げ、図16から図18を参照して説明する。
図15に示す例では、コンバイン1は、往復走行を行う。より具体的には、まず、コンバイン1は、作業対象領域CAにおいて、刈取走行経路LIに沿って東へ向かって刈取走行を行う。そして、コンバイン1は、位置P31を通過する。このときの時刻を、時刻t31とする。
次に、コンバイン1は、位置P32に到達する。コンバイン1は、位置P32から外周領域SAに進入しながら、Uターンを行う。
この例では、このUターンにおいてコンバイン1がスリップし、理想的なUターンの走行経路から逸脱し、コンバイン1が圃場の境界線BDへ接近していくものとする。このとき、コンバイン1は、位置P33を通過し、位置P34に到達する。
また、この例では、コンバイン1が位置P34に到達したとき、越境判定部25が、コンバイン1が圃場の境界線BDの近傍に位置しており、且つ、圃場の境界線BDへ接近する方向に走行していると判定するものとする。
その結果、走行制御部24は、コンバイン1を停車させるように、走行装置11を制御する。
これにより、コンバイン1は、位置P34から減速し始める。そして、コンバイン1は、位置P35で停車する。
図16では、図15に示す例における時刻t31以降のコンバイン1の実車速の推移が示されている。また、図17では、図15に示す例における時刻t31以降のコンバイン1の目標車速の推移が示されている。そして、図18では、図15に示す例における時刻t31以降のコンバイン1の目標変化率の推移が示されている。
尚、コンバイン1が位置P32、P33、P34、P35に到達したときの時刻を、それぞれ、時刻t32、t33、t34、t35とする。
図15から図18に示す例において、コンバイン1は、時刻t31から時刻t32の間は作業前進状態である。また、コンバイン1は、時刻t32から時刻t35の間は旋回状態である。
また、この例では、図7に示すように、旋回車速及び後進車速は、それぞれ、V3、V4に設定されている。
以下では、図15から図18を参照して、コンバイン1の実車速、目標車速、目標変化率の推移について詳述する。
時刻t31において、コンバイン1の実車速と目標車速とは、何れもV1である。また、時刻t31において、目標変化率はR2である。
尚、本実施形態において、変化率変更部24cは、コンバイン1が圃場の境界線BDの近傍に位置しており、且つ、圃場の境界線BDへ接近する方向に走行している場合、目標変化率をR3へ自動的に変更するように構成されている。
即ち、変化率変更部24cは、越境判定部25から走行制御部24へ上述の信号が送られることに応じて、目標変化率を自動的に変更する。ここで、越境判定部25から走行制御部24へ送られる上述の信号は、自車位置算出部21により取得された位置座標に基づいて送られる。即ち、変化率変更部24cは、自車位置算出部21により取得された位置座標に応じて目標変化率を自動的に変更する。
尚、コンバイン1が圃場の境界線BDの近傍に位置しており、且つ、圃場の境界線BDへ接近する方向に走行している状況は、本発明に係る「作業状況」の具体例である。
時刻t32に、コンバイン1は位置P32に到達する。そして、コンバイン1は、Uターンによる旋回を開始する。このとき、車速制御部24dは、目標車速をV1からV3に変更する。これと同時に、コンバイン1の実車速は、車速制御部24dによる制御によって、V1からV3へ漸近し始める。
時刻t33に、コンバイン1の実車速はV3に達する。その後、時刻t34まで、コンバイン1の実車速はV3のままで維持される。
そして、時刻t34に、コンバイン1が位置P34に到達したとき、上述の通り、越境判定部25は、コンバイン1が圃場の境界線BDの近傍に位置しており、且つ、圃場の境界線BDへ接近する方向に走行していると判定する。これに応じて、車速制御部24dは、目標車速をV3から0(ゼロ)に変更する。これと同時に、コンバイン1の実車速は、車速制御部24dによる制御によって、V3から0(ゼロ)へ漸近し始める。
そして、時刻t35に、コンバイン1の実車速は0(ゼロ)に達し、コンバイン1は停車する。
以上で説明した例においては、時刻t31から時刻t34までの間、コンバイン1は往復走行を行っている。そのため、このときの目標変化率は、R2である。これにより、車速制御部24dは、時刻t31から時刻t34までの間、コンバイン1の実車速と目標車速とが異なる場合、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR2だけ変化するように、車速を制御する。
より具体的には、車速制御部24dは、時刻t32から時刻t33の間において、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR2だけ変化するように、車速を制御する。
また、時刻t34に、越境判定部25は、コンバイン1が圃場の境界線BDの近傍に位置しており、且つ、圃場の境界線BDへ接近する方向に走行していると判定する。そのため、このとき、変化率変更部24cは、目標変化率を、R2からR3に変更する。これにより、車速制御部24dは、時刻t34以降、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR3だけ変化するように、車速を制御する。
より具体的には、車速制御部24dは、時刻t34から時刻t35の間において、コンバイン1の実車速が単位時間当たりにR3だけ変化するように、車速を制御する。
尚、R3はR2よりも大きい。そのため、時刻t34から時刻t35の間では、時刻t31から時刻t34の間に比べて、コンバイン1の実車速の変化が急になっている。
これにより、自動走行における旋回が正常に行われず、コンバイン1が圃場の境界線BDへ接近する方向に走行している場合に、コンバイン1を速やかに停車させることの可能な構成を実現できる。
〔第1別実施形態〕
上記実施形態において、コンバイン1は、変化率変更部24cを備えている。そして、変化率変更部24cは、自動走行中に、目標変化率を、作業状況に応じて自動的に変更する。
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第1別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
図19に示すように、本発明に係る第1別実施形態において、通信端末4は、加減速設定画面を表示可能である。また、この第1別実施形態において、変化率変更部24cは備えられていない。そして、変化率変更部24cに代えて、通信端末4が、目標変化率を変更する。即ち、この第1別実施形態においては、通信端末4が、本発明に係る「変化率変更部」に相当する。
詳述すると、図19に示す加減速設定画面には、加減速設定部7が表示される。オペレータが加減速設定部7を操作することに応じて、通信端末4は、車速制御部24dの制御モードを、緩モード、やや緩モード、標準モードの間で切り替える。
図20に示すように、車速制御部24dの制御モードが緩モードである場合、加速時の目標変化率はR4であり、減速時の目標変化率はR7である。また、車速制御部24dの制御モードがやや緩モードである場合、加速時の目標変化率はR5であり、減速時の目標変化率はR8である。また、車速制御部24dの制御モードが標準モードである場合、加速時の目標変化率はR6であり、減速時の目標変化率はR9である。
即ち、通信端末4は、車速制御部24dの制御モードを切り替えることにより、目標変化率を変更する。
オペレータは、自動走行中に、加減速設定部7を操作することができる。また、オペレータは、自動走行中でないときにも、加減速設定部7を操作することができる。即ち、通信端末4は、自動走行中であるか否かにかかわらず、車速制御部24dの制御モードを切り替えることにより、目標変化率を変更することができる。
尚、R4はR5よりも小さい。また、R7はR8よりも小さい。そのため、車速制御部24dの制御モードが緩モードである場合は、車速制御部24dの制御モードがやや緩モードである場合に比べて、コンバイン1の実車速の変化が緩やかである。
また、R5はR6よりも小さい。また、R8はR9よりも小さい。そのため、車速制御部24dの制御モードがやや緩モードである場合は、車速制御部24dの制御モードが標準モードである場合に比べて、コンバイン1の実車速の変化が緩やかである。
また、R4はR7よりも小さい。また、R5はR8よりも小さい。また、R6はR9よりも小さい。そのため、加速時は、減速時に比べて、コンバイン1の実車速の変化が緩やかである。
尚、本発明はこれに限定されず、R4、R5、R6、R7、R8、R9の大小関係は、いかなる大小関係であっても良い。
以上で説明した構成であれば、車速変化率が、手動で、あるいは、自動的に変化することとなる。その結果、例えば、圃場表面の荒れやすい作業状況では目標変化率を比較的低い値へ変更することにより、圃場表面を荒らすことを回避できる。また、例えば、圃場表面の荒れにくい作業状況では目標変化率を比較的高い値へ変更することにより、作業効率が低くなることを回避できる。
即ち、以上で説明した構成であれば、作業効率が低くなることを回避しながらも、圃場表面を荒らすことを回避しやすいコンバイン1を実現できる。
尚、以上に記載した各実施形態は一例に過ぎないのであり、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
〔その他の実施形態〕
(1)走行装置11は、ホイール式であっても良いし、セミクローラ式であっても良い。
(2)上記実施形態においては、経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線でなくても良い。例えば、経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、渦巻き状の走行経路であっても良い。また、刈取走行経路LIは、別の刈取走行経路LIと直交していなくても良い。また、経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線であっても良い。
(3)上記実施形態においては、オペレータは、コンバイン1を手動で操作し、図2に示すように、圃場内の外周部分において、圃場の境界線BDに沿って周回するように刈取走行を行う。しかしながら、本発明はこれに限定されず、コンバイン1が自動で走行し、圃場内の外周部分において、圃場の境界線BDに沿って周回するように刈取走行を行うように構成されていても良い。また、このときの周回数は、3周以外の数であっても良い。例えば、このときの周回数は2周であっても良い。
(4)自車位置算出部21、領域算出部22、経路算出部23、走行制御部24、越境判定部25のうち、一部または全てがコンバイン1の外部に備えられていても良いのであって、例えば、コンバイン1の外部に設けられた管理サーバに備えられていても良い。
(5)変化率変更部24cは、自車位置算出部21により取得された位置座標に応じて目標変化率を自動的に変更できないように構成されていても良い。
(6)変化率変更部24cは、主変速レバー19の操作に応じて目標変化率を自動的に変更できないように構成されていても良い。
(7)車速設定部24aが設けられておらず、主変速レバー19の人為操作によって自動走行中の機体の状態毎に目標車速が設定される構成であっても良い。この場合、主変速レバー19は、本発明に係る「車速設定部」に相当する。
(8)車速設定部24aが設けられておらず、タッチパネル4aの人為操作によって自動走行中の機体の状態毎に目標車速が設定される構成であっても良い。この場合、タッチパネル4aは、本発明に係る「車速設定部」に相当する。