JP7269732B2 - 光学ガラス、プリフォーム材及び光学素子 - Google Patents
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Description
しかしながら、B2O3成分を多量に含有すると、化学的耐久性(耐酸性)や摩耗度のような耐久性が低下するという不利益が生じる。
具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
SiO2成分を10.0%~40.0%、
La2O3成分を15.0 %~50.0%、
TiO2成分 5.0~25.0%未満、
含有し、
質量比B2O3/SiO2が1.00以下であり、
1.78~1.95の屈折率(nd)、25~45のアッベ数(νd)を有し、
粉末法による化学的耐久性(耐酸性)が1級~3級を有する光学ガラス。
ZnO成分を0~30.0%、
ZrO2成分 0~20.0%
Al2O3成分 0~20.0%
Y2O3成分 0~25.0%
B2O3成分 0~20.0%
である(1)記載の光学ガラス。
SiO2成分を10.0%~50.0%、
La2O3成分を15.0 %~60.0%、
TiO2成分 0 ~15.0%未満、
含有し、
質量比B2O3/SiO2が1.00以下であり、
1.60~1.85の屈折率(nd)、33~62のアッベ数(νd)を有し、
粉末法による化学的耐久性(耐酸性)が1級~3級を有する光学ガラス。
ZnO成分を0~35.0%、
ZrO2成分 0~20.0%、
Al2O3成分 0~20.0%、
B2O3成分 0~20.0%、
である(5)記載の光学ガラス。
(9) 摩耗度が200以下である(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
本発明の第一の態様に係る光学ガラスは、質量%で、SiO2成分を10.0%以上40.0%以下、La2O3成分を15.0%以上50.0%以下含有し、TiO2成分を5.0%以上25%未満含有し、質量比(B2O3/SiO2)が1.0以下であり、1.78以上1.95以下の屈折率(nd)を有し、25以上45以下のアッベ数(νd)を有する。SiO2成分及びLa2O3成分が主成分の光学ガラスにおいて、1.78以上の屈折率(nd)及び25以上45以下のアッベ数(νd)を有しながらも、耐酸性が高いガラスが得られ易くなる。
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は、特に断りがない場合、全て酸化物換算組成の全質量数に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量数を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
SiO2成分は、高い耐久性を有する本発明の光学ガラスでは、ガラス形成酸化物として必須の成分である。特に、SiO2成分の含有量を10.0%以上にすることで、ガラスの耐酸性を高め、磨耗度を低下させ、且つガラスの粘性を高められる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは25.0%を下限とする。
一方、SiO2成分の含有量を40.0%以下にすることで、より大きな屈折率を得易くでき、且つ失透性の悪化を抑えられる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは40.0%以下、より好ましくは37.0%未満、さらに好ましくは35.0%未満、さらに好ましくは33.0%未満とする。
SiO2成分は、原料としてSiO2、K2SiF6、Na2SiF6、ZrSiO4等を用いることができる。
一方、La2O3成分の含有量を50.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減でき、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられる。また、ガラス原料の熔解性を高められる。従って、La2O3成分の含有量は、好ましくは50.0%以下、より好ましくは45.0%未満、さらに好ましくは40.0%未満とする。
La2O3成分は、原料としてLa2O3、La(NO3)3・XH2O(Xは任意の整数)等を用いることができる。
他方で、TiO2成分の含有量を25.0%未満にすることで、TiO2成分の過剰な含有による失透を低減でき、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。また、これによりアッベ数の低下を抑えられる。従って、TiO2成分の含有量は、好ましくは25.0%未満、より好ましくは24.0%未満、さらに好ましくは21.0%未満、さらに好ましくは19.0%未満、最も好ましくは15.0%以下とする。
TiO2成分は、原料としてTiO2等を用いることができる。
特に、この質量比を1.0以下にすることで、耐酸性が向上し、長期間の使用に耐えうるガラスを得易くできる。従って、質量比B2O3/SiO2は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.98以下、さらに好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.80以下、さらに好ましくは0.70以下とする。
他方で、ZnO成分の含有量30.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、且つ、過剰な粘性の低下による失透を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは28.0%未満、さらに好ましくは25.0%未満とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF2等を用いることができる。
他方で、ZrO2成分の含有量を20.0%以下にすることで、ZrO2成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%未満、さらに好ましくは16.0%未満、さらに好ましくは14.0%未満とする。
ZrO2成分は、原料としてZrO2、ZrF4等を用いることができる。
他方で、Al2O3成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Al2O3成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%未満、さらに好ましくは16.5%未満、さらに好ましくは15.0%未満とする。
Al2O3成分は、原料としてAl2O3、Al(OH)3、AlF3等を用いることができる。
他方で、Y2O3成分の含有量を25.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、且つガラスの安定性を高められる。また、ガラス原料の熔解性の悪化を抑えられる。従って、Y2O3成分の含有量は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは23.0%未満、より好ましくは20.0%未満、最も好ましくは18.0%以下とする。
Y2O3成分は、原料としてY2O3、YF3等を用いることができる。
他方で、B2O3成分の含有量を20.0%以下にすることで、より大きな屈折率を得易くでき、且つ化学的耐久性(耐酸性)の悪化と磨耗度の上昇を抑えられる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは16.0%未満、さらに好ましくは14.0%未満、さらに好ましくは13.0%未満、さらに好ましくは12.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満とする。
B2O3成分は、原料としてH3BO3、Na2B4O7、Na2B4O7・10H2O、BPO4等を用いることができる。
他方で、Nb2O5成分の含有量を15.0%未満にすることで、Nb2O5成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つ、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。また、これによりアッベ数の低下を抑えられる。従って、Nb2O5成分の含有量は、好ましくは15.0%未満、より好ましくは13.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは7.0%未満とする。
Nb2O5成分は、原料としてNb2O5等を用いることができる。
他方で、WO3成分の含有量を10.0%未満にすることで、ガラスの材料コストを抑えられる。また、WO3成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、WO3成分の含有量は、好ましくは10.0%未満、より好ましくは6.0%未満、より好ましくは4.5%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
WO3成分は、原料としてWO3等を用いることができる。
しかしながら、Gd2O3成分は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。また、Gd2O3成分の含有を25.0%以下とすることにより、ガラスのアッベ数の上昇を抑えられる。従って、Gd2O3成分の含有量は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは23.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満とする。
Gd2O3成分は、原料としてGd2O3、GdF3等を用いることができる。
しかしながら、Yb2O3成分は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。また、Yb2O3成分の含有を5.0%未満とすることにより、ガラスのアッベ数の上昇を抑えられる。従って、Yb2O3成分の含有量は、好ましくは5.0%未満、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
Yb2O3成分は、原料としてYb2O3等を用いることができる。
しかしながら、Ta2O5成分は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。また、Ta2O5成分の含有量を5.0%未満にすることで、原料の熔解温度が低くなり、原料の熔解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストも低減できる。従って、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは5.0%未満、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。また、材料コストを低減させる観点では、Ta2O5成分を含有しないことが最も好ましい。
Ta2O5成分は、原料としてTa2O5等を用いることができる。
MgO成分の含有量をそれぞれ10.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えることができ、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、MgO成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
MgO成分は、原料としてMgCO3、MgF2等を用いることができる。
CaO成分の含有量を35.0%以下にすることでも、所望の屈折率を得易くでき、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、CaO成分の含有量は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは30.0%未満、さらに好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは22.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満とする。
CaO成分は、原料としてCaCO3、CaF2等を用いることができる。
SrO成分の含有量を35.0%以下にすることでも、所望の屈折率を得易くでき、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、SrO成分の含有量は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは30.0%未満、さらに好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは22.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満とする。
SrO成分は、原料としてSr(NO3)2、SrF2等を用いることができる。
BaO成分の含有量を35.0%以下にすることでも、所望の屈折率を得易くでき、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは30.0%未満、さらに好ましくは29.0%未満、さらに好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは22.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満とする。
BaO成分は、原料としてBaCO3、Ba(NO3)2、BaF2等を用いることができる。
他方で、Li2O成分の含有量を10.0%以下にすることで、化学的耐久性(耐酸性)の悪化を抑制し、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減できる。また、Li2O成分の含有量を低減させることで、ガラスの粘性が高められるため、ガラスの脈理を低減できる。従って、Li2O成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
Li2O成分は、原料としてLi2CO3、LiNO3、Li2CO3等を用いることができる。
他方で、Na2O成分の含有量は10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減できる。従って、Na2O成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは6.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
Na2O成分は、原料としてNa2CO3、NaNO3、NaF、Na2SiF6等を用いることができる。
他方で、K2O成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、磨耗度の上昇を抑制し、且つガラスの失透を低減できる。従って、K2O成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
K2O成分は、原料としてK2CO3、KNO3、KF、KHF2、K2SiF6等を用いることができる。
他方で、P2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性(耐酸性)の低下、磨耗度の上昇を抑制できる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
P2O5成分は、原料としてAl(PO3)3、Ca(PO3)2、Ba(PO3)2、BPO4、H3PO4等を用いることができる。
しかしながら、GeO2は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。従って、GeO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。材料コストを低減させる観点で、GeO2成分を含有しなくてもよい。
GeO2成分は、原料としてGeO2等を用いることができる。
他方で、Ga2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Ga2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Ga2O3成分は、原料としてGa2O3、Ga(OH)3等を用いることができる。
他方で、Bi2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Bi2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、最も好ましくは含有しないこととする。
Bi2O3成分は、原料としてBi2O3等を用いることができる。
他方で、TeO2は白金製の坩堝や、熔融ガラスと接する部分が白金で形成されている熔融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。従って、TeO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
TeO2成分は、原料としてTeO2等を用いることができる。
他方で、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減できる。従って、CsO2成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.1%未満、最も好ましくは含有しないことする。
CsO2成分は、原料としてCs2CO3、CsNO3等を用いることができる。
他方で、SnO2成分の含有量を3.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を低減できる。また、SnO2成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)の合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図れる。従って、SnO2成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
SnO2成分は、原料としてSnO、SnO2、SnF2、SnF4等を用いることができる。
他方で、Sb2O3量が多すぎると、可視光領域の短波長領域における透過率が悪くなる。従って、Sb2O3成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満とする。
Sb2O3成分は、原料としてSb2O3、Sb2O5、Na2H2Sb2O7・5H2O等を用いることができる。
しかし、F成分の含有量、すなわち上述した各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量が15.0%を超えると、F成分の揮発量が多くなるため、安定した光学恒数が得られ難くなり、均質なガラスが得られ難くなる。また、アッベ数が必要以上に上昇する。
従って、F成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
F成分は、原料として例えばZrF4、AlF3、NaF、CaF2等を用いることで、ガラス内に含有することができる。
他方でB2O3成分及びNb2O5成分の合計量(質量和)を0%超とすることで耐失透性を向上できる。従って質量和B2O3+Nb2O5は、好ましくは0%超、より好ましくは3.0%超、より好ましくは5.0%超、より好ましくは6.0%超としても良い。
これにより、アッベ数(νd)が低くなることを低減できる。従って、質量和TiO2+ZrO2は、好ましくは35.0%未満、より好ましくは33.0%以下、さらに好ましくは30.0%未満、さらに好ましくは28.0%未満、さらに好ましくは25.0%以下を上限とする。
他方でTiO2成分及びZrO2成分の合計量(質量和)は0%超とする事でガラスの屈折率を高めることが出来る。従って質量和TiO2+ZrO2は、好ましくは0%超、より好ましくは5.0%以上、より好ましくは8.0%超、より好ましくは10.0%超、さらに好ましくは13.0%超、さらに好ましくは15.0%超としてもよい。
これにより、アッベ数(νd)が所望の範囲内に調整できる。従って、質量和ZrO2+Nb2O5+WO3+ZnOは、好ましくは5.0%以上、より好ましくは7.0%超、より好ましくは9.0%超、さらに好ましくは11.0%超、さらに好ましくは13.0%超としてもよい。
他方でZrO2成分及びNb2O5成分及びWO3成分及びZnO成分の合計量(質量和)を60.0%以下とする事で、ガラスの耐失透性を高められる。従って質量和ZrO2+Nb2O5+WO3+ZnOは、好ましくは60.0%以下、より好ましくは55.0%未満、より好ましくは50.0%未満、より好ましくは48.0%未満としても良い。
特に、この和を15.0%以上にすることで、ガラスの屈折率及びアッベ数が高められるため、所望の屈折率及びアッベ数を有するガラスを得易くすることができる。従って、Ln2O3成分の質量和は、好ましくは15.0%以上、より好ましくは16.0%超、さらに好ましくは18.0%超、さらに好ましくは20.0%超とする。
他方で、この和を65.0%以下にすることで、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの失透を低減できる。また、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられる。従って、Ln2O3成分の質量和は、好ましくは65.0%以下、より好ましくは60.0%未満、さらに好ましくは55.0%未満、さらに好ましくは50.0%未満とする。
本発明の第二の態様の光学ガラスは、質量%で、SiO2成分を10.0%以上50.0%以下、La2O3成分を15.0%以上60.0%以下含有し、TiO2成分を0.0%以上15%未満含有し、質量比(B2O3/SiO2)が1.0以下であり、1.60以上1.85以下の屈折率(nd)を有し、33以上62以下のアッベ数(νd)を有する。SiO2成分及びLa2O3成分が主成分の光学ガラスにおいて、1.60以上の屈折率(nd)及び33以上62以下のアッベ数(νd)を有しながらも、耐酸性が高いガラスが得られ易くなる。
SiO2成分は、高い耐久性を有する本発明の光学ガラスでは、ガラス形成酸化物として必須の成分である。特に、SiO2成分の含有量を10.0%以上にすることで、ガラスの耐酸性を高め、磨耗度を低下させ、且つガラスの粘性を高められる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは25.0%を下限とする。
一方、SiO2成分の含有量を50.0%以下にすることで、より大きな屈折率を得易くでき、且つ失透性の悪化を抑えられる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは50.0%以下、より好ましくは47.0%未満、さらに好ましくは45.0%未満、さらに好ましくは43.0%未満とする。
SiO2成分は、原料としてSiO2、K2SiF6、Na2SiF6、ZrSiO4等を用いることができる。
一方、La2O3成分の含有量を60.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減でき、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられる。また、ガラス原料の熔解性を高められる。従って、La2O3成分の含有量は、好ましくは60.0%以下、より好ましくは58.0%未満、さらに好ましくは55.0%未満とする。
La2O3成分は、原料としてLa2O3、La(NO3)3・XH2O(Xは任意の整数)等を用いることができる。
他方で、TiO2成分の含有量を15.0%未満にすることで、TiO2成分の過剰な含有による失透を低減でき、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。また、これによりアッベ数の低下を抑えられる。従って、TiO2成分の含有量は、好ましくは15.0%未満、より好ましくは13.0%未満、さらに好ましくは11.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは9.0%未満とする。
TiO2成分は、原料としてTiO2等を用いることができる。
特に、この質量比を1.0以下にすることで、耐酸性が向上し、長期間の使用に耐えうるガラスを得易くできる。従って、質量比B2O3/SiO2は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.98以下、さらに好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.80以下、さらに好ましくは0.70以下とする。
他方で、ZnO成分の含有量35.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、且つ、過剰な粘性の低下による失透を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは33.0%未満、さらに好ましくは31.0%未満、さらに好ましくは29.0%未満とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF2等を用いることができる。
他方で、ZrO2成分の含有量を20.0%以下にすることで、ZrO2成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%未満、さらに好ましくは16.0%未満、さらに好ましくは14.0%未満、最も好ましくは10.0%以下とする。
ZrO2成分は、原料としてZrO2、ZrF4等を用いることができる。
他方で、Al2O3成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Al2O3成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%未満、さらに好ましくは16.5%未満、さらに好ましくは15.0%未満、最も好ましくは13.0%以下とする。
Al2O3成分は、原料としてAl2O3、Al(OH)3、AlF3等を用いることができる。
他方で、Y2O3成分の含有量を25.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、且つガラスの安定性を高められる。また、ガラス原料の熔解性の悪化を抑えられる。従って、Y2O3成分の含有量は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは23.0%未満、より好ましくは20.0%未満とする。
Y2O3成分は、原料としてY2O3、YF3等を用いることができる。
他方で、B2O3成分の含有量を20.0%以下にすることで、より大きな屈折率を得易くでき、且つ化学的耐久性の悪化と磨耗度の上昇を抑えられる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは16.0%未満、さらに好ましくは13.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満とする。
B2O3成分は、原料としてH3BO3、Na2B4O7、Na2B4O7・10H2O、BPO4等を用いることができる。
他方で、Nb2O5成分の含有量を15.0%未満にすることで、Nb2O5成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つ、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。また、これによりアッベ数の低下を抑えられる。従って、Nb2O5成分の含有量は、好ましくは15.0%未満、より好ましくは13.0%未満、より好ましくは9.0%未満、さらに好ましくは7.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
Nb2O5成分は、原料としてNb2O5等を用いることができる。
他方で、WO3成分の含有量を10.0%未満にすることで、ガラスの材料コストを抑えられる。また、WO3成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、WO3成分の含有量は、好ましくは10.0%未満、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
WO3成分は、原料としてWO3等を用いることができる。
しかしながら、Gd2O3成分は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。また、Gd2O3成分の含有を25.0%以下とすることにより、ガラスのアッベ数の上昇を抑えられる。従って、Gd2O3成分の含有量は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは23.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満とする。
Gd2O3成分は、原料としてGd2O3、GdF3等を用いることができる。
しかしながら、Yb2O3成分は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。また、Yb2O3成分の含有を5.0%未満とすることにより、ガラスのアッベ数の上昇を抑えられる。従って、Yb2O3成分の含有量は、好ましくは5.0%未満、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
Yb2O3成分は、原料としてYb2O3等を用いることができる。
しかしながら、Ta2O5成分は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。また、Ta2O5成分の含有量を5.0%未満にすることで、原料の熔解温度が低くなり、原料の熔解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストも低減できる。従って、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは5.0%未満、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。また、材料コストを低減させる観点では、Ta2O5成分を含有しないことが最も好ましい。
Ta2O5成分は、原料としてTa2O5等を用いることができる。
MgO成分の含有量をそれぞれ15.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えることができ、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、MgO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
MgO成分は、原料としてMgCO3、MgF2等を用いることができる。
CaO成分の含有量を15.0%以下にすることでも、所望の屈折率を得易くでき、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、CaO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
CaO成分は、原料としてCaCO3、CaF2等を用いることができる。
SrO成分の含有量を15.0%以下にすることでも、所望の屈折率を得易くでき、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従ってSrO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
SrO成分は、原料としてSr(NO3)2、SrF2等を用いることができる。
BaO成分の含有量を15.0%以下にすることでも、所望の屈折率を得易くでき、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
BaO成分は、原料としてBaCO3、Ba(NO3)2、BaF2等を用いることができる。
他方で、Li2O成分の含有量を10.0%以下にすることで、化学的耐久性(耐酸性)の悪化を抑制し、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減できる。また、Li2O成分の含有量を低減させることで、ガラスの粘性が高められるため、ガラスの脈理を低減できる。従って、Li2O成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
Li2O成分は、原料としてLi2CO3、LiNO3、Li2CO3等を用いることができる。
他方で、Na2O成分の含有量は10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減できる。従って、Na2O成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
Na2O成分は、原料としてNa2CO3、NaNO3、NaF、Na2SiF6等を用いることができる。
他方で、K2O成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、磨耗度の上昇を抑制し、且つガラスの失透を低減できる。従って、K2O成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
K2O成分は、原料としてK2CO3、KNO3、KF、KHF2、K2SiF6等を用いることができる。
他方で、P2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性(耐酸性)の低下、磨耗度の上昇を抑えられる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
P2O5成分は、原料としてAl(PO3)3、Ca(PO3)2、Ba(PO3)2、BPO4、H3PO4等を用いることができる。
しかしながら、GeO2は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。従って、GeO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。材料コストを低減させる観点で、GeO2成分を含有しなくてもよい。
GeO2成分は、原料としてGeO2等を用いることができる。
他方で、Ga2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Ga2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Ga2O3成分は、原料としてGa2O3、Ga(OH)3等を用いることができる。
他方で、Bi2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Bi2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、最も好ましくは含有しないこととする。
Bi2O3成分は、原料としてBi2O3等を用いることができる。
他方で、TeO2は白金製の坩堝や、熔融ガラスと接する部分が白金で形成されている熔融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。従って、TeO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
TeO2成分は、原料としてTeO2等を用いることができる。
他方で、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減できる。従って、CsO2成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.1%未満、最も好ましくは含有しないことする。
CsO2成分は、原料としてCs2CO3、CsNO3等を用いることができる。
他方で、SnO2成分の含有量を3.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を低減できる。また、SnO2成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)の合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図れる。従って、SnO2成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
SnO2成分は、原料としてSnO、SnO2、SnF2、SnF4等を用いることができる。
他方で、Sb2O3量が多すぎると、可視光領域の短波長領域における透過率が悪くなる。従って、Sb2O3成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満とする。
Sb2O3成分は、原料としてSb2O3、Sb2O5、Na2H2Sb2O7・5H2O等を用いることができる。
しかし、F成分の含有量、すなわち上述した各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量が15.0%を超えると、F成分の揮発量が多くなるため、安定した光学恒数が得られ難くなり、均質なガラスが得られ難くなる。また、アッベ数が必要以上に上昇する。
従って、F成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
F成分は、原料として例えばZrF4、AlF3、NaF、CaF2等を用いることで、ガラス内に含有することができる。
特に、この和を15.0%以上にすることで、ガラスの屈折率及びアッベ数が高められるため、所望の屈折率及びアッベ数を有するガラスを得易くすることができる。従って、Ln2O3成分の質量和は、好ましくは15.0%以上、より好ましくは16.0%超、さらに好ましくは18.0%超、さらに好ましくは20.0%超とする。
他方で、この和を65.0%以下にすることで、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの失透を低減できる。また、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられる。従って、Ln2O3成分の質量和は、好ましくは65.0%以下、より好ましくは60.0%未満、さらに好ましくは55.0%未満、さらに好ましくは50.0%未満とする。
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で1100~1550℃の温度範囲で2~5時間熔解させて攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
本発明の第一の態様に係る光学ガラスは、高屈折率及び高アッベ数(低分散)を有することが好ましい。特に、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、好ましくは1.78、より好ましくは1.79、さらに好ましくは1.80を下限とする。この屈折率(nd)は、好ましくは1.95、より好ましくは1.93、さらに好ましくは1.90を上限としてもよい。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは25、より好ましくは27、さらに好ましくは29を下限とする。このアッベ数(νd)は、好ましくは45、より好ましくは43、さらに好ましくは41を上限とする。
本発明の第二の態様に係る光学ガラスは、高屈折率及び高アッベ数(低分散)を有することが好ましい。特に、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、好ましくは1.60、より好ましくは1.63、さらに好ましくは1.68を下限とする。この屈折率(nd)は、好ましくは1.85、より好ましくは1.84を上限としてもよい。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは33、より好ましくは35、さらに好ましくは37を下限とする。このアッベ数(νd)は、好ましくは62、より好ましくは57、さらに好ましくは55を上限とする。
このような光学恒数を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような低分散を有することで、単レンズとして用いたときに光の波長による焦点のずれ(色収差)を小さくできる。そのため、例えば高分散(低いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせて光学系を構成した場合に、その光学系の全体として収差を低減させて高い結像特性等を図ることができる。
このように、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、特に光学系を構成したときに、高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
これにより、光学ガラスを車載用途等で使用する際に、酸性雨等によるガラスの曇りが低減されるため、ガラスからの光学素子の作製をより行い易くできる。
なお、化学的耐久性(耐酸性)の「1級」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.20質量%未満であり、「2級」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.20質量%以上0.35質量%未満であり、「3級」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.35質量%以上0.65質量%未満であり、「4級」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.65質量%以上1.20質量%未満であり、「5級」は、測定前後の試料の質量の減量率が1.20質量%以上2.20質量%未満であり、「6級」は、測定前後の試料の質量の減量率が2.20質量%以上である。
なお、摩耗度とは、「JOGIS10-1994光学ガラスの磨耗度の測定方法」に準じて測定して得た値を意味するものとする。
特に、第一の態様に係る本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す波長(λ70)は、好ましくは500nm、より好ましくは480nm、より好ましくは450nm、さらに好ましくは420nmを上限とする。
特に、第ニの態様に係る本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す波長(λ80)は、好ましくは500nm、より好ましくは480nm、より好ましくは450nm、さらに好ましくは420nmを上限とする。 また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ5)は、好ましくは400nm、より好ましくは380nm、さらに好ましくは370nmさらに好ましくは360nmを上限とする。
これらにより、ガラスの吸収端が紫外領域又はその近傍になり、可視光に対するガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスを、レンズ等の光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスからモールプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
また、本発明の第二の態様に係る光学ガラスの実施例(No.44~No.168)及び比較例(C、D)の組成、並びに、これらのガラスの屈折率(nd)、アッベ数(νd)、耐酸性、磨耗度、分光透過率が5%、80%を示す波長(λ5、λ80)、の結果を表8~表25に示す。
なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
磨耗度={(試料の磨耗質量/比重)/(標準試料の磨耗質量/比重)}×100により計算した。
よって、本発明の実施例の光学ガラスは、摩耗度に優れており、光学ガラスをレンズとして使用する場合に、表面上に傷が生じにくいことが明らかになった。
よって、本発明の実施例の光学ガラスは、摩耗度に優れており、光学ガラスをレンズとして使用する場合に、表面上に傷が生じにくいことが明らかになった。
Claims (5)
- 質量%で、
SiO2成分を20.0%~43.0%未満、
La2O3成分を20.0%超~55.0%未満、
TiO2成分 0~6.04%、
Al2O3成分 5.0%超~20.0%、
B 2 O 3 成分 0%超~20.0%、
Y 2 O 3 成分 6.28%~25.0%、含有し、
質量比B2O3/SiO2が1.00以下であり、
1.68~1.85の屈折率(nd)、35~55のアッベ数(νd)を有し、
粉末法による化学的耐久性(耐酸性)が1級~3級であり、
摩耗度が200以下である光学ガラス。 - 質量和B2O3+Nb2O5が20.0%未満である請求項1に記載の光学ガラス。
- 請求項1又は2記載の光学ガラスからなるプリフォーム材。
- 請求項1又は2記載の光学ガラスからなる光学素子。
- 請求項4に記載の光学素子を備える光学機器。
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