JP7267591B2 - ポリエステルイミド - Google Patents

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Description

本発明は、優れた柔軟性、接着性、密着性を有しつつ、粘着性を有さないポリエステルイミドに関する。
ポリエステルイミドは、機械的特性、耐薬品性、電気絶縁性、成形加工性に優れることから、電気電子分野を中心に広く用いられている。ポリエステルイミドとしては、例えば、特許文献1に、無水トリメリット酸とジアミンを反応させて得られたジイミドジカルボン酸をジカルボン酸成分に用いたポリエステルイミドが開示され、特許文献2に、分子中にエステル基を含有したテトラカルボン酸二無水物を用いてポリイミド骨格へエステル結合を導入したポリエステルイミドが開示されている。
特開昭63-92651号公報 国際公開2010/093021号パンフレット
近年、前記特性を活かしてポリエステルイミドをフレキシブルフラットケーブル、フレキシブルプリント基板、ビルドアップ積層板等に用いることが検討されている。しかしながら、特許文献1,2のポリエステルイミドは、主に芳香族ジカルボン酸または酸二無水物と、芳香族ジアミンまたは炭素数が18より少ない脂肪族ジアミンとからなるポリマーであるため、柔軟性に欠け、硬くて脆く、接着性や密着性に劣るという問題があった。
一方、一般に、樹脂のガラス転移点を下げると、接着性や密着性は向上するが、べとつき感、いわゆる粘着性が生じる。そのため、そのような樹脂を用いて、基板上に樹脂層を設けた積層体を作製しようとすると、生産工程中にトラブルが生じるという問題がある。
本発明は、かかる従来技術に鑑み、優れた柔軟性、接着性、密着性を有しつつ、粘着性を有さないポリエステルイミドを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討をおこなった結果、無水トリカルボン酸と炭素数18以上のジアミンとからなるジイミドジカルボン酸を原料として用いることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
<1>酸成分とジオール成分からなるポリエステルイミドであって、
酸成分において、無水トリカルボン酸と炭素数18以上のジアミンとからなる一般式(1)で示されるジイミドジカルボン酸を20~100モル%含有するポリエステルイミド。
Figure 0007267591000001

(式中、Rは、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、イコサンジアミン、ヘンイコサンジアミン、ドコサンジアミン、トリコサンジアミン、テトラコサンジアミン、ペンタコサンジアミン、ヘキサコサンジアミン、ヘプタコサンジアミン、オクタコサンジアミン、ノナコサンジアミン、トリアコンタンジアミン、ヘントリアコンタンジアミン、ドトリアコンタンジアミン、トリトリアコンタンジアミン、テトラトリアコンタンジアミン、ペンタトリアコンタンジアミン、ダイマージアミン由来の二価炭化水素基を示す。)
<2>無水トリカルボン酸が、無水トリメリット酸である<1>に記載のポリエステルイミド。
<3><1>または<2>に記載のポリエステルイミドと有機溶剤とを含有する樹脂溶液。
<4><>に記載の樹脂溶液を塗布し、基材上に樹脂層を設けた積層体。
本発明によれば、優れた柔軟性、接着性、密着性を有しつつ、粘着性を有さないポリエステルイミドを提供することができる。
<ジイミドジカルボン酸>
本発明に用いるジイミドジカルボン酸は、一般式(1)で示されるジイミドジカルボン酸であって、無水トリカルボン酸と炭素数18以上のジアミンとから構成される。
Figure 0007267591000002
一般式(1)において、Rは、炭素数18以上の炭化水素基である。
本発明に用いる無水トリカルボン酸としては、例えば、無水トリメリット酸(1,2,4-ベンゼントリカルボン酸-1,2-無水物)や1,2,3-ベンゼントリカルボン酸-1,2-無水物が挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、無水トリメリット酸が好ましい。
本発明に用いる炭素数18以上のジアミンとしては、例えば、オクタデカンジアミン(炭素数18)、ノナデカンジアミン(炭素数19)、イコサンジアミン(炭素数20)、ヘンイコサンジアミン(炭素数21)、ドコサンジアミン(炭素数22)、トリコサンジアミン(炭素数23)、テトラコサンジアミン(炭素数24)、ペンタコサンジアミン(炭素数25)、ヘキサコサンジアミン(炭素数26)、ヘプタコサンジアミン(炭素数27)、オクタコサンジアミン(炭素数28)、ノナコサンジアミン(炭素数29)、トリアコンタンジアミン(炭素数30)、ヘントリアコンタンジアミン(炭素数31)、ドトリアコンタンジアミン(炭素数32)、トリトリアコンタンジアミン(炭素数33)、テトラトリアコンタンジアミン(炭素数34)、ペンタトリアコンタンジアミン(炭素数35)、ダイマージアミン(炭素数36)が挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、ダイマージアミン(炭素数36)が好ましい。炭素数18以上のジアミンは、水素添加反応を施したものであってもよいし、二重結合や三重結合を有していてもよい。また、炭素数18以上のジアミンは、分岐を有してもよいし、不飽和結合を有してもよい。炭素数18以上のジアミンは純度が高いものが好ましい。ダイマージアミンの市販品としては、BASFジャパン社製「バーサミン551」、コグニスジャパン社製「バーサミン552」(バーサミン551の水素添加物)、クローダジャパン社製「PRIAMINE1075」、クローダジャパン社製「PRIAMINE1074」が挙げられる。炭素数18以上のジアミンは、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<ジイミドジカルボン酸の製造方法>
一般式(1)で示されるジイミドジカルボン酸の製造方法は特に限定されないが、溶剤回収等の工程を必要としないことから、無水トリカルボン酸と炭素数18以上のジアミンとを、無溶剤下で反応させたのち、加熱イミド化反応をおこなうことが好ましい。無溶剤下で反応させる方法としては、例えば、固体状の無水トリカルボン酸を、得られるジイミドジカルボン酸の融点以下かつ炭素数18以上のジアミンの融点以上の温度に加熱し、無水トリカルボン酸がその固体状態を保つように、液体状態の炭素数18以上のジアミンを添加して反応させる方法や、無水トリカルボン酸と炭素数18以上のジアミンとを、メカノケミカル効果を利用して反応させる方法が挙げられる。
前者の方法の場合、炭素数18以上のジアミンを2回以上に分割し、複数回に分けて添加する方法が好ましく、滴下する方法がより好ましい。
後者のメカノケミカル効果を利用した方法とは、反応に用いる原料化合物を粉砕する際に生じる機械的エネルギーを利用することによりメカノケミカル効果を発現させる方法である。
メカノケミカル効果とは、反応環境下において固体状態にある原料化合物に機械的エネルギー(圧縮力、剪断力、衝撃力、摩砕力等)を付与することにより、当該原料化合物を粉砕し、形成される粉砕界面を活性化させる効果のことである。これにより、官能基同士の反応が起こる。官能基同士の反応は通常、2つ以上の原料化合物分子間で起こる。例えば、官能基同士の反応は化学構造の異なる2つの原料化合物分子間で起こってもよいし、化学構造の同じ2つの原料化合物分子間で起こってもよい。官能基同士の反応は限定的な1組の2つの原料化合物分子間のみで起こるわけではなく、通常は他の組の2つの原料化合物分子間でも起こる。官能基同士の反応により生成した化合物分子と、原料化合物分子との間で、新たに官能基同士の反応が起こってもよい。官能基同士の反応は通常、化学反応であり、これにより、2つの原料化合物分子間で、各原料化合物分子が有する官能基により、結合基(特に共有結合)が形成されて、別の1つの化合物分子が生成する。
本発明において、加熱イミド化反応とは、無水トリカルボン酸と炭素数18以上のジアミンとを、無溶剤下で反応させた後、窒素雰囲気下で、250~350℃に加熱する方法である。
<ポリエステルイミド>
本発明のポリエステルイミドは、酸成分とグリコール成分から構成され、酸成分はジイミドジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とを含有する。
ジイミドジカルボン酸の含有量は、粘着性を発生させずに、接着性や密着性を向上させることができることから、酸成分において、ジイミドジカルボン酸を20~100モル%とすることが必要で、30~60モル%とすることが好ましい。
酸成分に用いる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。芳香族ジカルボン酸は、これらのエステル形成性誘導体を用いてもよい。汎用性が高く、得られるポリエステルイミドの粘着性を低減することができることから、テレフタル酸とイソフタル酸が好ましい。テレフタル酸とイソフタル酸とを用いる場合、テレフタル酸とイソフタル酸のモル比(テレフタル酸/イソフタル酸)は、90/10~10/90とすることが好ましく、70/30~30/70とすることがより好ましい。
グリコール成分としては、例えば、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物やプロピレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールが好ましい。グリコールは、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。エチレングリコール、ネオペンチルグリコールとを用いる場合、エチレングリコールとネオペンチルグリコールのモル比(エチレングリコール/ネオペンチルグリコール)は、90/10~10/90とすることが好ましく、70/30~30/70とすることがより好ましい。
本発明のポリエステルイミドには、さらに硬化剤を含有することが好ましい。ポリエステルイミドに硬化剤を含有させることにより、さらに接着性、密着性、耐熱性、耐候性を向上させることができる。
硬化剤は特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のホルムアルデヒド付加物;尿素、アクリルアミド等のグリオキザール付加物;アミノ樹脂;エポキシ樹脂;酸無水物;イソシアネート化合物およびその各種ブロックイソシアネート化合物;アジリジン化合物;カルボジイミド基含有化合物;オキサゾリン基含有化合物が挙げられる。中でも、硬化反応性に優れることから、イソシアネート化合物およびその各種ブロックイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有化合物が好ましい。また、150℃以下という比較的低温における硬化反応性に優れ、基材に与える熱的影響を最小限とすることができることから、イソシアネート化合物およびその各種ブロックイソシアネート化合物が好ましい。また、耐溶剤性、加工性に優れる塗膜形成が可能なことから、アミノ樹脂が好ましい。
イソシアネート化合物としては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート単量体およびそれらの三量体が挙げられる。中でも、接着性や密着性が向上することからMDI、TDI、HDIが好ましく、HDIがより好ましく、硬化反応速度が速いことから、MDIが好ましい。
本発明において、硬化剤を用いる場合、その含有量は、ポリエステルイミド100質量部に対し、0.1~30質量部とすることが好ましく、0.5~20質量部とすることがより好ましく、1.0~10質量部とすることがさらに好ましい。硬化剤の含有量が0.1質量部未満では、接着性や密着性が向上しない場合があり、一方、硬化剤の含有量が30質量部を超えると、接着性や密着性が不十分となることがある。
本発明のポリエステルイミドには、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、粘度調整剤、増量剤、染料、顔料、UV吸収剤、空隙形成剤、潤滑剤、ラジカル捕捉剤、熱安定剤、難燃剤、阻害剤、ブロッキング防止剤、表面活性剤、スリップ助剤、光沢向上剤、分解促進剤、粘度調整剤、分散安定剤が挙げられる。
本発明のポリエステルイミドのガラス転移温度は、20℃以上であることが好ましく、25℃以上であることがより好ましい。前記ガラス転移温度が25℃未満の場合、粘着性が発生し、操業性が悪くなる場合がある。
本発明のポリエスエルイミドの引張弾性率は、柔軟性の観点から、1700MPa以下であることが好ましく、1400MPa以下であることがより好ましい。引張弾性率が1700MPa以下のポリエスエルイミドは、無水トリカルボン酸と炭素数18以上のジアミンからなるジイミドジカルボン酸を特定量原料として用いることにより得ることができる。
<ポリエステルイミドの製造方法>
本発明のポリエステルイミドは、酸成分とグリコール成分を150~250℃でエステル化反応させた後、重縮合反応触媒の存在下、大気圧から10~30Pa程度まで減圧しながら230~300℃で重縮合することにより得ることができる。また、本発明のポリエステルイミドは、酸成分のジメチルエステル誘導体とグリコール成分を150~250℃でエステル交換反応させた後、重縮合反応触媒の存在下、大気圧から10~30Pa程度まで減圧しながら230~300℃で重縮合することによっても得ることができる。
<ポリエステルイミド樹脂溶液>
本発明のポリエステルイミド樹脂溶液は、本発明のポリエステルイミドを、有機溶媒に溶解させることにより製造することができる。
ポリエステルイミド樹脂溶液を構成する有機溶媒としては特に限定はされないが、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ソルベッソ等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル等のエステル系溶剤;セロソルブアセテート、メトキシアセテート等のアセテート系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム等の塩素系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤が挙げられる。有機溶剤は、上記のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリエステルイミド樹脂溶液は、固形分濃度を5~60質量%とすることが好ましく、10~50質量%とすることがより好ましく、20~40質量%とすることがさらに好ましい。固形分濃度が5質量%未満であると、ポリエステルイミド樹脂溶液を十分な塗工量で基材に塗布できない場合がある。一方、固形分濃度が60質量%を超えると、ポリエステルイミド樹脂溶液の粘度が高くなり過ぎ、基材に塗布して得られた樹脂層の厚みの精度が低下する場合がある。
本発明のポリエステルイミド樹脂溶液を、各種の基材に対して塗布し、必要に応じて乾燥させて、基材上に樹脂層を設けた積層体を得ることができる。
本発明のポリエステルイミド樹脂溶液を基材に塗布する方法としては特に限定されないが、例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、スプレーコート法が挙げられる。
基材としては特に限定されないが、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の樹脂からなるフィルムやシート;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;銅板、アルミニウム板、SUS板等の金属板が挙げられる。
樹脂層の厚みは、用いる用途によって異なるが、3~50μmとすることが好ましく、5~40μmとすることがより好ましく、7~30μmとすることがさらに好ましい。樹脂層は、厚みが3μm未満であると、必要とする接着性や密着性が得られない場合がある。一方、厚みが50μmを超えると、経済的でないばかりか、接着性や密着性が低下する場合がある。
本発明の積層体は、接着性や密着性に優れており、特に、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔や、銅、アルミニウム、SUS等の金属板に対する接着性や密着性に優れている。
また、本発明の積層体は、ポリエステルイミド面に粘着性を有さない。一般に、粘着性を有する場合、積層体の生産時にトラブルが生じる場合があるが、本発明の積層体であれば、そのようなトラブルは発生しにくく、操業性よく生産することができる。
接着性や密着性に優れつつ、粘着性を有さない積層体は、無水トリカルボン酸と炭素数18以上のジアミンからなるジイミドジカルボン酸を特定量原料として用いることにより得ることができる。
本発明のポリエステルイミドは、優れた柔軟性、接着性、密着性を有しつつ、粘着性を有さないので、フレキシブルフラットケーブル、フレキシブルプリント配線用基板、ビルドアップ積層板等に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、ジイミドジカルボン酸、ポリエステルイミドの評価は、以下の方法によりおこなった。
A.原料
(1)無水トリカルボン酸
・無水トリメリット酸:東京化成工業社製
(2)ダイマージアミン
・水添ダイマージアミン:クローダジャパン社製「PRIAMINE1075」
(3)ジイミドジカルボン酸
合成例1
無水トリメリット酸と水添ダイマージアミンのモル比が66.6/33.4の比率で混合した試料を、大阪ケミカル社製ワンダークラッシャーWC-3Cを用いて、9000rpmの回転速度で1分間混合粉砕することを3回繰り返して、メカノケミカル処理をおこなった。
処理した試料をガラス容器に移し、ヤマト科学社製イナートオーブンDN411Iにて、窒素雰囲気下、300℃で2時間イミド化反応をおこない、ジイミドジカルボン酸を得た。
合成例2~4
ジアミン成分を表1に記載のジアミンに変更する以外は合成例1と同様の操作をおこなって、メカノケミカル処理、イミド化反応をおこない、ジイミドジカルボン酸を得た。
合成例1~4で得られたジイミドジカルボン酸の組成とその評価を表1に示す。
Figure 0007267591000003
(4)ダイマー酸
・ダイマー酸:クローダジャパン社製「PRIPOL1009」
B.評価
[ジイミドジカルボン酸の評価]
(1)反応の確認
赤外分光法(IR)を用いて、以下の条件で測定し、1778cm-1付近および1714cm-1付近の吸収の有無を確認した。
赤外分光法(IR)
装置:Perkin Elmer社製 System 2000 赤外分光装置
方法:KBr法
積算回数:64スキャン(分解能4cm-1
1778cm-1付近および1714cm-1付近のいずれの吸収も確認できる場合、反応が進行したと評価して「○」とし、いずれかの吸収がない場合、または、いずれの吸収もない場合、反応が進行していないと評価して「×」とした。
(2)分子量
高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)を用いて、以下の条件で測定した。
試料:ジイミドジカルボン酸/DMSO溶液(200μg/mL)
装置:ブルカー・ダルトニクス社製microTOF2-kp
カラム:Cadenza CD-C18 3μm 2mm×150mm
移動相:(移動相A)0.1% ギ酸水溶液、(移動相B)メタノール
グラジエント(B Conc.):0分(50%)-5.7分(60%)-14.2分(60%)-17分(100%)-21.6分(100%)-27.2分(50%)-34分(50%)
イオン化法:ESI
検出条件:Negativeモード
[ポリエステルイミドの評価]
(3)樹脂組成
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製JNM-ECA500 NMR)を用いて、H-NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から樹脂組成を求めた(分解能:500MHz、溶媒:重水素化クロロホルム、温度:25℃)。
(4)ガラス転移温度
装置:Perkin Elmer社製 DSC7
昇温速度:20℃/分
20℃から200℃まで昇温し、降温後、再度-40℃から200℃まで昇温し、得られた昇温曲線中の転移温度に由来する不連続変化の開始温度をガラス転移温度とした。
(5)数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定し、ポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。
送液ユニット:島津製作所社製LC-10ADvp
紫外-可視分光光度計:島津製作所社製SPD-6AV、検出波長:254nm
カラム:Shodex社製KF-803 1本、Shodex社製KF-804 2本を直列に接続して使用
溶媒:クロロホルム
測定温度:25℃
(6)引張弾性率
得られたシート状のポリエステルイミドを、厚さ30μmのテフロン(登録商標)のシートの間に挟んで、230℃、圧力3MPa/cmのプレス圧で、1分間プレスし、厚み100μmのフィルムを作製した。
得られたフィルムを幅10mmにカットし、JIS K 7127に準拠し、以下の条件で引張弾性率を測定した。サンプル数は5でおこない、平均値を求めた。
なお、得られたフィルムに粘着性が発生し、適切に幅10mmにカットできなかったり、適切に剥離強度を測定できなかった場合、「××」と評価した。
装置:インテスコ社製 Model 2020
引張速度:50mm/分
測定環境:23℃、60%RH
また、下記の基準で、引張弾性率の平均値を評価した。
◎:引張弾性率≦800MPa(最良)
○:800MPa<引張弾性率≦1400MPa(良)
×:1400MPa<引張弾性率(不良)
(7)剥離強度
ポリエステルイミド(PAI)25質量部にテトラヒドロフラン75質量部を加えて樹脂溶液を得た。
得られたポリエステルイミド樹脂溶液を用いて、乾燥後の厚みが7.5μmとなるようにメイヤーバーを用いて、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み75μm)に塗布し、120℃で2分間乾燥させ、PETフィルム/ポリエステルイミドの積層体を作製した。得られたPETフィルム/ポリエステルイミドの積層体に、前記PETフィルムとは別のPETフィルムを積層し、林機械製作所社製エアー式プレス機を用いて、150℃で、0.1MPa/cmのプレス圧で、10秒間プレスし、PETフィルム/ポリエステルイミド/PETフィルムの積層体を作製した。
得られたPETフィルム/ポリエステルイミド/PETフィルムの積層体を幅15mmにカットし、以下の条件で、T型剥離試験をおこなって、PETフィルムとポリエステルイミド層間の剥離強度を測定した。サンプル数は5でおこない、平均値を求めた。
試験装置:インテスコ社製、Model 2020
引張速度:200mm/分
測定環境:23℃、60%RH
また、下記の基準で、剥離強度の平均値を評価した。
◎:10N/15mm≦剥離強度(最良)
○:8N/15mm≦剥離強度<10N/15mm(良)
×:5N/15mm≦剥離強度(不良)
さらに、銅箔(厚み20μm)、ポリイミド(PI)フィルム(厚み25μm)、二軸延伸ポリアミド(Ny)フィルムを用いて、上記と同様の操作をおこなって、PETフィルム/ポリエステルイミド/銅箔の積層体、PIフィルム/ポリエステルイミド/銅箔の積層体、Nyフィルム/ポリエステルイミド/Nyフィルムの積層体の作製、剥離強度の測定、評価をおこなった。
(8)クロスカット剥離評価
ポリエステルイミド25質量部にテトラヒドロフラン75質量部を加えて樹脂溶液を得た。
得られたポリエステルイミド樹脂溶液を用いて、乾燥後の厚みが7.5μmとなるようにメイヤーバーを用いて、銅板(厚み300μm)に塗布し、120℃で2分間乾燥させ銅板/ポリエステルイミドの積層体を作製した。得られた銅板/ポリエステルイミドの積層体のポリエステルイミド面に、1mmであるマス目が100個存在するように碁盤目のクロスカットを施した。
クロスカットが施された表面上に、18mm幅のセロハンテープを貼り付け、すぐに90°の剥離角度で急激に剥離し、ポリエステルイミド面に残るマス目の数を目視で確認し、下記の基準で評価した。
○:マス目が95個以上残っていた。
×:残ったマス目が95個未満であった。
さらに、アルミニウム板(厚み300μm)、SUS板(厚み500μm)を用いて、上記と同様の操作をおこなって、アルミニウム板/ポリエステルイミド、SUS板/ポリエステルイミドの積層体の作製、クロスカット剥離評価をおこなった。
(9)耐粘着性
銅板/ポリエステルイミドの積層体のポリエステルイミド面の耐粘着性を評価し、粘着性がない場合を「○」、粘着性がある場合を「×」とした。
実施例1
テレフタル酸(TPA)17質量部(30モル%)、イソフタル酸(IPA)17質量部(30モル%)、合成例1で得られたジイミドジカルボン酸(BIDC)124質量部(40モル%)、エチレングリコール(EG)16質量部(74モル%)、ネオペンチルグリコール(NPG)23質量部(62モル%)、および重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1質量部を反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を260℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が260℃に到達してから、3時間エステル化反応を進行させた。
3時間経過後、系内を0.1~10-5Paになるまで減圧し、減圧後3.0時間重縮合反応をおこなった。
重縮合完了後、反応器より樹脂をシート状に払い出し、ポリエステルイミドを得た。
得られたポリエステルイミドの樹脂組成は、TPA/IPA/BIDC/EG/NPG=30/30/40/50/50であった。
実施例2~5、比較例1~6
最終の樹脂組成が表2に記載の樹脂組成になるように、用いる原料とその配合量を変更する以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステルイミドを得た。
実施例1~5、比較例1~6で得られたポリエステルイミドの組成とその評価を表2に示す。
Figure 0007267591000004
実施例1~5のポリエステルイミドは、酸成分において、無水トリカルボン酸と炭素数18以上のジアミンとからなるジイミドジカルボン酸を20~100モル%含有していたために、引張弾性率が1400MPa以下で柔軟性に優れ、剥離強度やクロスカット剥離評価にいずれにも優れつつも、粘着性がなかった。
比較例1~4のポリエステルは、酸成分において、無水トリカルボン酸と炭素数18以上のジアミンとを反応させて得られるジイミドジカルボン酸を用いなかったため、剥離強度やクロスカット剥離評価が不良であった。
比較例5、6のポリエステルイミドは、酸成分において、無水トリカルボン酸と炭素数18未満のジアミンとからなるジイミドジカルボン酸を用いたため、引張弾性率が1400MPaを超えていた。

Claims (4)

  1. 酸成分とジオール成分からなるポリエステルイミドであって、
    酸成分において、無水トリカルボン酸と炭素数18以上のジアミンとからなる一般式(1)で示されるジイミドジカルボン酸を20~100モル%含有するポリエステルイミド。
    Figure 0007267591000005

    (式中、Rは、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、イコサンジアミン、ヘンイコサンジアミン、ドコサンジアミン、トリコサンジアミン、テトラコサンジアミン、ペンタコサンジアミン、ヘキサコサンジアミン、ヘプタコサンジアミン、オクタコサンジアミン、ノナコサンジアミン、トリアコンタンジアミン、ヘントリアコンタンジアミン、ドトリアコンタンジアミン、トリトリアコンタンジアミン、テトラトリアコンタンジアミン、ペンタトリアコンタンジアミン、ダイマージアミン由来の二価炭化水素基を示す。)
  2. 無水トリカルボン酸が、無水トリメリット酸である請求項1に記載のポリエステルイミド。
  3. 請求項1または2に記載のポリエステルイミドと有機溶剤とを含有する樹脂溶液。
  4. 請求項に記載の樹脂溶液を塗布し、基材上に樹脂層を設けた積層体。
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