JP7271478B2 - 親水性基変性オルガノポリシロキサン及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、親水性基変性オルガノポリシロキサン及びその製造方法に関する。
種々の有機基で変性されたオルガノポリシロキサンの製造方法として、ヒドロシリル化反応を経る方法は有用な方法の一つである。特に、オルガノポリシロキサンが疎水性であるために、親水性基を変性することにより、様々な用途への応用が図られてきた。
代表的な親水性基としてポリオキシアルキレン基(ポリエーテル基)が挙げられるが、このような親水性基で変性されたオルガノポリシロキサンは、末端にアリル基を有するポリオキシアルキレンとヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとのヒドロシリル化反応(付加反応)によって製造することができる。
付加反応中に原料ポリエーテルのアリルエーテルが転位によりプロペニルエーテルに変化する、プロペニルエーテル末端ポリエーテルは付加しないので製品に残存し、これが化粧品製造でよく用いられる乳化などに使用されると加水分解により、プロピオンアルデヒドが発生し悪臭の原因になる。
この防止のため付加反応後に酸処理により、転位したプロペニル基を反応させてアルデヒドを予め析出させ除去する方法がある(特許文献1)。しかし、この方法では酸による構造の破壊が起こると共に未反応のアリルエーテル末端ポリエーテル(速度はプロペニルより遅いが加水分解はする)はこの酸処理では分解しないため、経時でのプロピオンアルデヒドの発生を完全に防止することはできない。この解決のため、反応後の変性オイルを水素添加(以下、水添とも記載)することが知られている(特許文献2)。
ところがこの方法では、高温で反応させるために、未反応のプロペニルエーテルが製品であるポリエーテル変性オイルの末端水酸基や溶剤として一般的に使用されるアルコールと反応して、アセタールが副生してしまう。このアセタールは経時で分解して、同様にプロピオンアルデヒドが生成してしまうがアセタールには二重結合がないために水添では除去できない。また、低温で反応させようとすると非常に長時間を要し工業的に製造することは困難である。
この問題を解決する手段として(1)水添後に低濃度の酸を使用する方法(特許文献3)、(2)水添前後に固体酸で処理する方法(特許文献4)、(3)高温でアセタールを除去する方法(特許文献5)などがあるが、これらはいずれも酸処理や高温処理であるため、構造の破壊が起こることが避けられない。この構造の破壊は化粧品製造の際に重要なファクターである(同時に配合される)化粧品原料との相溶性を悪化してしまうため、シラノール基や水酸基のないポリエーテル変性オイルが求められている。
また、酸処理の場合は酸物質含有水溶液が液状であって、酸物質が系内に溶け込むため、酸自身が系内に残留する。このため、一般的には、酸処理後には中和処理が必要であるが、この中和塩も一部系内に残留する。すなわち、酸物質や中和塩が系内に残留するという問題点がある。特に、ポリエーテル変性ポリシロキサンは、ジメチルポリシロキサンよりも、より親水性であるため、系内に酸や中和塩が残留しやすい。
特開平2-302438号公報 特開平7-330907号公報 国際公開WO2002/055588号パンフレット 国際公開WO2004/046226号パンフレット 特開2006-176655号公報
本発明は、シラノール含有量が少なく、酸や中和塩などの残留量が少ない親水性基変性オルガノポリシロキサンを提供すること、及び従来よりも簡便な方法で前記親水性基変性オルガノポリシロキサンを製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、下記一般式(1)
SiO(4-a-b)/2 (1)
{式中、Rは炭素数1~30のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基及び下記一般式(2)
-C2m-O-(CO)(CO) (2)
で示される有機基[式中、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。cは2~200の整数、dは0~200の整数で、かつc+dが3~200であり、c,dのポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。mは0~15の整数である。]
から選ばれる基であり、同じであっても異なっていてもよく、R
下記一般式(3)
-Q-O-X (3)
(式中、Qは炭素数3~20の2価炭化水素基であって、エーテル結合またはエステル結合を有していてもよく、Xはポリオキシアルキレン、グリセリン、または糖から成る1価の親水性基である。)
で示される親水性基であり、aは1.0≦a≦2.5の数、bは0.001≦b≦1.5の数である。}
で示される親水性基変性オルガノポリシロキサンであって、シロキサン鎖末端のシラノール基量が0.03mol%以下であり、かつ、前記オルガノポリシロキサンと純水とを質量比1:1で混合し、50℃×24時間混合後のプロピオンアルデヒド量が15ppm以下のものである親水性基変性オルガノポリシロキサンを提供する。
このような親水性基変性オルガノポリシロキサンであれば、シラノール含有量が少なく、酸や中和塩などの残留量が少ないものとすることができる。
また、前記オルガノポリシロキサンが直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサンであることが好ましい。
本発明の親水性基変性オルガノポリシロキサンは、このようなものとすることができる。
また、前記一般式(3)の親水性基が下記一般式(4)
-Q-O-(CO)(CO)-R (4)
[式中、Qは前記一般式(3)中のQと同じであり、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。eは2~200の整数、fは0~200の整数で、かつe+fが3~200であり、前記一般式(4)のポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。]
で示されるポリオキシアルキレン基であることが好ましい。
本発明の親水性基変性オルガノポリシロキサンは、このような親水性基を有するものであることができる。
また、本発明では、下記一般式(1)
SiO(4-a-b)/2 (1)
{式中、Rは炭素数1~30のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基及び下記一般式(2)
-C2m-O-(CO)(CO) (2)
で示される有機基[式中、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。cは2~200の整数、dは0~200の整数で、かつc+dが3~200であり、c,dのポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。mは0~15の整数である。]
から選ばれる基であり、同じであっても異なっていてもよく、R
下記一般式(3)
-Q-O-X (3)
(式中、Qは炭素数3~20の2価炭化水素基であって、エーテル結合またはエステル結合を有していてもよく、Xはポリオキシアルキレン、グリセリン、または糖から成る1価の親水性基である。)
で示される親水性基であり、aは1.0≦a≦2.5の数、bは0.001≦b≦1.5の数である。}
で示される親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法であって、下記(A)成分と(B)成分
(A)下記一般式(5)
SiO(4-a-g)/2 (5)
(式中、Rは前記と同じであり、aは1.0≦a≦2.5の数、gは0.001≦g≦1.5の数である。)
で示される1分子中に1個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(B)下記一般式(3’)
CH=CH-Q’-O-X (3’)
(式中、Q’は炭素数1~18の2価炭化水素基であって、エーテル結合またはエステル結合を有していてもよく、Xはポリオキシアルキレン、グリセリン、または糖から成る1価の親水性基である。)
で示される分子鎖末端にアルケニル基を有する親水性基含有有機化合物
とのヒドロシリル化反応工程に次いで、ファインバブル状の水素ガスを用いた水素添加反応工程を行う親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法を提供する。
このような親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法であれば、シラノール基の含有量やプロピオンアルデヒドの含有量の少ない親水性基変性オルガノポリシロキサンを従来よりも簡便な方法で製造することができる。
また、前記親水性基含有有機化合物として下記一般式(4’)
CH=CH-Q’-O-(CO)(CO)-R (4’)
[式中、Q’は前記一般式(3’)中のQ’と同じであり、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。eは2~200の整数、fは0~200の整数で、かつe+fが3~200であり、前記一般式(4’)のポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。]
で示されるポリオキシアルキレン基含有有機化合物を用いることが好ましい。
本発明の親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法では、このようなポリオキシアルキレン基含有有機化合物を用いることができる。
また、本発明は、前記(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが分岐状であって、前記ヒドロシリル化反応工程の前又は後に、
分子鎖側鎖にヒドロシリル基を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンと分子鎖の片末端にアルケニル基を有する直鎖状オルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応による分岐鎖生成工程を行う親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法とすることができる。
(A)成分を分岐状とする場合にはこのようにすれば効率よく製造することができる。
本発明の親水性基変性オルガノポリシロキサンは、前記オルガノポリシロキサン中に不純物として含有される二重結合及びアルデヒド縮合物が略完全に分解されている上、ケトンやアルデヒドは除去されるので、水系の組成物に配合しても最早経時で着臭することがない。従って、従来使用することのできなかった化粧品用途にも使用することができる。
また、本発明記載の製造方法によれば、簡便に高収率でシラノール基の含有量やプロピオンアルデヒドの含有量の少ない親水性基変性オルガノポリシロキサンを得ることができる。
上述のように、シラノール含有量が少なく、酸や中和塩などの残留量が少ない親水性基変性オルガノポリシロキサンを提供すること、及び従来よりも簡便な方法で前記親水性基変性オルガノポリシロキサンを製造する方法の開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、シロキサン鎖末端のシラノール基量が0.03mol%以下であり、かつ、前記オルガノポリシロキサンと純水とを質量比1:1で混合し、50℃×24時間混合後のプロピオンアルデヒド量が15ppm以下のものである親水性基変性オルガノポリシロキサンであれば、シラノール含有量が少なく、酸や中和塩などの残留量が少ない親水性基変性オルガノポリシロキサンを提供できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記一般式(1)
SiO(4-a-b)/2 (1)
{式中、Rは炭素数1~30のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基及び下記一般式(2)
-C2m-O-(CO)(CO) (2)
で示される有機基[式中、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。cは2~200の整数、dは0~200の整数で、かつc+dが3~200であり、c,dのポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。mは0~15の整数である。]
から選ばれる基であり、同じであっても異なっていてもよく、R
下記一般式(3)
-Q-O-X (3)
(式中、Qは炭素数3~20の2価炭化水素基であって、エーテル結合またはエステル結合を有していてもよく、Xはポリオキシアルキレン、グリセリン、または糖から成る1価の親水性基である。)
で示される親水性基であり、aは1.0≦a≦2.5の数、bは0.001≦b≦1.5の数である。}
で示される親水性基変性オルガノポリシロキサンであって、シロキサン鎖末端のシラノール基量が0.03mol%以下であり、かつ、前記オルガノポリシロキサンと純水とを質量比1:1で混合し、50℃×24時間混合後のプロピオンアルデヒド量が15ppm以下のものである親水性基変性オルガノポリシロキサンである。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<親水性基変性オルガノポリシロキサン>
本発明の親水基変性オルガノポリシロキサンは、下記一般式(1)
SiO(4-a-b)/2 (1)
で示される。
ここで、Rは炭素数1~30のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基から選ばれる基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられ、トリフロロプロピル基、ヘプタデカフロロデシル基等の前記アルキル基の一部をフッ素置換したアルキル基等も含めることができる。
式中、Rはさらに下記一般式(2)で示される長鎖アルキル基含有の有機基であってもよい。
-C2m-O-(CO)(CO) (2)
式中、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基又はRC(=O)-で表されるアシル基であり、前記Rは炭素数1~30の1価炭化水素基で、cは2~200の整数、dは0~200の整数で、かつc+dが3~200であり、mは0~15の整数で表される。即ち、Rはアルコキシ基、エステル基、アルケニルエーテル残基あるいはアルケニルエステル残基である。ここで、c、dが何であれ、mが15を超えると油臭が強いため、mは3~11であることが好ましい。
cは2~200、好ましくは5~100の整数、dは0~200、好ましくは0~100の整数で、かつc+dが3~200、好ましくは5~100である。
なお、上記一般式(2)のポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。
特にこれらR全体の50%以上がメチル基であることが好ましく、さらに好ましくは70%以上がメチル基であり、100%がメチル基であってもよい。
は下記一般式(3)で示される親水性基である。
-Q-O-X (3)
式中、Qはエーテル結合及びエステル結合を含有してもよい炭素数3~20の2価炭化水素基を示しており、たとえば、-(CH-、-(CH-、-CHCH(CH)CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CHCH(CHCHCH)-、-CHCH(CHCH)-、-(CHO(CH-、-(CHO(CHO(CH-、-(CHOCHCH(CH)-、-CHCH(CH)COO(CH-等を例示することができる。
Xはポリオキシアルキレン、グリセリン又は糖から成る1価の親水性基である。
Xがポリオキシアルキレンからなる1価の親水性基である場合、Rは下記一般式(4)で示される。
-Q-O-(CO)(CO)-R (4)
式(4)中のQは式(3)中のQと同じであり、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。
eは2~200、好ましくは5~100の整数、fは0~200、好ましくは0~100の整数で、かつe+fが3~200、好ましくは5~100であり、油中水型乳化物を得るのに十分な親水性を付与するためにはe/f≧1であることが望ましい。
なお、上記一般式(4)のポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。
Xがグリセリンから成る1価の親水性基である場合、Rとしては下記の残基が挙げられる(式中、Qは式(3)中のQと同じであり、式中のtは1~20の整数である)。また、下記残基中の水酸基の一部はアルコキシ基あるいはエステル基で置換されていてもよい。
Figure 0007271478000001
単糖、オリゴ糖ないしは多糖から誘導される糖残基(X)としては、例えばグリコシル基、マンノシル基、ガラクトシル基、リボシル基、アラビノシル基、キシロシル基、フルクトシル基などの単糖基、マルトシル基、セロビオシル基、ラクトシル基、マルトトリオシル基などのオリゴ糖基、セルロース、澱粉などの多糖基が例示され、好ましい基としては、単糖基及びオリゴ糖基が挙げられる。
aは1.0~2.5であるが、好ましくは1.2~2.3である。aが1.0より小さいと油剤との相溶性に劣り、安定な油中水型乳化物を得難く、2.5より大きいと親水性に乏しくなるため、やはり安定な油中水型乳化物を得難い。bは0.001~1.5であるが、好ましくは0.05~1.0である。bが0.001より小さいと、親水性に乏しくなるため安定な油中水型乳化物を得難く、1.5より大きいと親水性が高くなり過ぎるため、安定な油中水型乳化物を得難い。
乳化剤としてみた場合、上記一般式(1)のシリコーン化合物の重量平均分子量は特に限定されないが、500~200,000、特に1,000~100,000であることが好ましい。
皮膚洗浄組成物に使用する場合は、上記一般式(1)のシリコーン化合物の重量平均分子量は、4,000以下であることが好ましいが、2,000以下、特に1,500以下であることが更に好ましい。
なお、本発明で重量平均分子量とは、下記条件によるポリスチレンを標準物質としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析による値である。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-H
TSKgel SuperHM-N(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2500(6.0mmI.D.×15cm×1)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50μL(濃度0.3重量%のTHF溶液)
また、本発明は、シロキサン鎖末端のシラノール基量が0.03mol%以下であり、かつ、前記オルガノポリシロキサンと純水とを質量比1:1で混合し、50℃×24時間混合後のプロピオンアルデヒド量が15ppm以下のものである親水性基変性オルガノポリシロキサンを工業的に製造することを可能とするものである。
<親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法>
また、本発明では、下記一般式(1)
SiO(4-a-b)/2 (1)
{式中、Rは炭素数1~30のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基及び下記一般式(2)
-C2m-O-(CO)(CO) (2)
で示される有機基[式中、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。cは2~200の整数、dは0~200の整数で、かつc+dが3~200であり、c,dのポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。mは0~15の整数である。]
から選ばれる基であり、同じであっても異なっていてもよく、R
下記一般式(3)
-Q-O-X (3)
(式中、Qは炭素数3~20の2価炭化水素基であって、エーテル結合またはエステル結合を有していてもよく、Xはポリオキシアルキレン、グリセリン、または糖から成る1価の親水性基である。)
で示される親水性基であり、aは1.0≦a≦2.5の数、bは0.001≦b≦1.5の数である。}
で示される親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法であって、下記(A)成分と(B)成分
(A)下記一般式(5)
SiO(4-a-g)/2 (5)
(式中、Rは前記と同じであり、aは1.0≦a≦2.5の数、gは0.001≦g≦1.5の数である。)
で示される1分子中に1個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(B)下記一般式(3’)
CH=CH-Q’-O-X (3’)
(式中、Q’は炭素数1~18の2価炭化水素基であって、エーテル結合またはエステル結合を有していてもよく、Xはポリオキシアルキレン、グリセリン、または糖から成る1価の親水性基である。)
で示される分子鎖末端にアルケニル基を有する親水性基含有有機化合物
とのヒドロシリル化反応工程に次いで、ファインバブル状の水素ガスを用いた水素添加反応工程を行うことを特徴とする親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法を提供する。
本発明で用いる上記一般式(1)のシリコーン化合物は、(A)成分として下記一般式(5)で示される1分子中に1個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(B)成分として下記一般式(3’)で示されるアルケニル化ポリオキシアルキレン化合物、アルケニル化グリセリン化合物、アルケニル化糖化合物、場合によってはさらにアルキレン化合物及び/又は下記一般式(6)で示される有機化合物とを白金触媒又はロジウム触媒の存在下に付加反応(ヒドロシリル化反応)させることにより容易に合成することができる。
SiO(4-a-g)/2 (5)
(式中、Rは前記と同じであり、aは1.0≦a≦2.5の数、gは0.001≦g≦1.5の数である。)
CH=CH-Q’-O-X (3’)
(式中、Q’は炭素数1~18の2価炭化水素基であって、エーテル結合またはエステル結合を有していてもよく、Xはポリオキシアルキレン、グリセリン、または糖から成る1価の親水性基である。)
(2m-1)-O-(CO)(CO)-R (6)
(式中、R、c、dは前記と同じである。)
ポリオキシアルキレン化合物としてはエチレングリコールモノアリルエーテル{2-(アリルオキシ)エタノール}などの低分子量の化合物から、下記式
CH=CHCH-O-(CO)10-H
CH=CHCH-O-(CO)22(CO)22-C
CH=CHCH(CH-O-(CO)21(CO)-H
などの高分子量のものがあげられる。
グリセリン化合物としてはモノグリセリンのほかジグリセリン、トリグリセリンを含むポリグリセリン及びこれらのアルキルエステルがあげられ具体的には以下の構造をとるものなどが使用できる。
CH=CHCH-O-CHCH(OH)CHOH
CH=CHCH-O-(CHCH(CHOH)O)
CH=CHCH-O-CHCH(OH)CHO(CHCH(CHOH)O)
CH=CHCH-O-CH(CHOCHCH(OH)CHOH)
また、糖化合物としては、α-アリルグルコシド、β-グルコシド及び、その混合物などの単糖類のアリル化物、さらには二糖類、多糖類のアリル化物、並びにそれらの混合物が使用される。
ここで、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、付加反応を円滑に進めるためは主として直鎖状であることが好ましい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンと上記のポリオキシアルキレン化合物、グリセリン化合物、糖化合物、アルキレン化合物及び/又は上記一般式(6)で示される有機化合物との合計の混合割合は、ヒドロシリル基と末端不飽和基のモル比で0.5~2.0、好ましくは0.8~1.2である。
また、親水性基含有有機化合物として下記一般式(4’)
CH=CH-Q’-O-(CO)(CO)-R (4’)
[式中、Q’は前記一般式(3’)中のQ’と同じであり、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。eは2~200の整数、fは0~200の整数で、かつe+fが3~200であり、前記一般式(4’)のポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。]
で示されるポリオキシアルキレン基含有有機化合物を用いることもできる。
また、上記(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが分岐状であって、上記ヒドロシリル化反応工程の前又は後に、分子鎖側鎖にヒドロシリル基を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンと分子鎖の片末端にアルケニル基を有する直鎖状オルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応による分岐鎖生成工程を行うこともできる。
上記付加反応は、白金触媒又はロジウム触媒の存在下で行うことが望ましく、具体的には塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸-ビニルシロキサン錯体等が好適に使用される。なお、触媒の使用量は、触媒量とすることができるが、特に白金又はロジウム量で50ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
上記付加反応は、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n-ペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられるが、特に化粧品用途として用いるには、エタノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)が好適である。付加反応条件は特に限定されないが、還流下で1~10時間反応させることが好適である。
以上の工程中、特に白金触媒下で付加反応を行わせる際に、前記アルキレン化合物の末端二重結合の内部転位が起こり、例えば末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンの場合にはプロペニルエーテル化ポリオキシアルキレン(プロペニルエーテル化ポリエーテル)が生成する。仮に、ハイドロジェンシロキサンを末端二重結合含有ポリオキシアルキレンに対して当然反応する量より過剰量使用しても正常付加反応とポリオキシアルキレンの異性化反応が同時に起こるので、異性化して内部二重結合を含有するポリエーテルが生成することは不可避である。又、内部二重結合含有ポリエーテルは、シリコーン化学研究で公知であるように、ハイドロジェンシロキサンと反応せず必ず系内に残存する。このようなことから白金触媒下で合成された従来のポリエーテル変性シリコーンには必ず末端並びに内部二重結合含有ポリエーテルが残存しており、全系の不飽和度も0.02以上であった。
ところで、ポリエーテル変性シリコーンはポリエーテルの酸化劣化により経時でその液性は酸性に傾く。従って、ポリエーテル変性シリコーンを水系の化粧料に配合した場合には、系は酸性となるので、pH7以下の水溶液の影響によりプロペニルエーテル化ポリエーテルの分解が徐々に進行して、悪臭の原因となるプロピオンアルデヒドが生成する。上記の如く経時により発生する悪臭の為に、ポリエーテル変性シリコーンは、従来、ヘアケア、スキンケア、メーキャップ等の化粧料に多量に配合することができず、特に、使用される部位が鼻に近いスキンケアやメーキャップ化粧料には配合が難しかった。
そこで、水素添加処理して不飽和基をなくすことにより、それに起因して発生するプロピオンアルデヒド量を減少させることができるので、ある程度の無臭化は可能であった。しかしながら、水素添加反応は100℃以上の高温、長時間で行われるため、アルデヒドの一部が縮合して出来るアセタール(アルデヒド縮合物)が副生し、アセタールは、上記処理を行ってもそのまま系内に残留するため、それが分解して発生するアルデヒド化合物に起因して発生する臭気を除去することはできなかった。また、水添後に酸処理を行った場合は、かかるアルデヒド縮合物を分解除去することはできるものの、酸処理によるシリコーン主鎖の切断によるシラノール基の生成や、酸処理に必要な耐食性装置の設置など工業的に多くの課題を抱えていた。
このような不都合を解決するために、本発明では付加反応後の反応溶液に水素のファインバブルを吹き込むことで低温での水素添加反応が可能となり、低温のためアセタールの生成がないので後工程の酸処理が不要になった。酸処理の省略によりポリエーテル変性ポリシロキサンの酸化による臭いの発生がないだけでなく、酸処理によって引き起こされるシリコーンオイル中のシロキサン鎖の一部開裂で生成するシラノール基の生成もなくなり、極めて不純物の少ないポリエーテル変性ポリシロキサンを得ることができる。
ここで言うファインバブルとは、粒径50ミクロン以下のマイクロバブルと粒径1ミクロン以下のナノバブルの総称であり、近年、赤潮の発生防止や遠洋漁業の活魚の窒素バブルによる酸化防止保存、半導体の表面洗浄などに使用されているもので、その発生方式には、加圧溶解式、旋回流式、微細孔式などの様々な方法があるが本発明ではそのどれを使用しても良い。
ファインバブルは粒径が細かいことで、液中に長時間存在することが可能となり、かつ、単位体積当たりの表面積が大きいので反応液への溶解速度も速いため、反応により消費された液中の水素の補充を素早く行うことができるので常に液中の水素濃度が高い状態で水素添加反応をすることができ、この結果、低温でも十分な反応率を達成することが可能となった。
本発明に使用される水添触媒としては、Ni、Pd、Pt等の金属やそれらを担持した活性炭、シリカや、塩化白金酸にビニルシリコーンを添加して中和した溶液タイプの白金触媒など通常水素添加反応に使用される触媒を使用可能である。
これらの触媒は単独で用いることもできるが、それらを組み合わせて用いることも可能である。最も好ましいのは経済的に優位であるラネーニッケルである。
水添反応は一般的に1~100MPa、100~200℃で行っているが、ファインバブルを使用すれば、60℃程度の温度で0.6MPa、4時間の低温で反応が完結し、この温度ではアセタールが生じないため、酸処理が不要になった。
水素添加反応は回分式でも連続式でも良い。回分式の場合、反応時間は触媒量に依存するが、60℃、4~6時間程度で十分である。ファインバブルの発生方式は液流せん断による気相分散法、キャビテーションによる方法、液中ガスの溶解度差を利用する方法など数種がある。これら発生方式のどれでも使用可能であるが、高圧にして液中の水素ガス溶解量を増加したいので液流せん断による気相分散法、具体的には旋回流式や微細孔式が好ましい。
旋回流式では液が流れる部分に水素ガスを外側から供給するとエジェクター効果により、水素が液と混合し液中に細かく分散する性質を利用したもので、この時のガス液比は1/100~1/1が好ましく、より好ましくは、1/5~1/50である。
微細孔式とは細孔を有するセラミック管の内側にオイルを供給し、同時にセラミック管の外側から水素ガスを供給して液中にファインバブルを生成させるものでガス液比は1/500~1/5が好ましく、より好ましくは1/100~1/50である。
バブルの大きさは液の粘度、線速、ガス液比などにより決定される。
ポリエーテル変性シリコーンは化粧品用油脂と同様に空気中の酸素を吸収するので、これによって徐々に自動酸化を受けて変質し、酸敗をおこす。酸敗はアセトアルデヒドなどのアルデヒド臭や酢酸などの酸臭を引き起こすので悪臭の原因となる現象である。酸化を抑制する添加剤としては、フェノール類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類、芳香族アミン類、およびビタミン類等の酸化防止剤を用い、酸化に対する安定性を増加させることができる。このような酸化防止剤としては、例えば、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、およびビタミンE(d-δ―トコフェロール)などを用いることができる。化粧品、特にスキンケア用品に使用する場合にはビタミンEが好ましい。このとき、使用する酸化防止剤の添加量はポリエーテル変性シリコーンに対して10~500ppm、好ましくは50~300ppmである。
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、下記一般式において、MeSiO1/2基をM、MeSiO2/2基をDと表記し(式中、Meはメチル基を示す)、MおよびD中のメチル基を他の置換基で変性したシロキサン単位をMおよびDと表記する。また収率の「%」は「質量%」を表す。また、以下の実施例において、水素ガス発生量は以下の方法で測定した25℃におけるガス発生量である。
サンプル2gを採取して1-ブタノール5mlで希釈し、20質量%水酸化ナトリウム水溶液10mlを加えて激しく攪拌する。発生した水素ガスをガスビュレットにより定量し、以下の式によって水素ガス発生量を計算した。
水素ガス発生量(ml/g)=[ガスビュレットで定量した水素ガス量(ml)]/[サンプル量(g)]
ファインバブルの粒径は以下のようにして測定した。
粒径測定方法
測定機器:島津製作所 SALD-7500nano
測定原理:レーザーX線回折散乱法
測定範囲:0.007~800μm
光源:半導体レーザー 波長405nm
検出器:84素子
サンプル:回分セルにサンプルを入れ測定
(実施例1)
[ポリエーテル変性ポリシロキサン]
ガラス製反応容器に、水素ガス発生量が14.0ml/gであって、重量平均分子量が5,000のメチルハイドロジェンポリシロキサン化合物605g、ポリオキシエチレン(9)アリルエーテル195g及びイソプロピルアルコール200gを仕込み、3質量%-塩化白金酸/イソプロピルアルコール溶液0.2gを加えて80℃で5時間付加反応を行った。反応液をオートクレーブに移した後、ラネーニッケル25gを添加して微細孔式バブル発生装置で反応液を循環しながら水素をガス液比1/20で導入して、60℃で4時間水素添加反応を行った。反応中、水素圧を0.6MPaに保持した。なお、前記バブル発生装置の手前にはラネーニッケルを通過させない金網を設置し、循環ラインにラネーニッケルが混入しないようにした。
触媒を濾過し、反応液にビタミンE0.14gを添加して減圧留去(~110℃/400Pa)し、次いで濾過することによって、一般式M60 (R;-CO(CO)H)で示される25℃における動粘度が780mm/sであり、比重が1.009のオイル状オルガノポリシロキサン860gを得た。収率は86%であった。
上記測定方法で実施例1の液にニッケルは入れずに水素バブルを20分間入れ、4時間常温、常圧で放置後の液中のバブルを測定した場合、バブル径は0.5~3μm、平均径は0.8μm、標準偏差は0.162であった。
(実施例2)
[グリセリン変性ポリシロキサン]
ガラス製反応容器に、水素ガス発生量が21.9ml/gであって、重量平均分子量が2,300のメチルハイドロジェンポリシロキサン化合物360g、ポリオキシグリセリン(3)アリルエーテル54g及びイソプロピルアルコール243gを仕込み、3質量%-塩化白金酸/イソプロピルアルコール溶液0.1gを加えて80℃で2時間反応させ、その後反応液に重量平均分子量が700の片末端ビニル基含有ジメチルポリシロキサン153gと上記白金触媒を0.1g追加し、80℃で2時間付加反応を行った。反応液をオートクレーブに移した後、ラネーニッケル24gを添加して微細孔式バブル発生装置で反応液を循環しながら水素をガス液比1/20で導入して、60℃で5時間水素添加反応を行った。反応中、水素圧を0.6MPaに保持した。
触媒を濾過して減圧留去(~110℃/400Pa)し、次いで濾過することによって、一般式M27R1R2で示される25℃における粘度が4,000mm/sであり、比重が0.981のオイル状オルガノポリシロキサン459gを得た。収率は81%であった。
R1;-CO(CHCH(OH)CHO)
R2;-(OSi(CHOSi(CH
(比較例1)
実施例1で行った水素添加反応を、ファインバブルを使用することなく、0.6MPa、120℃、5時間で行い、その後、触媒を濾過し、実施例1で行った反応液にビタミンE0.14gを添加し、110℃/400Paの条件で減圧ストリップし、濾過したサンプルを比較例1のサンプルとした。
(比較例2)
比較例1で水素添加反応、触媒濾過後、塩酸水溶液を反応液に対し塩酸として20ppmになるように加えて40~50℃で3時間処理後、重曹を塩酸に対し1.2倍モル加えそのままの温度で30分処理した。その後、反応液にビタミンE0.14gを添加して減圧留去(~110℃/400Pa)し、次いで濾過することによって比較例2のサンプルとした。
(比較例3)
実施例2で行った水素添加反応を、ファインバブルを使用することなく、0.8MPa、90~100℃、5時間で行い、その後、触媒を濾過し、実施例2で行った、110℃/400Paの条件で減圧ストリップし、濾過したサンプルを比較例3とした。
実施例1、2及び比較例1、2、3で得られたポリシロキサンについて以下の測定を行った。
臭気:サンプル10gと精製水10gを混合し、60℃で24時間放置した後に検査した。
プロピオンアルデヒド量:サンプル0.5g、水0.5gを混合したものを5mLバイアルに入れて50℃で24時間加熱後、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー分析を行い、発生したプロピオンアルデヒドの量を測定。
シラノール基量:29Si-NMRによる化学シフト-15ppmのピークより計算(トリメチルシリル基を2とした時のmol%)
それぞれの結果を表1に記載した。
Figure 0007271478000002
このことから、本発明の親水性基変性オルガノポリシロキサンであれば、実施例1、2のようにシラノール基含有量やプロピオンアルデヒド含有量が少ないものとなる。一方、比較例1、3のようにファインバブルを使用しないで高温で水添を行うとアルデヒドが多く臭気が強く、その後に酸処理を行った比較例2の場合は、臭気は改善するがシロキサン結合の切断が起こり、ポリエーテル変性オイルの構造破壊が起こり、シラノール基含有量が増加して、化粧品用原料として相溶性の悪化が起こってしまう。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)
    SiO(4-a-b)/2 (1)
    {式中、Rは炭素数1~30のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基及び下記一般式(2)
    -C2m-O-(CO)(CO) (2)
    で示される有機基[式中、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。cは2~200の整数、dは0~200の整数で、かつc+dが3~200であり、c,dのポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。mは0~15の整数である。]
    から選ばれる基であり、同じであっても異なっていてもよく、R
    下記一般式(3)
    -Q-O-X (3)
    (式中、Qは炭素数3~20の2価炭化水素基であって、エーテル結合またはエステル結合を有していてもよく、Xはポリオキシアルキレン、グリセリン、または糖から成る1価の親水性基である。)
    で示される親水性基であり、aは1.0≦a≦2.5の数、bは0.001≦b≦1.5の数である。}
    で示される親水性基変性オルガノポリシロキサンであって、シロキサン鎖末端のシラノール基量が0.03mol%以下であり、かつ、前記オルガノポリシロキサンと純水とを質量比1:1で混合し、50℃×24時間混合後のプロピオンアルデヒド量が15ppm以下のものであることを特徴とする親水性基変性オルガノポリシロキサン。
  2. 前記オルガノポリシロキサンが直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の親水性基変性オルガノポリシロキサン。
  3. 前記一般式(3)の親水性基が下記一般式(4)
    -Q-O-(CO)(CO)-R (4)
    [式中、Qは前記一般式(3)中のQと同じであり、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。eは2~200の整数、fは0~200の整数で、かつe+fが3~200であり、前記一般式(4)のポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。]
    で示されるポリオキシアルキレン基であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の親水性基変性オルガノポリシロキサン。
  4. 下記一般式(1)
    SiO(4-a-b)/2 (1)
    {式中、Rは炭素数1~30のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基及び下記一般式(2)
    -C2m-O-(CO)(CO) (2)
    で示される有機基[式中、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。cは2~200の整数、dは0~200の整数で、かつc+dが3~200であり、c,dのポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。mは0~15の整数である。]
    から選ばれる基であり、同じであっても異なっていてもよく、R
    下記一般式(3)
    -Q-O-X (3)
    (式中、Qは炭素数3~20の2価炭化水素基であって、エーテル結合またはエステル結合を有していてもよく、Xはポリオキシアルキレン、グリセリン、または糖から成る1価の親水性基である。)
    で示される親水性基であり、aは1.0≦a≦2.5の数、bは0.001≦b≦1.5の数である。}
    で示される親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法であって、下記(A)成分と(B)成分
    (A)下記一般式(5)
    SiO(4-a-g)/2 (5)
    (式中、Rは前記と同じであり、aは1.0≦a≦2.5の数、gは0.001≦g≦1.5の数である。)
    で示される1分子中に1個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
    (B)下記一般式(3’)
    CH=CH-Q’-O-X (3’)
    (式中、Q’は炭素数1~18の2価炭化水素基であって、エーテル結合またはエステル結合を有していてもよく、Xはポリオキシアルキレン、グリセリン、または糖から成る1価の親水性基である。)
    で示される分子鎖末端にアルケニル基を有する親水性基含有有機化合物
    とのヒドロシリル化反応工程に次いで、ファインバブル状の水素ガスを用いた水素添加反応工程を行うことを特徴とする親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法。
  5. 前記親水性基含有有機化合物として下記一般式(4’)
    CH=CH-Q’-O-(CO)(CO)-R (4’)
    [式中、Q’は前記一般式(3’)中のQ’と同じであり、Rは水素原子、炭素数1~4の1価炭化水素基またはRC(=O)-で示されるアシル基(ここで、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基)から選ばれる基である。eは2~200の整数、fは0~200の整数で、かつe+fが3~200であり、前記一般式(4’)のポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方から成る場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れでもよい。]
    で示されるポリオキシアルキレン基含有有機化合物を用いることを特徴とする請求項4に記載の親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法。
  6. 前記(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが分岐状であって、前記ヒドロシリル化反応工程の前又は後に、
    分子鎖側鎖にヒドロシリル基を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンと分子鎖の片末端にアルケニル基を有する直鎖状オルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応による分岐鎖生成工程を行うことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の親水性基変性オルガノポリシロキサンの製造方法。
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