JP7274912B2 - 固体酸化物形燃料電池の支持体形成用材料およびその利用 - Google Patents
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Description
ここに開示される支持体形成材料は、平均粒径が1.5μm以上2μm以下の粗粒ジルコニア粉体、および平均粒径が0.2μm以上0.4μm以下の微粒ジルコニア粉体を少なくとも含む混合粉体と、平均粒径が1μm以上10μm以下であり、300℃以上の温度で焼失する気孔形成材とを含有する。そして、ここに開示される支持体形成材料では、混合粉体の総重量を100wt%としたときの微粒ジルコニア粉体の含有量が10wt%以上40wt%以下であり、混合粉体の総重量を100wt%としたときの気孔形成材の添加量が13wt%以上25wt%以下である。
一方で、このような混合粉体を使用すると、焼成後の絶縁性支持体が緻密化してガス透過性が低下する。このため、本発明者らは、300℃以上の温度で焼失する気孔形成材を含有させ、当該気孔形成材に由来する気孔を焼成後の絶縁性支持体に形成することを考えた。しかし、上記混合粉体によって緻密化した絶縁性支持体では、気孔形成材を焼失させても、孤立した閉気孔が支持体内部に形成されるのみであり、ガス透過性を向上させることができなかった。この点について本発明者らが種々の実験と検討を行った結果、平均粒径が1μm以上の気孔形成材を、混合粉体の総重量(100wt%)に対して13wt%以上添加すると、気孔形成材に由来する気孔同士が連結して支持体外部に開放された開気孔が形成され、絶縁性支持体のガス透過性が大きく向上することを発見した。そして、本発明者らは、他の層の焼成収縮率や焼成後の強度等を考慮して更に検討を重ね、上記構成の支持体形成材料を創作するに至った。かかる支持体形成材料によると、共焼成において絶縁性支持体以外の層が破損することを防止でき、かつ、ガス透過性に優れた絶縁性支持体を形成できる。
ここに開示されるグリーンシートは、平均粒径が1.5μm以上2μm以下の粗粒ジルコニア粉体、および平均粒径が0.2μm以上0.4μm以下の微粒ジルコニア粉体を少なくとも含む混合粉体と、平均粒径が1μm以上10μm以下であり、300℃以上の温度で焼失する気孔形成材とを固形成分として少なくとも含有する。そして、かかるグリーンシートでは、混合粉体の総重量を100wt%としたときの微粒ジルコニア粉体の含有量が10wt%以上40wt%以下であり、混合粉体の総重量を100wt%としたときの気孔形成材の添加量が13wt%以上25wt%以下であり、1400℃の焼成処理における焼成収縮率が10%以上12%以下である。
ここに開示される支持体形成材料は、SOFCの燃料極を支持する絶縁性支持体を形成するために用いられる。具体的には、ここに開示される支持体形成材料を主成分とするグリーンシートを焼成することによってSOFCの絶縁性支持体を形成できる。
ここに開示される支持体形成材料は、混合粉体と気孔形成材とを含有している。以下、各々の成分について説明する。
ここに開示される支持体形成材料における混合粉体は、ジルコニア系酸化物の粒子を主成分として含有する粉体材料である。かかるジルコニア系酸化物は、この種のSOFCの絶縁性支持体に使用され得るものであれば特に限定されず、種々の成分を使用できる。かかるジルコニア系酸化物の一例として、ジルコニア(ZrO2)に安定化剤が添加された安定化ジルコニアが好ましく用いられる。かかる安定化ジルコニアにおける安定化剤には、所定の金属酸化物(M2O3またはMO)が用いられ得る。ここで、安定化剤に含まれる金属元素(M)としては、Y、Sc、Ca、Yb、GdおよびMgのうちの一種または二種以上の元素が挙げられる。上記安定化ジルコニアの好適例として、イットリア(Y2O3)で安定化されたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)や、カルシア(CaO)で安定化されたカルシア安定化ジルコニア(CSZ)等が挙げられる。これらの中でもYSZが好適であり、全体の1モル%以上15モル%以下(好ましくは1モル%以上10モル%以下)となる量のイットリアを固溶させたYSZを特に好ましく使用できる。
なお、共焼成における他の層の破損をより好適に防止するという観点から、微粒ジルコニア粉体の含有量は、15wt%以上が好ましく、17wt%以上がより好ましく、20wt%以上がさらに好ましく、23wt%以上が特に好ましい。同様の観点から、微粒ジルコニア粉体の含有量の上限は、39.5wt%以下が好ましく、39wt%以下がより好ましく、38wt%以下がさらに好ましい。
本発明の効果を阻害しない範囲であれば、上述の粗粒ジルコニア粉体と微粒ジルコニア粉体とは異なる平均粒径を有するジルコニア粉体(以下、「他のジルコニア粉体」という)が混合粉体に含まれていてもよい。かかる他のジルコニア粉体としては、平均粒径が0.2μm未満の極小ジルコニア粉体、平均粒径が0.4μm超1.5μm未満の中間ジルコニア粉体、平均粒径が2μm超の極大ジルコニア粉体などが挙げられる。但し、共焼成における他の層の破損を好適に防止するという観点からは、上記他のジルコニア粉体を実質的に含有しない方が好ましい。なお、ここでいう「他のジルコニア粉体を実質的に含有しない」とは、他のジルコニア粉体が意図的に添加されていないことを指す。したがって、上記他のジルコニア粉体と解釈され得る成分が原料や製造工程等に由来して微量に含まれるような場合は、本明細書における「他のジルコニア粉体を実質的に含有しない」の概念に包含される。例えば、上記混合粉体の総重量を100wt%としたときの他のジルコニア粉体の含有量が1wt%以下(好ましくは0.1wt%以下、より好ましくは0.01wt%以下、さらに好ましくは0.001wt%以下、特に好ましくは0.0001wt%以下)である場合、「他のジルコニア粉体を実質的に含有しない」ということができる。
次に、ここに開示される支持体形成材料は、気孔形成材を含有する。気孔形成材は、300℃以上の温度で焼失する粒子(例えば、樹脂ビーズ)を主成分として含む粉体材料である。かかる気孔形成材は、焼成中に焼失することによって、当該気孔形成材に由来する気孔を焼成後の絶縁性支持体に形成する。気孔形成材の焼失温度は、焼成工程における焼成温度に応じて適宜変更することができ、400℃以上であってもよく、500℃以上であってもよく、600℃以上であってもよい。なお、本明細書における「焼失温度」とは、蒸発や燃焼によって気孔形成材の体積の90%以上が消失する温度を指す。
本発明の効果を阻害しない範囲であれば、ここに開示される支持体形成材料は、必要に応じて、任意で付加し得る他の成分(例えば、バインダ等)を含んでいてもよい。なお、支持体形成材料に添加され得る他の成分は、特に限定されるものではなく、絶縁性支持体の形成において従来公知の成分から適宜選択して用いることができる。例えば、バインダとして、セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ブチラールおよびこれらの塩を用いることができる。なお、バインダの添加量は、特に限定されないが、混合粉体の総量(100wt%)に対して、1wt%以上10wt%以下(例えば6.5wt%)であると好ましい。これによって、好適な形状のグリーンシートを成形できる。
次に、上述の支持体形成材料を用いたSOFCの製造について説明する。本実施形態における製造方法は、グリーンシート作製工程と、グリーンシート積層工程と、焼成工程を包含する。かかる製造方法では、絶縁性支持体、燃料極、固体電解質層、空気極の各層のグリーンシートを同時に焼成する、いわゆる共焼成を実施する。以下、各工程について説明する。
本工程では、SOFCを構成する各層(絶縁性支持体、燃料極、固体電解質層、空気極)のグリーンシートを作製する。ここでは、まず、上述した支持体形成材料を所定の分散媒(例えば、水)に分散させたスラリーを調製する。かかるスラリーの調製は、例えば、支持体形成材料と分散媒を任意の撹拌混合装置に投入し、撹拌混合することによって行われる。かかる撹拌混合装置には、ボールミル、ミキサー、ディスパー、ニーダ等の従来公知の種々の装置を用いることができる。なお、かかるスラリーの調製において、滑剤や離型剤等の添加剤を添加してもよい。これによって、グリーンシートを容易に成形できる。なお、滑剤や離型剤には、絶縁性支持体のグリーンシートの成形に用いられ得る材料を特に制限なく使用でき、本発明を限定するものでないため詳細な説明は省略する。
本工程では、上述した支持体形成用のグリーンシートを含む各層のグリーンシートを積層させる。具体的には、本工程では、絶縁性支持体、燃料極、固体電解質層、空気極の各々のグリーンシートをこの順に積層させることによって、SOFCの前駆物質である積層体を作製する。なお、絶縁性支持体以外の層(燃料極、固体電解質層、空気極)のグリーンシートは、この種のSOFCの製造で用いられ得るものであれば特に限定されず、本発明を限定するものではないため詳細な説明を省略する。
本工程では、作製した積層体を焼成する共焼成を行う。これによって、各層のグリーンシートが同時に焼成されて、絶縁性支持体と燃料極と固体電解質層と空気極とを備えたSOFCが作製される。本工程における焼成温度は、例えば凡そ1200℃~1500℃(例えば1400℃)とすることができる。また、焼成時間は、例えば凡そ1時間~5時間とすることができる。
次に、ここに開示される支持体形成材料を用いて作製されたSOFCの一例を説明する。図1は、本実施形態に係るSOFCの層構成を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るSOFC10は、絶縁性支持体12、燃料極14、固体電解質層16、空気極18を備えている。
絶縁性支持体12は、ここに開示される支持体形成材料を用いて形成されている。すなわち、絶縁性支持体12は、導電性材料を実質的に含有しておらず、上述したジルコニア系酸化物(YSZ等)によって構成されている。そして、絶縁性支持体12は、気孔形成材が焼失して形成された気孔を複数有した多孔体であり、当該複数の気孔が連結して支持体外部に開放された開気孔を有している。これによって、絶縁性支持体12の下面から供給された燃料ガスを燃料極14に好適に供給することができる。
燃料極14は、絶縁性支持体12の上に形成されている。この燃料極14は、例えば、導電性材料(触媒活性を有する材料)を含有する多孔質体である。燃料極14は、絶縁性支持体12と同様に、下面から上面まで連なる多数の連通細孔を有している。これによって、燃料極14の全域に燃料ガスを供給できる。なお、燃料極14の気孔率は、5~20%の範囲内、例えば15%程度であることが好ましい。また、燃料極14には、この種の燃料極の材料として使用され得る導電性材料を特に制限なく使用できる。かかる導電性材料の一例として、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ランタン(La)等の金属、若しくはこれらの金属酸化物が挙げられる。かかる材料は、1種を単独で、または2種以上を適宜組み合せて用いることもできる。また、燃料極14は、上記絶縁性支持体12と同種のジルコニア系酸化物(例えばYSZ)を含んでいてもよい。この場合、導電性材料とジルコニア系酸化物との混合割合は、例えば質量比で3:7~7:3の範囲内、例えば、6:4程度であると好ましい。
固体電解質層16は、燃料極14の上に形成されている。この固体電解質層16は、イオン伝導性を有する固体電解質を含む緻密層である。当該固体電解質には、この種のSOFCの固体電解質層に使用され得る材料を特に制限なく使用できる。かかる固体電解質の一例として、上述した絶縁性支持体12と同種のジルコニア系酸化物(例えばYSZ)等が挙げられる。固体電解質層16の厚さは、例えば1μm以上10μm以下であると好ましく、例えば5μm程度である。
空気極18は、固体電解質層16の上に形成されている。上述した燃料極14や固体電解質層16と同様に、空気極18についても、この種のSOFCの空気極に使用され得る材料を特に制限なく使用できる。かかる空気極18の材料の一例として、(La,Sr)CoO3(例えば、La0.6Sr0.4CoO3;以下、適宜LSCという)や、(La,Sr)(Co,Fe)O3(例えば、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3;以下、適宜LSCFという)等のLa,Sr,Coを含むペロブスカイト型酸化物が挙げられる。これらLSCおよびLSCFは、A,B両サイトの置換割合を種々定め得るもので、所望するイオン伝導性や還元膨張率等に応じて適宜の置換割合のものを用いることができる。また、空気極18は、絶縁性支持体12や燃料極14と同様に、多孔体であり、上面から下面まで連なる多数の連通細孔を有している。これによって、空気(酸素)を空気極18の全域に分散・供給することができる。
以下、本発明に関するいくつかの試験例を説明するが、本発明をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
本試験では、組成の異なる支持体形成材料を準備し、各々の支持体形成材料を用いてグリーンシートを作製した。そして、当該グリーンシートの焼成中の挙動と焼成後の支持体の性質を評価した。
(1)サンプル1
粗粒ジルコニア粉体として、平均粒径1.8μmの5YSZを用いた。そして、かかる粗粒ジルコニア粉体とメチルセルロース系バインダとを双腕ニーダで混合して支持体形成材料を調製した。なお、バインダは、粗粒ジルコニア粉体の重量(100wt%)に対して5wt%添加した。
サンプル2~4では、粗粒ジルコニア粉体(平均粒径1.8μmの5YSZ)と、微粒ジルコニア粉体(平均粒径0.27μmの8YSZ)と含む混合粉体を使用した。そして、上記混合粉体と、気孔形成材(平均粒径5μmのアクリルビーズ)と、バインダとを双腕ニーダで混合して支持体形成材料を調製した。なお、サンプル2~4では、粗粒ジルコニア粉体と、微粒ジルコニア粉体と、気孔形成材の各々の含有量をサンプル毎に異ならせた。各サンプルの成分含有量を表1に示す。なお、バインダの種類および添加量はサンプル1と同じ条件にした。
粗粒ジルコニア粉体として、平均粒径8.2μmの5YSZを使用した点を除いて、サンプル1と同じ条件に設定した。
気孔形成材を添加しないことを除いて、サンプル2~4と同じ材料を使用した。なお、サンプル6では、粗粒ジルコニア粉体と微粒ジルコニア粉体の含有量をサンプル2~4と異ならせた。成分含有量を表1に示す。
(1)絶縁性支持体の作製
評価試験では、まず、各サンプルの支持体形成材料を用いて絶縁性支持体を作製した。具体的には、上述した支持体形成材料に適量の分散媒(水)を添加し、ニーダ(回転数:25rpm)で加圧混練することによってグリーンシート成形用のスラリーを調製した。なお、混練中は、ニーダに加圧蓋をセットして0.5MPaの圧力を維持した。
次に、調製したスラリーを真空押出成形機を用いて円筒平板型に押出成形した後、熱風乾燥機(110℃)で10時間乾燥することによって、絶縁性支持体用のグリーンシートを作製した。そして、作製したグリーンシートを焼成温度1400℃に設定した電気炉内で2時間保持することによって焼成し、評価試験用の絶縁性支持体を得た。
焼成前(乾燥後)のグリーンシートの平面(上面)の面積Cと、焼成後の絶縁性支持体の平面の面積Dを測定した。そして、下記式(1)に基づいて、焼成前後の面積の変化率を焼成収縮率(%)として算出した。各サンプルの焼成収縮率を表1に示す。
焼成収縮率(%)=(C-D)/C×100 (1)
サンプル1~4の絶縁性支持体を切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)で観察した。サンプル1のFE-SEM像(5000倍)を図2に示し、サンプル2のFE-SEM像(5000倍)を図3に示す。また、サンプル3のFE-SEM像(5000倍)を図4に示し、サンプル4のFE-SEM像(5000倍)を図5に示す。
各サンプルの絶縁性支持体に対して、アルキメデス法に基づいた気孔率測定を行った。具体的には、まず、各サンプルの絶縁性支持体の乾燥重量Wairを測定した。次に、各サンプルを蒸留水に浸けた後に真空ポンプ付きのデシケータ内に入れ、45分真空引きを行い、絶縁性支持体の水中重量Waqと含水重量WA+wを測定した。そして、下記の式(2)に基づいて気孔率(P)を算出した。結果を表1に示す。
P=(WA+w-WAir)/(WA+w-Waq) (2)
サンプル1~4の絶縁性支持体に試験用ガス(窒素)を供給してガス透過性を評価した。具体的には、JIS K 7126-1に準じた差圧法に基づいて各サンプルのガス透過度(mol/m2・s・Pa)を測定した。但し、本試験では、サンプルが多孔質であり真空引きができないため、大気圧下での差圧として測定した。また、ガスの圧力は0.01MPaとした。そして、測定結果に基づいて、各サンプルのガス透過性を「不可、可、優」の3段階で評価した。具体的には、ガス透過度が2.7×10-6未満のサンプルを「不可」、2.7×10-6以上5.5×10-6未満のサンプルを「可」、5.5×10-6以上のサンプルを「優」と評価した。評価結果を表1に示す。
本試験では、微粒ジルコニア粉体の含有量が焼成収縮率に与える影響を調べた。
混合粉体100wt%に対する微粒ジルコニア粉体の含有量を0wt%~50wt%の範囲内で異ならせた支持体形成材料(サンプル7~12)を作製した。各サンプルの組成を表2に示す。なお、微粒ジルコニア粉体の含有量を除く他の条件は、上記第1の試験のサンプル4と同じ条件に設定した。
上記第1の試験と同様の条件で絶縁性支持体を作製し、焼成収縮率を測定した。測定結果を表2および図7に示す。なお、図7中の縦軸は焼成収縮率(%)であり、横軸は混合粉体の総重量(100wt%)に対する微粒ジルコニア粉体の含有量(wt%)である。
本試験では、気孔形成材の添加量が絶縁性支持体の強度に与える影響を調べた。
混合粉体の総量(100wt%)に対する気孔形成材の添加量を0wt%~35wt%の範囲内で異ならせた支持体形成材料(サンプル13~18)を作製した。各サンプルの組成を表3に示す。なお、気孔形成材の添加量を除く他の条件は、上記第1の試験のサンプル4と同じ条件に設定した。
上記第1の試験と同様の条件で絶縁性支持体を作製した。そして、作製した各々の支持体に対して、JIS R 1601(ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法)に基づいた3点曲げ強度の測定を行った。測定結果を表3および図8に示す。なお、図8の縦軸は各サンプルの3点曲げ強度(MPa)を示し、横軸は混合粉体の総量(100wt%)に対する気孔形成材の添加量(wt%)を示す。
12 絶縁性支持体
14 燃料極
16 固体電解質層
18 空気極
Claims (7)
- 固体酸化物形燃料電池の燃料極を支持する絶縁性支持体を形成するための支持体形成材料であって、
平均粒径が1.5μm以上2μm以下の粗粒ジルコニア粉体、および平均粒径が0.2μm以上0.4μm以下の微粒ジルコニア粉体を少なくとも含む混合粉体と、
平均粒径が1μm以上10μm以下であり、300℃以上の温度で焼失する気孔形成材とを含有し、
前記混合粉体の総重量を100wt%としたときの前記微粒ジルコニア粉体の含有量が10wt%以上40wt%以下であり、
前記混合粉体の総重量を100wt%としたときの前記気孔形成材の添加量が13wt%以上25wt%以下である、固体酸化物形燃料電池の支持体形成用材料。 - 前記混合粉体は、イットリア安定化ジルコニアの粒子を含む、請求項1に記載の支持体形成用材料。
- 前記気孔形成材は、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂からなる群から選択された1種以上の樹脂を含有する樹脂ビーズ、またはカーボン、でんぷんからなる粒子である、請求項1または2に記載の支持体形成用材料。
- 固体酸化物形燃料電池の絶縁性支持体の前駆物質である絶縁性支持体のグリーンシートであって、
平均粒径が1.5μm以上2μm以下の粗粒ジルコニア粉体、および平均粒径が0.2μm以上0.4μm以下の微粒ジルコニア粉体を少なくとも含む混合粉体と、
平均粒径が1μm以上10μm以下であり、300℃以上の温度で焼失する気孔形成材とを固形成分として少なくとも含み、
前記混合粉体の総重量を100wt%としたときの前記微粒ジルコニア粉体の含有量が10wt%以上40wt%以下であり、
前記混合粉体の総重量を100wt%としたときの前記気孔形成材の添加量が13wt%以上25wt%以下であり、
1400℃の焼成処理における焼成収縮率が10%以上12%以下である、絶縁性支持体形成のグリーンシート。 - 燃料ガスを透過させる多孔体であり、絶縁性を有する絶縁性支持体と、
前記絶縁性支持体上に形成された燃料極と、
前記燃料極上に形成された固体電解質層と、
前記固体電解質層上に形成された空気極と
を備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記絶縁性支持体に、複数の気孔が連結して支持体外部に開放された開気孔が形成されており、
前記絶縁性支持体は、水銀ポロシメータで測定される細孔分布曲線において、細孔径が0.2μm以上0.5μm未満の範囲に微分細孔容量の第1のピークを有し、細孔径が0.5μm以上2μm以下の範囲に微分細孔容量の第2のピークを有する、固体酸化物形燃料電池。 - 細孔径が0.2μm以上0.5μm未満の範囲の気孔の容積(A)と細孔径が0.5μm以上2μm以下の範囲の気孔の容積(B)との総容積(A+B)を100%としたとき、前記細孔径が0.5μm以上2μm以下の範囲の気孔の容積(B)が70%以上100%未満である、請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 燃料ガスを透過させる多孔体であり、絶縁性を有する絶縁性支持体と、
前記絶縁性支持体上に形成された燃料極と、
前記燃料極上に形成された固体電解質層と、
前記固体電解質層上に形成された空気極と
を備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記絶縁性支持体に、複数の気孔が連結して支持体外部に開放された開気孔が形成されており、
前記絶縁性支持体の気孔率が40%以上である、固体酸化物形燃料電池。
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