JP7266788B2 - 光ファイバの製造方法および光ファイバ冷却装置 - Google Patents

光ファイバの製造方法および光ファイバ冷却装置 Download PDF

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Description

本開示は、光ファイバの製造方法および光ファイバ冷却装置に関する。
光ファイバは、一般にガラス母材から線引きされた後に、他の固形物に接触する前に樹脂被覆が施される。線引きされた直後のガラスファイバは、高温であるため直ちに樹脂被覆を施すことができない。このため、通常、線引きされた直後の光ファイバを冷却し、樹脂塗布に適した温度まで冷却している。この冷却を効率よく行うことで光ファイバの製造線速を高めることが可能となる。
例えば、特許文献1には、光ファイバ冷却装置が開示されている。この冷却装置では、ガラスファイバが通るファイバ通路(冷却通路)に熱伝導効率の高いHe(ヘリウム)ガスを供給し、ファイバ通路を形成する冷却筒を冷却するために、冷媒として、例えば-70℃から少なくとも室温程度までの範囲で液相となるパーフルオロポリエーテルなどを-20℃に冷却して供給している。このため、冷却装置のケーシングと冷却筒を取り囲む断熱材との空間を、冷媒の温度よりも低い露点を有する乾燥雰囲気で保持することによって、ファイバ通路で結露が発生しないように配慮している。
特開平10-259036号公報
特許文献1に開示されている光ファイバ冷却装置では、-20℃の冷媒を循環させて冷却したファイバ通路の霜付きを防ぐため、乾燥空気で満たしたケーシングの中に冷却筒を配置しているが、光ファイバの線引きの線速が上がると、外気がガラスファイバに牽引されて、冷却筒の中に混入する。これにより、外気に含まれる水蒸気がファイバ通路内で結露し、零度以下で氷結するため、ガラスファイバの断線のおそれがあった。これを防止するために、冷媒温度を常温付近の温度に設定すれば、結露や霜の問題は解消するが、冷却効率が低下する。さらに、冷却筒の長さを長くするか冷却筒内に供給するヘリウム流量を増やすことが必要となるが、線引装置の高さが高くなったり、製造コストが増加したりするといった問題がある。
本開示は、これらの実情に鑑みてなされたものであり、入線するガラスファイバに牽引されて冷却筒内に混入する外気を遮断することができ、少ない冷却ガスで効率的にガラスファイバを冷却することができる光ファイバの製造方法および光ファイバ冷却装置を提供することをその目的とする。
本開示の光ファイバの製造方法は、ガラス母材から線引きされた直後のガラスファイバを冷却装置に通過させ、冷却ガスにより冷却する光ファイバの製造方法であって、前記冷却装置は、前記冷却ガスにより前記ガラスファイバを冷却する冷却筒と、前記冷却筒を覆った筐体と、該筐体の上部に設けたパージ室を備え、前記冷却筒に設けた冷媒通路に所定温度以下の冷媒を通し、前記筐体内に露点が前記冷媒の温度以下の第1のガスを導入し、前記パージ室内に露点が前記冷媒の温度以下の第2のガスを導入するとともに、前記パージ室内の圧力を前記筐体内の圧力より高くし、前記冷却筒内の前記冷却ガスの圧力を前記筐体内の前記第1のガスの圧力より高くしている。
また、本開示の光ファイバ製造装置は、ガラス母材から線引きされた直後のガラスファイバを冷却ガスによって冷却する光ファイバ冷却装置であって、前記冷却ガスにより前記ガラスファイバを冷却する冷却筒と、該冷却筒を覆った筐体と、該筐体の上部に設けたパージ室からなり、前記冷却筒は、所定温度以下の冷媒を通す冷媒通路を備え、前記筐体は、該筐体内に露点が前記冷媒の温度以下の第1のガスを導入する筐体ガス導入口を備え、前記パージ室は、該パージ室内に露点が前記冷媒の温度以下の第2のガスを導入するパージ室ガス導入口を備え、前記パージ室内の圧力を前記筐体内の圧力より高くし、前記パージ室に前記ガラスファイバが入線する入線口の内径が、前記パージ室から前記ガラスファイバが出線する出線口の内径より大きいものである。
本開示によれば、入線するガラスファイバに牽引されて冷却筒内に混入する外気を遮断することができ、結露によるガラスファイバの断線を防止できる。また、少ない冷却ガスで効率的にガラスファイバを冷却することができる。
本開示に係る光ファイバの製造装置の概略を説明するための図である。 本開示に係る光ファイバ冷却装置の一例を示す図である。 図2のIII-III線の矢視断面図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示に係る光ファイバの製造装置は、(1)ガラス母材から線引きされた直後のガラスファイバを冷却装置に通過させ、冷却ガスにより冷却する光ファイバの製造方法であって、前記冷却装置は、前記冷却ガスにより前記ガラスファイバを冷却する冷却筒と、前記冷却筒を覆った筐体と、該筐体の上部に設けたパージ室を備え、前記冷却筒に設けた冷媒通路に所定温度以下の冷媒を通し、前記筐体内に露点が前記冷媒の温度以下の第1のガスを導入し、前記パージ室内に露点が前記冷媒の温度以下の第2のガスを導入するとともに、前記パージ室内の圧力を前記筐体内の圧力より高くし、前記冷却筒内の前記冷却ガスの圧力を前記筐体内の前記第1のガスの圧力より高くしている。
この構成により、露点が前記冷媒の温度以下のガスで満たされた筐体におけるガラスファイバの入り口に、露点が前記冷媒の温度以下のガスをパージすることによって、筐体内への外気の巻きこみを防ぐことができる。よって、入線するガラスファイバに牽引されて冷却筒内に混入する外気を遮断することができ、結露によるガラスファイバの断線を防止できる。また、少ない冷却ガスで効率的にガラスファイバを冷却することができる。そして、前記冷却筒内の冷却ガスの圧力を前記筐体内の前記第1のガスの圧力より高くすることによって、冷却筒内への外気の巻きこみをより確実に防ぐことができる。
(2)前記ガラスファイバの線引速度が1000m/分以上であってもよい。線引速度が大きい場合は、ファイバ入線口から大気がより混入しやすくなるが、本開示では、線引速度が1000/分以上の高速の場合であっても、入線するガラスファイバに牽引されて冷却筒内に混入する外気を遮断することができ、少ない冷却ガスで効率的にガラスファイバを冷却することができる。
)前記冷却筒下部の冷媒温度は前記冷却筒上部の冷媒温度より低いことが望ましい。仮に大気が筐体内に混入した場合、冷却筒上部側は大気濃度が高く、下部側は大気濃度が低くなる。この分布に対応して、冷却筒下部の方の冷媒温度を低くすることによって、効果的にガラスファイバを冷却できるとともに霜の発生を抑制できる。
)前記冷却ガスはヘリウムガスであり、前記冷却筒全体のヘリウム流量が5リットル/分以下であってもよい。本開示では、少ない冷却ガスで効率的にガラスファイバを冷却することができるため、冷却ガスの流量を削減できる。
本開示に係る光ファイバ冷却装置は、()ガラス母材から線引きされた直後のガラスファイバを冷却ガスによって冷却する光ファイバ冷却装置であって、前記冷却ガスにより前記ガラスファイバを冷却する冷却筒と、該冷却筒を覆った筐体と、該筐体の上部に設けたパージ室からなり、前記冷却筒は、所定温度以下の冷媒を通す冷媒通路を備え、前記筐体は、該筐体内に露点が前記冷媒の温度以下の第1のガスを導入する筐体ガス導入口を備え、前記パージ室は、該パージ室内に露点が前記冷媒の温度以下の第2のガスを導入するパージ室ガス導入口を備え、前記パージ室内の圧力を前記筐体内の圧力より高くし、前記パージ室に前記ガラスファイバが入線する入線口の内径が、前記パージ室から前記ガラスファイバが出線する出線口の内径より大きいものである。
この構成により、露点が冷媒の温度以下のガスで満たされた筐体におけるガラスファイバの入り口に、露点が冷媒の温度以下のガスをパージすることによって、筐体内への外気の巻きこみを防ぐことができる。入線するガラスファイバに牽引されて冷却筒内に混入する外気を遮断することができ、結露によるガラスファイバの断線を防止できる。また、少ない冷却ガスで効率的にガラスファイバを冷却することができる。そして、前記パージ室に前記ガラスファイバが入線する入線口の内径が、前記パージ室から前記ガラスファイバが出線する出線口の内径より大きいことによって、入線口のパージガスの流れが上向きになり、パージ室への大気の混入を防ぐことができる。そのため、筐体内への外気の混入を防止できる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を参照しながら、本開示の光ファイバの製造方法および光ファイバ冷却装置に係る好適な実施形態について説明する。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。なお、本発明はこれらの実施形態での例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内および均等の範囲内におけるすべての変更を含む。また、複数の実施形態について組み合わせが可能である限り、本発明は任意の実施形態を組み合わせたものを含む。
(光ファイバ線引装置の概要)
まず、図1を用いて、本開示の実施形態に係る光ファイバ製造装置1の概要を説明する。図1は、本開示に係る光ファイバの製造装置の概略を説明するための図である。
図1に示すように光ファイバ製造装置1は、光ファイバ用のガラス母材Gを加熱し軟化させる線引炉10を最上流に備えている。線引炉10は、内側にガラス母材Gが供給される円筒状の炉心管11と、この炉心管11を取り囲む発熱体12と、炉心管11内にパージガスを供給するガス供給部13とを有している。ガラス母材Gは、母材送り装置Fによってその上部が把持されている。この母材送り装置Fは、ガラス母材Gの下端部分を線引炉10の炉心管11まで送ることができる。
光ファイバ製造装置1は、線引炉10の下方(下流側)に、ガラスファイバG1を冷却する冷却装置20を備えている。冷却装置20は、線引きされた直後の高温のガラスファイバG1を樹脂塗布に適した温度まで冷却するためのものである。冷却装置20の詳細については後述する。冷却装置20の下方(下流側)には、ガラスファイバG1の外径を測定する外径測定装置40が設けられている。外径測定装置40としては、例えば、光学的にガラスファイバG1の外径を測定するものが用いられ、ガラスファイバG1の長手方向に垂直な平面で、直交する2軸の径を計測している。外径測定装置40としては、ガラスファイバG1の外径を非接触で測定できるものであれば、光学式以外の外径測定装置であってもよい。ガラスファイバG1の外径は略125μmになるように制御される。
光ファイバ製造装置1は、外径測定装置40の下方(下流側)に、ガラスファイバG1に樹脂層を被覆して光ファイバG2を形成する被覆装置50を備えている。本実施形態においては、被覆装置50は、外径が測定されたガラスファイバG1に紫外線硬化型樹脂であるウレタンアクリレート樹脂を塗布し、このウレタンアクリレート樹脂に紫外線を照射することでウレタンアクリレート樹脂を硬化させている。なお、紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート樹脂以外の樹脂であってもよい。ガラスファイバG1は樹脂層が被覆されて、外径が略250μmの光ファイバG2となる。
光ファイバ製造装置1は、被覆装置50の下方(下流側)であって、線引炉10の直下に、光ファイバG2の走行方向を変更する直下ローラ60Aを備えている。本実施形態では、直下ローラ60Aは、光ファイバG2の走行方向を鉛直方向から水平方向へと変更している。直下ローラ60Aの下流側には、樹脂層の状態を検査する検査装置70が設けられている。検査装置70は、気泡検出器、外径測定器あるいはコブ(凹凸)検出器等の検出装置であり、樹脂層における気泡の有無、樹脂層の外径あるいは樹脂層におけるコブの有無を光学的(例えば、レーザ光式)に検出し、光ファイバG2の不良発生を監視している。
光ファイバ製造装置1は、検査装置70下流側に、光ファイバG2走行方向を変更するガイドローラ60Bを備えている。ガイドローラ60Bは、光ファイバG2の走行方向を水平方向から斜め上方へと変更している。
光ファイバ製造装置1は、さらに、光ファイバG2を所定の張力で引き取るキャプスタン80、光ファイバG2に張力を与えるスクリーニング装置90、および、ダンサローラ100を備えている。光ファイバG2は、キャプスタン80、スクリーニング装置90、および、ダンサローラ100を介してボビンBに巻き取られる。
(冷却装置)
次に、本開示に係る光ファイバ冷却装置について説明する。図2は、本開示に係る光ファイバ冷却装置の一例を示す図であり、図3は、図2のIII-III線の矢視断面図である。
本実施形態では、冷却装置20は、チャンバ25内に、上下2段の冷却筒21,21’と、チャンバ25の上部に設けたパージ室27を有している。冷却装置20は、装置入口20aで例えば1200℃程度の高温で通過したガラスファイバG1を、装置出口20cで例えば50℃程度にまで冷却するように構成されている。チャンバ25は、本開示の筐体に相当する。
冷却筒21,21’は、金属からなり、それぞれ中央部分にファイバ通路22,22’が、冷却筒21,21’を上下方向に貫通して形成されている。ファイバ通路入口22aはチャンバ入口20bに対向し、ファイバ通路出口22bはファイバ通路入口22a’に対向し、さらに、ファイバ通路出口22b’はチャンバ25の装置出口20cにそれぞれ対向している。
冷却筒21と冷却筒21’とは、同様の構成をしているため、以下の説明では、冷却筒21について説明する。冷却筒21のファイバ通路22は、ファイバ通路入口22aとファイバ通路出口22bとの間でガラスファイバG1を通過させる。ファイバ通路22は、その長手方向中央位置で、冷却ガス導入路31に連通している。冷却ガス導入路31には、冷媒の温度をガラスファイバG1に伝える冷却ガスの役割を果たすヘリウムガスが導入される。図3に示すように、冷却ガス導入路31は、例えば、ファイバ通路22を挟んで対向した位置に設けられている。なお、冷却ガス導入路31は、ファイバ通路22の周方向に沿って放射状に設けられていてもよい。冷却ガス導入路31に導入されたヘリウムガスはファイバ通路22内へ供給され、ガラスファイバG1からの熱を冷却された冷却筒21,21’へ伝える媒体として機能する。
冷却筒21は冷媒通路23を有する。冷媒通路23は、図3で示すように、冷却筒21のファイバ通路22の周囲に例えば計4本設けられ、ファイバ通路22と同様に、冷却筒21を上下方向に貫通して形成されている。冷媒通路23は、その長手方向下端位置で冷媒導入路32に連通し、その長手方向上端位置で冷媒導出路33に連通している。なお、冷媒通路23の他、この冷媒通路23に連通する冷媒導入路32や冷媒導出路33も、本開示の冷却筒21を構成する部材である。
冷媒導入路32には、例えば、-40℃に冷却したパーフルオロポリエーテルなどの媒体が供給される。パーフルオロポリエーテルは、ファイバ通路22での冷却ガスを介した熱交換によってガラスファイバG1を冷却する冷媒として機能する。パーフルオロポリエーテルは、冷媒通路23内を例えば-40℃にまで下げた後、例えばポンプを用いて排出され、冷媒導出路33を介して図示しない貯留槽に戻される。冷媒通路23内を媒体が循環可能となるように形成すれば、ファイバ通路22を常に同じ状態で冷却することが可能になる。なお、媒体として液体窒素を用いてもよい。また、冷却筒21は断熱材24で覆われており、冷却筒21の温度上昇を防いでいる。
冷却筒21’の構成についても、冷却筒21と同様の構成をしており、冷却ガス導入路31’、冷媒通路23’、冷媒導入路32’、冷媒導出路33’、および、断熱材24’を備えている。冷却筒21,21’を収容するチャンバ25の内壁と、冷却筒21,21’の断熱材24,24’との間に形成された空間26には、冷却筒21,21’のより低い方の温度に比べて同程度、若しくは低い露点の例えばドライエア(乾燥雰囲気)で満たされる。空間26はチャンバガス導入路34に連通し、チャンバガス導入路34のチャンバガス導入口からドライエアが供給される。空間26に供給されたドライエアはチャンバ25の装置出口20cから外部へ排出される。チャンバガス導入口は本開示の筐体ガス導入口に相当する。
本実施形態では、空間26を満たすガスとしてドライエアを用いているが、冷却筒21,21’のより低い方の温度以下の露点を有するガスであれば、ドライエアでなくてもよく、例えば窒素ガスを用いてもよい。これにより、冷却筒21,21’を冷却するための温度の低い冷媒を冷媒通路23に供給しても、冷媒導入路32や冷媒導出路33等の表面に空間26のドライエア中の水分が凝縮することはない。また、冷却筒21,21’内の冷却ガスの圧力をチャンバ25内の空間26圧力よりも高くしている。これにより、空間26を満たすドライエアがガラスファイバG1に牽引されてファイバ通路22,22’内に入り込むことがなく、ファイバ通路22,22’内でドライエア中の水分が凝縮することがない。チャンバ25内の空間26に供給されるドライエアが本開示の第1のガスに相当する。
なお、本実施形態では、2段の冷却筒21,21’を備えているが、1段の冷却筒21から構成されていてもよく、あるいは、3段以上の冷却筒から構成されていてもよい。2段の冷却筒21,21’は、下段の冷却筒21’の方が上段の冷却筒21よりも冷媒の温度が低くなるようにしている。例えば、上段の冷却筒21の冷媒の温度を―20℃以下とし、下段の冷却筒21’の温度を-40℃とすることができる。なお、1段の冷却筒で構成する場合は、冷媒は下方から上方に流れることによって温度が上がるため、冷却筒下部の冷媒温度が冷却筒上部の冷媒温度より低くなる。そして、ガラスファイバG1の製造速度が高速に設定されるに連れて冷却筒21,21’がより低温になるように調整し、装置出口20cにおけるガラスファイバG1を常に樹脂塗布に適した温度、例えば50℃程度に冷却している。
チャンバ25の上部には、パージ室27が設けられている。パージ室27の空間28にはパージ室ガス導入路35に連通し、パージ室ガス導入路35のパージ室ガス導入口からパージガスとしてドライエアが空間28内に供給される。パージ室27内の空間28の圧力がチャンバ25内の空間26の圧力が高くなるように、ドライエアを供給している。そして、ガラスファイバG1の入線口となるパージ室27の装置入口20aの内径を、ガラスファイバG1の出線口となるパージ室27のチャンバ入口20bの内径よりも大きくしている。これにより、パージ室ガス導入路35から供給されたドライエアはその大部分が装置入口20aから外部に排出されるため、装置入口20aでのドライエアの流れは上向きとなる。パージ室27の空間28に供給されるドライエアが本開示の第2のガスに相当する。
したがって、ガラスファイバG1の線速が大きくなっても、ガラスファイバG1に牽引されてパージ室27内に牽引される外気の量が少なくなる。これにより、ガラスファイバG1に牽引されて冷却筒21,21’内に混入する外気を遮断することができる。このように、パージ室27を設け、ガラスファイバG1の入線口で上向きにドライエアを流すことによって、ガラスファイバG1の線引速度が1000m/分以上であっても、冷却筒21,21’のファイバ通路22,22’内に結露や霜が発生することがなかった。また、ガラスファイバG1を50℃まで冷却するために必要な冷却ガスとしてのヘリウムガスは、冷却筒21,21’全体で毎分5リットル以下であった。
1…光ファイバ製造装置、10…線引炉、11…炉心管、12…発熱体、13…ガス供給部、20…冷却装置、20a…装置入口、20b…チャンバ入口、20c…装置出口、21,21'…冷却筒、22,22'…ファイバ通路、22a,22a'…ファイバ通路入口、22b,22b'…ファイバ通路出口、23,23'…冷媒通路、24,24'…断熱材、25…チャンバ、26…空間、27…パージ室、28…空間、31,31’…冷却ガス導入路、32,32'…冷媒導入路、33,33'…冷媒導出路、34…チャンバガス導入路、35…パージ室ガス導入路、40…外径測定装置、50…被覆装置、60A…直下ローラ、60B…ガイドローラ、70…検査装置、80…キャプスタン、90…スクリーニング装置、100…ダンサローラ、B…ボビン、F…母材送り装置、G…ガラス母材、G1…ガラスファイバ、G2…光ファイバ。

Claims (5)

  1. ガラス母材から線引きされた直後のガラスファイバを冷却装置に通過させ、冷却ガスにより冷却する光ファイバの製造方法であって、
    前記冷却装置は、前記冷却ガスにより前記ガラスファイバを冷却する冷却筒と、前記冷却筒を覆った筐体と、該筐体の上部に設けたパージ室を備え、
    前記冷却筒に設けた冷媒通路に所定温度以下の冷媒を通し、
    前記筐体内に露点が前記冷媒の温度以下の第1のガスを導入し、
    前記パージ室内に露点が前記冷媒の温度以下の第2のガスを導入するとともに、前記パージ室内の圧力を前記筐体内の圧力より高くし、
    前記冷却筒内の前記冷却ガスの圧力を前記筐体内の前記第1のガスの圧力より高くした、
    光ファイバの製造方法。
  2. 前記ガラスファイバの線引速度が1000m/分以上である請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
  3. 前記冷却筒下部の冷媒温度は前記冷却筒上部の冷媒温度より低い、請求項1または請求項に記載の光ファイバの製造方法。
  4. 前記冷却ガスはヘリウムガスであり、前記冷却筒全体のヘリウム流量が5リットル/分以下である、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光ファイバの製造方法。
  5. ガラス母材から線引きされた直後のガラスファイバを冷却ガスによって冷却する光ファイバ冷却装置であって、
    前記冷却ガスにより前記ガラスファイバを冷却する冷却筒と、該冷却筒を覆った筐体と、該筐体の上部に設けたパージ室からなり、
    前記冷却筒は、所定温度以下の冷媒を通す冷媒通路を備え、
    前記筐体は、該筐体内に露点が前記冷媒の温度以下の第1のガスを導入する筐体ガス導入口を備え、
    前記パージ室は、該パージ室内に露点が前記冷媒の温度以下の第2のガスを導入するパージ室ガス導入口を備え、
    前記パージ室内の圧力を前記筐体内の圧力より高くし、
    前記パージ室に前記ガラスファイバが入線する入線口の内径が、前記パージ室から前記ガラスファイバが出線する出線口の内径より大きい、
    光ファイバ冷却装置。
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